除電紐

除電紐とは

除電紐とは静電気を除電する機能を持った導電性繊維から製造された紐です。合成繊維や樹脂製品などの絶縁体は静電気を溜め込みやすく、電気的な原因だけではなく摩擦や接触、液体の流動といった物理作用によっても容易に帯電します。帯電した絶縁体は粉体の飛散、異物の吸着を引き起こして作業や品質に悪影響を及ぼすだけではなく、導電体との間で火花放電と呼ばれるスパークを発生させ、ピンホールの発生や火災の原因となることもあります。

除電紐は導電性を付与させた紐であるため、アースを接続することで自らが帯電することがなくなることに加え、帯電した絶縁体に近づけることによって非接触条件かつ安全に除電を行うことが可能な製品です。

除電紐の使用用途

除電紐の使用用途は、様々な不導体の除電を行うことであり、それによって静電気が原因となり発生する様々な問題を解決することが出来ます。

静電気によって発生する代表的なトラブルが、フィルムなどの不導体製品が帯電することによる粉体・異物の吸着や、危険物を用いる作業において火花放電が発生することによる火災・爆発等です。

除電紐は製品に触れることなく火花を伴わないコロナ放電を発生させることによって除電が可能であり、フィルムなどの製品が製造されるラインに設置することで製品の帯電を防止することができ、これらのトラブルを未然に防ぐことができます。

除電紐の原理

除電紐の原理については除電紐の種類にもよりますが、帯電性のある物質に除電紐を近づけることによりコロナ放電を発生させ、静電気を除去することが基本的な原理といえます。除電紐は導電体であるステンレス繊維と化学合成繊維を混合糸として組紐としたり、合成繊維に硫化銅を化学結合させたりすることで導電性を持たせています。更にこの紐表面は微細な繊維からなっているため、この先端からはコロナ放電と呼ばれる非常にエネルギーの低い放電が発生します。コロナ放電は火花放電とは異なり可燃性物質の着火源となる恐れが極めて低い放電ですので、帯電物から安全に静電気を除去することが可能となります。

このような除電紐の除電原理はアースした導体を近接することによって除電を行う自己放電型と呼ばれる除電方法であり、除電ブラシなどと同様の原理とされています。この除電方法は数千~数万ボルトの帯電を瞬時に数百~0ボルト程度まで除電可能な非常に効率の良い除電方法ですが、コロナ放電を利用することから3㎸以下の低い電位差の条件では、効率的に静電気の中和が出来ないという問題点もあります。

深絞りプレス

深絞りプレスとは

深絞りプレス

深絞りプレスとは、金属薄板をプレス機械で行う絞り加工のひとつをいい、コップに代表されるような絞り加工で「浅絞り」と対照となるものです。

絞りが深いかどうかの目安は、コップを例にすると底面の直径と高さの関係で、(直径)<(高さ)となるものを深絞りとされています。

深絞りプレスは、金型とプレス機械の組み合わせで初めてできるものであり、完成品の良否は金型の加工精度、使用する薄板の材質、プレス機の能力が相まって初めて可能となるものです。

深絞りプレスの使用用途

深絞りプレスは、自動車部品をはじめ家電関連部品、住宅設備関連部品、空調関連部品、文具関連部品、電材関連部品、精密金属加工品など幅広い分野の製品や部品の製造に活用されています。

深絞りプレスは、作られる製品も容器類をはじめ各種カバー、モータのヨーク、各種ケース、ハウジングといったように多岐にわたっています。

また、深絞りプレスはプレス機を使用することから労働安全衛生法で製造者の責務などの規定がされています。

深絞りプレスの特徴

深絞りプレスは、通常の絞り加工同様パンチ・ダイス・ブランクホルダーといった使用する金型も完成品良否に大きく影響する因子の一つです。

使用される材料もおなじように完成品の良否に大きく関わるため、材料がもつ加工硬化指数(n値)と塑性ひずみ比(r値)といった数値は材料選定の基準とされています。

加工硬化指数(n値)は、大きいほど絞りに向くとされ、0.15~0.45が一般的な数値で、代表的な材質を大きい方から順次並べると、「ステンレス鋼板」>「7-3黄銅板」>「純銅板」>「純アルミニウム板」>「冷間圧延鋼板」です。

