熱風発生装置

熱風発生装置とは

熱風発生装置 (英: hot air generator) とは、熱風や温風を発生させるヒーターなどの装置です。

瞬間的に大量の熱風を生成できるため、短時間で目的とする用途に適しています。シンプルな構造で容易に風量や温度を調節可能で、操作性に優れているのが特徴です。

また、外付けで送風口に用途にあった形状のノズルを取り付け、送風の方向や範囲を決められるため、より効果の高い使い方が期待できます。

熱風発生装置の使用用途

熱風発生装置は、高温の熱風を利用して空調などで室内の温度を上昇させるほか、工業用途で、乾燥、加熱、殺菌、溶解などを行うことができます。食品製造、薬品製造、工業分野などで幅広く使用されており、用途例として乾燥設備や、食品・薬品などの製造設備、製鋼・化学などの製造設備や、空調設備などが挙げられます。

具体的には、熱風によるビンなどの熱殺菌や、化学繊維・金属・熱可塑性の樹脂などを高温で溶解するケースです。また、室内の空気を上昇させる目的で、暖房などの空調設備や農業ハウスの加熱として利用する場合もあります。

また、半導体製造装置では、排気管のホットN2パージに、電子部品基板の熱処理に使われます。さらに、乾燥炉内の昇温・加熱・乾燥・焼付けに、洗浄後の水滴除去・乾燥、電子部品の接着後の乾燥・硬化、塗装部品の予熱・乾燥なども用途の1つです。

熱風発生装置の原理

熱風発生装置は、温度調節部分と送風部分などで構成されます。外部の熱を温度調節部分の熱源で加熱し、加熱された空気を送風部分から外部に放出させて熱風を送り込みます。

温度調節の方式は、さまざまです。バーナーと燃焼ガスによって直火を熱源として熱風を生成する直接加熱方式、燃焼炉などからの熱を取り込んで熱交換器を使って間接的に空気を加熱する間接加熱方式、及び電気を熱源とする電気加熱方式などがあります。

60℃前後の低温熱風から、1,000℃前後の高温熱風を発生できます。燃焼による加熱方式よりも、電気方式の方が安全性が高く、細かい温度調節が容易である点が有利です。燃焼式の利点として、コストが低いことが挙げられます。

熱風発生装置の特徴    

1. 広範囲の熱風温度

熱風発生装置の吐き出し温度は、60℃程度の低温域から、1,000℃以上の高温域まで可能です。また、0.1kWクラスから、1,000kW以上の広範囲の容量があります。    

2. 精密な温度制御

対象物に対し温度制御が可能です。特に電気加熱方式は、精密な温度調節が容易にできます。    

3. 大風量の加熱

高温で大風量の加熱が可能なので、対象物を非常に速く加熱できます。また、長時間の加熱も可能です。    

4. 高い安全性

燃焼加熱方式では、外板の断熱、燃料系・燃焼ガス系の安全監視システムにより、万全を期しています。電気加熱方式でも、同様の安全制御を行っています。

熱風発生装置のその他情報

1. 熱風発生装置の規格

燃焼式の加熱装置には、日本産業規格JIS B 8415-2 工業用燃焼炉の安全通則第2部があります。ガス燃料・液体燃料・多種燃料、バーナー部分、配管、制御装置、安全機器、各部の材質、試験法など多岐にわたって、安全通則が定められています。

製造業者は、この通則に基づいてチェックし、必要な情報を取扱説明書に記載します。

2. 熱風発生装置の実施例

直接加熱熱風循環式システム
直接加熱熱風循環式システムは、乾燥室などの加熱・乾燥に応用した循環式のシステムです。直接加熱方式の熱風発生装置の熱風を乾燥室などに送風し、リターンダクトで熱風発生装置へ戻して再加熱して、再び乾燥室などへ送風します。

乾燥室の湿度が高い空気の一部を排気放出するため熱ロスの無駄がなく、効率が高い方法です。

間接加熱熱風循環式システム
熱交換器を使用した間接加熱方式です。熱風発生装置の熱風を熱交換器により、加熱部の空気を循環させて間接加熱します。

参考文献
https://nnh-kk.jp/products/hot-air/
https://teitokusha.co.jp/haga/
https://www.nippon-heater.co.jp/products/gas/hotwind/

熱流体解析ソフト

熱流体解析ソフトとは

熱流体解析ソフト

熱流体解析ソフトとは、流体の流れや熱の移動をモデル化した方程式をコンピュータを用いて解くことで、シミュレーションによって表現し、それを解析することができるソフトです。

一般に、液体や気体などの流体の流れる動きを実験などを通して実際の現象から読み取ることは困難です。シミュレーションを用いて可視化すれば、目に見えにくい”流れ”を視覚的に捉え、定量的な分析ができるようになります。

熱流体解析ソフトでは、流体の速度や、圧力の大きさ、温度の分布、状態変化などを表現した上で視覚的に捉えることが可能です。最適な流路の選択や対象物の形状、シミュレーション設定時の最大到達温度などを確認したり、解析したりする際に役立てられています。

熱流体解析ソフトの使用用途

熱流体解析ソフトは、工学や産業分野、宇宙産業や航空機器産業など、さまざまな分野で用いられています。熱や流体は実際に視覚でとらえることが難しいため、シミュレーションが有効です。

さらに、宇宙産業や航空産業などでは、費用や物理的観点から、実際に何度も実験を行うことができません。そこで、シミュレーションを通して解析を行い、さまざまな環境における可能性を検証することが非常に重要です。

