着磁器

着磁器とは

着磁器とは、磁性体に磁力を与える工程である「着磁」を行うための装置のことです。

永久磁石の製造に欠かせない役割を果たしています。成形された材料がまだ磁力を持っていない状態のとき、強力な磁場を与えることで永久磁石へと変化させます。

磁石になり得る物質には鉄やニッケル、アルミニウムなどがありますが、それぞれが持つ磁気の限界が存在する点が特徴です。着磁器は、これらの物質に限界点まで磁場を与えて磁性を持たせることができます。

着磁器を利用することで、さまざまな材料から高品質な永久磁石を製作可能です。

着磁器の使用用途

着磁器の主な使用目的は、永久磁石の作成です。自然界で見つかる磁石は稀であり、工業用途では、鉄やニッケル、コバルトなどの磁性体に着磁器を用いて磁力を与えることが一般的です。

磁性体は、強い磁化が可能であり、大きな磁力が必要とされる場面で活躍します。さらに、使用する材料によって磁力の限界が異なるため、それぞれの用途に合わせて磁力を調整することが可能です。

産業界では、着磁器を利用した磁石が幅広い分野で活躍しており、例えば、モーターでは、磁力の強い磁石がエネルギー変換効率を高めることに貢献しています。また、スピーカーやセンサーといった電子機器でも、磁石の磁力が重要な役割を果たしており、着磁器の技術が向上することで、より高性能な製品が開発されることが期待されています。

着磁器の原理

着磁器の原理を理解する上で重要なのが「空芯コイル」「着磁ヨーク」「着磁電源」です。これら3つの要素が組み合わさることで、着磁器は磁性体に磁力を与え、さまざまな産業分野で応用されています。

1. 空芯コイル

着磁をするための部分の1つです。鉄心が無い円筒状のコイルの形状をしており、中心に強力な磁場を発生させます。この内部に磁性体を置くことで、磁石を作成することができます。単純な構造をしており、古くから使われている基本的な技術です。しかし、N極S極1つずつの単純な磁石しか作ることができません。

2. 着磁ヨーク

空芯コイルと同様に着磁をさせる部分です。空芯コイルと異なり鉄心に導線を巻き付けてコイルを作っており、その形状はさまざまです。作りたい磁石の性質に応じて鉄心とコイルの形状を変えることで、さまざま磁石を作成することができます。2つ以上の極を持つ磁石や複雑な着磁が可能です。

3. 着磁電源

着磁器に必要な電源です。空芯コイルや着磁ヨークはこの着磁電源につなげられることで、強力な磁場を発生させます。着時には数千~数万Aという非常に大きな電流が必要で、着磁電源は主にコンデンサーを利用した巨大な電流を発生させています。

着磁器の種類

着磁器は主に瞬時着磁器、定常着磁器、交流着磁器の3種類が存在します。それぞれの着磁器は、用途や磁力に応じて選択する必要があります。

1. 瞬時着磁器 (パルス磁界着磁器) 

瞬時着磁器は、短時間で高い磁場を生成することが特徴です。電磁コイルを用いてパルス状の電流を流すことで、瞬間的に強い磁力を与えることが可能です。磁性体に高い磁力を与えるために使用され、モーターや発電機などの高性能機器に用いられます。

2. 定常着磁器 (直流磁界着磁器)

定常着磁器は、直流電源を利用して一定の磁力を与えられる種類の着磁器です。電磁コイルに直流電源を供給し、一定の磁力を発生させます。一般的な磁石や磁気センサーなど、安定した磁力が求められる用途に適しています。

3. 交流着磁器 (交流磁界着磁器)

交流着磁器は、交流電源を使用して磁力を与えるタイプの着磁器です。交流電流が流れる電磁コイルにより、磁力が時間とともに変化する磁界が生成されます。磁気記録媒体や磁気セパレーターなど、特定の周波数で磁力が変動することが求められる用途に向いています。

参考文献
https://www.j-ndk.co.jp/product/index_chakuji.html
http://ims-jp.com/column/01/

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