シリカ

シリカとは

シリカ

シリカとは、ケイ素の酸化物である二酸化ケイ素の総称です。

化学式はSiO2で、結晶構造はケイ素に4つの酸素が結合した四面体構造をしています。この四面体構造が組み合わさって、様々な構造を形成するため、結晶質、非晶質などシリカの種類は豊富です。

シリカは地殻中に多く含まれており、天然のシリカ結晶としては石英 (水晶) 、トリディマイト、クリストバライトなどの結晶形態で産出します。光学部品の乾燥剤であるシリカゲルの原料としての用途があります。

シリカの使用用途

シリカは無色透明の固体で、融点が非常に高いことが特徴です。また、耐薬品性にも優れており、一部の酸やアルカリとしか反応しません。

耐熱性や耐薬品性があることから、化学の実験器具や分光分析装置に使用されています。また、乾燥剤であるシリカゲルの原料にも使用されています。透明が高いものは、レンズやプリズムなどの光学部品に加工されます。

電子工業や半導体産業でも重要な役割を果たしています。シリカは絶縁体としての特性があり、電子部品や半導体デバイスの製造に欠かせません。さらに、ガラスや光ファイバーなどの材料としても広く使用されています。

シリカ結晶の1つである水晶は、装飾品や水晶振動子としての用途が知られています。

シリカの性質

シリカには結晶質と非晶質のものがあり、特にそれらをまとめて呼ぶ場合にシリカという名称を使用します。結晶性シリカとして、石英、クリストバライト、トリディマイトなどの結晶多形が知られています。一方、非晶質シリカは結晶性を持たない二酸化ケイ素を含有する物質の総称です。具体例として、シリカエアロゲルやヒュームドシリカなどが挙げられます。

シリカの化学式はSiO2ですが、1つのケイ素原子が4つの酸素原子と共有結合をしています。これらはSiO4の四面体構造を形成しており、各酸素原子は2つのSiO4四面体構造に属しています。石英、クリストバライト、トリディマイトなどの結晶性シリカの結晶多形はこのSiO4四面体構造の配列の違いから来ています。

シリカ自体は他の物質との反応性が低いですが、一部の酸、アルカリと反応します。例えば、フッ化水素酸と反応させるとヘキサフルオロケイ酸が生成し、水酸化ナトリウムと反応させるとケイ酸ナトリウムが生成します。

シリカの種類

シリカは二酸化ケイ素の総称で、以下のような様々な種類があります。

1. シリカ微粒子

球状や鱗片状などの形状や、粒子径、空隙率などの違いにより、異なる特性を示します。コロイダルシリカはシリカ微粒子が水などの溶媒に分散された状態のものです。

2. フュームドシリカ

乾式シリカ、高分散シリカと呼ばれる非常に嵩密度の小さい白色粉体です。

3. シリカエアロゲル

シリカの微粒子が3次元ネットワーク骨格を形成した構造で、空隙間隔がおよそ50nm前後の多孔材料です。

4. シリカガラス

シリカガラスは、金属不純物が少ない、熱に強い、幅広い波長領域の光をよく通す、酸やアルカリに侵されにくいなどの特徴を持っています。

シリカのその他情報

シリカの安全性

シリカの微粒子は不純物を吸着できるので、食品製造時の濾過助剤として使用されます。例えば、ビールなどの酒類や清涼飲料水などの濾過です。

シリカを経口摂取しても、人体への重篤な影響はほとんどありませんが、空気中に舞ったシリカ微粒子を鼻や口から吸入すると重篤な症状が現れることがあります。特に石英などの結晶性シリカを吸入すると珪肺と呼ばれるじん肺症の一種を発症すると報告されています。

じん肺症の症状の傾向としては、最初は自覚症状がありませんが、時間経過とともに咳や痰、さらには息切れや呼吸困難の症状が現れます。実際の発症例としては、高純度の結晶性のシリカ微粒子を取り扱う工場で、シリカ微粒子を吸入したことによる急性のじん肺が発症例が報告されています。このような事故を防ぐために、防塵マスクなどの保護具を使用して取り扱う必要があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/16/4/16_4_269/_pdf/-char/en
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/60/9/60_KJ00008230856/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/16/4/16_4_280/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/20/3/20_3_200/_pdf/-char/en
https://ehimes.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/2018/10/2018100404.pdf
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0309-1a_0002.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0809-5g.pdf
https://www.fpa.or.jp/library/kusuriQA/32.pdf

グリーンレーザー

グリーンレーザーとは

グリーンレーザー

グリーンレーザーとは、可視光領域である波長532nmの光を発振できるレーザーの総称です。

目で見ると緑色の光に見えるのが特徴です。基本波長で生成されたレーザー光が非線形結晶を通ると532nmの波長となります。

結晶を通すとエネルギーが落ちますが、緑の波長は集光性に優れているため、微細加工やマーキングなどによく使用されます。Nd:YAG、Nd:YVO4、Yb:YAGの結晶を使用した個体レーザー、もしくは半導体レーザーが多く用いられます。

グリーンレーザーの使用用途

グリーンレーザーは、建築現場などで平行、垂直な基準線を投射する墨出し器、会議などで使うレーザーポインターに使用されています。

理科学分野では、ラマン分光、蛍光分析、レーザー干渉計、ホログラフィーなどです。工業分野では、ダイシング、ドリリング、スクライビングといった微細加工、ウエハマーキング、PCBカッティング、マーキングなどにグリーンレーザーが搭載された加工機がリリースされています。

グリーンレーザーの原理

532nmの波長は第二高調波 (英: Second Harmonic Generation) とも呼ばれます。第二高調波は非線形光学の波長変換作用です。ある周波数の光をある物質に入れると、整数倍の振動数の光が放出される現象を利用して532nmの光を生成しています。