一方、塑性ひずみ比(r値)も、値が大きいほど絞りやすい材質とされています。

絞り加工は、加工材がプレスされると金型との間で滑りが伴うため潤滑油を使用することが多く、この潤滑油の選定も完成品の良否に関わる因子の一つとなります。

適正な潤滑油が選定されていないと起る現象としては、破断や焼き付き、かじりなどがあり、一般的に油性タイプと水性タイプの2種類ある液圧潤滑油が用途に応じ使い分けられています。

精密バイス

精密バイスとは

精密バイス

精密バイスとは、工作機械などに取付けて使用される被加工物をつかみ固定する治具です。

あたまに「精密」と付いているのは、工作機械での使用が前提のためです。固定に際し材料の平行度を高精度に行えるバイスです。

精密バイスは「マシンバイス」とも呼ばれています。取付ける工作機械のベース面との平行度、本体の固定口金と可動口金との平行度、可動口金のすべり面との平行度など、様々な接触面の平行度が保たれるよう製作されています。

精密バイスの使用用途

精密バイスは、切削盤をはじめフライス盤マシニングセンタなど各種工作機械に取付けられ使用されています。同じタイプの工作機械でもワークに合わせその大きさも変わってくることから、それぞれに最適な精密デバイスが選ばれ使用されています。

工作機械の加工精度は、精密デバイスの平行度の精度に影響すると言われています。被加工物の大きさや工作機械など用途により様々なタイプが製作されており、使い分けが重要です。

精密バイスのその他情報

精密バイスの選定基準

1.被加工物の大きさ
被加工物がベース面と並行となる面の2辺の長さと高さに応じ「口開き」「口巾」「口深さ」の寸法が決まります。通常、口開きと口巾は同程度とします。極端に口巾を超える使用は、振動やはずれの原因となり危険です。

2.工作機械の種類
工作機械に関わる項目として、その種類とともに加工方向も選定に影響する場合があります。

3.加工方法
小ロット・量産との違いをはじめ工程数や加工条件、加工機でも選定が影響する場合があります。加工効率という費用にも影響してきます。

4.加工精度
もともと精密デバイス自体は、一般的なバイスに比べ精度よく製作されています。加工精度を厳しく要求されるような場合、選定に加味したい項目となります。加工精度に関わる要素としては、十分なクランプ力、被加工物の浮き防止対策のほか、精密バイス自体の加工精度をはじめ使われている材質、構造、耐久性などが挙げられます。

製袋機

製袋機とは

製袋機

製袋機とは、包装に使用される各種素材の袋を製作する機械です。

用途に応じて各種タイプのものが製作されています。最近では、製袋は袋詰めと合わせて行われることも多いです。単独での機械は少なくなる傾向にはありますが、スーパーマーケットや農作物などの産地といったところでは、まだまだ出来合いの袋を使った包装も行われており需要が続いています。

製作される袋は、長方形の「角底」が主流です。レジ袋や百貨店でよく使用されている把手付きの紙袋などが良く知られています。把手付き紙袋の把手には、丸紐と平紐といった種別があり、製袋機にも使い分けられています。

製袋機の使用用途

製袋機は、専業メーカで使用されることが多く、完成品の納入先は多岐にわたっています。

製袋機に投入されるプラスチックフィルムの素材は、OPP (延伸ポリプロピレン) 、CPP (無延伸ポリプロピレン) 、PE (ポリエチレン) がよく知られています。

そのほか、NY (ナイロン) 、PET (ポリエチレンテレフタレート) 、AL (アルミ箔) 、アルミ蒸着フィルムなども使用されています。アルミ蒸着フィルムは、レトルト食品に使用されている素材です。

製袋機のその他情報

製袋機の種類

1.三方シール
二枚のフィルムを重ねて開口部を残して三方をシールした長方形の袋です。一番オーソドックスなタイプで、最近よく見かける自立できる「スタンドパック」などがこのタイプになります。チャック付きや袋の大きさなどで同一タイプでも製袋機が変わってくることがあります。

2.半折タイプ
三方シールと異なり、1枚のシールを折り返して2方をシールしたタイプです。底がシールされないため強く、比較的重量があるものや大容量のものに適しており、チャック付きが主流です。

3.センターシール
半折タイプと同様一枚のフィルムを使用しますが、このタイプは左右で折り込んでセンターでシールするものです。左右に膨らみもたせることが可能でコーヒー豆の包装などでよく見かけるタイプです。