例えば、航空機器などでは、尾翼の形状を設計する際に、熱流体解析ソフトを用いてシミュレーションを行います。最適な尾翼の形状を選択するのに有用です。この他にも、配管を通る流体の動きや圧力の変化、スクリュー羽根などの回転の様子など、幅広く熱流体解析ソフトが利用されています。

熱流体解析ソフトの原理

図1 熱流体解析ソフトの基本方程式

図1. 熱流体解析ソフトの基本方程式

熱流体の基礎方程式として、連続の式 (質量保存) 、運動量保存の式 (ナビエ・ストークス方程式) 、エネルギー保存則 (エネルギー保存) の3つの方程式があります。熱流体解析ソフトでは、これらの物理法則に基づき、方程式をコンピュータで解くことで様々な物理量を導いています。

1. 連続の式 (質量保存)

流体が何も無い空間中から勝手に湧き出してきたり,何も無い空間中で突如消えたりするという、いわゆる「無から有を生じる」ことは無いという規則です。

2. 運動量保存則 (ナビエ・ストークス方程式)

物体の運動の激しさは、なにか外から力を与えない限り変化しないという法則です。実際はニュートンの運動方程式から導かれます。

3. エネルギー保存則

エネルギーも外から与えない限り、勝手に増えたり減ったりしないという法則です。エネルギーは温度などの内部エネルギー、速度などの運動エネルギーなどがありますが、その総和をとると同じになります。

熱流体解析ソフトの構成

図2 熱流体解析ソフトの構成

図2. 熱流体解析ソフトの構成

商用の熱流体解析ソフトは、モデル作成部分と、シミュレーション実行部分、さらにポスト処理部分がセットになっていることが多いです。しかし、中にはシミュレーション実行部分 (ソルバ) だけのものやモデル作成部分専用のソフトなどもあります。

1. 前処理部分

前処理とは、熱流体解析を行う形状を作成する工程のことです。多くの場合、3DCADでつくったSTEPやIGES,Parasolidなどのファイル形式を利用することができます。

熱流体解析ソフトでは、さらに作成した構造のどこが流体の流入する部分なのか、どこが温度一定の部分なのかといった境界条件を設定する機能が備わっています。計算を実行するためには、モデルの形状をメッシュとよばれる格子で表現します。

このメッシュを綺麗に作成することが解析の速度を上げ精度を高める重要な要素です。モデル作成ソフトでは、大きさなどを簡単に選択して、自動的に品質の高いメッシュを生成する機能が備わっています。

2. 解析部分

通称ソルバと呼ばれる部分を指しています。狭義での熱流体解析ソフトとは、この部分を指しています。ソルバは連続の式や運動量保存式、エネルギー保存式などを解く機能が備わっています。

昨今はより複雑なモデルを解く機能が備わっていたり、コンピュータの性能の向上に対応して計算を高速で行ったりすることが可能です。

3. 後処理 (ポスト処理) 部分

解析結果を3Dモデルなどで可視化することで、より直感的に解析結果を理解することができます。解析機能は製品によって特長が分かれる部分です。

計算結果から圧力や温度の分布を色の違いで示したコンター図や流れの様子を矢印で示したベクトル図、線で表した流線図などを作成します。

熱流体解析ソフトの種類

図3 熱流体解析ソフトの機能概略

図3. 熱流体解析ソフトの機能概略

まず流体の表現方法には大きく分けて下記の2つが存在します。1つの空間を離散化する方法です。有限要素法、有限体積法が有名な方法として挙げられます。

一方、流体を粒子の集合体として表現する粒子法という手法も存在します。このように、様々なCAE特有の手法や技術・機能があるため、シミュレーションしようと思う現象に応じて、その都度、最適な手法や条件を設定する必要があり、その機能をもったソフトを選定することが大切です。

熱流体解析ソフトにもシンプルで扱いやすく設計されたものから、熱流体解析のプロが扱うような多機能なものが存在します。各社さまざまですが、おおよその機能を図3に示します。解析したい現象が何で、何が必要なのかを検討することが大切です。そのほか、ライセンス料金体系にも違いがあります。使用目的と必要な機能を明確にしたうえで、最適なソフトを選定します。

参考文献
https://www.cadjapan.com/products/search/industry_manufacture/cae_netsu.html
https://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/FloEFD_1.htm
https://www.sbd.jp/products/flow/solidworks_flow_simulation.html
https://www.cradle.co.jp/product/stream.html

無振動ドリル

無振動ドリルとは

無振動ドリルとは、従来のドリルのような打撃による穴あけ加工ではなく、ピット部分の回転で穴あけ加工を実現する切削工具のことです。

無振動ドリルの特徴は、打撃が不要であるため、振動や衝撃による騒音が大幅に低減される点にあります。従来のドリルで起こりがちな衝撃による騒音問題が解消され、静かな作業環境の実現が可能です。

また、騒音だけでなく、無振動ドリルは母材への衝撃も抑えるため、欠けや削れが発生しにくくなります。さらに、母材へのダメージが少なくなり、仕上がりのクオリティも向上します。

無振動ドリルは、従来のドリルの問題点を解決し、静かで高品質な穴あけ加工が可能な切削工具として、多くの現場で重宝されています。

無振動ドリルの使用用途

無振動ドリルは、振動や衝撃による騒音が発生しないため、人がいる建物での作業に使用されます。従来の穴あけ加工では、打撃による振動や衝撃と騒音が発生し、作業日時の調整が必要でした。しかし、無振動ドリルを使用すれば、騒音が出ないので、同一建物に人がいても作業がしやすくなります。