基本波長となる1,064nmを発生させ、その光を非線形結晶 (LBO結晶) を通すと1,064nmの半分の値である532nmの波長となって放出されます。基本波長である1,064nmは、Nd:YAGレーザー (ネオジムがドープされたイットリウム・アルミニウム・ガーネットの結晶を用いた固体レーザー) や、Nd:YVO4レーザー (ネオジムがドープされたイットリウム・四酸化バナジュームの結晶を用いた固体レーザー) でなどで生成されます。

非線形結晶を通した場合の変換効率は100%ではありません。そのため、532nmの光のエネルギーは低下します。しかし、この波長の吸収率が良い素材 (金属) に対する加工の面や、基本波よりもビームが絞りやすいという面から、微細加工や半導体分野でも活躍しています。

グリーンレーザーのその他情報

1. LBO結晶

前述したLBO結晶は、三ホウ酸リチウムと呼ばれる物質でできています。LBO結晶は160nm〜2,600nmと広範囲の透過波長範囲を持った物質です。レーザー光は可視光領域と比較しても長い長波長の光ですが、透過波長範囲内のため透過可能です。

レーザー光は基本波長である場合、物質に照射すると整数倍の周波数となって出力される特徴があります。LBO結晶は非線形結晶です。非線形結晶に対して光を入射されると、入射光と結晶内の原子が相互作用することで2倍のエネルギーを持つ光が出力されます。

このとき、位相は入射光から保たれたまま出力されることが大きな特徴です。レーザーでは出力される光が同位相であることが強度を出すために重要なため、LBO結晶が使用されています。

元の2倍のエネルギーを持った出力光は波長は半分になっています。そのため、基本波長が入力光の場合、出力光は緑の可視光領域の光です。

2. 銅加工の特徴

レーザーは銅を加工する際にも使用されます。グリーンレーザーは、他波長のレーザーと比較して正確な銅加工が可能です。

基本波長のレーザーを銅に対して照射した場合、照射後にできるスポット径は同じ条件であってもバラつきがあります。対して、グリーンレーザーでは照射後のスポット径のバラつきは少ないです。

これは銅が持つ光の反射率が基本波長の場合は98.5%以上と非常に高い値を取る一方で、グリーンレーザーでは60%程度と低い値を取ることに起因します。上記の理由からバラつきの少ない銅加工が可能です。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/basics/principle.jsp
https://www.hikalikk.jp/2020/06/25/harmonic/

サイディング

サイディングとは

サイディング

サイディングとは、建物の外壁の仕上げ材として貼り付けて使用する板材です。

近年に建てられた戸建住宅で主流の外壁仕上げ方法となっています。貼り付ける板材のことを「サイディングボード」と呼ぶこともあります。

工場生産されたサイディングボードを外壁のサイズに合わせて貼り付けるため、品質が安定している、工期が短くて済む、材料費と工事費の初期費用が抑えられえる点などがメリットです。

サイディングの使用用途

サイディングは建物の外壁の仕上げ材として、使用されています。戸建住宅など比較的小規模な建築物から、ビルなどの大規模な建築物まで幅広いです。

また、最近では建物の内壁に使用するサイディングも登場しています。戸建て住宅はもとより店舗の内装など幅広く用いられ、従来のタイルやクロス張りにはないデザイン性が特徴です。

サイディングの原理

サイディングは、外壁に貼り付ける板材です。一般に、建築物の外壁に防水シートなどで防水を施し、その上にサイディングを貼り付け、サイディングの間の隙間をゴム製のコーキング材で埋めて防水処理します。

工場で大量生産できるため、コストダウンや一定品質の製品の安定供給も可能です。また、工期も短くできる点がメリットです。都市計画法に基づいた防火地域などでは、建物そのものに耐火および防火性能が求められます。サイディングは、耐火及び防火性能を比較的容易に満たせるため多用されています。

しかし、材料によっては熱に弱く、工法上つなぎ目が弱い点がデメリットです。特に窯業系サイディングは熱を蓄えやすい特徴があり、真夏の直射日光下では表面温度が60度以上になるため、熱による伸縮が発生します。

また、サイディングのつなぎ目のコーキング材にはサイディングの伸縮による力も加わります。そこで、サイディング表面の美観や防水性を保つには、おおよそ10年~15年でコーキングのメンテナンスが必要です。

サイディングの種類

日本国内では、窯業系サイディングのほか、金属系サイディング、木質系サイディング、樹脂系サイディングが使用されています。

1. 窯業系サイディング

窯業系サイディングとは、セメントをもとに、繊維質を混ぜ合わせ、板状に成形された外壁材です。近年もっとも普及率が高く、多くの建物の外壁材として使用されています。

耐火性に優れている、色やデザインがバラエティ豊かである、低コストで生成できる点がメリットです。一方、素材が蓄熱しやすい、素材が劣化しやすいため定期的なメンテナンスを必要とする点がデメリットです。

2. 金属系サイディング

金属系サイディングとは、ウレタンなどよりなる断熱効果を持つ芯材と金属板で構成される外壁材です。使用されている表面素材として、ガルバリウム鋼板やアルミニウム、ステンレスなどの金属が挙げられます。

高い断熱性を持ち、30~40年程度の耐用年数であることに加え、軽量であるため施工しやすいことから、近年普及率が高くなってきている外壁材です。また、軽量であるため、地震に強い点もメリットです。

一方、デメリットとしては、サビが起きやすい、傷がつきやすい、施工できる人が限られているなどがあります。

3. 木質系サイディング

木質系サイディングとは、木材を使用した板状の外壁材です。木材の質感がそのまま外観として見られるのが特徴で、自然を感じさせるデザインによく使用されます。木質系サイディングは天然の木材に塗料を塗布して製造されているため、熱を吸収しにくい点、断熱性が高い点がメリットです。

一方、デメリットとして、天然素材であるため価格が高く、劣化しやすい、防火性能に劣る点が挙げられます。また、施工に高い技術力を必要とするため、施工できる工事業者が少ないこともデメリットです。

4. 樹脂系サイディング

樹脂系サイディングとは、プラスチックでできた外壁材で、加工性に優れている「塩化ビニル樹脂」を主原料として作られています。樹脂自体の耐天候性が高いことや凍害に強いことから、メンテナンスフリーといわれています。

