金型洗浄機

金型洗浄機とは

金型洗浄機とは、金型の汚れを取り除くための洗浄機です。

金型の汚れについては、従来は拭き取りによる除去が行われてきました。金型加工技術が発展したことで年々金型の形状が複雑になっていく傾向があり、拭き取り作業による洗浄の実施が難しくなってきています。そのため洗浄機による洗浄の普及が拡大しています。

金型洗浄機は、超音波による洗浄方式を採用したものが主流です。超音波以外には電気分解やレーザー、ドライアイスを利用した洗浄方式もあります。

金型洗浄機の使用用途

金型洗浄機の使用例として、プラスチック製品の金型洗浄などが挙げられます。

プラスチック製品の製造において、射出成形は主要な製法です。射出成形はプラスチックを溶かして金型に流し込み、製品の形に成形する方法です。

プラスチックを溶かす際に原料や添加剤が気化しており、これが金型に残留して金型が汚れることがあります。この汚れを放置すると製品の外観が損なわれたり、金型自体の開閉に支障が出たりするといった問題につながるため、金型洗浄機による洗浄が行われています。

金型洗浄機の原理

金型洗浄機では、超音波による洗浄方式が主に採用されています。超音波洗浄を行う際には、溶剤など洗浄用の薬品を併用するのが一般的です。

超音波洗浄は、キャビテーションとよばれる現象を利用した洗浄方式です。液体の中には、気体分子が数多く含まれており、洗浄液に対して20kHzから100kHz程度の超音波を照射すると、この気体分子に正の圧力と負の圧力が交互にかかります。

正の圧力がかかると気体分子は圧縮され、反対に負の圧力がかかると膨張します。膨張した気体分子が正の圧力によって圧縮されると、気体分子の泡が弾けて衝撃が発生するのです。このような現象をキャビテーションといい、この時生じた衝撃の力を利用すると、物理的に汚れを剥がすことができます。

キャビテーション現象の際に発生する衝撃の強さは、照射した超音波の周波数に依存します。周波数が低くなるにつれて衝撃は強くなっていますが、その分洗浄対象のものに負荷がかかるのです。落ちにくい汚れや衝撃に耐性がある洗浄対象であれば28kHzなどの低周波を使用し、そうでないものに対しては40kHzなど周波数が比較的高いものを用います。

金型洗浄機の選び方

広く使用されている超音波洗浄機を例にして金型洗浄機の選び方をご紹介します。

超音波洗浄機を使用して洗浄する際には超音波の周波数を選定する必要があります。周波数が低いと大きな汚れは落ちやすいですが、緻密な金属部品や電子部品を洗浄すると破損してしまう可能性があります。材料や製品にダメージを与えず、汚れも十分に落ちる適切な周波数が出力できる洗浄機を選定することが大切です。 例として、28 kHz程度で目に見える頑固な汚れを効率的に落とせます。40 kHz程度が精密な部品の洗浄に用いられ、基盤などの電子的な精密部品を洗浄する際には更に高い周波数が用いられます。

金型洗浄機の形状としてはセパレート型や一体型などがあります。セパレート型は振動を発生させる発振器振動子を設備に取り付ける形で、大型の金型洗浄に用いられます。洗浄したいものが小型であれば、卓上で簡便に利用可能な一体型が使用されます。

金型洗浄機のその他情報

金型洗浄液

金属を洗浄するための液体は、洗浄したいものの材質や汚れの種類によって決定します。材料の種類は金属、ガラス、プラスチックなどに分けられます。汚れは、一般的な油やホコリに加えて、研磨剤などの微粒子も含まれます。 洗浄液は下記のように水系と非水系(炭化水素系、溶剤系)に大きく分けられます。

1. 水系
主成分は界面活性剤で、安価かつ安全で幅広い汚れに対応できる洗浄液です。汚れの種類によってアルカリ性、中性、酸性の溶液を使い分けます。排水の処理が必要であったり、強い汚れには対応できない、洗浄後の乾燥に時間がかかるなどの欠点があります。

2. 炭化水素系
炭素と水素の化合物を含む洗浄液です。化合物の炭素数や構造によって種類が分けられ、イソパラフィン系やノルマパラフィン系などがあります。油分に対する洗浄力が強く再生利用も可能な洗浄液です。可燃性の危険物であるため消防法に準じた厳密な管理が必要になります。

3. 溶剤系
種類としてはフッ素系、臭素系、アルコール系などがあります。強力な洗浄力を保持していますが環境に対する負荷も大きいため、規制や削減の動きが強くなっています。

参考文献
http://www.nalex.co.jp/technology/tech-cleaner/about-aes/
https://www.honda-el.co.jp/industry/cleaner_genri.html
http://www.dryice-chikuho.co.jp/dryice
https://www.honda-el.co.jp/industry/solution.html
https://www.honmasangyou.co.jp/activities/difference.html
https://www.honda-el.co.jp/industry/cleaner_selection.html

脱気装置

脱気装置とは

脱気装置とは、水に含まれる気体を除去する装置です。

通常、水の中には大気に由来する酸素や二酸化炭素が混入しています。このような気体が水に含まれると、飲料水の味や色が変化したり、化学反応の妨げになったり、配管の錆につながったりします。