4.溶断タイプ
1枚フィルムを使ってシールと溶断を続けて行うため三角形や台形といった特殊形状の袋も製作できるタイプです。

そのほか、最近多くなってきた注ぎ口のついた袋も追加することができるタイプなども製作されています。

切断砥石

切断砥石とは

切断砥石

切断砥石は金属やコンクリート、タイルなどの硬い素材を切断するために使用される工具です。刃物のように回転して素材を研磨しながら切断できます。砥石の主成分はアルミナやシリコンカーバイトなどの硬質材料であり、樹脂などの材質で結合されています。
切断砥石の形状は直径が大きくて厚みが薄い円盤状で、電動工具のグラインダーや切断機に取り付けて使用します。
切断砥石には金属用や石材用やコンクリート用など素材によって使い分ける必要があります。また切削能力により粗目のものから細目のものまで様々な種類があります。

切断砥石の使用用途

1. 金属加工

金属材料の切断や切削加工に使用されます。アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、銅、真鍮などの金属に使用されます。金属切断砥石には、金属に合わせた硬度の異なる砥石があり、適切な硬度の砥石を選択することが必要です。

2. 石材加工

石材やタイルやセラミックなどの切断や加工に使用されます。切断砥石には、刃こぼれしにくいダイヤモンドなどの砥粒を使用しているものがあります。

3. コンクリート加工

コンクリートやアスファルトやレンガなどの切断や加工に使用されます。コンクリート切断砥石は、硬度が高く、抵抗があるコンクリートを切断するために開発されたものであり、特殊な結合剤を使用しているものがあります。

4. 自動車整備

自動車部品の切断や加工に使用されます。エンジン部品やフレームや排気管などを切断する際に使用されます。

5. 建築現場

建築資材の切断や加工に使用されます。鉄筋や鋼材や管材などを切断する際に使用されます。

切断砥石の種類

切断砥石を砥粒の種類で分類した場合、例えば以下のような種類があります。メーカーによって名称が異なる場合があります。

1. アルミナ砥粒

アルミナを主成分とする砥粒で耐久性があり、金属加工に適しています。

2. シリコンカーバイト砥粒

シリコンと炭素を主成分とする砥粒で高い硬度と耐久性があり、金属加工に適しています。

2. ダイヤモンド砥粒

天然あるいは合成のダイヤモンドを砥粒として使用しているため高い硬度と耐久性があり、石材加工やコンクリート加工に適しています。

3. セラミック砥粒

セラミックスを砥粒として使用しているため硬度が高く、金属加工や石材加工や木材加工に適しています。

4. CBN砥粒

立方晶窒化ホウ素を砥粒として使用しているため硬度が非常に高く、金属加工に適しています。

CBNとは、Cubic Boron Nitride (立方晶窒化ホウ素) の略語です。

 

切断砥石を切断砥石をボンド(接合剤)で分類した場合、例えば以下のような種類があります。メーカーによって名称が異なる場合があります。

1. レジンボンド砥石

砥石の材料を樹脂で固めたもので金属加工に適しています。耐久性が高く切削能力も優れています。

2. メタルボンド砥石

金属で砥粒を接着したもので石材加工やコンクリート加工に適しています。硬度が高く熱にも強いため、高負荷や高温度での作業に適しています。

切断砥石の原理

切断砥石は、刃物のように回転して素材を研磨しながら切断できます。砥石の主成分は、アルミナ、シリコンカーバイト、ダイヤモンド、セラミックなどの硬質材料であり、樹脂などの材質で結合されています。

回転する円盤状の砥石が素材に接触し、砥粒によって素材を徐々に削り取りながら素材を切断することが,切断砥石の原理です。

砥石の硬度が素材よりも高いため、砥石の方が削り取り、素材が切断されます。

切断砥石の特徴

長所

(高い切削能力)
切断砥石は砥粒が硬質な素材でできているため、素材を高速で削り取れます。このため金属や石材などの硬質な素材の切断加工に適しています。

(多様な材質に対応)
切断砥石はアルミナ、シリコンカーバイト、ダイヤモンド、セラミックなど様々な砥粒を使用しており、それぞれの砥粒に合わせた材料に対応しています。