また、サイディング間の隙間にコーキング処理する必要がなく、窯業系など別のサイディングに比べてメンテナンスする際の手間が少ないのが特徴です。一方、樹脂系サイディングは国内での普及率が1%程度と低く、施工できる工事業者が少ない点などがデメリットです。

サイディングのその他情報

窯業系サイディングの貼り方

窯業系サイディングの貼り方には、「通気工法」と「直貼り工法」の2種類があります。

1. 通気工法
通気工法 (外壁通気工法) は、サイディングと防水シートとの間に通気留め付き金具を挟みこみ、サイディングと防水シートの間に通気するすき間を確保する工法です。この工法は、窯業系サイディングの標準工法として用いられています。

室内で発生した湿気が壁体内に滲入しても壁外に排出でき、結露を防いで壁の内の乾燥を保もち家屋の劣化を防げる点がメリットです。また、外壁の隙間から滲入した雨水などは隙間を通じて流されて、建物内へ浸入せず屋外に排出される点もメリットとして挙げられます。さらに、隙間が通気層として機能して断熱効果が高まり、外気温の影響を緩和するため、省エネルギーが期待できます。

2. 直貼り工法
直貼り工法は、サイディングボードを外壁に貼り付けた防水シートの上に直接貼り付ける工法で、従来多く使用されてきました。しかしながら、直貼り工法では、外壁と防水シート間に湿気が溜まる、防水シートの内側に水や湿気が入ると逃げ道がなく、結露しやすい点がデメリットです。そのため、現在ではあまり使用されていません。

参考文献
https://www.nyg.gr.jp/toukei/index.html
https://www.asahitostem.co.jp/column/detail04.php
https://www.nyg.gr.jp/toha/tuukikouhou.html

エンジンオイル

エンジンオイルとは

エンジンオイル

エンジンオイルとは、エンジンの潤滑・冷却に使用される油です。

エンジンの部品同士が直接接触しないようにして磨耗や摩擦を減らし、冷却作用を持たせることでエンジンの性能を維持するために使用されます。

エンジンが搭載されている製品が良いコンディションを保ちつつ、持っている性能を発揮するためにエンジンオイルの定期的な交換が非常に重要です。エンジンオイルは様々な機能を持ちますが、主な役割が潤滑作用であるため、単に潤滑油と呼ばれることもあります。

エンジンオイルの使用用途

エンジンオイルはエンジンを有する機器にはほぼ必ず使用されます。エンジン内部では高速回転する部品同士が接触し、その摩擦により熱が発生します。エンジンオイルはこの熱を吸収し、部品同士の接触を減らすことで磨耗を防止します。

エンジンオイルを使用する機器は多岐に渡ります。代表的な機器としては自動車やオートバイのエンジンです。部品同士が接触することを防ぎ、冷却効果を発揮することでエンジンの性能を維持します。汚染物質からエンジンを保護する役割もあります。

また、船舶や航空機のエンジンにも使用されます。、船舶のエンジンは長時間の使用により高温になることがあるため、高温での耐久性も求められます。また、航空機のエンジンは高高度での使用に耐える必要があり、そのためには高粘度のオイルが必要になることがあります。

その他、工作機械や建設機械に使用されることもあります。

エンジンオイルの原理

エンジンオイルの作動原理は以下です。

1. 潤滑

エンジンオイルは、金属部品どうしの摩擦を小さくし、摩耗を低減させる役目があります。オイルがピストンやシリンダの各部品の隙間に入り込むことで潤滑し、機械の動作を円滑にします。

2. 密封

ピストンとシリンダの間に油の膜を形成することで、圧縮工程および燃焼行程での燃料のガスが密閉され、効率よくエネルギーを生み出します。密封性が上がることで、エンジンのパワーアップおよび燃費の向上にも繋がります。密封性を上げる要因になるのがエンジンオイルの粘度です。

粘度の単位はWinter (W) という低温下で使用できる限度と、100℃のオイル粘度を示す数値で表現します。一般的な乗用車に使われるエンジンオイルの粘度は、高い製品が10W-40、低い製品が0W-20程度です。

低粘度オイルは低温でもオイルが柔らかく始動性が良い点が特徴で、低温時の燃費が良くなります。高粘度オイルはエンジンが高温になる高速走行においてもしっかりと油膜を作り、摩擦によるダメージから保護する能力が高い点が特徴です。

3. 冷却

エンジン内部では燃焼によって高温になりますが、エンジンオイルが熱を吸収して外部に放熱することで冷却効果を発揮します。一般的にはエンジンオイルは循環させて使用され、循環放熱によって熱を外部へ排出します。発熱が多い機器の場合は、別途熱交換器などを外付けする場合があります。

4. 洗浄

エンジンオイルは、エンジン内部の汚れを洗浄し、エンジンを清潔に保ちます。ただし洗浄能力には限界があるため、定期的にエンジンオイルを交換する必要があります。

5. 防錆

エンジンオイルはエンジンの防錆効果も担います。エンジン内部に膜を形成し、酸素の付着を遮断して錆から機器を守ります。

エンジンオイルの種類

エンジンオイルは、エンジンオイルを作るためのベースとなるオイルがあり、不純物を除去しつつ化学合成油や添加剤を加えて性能を整えます。その配合量の違いにより、エンジンオイルは鉱物油、部分合成油、化学合成油の3種類に分けられます。

鉱物油は最も安価で入手可能なエンジンオイルで、原油から不純物を取り除いて精製されます。エンジンに対して過酷な負荷がかかるような高速走行などには適しておらず、一般乗用車に適しています。

部分合成油は鉱物油に高品質な化学合成油を加えて作られるオイルで、品質と価格のバランスに優れています。

100%化学合成油は不純物を極限まで取り除き、エンジンを保護する添加剤が配合されている高品質オイルです。モータースポーツなどの過酷な条件でも耐えうる性能を有します。

参考文献
https://www.autobacs.com/static_html/shp/knowledge/oil.html
https://www.autobacs.com/static_html/shp/knowledge/oil.html#section2