脱気装置のサイズはさまざまで、工場で製造や冷媒として用いる大型の脱気装置や、実験室で用いる小型の脱気装置があります。

脱気装置の使用用途

脱気装置は水中の酸素、二酸化炭素を除去する装置であるため、水を取り扱うさまざまな業界で使用されます。例えば、飲料や食品などの業界では水中の溶存酸素が製品の色や味に直接影響するため、使用する水は脱気処理されています。

また、高温の水やスチームを移送する配管も溶存酸素がサビの原因となるため、これらの配管に入れる水も脱気処理される場合が多いです。その他、研究開発においても小型の脱気装置が用いられます。

例えば化学反応に用いる水の脱気処理に用いられたり、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) などの分析装置に使用する水の脱気処理にも用いられます。特に、HPLCのようなポンプで水を流し続ける装置では、気泡が混入するとポンプの脈動などを引き起こすため脱気処理は必須です。

脱気装置の原理

脱気処理の原理には、液体に溶ける気体の含有量は気体側の圧力に比例するという法則があります。そのため、液体と気体が接している場合気体側の圧力を下げると、液体に溶けている気体の量が減少します。極端に言うと、真空状態にすれば液体に溶ける気体の量は0になるということです。

また、液体と気体が接する面が広ければ広いほど、脱気処理の効率が良くなります。単純に装置の口径を大きくすれば、液体と気体が接する面が増えるため脱気処理の能力は向上しますが、装置自体が大きくなりコストもかかります。

その対策として、中空糸を用いるのが効果的です。液体と気体の接する面を大きく広げらるため、装置の大きさに対して効率よく脱気することが可能になります。なお、脱気装置の脱気方法は2つあります。1つは、タンク方式でタンク内を減圧することで液体中の気体を除去する方法です。

タンクの大きさに比例して、脱気処理が変化します。もう1つは、真空脱気塔方式で粒子状に噴射した液体に減圧することで脱気する方法です。液体が微粒子状となるためタンク方式と比べ、液体と気体の接する面が飛躍的に増え、より脱気処理が向上します。しかし、真空脱気塔方式は、導入コストが高く装置が大型になります。

脱気装置の特徴

大気の酸素、二酸化炭素は微量ですが水に溶解します。溶解する量は微量なので少量の水を使用する上では問題はありませんが、工場など大量に水を使用する場所においては溶存酸素、二酸化炭素が予期せぬトラブルを引き起こす可能性があります。例えば酸素は金属を酸化させるため配管のサビの元になります。また、食品や飲料業界では、溶存酸素による酸化によって製品の色、味が変化する恐れがあります。

脱気装置はこのような溶存酸素、二酸化炭素を除去する装置です。脱気装置には真空ポンプと脱気膜が取り付けられており、水は脱気膜に覆われた流路を流れます。流路はポンプによって減圧されているので、流路を通るときに溶存酸素のような小さな分子だけ膜を通り抜けていきます。その結果、通液させた水から気体が除去される仕組みです。

なお、脱気装置は有機溶媒など水以外の液体の脱気を行うことも可能です。ただし、膜を膨潤させたり溶解させたりしないために、通液する溶媒に対する膜の耐久性を確認する必要があります。また、混合溶液の場合は減圧下のラインを通ることによって溶液組成の変化がないか、確認が必要です。

参考文献
https://www.miuraz.co.jp/product/water/dakki.html
https://www.gea.com/ja/products/liquid-processing/deaerator/index.jsp
https://www.nikuni.co.jp/equip/vacuum/deo-vac.html

耐水研磨紙

耐水研磨紙とは

耐水研磨紙とは、塗装面を滑らかで美しい仕上がりにするために使用される特殊な紙のことです。

水に濡らしながら表面の汚れやサビを取り除き、傷をぼかし、密着性を向上させます。また、ツヤ消し効果もあり、仕上がりをより美的で機能的にすることが可能です。

研磨紙には粒度120から3,000までの多様な種類があります。適切な研磨紙を選ぶ際には、研磨する面の状況や研磨力、耐久性、強度、使いやすさなどを考慮することが重要です。耐水研磨紙を使用することで、優れた仕上がりを得られます。塗装面は美麗で機能的な仕上がりとなり、さまざまな用途で利用できるようになります。

耐水研磨紙の使用用途

耐水研磨紙は、まず金属研磨に活用されます。時計ケースや金属製品の仕上げに使われることが多く、美しい仕上がりが求められる場面で重宝されています。また、車両塗装面の研磨やキズ補修、砲弾マフラーのステンレス磨きにも用いられている点が特徴です。

また、木工分野でも利用されています。生地研磨や楽器製作に欠かせない道具として重要な役割を果たしています。さらに、塗装前のサフェーサーの研ぎや塗面研磨にも利用されています。