特に、オフィスビルやマンション、病院など人が多く集まる建物では、無振動ドリルが有用です。コンクリートの壁面や床面にドリルで穴あけ加工を行う際に、無振動ドリルが重宝されています。

無振動ドリルの原理

無振動ドリルの原理は、先端にダイヤモンドなどの高硬度材料でできたピット部分が高速回転することで穴あけ加工を行っている点にあります。そのため、打撃や衝撃が少なく、振動を抑えることが可能です。

また、ピットが高速回転することで発生する摩擦熱を冷却するため、作業時に水やガスを吹き付けます。そのため、ドリルが焼け付くのを防ぎ、効率的に作業を進めることが可能です。

さらに、押し付ける力を緩和するためにゴム製のプッシュ部分が取り付けられており、振動をさらに抑えられます。また、ピットの大きさを変更することで、加工したい穴の大きさも調整することが可能です。

無振動ドリルは、高速回転するピットと冷却システム、ゴム製のプッシュ部分の組み合わせによって、振動を抑えつつ効率的な穴あけ加工を実現しています。従来のドリルで発生していた騒音や振動の問題を解決し、さまざまな現場で快適に作業が行えるようになりました。

無振動ドリルの種類

無振動ドリルには、主にダイヤモンドコアドリル、カーバイドコアドリル、ハンマードリルの3種類があります。

1. ダイヤモンドコアドリル

ダイヤモンドコアドリルは、先端にダイヤモンドを使用したピットを持つドリルです。硬度の高い材質への穴あけに適しています。コンクリートや石材、タイルなどに効果的に穴を開けることが可能です。また、高速回転と冷却システムにより、振動を抑えつつ正確に穴あけをできます。

2. カーバイドコアドリル

カーバイドコアドリルは、先端にタングステンカーバイドを使用したピットを持ち、一般的な無振動ドリルよりも経済的です。コンクリートやブロック、レンガなどの加工に適しており、ダイヤモンドコアドリルと比較しても優れた耐久性と切削性能を発揮します。

3. ハンマードリル

ハンマードリルは、従来の打撃式ドリルと無振動ドリルの中間に位置するタイプのドリルで、電動または空気圧式で動作します。先端にピットを持たず、代わりに回転と同時に打撃を行うことで穴あけ加工の実現が可能です。

そのため、振動は若干発生しますが、従来の打撃式ドリルよりも振動が抑えられています。主に木材や金属、プラスチックなどの軟らかい素材への穴あけに適しています。

参考文献
https://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/product_catalog.html?product_code=PK90020
http://www.goei-dia.co.jp/images/new/05_35/mizusumashiG1.pdf

水蒸気発生装置

水蒸気発生装置とは

水蒸気発生装置とは、水を加熱して水蒸気を生成する装置のことです。

水の加熱には、タービンや燃焼炉などを用いる方法と電力を用いる方法があります。電力を使用する加熱にはヒーターを用いる電熱式のほかに、水そのものに電気を流す電極式や電磁誘導を利用する方法などがあります。

水蒸気発生装置の使用用途

水蒸気の用途

図1. 温度により変わる水蒸気の用途

水蒸気発生装置は食品業界に大きな需要があり、電子レンジやオーブンなどの家庭用調理器に内臓されている事例数も多いです。食品以外の業界においても、樹脂やプラスチック材料の焼成・炭化処理・軟化処理や金属・ガラスなどの加熱加工や洗浄・乾燥処理、器具の殺菌、あるいはゴミの減容や焼却などに使われています。

特に、クリーンスチーム発生装置やピュアスチーム発生装置は、高い清浄性が求められる食品・製薬・医療分野や、半導体・化学工場での部品洗浄と乾燥、研究所の滅菌工程やクリーンルームの加湿などに不可欠です。温度100℃以上の飽和水蒸気を用いれば、酸化を起こさずに食品の調理・焙煎・焼成や殺菌・乾燥などを行うことができるため、さまざまな分野で重宝されています。

水蒸気発生装置の原理

水蒸気発生装置は、求められる純度に応じて原料水 (水道水など) から不純物を取り除くための軟水器あるいは純水製造装置と純化処理された水の貯留タンク、そして水蒸気を生成する加熱部分で構成されます。

1. 高純度水蒸気発生装置

水蒸気発生装置

図2. 過熱水蒸気発生装置とクリーンスチーム発生装置

水蒸気の純度を高めるためには、原料の水の純度が高いことと、製造工程で不純物や飛沫水の混入を防ぐことが重要です。 クリーンスチームやピュアスチームを得るためには、蒸気の元となる水からの異物除去を徹底する必要があり、原料として用いられるのは純水あるいは超純水です。

また、蒸気発生装置の水と接する面 (内面) からの成分溶出を抑えるため、内面全てをステンレスで覆います。さらに、汚染物質を多量に発生するボイラーなどを直接の熱源とはせずに、別途発生させた蒸気を熱源としてステンレス製の熱交換器を用いることで、原料水を加熱する方法が一般的です。

2. 過熱水蒸気発生装置

通常の水蒸気発生装置で発生した水蒸気をさらに加熱するために、電熱ヒーターなどを用います (図2) 。加熱空気 (熱風) と比べた場合の過熱水蒸気の利点は、保有熱量が極めて大きいことと、酸素をほとんど含まないことです。