ガス検知器

ガス検知器とは

ガス検知器

ガス検知器は、対象とするガスの濃度を測定する機械です。一般家庭のガス漏れを検知するためのものから、産業の現場で使用されるガスを検知するものまで様々なものが存在します。いずれの検知器もガスの存在を作業者に知らせることで、作業者の安全を守ることを目的として利用されます。

対象とされるガスは、一般家庭用であれば都市ガスやプロパンガスです。産業用では、酸素濃度の測定や一酸化炭素硫化水素といった毒性ガスや有機溶剤などの可燃性ガスなどを検知するものなどがあります。

ガス検知器の使用用途

ガス検知器は、ガスの製造現場から、化学プラント、半導体工場、トンネル工事現場、鉄鋼業、農業など産業の現場、或いは一般家庭など幅広く利用されています。ガスの漏洩には様々な危険が潜んでいます。

例えば、可燃性のガスの漏洩は火事や爆発といった大規模な問題に繋がりかねません。毒性ガスであれば作業者の健康被害や環境汚染の原因になります。また酸素濃度は一定値を下回ると作業者の窒息死に繋がる危険があります。

これらの重大な事故の原因となるガスの漏洩をいち早く感知し、作業者に知らせるためにガス検知器が使用されます。そのため、ガス検知器は用途に応じて適切な種類を選ぶ必要があります。

1. ガス検知器の設置義務(一般家庭用)

使用しているガスの種類によって異なります。都市ガスを使用している場合は設置が推奨されているものの義務化はされていません。プロパンガスを使用している場合は3戸以上の集合住宅であれば設置が義務づけられています。

一方で全ての住宅に法律(消防法)で設置が義務付けられているのは火災報知器です。住宅用のガス検知器ではメタンエタンプロパンといったガス成分を検知しますが、火災報知器では煙や熱を検知します。

2. ガス検知器の設置義務(産業・商業用)

一般家庭用と異なり、産業・商業用途においては様々な設備においてガス検知器の設置が義務付けられています。一例としては、可燃性ガスや毒性ガス等を扱う工業プラントや、特定地下街や地下室、超高層建物などの商業用設備が挙げられます。(関連法令:高圧ガス保安法、消防法、労働安全衛生法)

ガス検知器の種類

1. 測定対象の種類による分類

  • 単成分ガス検知型
    一台で一種類のガスの測定に使用します。小型・軽量で取扱いやすいタイプです。
  • 複合ガス検知型
    一台で複数種類のガスの測定に用いることができます。可燃性ガス、毒性ガス、酸素など、幅広い種類のガスの測定が可能であり、各種工場や作業現場で安全確保のために利用されています。

2. 設置方法による分類

  • ポータブル式検知器
    作業者に装着して、作業時に測定することで、ガスを検知した際に作業者に異常を知らせます。
  • 定置式検知器
    工場施設内でガス濃度を連続的に測定することで、工場の安定稼働に貢献します。大きな設備で使用する場合、検知部と警報部・システムを分離することで複数箇所をまとめて監視します。

ガス検知器の原理

ガス検知器によって検知できるガスは、多岐に渡るためその分析方法も多様です。多くのセンサにとって、有機シリコンガスや腐食性ガス(SOxやNOxなど)、酸性ガス(HFやHClなど)は劣化の原因となるガス(=雑ガス)になります。また、対象ガス以外の炭化水素やアルコール、有機溶剤などは多くの場合に正確な測定の妨げとなるガス(=干渉ガス)になり得ます。

使用を考えている検知器に内蔵されているセンサの種類と対応する雑ガス・干渉ガスの種類を事前に確認しましょう。以下に各種センサーの原理と、対象となるガスの項目について述べます。

1. 半導体式

半導体とガスが触れた時に生じる抵抗の変化を利用します。感度が高く、低濃度まで測定が可能です。
対象:可燃性ガス、毒性ガス

2. 熱線型半導体式

半導体式で用いる半導体の代わりに、白金線コイルと半導体が一体化したものを使用します。感度が高いことと、小型化に適していることが特長です。
対象:可燃性ガス、毒性ガス

3. ニューセラミック式

ニューセラミック(超微粒子化酸化触媒)上で、可燃性ガスが燃焼するときの発熱を利用します。測定できる濃度範囲が広く、また、安定した稼働が期待できます。
対象:可燃性ガス

4. 接触燃焼式

酸化触媒である白金を高温に熱し、そこにガスが当たることで燃焼反応が起こり温度が上昇します。この温度変化を検出に利用します。精度や再現性に優れています。
対象:可燃性ガス

5. 定電位電解式

電極上でガスが電気分解された際に発生する電流を検知します。電位の設定により対象ガスを選択でき、干渉ガスの影響も受けにくい点が特長です。
対象:毒性ガス

6. 隔膜ガルバニ電池式

内部にガルバニ電池が内蔵されています。電池内の隔膜をガスが透過する際に、二つの電極の間で反応が起こり、電流が生じます。この電流の強さを、目的とするガスの濃度として扱います。電池内蔵により外部電源なしで稼働できます。
対象:酸素

7. 非分散型赤外線式

ガスはその種類ごとに特定の波長の赤外線を吸収する特性を持っています。測定波長において吸収された赤外線量からガスの濃度を算出します。長期間にわたり安定稼働でき、測定対象に対して高い選択性を有します。
対象:可燃性ガス、毒性ガス

8. 光波干渉式

気体の屈折率の変化により、ガスを検出します。長期間安定した精度を保ち、運用することができます。
対象:可燃性ガス

9. 熱伝導式

高温の検知素子とガスが当たると、検知素子の温度が上昇します。ガスの種類により熱伝導度が異なり固有の値を持つため、温度変化の値と素子の抵抗値の変化からガス濃度を算出します。高濃度のガスの測定に適しています。
対象:可燃性ガス

参考文献
https://anabuki-m.jp/information/resolution/21895/
https://www.new-cosmos.co.jp/faq/gas/law/