樹脂製品の汚れ落としにも役立ち、金属素地の荒磨きや製品の凸凹をなくすためにも使用可能です。また、鏡面仕上げの下処理や燃料タンクの塗装研磨にも適しています。

そのほか、陶器の手垢除去やステンレス製品の汚れ磨きにも耐水研磨紙が使われることがあります。洗面周りやトイレの掃除にも有用です。

耐水研磨紙の原理

耐水研磨紙は、通常の研磨紙とは異なり、水に濡らして使用できる点が特徴です。耐水研磨紙は、研磨粒子が一定の間隔で均一に配置された特殊な紙や布をベースにしています。研磨粒子は、酸化アルミニウムや炭化ケイ素、ダイヤモンドなどの硬質素材でできており、研磨対象の表面を削り取ることで磨き効果を発揮します。

耐水研磨紙が水に濡らして使えるのは、樹脂やゴムなどの耐水性の高い接着剤が用いられているためです。水を加えることで、研磨時に発生する粉塵や摩耗粒子を除去し、研磨面が常に新しい状態が保たれます。

また、水を使うことで、研磨時に発生する熱を冷却し、摩擦による表面の損傷を最小限に抑えることが可能です。これは耐水研磨紙が美しい仕上がりを生み出す理由となっています。

さらに、耐水研磨紙は、研磨粒子の種類や粒度が異なるものが多数用意されているため、用途や研磨対象の素材に応じて最適なものを選ぶことが可能です。適切な粒度の選択により、効率的な研磨作業が可能となります。

耐水研磨紙の特徴

耐水研磨紙は、基材になる紙の表面に天然または人造の研磨材が均一に接着剤で固着された構造をしています。炭化珪素や溶融アルミナなど人造研磨材は、均一な研磨紙が作れる点がメリットです。

硬く、かけやすい性質を持った黒色の炭化珪素は、最も広く利用されている研磨材の1つです。研磨紙に使用される紙は和紙、クラフト紙、ラテックス処理紙などがあります。和紙研磨紙は弱いですが、柔軟性に優れているため曲面の研磨に便利です。

ラテックス処理紙は耐水研磨紙の標準タイプによく使われるもので、金属、木材、樹脂、石材など多種多様です。接着剤は耐水性や耐熱性に優れ、強力な接着力を持つフェノール樹脂、エポキシ樹脂のようなレジンが使われています。

短時間の研磨能力を意味する研磨力が高いと仕上げ面は粗くなり、仕上げ面を良くすると研磨力が低下します。研磨力と仕上げ面の粗さ、どちらを重視する作業なのか使用用途に合わせて選ぶことが重要です。

耐水研磨紙のその他情報

1. 耐水研磨紙の番手

研磨紙、研磨布の裏面には 必ず番手番号が記載されています。番号は研磨紙、研磨布に塗布されている砥粒のサイズを表しており、粗さの規格です。

日本国内ではJIS R6010によって塗布される砥粒のサイズが決められています。現在のJIS規格では数字の前にPが記されます。#が記載されている物は旧JIS規格のものです。

砥粒のサイズは、粒の大きさの上限下限の範囲が指定されており 「粒度」と呼ばれます。 数字が小さいほど砥粒が大きくて荒く、数字が大きくなるほど砥粒が小さくなり、仕上げ向きとなります。これらが研磨加工の表面の仕上がりである面精度を決める要素です。

番手は大雑把に粗目、中目、細目などと呼ばれますが、その呼び名には特に規定は無く、どのくらいの番手のものを使えば、どの程度の仕上がりになるか、またどのように使い分けるかは経験によって得られるものです。

2. 耐水研磨紙の成分

研磨紙は 紙材、接着剤、砥粒、の3つで構成されています。

紙材
基材となる紙材には、クラフト紙、ラテックス処理紙、和紙などが有り、記号AW、CW、DW、EWと記され、AWが柔らかく曲面などに向き、EWが硬い紙基材でベルトサンダーなどの機械に取り付ける用途に向いているでしょう。

砥粒
砥粒は天然素材と人工素材があります。天然の研磨材は特性・形状等が均一では無く、近年では研磨布紙の多くは人工の研磨材が使われています。記号G (ガーネット) 、炭化ケイ素 (CC) 、溶解アルミナ (AA、AW) などで表されます。

砥粒にダイヤモンドが使われているものもありますが、これはダイヤモンドシート等の名称で使用され、いわゆる研磨紙とは別のカテゴリです。

接着剤
接着剤は、天然系の接着剤 (グルー・ニカワ・ゼラチン等) と合成樹脂の接着剤 (フェノール樹脂・エポキシ樹脂等) がありますが、研磨力、仕上げ面の粗さ、目詰まり、などが異なります。記号G (にかわ) 、R (レジン)、W (耐水レジン) で区別されます。

参考文献
https://www.noritake.co.jp/nca/industry/ncasubs/detail/11/

耐摩耗ゴム

耐摩耗ゴムとは

耐摩耗ゴムとは、摩擦や磨耗に対して高い耐性を持つゴム材料です。

摩擦や擦り減りによる磨耗が生じる環境や応用用途において使用されます。摩耗に対する高い耐性を持っているため、長期間にわたって使用することが可能です。これによって交換やメンテナンスの頻度が減り、コストの節約につながります。

また、激しい摩擦や過酷な環境下でも性能を維持し、劣化が少ないです。ただし、耐久性には優れていますが、特定の環境条件によっては劣化や効果の低下が生じる可能性があります。