(高い耐久性)
切断砥石は砥石の材質が硬質なため、砥石の寿命が長く耐久性が高いです。これにより長時間の作業にも耐えられます。

(切削精度が高い)
切断砥石は素材を精密に切断でき切削精度が高いため、細かい加工作業にも使用されます。

(大量生産に適している)
切断砥石は、高速で素材を切削できるため大量生産に適しています。

短所

(粉塵や騒音が発生する)
切断砥石を使用すると、素材が切断される過程で大量の粉塵が発生するため、作業場所の清掃や保護具の着用が必要です。また高速回転する砥石が素材を削り取るため、騒音が発生することもあります。

(砥石の消耗が激しい)
切断砥石は、素材を切削する過程で消耗するため、定期的な交換が必要です。また切断砥石の交換には、特殊な工具が必要であることがあります。

(熱による変形が起こる)
高速で素材を切削するため、砥石や素材に熱が発生して変形する可能性があります。このため高精度な切削加工を行う場合には、冷却装置を使用する必要がある場合があります。

(切削対象物によっては不向きな場合がある)
切断砥石は硬質な素材の切断加工には適していますが、柔らかい素材の場合、素材自体が破損する可能性があるため適切な切削砥石を選択する必要があります。

切断砥石のその他情報

目付け(粒度)によって、切断砥石を分類することがあります。目付けとは、砥粒の大きさを表す指標です。数字が小さいほど砥粒が粗く、大きいほど細かいことを意味します。目付けが大きいものは表面の仕上がりがきれいな仕上げ用途に向いていて、目付けが小さいものは素材を効率的に切断できるため、金属加工などに適しています。

送りねじ

送りねじとは

送りねじ

送りねじとは、ねじ軸に取り付けられたナットにより、ねじ軸の回転運動を直線運動に変換する機械要素のことです。

送りねじによって、回転モーターの回転動作を直線動作に変換することができます。送りねじには「すべりねじ」と、ミニチュアボールを使った「ボールねじ」があります。

ボールねじは、特にボールを使うことによって摩擦を低減し、滑らかに動作できる構造にしたものです。いずれにしても、アクチュエータには欠かせない機械要素です。

送りねじの使用用途

送りねじは、回転運動の代表的な動力源となるモータが多種多様に製作され使用されていることから、直線運動を必要とする多くの製造現場で活用されています。

NC工作機械では台座移動など、刃物や工作物を移動させるために用いられています。具体的な使用例は、マシニングセンタ、フライス盤、研削盤、旋盤などです。

そのほか、産業用ロボット、様々な搬送機器、半導体関連装置、射出成形機、印刷用機械、カラーグラフィックプリンタ、XYプロッタ、自動製図機などにも送りねじが使われています。また、自動車においては、ヘッドライトの照射位置を調整するための機構に用いられています。

送りねじの原理

送りねじによって回転運動が直線運動に変換されるのは、ねじピッチによるものです。ねじが螺旋状に連続して形成されていることによって、ねじ軸と噛み合う内ねじ部品を、外ねじが形成された軸方向において、連続的に移動させることが可能です。

ねじ軸を1回転させることによって、内ねじが設けられた部品を1ピッチ分ずつ移動させられます。回転方向を変えれば、移動方向を変えることも可能です。

送りねじには、おねじとめねじが直接噛み合うすべりねじと、摩擦を低減するためにボールを用いたボールねじがあります。しかし、回転運動と直線運動を変換する原理はどちらも同じです。

送りねじの種類

送りねじには、すべりねじとボールねじがあります。すべりねじは、さらに以下の種類に分類できます。

1. 三角ねじ

ねじ山形状が正三角形をしています。一般的な締結用のねじとほぼ同様です。転造で成形できるので加工性がよい反面、動力を伝達する部位には向いていません。

2. 台形ねじ

ねじ山形状が29°、30°などの台形形状になったすべりねじです。ある程度加工しやすい上に、動力伝達にも適用させることができます。台形ねじに使用されている材質は、汎用品では硬度があり耐久性にも優れたものとして、機械構造用炭素鋼やオーステナイト系ステンレス鋼などが一般的です。

3. 角ねじ

ねじ山の形状が正方形の角形状になっています。位置決めの精度は高くありませんが、動力伝達には有利なねじです。主にプレスやジャッキといった、大きな力を伝達する部位に用いられます。