グラファイトシート

グラファイトシートとは

グラファイトシートとは、グラファイトを薄いシート状にしたものです。

グラファイトは炭素の同素体であり、シートの平面方向への熱伝導率が非常に大きい金属シートです。グラファイトシートの用途は、放熱シートとしての使い方です。コンピューターのCPUの放熱・冷却、電子機器の冷却などに使用されます。

国産ではPGSグラファイトシート(PGS:Pyrolytic Graphite Sheet、パナソニック社登録商標) が、大きい熱伝導性と柔軟性を持つ結晶性グラファイトシートとして知られています。

グラファイトシートの使用用途

モバイル電子機器をはじめ、電子機器の軽量、薄型、小型化と同時に高性能・高機能化も進むにつれ、深刻になっているのが発熱の問題です。グラファイトシートは熱拡散・放熱に大きな効果を発揮します。

スマホ、携帯電話、デジカメ、タブレットPC・PC周辺機器、LEDデバイス関連といった家電製品の他にも、  半導体製造装置 (スパッタリング、ドライエッチングなど) 、 光通信及び基地局でも使用されています。

また、グラファイトシートの成分は炭素であるため、環境問題にならない点も普及の後押しとなり  、上記以外の様々な分野でも熱対策素材に活用され、急成長製品の1つです。

グラファイトシートの原理

1. 製造法の原理

天然のグラファイトは、ほとんどが粉末状であり、結晶化が困難な物質です。従来の人造結晶は、製造に長時間を要し高価でしたが、新規開発された方法は画期的に高品質・低コストといえます。

グラファイトシートの製造法は、簡単に言えば、特殊な分子構造の高分子フィルムを高温で熱分解して得られる結晶構造を、平面方向に高配向させる超高温焼成を行うだけの非常に単純な原理です。

炭素を含む高分子材料を酸素が無い状態で加熱していくと、500℃で水素、1,000℃で酸素、2,000℃で窒素と順次離脱していき、最終的に3,000℃まで加熱すると炭素原子だけが残ります。ポリイミドなどの特定の高分子素材の炭素原子を焼成して結晶化させると、「高品質グラファイト結晶」が得られます。これに対し、グラファイトシートは単純に結晶化を行うのではなく、2次元的に結晶化した炭素を層状に積み重ねたシート状のものを指します。

2. 特性

グラファイトシートの層という構造上、熱伝導性は面方向が非常に高く、厚さ方向には熱を伝えにくい特性があります。すなわち、沿面方向に素早く熱が伝わるという特徴です。層の厚さ方向の熱伝導率は、面方向の約1/200程度です。対象機器に貼るだけで大きな冷却効果が得られます。

また、製造に複雑な工程は必要なく、低コスト化が可能の上、物質としては炭素そのものなので、RoHS指令対応というメリットがあります。環境への負荷が非常に小さい物質です。

グラファイトシートの特徴

1. 高い熱伝導率

グラファイトシートの熱伝導率は、金属の中でも高い熱伝導率を持つの2~3倍程度、アルミの3~5倍、ダイヤモンドよりは多少劣るものの他の金属より高い熱伝導率を有します。電子部品の放熱に非常に効果が優れ、熱対策素材として利用が拡大しています。

2. 軽量

密度は0.85~1.00g/cm3であり、非常に軽い素材です。厚さは70~100μmと薄く、軽量です。

3. 特殊構造

グラファイトは、炭素が亀の甲のように連なった平面が、層を作った構造です。平面は6角形で構成されており、強い化学結合でつながっていますが、面と面の間は弱い分子間力が働いているだけです。そのため、面自体は丈夫ですが、面と面は簡単に剥がれる特徴があります。

4. 柔軟なシート

薄いシート状の素材であるので、加工が容易で繰り返しによる折り曲げが可能です。圧縮性に優れ、40%以上まで可能です。例えば、CPUの底面はある程度凹凸がありますが、グラファイトシートを貼ってねじ締めするだけで、シートが圧縮され、CPUの発熱を周囲に逃がす放熱シートになります。特に、冷却ファンを使用しないモバイル機器の冷却に欠かせないものです。

また、薄いシートですが、屈曲性が高く、3万回の折り曲げに耐えられます。曲面や角部などの狭小・複雑な形状の加工が容易です。

5. 電磁波シールド

電磁波シールド機能があり、放熱と同時に電磁波の問題が解決できます。

6. 耐久性

高純度炭素で高い化学的安定性があります。経年劣化がなく、環境負荷が小さい素材です。

参考文献
https://industrial.panasonic.com/jp/products/thermal-solutions/graphite-sheet-pgs/pgs
https://www.jst.go.jp/seika/bt63-64.html

アンギュラベアリング

アンギュラベアリングとは

アンギュラベアリング

アンギュラベアリングとは、軸と平行な方向の荷重(アキシアル荷重)と、1方向の軸と直角方向の荷重(ラジアル荷重)とを同時に支持できるベアリングのことを言います。

深溝ベアリングと類似していますが、違いがあります。深溝ベアリングの外輪の溝は、軸方向に左右対称ですが、アンギュラベアリングは、ある角度で外輪の溝が斜めの方向になっています。これにより、アキシャル・ラジアルの両荷重を支持できます。

アンギュラベアリングは、ポンプ・各種コンプレッサ・プレス機・エレベーター巻上機などの軸支持に使われます。

アンギュラベアリングの使用用途

アンギュラベアリングは、複数個をセットにして使用します。この場合、複数の組み合わせ方を変えて、単一の方向もしくは両方向のアキシアル荷重を支持できるように設計します。

1. 単列型

2個のベアリングを対向させ、内部すきまを調整して使用します。ラジアル荷重と1方向のアキシアル荷重を支持できます。軸受の剛性と回転精度が要求される工作機械の主軸などの用途に適しています。また、ポンプ・各種コンプレッサー・スクリュー冷凍機・エレベーター巻上機などにも使用されます。

