圧着機

圧着機とは

圧着機

圧着機とは、金属製の端子と電線を結合する際に用いられる「圧着」と呼ばれる作業を行うために使用する工具のことです。

圧着とは、電線と圧着端子を専用のカシメ型で押しつぶすことによって電気的に結合させる作業のことを指します。圧着機は、電線と圧着端子の大きさや幅に合わせた専用のカシメ型を上下にそれぞれ装着し、両者を挟み込むようにして押しつぶします。

圧着機のカシメ部分はペンチのような見た目となっており、力を加えることで圧着端子側に塑性変形を発生させ電線に対して端子が噛み込むことで結合する構造です。

圧着機には手動式と電動式があり、用途によって使い分けられます。特に太い電線に使用する場合には主に電動式が用いられています。その理由は、電線のサイズに伴って圧着端子も比例してサイズが大きくなるため、圧着時に端子が塑性変形を起こしにくくなり、より大きな力を掛けないと圧着できず、人力では対応できない場合があるためです。

圧着機の使用用途

圧着機は様々な場所で電線の圧着に使用されています。

例えば自動車や家電製品等です。これらの内部には様々な機能を使えるようにするため、たくさんの電線が配線されていますが、電線と電線の継ぎ目部分にあたるコネクタには、各電線と圧着端子が1対の状態でコネクタへ挿入されています。この各電線と端子の圧着作業において圧着機を用いることで、信頼性の高い電気的な結合をさせることができます。

具体的な圧着作業の手順としては、電線の皮膜を剥ぐことで内部の芯線を露出させ、圧着端子に電線を重ねた状態でセットします。その後、圧着機に装着された専用のカシメ型で上下から挟み込み、力を加えることで端子に塑性変形を起こさせ結合します。

また、圧着は熱や薬剤に弱い部分にも用いられています。電線を結合させる場合は圧着以外にもはんだ付けを行うことで電気的に結合できますが、はんだ付けは熱を加える必要があるため場合によってはんだ付けが難しい物もあります。対して圧着は熱や薬剤を必要としないので、加工のスピードも早く電気的な接続の信頼性も高いため多くの電線で使用されています。

圧着機の原理

圧着機は、荷重を掛けて電線と圧着端子を専用のカシメ型で押しつぶすことにより2つを結合させる工具です。

駆動方式は手動式と電動式の圧着機がありますが、ここではこの2つの原理や特徴について紹介します。

1. 手動式圧着機

ペンチのような形状をしており、人が手に持って圧着を行います。電線と圧着端子をセットし、挟み込むように押しつぶすことで圧着します。

メリットは、人の手によって圧着を行なうため、作業する場所を選ばず手軽に作業を行えることで、機械的にも電気的にも信頼性の高い結合が可能な点です。

デメリットは、動力が人力なため作業時に加えられる荷重に限界がある点です。そのため、特に太い電線の場合は荷重を加えると変形した圧着端子が元に戻ろうとする力が働くため、上手く圧着できない場合があります。

2. 電動圧着機

手動圧着機と同様に圧着を行いますが、押しつぶす作業を電動で行います。

電動のメリットは、太い電線も圧着ができるという点です。電線が太くなるほど圧着端子も比例して大きくなるため、端子に塑性変形を発生させるためには大きな力を必要とします。しかし、電動圧着機ならば加える荷重を容易にコントロールできるため、太い電線でも結合させることができます。

特に大電流が流れている箇所の電線は耐熱の関係から非常に太い電線が使用されているため、電動の圧着機が用いられています。

デメリットは、手軽にどこでも設置できない点です。動力が電動であるため、使用するためには電池や電源が必要になり屋外での使用は難しくなります。また、重量も重く小型化は難しくなり、本体の価格も高くなります。

参考文献
https://diytools1.com/2016/04/10/post-13890/
https://t-denso.com/archives/256
https://genki-heiwado.com/kougu/blog/2016/11/15/

動粘度計

動粘度計とは動粘度計

動粘度計とは、流体の動粘度を知るための計測具です。

動粘度は「動粘度計数」とも呼ばれ、流体の流れの伝わりにくさを表す数値です。動粘度に類似した用語に「粘度」がありますが定義は異なります。

粘度は「粘度計数」とも呼ばれ、流体の「さらさら」や「どろどろ」といった粘り気を定量的に示すものです。粘度は流体中の物体の動きにくさを表し、動粘度は流体自体の動きにくさを表すものです。また、動粘度は「粘度をその流体の同一状態における密度で除した値」と定義されており、動粘度も粘度計を用いて計測されます。

粘度、動粘度ともに日本産業規格「JIS Z 8803 液体の粘度測定方法」 によって、6つの粘度計にを用いた測定方法が定められています。

動粘度計の使用用途

動粘度はその物質の扱いやすさや性質を決定する重要なパラメーターであることから、動粘度計は流体製品の検査や製品開発の面で役立てられます。例えば、食品分野では飲料水は、粘度の差異で飲みやすさが変わり、クリーム状の食品も扱いやすさや口溶けなどが変わってきます。