化学物質や極端な温度などにさらされる場合には、適切な材料選択と適切な保護が必要です。油との長期的な接触によっても性能が劣化する可能性があるため、注意が必要です。

耐摩耗ゴムの使用用途

耐摩耗ゴムは、さまざまな用途で使用されます。以下は代表的な使用用途です。

1. 乗り物

耐摩耗ゴムは自動車産業において広く使用されます。特にタイヤは耐摩耗ゴムの1種であり、道路との摩擦に耐えながら長時間の使用が可能です。また、エンジンマウントやブレーキパッドなど、さまざまな機械部品にも使用されます。

また、鉄道車両や鉄道設備にも耐摩耗ゴムが使用されます。ゴムの電気絶縁性が高い特徴から、レールの絶縁材や緩衝材などにも最適です。鉄道車両やレールを、振動や摩擦から保護します。

その他、ジェットコースターのタイヤなどにも使用されることが多いです。

2. 鉱業・建設業

鉱業や建設業においては、耐摩耗ゴムは重要な材料です。コンベアベルトやシュートライナーなどの装置に使用されます。

鉱業においては鉱石の運搬に使用され、建設現場では土砂の運搬に使用されることが多いです。鉱石や建設資材の運搬に耐える耐久性を有するため、搬送設備などに広く使用されます。

3. 産業機械

産業機械や機械部品においても、耐摩耗ゴムは使用される画面は多いです。耐摩耗ゴムはガスケットなどの長期間使用し続ける部品や、ロボットハンドの爪など金属などの硬い物質に接触する回数が多い部品などにも用いられます。潤滑や摩擦を制御しつつ耐久性を向上させます。

耐摩耗ゴムの原理

耐摩耗ゴムは、一般的に摩擦や擦り減りに対して高い耐性を持つ特殊なゴム材料です。ゴムは弾性を持つため、外部の力や摩擦によって変形し、その後元の形状に戻ることができます。この弾性が、摩耗に対する耐性を提供します。

ただし、耐摩耗ゴムには耐摩耗剤と呼ばれる物質が添加されます。耐摩耗剤は摩擦に対して効果的な物性を付与する材料で、炭素ブラックがその一例です。炭素ブラックはゴムの強度と耐摩耗性を向上させるだけでなく、摩擦や磨耗の軽減にも役立ちます。

耐摩耗ゴムの配合は、耐摩耗性を最大化するために最適化されます。ゴム材料や耐摩耗剤の種類、添加量、配合比率などが調整されていることが多いです。また、製造プロセスもゴムの特性を最大限に引き出すために最適化されます。

基材はさまざまであり、スチレンブタジエンゴム製やウレタンゴム製などが販売されています。基本的な物性や特徴は通常のゴムと同様で、耐摩耗ゴムは機械的な強度に優れています。また、他のゴム製品と同様に、加工成形は容易です。

耐摩耗ゴムの選び方

耐摩耗ゴムを選ぶ際は、用途、耐摩耗性、応力などを考慮して選定します。

1. 使用用途

まず、使用する用途の要件を明確に把握する必要があります。摩耗の程度、作業環境、温度、圧力などの要素を考慮し、適切な耐摩耗ゴムの特性を選ぶことが重要です。

2. 摩擦耗性能

耐摩耗ゴムの耐摩耗性能は異なる場合があります。耐摩耗ゴムの種類やグレードによって性能が異なるため、耐摩耗性の要件に合わせて適切なゴム材料を選定することが必要です。

3. 応力に対する耐性

応力に対するゴム材料の耐性も考慮する必要があります。耐摩耗ゴムの耐久性は、適切な応力や荷重の範囲内で最大化されます。最適な応力を有する製品を選定することで、耐摩耗ゴムを長寿命化させることが可能です。

参考文献
https://gomu.jp/items/search?genre=193
https://gomusuke.com/products/detail/1702
http://www.urethane.co.jp/vulkollan/
http://www.maedauni.co.jp/products/p749/

絶縁コーティング剤

絶縁コーティング剤とは

絶縁コーティング剤とは、コーティング加工により絶縁性の皮膜を生成できる製品です。

ポリイミド系、エポキシ樹脂系など、含有する成分にはさまざまな種類があります。コーティング対象の物体に絶縁コーティング剤を用いると、表面に絶縁性の高い膜が生成されます。

この絶縁性の膜によって物体から電気が漏れにくくなるため、漏電による感電事故の防止などに有効です。絶縁コーティング剤の塗装方式としては、スプレーやディップなど一般的な方式以外に、膜厚の均一に優れた静電塗装法や電着塗装法なども普及しています。

絶縁コーティング剤の使用用途

絶縁コーティング剤は、主に自動車や家電製品など、高電圧がかかる製品の部品の絶縁処理に用いられます。絶縁コーティング剤を用いてコーティングすると、電圧に対する耐性を高めることが可能です。

例えば、電気自動車やハイブリッド車は動力として電気を利用しているため、バッテリーやモーターなどの周辺部品に高い電圧耐性が要求されます。電圧に対する耐性が不十分だと漏電が生じる可能性があり、場合によっては火災などの事故の原因となります。事故防止の観点からも、絶縁コーティングは重要な加工です。