2. 複列型

1個のベアリングの中に、一対のアンギュラベアリングを背面組合せ相当とした構造です。両方向のアキシアル荷重が支持できます。また、モーメント荷重を支持できるので、固定側ベアリングとして使用します。コンプレッサー・プレス機・無人搬送車・ベルトコンベアなどで使われます。

3. 組合せ型

単列タイプのベアリングを複数組み合わせます。外輪の正面を合わせた正面組合せ・背面を合わせた背面組合せ・同じ向きの並列組合せがあります。アキシアル荷重が単一方向ならば大きな負荷の支持が可能です。用途は、ポンプ・コンプレッサー・スクリュー冷凍機・エレベーター巻上機などです。

アンギュラベアリングの原理

アンギュラベアリングは、接触角を有することで、ラジアル荷重とアキシアル荷重をともに受けることが可能です。接触角とは、ベアリングにラジアル・アキシアルの両荷重がかかるとき、軸に直角な方向と、軌道輪と転動体との間にかかる荷重方向との角度を言います。

接触角が大きいほど、アキシアル荷重を大きく受けることができ、接触角が小さいほど、使用範囲が高速まで広がります。

ラジアル荷重がかかることによって、軸方向の負荷であるアキシアル荷重に分力が発生するため、複数のベアリングを合わせて用いて分力に対応しています。

アンギュラベアリングのその他情報

1. アンギュラベアリング向き・組付け

アンギュラベアリングは接触角があるため、複数で使用します。組付け方法は、背面組合せDB形・正面組合せDF形・並列組合せDT形・そのほかの3個以上の組合せなどがあり、それぞれ特性があります。

DB形は、ベアリングの背の面同士を合わせて組付ける方法で、一番多く用いられている組合せです。ラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重に対応できます。組合せの中で一番大きなモーメント荷重を受けることができます。

また、ベアリングが与圧タイプの場合、内輪をナットでセットするだけで適切なすきま調整が可能です。DF形は、ベアリングの正面同士を合わせて組付ける方法で、ラジアル荷重と両方向のアキシャル荷重に対応できます。モーメント荷重を受ける能力はDB形の方が優れています。

与圧対応の場合、外輪を押さえることで適切な隙間が得られます。DT形は、ベアリングを同じ向きに重ねる方法で、ラジアル荷重と1方向のアキシャル荷重に対応できます。アキシャル荷重を2個のベアリングで受けるので、片側方向のアキシャル荷重が大きい場合に使います。

2. 与圧

アンギュラベアリングのように2個のベアリングを対向させて使う場合、アキシャルすきまを負のすきまで使うことがあります。このような状態を「与圧を与える」といい、より大きなモーメントに対応できます。

特に、DB形(背面組付け)でこの効果が望めます。2つのアンギュラベアリングを背面組付けにすると、それぞれの接触角が開くため作用点の距離が大きくなり、モーメントに耐えることができるからです。

与圧は、モーメント対応力が大きいほかに、高速回転に適応できる、軸受の位置決め精度・回転精度が向上する、振動・異音が抑制される、などの効果があります。予圧レベルは通常、軽・中・重予圧の3種類があります。

予圧はリング端面を研磨することにより、内外輪の間に段差を設けることで設定します。また、内外輪スペーサの幅を段差加工することにより予圧の増減が可能です。

参考文献
https://koyo.jtekt.co.jp/2019/02/column01-04.html
https://www.nsk.com/jp/products/ballbearing/angularcontact/
https://www.jbia.or.jp/about/a_01_2.html
https://kashima-kagaku.com/column/1811-2/

オートクレーブバッグ

オートクレーブバッグとは

オートクレーブバック

オートクレーブバッグとは、オートクレーブ (高圧蒸気滅菌器) と呼ばれる装置を用いて、器具や廃棄物等を滅菌処理する際に利用する袋のことです。

オートクレーブとは、飽和蒸気の存在下で圧力を加えて加熱することで、滅菌を短時間で行うことができる装置です。オートクレーブバッグは高温・高圧下で使用されるため、耐熱性の高いポリプロピレンが多く用いられています。

また、オートクレーブ処理の目的に応じて、様々な形状や加工が施されたバッグが存在します。

オートクレーブバッグの使用用途

オートクレーブバッグは、実験器具の滅菌、あるいは感染やバイオハザードの恐れがある実験廃棄物・医療廃棄物の滅菌処理に用いられます。

1. 無菌状態の維持

無菌操作が必要な実験で用いる器具をバッグに入れて滅菌し、密封を保つことで、使用まで無菌状態を維持します。

2. 滅菌処理

医療機関等やバイオ系実験室から排出される感染性 (バイオハザード) 廃棄物をそのままオートクレーブバッグに入れ、オートクレーブ処理にかけ滅菌することで、排出場所から持ち出さずに滅菌処理します。

オートクレーブバッグの原理

滅菌したい器具あるいは廃棄物をオートクレーブバッグに入れて、オートクレーブ処理を行います。オートクレーブバッグには、実験前に器具を滅菌するためのものと、感染性廃棄物 (感染のおそれがある採血管、血液を扱ったピペット、培養後のシャーレ類など) を廃棄前に滅菌するためのものがあります。

1. 実験準備として器具を滅菌する場合

器具類を滅菌するためのオートクレーブバックは、滅菌バッグと呼ばれるのが一般的です。滅菌バッグは、通常、片面がフィルム面、片面が紙面 (フィルター面) になっています。紙面は微生物は出入りできませんが、気体は透過することができるため、ガス滅菌の場合にも有効です。

オートクレーブで滅菌する場合にも、蒸気の出入りが容易になったり、圧力変化に容易に対応できたりする利点があります。オートクレーブ前に器具などを収納しますが、収納後に密封するためヒートシールできるようになっているのが一般的です。また、一般的な滅菌バッグには、温度インジケータが印刷されており、確実にオートクレーブ滅菌ができたかを確認できるようになっています。

使用まで無菌性を保つポイントは、微生物の侵入を防ぐことです。そのため、バッグに穴が開かないように、ガラスシリンジやピンセットなどを入れるときには、先端部から落とし込むのを避けます。滅菌前に完全にシールします。

