PVCチューブ

PVCチューブとは

PVCチューブ

PVCチューブとは、ポリ塩化ビニル (塩ビ) を主原料とするプラスチックチューブです。

ポリ塩化ビニルは電気絶縁性が良好な樹脂材料であることから、PVCチューブは各種電子機器の絶縁用保護材として使用されています。人が接触しやすい環境で人体には危険な大きな電力を扱う場合などには、PVCチューブで電線や端子を保護します。

PVCチューブによって、意図せぬ接触による感電やほこりが堆積して発火するトラッキング減少などのリスクを大きく軽減させることが可能です。

PVCチューブの使用用途

PVCチューブの原材料であるポリ塩化ビニル樹脂は、耐電圧が50kV/mm以上とゴムやポリエチレンの2倍近い電気絶縁性を有しています。そのため、PVCチューブは感電やショートを防止する保護材としてあらゆる電子機器に使用されています。

配線の保護用途では、熱を加えることで収縮するPVC熱収縮チューブも開発されています。内側に配線を通したあとに加熱することでチューブが配線に密着するため、簡単に保護皮膜を形成することが可能です。

また、塩ビ樹脂は引き裂き強度を始めとした機械的強度、耐薬品性、耐水性、難燃性などに優れており、可燃性液体や薬液の輸送などでも実績があります。 

PVCチューブの特徴

塩ビ樹脂はポリエチレン、ポリプロピレンポリスチレンと並んで4大汎用プラスチックと呼ばれるほど汎用性に使用されているプラスチックです。炭素・水素・塩素が組み合わさった分子鎖によって構成されており、汎用プラスチックのなかでも非結晶性樹脂に分類されます。

塩ビ樹脂は射出成形や真空成形、ブロー成形など様々な加工方法が適用され、PVCチューブは主に押出成形によって製造されています。非結晶性樹脂であるため結晶化による体積の減少が小さく、安定した寸法の製品を得ることが可能です。

加えて、塩ビ樹脂は多くの物質との混和性が良いため添加剤を加えることで多様な性質を発揮します。例えば、塩ビパイプは住宅などに使用される軽量で硬いパイプですが、柔軟なPVCチューブと同様に塩ビ樹脂が原材料となっています。

上記のように電気絶縁性や耐薬品性などの多くの長所がある一方で、塩ビ樹脂は熱に弱く85℃程度で軟化してしまうため、使用時に高温となる環境での使用には不適です。低音に対しては耐寒性のPVCチューブが開発されており、−40℃程度の環境下でも割れたり破れたりすることなく使用することができます。 

PVCチューブの種類

1. 一般用途PVCチューブ

一般用途のPVCチューブは、非常に広範な用途で使用される汎用性のあるタイプです。この種類のPVCチューブは柔軟性と耐久性があり、様々な流体の移送や排水、空気の供給などに適しています。

一般家庭での庭の水やり用ホースや、キッチンや浴室での排水ライン、農業や工業の用途でも広く使用されます。また、異なるサイズや厚さのものが存在し、用途に合わせて適切なサイズを選択が可能です。

2. 耐圧性PVCチューブ

耐圧性PVCチューブは、高い圧力環境での使用に適しています。このタイプのチューブは、内部に流れる液体やガスの圧力に対して耐久性を持ち、安全かつ効率的な流体制御を実現可能です。

産業用の高圧配管や圧力容器、ポンプシステム、さらには空調システムや自動車のブレーキラインなど、高圧環境での使用が必要な場面で重宝されます。

3. 透明PVCチューブ

透明PVCチューブは、非常に透明性に優れたタイプです。透明な素材により、内部の液体やガスの状態を視覚的に確認することができるため、特に食品産業や医療産業で広く使用されます。

飲料の配管や食品の流通ライン、薬液の供給管などで使われるほか、医療機器や医薬品の包装にも活用されます。透明性が求められる用途に適したPVCチューブです。

4. 電線保護用PVCチューブ

電線保護用PVCチューブは、電線やケーブルを保護するために設計されたタイプです。このタイプのチューブは、電線やケーブルを保護し、環境からの物理的な損傷や電気的な干渉から守ります。また、耐薬品性も持っており、化学薬品や溶剤から電線を守ることができます。

屋内や屋外での電線の配線に広く使われる他、工業施設や建築現場でも使用頻度が多いです。耐久性と電気絶縁性が求められる用途に適しています。

参考文献
https://www.vec.gr.jp/enbi/enbi2_3.html
https://www.nisseieco.co.jp/products/tube
https://www.vec.gr.jp/enbi/enbi2_1.html 

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