そのため、酸化反応による劣化や火災・爆発などの事故を防ぎながら、食品や機械部品などの乾燥や加熱加工を効率よく行えます。温度が170℃を超えると、過熱水蒸気の乾燥能力が同じ温度の空気 (熱風) を上回るとされています。

水と空気の保有熱量の差

図3. 過熱水蒸気と加熱空気の保有熱量の差

過熱水蒸気中に物体を置くと、複雑な形状であっても隅々まで水蒸気が行き届くため、物体を均一に加熱することが可能です。物体が加熱されて表面温度が100℃を超えると、表面の水が急速に蒸発して乾燥が促進され、さらに加熱を進めると炭水化物の炭化が起こります。

水蒸気発生装置の種類

1. 過熱水蒸気発生装置

水は1気圧下で100℃を超えると、全て蒸発して水蒸気となります。この水蒸気をさらに加熱して超高温の水蒸気を作るのが、過熱水蒸気発生装置です。

専用の高圧容器の中で発生させる過熱水蒸気は研究機関などで使用されていますが、大型で高価な装置を必要とし、高圧水蒸気そのものの取り扱いが難しいため、用途は限られます。そのため、一般的に用いられるのは、大気圧下で使用される常圧過熱水蒸気です。

最高温度が1,200℃という過熱水蒸気を発生させる製品もありますが、通常は500℃以下での使用事例が多くなっています。

2. 高純度水蒸気発生装置

発生させる水蒸気が過熱水蒸気かどうかにかかわらず、食品加工、半導体の洗浄、医薬品の製造などでは、不純物や飛沫の混入をできるだけ抑えた純度の高い水蒸気を求められる場合があります。このような需要に合致するものが、クリーンスチーム (蒸気) 発生装置あるいは ピュアスチーム (蒸気) 発生装置として販売されています。

  普通の蒸気 クリーンスチーム ピュアスチーム
用途例 一般加熱用途 食品加工 医療機関等での滅菌・加湿、化粧品製造 製薬、SIP(定置殺菌)
給水の質

軟水

+清缶剤等

軟水

+食品添加物等

純水 超純水
配管等の材質 炭素鋼や鋳鉄等 ステンレス
浄化方法 フィルター 純度の高い原水を用い、汚染の無い製造環境を保つ

 

参考文献
https://www.shinnetsu.co.jp/products/product04/
https://www.racoon.co.jp/product/ps.html
http://www.dhf.co.jp/products/machine/induction/steam/
https://www.aperza.com/catalog/page/5941/15558/
https://www.nomura-genesis.com/duties/
https://www.tokuden-upss.com/

気流粉砕機

気流粉砕機とは

気流粉砕機とは、空気を利用して対象物を粉砕加工する画期的な機器です。

特徴として、高速な気流渦を作り出すことで、構造がシンプルになり、清掃やメンテナンスが容易になる点が挙げられます。また、空気量や回転数の調節により、原料の粒度を自由に設定することが可能です。

さらに、気流粉砕機は原料同士を粉砕する自己粉砕方式を採用しており、空気が緩衝材として働くため、温度上昇が抑制されます。短時間で成分の構造に損傷を与えずに加工が可能です。このような特徴から、気流粉砕機は製薬、食品、化学など幅広い分野で活用されています。

気流粉砕機はシンプルな構造で清掃やメンテナンスが容易です。粒度調整が可能で、短時間で損傷なく加工できるため、多岐にわたる産業で重宝されています。

気流粉砕機の使用用途

気流粉砕機は、自己粉砕方式が採用されているため、金属同士の摩擦や衝突がなく、異物混入のリスクが低いという利点があります。そのため、食品や薬品など品質が重要な分野でも安心して利用することが可能です。

具体的には、食品、漢方、医薬品、化学品、樹脂、鉱石などの原料を粉体加工する際に用いられています。例えば、穀類の粉砕において、小麦粉や米粉などを効率的に加工することが可能です。また、香辛料を粉末化する際にも使用され、原料が持つ内部構造に損傷を与えず、食品本来の成分を活かせます。

気流粉砕機は、さまざまな分野でその性能を発揮しています。異物混入のリスクが低く、食品や薬品など安全性が求められる分野での信頼性は高いです。また、原料の内部構造を損傷せずに粉砕が可能なため、素材本来の成分を活かした製品を作成できます。

気流粉砕機の原理

気流粉砕機は、スクリュー羽を用いて高速気流を発生させ、粒子同士が衝突することで粉砕を行います。また、粒度に応じて原料を分離することが可能です。具体的には、粒度より小さくなった原料やかすは上昇気流とともに排出されます。

一方、設定した粒度に粉砕されるまでの原料は留まり続けます。この原理により、他の粉砕加工の粉体に比べて粒度が細かく、ばらつきも小さい均一な粒度になるという点が特徴です。

気流粉砕機の原理は、製品の品質向上や効率的な加工を実現します。例えば、食品や薬品の製造では、粒度の均一性が重要です。その品質が向上することで、消費者が安心して購入できるようになります。

また、省エネルギーで粉砕を行うため、環境にも配慮した製造が可能です。さらに、異物混入のリスクが低く、清掃やメンテナンスが容易であるという利点も生み出しています。

気流粉砕機の種類

気流粉砕機は、主にジェットミル、乾式メディアミル、流体エネルギーミルの3種類に分類されます。適切な種類の気流粉砕機を選択することで、効率的かつ高品質な製品の製造が可能となります。

1. ジェットミル

ジェットミルは、圧縮空気や蒸気を高速で噴射し、粉砕したい物質を微細な粒子にするタイプの気流粉砕機です。高い粉砕能力から、医薬品や化学品の製造など、精密な粒度制御が求められる分野で広く使用されています。