食品分野以外の動粘度計の活用分野は製薬、塗料や工業油などの石油化学製品の品質管理、検査、製品開発です。

動粘度計の原理

動粘度も粘度計から測定されます。動粘度計も粘度計も同じと認識して問題ありません。JIS Z 8803では毛細管粘度計、落球粘度計、共軸二重円筒形回転粘度計、単一円筒形回転粘度計、平板形回転粘度計、振動粘度計による、それぞれの粘度測定方法が規定されています。

いずれの測定原理も、流体を回転させる、細管に流す、ボールを沈める、振動を与えるなど、流体を変形させて生じる変化から動粘度を評価するものです。

動粘度計の種類

代表的な粘度計は4つあります。また、毛細管粘度計以外は計測器で測定されるのは粘度です。動粘度は粘度を密度で除して求める必要があります。

1. 毛細管粘度計

毛細管粘度計は試料となる流体を細管に通して、流れる時間から動粘度を求めます。動粘度は粘度を密度で割ったものですが、毛細管粘度計は動粘度を直接求めることができます。毛細管粘度計は長く使われてきており、価格も安価なのが特徴です。

2. 落球粘度計

落球粘度計は史料となる流体中にボールを落とし、ボールの落下時間を測定して粘度を測定します。ニュートン流体であれば、幅広い粘度の測定が可能です。ニュートン流体とは、せん断速度が変化しても粘度が変わらない流体のことです。

3. 回転粘度計

回転粘度計は試料となる流体の中に円筒形の回転子を入れて、一定の速度で回転させた際の円筒面に生じるトルクを計測することによって粘度を求めます。回転子の種類によって共軸二重円筒型、単一円筒型、コーンプレート型などの種類があります。コーンプレート型は回転数に変化を加えることによって、非ニュートン流体の流体特性も調べることが可能です。

4. 振動粘度計

振動粘度計は、試料の中に浸した振動片に一定の振動数を与えた際に受ける粘性抵抗を計測する方式です。振動粘度計は、流体が流れている状態でも測定できるのがメリットです。

動粘度計のその他情報

1. 動粘度の単位

動粘度のSI単位はm2/sです。かつてはSt (ストークス) = cm2/s が使われていました。1m2/s = 1cSt (センチストークス) になります。なお、粘度の単位はSI単位ではPa・s 、旧単位ではP (ポアズ) cP (センチポアズ) です。

2. 粘度との違い

言葉では似ている動粘度と粘度ですが、両者の関係は密度によって大きく変化します。つまり、異なる流体で動粘度と粘度を比較した際、両者の大小関係は大きく逆転することに注意が必要です。

例えば、水と乾燥空気を比較した場合、乾燥空気の動粘度は水の約15倍ですが、乾燥空気の粘度は水の約1/55程度しかありません。水の密度は乾燥空気の密度よりも約800倍以上大きいため、動粘度と粘度との関係性は大きく変化します。

なお、ギア油のようなドロっとした油の場合には、動粘度と粘度のいずれも、水よりも圧倒的に大きくなります。

参考文献
https://www.sibata.co.jp/downloads/pdf/manual/M026110-_07.pdf
https://www.atago.net/japanese/new/databook-viscosity_kind.php

偏心測定器

偏心測定器とは

偏心測定器

偏心測定器 (英: eccentricity indicator) とは、シャフト等の偏心や曲がり、振れを測定する計測器です。

偏心検査器、偏心計、同心測定器とも呼びます。偏心は、本来あるべき中心点と比べて位置がずれていることを言います。ワークの偏心の他、振れ・曲がり・同心度・同軸度などの測定が可能です。

偏心量は、通常ダイヤルゲージを使用して測定します。ワークの両端面に加工されたセンター穴を、測定器の両センターにてクランプします。ダイヤルゲージを測定したい箇所にセットし、ワークを回転させることで測定が可能です。

ダイヤルゲージ法のほか、レーザーや光学による反射式、透過式などの測定法があります。

偏心測定器の使用用途

偏心測定器は、回転する切削工具類、各種アーバ、クランクシャフト、歯車、ピストンヘッド等の偏心度の測定に使用されます。また、レンズの偏心量を測定する測定器もあります。

偏心測定器のテーブル上面と、両センターとの平行度は確実です。また、ワークの重量によって誤差が発生したり、経年変化による狂いが生じたりしないように、剛性が大きい構造になっています。

通常偏心測定器を使う目的は、切削や研削加工など、機械加工後の精度確認です。曲がり測定の場合は、熱処理を施した後の歪み確認として使います。

多段形状をしたシャフト形状のワーク端面部にダイヤルゲージを当てることで、両センターを基準とした端面の直角度を測定することも可能です。

偏心測定器の原理

1. 機械式測定

センター基準の測定
偏心測定器のセンターは、通常鋼を焼入れして製作されています。硬いワークに使用したり、測定頻度が高かったりする場合は、先端に超硬材をろう付けした超硬センターを使用する場合もあります。