2. 感染性廃棄物を滅菌する場合

オートクレーブ用廃棄バッグは、耐熱性のポリプロピレン製のゴミ袋です。袋の口を開けて保持する器具が付属している場合があります。耐熱性のバッグに廃棄物を投入し、一杯になったら袋の口元を口締めバンドなどで緩く締めます。

廃棄バッグをオートクレーブにかけるときには、オートクレーブ前に完全に締める必要はなく、オートクレーブ中の圧力変化に対応することを見越し、緩くしておくのが一般的です。その後、そのままオートクレーブにかけて滅菌します。滅菌後に廃棄する際には、口元をきつく締めて処理します。

オートクレーブバッグのその他情報

オートクレーブにかけるときの注意点

オートクレーブは130℃までの耐熱性があり、水に濡れてもよいものをかけることができます。オートクレーブにかけることができるプラスチックは、ポリプロピレン (PP) とポリカーボネート (PC) です。

なお、滅菌後廃棄する場合には、必ずしも内容物の耐熱性は重要ではありません。例えば、ポリエチレンの内容物が変形・破損したとしても、ポリプロピレンのオートクレーブバックは熱に耐えるため、廃棄物として取り扱うことは可能です。

滅菌時にはオートクレーブ用のカゴなどを利用し、なるべく袋同士が干渉しないようにオートクレーブに入れます。オートクレーブで加圧・減圧するときにバッグが膨張する場合があり、干渉してバッグが破損する可能性があるためです。

また、割れたシャーレや試験管、針など鋭利なものを直接入れると、袋が破れる危険性があるため、鋭利物はプラスチックの小箱や金属缶にまとめたうえでバッグに入れます。

参考文献
http://www.kenq.net/dic/67.html
https://www.yamato-net.co.jp/word/70/
https://www.env.go.jp/recycle/kansen-manual1.pdf
https://m-hub.jp/biology/2798/183
https://biomedicalhacks.com/2020-07-22/autoclave-dryheatsterilization/
https://biomedicalhacks.com/2020-07-16/plastic-autoclave/
https://dhlife.net/sterilization-bag/
https://www.atect.co.jp/bio/products/pdf/haikibag.pdf
http://alpco.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/sterilize_bags.pdf
https://dhlife.net/sterilization-bag/
https://www.nichigi.co.jp/products/mekkin/bag_index.html 

イオン測定器

イオン測定器とは

イオン測定器とは、様々なイオンを測定する機器の総称です。

一般的にイオンカウンタが空気中のイオンを測定する装置を指すのに対し、イオン測定器は鉱物専用のイオン測定器や、水溶液中のイオン濃度を測定する装置など、専門的な装置が含まれます。

しかし、専門分野を除く一般的な解釈としては、イオンカウンタとイオン測定器はほぼ同義です。そのため、本記事では鉱物専用及び水溶液中のイオン濃度を測定する装置について記載します。

イオン測定器の使用用途

イオン測定器は、放射性物質を含む鉱物の周囲のイオン濃度の測定に用いられます。このような場合に使用されるのが、鉱石専用型のイオン測定器です。鉱物専用型の測定器は空気の流れ等の影響を受けず、測定ごとのバラツキも少ないため安定した測定ができます。鉱物のイオン測定の用途は研究、新しい建築素材などを検討、鉱物ブレスレットなどの作成などです。

鉱物以外では、水溶液中のイオン濃度にイオン測定器が用いられます。例えば、排水設備から排出される不純物濃度の管理や、商品開発 (Ag+など) において、イオンを含む材料を使用する際の測定器として利用されています。

イオン測定器の原理

鉱物専用型は、鉱物から放出される放射線を検出し、イオン量に換算します。測定器の下に測定物を置いてから数十秒の測定時間を取り、その間検出されたイオンの数の平均値を表示するタイプが市販されています。測定原理から、放射線が出ていない鉱物に対しては測定できません。

水溶液中のイオン濃度の測定の原理は、1975年に発表された高速イオン交換クロマトグラフィーが起源です。比較的歴史の浅い分野ですが、わずか数十年の間に多種多様な検出方法が開発されてきました。現在、市販品で最も一般的な装置として小型化可能な吸光光度法を用いたものがあります。

吸光光度 (UV) 測定器には3種類あり、試料のイオンのUV吸収の有無で使い分けます。

1. 直接UV法

直接UV法は溶離液にUV吸収のない、あるいは吸収の小さいものを用い、UV吸収を持つ試料イオンを測定します。

2. 間接UV法

間接UV法はUV吸収を持つ溶離液を用い、UV吸収を持たない試料イオンを分析する場合に用いられます。

3. ポストカラム反応一吸光光度法

ポストカラム反応一吸光光度法は試料イオンを分離した後に反応試薬と混合し、UV吸収を持つ化合物に変えてから検出します。

直接UV法、及び間接UV法は比較的手軽に利用できますが、ポストカラム反応一吸光光度法は試料を別に準備するという手間がかかるため、一般向けではありません。

イオン測定器のその他情報

1. イオン測定器の測定範囲

イオン測定器によるイオン濃度の測定可能範囲は、基本的に10の-1乗mol/Lから10の-7乗mol/Lの範囲です。ただし、イオン電極の種類や構造によって測定範囲は異なるため、測定をする際には標準液による基準を設けたうえで試料を測定する必要があります。

2. イオン測定に対する外部ファクターの影響

イオン測定を行う際には、以下5つの外部ファクターが測定に影響を及ぼします。

pH (potential of hydrogen) ファクター
イオン電極の種類や構造によっては、イオン応答部分の成分がサンプルpHの影響を受け、イオン電極が溶解もしくは電極電位が変化する場合があります。さらに、pHの影響によりイオン電極の感度が低下したり、検量線が平行移動するケースもあります。

そのため、イオン測定ができるサンプルpHレンジには限りがあると考えるべきです。イオン測定が可能なサンプルpHレンジは、一般的に対象イオン濃度が低くなるにつれて狭くなります。