絶縁コーティング剤の原理

絶縁コーティング剤は、絶縁性の高い絶縁体を対象物の表面にコーティングする製品です。絶縁体は電気を通さない物質であるため、耐電圧性が要求される対象物に使用できます。物体における電子のエネルギー準位には、価電子帯と禁制帯、そして伝導帯の3つが存在します。

この3つの中では、価電子帯、禁制帯、伝導帯の順に高いエネルギー準位です。一般に電子は、エネルギーが低い価電子帯からつまる性質があります。導電性に大きく影響するのは、エネルギーが高い伝導帯の電子です。金属などの導電体では、一部の電子が伝導帯に存在しています。この伝導帯の電子が自由に動くことによって、電気が通る状態となります。

一方で、絶縁体では、価電子帯に電子が存在しますが、伝導帯には存在しません。電子は光や熱のエネルギーを用いて、低いエネルギー準位から高い準位に励起することが可能です。

絶縁体は価電子帯から伝導帯まで電子を励起するために、多大なエネルギーを必要とする性質を持っています。このため、実質的に電子を伝導帯に励起することが難しく、電気が通らない状態となります。

絶縁コーティング剤のその他情報

1. プリント基板への絶縁コーティング剤の適用

プリント基板において、耐久年数よりも早期に故障の原因となるのが錆です。対策として、防湿絶縁コーティング剤が使用されています。これにより長期間の使用が可能で、安定稼働を実現しました。しかしながら、高い需要があるにも関わらず、様々な要因から安定した生産ができなくなりました。

最も大きい課題は乾燥時間の長さです。防湿絶縁コーティング剤の乾燥時間は24時間とされており、大量生産に適したコーティング剤ではありません。生産性の悪さが需要にマッチしていない状況となりました。その対策として、加熱温度を高める事により乾燥時間の短縮を狙いましたが、設備の増設やランニングコストの増加といった別の課題が生まれました。製品自体への負担も大きい結果となり、実現化には至りませんでした。

その課題を解決し、安定した量産を実現したのがフッ素系コーティング剤です。高い速乾性能を誇り、15分で完全乾燥に至ります。従来の24時間に比べ、大幅な乾燥速度の短縮が可能となり、生産効率の向上が達成されました。

従来より低温かつ低膜厚で性能を発揮できる事から、ランニングコストの削減も見込めます。肝心な皮膜性能も、防湿絶縁性はもちろん柔軟性や防水性、耐熱性で問題の無いスペックとなります。

2. 絶縁コーティング剤の将来性

電気自動車の普及が進む中、その部品形状は複雑化の一途を辿っており、より均一にコーティングできる技術が求められています。電着塗装法においては、コーティング液の組成変更での改善が進められています。

積算電流計

積算電流計とは

積算電流計とは、電流の時間的な積算値を計測する装置です。

積算電力計とも呼ばれ、使用された電力や発電量などを調べる際に用いられます。一般家庭にも必ず設置されている機械で、消費した電力を計算して毎月の電気料金を算出しています。電力に比例したトルクを発生させ円盤を回転させることで、回転数を積算電流値として算出しています。しかし、近年では円盤を用いない電子式の積算電流計も開発されており、計測精度が上がっています。

積算電流計の使用用途

積算電流計は様々な場所の電力を計測するために用いられますが、最も身近なのは家庭用の電気メーターです。積算電流計は工場や大型の発電所の他にも家庭用として一家に一台は必ず設置されているのです。その目的は家庭内で消費される電力の計算です。毎月の消費電力は積算電流計によって計算され、電力会社はその値を元に電気料金を設定します。一般的に使用されているアナログ型の積算電流計は、有効電力のみ計測することができて便利ですが、振動や衝撃に弱いので取り扱いに注意が必要です。

積算電流計の原理

積算電流計は家庭用の消費電力計測器として広く用いられてきました。これは主に機械式のアナログ型の機械でしたが、近年はデジタル型の電子式も登場しています。ここでは、この二つの原理や特徴についてご紹介していきます。

  • 機械式積算電流計
    円盤の回転数から機械的に電力を計測する積算電流計です。電圧用のコイルと電流用のコイルによって電力に比例するトルクが生まれ、これが円盤を回転させます。この円盤の回転数が積算電力となって測定されるのです。昔から広く普及されているものですが、円盤を使用しているため小型化が難しいことが欠点です。また、振動や衝撃に弱く、取り扱いに注意が必要です。
  • 電子式積算電流計
    機器に内蔵された電気回路より電流と電圧を計測し、電力を算出する積算電流計です。円盤のように機械的な構造が必要ないため小型化が可能で、小さなスペースにも設置することができます。また、計測精度が高く、長期間使用することも可能です。また、時間ごとの消費電力を記録しておくことができます。これにより停電情報を記録したり、電力を使いすぎている時間を調べることもできます。エネルギーを節約することにも繋がる上、発電設備がある家庭では時間ごとの発電量を確認することができます。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki4/wh.html
https://as76.net/asn/watt_hour_m.php

磁気バレル研磨機

磁気バレル研磨機とは

磁気バレル研磨機とは、磁力を利用して振動や回転を行い、研磨作業を行う機械のことです。

磁気バレル研磨機の特徴は、磁気を帯びた砥粒を用いて対象物の表面を研磨する点にあります。砥粒は磁力によりさまざまな動きをさせられ、対象物に衝突することで表面が徐々に磨かれていきます。