ワーク端面部がセンター穴ではなく、内径加工が施されているワークには、傘型センターを使用します。傘部の角度と、内径加工部の面取り角が同じセンターが必要です。

ダイヤルゲージをワークの外面に当て、ワークを少しずつ回転しながら、ワーク外面の位置の変化を読み取ります。センター基準の偏心測定です。

外径基準の測定
偏心測定器の両センターによるクランプではなく、2つ1組のローラーの上にワークの外径を載せて、ワーク両端に2組の計4つのローラーで支える方法です。ワークを回転させることで偏心の測定が可能です。外径を基準とした測定値になります。

また、2つ1組のローラーの上にワークの片側を載せて、その上部にクランプのためのローラーを取り付けることで、片持ちで測定できる偏心測定器もあります。内径加工のある円筒形状で、外径を基準とした内径の同軸度を測定したい場合は、内径にダイヤルゲージを当てて回転させることで測定が可能です。

いずれの場合も、ワーク径の大きさに応じて、2つのローラーのスパンを調整する必要があります。

2. 非接触測定の原理

レーザー式偏心測定器
回転中の外径の振れが測定可能です。反射型のレーザー変位計を使用して、回転体の外面にレーザーを当て、反射波を検出して距離の変動を測定します。回転速度の10倍以上のサンプリング速度が必要です。

透過型のレーザー寸法測定器でも測定が可能です。レーザーを回転体外面の円周方向に当て、受信器で振れ量のp-p値を測定します。回転速度の10倍以上のサンプリング速度が必要です。

さらに、透過型2次元レーザー寸法測定器を使用すれば、複数ポイントの位置の変動が測定できます。円周上に切られたV溝や突起部の振れを測定可能です。

光学式偏心測定器
凸レンズ・凹レンズの偏心量を測定する方法です。反射式と透過式があります。反射式偏心測定器は、反射方式により被検レンズの外径とレンズの球面中心との偏心量を測定する装置です。

透過式偏心測定器は、レンズの透過偏心を測定する装置です。透過偏心は、透過光が光軸からずれた量のことす。光軸はレンズ両面の球心を結ぶ線を指します。

偏心測定器のその他情報

偏心測定器の使用方法

まず、偏心測定器のテーブル上で、ワークの長さに応じて左右のセンターを任意の位置にセットして、それぞれをロックします。左右のセンターの内、片側のセンターは、レバー操作により出入りする構造になっています。

これを操作することで、センターを引きこませた状態にしてワークをセットし、レバーを戻すことでワークはクランプされます。ばねの力によって、一定の保持力でワークを支持することが可能です。

ダイヤルゲージをワークの外面に当て、ワークを回転させます。そのときに得られる指針の変化が偏心量です。

参考文献
https://www.obishi.co.jp/catalog/bench-centers/707/
https://zensei-inc.com/knowlege/concentricity/measuring-tool-for-concentricity/

レジスト塗布装置

レジスト塗布装置とは

レジスト塗布装置とは、基板など目的の物体の表面にレジスト材を塗布するための装置です。

レジスト材とは、光に対する感受性を持つ樹脂からなる電子材料のことを指します。

レジスト塗布装置は、塗布の方式によってスピンコータとスプレーコータに分けられます。一般的にレジスト塗布に用いられるのは前者のスピンコータです。スピンコータは1から数十ミクロン程度の厚さまでの成膜が可能で、平坦なものへの塗布に適した装置です。表面の起伏が多い立体的なものへの塗布には、スプレーコータが用いられます。 

レジスト塗布装置の使用用途

レジスト塗布装置で塗布するレジスト材は、半導体の加工に用いられる材料です。そのため、レジスト塗布装置は半導体の製造過程に組み込まれる場合が多いです。

レジスト材は、レーザー加工などにおけるフォトマスクの役割で用いられます。作業者の手によるマニュアル操作でレジスト材を塗布することもできますが、膜圧などを均一にそろえて成膜することは難しいでしょう。塗布できていない部分が生じたり、厚みが不足またはしたりするとその後の加工がうまく行えず、品質がばらついてしまいます。

レジスト塗布装置によって均一にレジスト材を塗布することは、品質管理の観点では非常に重要です。

レジスト塗布装置の原理

レジスト塗布装置は前述の通り、スピンコータとスプレーコータが主流です。スピンコータとスプレーコータでは、塗布の方式が異なります。

1. スピンコータ

スピンコータは、遠心力を利用して塗布を行う装置です。塗布したい物体にレジスト材を滴下した後、その物体を高速で回転させます。この回転により遠心力が発生することで、レジスト材を隅々まで行き渡らせることができるのです。

スピンコータによる塗布を行う際は、表面の起伏の部分でレジスト材の広がりが止まってしまうことがあるので、起伏が激しいものの場合は塗布が困難です。こうした場合には、スプレーコータを用いることがあります。

2. スプレーコータ

スプレーコータは、スプレー噴霧による塗布方式が採用された装置です。レジスト材をスプレーで吹き付けて塗布を行います。装置によって均一な塗布を行う仕組みはさまざまで、スプレーノズルを動かして各部の塗布を行ったり、スプレーノズルは固定したまま塗布対象の物体を回転させたりする装置があります。 

参考文献
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/200708/100334.html
http://www.ltj.co.jp/tech_spin.php
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/spin.jsp 