なお、これら送りねじの相手部品として使用されているナットの材質は、青銅鋳物やポリアセタール樹脂 (POM) が一般的です。

送りねじのその他情報

ボールねじの精度

ボールねじは、回転軸と回転運動によって直線運動をするナット側部品との摩擦を低減させるために、転動体となるボールが組み込まれています。複数の部品が組み合わさることもあり、国際規格や各国の工業規格などが定められています。

JISやISO規格で定められた精度等級は、C0, C1, C3, C5, C7の4種類です。数値が小さいほど高精度、数値が大きいほど低精度になります。

C0からC5までが位置決め用のボールねじ、C7,は搬送用のボールねじとして用いられます。ボールねじの精度等級の主な項目は、以下のとおりです。

1. リード精度
リード精度は、位置決めの精度と理解できます。C0からC5までは直線性と方向性、C7は300mmに対する移動量誤差によって定められています。

2. 取付部精度
ボールねじの取付部精度には、複数の項目が定められています。回転軸の各部位の円周振れ、ナット外周面の並行度について、等級ごとに基準寸法に対する許容値が定められています。

3. 与圧トルク
与圧トルクは、ボールねじで位置決めする際に必要となるトルクです。ねじ軸、ボール、ナットの間の隙間が大きいと、精度のよい位置決めができません。隙間が少なければ動作のためにトルクが必要となるため、規格によって定められています。

袋詰め機

袋詰め機とは

袋詰め機

袋詰め機 (英: bagging machine) とは、物を袋に詰める機械のことです。

対象とする物には食品をはじめ小物エレクトロニクス機器、事務用品と多種多様のものがあります。タイプも汎用機や専用機、支援ロボットによるものなど多種多様です。包み方は個包装と複数詰める2パターンがあり、用途に合わせて機械を選定します。

袋詰め機の使用用途

袋詰め機はパンや菓子類、冷菓から弁当・惣菜などの食品の製造工場をはじめ、コンセント、スイッチなどの電気・電子部品、バルブやベアリングなどの産業用部品製造工場で使用されます。水産物や練物加工工場、農産物・畜産物の産地、スーパーマーケットや物販店舗のような小売店などでも使われるのが一般的です。

最近はインターネットによる通信販売の普及で、全国から寄せられた注文に対応するため、地方の店舗や工場などでも使われるようになっています。

袋詰め機の原理

袋詰め機は包装するものに応じて、多くの種類があり、それぞれ原理が異なります。代表的な袋詰め機は以下の通りです。

1. 給袋包装

給袋包装機は、包装する品物に合わせて作られた包装袋に充填する機械です。袋の材質には、紙・樹脂フィルム・多層構造フィルム、アルミ箔などです。包装資材はそのまま商品になるように、デザインされています。

シート状の包装資材は、3方向を接着又は加熱シールしてカットされます。そして、包装物を入れた後、開いた部分をシールします。

2. ピロー包装の原理

ピロー包装は、包装フィルムを筒状に成形しながら包装物をシールする方式です。製品が枕の形状に似ているためピロー包装と呼ばれます。

包装機として最も多く使われているタイプで、主に食品や医薬品などの防湿性を高める包装です。なお、ピロー包装機には、縦型と横型があります。

縦型のピロー包装機
まず縦方向にフィルムを送り出し、背中合わせにシールして筒状にします。そして、底部をシールして包装物を入れ、上部をシールしてカットします。具体的な用途は、スナック菓子、クッキー、粉末品、冷凍食品、防虫剤などです。

横型のピロー包装機
まずフィルムを水平方向に送り出して包装物の上から包み込み、背中合わせにシールします。そして、両端ををシールしてカットします。

反対に、フィルムを下から包み上げる方式もあります。具体的な用途は、パン類、ラーメン、おにぎり、ハム類、海苔などです。

袋詰め機の選び方

袋詰め機は「何を包むのか」「包み方はどうするか」で使用する機械も変わってきます。選定する際は、包装する対象物や包み方を考慮することが大切です。

1. 包装物

包装部は、食品、医薬品、電気・電子部品、産業用部品、水産物、農産物など多岐に渡ります。それぞれ専用の袋詰め機があり、食品では特に変質の注意が必要なため、各種対策が施された機械が使用されます。

