脱気装置

脱気装置とは

脱気装置とは、水に含まれる気体を除去する装置です。

通常、水の中には大気に由来する酸素や二酸化炭素が混入しています。このような気体が水に含まれると、飲料水の味や色が変化したり、化学反応の妨げになったり、配管の錆につながったりします。

脱気装置のサイズはさまざまで、工場で製造や冷媒として用いる大型の脱気装置や、実験室で用いる小型の脱気装置があります。

脱気装置の使用用途

脱気装置は水中の酸素、二酸化炭素を除去する装置であるため、水を取り扱うさまざまな業界で使用されます。例えば、飲料や食品などの業界では水中の溶存酸素が製品の色や味に直接影響するため、使用する水は脱気処理されています。

また、高温の水やスチームを移送する配管も溶存酸素がサビの原因となるため、これらの配管に入れる水も脱気処理される場合が多いです。その他、研究開発においても小型の脱気装置が用いられます。

例えば化学反応に用いる水の脱気処理に用いられたり、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) などの分析装置に使用する水の脱気処理にも用いられます。特に、HPLCのようなポンプで水を流し続ける装置では、気泡が混入するとポンプの脈動などを引き起こすため脱気処理は必須です。

脱気装置の原理

脱気処理の原理には、液体に溶ける気体の含有量は気体側の圧力に比例するという法則があります。そのため、液体と気体が接している場合気体側の圧力を下げると、液体に溶けている気体の量が減少します。極端に言うと、真空状態にすれば液体に溶ける気体の量は0になるということです。

また、液体と気体が接する面が広ければ広いほど、脱気処理の効率が良くなります。単純に装置の口径を大きくすれば、液体と気体が接する面が増えるため脱気処理の能力は向上しますが、装置自体が大きくなりコストもかかります。

その対策として、中空糸を用いるのが効果的です。液体と気体の接する面を大きく広げらるため、装置の大きさに対して効率よく脱気することが可能になります。なお、脱気装置の脱気方法は2つあります。1つは、タンク方式でタンク内を減圧することで液体中の気体を除去する方法です。

タンクの大きさに比例して、脱気処理が変化します。もう1つは、真空脱気塔方式で粒子状に噴射した液体に減圧することで脱気する方法です。液体が微粒子状となるためタンク方式と比べ、液体と気体の接する面が飛躍的に増え、より脱気処理が向上します。しかし、真空脱気塔方式は、導入コストが高く装置が大型になります。

脱気装置の特徴

大気の酸素、二酸化炭素は微量ですが水に溶解します。溶解する量は微量なので少量の水を使用する上では問題はありませんが、工場など大量に水を使用する場所においては溶存酸素、二酸化炭素が予期せぬトラブルを引き起こす可能性があります。例えば酸素は金属を酸化させるため配管のサビの元になります。また、食品や飲料業界では、溶存酸素による酸化によって製品の色、味が変化する恐れがあります。

脱気装置はこのような溶存酸素、二酸化炭素を除去する装置です。脱気装置には真空ポンプと脱気膜が取り付けられており、水は脱気膜に覆われた流路を流れます。流路はポンプによって減圧されているので、流路を通るときに溶存酸素のような小さな分子だけ膜を通り抜けていきます。その結果、通液させた水から気体が除去される仕組みです。

なお、脱気装置は有機溶媒など水以外の液体の脱気を行うことも可能です。ただし、膜を膨潤させたり溶解させたりしないために、通液する溶媒に対する膜の耐久性を確認する必要があります。また、混合溶液の場合は減圧下のラインを通ることによって溶液組成の変化がないか、確認が必要です。

参考文献
https://www.miuraz.co.jp/product/water/dakki.html
https://www.gea.com/ja/products/liquid-processing/deaerator/index.jsp
https://www.nikuni.co.jp/equip/vacuum/deo-vac.html

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