エッジワイズコイルとは
エッジワイズコイルとは、導体である電線の断面が長方形の平角線を用いて作られたコイルです。
通常の断面が丸の電線をボビンに巻いたコイルとは異なり、コイルの大きさと形に合わせた薄板を加工したものを積層して螺旋状に電流が流れるような構造をとっています。そのため、フィンが積層されたような見た目をしています。
エッジワイズコイルの使用用途
エッジワイズコイルは、電子回路ではDCDCコンバーターなどに利用され、スイッチング回路でエネルギーを一時的に溜めておくコイルとして利用されています。 製品としては、電源アダプターユニット、DCDCコンバーターユニット、インバーターユニット、充電器、モータードライバーユニット、ジェネレーターユニット、モーターユニットなどです。
比較的大きな電力を取り扱うものに利用され、電力関連事業や自動車関連事業向けなどに様々な製品がつくられています。パワーエレクトロニクスの分野で使用される例が多く、10Aを超えるような大電流を必要とする回路でのインダクターやモーターユニット、ジェネレーターユニットなどの電磁石のような用途で使用されます。
エッジワイズコイルの原理
大きな電力を扱う回路に必要とされるコイルには、大きな電流を流すことが求められます。コイルに電流を増やすには、巻き線の電線の断面積を増や差なければなりません。
式: L = (A×4π2×μs×a2×N2) ÷ b (bはコイルの長さ)
ソレノイドコイルのインダクタンスの計算式に示されるように、高いインダクタンスを得るには計算上の分母となるコイルの長さの値を小さくする必要があります。つまり、全長が短いコイル程、高いインダクタンスが得られるということです。
そこで、エッジワイズコイルでは巻き線である電線に平角線を用いることで断面積を増やしつつコイルの長さを抑えて高いインダクタンスを実現しています。
エッジワイズコイルの構造
エッジワイズコイルは、銅線を螺旋状に圧延した構造をしています。そのため、従前の巻き線によるコイルでは必須であった巻き取り用のボビンが不要な場合があり、従前ではボビンのラインナップによる制限を受けて作ることができなかったようなコイルでも製作できる可能性がある点が特徴です。
仮に従前のように巻き取り用のボビンを使う方法で、ボビンの既製品ではないボビンを必要とするコイルを作ろうとした場合、専用のボビンを設計して金型を起こすなど非常に多くの手間とコストが必要になります。しかし、ボビンそのものが不要であるため、これらの手間やコストを掛けることなくコイルの開発が可能です。開発や設計の自由度の面から見ても、エッジワイズコイルは非常に魅力的なデバイスと言えます。
エッジワイズコイルの選び方
エッジワイズコイルのラインナップとしては、取り扱いメーカーによって既製品としてのラインナップもありますが、取り扱いメーカによってはカスタムでの対応も可能です。既製品のラインナップでは大電流に対応したものが多く、パワー系の製品開発に適した製品構成になっています。
業界的なラインナップが充実していて、10Aを超えるような電源回路のインダクタンスなども豊富です。他方でカスタム品での対応では電気的な性能はもちろんのこと、大きさや形状など任意の要求を問い合わせることで臨機応変に応えてくれる可能性があります。
エッジワイズコイルのその他情報
エッジワイズコイルの利点
エッジワイズコイルの利点は、インバーター回路などで電気的な設計上の自由度が増すことです。同じ断面積の丸の断面をした電線で巻いたソレノイドコイルよりもソレノイド形状の長さを短くできるため、高いインダクタンスが得られます。また、ジェネレーターユニットやモーターユニットでは大電力化や小型化、放熱性能などで設計に貢献できることも利点の一つです。