リバーシブルモーター

リバーシブルモーターとは

リバーシブルモーターとは、逆方向に回転することが可能なモーターです。

直流モーターや単相モーターの回転方向は、一方向のみです。ただし、リバーシブルモーターを使用することで、回転方向を切り替えることができます。

回転方向を変えられるだけでなく、回転速度やトルクも制御することが可能な場合が多いです。これにより、さまざまな応用用途や環境に適した動作を実現することが可能です。

リバーシブルモーターは、小型モーターに使用されることが多いです。ただし、一部の大型の交流モーターにも応用されるケースもあります。

リバーシブルモーターの使用用途

リバーシブルモーターは、さまざまな産業や応用分野で使用されます。以下はリバーシブルモーターの使用用途一例です。

1. 自動車

自動車はバッテリーを積んでおり、内部の制御電源は直流の場合がほとんどです。したがって、リバーシブルモーターを使用して可逆化することが多いです。

応用用途としては、自動車の電動ウィンドウや電動シートなどです。ドアロックに使用される場合もあります。

2. 工作機械

工作機械は、可逆操作が必要な場合が多いです。また、小型工作機械の場合は、単相電源のみで動作させることも少なくありません。したがって、小型工作機械にはリバーシブルモーターが利用されることも多いです。

具体的には、ベルトコンベアやクランプなどがその一例です。どちらも可逆で動作させた場面が多いため、リバーシブルモーターは重宝されます。

3. 家電製品

家電製品は、単相電源で動作する製品がほとんどです。したがって、可逆操作したい場合はリバーシブルモーターで動作させることも多いです。

高価な冷蔵庫の場合、ドアを開閉するために使用されます。リバーシブルモーターによってドアの開閉方向を変えることが可能です。

洗濯機の排水操作に利用される場合もあります。排水ポンプの回転方向を変えることで、水を排出することができます。

リバーシブルモーターの原理

交流のリバーシブルモーターは通常の誘導モーターと同様に、固定子や回転子によって構成されます。固定子は固定された巻線で構成された部品です。交流電源が接続され、回転子に誘導電流を誘起することで、電力エネルギーを回転エネルギーへと変換します。

相違点は、ブレーキが付属している点とコンデンサの切替機構が付属する点です。リバーシブルモーターにはブレーキが付属しており、瞬時に制動することが可能です。したがって、オーバーランを小さくすることが可能であり、誘導モーターよりも瞬時に正逆制御を切り替えることができます。

また、正逆制御を切り替えるために、コンデンサの接続位置を切り替える機構が付いています。単相誘導モーターは界磁位相をずらすために、コンデンサを使用します。コンデンサの接続位置を切り替えることで、回転方向を切り替えることが可能です。

リバーシブルモーターの選び方

リバーシブルモーターを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。

1. 電源電圧

モーターを選ぶ際に最初に考慮するべき要素は、使用する電源の電圧です。モーターの仕様やデータシートで、動作に必要な電源電圧が指定されています。適切な電源電圧のモーターを選ぶことで、安定した動作と適切なパフォーマンスを得ることが可能です。

2. モーター取付角

モーターの取付角度は、モーターの取り付け位置と回転方向を指定します。モーターの取り付け位置や用途に基づいて、適切な取付角度を選ぶことが必要です。

3. 出力電力

モーターの出力電力は、モーターが実現可能な仕事量です。用途に応じて、適切な出力電力を選ぶ必要があります。

出力電力は一般的に、トルクと回転速度の組み合わせとして表されます。単位はワット(W)です。リバーシブルモーターの場合は、100W以下程度の小さい出力の場合がほとんどです。

4. シャフト形状

モーターのシャフト形状は、モーターと他の機械部品との接続方法を指定します。丸シャフト、GN歯切り、GE歯切りなどから選択するのが一般的です。

丸シャフトは円柱状で断面が丸い形状をしており、簡潔で使いやすい設計です。直径が指定され、通常は滑らかな表面仕上げとします。他の機械部品との接続にはキーウェイやプーリーなどの方法が使用されます。

GN歯切りやGE歯切りは歯車の歯切り形状の一つです。一般的に歯車との直接的な結合に使用されます。使用する減速機ギアに合わせて選定します。

リバーシブルモーターのその他情報

リバーシブルモーターの注意点

リバーシブルモーターは、時間定格が30分の場合が多いです。瞬時可逆特性向上を目的に起動トルクを大きくしているため、温度上昇が比較的大きい特徴があります。

運転サイクルによって温度上昇幅が異なり、定格30分より長く使用できる場合もあります。使用時に温度上昇が60℃を超えない範囲で使用することで、時間定格以上の時間使用できる場合があります。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/ac_motor02/

リジッドカップリング

リジッドカップリングとは

リジッドカップリングのイメージ図

図1. リジッドカップリングのイメージ図

リジッドカップリングとは、2つの軸を結合して回転を伝達する機械要素であるカップリング (軸継手) の1つです。

中間にゴムや樹脂、摺動部分をもたず剛体のみによって構成されます。リジットカップリングは2つの軸の芯ずれ (ミスアライメント) を許容する機能や振動吸収の機能は有していませんが、2軸間が剛体で接続されるために大きなトルクを伝達することが可能で、バックラッシもありません。