2. 乾式メディアミル

乾式メディアミルは、物質と粉砕媒体 (ボールやロッドなど) を同時に投入し、気流によって粉砕を行うタイプの気流粉砕機です。粉砕物質と媒体が衝突することで、粉砕が行われます。金属、セラミックス、樹脂など多様な素材の粉砕に適しており、粒度の均一性も高いのが特徴です。

3. 流体エネルギーミル

流体エネルギーミルは、物質を高速気流によって高圧状態にし、急激に膨張させることで粉砕を行うタイプの気流粉砕機です。この方法により、熱による成分変化や劣化を防ぎつつ、微細な粒子を生成することが可能です。

食品や薬品の加工に適したタイプで、高い品質が求められる分野で利用されています。

参考文献
https://www.econmw.co.jp/116/
https://www.nc-kakouki.co.jp/index_s_funsaiki_010.html
http://www.kurimoto.co.jp/product/tag/tag_606.php
http://www.masuko.com/product/CerenMiller.html

放射照度計

放射照度計とは

放射照度計とは、光源から放たれた光の放射照度を計測する機械のことです。

放射照度とは、単位面積当たりに入射する放射束と定義され、放射束とは光の放射されるエネルギーの大きさを指します。つまり、放射照度とは、ある光源から光が放出された際に、単位面積に届く光のエネルギーの大きさのことです。

このため、放射照度計で計測する「放射照度」の単位はW/m2 (ワット毎平方メートル) を用います。人間が何か活動する際に必要となる周辺の明るさは、状況により異なります。単純に周辺が明るければいいというものではありません。

さらに、「明るさ」を計測するためには、人間の目は適切ではありません。なぜなら、人間の目は周辺の明るさに適応する性質があり、客観的な評価に不向きなためです。放射照度計を用いて、周辺の明るさを客観的に数値化することが重要です。

放射照度計の使用用途

放射照度計はさまざまな施設、例えばオフィス・工場・美術館などの明るさを計測するために使用されます。放射照度計は一般的なオフィスの明るさを計測するためにも使用されますが、研究所や工場などの厳密に環境の明るさを設定しなければならない場所では必須です。

研究所や工場ではその目的上環境の明るさ (照度) が、法律で規定されていることがあります。その規定を満たすためには、放射照度計で照度を計測しなければなりません。

そのほか、映画館などの客席誘導灯も消防法で照度が規定されており、放射照度計で照度を計測し、法律の基準に合致するようにしています。

放射照度計の原理

放射照度計では、電磁波を検出する素子としてフォトレジスタやフォトダイオードを用いて計測します。フォトレジスタは電磁波を検知すると電気抵抗が変化する素子で、フォトダイオードは電磁波を電流に変換する素子です。

フォトダイオードなどの素子を変更することにより、照度の計測も可能になります。人間の目が知覚できない電磁波を含める放射照度と、知覚できる光のみを含める照度はともに重要な量なので、目的に応じて使い分ける必要があります。

放射照度計のその他情報

1. 放射照度計と照度計との違い

放射照度計のほかに「照度計」という機械もありますが、放射照度計は人間の目で知覚できない波長の光 (電磁波) も検知できるのに対し、照度計は人間の目で知覚できる波長の光のみを検知するように設計されています。放射照度は環境の「明るさ」を指す指標です。

ただし、「放射照度」の場合、人間の目には知覚できない 紫外線・赤外線などの波長の電磁波も含めて計測しています。環境によっては紫外線や赤外線も考慮して電磁波を計測する必要があるからです。 (電磁波のうち可視のものを光と呼びます。)

例えば、化学物質の中には紫外線によって分解するものがあります。紫外線を計測するには「照度計」では不十分で、「放射照度計」を用いる必要があります。

2. 放射照度計と分光放射照度計の違い

放射照度計と分光放射照度計の違いは、分光特性を測定できるかどうかです。放射照度計は、測定波長域の総和値として放射照度を算出します。分光放射照度計は、測定波長域の、各波長での出力を特定分解能 (例えば1nmピッチ) で算出します。要するに総和で算出されるか、すべての波長域で細かく出力できるかの違いです。

分光放射照度計は、放射照度計の役割を担うこともできます。また、分光放射照度計の中には測定対象の演色性を評価できるものがあります。演色性とは、太陽光と比較してものをみたときに、その照明および照明に照らされたものの色の見え方を表す指標です。

演色性が高いとは、太陽光に照らされた状態に近いことを指し、近年では演色性の高いLEDなどが博物館で求められる場合があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1980/69/10/69_10_548/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1980/82/8/82_8_588/_pdf/-char/ja
https://www.konicaminolta.jp/instruments/products/light/cl500a/index.html
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NC4-680-01-60/?cfrom=M0030000

接点監視装置

接点監視装置とは

接点監視装置とは、故障信号や運転信号などの情報をネットワーク上の端末から監視して制御する装置です。

接点とは電気的な接続点を指し、スイッチやリレーなどがこれに該当します。接点監視装置はこれらの接点状態を監視し、開または閉などの状態変化を検知します。これにより、機械の故障・異常あるいはセンサーからの信号が期待通りでない場合など、問題が発生したときに迅速に対処することが可能です。

近年ではネットワーク環境経由で信号を取り込む製品が多いです。web上で行うため、遠隔でも監視可能で、異常事態を素早く感知できます。データも収集可能なため、改善のための分析用情報を得ることも可能です。

