sum24l

sum24lとは

sum241は、「日本工業規格 JIS G 4804 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材」に定められている13種類の鋼材のうちの一つです。

快削鋼とは、被削性(削られやすさ)を高めるために、炭素鋼に元素を1種または複数を組み合わせて添加した鋼で、自動工作機械で連続高速切削を行うのに不可欠であり、各種の構造用鋼,工具鋼,ステンレス鋼などに使われています。

Sum241は、被削性や加工性を高めるために、C(炭素)、Mn(マンガン)、P(リン)、S(硫黄)、Pb(鉛)を添加した鋼で、化学成分は、C:0.15%以下、Mn:0.85~1.15%、P:0.04~0.09%、S:0.26~0.35%、Pb:0.10~0.35%です。

sum24lの使用用途

sum241は低炭素超快削鋼と言われ、炭素鋼に比較して強度等機械的性質は少し落ちるものの、削りやすいといった特徴があります。

精密加工に向いており、強靭さをあまり必要としない機械部品に広く使用され、各種OA機器部品、モーター、測定機器等、ねじ、ボルト、ナット、シャフト、ローラー、刃物、文具、軸、ピン、一般機器部品などに使用されています。

末尾の「L」はPb(鉛)を含むことを表しておりますが、Pbは被削性を改善する一方、環境負荷物質としても知られており、電気・電子機器についての化学物質規制である欧州ROHS指令(危険物質に関する制限令)などの環境に関する規制で特定有害物質とされています。それで、SUM24Lの代替材も開発されています。

sghc

sghcとは

sghcは、「日本工業規格 JIS G 3302 溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」に定められている鋼板のうちの一つです。

高温にして軟化させて圧延した鋼板である熱間圧延鋼板を素材としており、表面に亜鉛めっきを施しています。

素材を液体亜鉛槽に浸けることによりめっきをつけることから、一般に、ドブづけやテンプラなどと呼ばれており、メッキ層の量、厚みが比較的大きいので、錆びや防食性に優れた鋼板です。

亜鉛めっき加工を施した鋼材は、塗装や電気めっきなどとは異なり、亜鉛と鉄から形成される「合金層」により、亜鉛と鉄が強く金属結合しているため、長い年月を経てもめっきは剥がれることがありません。

sghcの化学成分は、炭素(C)0.15%以下、マンガン(Mn)0.80%以下、リン(P)0.05%以下、硫黄(S)0.05%であり、板厚は1.6mm以上6.0mm以下となっています。

sghcの使用用途

sghcは、熱間圧延鋼板を素材として表面に溶融亜鉛めっきを施した鋼板です。

溶融亜鉛めっきは、高温で溶かした亜鉛に鋼材を浸し表面に亜鉛皮膜を形成する技術で、 亜鉛めっき加工を施した鋼材は錆びや腐食を発生しません。

溶融亜鉛めっきの防食機能には、保護皮膜作用と犠牲防食作用があります。保護皮膜作用とは、鋼材の表面に空気や水を通しにくい亜鉛の酸化皮膜を形成する作用で、犠牲防食作用とは、亜鉛めっきにキズが付いて素地の鉄が露出してもキズの周囲に亜鉛が溶けだして保護して鉄が腐食するのを防ぐ作用です。

施設園芸ハウス用骨材,建築用各種部材,屋外で使用される建材、家電製品などのケーシング材等広い分野に使用されています。

sehc

sehcとは

sehcは、「日本工業規格 JIS G 3313 電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」に定められている鋼板のうちの一つです。

電気亜鉛めっき鋼板とは、鋼板の弱点である錆や腐食等を防ぐために鋼板に亜鉛めっきをつけたもので、加工性に優れ、廉価で、大量生産が可能なことから、広く工業用に使われています。

電気亜鉛めっき鋼板は元素材によってseccとsehcがあり、seccの元素材は室温のまま圧延された鋼板である冷間圧延鋼板で、sehcの元素材は高温にして軟化させて圧延した鋼板である熱間圧延鋼板です。

電気亜鉛めっき鋼板には成分の規定はありませんが、材質はすべて鋼で、メッキ前の原板に成分規定がある場合はそれが成分の値となります。

sehcの使用用途

sehcの元素材は、熱間圧延鋼板です。

熱間圧延は、材料を高温にして軟化させてから圧延するので、加工性に優れた加工方法と言えます。

また、高温になった材料にロールで大きな圧力をかけるので金属の結晶がより強固になり、ねばり強い金属にすることができます。

一方、材料を高温にして熱膨張した状態で圧延するので寸法精度が落ちますし、高温の金属の表面と空気中の酸素が結合して酸化膜が形成されてしまうので、光沢のない表面になります。

sehcの板厚の範囲は1.6ミリ以上4.5ミリ以下です。

機械的性質は、引張強さ270N/mm2以上、伸びは板厚により、1.6ミリ以上2.0ミリ未満では29%以上、2.0ミリ以上2.5ミリ未満では29%以上、2.5ミリ以上3.2ミリ未満では29%以上、3.2ミリ以上4.0ミリ未満では31%以上、4.0ミリ以上4.5ミリ以下では31%以となっています。