また、他のタイプのカップリングと比較して構成部品が少なく、低コストで入手できることも利点です。

リジッドカップリングの使用用途

リジッドカップリングは2つの軸を剛体のみで接続するため、回転方向のねじれ剛性が高く、他のカップリングに比べて小径化できるため本体の慣性モーメントも小さくできるのが特徴です。したがって、バックラッシをゼロとすることができ、サーボモーターステッピングモーターを使用した精密な位置制御に適しています。

その他、ミスアライメントや振動による不具合の心配がなく低コストで入手したい場合に有用です。以下に、リジットカップリングの主な使用用途を挙げます。

1. 工作機械のモータとスピンドルの結合

工作機械では大きなトルクが加わり、かつ振動を抑えるために高いねじり剛性が必要です。そこで、トルク伝達や位置合わせの高いリジットカップリングを使用してます。

2. 長い軸の接続

本来1本の軸で製作するところを、加工や組立、輸送の関係で軸を途中で切断しなければならない場合に再度接続する際、リジットカップリングを使用して堅牢かつ高精度に接続し、元の1本の軸と同様に使用できます。

3. 回転角度計測器 (エンコーダ)

正確な角度を計測するには、軸のねじれやバックラッシを極力小さくしなければなりません。そこで、正確な位置合わせのために、リジットカップリングを使用します。

リジッドカップリングの原理

リジッドカップリングの構造は非常にシンプルで、カップリング本体と軸との締結部のみで構成されています。カップリング本体材料は、アルミ合金や鋼材、ステンレスが使用されるのが一般的です。リジッドカップリングは構造上、回転方向にスキマが発生することがないため、バックラッシが発生しません。

したがって、高精度の位置制御を行う場合などの回転角度の正確な伝達が重要となる場合に使用されます。一方で、2つの軸間の芯ずれなどは許容できないため、据付時には正確に軸心を合わせる必要があります。軸心にずれがある場合や回転振れが大きい軸の結合にリジットカップリングを使用した場合、組立ができなかったり、駆動時に大きな振動や軸支持部に過剰な力がかかって機械を破損する可能性があることが欠点です。

2つの軸を接合する際に軸心の芯ずれなどを許容する必要があるときは、オルダム式やクロスジョイント式、ディスク式のカップリングが使用されます。

リジッドカップリングの種類

リジットカップリングの種類は、主に軸の固定方法による分類であり、以下に主な物を挙げます。

1. ねじ止め方式

セットスクリューによりねじで軸を押さえる方式です。キー溝と併用する場合もあります。

2. クランピング方式 (スリット方式)

クランピング方式

図2. クランピング方式 (スリット方式)

カップリングにスリット (切り込み) が設けられており、クランプボルトを締めつけ軸をカップリング全体で押し付ける方式です。

3. スプリット方式 (分割方式) 

スプリット方式

図3. スプリット方式

カップリングを半径方向で2分割し、2つの部材で軸を両側から固定・締結する方式です。2つの軸を芯出し後そのまま結合できます。

4. 摩擦方式

摩擦方式

図4. 摩擦方式

クサビ (テーパ) を利用して両端のナットを締め付け、軸を固定する方式です。ナットのねじは軸の回転で緩まないように、両端のねじはそれぞれねじれ方向が逆になっています。軸の回転方向によりカップリングの取り付け方向の選択が必要です。

参考文献
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/couplicon-about/

ホルムアルデヒド検知器

ホルムアルデヒド検知器とは

ホルムアルデヒド検知器のイメージ

図1. ホルムアルデヒド検知器のイメージ

ホルムアルデヒド検知器とは、室内におけるホルムアルデヒドの濃度を測定する装置です。

ホルムアルデヒドは、化学式CH2Oで表される有機化合物です。沸点は−19.5℃であり、常温では刺激臭を帯びた無色の気体です。ホルムアルデヒドは、眼刺激性があり (チカチカしたり涙が出る) 、鼻水、のどの渇き・痛みや咳などの症状の原因となり、シックハウス症候群を引き起こします。また、空気中の濃度や吸入量によっては人体に対して発がん性のリスクがあります。

シックハウス症候群の概要

図2. シックハウス症候群の概要

室内濃度は厚生労働省「室内空気中化学物質の室内濃度指針値」により100μ/m3 (0.08ppm) 以下と定められており、測定によって基準値以下の濃度を保つことが必要です。

ホルムアルデヒド検知器の使用用途

ホルムアルデヒド検知器は、法律で義務付けられた濃度の範囲内であるかを測定する際に使用されています。ホルムアルデヒドは、防腐剤、消毒剤、塗料、接着剤、脱臭剤、界面活性剤など身の回りの多くのものに使用されている物質です。

特に、ホルムアルデヒドを原料として合成される接着剤は木質材料の接着に優れており、住宅建材に用いられる合板に多く利用されています。「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」により、ビルなどの大型建築物については建物の延床面積3,000m2以上の場合には、ホルムアルデヒド濃度の測定が必要であると定められています。