磁気バレル研磨機の優れた点は、複雑な形状のものでも簡単に研磨できることです。また、特別な技術が不要で誰でも簡単に作業ができるため、幅広い用途に対応が可能です。さらに、研磨時間も短く、効率的な作業が可能となります。

磁気バレル研磨機の使用用途

磁気バレル研磨機の主な使用用途は、金属のバリ取りや表面のつや出しです。高速回転による砥粒の衝突が効果的に磨き上げます。複雑な形状のものでも十分に研磨できるため、通常の研磨機が対応できない入り組んだ形状や微少な金属部品にも適しています。

さらに、磁気バレル研磨機は短時間で研磨作業を行う際にも優れた性能を発揮することが可能です。専門的な技術が不要で、研磨スピードも速いため、誰でも簡単に使用できます。利便性の高さから、多くの業界で重宝されています。

磁気バレル研磨機の幅広い使用用途は、その特性や使いやすさによるものであり、短時間で効率的な研磨作業が可能です。複雑な形状の対象物や限られた時間での研磨が求められる場面で重宝されています。

磁気バレル研磨機の原理

砥粒を運動させる方法として、振動式や回転式などがありますが、主に使われているものは回転式の磁気バレル研磨機です。回転式磁気バレル研磨機は、磁力を利用して研磨砥粒を回転させ、対象物にぶつけて研磨します。

研磨機には容器があり、その下部に磁石と回転盤が取り付けられている点が特徴です。容器には研磨対象、磁性砥粒、水、コンパウンドが充填されます。磁石が回転盤と共に回転することで、容器内の磁性砥粒が激しく動き、研磨が行われます。

コンパウンドは界面活性剤で、対象物の表面を洗浄しながら研磨することが可能です。磁気バレル研磨機の最大の利点は、研磨作業が簡単であることです。容器に材料を入れ、スイッチを押すだけで自動的に研磨が始まります。熟練の技術は不要で、効率的な研磨が短時間で可能になります。

磁気バレル研磨機の種類

磁気バレル研磨機は原理の節で紹介した回転式磁気バレル研磨機以外にも、振動式磁気バレル研磨機、セントリフューガル磁気バレル研磨機、磁気ディスク研磨機などが存在します。それぞれの機種は独自の原理や特徴を持つため、用途に応じて選択することが重要です。

1. 振動式磁気バレル研磨機

振動式磁気バレル研磨機は、磁力を利用して研磨砥粒を振動させ、対象物にぶつけて研磨します。研磨時間が短く、研磨力が強いため、大量の研磨作業や硬い素材の研磨に適しています。

2. セントリフューガル磁気バレル研磨機

セントリフューガル磁気バレル研磨機は、磁力と遠心力を利用して研磨砥粒を高速回転させ、対象物にぶつけて研磨します。非常に高い研磨力を発揮するため、大量の研磨作業や短時間での高品質な研磨が求められる場合に適しています。

3. 磁気ディスク研磨機

磁気ディスク研磨機は、磁力を利用して研磨砥粒をディスク状に配置し、対象物をディスク上で回転させながら研磨します。平面研磨や薄い部品の研磨に特に適しています。

また、磁気ディスク研磨機は研磨力を調節しやすく、繊細な研磨作業にも対応可能です。さらに、ディスクの交換が容易であるため、異なる目の粗さの研磨砥粒を用いた研磨もスムーズに行えます。

参考文献
https://www.tipton.co.jp/barrel/barrel-guide/kind/
https://www.leybold-kk.com/media/2018/03/22/24

硬度試験機

硬度試験機とは

硬度試験機とは、物質の硬さを測定するための測定機です。

試験片を特定の力で圧縮したり、引っ掻いたりして、その変形や跡の大きさを測定して硬度を求めます。硬さの定義にはロックウェル式、ビッカース式、ブリネル式などの種類があり、試験対象の特性に合った硬度試験機で測定することが重要です。

硬度試験機は据え置き型が一般的ですが、ポータブルタイプで場所を問わずに試験できる試験機もあります。

硬度試験機の使用用途

硬度試験機は新しい製品の開発や、既にある製品の品質管理のために用いられます。試験対象ごとに硬さが違うため、試験対象物に適した硬度試験機を用いる必要があります。

1. 材料の品質確認

製品の品質管理の一環として、製品が設計上の要件を満たすための十分な硬度を持っているかを確認するために使用されます。

2. 材料の比較

同じ種類や異なる種類の材料を比較するために硬度試験機が使用されます。これにより、特定の用途に最適な材料の選択が可能になります。

3. 研究開発

新しい材料や処理方法を開発する際に、その効果を評価するために硬度試験機が使われます。

4. トラブルシューティング

製品の故障分析の一環として、故障部品の硬度を測定して、故障の原因を特定する手助けになります。

硬度試験機の原理

測定原理の異なる様々な硬度試験機があります。それぞれの試験対象の使用用途や、硬さに応じて適切な試験機を選択する必要があります。

1. ロックウェル硬さ試験機

試験片にダイヤモンド圧子を押し当てて、その際にできるくぼみの深さから硬度を算出する方式です。頂点角が120°の圧子を用いるものをHRC、薄板等をより弱い試験力で測定するHRA、ダイヤモンド圧子の代わりに鋼球を用いるHRBなどに分類されます。硬度は「HRC70」などと表現されます。