用途は汎用性のある一般用とされており、例えば、事務機器やオーディオ等に使われています。

scm420

scm420とは

sncm420は、「日本工業規格 JIS G 4053 機械構造用合金鋼鋼材」に定められている7種類の鋼材(マンガン鋼、マンガンクロム鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼ニッケルクロム鋼ニッケルクロムモリブデン鋼、アルミニウムクロムモリブデン鋼)のうちのクロムモリブデン鋼鋼材に含まれます。

代表成分は、炭素(C)が0.18~0.23%、ケイ素(Si)が0.15~0.35%、マンガン(Mn)が0.60~0.90%、リン(P)が0.030%以下、硫黄(S)が0.030%以下、ニッケル(Ni)が0.25%以下、クロム(Cr)が0.90~1.20%以下、モリブデン(Mo)が0.15~0.25%以下、銅(Cu)が0.030%以下となっています。

scm420の使用用途

「日本工業規格 JIS G 4053 機械構造用合金鋼鋼材」に定められているクロムモリブデン鋼鋼材は11種類(scm415 、scm418、scm420、scm421、scm425、scm430、scm432、scm435、scm440、scm445、scm822)ありますが、scm420は、その中でも焼戻しに対する軟化抵抗が大きく軟化しにくい強靭な材料です。

主にはだ焼鋼として使われ、焼入れによる安定性や靭性や耐衝撃性という機械的性質が特に優れており、一般用歯車、軸類部品、機械構造部品全般に使用されます。

また、scm420は加工性に優れますが、クロムの添加量が比較的少ないことから、錆とは無縁ではありません。

sncm439

sncm439とは

sncm439は、「日本工業規格 JIS G 4053 機械構造用合金鋼鋼材」に定められている7種類の鋼材(マンガン鋼、マンガンクロム鋼、クロム鋼クロムモリブデン鋼ニッケルクロム鋼ニッケルクロムモリブデン鋼、アルミニウムクロムモリブデン鋼)のうちのニッケルクロムモリブデン鋼鋼材に含まれます。

代表成分は、炭素(C)が0.36~0.43%、ケイ素(Si)が0.15~0.35%、マンガン(Mn)が0.60~0.90%、リン(P)が0.030%以下、硫黄(S)が0.030%以下、ニッケル(Ni)が1.60~2.00%、クロム(Cr)が0.60~1.00%、モリブデン(Mo)が0.15~0.30%、銅(Cu)が0.030%以下となっています。

sncm439の使用用途

「日本工業規格 JIS G 4053 機械構造用合金鋼鋼材」に定められているニッケルクロムモリブデン鋼鋼材は11種類(sncm220、sncm240、sncm415、sncm420、sncm431、sncm439、sncm447、sncm616、sncm625 、sncm630、sncm815)ありますが、sncm439は、その中でも比較的高い降伏点(固体に荷重を加えていくとある時点で降伏と言われる塑性変形が発生するが、そのときの応力。)、引張強さ(鋼材の引張力に対する最大の強度)を持つ材料です。

強靭鋼(高い強さとある程度の延性をもつ鋼)で、焼入れ性(熱処理によって焼入れ硬化のしやすさを示す合金の性質)に優れているので、高強度で靭性(材料の粘りの強さ,すなわち外力に抗して破壊されにくい性質)が必要な大物シャフトや歯車などでの使用が検討されます。

sk85

sk85とは

sk85とは、炭素を0.85%前後含む炭素工具鋼です。

先頭についているSKは、Sは鋼(Steel)、Kは日本語の工具(Kougu)の頭文字に由来しています。

SK材はもともと炭素の含有量によってSK1~7の7段階表示をしていました。現在では、1.05%と炭素含有率の100倍の数値をつけて表記され、11品種で表されます。 SK5がsk85に相当しています。

SK材は、炭素の含有量により性質が異なります。炭素の含有量の少ないものは靭性が要求される工具に使用され、反対に炭素の含有量の多いものは硬度や耐摩耗性などが必要な工具で使用されます。sk85は焼き入れに適した素材です。