また、職場においてホルムアルデヒドを製造または取り扱う場合は、安全衛生法および特定化学物質障害予防規則により作業環境測定結果の記録などが義務付けられています。

ホルムアルデヒド検知器の原理

ホルムアルデヒド検知器は室内のガスを捕集管に吸入し、ホルムアルデヒドの濃度を測定する装置です。使用されている原理は、主に定電位電解法または光電光度法です。

なお、ホルムアルデヒド検知器では、ホルムアルデヒドの他にアセトアルデヒドなどの妨害ガスやアルコール類などの影響を受け、実際よりも高い値が検出される可能性があります。あくまでも簡易的な測定として用いられており、厚生労働省は高速液体クロマトグラフによるホルムアルデヒド濃度の測定を標準としています。

1. 定電位電解法

電位が一定に保たれた作用電極と参照電極の間にホルムアルデヒドなどのガスが吸入されることで、作用極で電気分解が生じます。このときに発生する電流がガスの濃度に比例することを利用して、ガスの濃度を測定します。

2. 光電光度法

光電光度法のホルムアルデヒド検知器は、ホルムアルデヒドに触れると発色する試薬を染み込ませた試験紙と、色の変化を検知する光電変換部から成ります。ガス吸入前後での試験紙の発色強度の変化を読み取り、ガスの濃度を測定します。

ホルムアルデヒド検知器の種類

捕集管 (左)、短時間式の捕集器具(中)、長時間式の捕集器具 (右)

図3. 捕集管 (左)、短時間式の捕集器具(中)、長時間式の捕集器具 (右)

ホルムアルデヒド検知器は、用途に合わせて様々な種類があり、適切なものを選択することが必要です。測定試料となる気体の捕集方法も、気体採取器のハンドルを引いて捕集する短時間用のものや長時間の平均ガス濃度を測定するための長時間用のものなどがあります。

長時間用の検知管では、ガスの自然拡散を利用しており、一定内径のガラス管の中に拡散誘導体を検知剤と平行に挿入することにより、ガスが一定に拡散するように工夫されています。検出可能範囲は装置によって異なり、例えば、0.400ppm以下のものや1.00ppm以下のもの、10ppm以下のものなどがあります。有効数字も製品によって異なるため、必要とする精度に合わせたものを用いることが必要です。

参考文献
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei17/dl/17a.pdf
http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/katei/kijyun.html
https://www.rikenkeiki.co.jp/cms/riken/pdf/tech_info/Sensor7EC.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/59/10/59_10_885/_pdf

プリズムシート

プリズムシートとは

プリズムシートとは、光の屈折と反射を利用して光を特定の方向に集めたり分散させたりするためのシートです。

アクリルシートから作られており、表面に周期的な溝が掘られています。このような形状のシートに光を透過させると、一定の角度で光が屈折します。そのため光の角度を変えることが可能です。

また、溝が掘られていない側から指向性のある光を入射させると、プリズムシートを出る光は溝の形状に応じて様々な角度から放出されます。そのため、シートを透過させることで光を拡散させることも可能です。

プリズムシートの使用用途

プリズムシートは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 電子機器

プリズムシートは携帯やテレビのディスプレイで用いられます。プリズムシートがバックライトからの光を配向し、視野角を向上させたり、明るさを均一化したりするのに使用されます。これにより、ディスプレイでの視聴をさらに快適にすることが可能です。

2. 光学機器

カメラや望遠鏡などの光学機器では、プリズムシートが光の経路を制御します。例えば、プリズムシートを使用して光を屈折させ、焦点を調整することで、画像の明るさやシャープネスを向上させることが可能です。また、スペクトル分析などの用途では、プリズムシートが光を分散することで様々な波長の光を分離するのに使用されます。

3. 太陽パネル

太陽電池パネルにプリズムシートを使用することで、光をより効率的に集めることができます。光をパネル内に反射させ、吸収される光の量を増やすことが可能です。これにより、太陽電池の出力が向上し、より多くのエネルギーを生成できるようになります。

プリズムシートの原理

プリズムシートは薄いアクリルなどの材料から作られたシートです。表面には周期的に一定の深さ・形状の溝が掘られています。このような形状のプリズムシートに光を透過させることで光の屈折が起こる仕組みです。

プリズムの溝がある側から光を当てた場合は、一定の屈折角で光が透過します。一方でプリズムの溝が掘られておらず、平面になっている側から光を当てた場合は、溝がある側から様々な角度で光が抜けてきます。その結果、光は拡散された状態になります。

このようにプリズムシートに光を入れる向きによって透過光の挙動は大きく変わるため、使用するときはシートの向きを確認する必要があります。

なお、プリズムシートはアクリル製であることが多く、有機溶媒と接触すると膨潤・溶解してしまい、本来の機能を失います。また、シートをこすったり摩擦を加えたりすると、溝の形状が変わったり、傷による光の散乱が生じる可能性があります。シート表面を素手で触れると指の皮脂によって屈折挙動が変わる可能性もあるため注意が必要です。