2. ブリネル硬さ試験機

超硬合金製の鋼球を押し当てて、その際に試験片にできるくぼみの表面積と押し当てる際の荷重を基に硬度を算出する方式です。薄物や小さな対象物の測定はできず、硬さが不均一な物や表面粗度が荒い物の測定に向いています。表記はHBやHBWで表します。

3. ビッカース硬さ試験機

対面角136°のダイヤモンド四角錘圧子を押し当てて、その際に試験片にできるくぼみの対角線長さと、その時の荷重から硬度を算出する方式です。ブリネル硬さと同じ測定原理ですが、より幅広い硬度の範囲の材料の測定が可能です。試験荷重が非常に少ない、表面硬度を測定するためのマイクロビッカース硬さ試験もあります。

4. ショア硬さ試験機

ダイヤモンド製のハンマを試験片へ落下させ、その跳ね上がりの高さを測定することで硬度を算出する試験機です。ロックウェル、ブリネル、ビッカースが押込み対する硬さを表すのに対して、ショア硬さは動的な反発弾性を表す硬さです。測定後に傷や跡が残りにくいため、出荷製品の硬さ測定にも用いることが可能です。

5. デュロメーター

先端が針状の圧子に荷重をかけて、圧子が押し込まれる深さをもとに硬度を算出します。ポータブルタイプの硬度計で、製造現場で簡単に測定できます。硬度の違いにより、圧子の形状を変えて測定を行い、ゴムやエラストマ等の柔らかいものはA型、硬いプラスチックなどはD型で測定し、「HDA80」「HDD70」などと表記されます。

「HDA80」を「ショアA硬さ80」などとも表記されることがあるため、ショア硬さと混同されることがあり、注意が必要です。弾性係数が大きく異なる素材の直接比較には向いておらず、近年では欧州などで殆ど利用されなくなっています。

6. 鉛筆硬度試験機

塗装塗膜の表面硬度の測定に用いられ、一定の先端形状にした鉛筆に荷重をかけてこする機械です。硬度の測定は6B~B,HB,F,H~6Hの鉛筆で試験を行い、3mm以上の傷が目視で確認できる鉛筆の硬さを求めます。傷跡が生じない最も硬い鉛筆の硬度 (5Hなど) が鉛筆硬度になります。

7. モース硬度

硬度試験機ではありませんが、鉱物の硬度を求める方法でモース硬度と呼ばれる方法があります。これは10または15段階の硬度ごとに定められた標準鉱物があり、これらとこすり合わせて、対象物に傷がつくところを硬度とする方法です。

硬度試験機のその他情報

硬度試験機の使用上の注意

硬度は長さや重さのように明確な定義がなく、それぞれの硬度試験機によって初めて数値が決定されるものです。このため、測定値が正確かどうかを別の方法で検証できないので、測定された数値を信じるしかありません。

測定器の荷重や寸法測定機構に狂いがないことを日常から検査する必要があります。なお、検査には定期的に行われる専門家による直接検証と、日常的に既知の硬度の試験片を測定して正常性を確認する間接検証があります。

また、同じ試料に対して種類の違う硬度試験機を使って測定を行った場合、試験機によって試料の硬さの順序が変わる場合があります。これは、前述の通り硬度が装置毎に違う方法で定義されていることが原因です。各硬度試験機の硬さを対応させることができる換算表もありますが、正しいデータを収集したい場合は比較したい試料に対して同一の硬度試験機を用いることが一般的です。

参考文献
https://monozukuri.sqcd-aid.com/index-of-application/introduction-of-hardness/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/75/10/75_10_1183/_pdf/-char/ja https://www.helmutfischer.jp/technology/microhardnesstester/
https://www.an.shimadzu.co.jp/test/products/mtrl01/index.htm

着磁器

着磁器とは

着磁器とは、磁性体に磁力を与える工程である「着磁」を行うための装置のことです。

永久磁石の製造に欠かせない役割を果たしています。成形された材料がまだ磁力を持っていない状態のとき、強力な磁場を与えることで永久磁石へと変化させます。

磁石になり得る物質には鉄やニッケル、アルミニウムなどがありますが、それぞれが持つ磁気の限界が存在する点が特徴です。着磁器は、これらの物質に限界点まで磁場を与えて磁性を持たせることができます。

着磁器を利用することで、さまざまな材料から高品質な永久磁石を製作可能です。

着磁器の使用用途

着磁器の主な使用目的は、永久磁石の作成です。自然界で見つかる磁石は稀であり、工業用途では、鉄やニッケル、コバルトなどの磁性体に着磁器を用いて磁力を与えることが一般的です。

磁性体は、強い磁化が可能であり、大きな磁力が必要とされる場面で活躍します。さらに、使用する材料によって磁力の限界が異なるため、それぞれの用途に合わせて磁力を調整することが可能です。