SK材は、一般的に加工前または加工後に熱処理を行います。高温になると焼きが戻ってしまい、硬さが低下してしまいます。SK材の性質を下げずに、耐える温度の目安が200℃です。高温になる製品を作成する場合は、合金鋼である高速度工具鋼を代わりに利用します。

sk85の使用用途

sk85は、炭素を0.85%前後含んでいるので、焼き入れ性に特に富んでいます。なので、焼き入れを行う必要があるとされる製品に使用されることが多いです。耐摩耗性が必要な場合は焼入れ後低温焼戻し、靭性が必要な場合は高温焼戻しをして使用します。

焼き入れ焼もどしにより、HRC58以上の硬さを得ることができるとされています。高い硬度を持ち、耐摩耗性に優れているので、冷間鍛造、板金プレスのように高い負荷がかかる金型などに使用するのが適しています。また、その他にはカトラリーや農機具部品、自動車用部品、一般バネなど幅広い分野で使用されています。

刃物用の素材として、アメリカではメジャーメーカーが実用ナイフの素材にも採用していることが多く、安価で手に入る素材ともされています。

しかし、寸法が大きくなると芯部まで硬さが入らないことがあるので注意が必要です。

高い硬度のため、曲げ、絞りなどの加工にも適していません。

sgd400

sgd400とは

sgd400とは、炭素鋼の一般鋼材を素材とした規格材料で、みがき棒鋼です。みがき棒鋼用の鋼材のうち、SGDBを用いたものです。引張強度の範囲400~510Mpaのうち、400がSGD400に付けられています。一般鋼材を使用した、みがき棒鋼にSGDが使用されます。

みがき棒鋼とは、圧延された棒線を、引抜加工や切削加工、研磨加工など、二次加工することで、表面状態や寸法精度を上げた材料です。

SGDBは、素材を加熱して柔らかくし、ローラで押しつぶしながら加工する熱間圧延加工が施されており、機械的強度のみが保証されています。素材であるSGDBに準じて成分は硫黄とリンが0.045%以下であること以外の規定はありません。

sgd400-Dと末尾にDの付いたものは、冷間引抜き加工が実施されたものです。冷間引抜きを行った場合、大量生産を行うことを前提とする場合、切削加工よりもコストを抑えることができます。

sgd400の使用用途

sgd400は、靱性にすぐれ、溶接や曲げ加工がしやすいことが特徴です。そのため、自動車部品、部材など幅広い分野で使用されています。

しかし、粘り気の強い素材であるため切ったり、削ったりする加工に使用するのには、あまり適していません。

sgd400の素材となっているSGDBは、熱間圧延加工が施されているため、あまり力を使わずに加工することができます。しかし、素材の表面にミルスケールと呼ばれる酸化皮膜が発生してしまうため、見た目が黒っぽくなってしまいます。また、形状や寸法精度をあまり高くできないというデメリットがあります。

そこで、後工程による冷間加工などを行うことでデメリットを改善して使用する必要があります。引き抜きはダイスと呼ばれる穴のあいた工具に、素材を通し、削らずに素材を引き伸ばして形状を変える加工です。そのため、鋼材の強度に影響する繊維状の金属であるファイバーフローを切断する必要がないので、強度が低下することはありません。精度も高いレベルで出すことができます。

sus310s

sus310sとは

sus310sとは、オーステナイト系のステンレス鋼に分類されるステンレスで、代表的な耐熱ステンレス鋼です。主な構成成分はクロムを24~26%、ニッケルを19~22%、炭素を0.08%以下です。これは、オーステナイト系のステンレス鋼の中で最も多いクロム含有量です。

クロムの含有量が多いため、オーステナイト系のステンレス鋼で最も幅広く使用されているsus304より、耐食性が高いです。また、クロムとニッケルの含有量が多いため耐熱ステンレス鋼のsus309sよりも耐熱性が高いです。

磁性はありません。冷間加工を行うと一部の鋼種では磁性を持つようになることがありますが、sus310sはニッケルの含有量が多いため磁性を持つようになることはありません。

sus310sと末尾にs記号がついたものは、固溶化熱処理を行った素材という意味です。固溶化熱処理は、一瞬で高温まであげて、急速に冷却させる熱処理で、耐食性の向上をさせます。

sus310sの使用用途

sus310sは、繰り返し使用して 1149°Cまでの温度に耐えることができます。また、浸炭や還元環境に対する優れた耐性を持ち合わせています。そのため、主に温度の高い環境で使用されます。

