放射照度計

放射照度計とは

放射照度計とは、光源から放たれた光の放射照度を計測する機械のことです。

放射照度とは、単位面積当たりに入射する放射束と定義され、放射束とは光の放射されるエネルギーの大きさを指します。つまり、放射照度とは、ある光源から光が放出された際に、単位面積に届く光のエネルギーの大きさのことです。

このため、放射照度計で計測する「放射照度」の単位はW/m2 (ワット毎平方メートル) を用います。人間が何か活動する際に必要となる周辺の明るさは、状況により異なります。単純に周辺が明るければいいというものではありません。

さらに、「明るさ」を計測するためには、人間の目は適切ではありません。なぜなら、人間の目は周辺の明るさに適応する性質があり、客観的な評価に不向きなためです。放射照度計を用いて、周辺の明るさを客観的に数値化することが重要です。

放射照度計の使用用途

放射照度計はさまざまな施設、例えばオフィス・工場・美術館などの明るさを計測するために使用されます。放射照度計は一般的なオフィスの明るさを計測するためにも使用されますが、研究所や工場などの厳密に環境の明るさを設定しなければならない場所では必須です。

研究所や工場ではその目的上環境の明るさ (照度) が、法律で規定されていることがあります。その規定を満たすためには、放射照度計で照度を計測しなければなりません。

そのほか、映画館などの客席誘導灯も消防法で照度が規定されており、放射照度計で照度を計測し、法律の基準に合致するようにしています。

放射照度計の原理

放射照度計では、電磁波を検出する素子としてフォトレジスタやフォトダイオードを用いて計測します。フォトレジスタは電磁波を検知すると電気抵抗が変化する素子で、フォトダイオードは電磁波を電流に変換する素子です。

フォトダイオードなどの素子を変更することにより、照度の計測も可能になります。人間の目が知覚できない電磁波を含める放射照度と、知覚できる光のみを含める照度はともに重要な量なので、目的に応じて使い分ける必要があります。

放射照度計のその他情報

1. 放射照度計と照度計との違い

放射照度計のほかに「照度計」という機械もありますが、放射照度計は人間の目で知覚できない波長の光 (電磁波) も検知できるのに対し、照度計は人間の目で知覚できる波長の光のみを検知するように設計されています。放射照度は環境の「明るさ」を指す指標です。

ただし、「放射照度」の場合、人間の目には知覚できない 紫外線・赤外線などの波長の電磁波も含めて計測しています。環境によっては紫外線や赤外線も考慮して電磁波を計測する必要があるからです。 (電磁波のうち可視のものを光と呼びます。)

例えば、化学物質の中には紫外線によって分解するものがあります。紫外線を計測するには「照度計」では不十分で、「放射照度計」を用いる必要があります。

2. 放射照度計と分光放射照度計の違い

放射照度計と分光放射照度計の違いは、分光特性を測定できるかどうかです。放射照度計は、測定波長域の総和値として放射照度を算出します。分光放射照度計は、測定波長域の、各波長での出力を特定分解能 (例えば1nmピッチ) で算出します。要するに総和で算出されるか、すべての波長域で細かく出力できるかの違いです。

分光放射照度計は、放射照度計の役割を担うこともできます。また、分光放射照度計の中には測定対象の演色性を評価できるものがあります。演色性とは、太陽光と比較してものをみたときに、その照明および照明に照らされたものの色の見え方を表す指標です。

演色性が高いとは、太陽光に照らされた状態に近いことを指し、近年では演色性の高いLEDなどが博物館で求められる場合があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1980/69/10/69_10_548/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieij1980/82/8/82_8_588/_pdf/-char/ja
https://www.konicaminolta.jp/instruments/products/light/cl500a/index.html
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NC4-680-01-60/?cfrom=M0030000

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です