接点監視装置の使用用途

接点監視装置は様々な産業や施設で使用されます。以下はそれぞれの分野での主な使用用途です。

1. 製造業

製造業では製造工程中の機械や装置の接点を監視し、異常を検出して生産ラインの停止時間を最小限に抑えます。また、機械の異常を検知し、故障の早期発見や予防メンテナンスを行う際にも使用されます。これにより、製造工程の効率化や省力化が可能です。

2. エネルギー産業

エネルギー産業において、発電所や変電所などにおいて使用されます。電力設備や送電網の接点を監視し、異常を検出して電力供給の安定性を確保します。また、発電機や変電設備の接点を監視し、安全性や効率性を向上させることも可能です。

3. オフィスビル

オフィスビルでは照明やエアコンなどの電気設備の接点を監視する場合に使用されます。異常を検出して消費電力の管理や省エネルギーを促進することも可能です。また、セキュリティシステムの機器やセンサーの接点を監視し、不正侵入や火災などの異常検知にも使用します。

4. 商業施設・公共施設

ショッピングモールなどの商業施設または公共施設では、エレベーターやエスカレーターの動作や安全装置を監視し、安全性を確保している場合があります。また、オフィスと同様に、照明や空調システムの接点を監視し、省エネルギーや快適性の向上を図ることも多いです。

接点監視装置の原理

接点監視装置の原理は、接点信号を取得して解釈することで、機械や装置の状態を監視することです。異常が検出されると警告を発し、適切な対処がなされます。入力端子や信号処理ユニット、通信インターフェイスなどで構成されます。

入力端子は接点信号を入力する端子やコネクタです。一般的には入力端子からDC5V程度の電圧を印加し、接点の導通と閉路を監視します。これにより、機械の発信する異常や状態信号を検知することが可能です。

接点監視装置には入力端子からの信号を受け取り、処理するための処理ユニットが内蔵されています。プログラムされたアルゴリズムに従って、接点の状態を監視し、必要に応じて警告や制御を行います。

また、接点監視装置には他のシステムやデバイスと通信するための通信インタフェースを備えていることが多いです。近年ではEthernetポートによる通信が主流ですが、シリアル通信などが使用される場合もあります。これにより、監視データの送受信やリモートモニタリング、制御が可能です。

接点監視装置の選び方

接点監視装置を選ぶ際は、以下のような要素を考慮することが重要です。

1. 入力接点

監視する接点の種類によって、適切な接点監視装置を選択する必要があります。接点にはノーマルオープン (NO) とノーマルクローズ (NC) があるため、どちらの接点があるかを確認します。また、オープンコレクタや機械接点などの種類も存在するため、入力信号を先に確認することが重要です。

2. インターフェイスの種類

インターフェイスの種類も接点監視装置を選ぶ際に重要な要素の一つです。近年ではEthernetによる通信が主流であり、国際的にはModbus/IPやProfinetまたはEthernet/IPなどのプロトコルが使用されます。適切なインターフェイスを選択することでシステムの拡張性やセキュリティが向上し、信頼性のある通信やデータの収集が可能になります。

3. 信頼性

長期間にわたって信頼性の高い動作が期待される場合、信頼性と耐久性が重要な要素となります。信頼性の高いメーカーからの製品を選択し、耐久性のある構造や材料を持つ製品を選ぶことが重要です。

参考文献
https://www.i-netd.co.jp/products/switch_lan/cassist_io/
https://www.i-netd.co.jp/products/foma/ip3-fp20/
https://www.i-netd.co.jp/products/switch_lan/cassist_i4o4/
https://www.ooi.co.jp/product/technology/equipment_monitoring

定量供給装置

定量供給装置とは

定量供給装置 (英: constant feeding) とは、設定した一定量の原料を連続的に供給する装置です。

原料には粉体や液体があり、一定量を供給する部分は、ロードセル式、テーブル式、スクリュー式、ロータリ式、振動式など様々です。多品種ライン・少量生産ラインでの歩留まりの向上・品質の安定・作業性向上などに効果があります。

また、簡潔な構造なので清掃や点検などのメンテナンス作業も容易です。塗料、食品、薬品、ファインケミカル、樹脂成形などの製造や廃棄物処理の工程で用途があります。

定量供給装置の使用用途

一定量を連続して供給できるため、原料供給、生産加工ラインでの定量供給、大学や研究機関での研究開発装置などの分野で使用されています。食品、薬品、肥料、塗料などの製造、燃料、廃棄物処理なども用途の1つです。

例えば、食品や薬品の工場では製造過程で原料の粉体を供給します。燃料設備では補助的に一定量の燃料を供給し、焼却設備では薬品やスラリーを供給します。

また、1つの貯留サイロに対して供給口が複数あるため用途に合った定量供給装置を選ぶことが大切です。超微量の定量供給装置があります。供給量が、0.05~100g/min程度のものです。

定量供給装置の原理

定量供給装置は、原料を貯留するするサイロ部分、供給量をはかる供給装置、原料を送り出すシュート部分などで構成されます。原料を供給するまでの流れは、中心のサイロに原料を貯留して、供給量に誤差が発生しないよう密度を均一な状態にするために攪拌します。

