耐水研磨紙

耐水研磨紙とは

耐水研磨紙とは、塗装面を滑らかで美しい仕上がりにするために使用される特殊な紙のことです。

水に濡らしながら表面の汚れやサビを取り除き、傷をぼかし、密着性を向上させます。また、ツヤ消し効果もあり、仕上がりをより美的で機能的にすることが可能です。

研磨紙には粒度120から3,000までの多様な種類があります。適切な研磨紙を選ぶ際には、研磨する面の状況や研磨力、耐久性、強度、使いやすさなどを考慮することが重要です。耐水研磨紙を使用することで、優れた仕上がりを得られます。塗装面は美麗で機能的な仕上がりとなり、さまざまな用途で利用できるようになります。

耐水研磨紙の使用用途

耐水研磨紙は、まず金属研磨に活用されます。時計ケースや金属製品の仕上げに使われることが多く、美しい仕上がりが求められる場面で重宝されています。また、車両塗装面の研磨やキズ補修、砲弾マフラーのステンレス磨きにも用いられている点が特徴です。

また、木工分野でも利用されています。生地研磨や楽器製作に欠かせない道具として重要な役割を果たしています。さらに、塗装前のサフェーサーの研ぎや塗面研磨にも利用されています。

樹脂製品の汚れ落としにも役立ち、金属素地の荒磨きや製品の凸凹をなくすためにも使用可能です。また、鏡面仕上げの下処理や燃料タンクの塗装研磨にも適しています。

そのほか、陶器の手垢除去やステンレス製品の汚れ磨きにも耐水研磨紙が使われることがあります。洗面周りやトイレの掃除にも有用です。

耐水研磨紙の原理

耐水研磨紙は、通常の研磨紙とは異なり、水に濡らして使用できる点が特徴です。耐水研磨紙は、研磨粒子が一定の間隔で均一に配置された特殊な紙や布をベースにしています。研磨粒子は、酸化アルミニウムや炭化ケイ素、ダイヤモンドなどの硬質素材でできており、研磨対象の表面を削り取ることで磨き効果を発揮します。

耐水研磨紙が水に濡らして使えるのは、樹脂やゴムなどの耐水性の高い接着剤が用いられているためです。水を加えることで、研磨時に発生する粉塵や摩耗粒子を除去し、研磨面が常に新しい状態が保たれます。

また、水を使うことで、研磨時に発生する熱を冷却し、摩擦による表面の損傷を最小限に抑えることが可能です。これは耐水研磨紙が美しい仕上がりを生み出す理由となっています。

さらに、耐水研磨紙は、研磨粒子の種類や粒度が異なるものが多数用意されているため、用途や研磨対象の素材に応じて最適なものを選ぶことが可能です。適切な粒度の選択により、効率的な研磨作業が可能となります。

耐水研磨紙の特徴

耐水研磨紙は、基材になる紙の表面に天然または人造の研磨材が均一に接着剤で固着された構造をしています。炭化珪素や溶融アルミナなど人造研磨材は、均一な研磨紙が作れる点がメリットです。

硬く、かけやすい性質を持った黒色の炭化珪素は、最も広く利用されている研磨材の1つです。研磨紙に使用される紙は和紙、クラフト紙、ラテックス処理紙などがあります。和紙研磨紙は弱いですが、柔軟性に優れているため曲面の研磨に便利です。

ラテックス処理紙は耐水研磨紙の標準タイプによく使われるもので、金属、木材、樹脂、石材など多種多様です。接着剤は耐水性や耐熱性に優れ、強力な接着力を持つフェノール樹脂、エポキシ樹脂のようなレジンが使われています。

短時間の研磨能力を意味する研磨力が高いと仕上げ面は粗くなり、仕上げ面を良くすると研磨力が低下します。研磨力と仕上げ面の粗さ、どちらを重視する作業なのか使用用途に合わせて選ぶことが重要です。

耐水研磨紙のその他情報

1. 耐水研磨紙の番手

研磨紙、研磨布の裏面には 必ず番手番号が記載されています。番号は研磨紙、研磨布に塗布されている砥粒のサイズを表しており、粗さの規格です。

日本国内ではJIS R6010によって塗布される砥粒のサイズが決められています。現在のJIS規格では数字の前にPが記されます。#が記載されている物は旧JIS規格のものです。

砥粒のサイズは、粒の大きさの上限下限の範囲が指定されており 「粒度」と呼ばれます。 数字が小さいほど砥粒が大きくて荒く、数字が大きくなるほど砥粒が小さくなり、仕上げ向きとなります。これらが研磨加工の表面の仕上がりである面精度を決める要素です。

番手は大雑把に粗目、中目、細目などと呼ばれますが、その呼び名には特に規定は無く、どのくらいの番手のものを使えば、どの程度の仕上がりになるか、またどのように使い分けるかは経験によって得られるものです。

2. 耐水研磨紙の成分

研磨紙は 紙材、接着剤、砥粒、の3つで構成されています。

紙材
基材となる紙材には、クラフト紙、ラテックス処理紙、和紙などが有り、記号AW、CW、DW、EWと記され、AWが柔らかく曲面などに向き、EWが硬い紙基材でベルトサンダーなどの機械に取り付ける用途に向いているでしょう。

砥粒
砥粒は天然素材と人工素材があります。天然の研磨材は特性・形状等が均一では無く、近年では研磨布紙の多くは人工の研磨材が使われています。記号G (ガーネット) 、炭化ケイ素 (CC) 、溶解アルミナ (AA、AW) などで表されます。

砥粒にダイヤモンドが使われているものもありますが、これはダイヤモンドシート等の名称で使用され、いわゆる研磨紙とは別のカテゴリです。

接着剤
接着剤は、天然系の接着剤 (グルー・ニカワ・ゼラチン等) と合成樹脂の接着剤 (フェノール樹脂・エポキシ樹脂等) がありますが、研磨力、仕上げ面の粗さ、目詰まり、などが異なります。記号G (にかわ) 、R (レジン)、W (耐水レジン) で区別されます。

参考文献
https://www.noritake.co.jp/nca/industry/ncasubs/detail/11/

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