ホルムアルデヒド検知器

ホルムアルデヒド検知器とは

ホルムアルデヒド検知器のイメージ

図1. ホルムアルデヒド検知器のイメージ

ホルムアルデヒド検知器とは、室内におけるホルムアルデヒドの濃度を測定する装置です。

ホルムアルデヒドは、化学式CH2Oで表される有機化合物です。沸点は−19.5℃であり、常温では刺激臭を帯びた無色の気体です。ホルムアルデヒドは、眼刺激性があり (チカチカしたり涙が出る) 、鼻水、のどの渇き・痛みや咳などの症状の原因となり、シックハウス症候群を引き起こします。また、空気中の濃度や吸入量によっては人体に対して発がん性のリスクがあります。

シックハウス症候群の概要

図2. シックハウス症候群の概要

室内濃度は厚生労働省「室内空気中化学物質の室内濃度指針値」により100μ/m3 (0.08ppm) 以下と定められており、測定によって基準値以下の濃度を保つことが必要です。

ホルムアルデヒド検知器の使用用途

ホルムアルデヒド検知器は、法律で義務付けられた濃度の範囲内であるかを測定する際に使用されています。ホルムアルデヒドは、防腐剤、消毒剤、塗料、接着剤、脱臭剤、界面活性剤など身の回りの多くのものに使用されている物質です。

特に、ホルムアルデヒドを原料として合成される接着剤は木質材料の接着に優れており、住宅建材に用いられる合板に多く利用されています。「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」により、ビルなどの大型建築物については建物の延床面積3,000m2以上の場合には、ホルムアルデヒド濃度の測定が必要であると定められています。

また、職場においてホルムアルデヒドを製造または取り扱う場合は、安全衛生法および特定化学物質障害予防規則により作業環境測定結果の記録などが義務付けられています。

ホルムアルデヒド検知器の原理

ホルムアルデヒド検知器は室内のガスを捕集管に吸入し、ホルムアルデヒドの濃度を測定する装置です。使用されている原理は、主に定電位電解法または光電光度法です。

なお、ホルムアルデヒド検知器では、ホルムアルデヒドの他にアセトアルデヒドなどの妨害ガスやアルコール類などの影響を受け、実際よりも高い値が検出される可能性があります。あくまでも簡易的な測定として用いられており、厚生労働省は高速液体クロマトグラフによるホルムアルデヒド濃度の測定を標準としています。

1. 定電位電解法

電位が一定に保たれた作用電極と参照電極の間にホルムアルデヒドなどのガスが吸入されることで、作用極で電気分解が生じます。このときに発生する電流がガスの濃度に比例することを利用して、ガスの濃度を測定します。

2. 光電光度法

光電光度法のホルムアルデヒド検知器は、ホルムアルデヒドに触れると発色する試薬を染み込ませた試験紙と、色の変化を検知する光電変換部から成ります。ガス吸入前後での試験紙の発色強度の変化を読み取り、ガスの濃度を測定します。

ホルムアルデヒド検知器の種類

捕集管 (左)、短時間式の捕集器具(中)、長時間式の捕集器具 (右)

図3. 捕集管 (左)、短時間式の捕集器具(中)、長時間式の捕集器具 (右)

ホルムアルデヒド検知器は、用途に合わせて様々な種類があり、適切なものを選択することが必要です。測定試料となる気体の捕集方法も、気体採取器のハンドルを引いて捕集する短時間用のものや長時間の平均ガス濃度を測定するための長時間用のものなどがあります。

長時間用の検知管では、ガスの自然拡散を利用しており、一定内径のガラス管の中に拡散誘導体を検知剤と平行に挿入することにより、ガスが一定に拡散するように工夫されています。検出可能範囲は装置によって異なり、例えば、0.400ppm以下のものや1.00ppm以下のもの、10ppm以下のものなどがあります。有効数字も製品によって異なるため、必要とする精度に合わせたものを用いることが必要です。

参考文献
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei17/dl/17a.pdf
http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/katei/kijyun.html
https://www.rikenkeiki.co.jp/cms/riken/pdf/tech_info/Sensor7EC.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/59/10/59_10_885/_pdf

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