医薬品は、最近では個包装が主流です。錠剤やカプセルで使われる「PTP包装 (プレス・スルー・パッケージ) 」用機械が多く使用されています。

2. 包装法

フィルムによる青果物や小物部品の包み方
青果物はそれぞれ重さや大きさが異なるため、計量器やラベル印字用プリンタが付いた機種が多くみられます。

フィルムによるトレーに乗った食品の包み方
包装物を上からフィルムで包み込む横型ピロー包装機がつかわれます。食品の変質を防止するため、単に袋詰めするだけでなく「ガス置換包装」や「真空密着包装」などの処理をできるものが主流です。また、フィルムを開けやすくするといった工夫も施されています。

袋に上から投入したお菓子の包み方
商品を上から投入する場合は、縦型ピローと呼ばれる機械が使われます。シール時内容物が挟み込まれないようストリッピング動作に対応した製品が多いです。縦型ピロー包装機は、バラ物や液体、粉末、粒体、粘体の包装に適しています。

竹の子ばね

竹の子ばねとは

竹の子ばねとは、板材を竹の子のように巻いて作られたばねです。

形状が竹の子に似ていることから名づけられたもので、占める体積のわりに大きな荷重に耐えることができます。

竹の子ばねは、焼入鋼やステンレス鋼などの板材を少しずつずらしながら巻き上げていき、さらに両先端の研磨も必要となるため従来から大型の竹の子ばねともなると製造にかなりの熟練を要すると言われていました。

通常竹の子ばねは、1mm~30mm程度と幅広い板厚の板材が使用され製作されています。

竹の子ばねの使用用途

竹の子ばねは、小型のものではボールネジのカバーなどに使われたり、大きなものでは産業機器の衝突時の衝撃を吸収してくれるばねなど、幅広く使用されています。

変わったところでは、自転車にも「タケノコバネ」と呼ばれるばねが使われています。

このタケノコバネは、クロスバイクやロートバイクによく使われている「クイックリリース式」の車軸に装着されており、板材の幅が狭いため一見するとコイルバネのようにも見えるものです。

なお、竹の子ばねはJIS B0103:2015「ばね用語」のなかで「番号3300」として登場しています。

竹の子ばねの特徴

竹の子ばねは、「荷重」対「たわみ」を表す荷重特性グラフで非線形性を有することが知られています。

竹の子ばねがしめす荷重特性の非線形性とは、荷重特性グラフで直線性を示していたものが、荷重を増やしていっても「たわみ」量が比例せず小さくなる現象を指します。

一般的に、ばねのたわみ量は「荷重」や「有効巻き数」に比例することが証明されています。

しかし、竹の子ばねの場合は構造上荷重が大きくなるに従い、巻かれた板材が徐々に隣同士で密着し始め、実質的にばねの有効巻き数が徐々に減少するため直線性が崩れると考えられています。占める体積に比較して大きな荷重をかけることが可能であり、500kNという記録も公表されています。

使用される長方形の板材は、完成状態で両端 (座巻と呼ばれています) が水平で徐々に厚さを増すよう、座巻部の板材の幅と厚さの両方向で適切な寸法にテーパ状にカット加工されているのが一般的です。

超合金

超合金とは

超合金

超合金(Superalloy)とは、800℃以上といった高温でも所要の特性が維持できるよう開発された合金の総称をいい、耐熱性のほか高硬度や耐酸化性なども優れた金属です。

はじめて開発されてから以降も開発は続けられ、数多くの耐熱性の優れた合金が登場しています。

現在では、ニッケルをベースにしたNi基合金、コバルトがベースのCo基合金、鉄ベースのFe基合金の3種類が主流となって開発が進められています。

さらに、超合金の開発は3種類のベースとなる合金にとどまらず、モリブデンやタングステン,チタンなどの物質を添加するといった取り組みも進められています。

超合金の使用用途

鉄ベースのFe基合金は、超合金の中でも機械的強度に優れていることからジェットエンジンやロケットエンジンへの使用がよく知られています。

また、ニッケルベースの超合金もFe基合金と同じように強度に優れていることから、ターボチャージャーやマイクロガスタービンなどに使用されています。

そのほか、コバルトベースのCo基合金は機械的強度が若干劣るため、ガスタービンの中でも静翼に使われたり、高温炉の路床などに使用されたりと、超合金も使い分けされることでさまざまな分野で使用や検討が行われています。

