金型洗浄機

金型洗浄機とは

金型洗浄機とは、金型の汚れを取り除くための洗浄機です。

金型の汚れについては、従来は拭き取りによる除去が行われてきました。金型加工技術が発展したことで年々金型の形状が複雑になっていく傾向があり、拭き取り作業による洗浄の実施が難しくなってきています。そのため洗浄機による洗浄の普及が拡大しています。

金型洗浄機は、超音波による洗浄方式を採用したものが主流です。超音波以外には電気分解やレーザー、ドライアイスを利用した洗浄方式もあります。

金型洗浄機の使用用途

金型洗浄機の使用例として、プラスチック製品の金型洗浄などが挙げられます。

プラスチック製品の製造において、射出成形は主要な製法です。射出成形はプラスチックを溶かして金型に流し込み、製品の形に成形する方法です。

プラスチックを溶かす際に原料や添加剤が気化しており、これが金型に残留して金型が汚れることがあります。この汚れを放置すると製品の外観が損なわれたり、金型自体の開閉に支障が出たりするといった問題につながるため、金型洗浄機による洗浄が行われています。

金型洗浄機の原理

金型洗浄機では、超音波による洗浄方式が主に採用されています。超音波洗浄を行う際には、溶剤など洗浄用の薬品を併用するのが一般的です。

超音波洗浄は、キャビテーションとよばれる現象を利用した洗浄方式です。液体の中には、気体分子が数多く含まれており、洗浄液に対して20kHzから100kHz程度の超音波を照射すると、この気体分子に正の圧力と負の圧力が交互にかかります。

正の圧力がかかると気体分子は圧縮され、反対に負の圧力がかかると膨張します。膨張した気体分子が正の圧力によって圧縮されると、気体分子の泡が弾けて衝撃が発生するのです。このような現象をキャビテーションといい、この時生じた衝撃の力を利用すると、物理的に汚れを剥がすことができます。

キャビテーション現象の際に発生する衝撃の強さは、照射した超音波の周波数に依存します。周波数が低くなるにつれて衝撃は強くなっていますが、その分洗浄対象のものに負荷がかかるのです。落ちにくい汚れや衝撃に耐性がある洗浄対象であれば28kHzなどの低周波を使用し、そうでないものに対しては40kHzなど周波数が比較的高いものを用います。

金型洗浄機の選び方

広く使用されている超音波洗浄機を例にして金型洗浄機の選び方をご紹介します。

超音波洗浄機を使用して洗浄する際には超音波の周波数を選定する必要があります。周波数が低いと大きな汚れは落ちやすいですが、緻密な金属部品や電子部品を洗浄すると破損してしまう可能性があります。材料や製品にダメージを与えず、汚れも十分に落ちる適切な周波数が出力できる洗浄機を選定することが大切です。 例として、28 kHz程度で目に見える頑固な汚れを効率的に落とせます。40 kHz程度が精密な部品の洗浄に用いられ、基盤などの電子的な精密部品を洗浄する際には更に高い周波数が用いられます。

金型洗浄機の形状としてはセパレート型や一体型などがあります。セパレート型は振動を発生させる発振器振動子を設備に取り付ける形で、大型の金型洗浄に用いられます。洗浄したいものが小型であれば、卓上で簡便に利用可能な一体型が使用されます。

金型洗浄機のその他情報

金型洗浄液

金属を洗浄するための液体は、洗浄したいものの材質や汚れの種類によって決定します。材料の種類は金属、ガラス、プラスチックなどに分けられます。汚れは、一般的な油やホコリに加えて、研磨剤などの微粒子も含まれます。 洗浄液は下記のように水系と非水系(炭化水素系、溶剤系)に大きく分けられます。

1. 水系
主成分は界面活性剤で、安価かつ安全で幅広い汚れに対応できる洗浄液です。汚れの種類によってアルカリ性、中性、酸性の溶液を使い分けます。排水の処理が必要であったり、強い汚れには対応できない、洗浄後の乾燥に時間がかかるなどの欠点があります。

2. 炭化水素系
炭素と水素の化合物を含む洗浄液です。化合物の炭素数や構造によって種類が分けられ、イソパラフィン系やノルマパラフィン系などがあります。油分に対する洗浄力が強く再生利用も可能な洗浄液です。可燃性の危険物であるため消防法に準じた厳密な管理が必要になります。

3. 溶剤系
種類としてはフッ素系、臭素系、アルコール系などがあります。強力な洗浄力を保持していますが環境に対する負荷も大きいため、規制や削減の動きが強くなっています。

参考文献
http://www.nalex.co.jp/technology/tech-cleaner/about-aes/
https://www.honda-el.co.jp/industry/cleaner_genri.html
http://www.dryice-chikuho.co.jp/dryice
https://www.honda-el.co.jp/industry/solution.html
https://www.honmasangyou.co.jp/activities/difference.html
https://www.honda-el.co.jp/industry/cleaner_selection.html

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