プリズムシートの選び方

プリズムシートを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが必要です。

1. 材質

プリズムシートの材質は性能や使用用途に大きな影響を与えます。一般的な材質にはアクリルやポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートなどがあります。耐久性や光の透過性、耐熱性、柔軟性などの要件に合わせて選択する必要があります。

2. 回折パターン

プリズムシートには様々な回折パターンがあります。回折パターンは、プリズムシートが光をどのように処理するかを決定する重要な要素です。パターンによって透過・屈折具合が異なるため、サンプルなどを確認して商品を選定する必要があります。

3. サイズ

プリズムシートのサイズは使用するデバイスや用途に合わせて選択することが重要です。サイズが小さいプリズムシートは、携帯電話やカメラなどの小型デバイスに適しています。また、大きなプリズムシートは太陽電池パネルや大型ディスプレイなどの広範な用途に使用されます。

プリズムシートのその他情報

プリズムシートを用いた写真撮影

プリズムシートは光源から射出された光の角度を変えたり、光を拡散させる効果があります。このシートは写真撮影に活用されることもあります。夜間、街中でポートレート撮影を行う場合などに有効です。

上記のような場合、街灯に照らされた被写体を綺麗に映し出しことは大切ですが、少し遊びごころを加えてカメラ手前にプリズムシートを配置してみます。すると、虹のようなスペクトルが被写体と重なって、幻想的な写真を撮影することが可能です。手軽に特殊な写真を写すことができ、非常に便利です。

参考文献
http://www.koyo-opt.jp/filename85.html
https://kurashinista.jp/articles/detail/58199

フレネルレンズ

フレネルレンズとは

フレネルレンズ

フレネルレンズとは通常の球面・非球面レンズとは異なり、片面に同心円状の溝がいくつも刻み込まれた平らなレンズです。

フレネルレンズの横断面はの歯のような形状をしています。通常のレンズに比べ、軽量化やレンズの厚さを減らすことが可能でコストカットにもつながります。なおフレネルレンズという名前はこのレンズを灯台に用いた、1800年代のフランスの物理学者オーギュスタン・ジャン・フレネルに由来するものです。

フレネルレンズの使用用途

フレネルレンズは軽量化できるという利点から、大きなレンズが必要な場合によく用いられてきました。例えば灯台や投光器には非常に大きなレンズが必要になりますが、通常のレンズでは厚さや重さが膨大になってしまいます。そこで発明された頃にはフレネルレンズが用いられていました。現在でも類似の使用例に信号機のレンズ、スポットライトなどもあります。

私たちの日常生活での使用例は、カメラのストロボ用照明レンズや、一眼・二眼レフレックスカメラのファインダーのフィールドレンズ、プロジェクター用高輝度スクリーン、LED照明などです。さらにはルーペや虫眼鏡といった、比較的簡素な拡大鏡のレンズとしても使用されています。

フレネルレンズの原理

フレネルレンズの原理は、一般的なレンズと同様に光の屈折を利用したものです。光の屈折はレンズの表面で生じます。単純な凸形状のレンズで大きな直径のレンズを作ろうとすると、レンズの中心部に向かうにつれて厚くならざるをえません。

フレネルレンズは、レンズの厚みになる部分を取り除いたものです。凸形状になっている面の表面付近だけを取り出し、厚みになっている部分は取り除き、凸形状とは反対側の平面部分側に集めています。厚み部分を取り除くために、複数の同心円状の溝で区切っているのです。中心部分は多くの厚みを取り除き、周辺部分に向かうほど取り除く部分を減らすことによって、一枚の板の片側に鋸形状を設けたような断面のレンズに仕上げています。

このような原理から同心円状の溝の間隔を狭く(溝の密度を高く) すると画質が向上し、逆に溝の感覚を広く(密度を低く) すると集光効率性が向上するという性質を持っています。

フレネルレンズのその他情報

1. 短所と長所

先述の通りフレネルレンズを用いることで薄型化や軽量化が可能になります。ただし、結像性能はシングレットレンズに劣ります。これはフレネルレンズ表面に彫られた溝そのものが観測されてしまうことに加えて、回折の影響が生じてしまうことに起因しています。

フレネルレンズは屈折現象を利用していますが、溝によって回折が生じることによって、近接領域の光が漏れ出して像がぼやけてしまうことがあります。

このデメリットにより、結像レンズとして性能が要求される場合には、あまり積極的に採用されません。なおレンズにおいて回折現象が全て悪いわけではありません。積極的に回折現象を利用した回折レンズと呼ばれるものも存在します。

また類似するものとして回折レンズは構造が良く似ており混同されがちですが、物理現象が異なっている点には注意が必要です。

2. 材質

材質ではほとんどはガラスや樹脂 (アクリルポリスチレン・ポリカーボネイト) などが一般的です。アクリル製の場合可視光線や紫外線域に対して透過率が高いので幅広く用いられているのに対し、ポリカーボネイト製のものは高い耐衝撃性・耐熱性によりもっと過酷な環境下において使われています。

3. 照明用レンズ

フレネルレンズは様々な分野に用いられており、代表的なものとしてLED照明などが挙げられます。近年では太陽光パネルの集光用レンズとしても用いられており、それ以外にもプロジェクタ用スクリーン、光学センサーなどにも応用されています。

