高強度ボルト

高強度ボルトとは高強度ボルト

高強度ボルトとは、高い強度を持ったボルトのことです。

高い引っ張り強さを持つ材料で作られているため、高い軸力を発生させ、大きな外力が作用する箇所に使うことができます。高強度ボルトと類似した用語に高力ボルトがあります。

高力ボルトも高強度ボルトの1種ですが、高力ボルトは主に鉄骨建造物に使われるボルトを指す場合が多いです。高力ボルトも鉄筋や鉄骨の建造物を支えるため、通常のボルトよりも大きな強度と張力を持っており、簡単に外れることがありません。重い重量を支える場合や長期間強度が必要な場合に使用されます。

高強度ボルトの使用用途

高強度ボルトは、高い強度や張力を必要とする様々な場面で利用されます。自動車での用途では、エンジンのコンロッドやシリンダヘッドの固定などです。

エンジンの気筒内で発生する爆発力を支えるためには、高い強度を有するボルトが必要です。高力ボルトに限れば、鉄筋や鉄骨の建造物に使われます。鉄骨の接合方法には溶接もありますが、建築現場での作業ならボルトの締結の方が作業性が上がります。

高強度ボルトの原理

高強度ボルトは、材料強度によって強度を確保しています。SCM435、SCM440などの合金鋼に焼き入れ焼戻しによる熱処理を加えて強度を確保します。また、高強度ボルトで課題になるのが遅れ破壊です。

遅れ破壊とは、静的な応力を受けた状態の部品が、ある一定時間を経過すると突然破壊してしまう現象です。原因は材料中に侵入した水素とされており、製造工程や表面処理工程で水素の侵入を防ぐための方策が取られています。

高強度ボルトの種類

ボルトの種類の1つに強度区分があります。強度区分によってボルトのおおよその強度が分かり、六角ボルトの頭に刻印されています。現在の強度区分はポイントシステムというISOの規格で、9.8、10.9といった表記をするものです。

例えば、10.9なら呼び引張強さが1000N/mm2であり、その9割である900N/mm2までは降伏しないことを意味します。なお「.」は小数点ではなく、日本語では「ポツ」と発音します。

また、1999年4月以前の旧JISにおいて強度区分は、7T、9T、11Tといった表記がされていました。Tを用いた強度区分は、引張強さの最小値を100で割った値であり、例えば9Tは900N/mm2の引張強さを持つことを意味します。現在でも、古い図面に記載されていることがあります。

高強度ボルトのその他情報

1. 高力ボルトの種類

高強度ボルトの1種である高力ボルトには、いくつかの種類があります。実際には様々な種類のボルトがあります。こ代表的な高力ボルトは、以下のとおりです。

溶融亜鉛メッキ高力ボルト
溶融亜鉛メッキを施した高強度ボルトのことです。表面にメッキを施せば、風や雨に強く、錆びにくくすることができます。外気にさらしても腐食することが少ないため、外壁や屋根に使用されます。

トルシア型高力ボルト
ボルトの頭が丸く、先端にピンテールという物が付いたボルトのことです。この形状によって軸が安定し高い強度を保つことができます。ボルトの強度としては最高クラスで、最もよく使われている高強度ボルトです。

また、トルシア型高力ボルトを取り付けるときには、先端のピンテールが切り取られるまでトルクを導入します。従って、通常のボルトよりも施工管理が簡単になります。

2. 高強度ボルトの使い方

高強度ボルトは適正な使い方をしなければ、相手側のナットが破損したり、高強度ボルトを使用して組み立てた製品や機器が破損したりすることがあります。防止のための必要な項目は、以下の通りです。

  • 高強度ボルトとナットや相手側の座面が壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること。
  • 高強度ボルトとナットや相手側の座面に加わる繰り返しの力 (振動などによる) が許容範囲内であること。
  • 高強度ボルトの座面 (お互いに接触する側の面で、工具が触れる面ではない) に加わる圧力で、締め付ける対象物 (金属や木材など) を陥没させないこと。
  • 高強度ボルトを締め付けることで、締め付ける対象物を壊さないこと。

参考文献
https://containerworks.jp/architecture/highpressure-bolt.html
http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-torusiagata.html
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/

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