具体的な使用例は、熱交換器の部品、治具、焼却炉の部品、ジェットエンジン部品、耐熱調理器、トイレ、自動車の排ガス部品など幅広く様々な分野で使用されています。

しかし、700〜900℃で長時間加熱されると、常温で脆い金属組織のシグマ相と呼ばれるものが生成されるので、注意をする必要があります。

また、切ったり、削ったりする加工には向いていません。ステンレスの中でもSUS310Sは、特に被削性が劣るといわれています。クロムとニッケルの含有量が多いため、切ったり削ったりするときに加工物が刃を押し戻そうとする力が大きく、切削工具が損傷しやすくなってしまいます。切ったり、削ったりする加工の際は、加工速度を落とすなどの対策が必要です。

swp

swpとは

swpは「ピアノ線」とも呼ばれ、工業製品に使用されるワイヤー・バネ材を指します。

硬く丈夫で引張強さと耐疲労性に優れ、精密機械などに利用される高級材料です。

バネ用と楽器用の2種類があり、一般にバネ用をピアノ線と呼んでいます。

swpはJIS G 3522で規定されており、主成分は炭素0.60~0.95%、ケイ素0.12~0.32%、マンガン0.30~0.60%ですが、その成分が均一であることが求められています。

その他にも不純物である、リン・硫黄・マンガンなどの含有量が一定数値以下であること、表面のキズの深さが一定値以下など厳しく定められているため、swpの製造には手間暇がかかり、必然的に価格が高くなります。

swpにはJIS規格で「swp-A」、「swp-B」、「swp-V」の3種類があります。

swp-Aは線径が0.08ミリ以上10.00ミリ以下とサイズのバリエーションが豊富です。

swp-Bは0.08ミリ以上7.00ミリ以下、swp-Vは1.00ミリ以上6.00ミリ以下と決められています。

swpの使用用途

swpは厳密に規格化された材料のため、高い信頼性を求める製品に使用されています。

swp-Aはバネ用ピアノ線に分類されており、耐疲労性に優れサイズバリエーションが豊富なため、くり返し荷重がかかる場所の部品など幅広い用途に使用されます。

車のクラッチバネ・ブレーキバネなどの重要部品、電気・電子機器部品、工作機械・建築機械の部品バネ、正確性が求められる計量器のバネなど、高級材料としての用途が多い金属です。

身近な製品としてはベッドのスプリングや、自転車のサドルのスプリングにも使われています。

swp-Bは、swp-Aと同じ用途で使われることが多いですが、引張強さが約10%高い特徴を持っており、swp-A以上に強度が欲しい場合や、耐へたり性を求める特殊バネに使用されることがあります。

swp-Vは弁バネ用として、A種B種よりも更に厳しく規格化された材料で、短時間で何千回もの負荷がかかるような過酷な環境で使われることの多い素材です。

強度や耐久性が求められる、自動車・船舶・農業機械などの各種弁バネとして使われています。

fcd450

fcd450とは

fcd450は球状黒鉛鋳鉄に分類され、JIS G 5502で規定される金属です。

球状黒鉛鋳鉄は高級鋳鉄の一種で、強度・延性に優れており、組織内部に球状の黒鉛が存在していることで、高い潤滑性・耐摩耗性をあわせ持った鋳鉄です。

伸びやすい・しなやかという意味の「ダクタイル鋳鉄」とも、球状という意味の「ノジュラー鋳鉄」とも呼ばれています。

fcd450の構成成分は、炭素3.6~3.8%、ケイ素2.4~2.7%、マンガン0.25%などで、強度・延性・摩耗性が高いほか、耐食性・耐熱性にも優れている素材です。

fcd450-10と呼ばれることもあります。

「450-10」は機械的性質を表しており、「450」が引張強さ、「10」が伸び10%以上の材料であることを表しています。

fcdは、ラテン語で鉄を意味するFerrum、鋳物を意味するCasting、延性があるという意味のDuctileの頭文字を取ってつけられています。 

fcd450の使用用途

fcd450は、鋳鉄の中でも強靭で引張強さなどに優れていることから、大きな負荷がかかる環境にも耐えられる金属です。

そのため自動車部品、エンジンライナー、鋼塊用鋳型、ローラー部品類、歯車などの工業分野で多く利用されています。

強度・耐久性ともに必要とされるマンホールの蓋も、fcdで作られています。

また、衝撃にも強いメリットがあることから、鋳鉄管として水道の配管にも多く採用されています。

上水道の導水管・送水管・配水管・給水管、下水道処理施設内の配管としての利用や、農業分野でかんがい用水菅として幅広く活用されるほか、ガス管にも使われています。

私たちの生活の中で利用されている例としては、フライパン・ジンギスカン鍋などの調理器具、DIYで木材などの素材を作業台に固定するリードバイスなどの工具があります。

台車用のキャスターとしても使われており、鋼製よりも頑強で耐摩耗性に優れることから、かなり重い荷物にも耐えることができる部材として重宝されています。