照明用としてフレネルレンズを用いる場合、多くの場合は焦点距離位置に光源を配置し、平行光を出射する目的で使用されることが多いです。舞台や野外フェスティバルに使われている照明に採用されている場合も多く、特定のエリアをやわらかく照明したい場合に適しています。

また、フレネルレンズと似た照明用レンズとして、リニアフレネルレンズがあります。フレネルレンズは球面の一部を同心円状に配置したものであるのに対し、リニアフレネルレンズはシリンドリカルレンズを平面に配置したものです。 一方向への集光や拡散といった用途に適しており、線状の光源が必要な場合に用いられます。

参考文献
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/application-notes/optics/advantages-of-fresnel-lenses/
https://ultraprecision-nanomachining-center.com/column/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E5%8E%9F%E7%90%86%E3%81%8B%E3%82%89%E7%94%A8%E9%80%94%E3%80%81%E8%A3%BD%E9%80%A0%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%BE
https://ultraprecision-nanomachining-center.com/column
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/application-notes/optics/advantages-of-fresnel-lenses/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221006345070/?HissuCode=CF300
http://www5f.biglobe.ne.jp/~kztanaka/doe.html

ドリルチャック

ドリルチャックとは

ドリルチャック

ドリルチャックとは、電動ドリルや旋盤などの工作機械で使用さる工具のことです。

回転工具を固定するためのチャックで、工具を機械側に固定し正確な作業を行うために必要不可欠なものです。

種類はキー付きドリルチャックとキーレスドリルチャックの2種類です。キー付きドリルチャックはチャックキーと呼ばれるハンドルを接続して回し、工具を固定します。一方、キーレスドリルチャックは、回転スリーブを回すことで工具を固定することが可能です。

ドリルチャックは、切削工具の太さに合わせてサイズを選ぶ必要があります。また、チャック自体の取り付けも重要であり、正確に取り付けることで工具の振動を抑え、正確な加工の実現が可能です。

ドリルチャックの使用用途

ドリルチャックは、ドリルやドライバーなどの工具を固定するために使用されます。電動ドリルや電動ドライバーなどの小型機械から旋盤やフライス盤などの比較的大型の加工機械の回転部に据え付けられています。

工作機械は加工する穴径やねじのサイズによって使用する工具が異なるため、加工手順ごとに工具を交換することが必要です。ドリルチャックを使用することで工具の着脱・交換を容易に行えるため、作業性が向上します。

また、ドリルチャックは様々な素材や形状の切削工具を固定することが可能です。木材や金属など多種多様な材料に対応した機種が市場に出回っています。DIYや家庭内での修理作業から、工場や建設現場などでも使用され、建設現場では、構造物を建設する際に必要な穴あけや接合作業などには必要不可欠です。

ドリルチャックの原理

ドリルチャックは工具を固定するための爪、爪ガイド、送りねじで構成されています。この仕組みによって、工具を3点で固定が可能です。

常に軸の中心が一致するように設計されており、キー付きの場合はハンドルを用いてキーレスの場合は手動でドリルチャックのホルダーを回転させることで、爪が押し出され幅が狭まり、工具をチャックします。一般的に爪の間隔は1mm程度から6mm以上まで広がるため、様々な外径の工具を固定することが可能です。

しかし、工具外径との接触面積が3個の爪の先端部のみであるため、工具の強度によっては工具表面が変形する可能性があります。そのため、コレットチャックが使用されることがあります。

コレットチャックは工具を外周のほぼ全面で固定できるため、数マイクロメートル程度の精密な加工や位置出しを正確に行いたい場合に適した工具です。ただし、コレットチャックを使用する場合には、工具の外径毎にチャックを用意することが必要です。

ドリルチャックの種類

ドリルチャックには、キーチャック、キーレスチャック、SDSチャック、コレットチャックの4種類があります。

1. キーチャック

キーチャックは、ドリルチャックをキーと呼ばれる専用の工具で締め付けるタイプのチャックです。キーを使って締め付けるため、強い力で工具を締め付けられ、大径の工具を締め付ける際にも適しています。ただし、キーを紛失するとチャックを締め付けられなくなるため、管理が重要です。

2. キーレスチャック

キーレスチャックは、キーが不要で、手で締め付けられるチャックです。手で締め付けるため、締め付け力が弱く、小径の工具や柔らかい材料の加工に適しています。また、締め付け時に振動が少ないため、精密な加工に適しています。

3. SDSチャック

SDSチャックは、ハンマードリルに使用されることが多く、振動が多い作業でも工具が抜けにくい構造になっています。締め付け方もキーレスチャックと同じく手で締め付けでき、工具交換が簡単なため、作業効率の向上につながります。

4. コレットチャック

コレットチャックは、ドリルチャックと同様に工具を固定できますが、ドリルチャックと異なり、工具を外周のほぼ全面で固定できます。そのため、工具の強度による変形を抑えられ、数マイクロメートル程度の精密な加工に適しています。

参考文献
https://www.muraki-ltd.co.jp/tool/products/tooling/drillchuck.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/427/