産業界では、着磁器を利用した磁石が幅広い分野で活躍しており、例えば、モーターでは、磁力の強い磁石がエネルギー変換効率を高めることに貢献しています。また、スピーカーやセンサーといった電子機器でも、磁石の磁力が重要な役割を果たしており、着磁器の技術が向上することで、より高性能な製品が開発されることが期待されています。

着磁器の原理

着磁器の原理を理解する上で重要なのが「空芯コイル」「着磁ヨーク」「着磁電源」です。これら3つの要素が組み合わさることで、着磁器は磁性体に磁力を与え、さまざまな産業分野で応用されています。

1. 空芯コイル

着磁をするための部分の1つです。鉄心が無い円筒状のコイルの形状をしており、中心に強力な磁場を発生させます。この内部に磁性体を置くことで、磁石を作成することができます。単純な構造をしており、古くから使われている基本的な技術です。しかし、N極S極1つずつの単純な磁石しか作ることができません。

2. 着磁ヨーク

空芯コイルと同様に着磁をさせる部分です。空芯コイルと異なり鉄心に導線を巻き付けてコイルを作っており、その形状はさまざまです。作りたい磁石の性質に応じて鉄心とコイルの形状を変えることで、さまざま磁石を作成することができます。2つ以上の極を持つ磁石や複雑な着磁が可能です。

3. 着磁電源

着磁器に必要な電源です。空芯コイルや着磁ヨークはこの着磁電源につなげられることで、強力な磁場を発生させます。着時には数千~数万Aという非常に大きな電流が必要で、着磁電源は主にコンデンサーを利用した巨大な電流を発生させています。

着磁器の種類

着磁器は主に瞬時着磁器、定常着磁器、交流着磁器の3種類が存在します。それぞれの着磁器は、用途や磁力に応じて選択する必要があります。

1. 瞬時着磁器 (パルス磁界着磁器) 

瞬時着磁器は、短時間で高い磁場を生成することが特徴です。電磁コイルを用いてパルス状の電流を流すことで、瞬間的に強い磁力を与えることが可能です。磁性体に高い磁力を与えるために使用され、モーターや発電機などの高性能機器に用いられます。

2. 定常着磁器 (直流磁界着磁器)

定常着磁器は、直流電源を利用して一定の磁力を与えられる種類の着磁器です。電磁コイルに直流電源を供給し、一定の磁力を発生させます。一般的な磁石や磁気センサーなど、安定した磁力が求められる用途に適しています。

3. 交流着磁器 (交流磁界着磁器)

交流着磁器は、交流電源を使用して磁力を与えるタイプの着磁器です。交流電流が流れる電磁コイルにより、磁力が時間とともに変化する磁界が生成されます。磁気記録媒体や磁気セパレーターなど、特定の周波数で磁力が変動することが求められる用途に向いています。

参考文献
https://www.j-ndk.co.jp/product/index_chakuji.html
http://ims-jp.com/column/01/

漏水探知器

漏水探知器とは

漏水探知器とは、配管などに水漏れが発生していないか調べることができる装置です。

水道管など、地下には多くの配管が設置されています。このような地下に埋められた配管は、目視による漏水の点検ができません。点検のために毎回配管を掘り出すのは、工事の作業やコストがかかりすぎるため現実的ではありません。

漏水探知器は漏水時に発生する音などを漏水の探知に利用するので、このように直接触れられないような部分の点検にも使用できます。当然ながら、目視できる配管についても点検が可能です。 

漏水探知器の使用用途

漏水探知器は地下など、直接見ることができない配管についても漏水を探知することが可能です。そのため道路に埋設されている水道管に水漏れが発生していないかを調べたり、または水漏れの位置を特定したりする目的で使われています。

地下にある配管以外では、家庭の水回りの点検が主な導入事例です。トイレ配管や風呂の給湯管、受水槽、水道メーターなどにおける漏水の探知に幅広く使用されています。バルブやカランといった目に見える配管については、目視による点検と漏水探知器による点検を同時に行うこともあります。 

漏水探知器の原理

水漏れが生じていると、水が流れる際に通常とは異なる水音が発生します。そのため漏水を調べる方法としては、音を利用した探知方式が広く普及しているのです。地下の水道管であれば水漏れが道路の水没など大きな災害に発展する危険性もあり、漏水の探知は社会的にも必要な技術といえます。

音による漏水の探知は昔から行われてきましたが、従来は聴音棒を用いる方法が一般的でした。聴音棒による探知では、作業者自身で水漏れの音を判別するため、作業者の技量や個人差が影響してしまうという課題があります。また道路騒音など探知したい音以外のノイズがどうしても存在するため、それらに目的の音が埋もれてしまうと漏水探知は困難です。

漏水探知器では音を電気信号として扱うことができるため、これらの課題が生じにくくなっています。たとえば作業者間で判定結果に差が出てしまう点については、探知器のメーターに基づいた共通の基準値を設けることで解決できます。他には信号処理を行うことによってノイズを取り除いたり、特定の音域を強調または低減することで水漏れの音を聞き取りやすくしたりすることも可能です。

参考文献
https://www.measuring.jp/hih/hih07#category_02
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsem/11/3/11_3_261/_pdf/-char/ja