そして、一定の供給量を満たした後に供給口に排出されます。定量供給装置は、大きく分類すると、重量式と容積式の2種類です。

1. 重量式定量供給装置

重量式定量供給装置は、バッチ計量方式と連続計量方式があります。

バッチ計量方式
バッチ計量方式は、一定間隔で定重量になるように供給します。

連続計量方式
連続計量方式は、ロスインウェイト式やベルトスケール式が代表的です。重量を測定する方法は、ロードセル方式が多く使用されます。

  • ロスインウェイト式
    ロスインウェイト式は、減量計量方式と呼ばれ、計量モードの1つです。供給装置を秤に積載し、充填する原料と合わせて重さを測定し、重さが変化すると供給装置の運転速度を自動的に調整します。全体の重さは徐々に減少し、残量管理も可能です。重量フィードバック方式の供給システムです。
  • ベルトスケール式
    ベルトスケール式は、ベルトにかかる荷重を測定し、供給量が一定になるようにベルト速度を制御します。粒体、繊維状物、フレークなどに適しています。

2. 容積式定量供給装置

容積式定量供給装置は、テーブルフィーダ、スクリューフィーダ、振動フィーダ、ロータリーフィーダなどの種類があります。

テーブルフィーダ
テーブルフィーダは、回転運動式供給装置の1つです。円筒状ホッパーの下部に取り付けられた円板、又はかき取り用の羽根が回転して、粉体を一定量搬出する装置です。

スクリューフィーダ
スクリューフィーダは、円筒またはU字状の流路の中に、ら旋状に設けられた羽根をもつ軸が回転することによって、粉体を移動させる装置です。

振動フィーダー
振動フィーダーは、流路を振動させて粉粒体を搬送・供給する装置です。振動の駆動は、電磁式や機械式を使い、斜め方向の振動で前方に搬送します。

ロータリーフィーダ
ロータリーフィーダは、回転運動式供給機の代表的なもので、円形の筒内を回転羽根にて粉体を供給します。粉体用のほか、空気輸送専用もあります。供給量は、羽根が1回転する容積と回転速度によって決まります。

定量供給装置のその他情報

定量供給装置のメリット

1. 一定量の連続供給
次工程に原料を定量供給することで、安定した効率的加工が可能になり、品質が向上します。   

2. 貯留部の攪拌によるブリッジ防止と均質化
フィルム系や比重の軽いプラスチックの粉砕品、粉体などの場合、貯留部分のタンク内でブリッジが起きやすくなりますが、羽根などで常に攪拌するのでブリッジ発生が防止可能です。また、むらがある原料の場合、撹拌により均質化されるため、品質向上の効果が期待できます。

3. 自動化が可能
原料の供給が自動化され、無人化・省人化が可能です。

参考文献
https://www.aishin-nanotech.co.jp/kyokyu.html

冷熱衝撃試験機

冷熱衝撃試験機とは

冷熱衝撃試験機とは、主に電気機器製品において、製品の使用環境の温度変化に、どれほどの耐性を持っているかを評価する冷熱衝撃試験を行うための試験装置のことです。

冷熱衝撃試験は、評価する製品に対して短時間のうちに高温と低温環境を繰り返し交互に作り出し、温度変化が試験体に与える影響を観察し、問題がないかを評価することを指します。主に自動車のオーディオやナビゲーションシステム、ハイブリッド車や電気自動車の駆動モーターの動きを制御する、カーエレクトロニクス製品ではよく行われる試験です。

規格では、JIS C60068-2-14 環境試験方法-電気・電子-第2-14部:温度変化試験方法などによって、試験方法や試験条件が定められています。

冷熱衝撃試験機の使用用途

冷熱衝撃試験機は、主に電子機器製品の信頼性を検証するための評価で用いられます。電子機器部品の中でも、はんだ付け部分や、各種コネクタの樹脂部品の耐環境性能の評価が行われます。

その他、冷熱衝撃試験機では、以下に示すような耐久性評価や不具合再現試験が行われます。

  • はんだ付け部のクラック、はんだ割の再現試験
  • はんだの材料変更による耐久性の評価確認
  • 樹脂製コネクタの温度変化による耐久性確認
  • 接合材料のひび割れや剥離、塗膜の剥離に対する耐久性確認
  • コネクタなどの樹脂成形部品の熱歪みや割れに対する耐久性確認
  • 樹脂に金属を組みわせた異種材料の熱膨張係数差による不具合発生有無の確認
  • 電子機器部品の品質確認、スクリーニング試験

冷熱衝撃試験機の原理

冷熱衝撃試験機の構造は、試験室となるテストエリアの上側に高温槽、下側に低温槽が設けられた3層構造が一般的です。テストエリアと高温槽との間、試験室と低温槽との間、さらに試験室と本体外部との間に開閉できるダンパと呼ばれる仕切りがあります。

テストエリア内を高温にする際には、高温槽のダンパを開き、低温槽のダンパを閉じておきます。この状態で高温槽の空気をテストエリアに吹き込むことによって、テストエリア内の急加熱が可能です。一気に冷却する際には、高温槽のダンパを閉じて低温槽のダンパを解放し、低温槽の空気を試験室内に吹き込みます。

テストエリアを常温にする際には、高温槽、低温槽いずれのダンパも閉じ、試験室と外気との間のダンパを解放することによって、テストエリア内を常温にします。また、電子機器部品の試験においては、機器に通電した状態で試験を行うことも可能です。

冷熱衝撃試験機で設定できる温度の範囲は、およそマイナス70度から200度です。近年では、電子機器部品への品質要求も高まっており、300度まで対応する試験機もあります。