超合金の特徴

超合金が開発されるまでの耐熱性に優れた金属としては、ステンレス鋼や耐熱鋼が知られていましたが、いずれも特性を維持できる温度はおよそ500℃と言われていました。

もともと、耐熱性に優れた金属はその融点が高いことが前提とされ、おもな金属のうち一番融点の高い3422℃の「タングステン」から順次「モリブデン」「ニオブ」「チタン」「鉄」「コバルト」「ニッケル」と下がってきます。

ここで、上位となっているチタンは室温での耐食性には優れているものの、高温になると酸化が著しく特性維持ができないという欠点があり、チタンより融点の高いその他の金属も同様の傾向を有していました。

そこで、超合金はニッケル、鉄、コバルトという比較的融点が高く、添加物質との融和性もある金属をベースとして、配合量などを変えるなどして開発が進められ生み出されたものと言われています。

超合金は、高温での耐食性ならびに耐酸化性と強度の両立を叶えるため、いろいろな物質を配合量をかえながら特性の更なる向上をめざすと共に、耐熱コーティングといった手法も取り入れつつ開発がさらに進められています。

なお、JISでは「耐食耐熱超合金棒」という名称で「NCF600」などの超合金が規定されています。

鉄筋加工機

鉄筋加工機とは

鉄筋加工機とは、鉄筋の加工に関する機械で、その機能毎に大きく三つの工作機械に大別されます。一つめは鉄筋切断機、二つめは鉄筋曲げ機、三つめは鉄筋溶接機です。

各々どれも大事な機能ですが、そもそも鉄筋とは何でしょうか。

鉄筋とは、正式には「鉄筋コンクリート用棒鋼」という名称の鋼材です。建築材料として欠かせない材料の一つであり、鉄筋加工機とは建築現場や工場において、この鉄筋という名の鋼材を加工するための工作機械です。

鉄筋加工機の使用用途

その名の通り鉄筋の加工用途に用いられている鉄筋加工機ですが、一般に鉄筋はコンクリートなどの建造物の補強用の鋼材であるため、鉄筋加工機の使用用途に関しては、機械を実際に使用する場所を考慮しなければなりません。

切断/曲げ/溶接のいずれの場合も、工場での大量生産向けと、建築現場での作業向けには求められる工作機械の性能諸元が異なりますし、機械重量や持ち運び、燃料動力などに関する機械への要望や、その使い方も様々です。

鉄筋加工機の原理

鉄筋コンクリートは、RC造(Reinforced Concrete:補強されたコンクリート)とも呼ばれ、圧縮方向には強いコンクリートという素材の引っ張り強度不足に関して、(引張強度に強い)鉄筋が補う働きをしています。

昨今の鉄筋は、丸鋼ではなく節(ふし)やリブがある異形のものがほとんどです。これは節やリブの凹凸がコンクリートとの密着性を高め、鉄筋が抜けなくする働きをするためです。
鉄筋加工機とはこの異形の鉄鋼材を切断したり、曲げ加工したり、スポット溶接したりする機械であり、次に各々を説明します。

まずは切断機ですが、建築現場で用いられる加工機に「鉄筋カッター」があります。これは持ち運びに便利はハンディタイプのものが多く、電動ないしは油圧で、鉄筋を切断します。ただし大量に切断するには不向きな点があり、現場向けであると言えます。一方で鉄筋加工の工場で用いられるのは、「鉄筋自動切断機」です。オートメーション化された全自動タイプも多く、搬入、切断、排出の一連の流れをコンピュータ制御で高速に行います。加工精度もmm単位で実現可能で、同時に複数本の鉄筋の加工を実現できるものが多いです。

次に曲げ機ですが、これも切断機同様にハンディタイプの「鉄筋ベンダー」と呼ばれる曲げ機械がありますが、複雑な曲げ加工や大量に扱うことはできません。工場では、NC制御に基づき、複雑な曲線の曲げ加工を、複数本分、大量に扱える「鉄筋自動曲げ機」や、円形の曲げに徹した「リングベンダー」と呼ばれる据え置き式のものなども、よく使用されています。

最後に溶接機ですが、これは鉄筋用専用というよりはスポット(局所)溶接の用途に対して、様々なタイプの加工機が使われています。なお工場向けには溶接と鉄筋の組み立て加工用の機械が、1セットになった、鉄筋組立工法に適したスポット溶接向けの加工機もあります。