温度ファクター
イオン電極により測定される電位勾配は、サンプル自体の液温の影響を受けて変化が生じます。そのため、基準となる標準液の液温とサンプルの液温は等しくしなければなりません。基準液とサンプルの液温が異なる場合は、測定結果に影響を及ぼします。

攪拌ファクター
サンプル液の攪拌状態は、測定結果の電極電位、応答速度等に対して影響を及ぼします。そのため、測定自体に悪影響を及ぼさない程度の一定の速度で攪拌し測定しなければなりません。

光ファクター
イオン電極の中には、光の影響により電位が変化し測定結果に影響のある電極があります。そのため、光による影響を受けるイオン電極で測定を行う際は、遮光ビーカーを用いて遮光しなければなりません。

共存イオンファクター
イオン電極はイオン選択性に富んでおりますが、全てのイオンから影響を受けないイオン電極は存在しません。そのため、イオン電極に対する共存イオンの影響を考慮し、その影響を少しでも回避するような方策を実施すべきです。

参考文献
https://kikakurui.com/b9/B9929-2006-01.html
https://www.n-ion.com/product/counter/eb-17/#11
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jswe1978/11/2/11_2_79/_pdf

アクリルエマルジョン

アクリルエマルジョンとは

アクリルエマルジョンとは、アクリル樹脂を水中に分散させた溶液です。

アクリル樹脂はマイクロサイズの微粒子として、溶液中に分散しています。外壁塗料としては、以前は溶剤系塗料がよく使用されていました。

しかし、シンナーなどの有機溶剤は健康に悪影響を及ぼす可能性があること、揮発時に強い臭いが生じることなどから、アクリルエマルジョンが多く使用されています。

アクリルエマルジョンの使用用途

アクリルエマルジョンは、一般接着剤やテープの粘着剤、繊維加工やフィルムコーティング、医療分野などさまざまな分野で使用されています。特に建築物の外壁用塗料として使用されることが多いです。

アクリルエマルジョンの原理

アクリルエマルジョンは、アクリル樹脂が水中に均一に分散した溶液です。ただし、樹脂と水は相性が良くありません。アクリル樹脂を形成するモノマーを水の中に混合しただけでは分離し、沈殿します。そのため、アクリルエマルジョン製造時には、水になじみやすい親水基と、樹脂になじみやすい疎水基を持つ乳化剤の添加が必要です。

水中にアクリル樹脂を形成するモノマーと乳化剤を分散させると、乳化剤の集合体「ミセル」の中にモノマーが取り込まれます。このとき、モノマー表面の乳化剤は、水側に親水基、樹脂側に疎水基が配置された状態です。さらに、溶液中には重合開始剤が入っており、ミセル間で重合反応が起こり、モノマーが結合されて樹脂が形成される仕組みです。

樹脂表面には乳化剤があるため、水と反発しあうことなく水中に分散しています。このとき、各粒子の表面の乳化剤による電荷は同じであり、もし粒子同士が接近しても静電反発力 (斥力) により離れていき、均一に分散します。

アクリルエマルジョンのその他情報

1. アクリルエマルジョンの絵の具

アクリルエマルジョンの絵の具は、水のみで簡単に溶け、水分を乾燥させることでアクリルによる耐水性が発揮される絵の具です。また、溶剤が不用なことから人気があります。

アクリルエマルジョンの絵の具としては、半艶で透明感のある色を呈するアクリル絵の具と、不透明な色を呈するアクリルガッシュがあります。

アクリル絵の具
アクリル絵の具は塗ったばかりの時は、顔料、水、アクリル樹脂が混在しており、乳白色です。そのあと、時間の経過によりアクリルが硬化するとともに、水分が乾燥もしくは塗ったものに吸収されると、本来の色に変わる特性をもちます。このアクリルエマルジョンの絵の具は、アクリルが硬化してしまうと、なかなか落とせないのも特徴です。

なお、アクリル絵の具は、硬化を利用した重ね塗りが可能で、色の濃さを調節できます。また、アクリル樹脂の柔軟性を利用して、セメントや金属などの硬いものはもちろん、衣類への柔らかいものにも塗装が可能です。

アクリルガッシュ
アクリルガッシュは、アクリル樹脂を少なくし、顔料を多くしたことが特徴のアクリルエマルジョンの絵の具です。下層の色を覆うような色が特徴で、つや消し効果があります。広範囲の塗装にも便利で、乾いても筆ムラがでにくいのも特徴です。油性塗料との相性もよく、アクリルガッシュ塗料の上に油性塗料を重ね塗りできます。

一方、アクリル樹脂が少ないことから、柔軟性がないのがデメリットです。一度に厚く塗れないため、重ね塗りが必要です。また、付着力も弱く、屋外での使用には向いていません。

2. アクリルエマルジョンの塗料のメリットとデメリット

アクリルエマルジョンの塗料は、耐アルカリ性が高いため、外壁などのコンクリート面によく使用されています。アクリルエマルジョンの塗料は、水にアクリル樹脂が分散しており、塗布後、水分が乾いて硬化します。このため、施工時に有機溶剤の揮発がなく、人体に及ぼす影響が低いことや臭いがないことがメリットです。また、価格が比較的安価であることもメリットです。

一方、デメリットは、耐用年数が5〜7年程度といわれており、塗料の中でも耐用年数が短くなっています。また、浸透性が良すぎる特徴をもち、外壁塗装に使用した場合に外部の湿気を室内に通してしまう可能性があるため、湿気が多い立地の建物には向いていません。

参考文献
https://www.j-proof.co.jp/dictionary/614/
http://www.saiden-chem.co.jp/t_about_ema.html
https://www.etec.jsr.co.jp/technical/97/
https://sanmaru-m.co.jp/blog/2016/01/19/129
https://www.carbide.co.jp/product/emulsion/
https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/surfactant
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sccj/44/2/44_103/_pdf
https://www.art-tips.com/acrylic/a2-aqueous.html
https://sanmaru-m.co.jp/blog/2016/01/19/129