冷熱衝撃試験の種類

冷熱衝撃試験には、2ゾーン試験と3ゾーン試験があります。2ゾーン試験は高温条件と低温条件で行う試験です。3ゾーン試験は高温、低温に常温条件が加わえた試験です。

常温条件は、試験室内に試験装置外部の空気を流し込むことによって作り出します。

冷熱衝撃試験機のその他情報

冷熱衝撃試験の必要性

製品に使用される材質は、温度が変化することで膨張や収縮が起こります。異なる材質で作られた部分は、性質の違いから応力が発生します。これが繰り返されることで、内部に疲労が蓄積してひびや破壊が起こり、想定より弱い強度でも壊れてしまったり、接合箇所の分裂やねじのゆるみや表面被膜がはがれてしまったりすることがあります。

そのため、膨張や収縮が起こることで、「どこに負荷がかかって破損につながるのか」を与えた負荷量と併せて時系列で確認することが重要です。冷熱衝撃試験で、製品の性能や信頼性を評価しています。

特にハイブリッド車や電気自動車などのモータ制御に使われるパワー半導体部品には、激しい環境変化の中で、大容量の電気が流れます。これらの電子部品が市場でも不具合を起こさないことを確認するために、冷熱衝撃試験が欠かせません。

参考文献
https://www.espec.co.jp/products/trustee/test/thermalshock.html
https://www.espec.co.jp/products/env-test/tsa/
https://www.jfe-tec.co.jp/tech-consul/hot-cold-shock-testing.html
https://www.oeg.co.jp/Rel/hot.html
http://www.jectec.or.jp/02zairyotokusei/14-heatshock.html

光触媒脱臭装置

光触媒脱臭装置とは

光触媒脱臭装置のイメージ

光触媒脱臭装置とは、フィルター上に担持した光触媒の強い酸化力によって悪臭物質や有害物質を酸化分解し、空気を脱臭する装置です。光触媒は、表面に光が当たることで効果を発揮し、有害物質やニオイの原因物質などを酸化分解します。

その結果、脱臭・抗菌作用を及ぼし、空気を浄化することができます。酸化力はオゾンよりも強力ですが、安全で人体に害を及ぼすことがありません。日本発祥の技術です。

光触媒は光によって自主的に再生可能であるため、何度も繰り返し使用することができます。簡易的なメンテナンスで効果を維持できることや、廃棄処理の必要がないことも特徴です。

光触媒脱臭装置の使用用途

光触媒脱臭装置は、悪臭が問題となるような場所に設置して、周辺環境の空気を浄化する目的で使用されています。花粉、カビ、たばこ、細菌や、新型インフルエンザなどのウイルスも除去できます。

オゾンなどよりも安全であることをメリットとして採用される場合が多いです。そのため、主に、安全性や衛生面を重視する場所で利用されることが多く、動物などを飼育している大学や企業の研究所や、食品工場や厨房、介護施設や病院などでも利用されています。

また、悪臭が原因でブランドやイメージを損なわないように配慮する場所(人の出入りが多い大型商業施設や、ホテルなどの宿泊施設)でも利用されています。酸化力が高く、非常に強い脱臭作用があるため、下水処理施設、汚泥処理施設など、悪臭が非常に強い場所でも採用されています。

光触媒脱臭装置の原理

光触媒の原理

図2. 光触媒の原理

光触媒脱臭装置は、光触媒と流体力学の原理を利用しています。光触媒の脱臭作用の原理は、酸化分解反応です。

  1. 酸化チタン(TiO2)に光(紫外線)が当たって価電子帯の電子が励起され、e-(電子)とh+(正孔)が生じます。
  2. 空気中の酸素と水が酸化チタン表面に吸着して、h+やeと酸化還元反応を起こすことにより、・OH(ヒドロキシラジカル)やO2(スーパーオキシドアニオン)などの活性酸素が発生します。
  3. 発生した活性酸素が酸化チタン表面に吸着した有機化合物と酸化還元反応を起こします。悪臭物質や細菌などは分解され、二酸化炭素と水が生成されます。

オゾンの酸化電位が2.07であるのに比べて、光触媒の成分である酸化チタンの酸化電位は、3.20です。これは、オゾンより光触媒の酸化力が強いことを示しています。

また、流体力学の原理を用いて内部構造を工夫することで、圧力分布を均一化し、装置の小型化が図られている製品もあります。光触媒フィルターを2層や3層の構造にすることで、空気が光触媒に接触する面積を増やし、効率を上げる工夫が施されています。

光触媒脱臭装置の種類

光触媒脱臭装置の種類

図3. 光触媒脱臭装置の種類

製品の構造は、基本的に光触媒フィルターと紫外線ランプから構成されています。光触媒(酸化チタン)を担持するフィルターには、プラスチック、セラミック(アルミナ)、アルミニウムなどがあり、製品によってフィルターの枚数は異なります。プラスチックは軽量で割れにくく、セラミックは、熱・化学的に安定な素材であり、アルミは高強度で軽量という特徴がそれぞれあります。

また、ファン直上タイプ、横置き型、天井吊り下げタイプなど、様々な形状のものがあり、大きさも室内に設置できるくらいの小型のものから屋外用の大型のものまで様々です。光触媒は光によって自己再生するため、光触媒自体のメンテナンスはローメンテナンスで済みます。ただし、定期的に紫外線ランプ交換が必要となります。

油煙を含む厨房排気などに対して用いる場合は、前処理としてサイクロンスクラバーや、グリスフィルターを備えた製品を選択することが有効です。

参考文献
https://www.toyokosho.co.jp/
https://www.shonan-ceramics.co.jp/about/
https://www.toyokosho.co.jp/introduction/