除電紐

除電紐とは

除電紐とは静電気を除電する機能を持った導電性繊維から製造された紐です。合成繊維や樹脂製品などの絶縁体は静電気を溜め込みやすく、電気的な原因だけではなく摩擦や接触、液体の流動といった物理作用によっても容易に帯電します。帯電した絶縁体は粉体の飛散、異物の吸着を引き起こして作業や品質に悪影響を及ぼすだけではなく、導電体との間で火花放電と呼ばれるスパークを発生させ、ピンホールの発生や火災の原因となることもあります。

除電紐は導電性を付与させた紐であるため、アースを接続することで自らが帯電することがなくなることに加え、帯電した絶縁体に近づけることによって非接触条件かつ安全に除電を行うことが可能な製品です。

除電紐の使用用途

除電紐の使用用途は、様々な不導体の除電を行うことであり、それによって静電気が原因となり発生する様々な問題を解決することが出来ます。

静電気によって発生する代表的なトラブルが、フィルムなどの不導体製品が帯電することによる粉体・異物の吸着や、危険物を用いる作業において火花放電が発生することによる火災・爆発等です。

除電紐は製品に触れることなく火花を伴わないコロナ放電を発生させることによって除電が可能であり、フィルムなどの製品が製造されるラインに設置することで製品の帯電を防止することができ、これらのトラブルを未然に防ぐことができます。

除電紐の原理

除電紐の原理については除電紐の種類にもよりますが、帯電性のある物質に除電紐を近づけることによりコロナ放電を発生させ、静電気を除去することが基本的な原理といえます。除電紐は導電体であるステンレス繊維と化学合成繊維を混合糸として組紐としたり、合成繊維に硫化銅を化学結合させたりすることで導電性を持たせています。更にこの紐表面は微細な繊維からなっているため、この先端からはコロナ放電と呼ばれる非常にエネルギーの低い放電が発生します。コロナ放電は火花放電とは異なり可燃性物質の着火源となる恐れが極めて低い放電ですので、帯電物から安全に静電気を除去することが可能となります。

このような除電紐の除電原理はアースした導体を近接することによって除電を行う自己放電型と呼ばれる除電方法であり、除電ブラシなどと同様の原理とされています。この除電方法は数千~数万ボルトの帯電を瞬時に数百~0ボルト程度まで除電可能な非常に効率の良い除電方法ですが、コロナ放電を利用することから3㎸以下の低い電位差の条件では、効率的に静電気の中和が出来ないという問題点もあります。

深絞りプレス

深絞りプレスとは

深絞りプレス

深絞りプレスとは、金属の薄板をプレス機で加工し、深い形状の製品を成形する技術のことです。

一般的に「浅絞り」と対照的な加工方法とされており、特に底面の直径より高さが大きいものを「深絞り」と呼びます。この技術は、金型とプレス機械の適切な組み合わせによって初めて可能になります。そのため、完成品の品質は金型の精度、使用する材料の特性、プレス機の能力などの要素に大きく依存します。

深絞りプレスの使用用途

深絞りプレスは、さまざまな産業で活用されており、特に以下のような分野で幅広く利用されています。深絞りプレスはプレス機を使用するため、労働安全衛生法の規定に従い、安全管理が求められます。

1. 自動車部品

自動車部品では、エンジン部品、燃料タンク、排気系部品などの製造に使用されます。

2. 家電製品

家電製品では、洗濯機のドラム、電子レンジの外装、冷蔵庫の部品などの製造に使用されます。

3. 住宅設備

住宅設備では、給湯器のケース、水回りの金属部品などの製造に使用されます。

4. 空調機器

空調機器では、エアコンの部品、ダクト部品などの製造に使用されます。

5. 文具関連

文具関連では、高級ペンのボディ、ホッチキスの金属部品などの製造に使用されます。

6. 電気部品

電気部品では、モータのヨーク、バッテリーケース、ハウジングなどの製造に使用されます。

7. 精密金属加工品

精密金属加工品では、医療機器のパーツ、光学機器の部品などの製造に使用されます。

深絞りプレスの原理

深絞りプレスの基本的な原理は、金属板を金型の中に置き、プレス機によってパンチで押し込むことで成形するというものです。この際、材料は金型に沿って滑らかに変形しながら絞られます。主な構成要素は以下の通りです。

  • パンチ:材料を押し込んで成形する部品
  • ダイス:材料を受け止めて形状を決める部品
  • ブランクホルダー:材料の動きを制御し、しわの発生を防ぐ部品

このプロセスでは、適切な圧力と潤滑剤が重要な役割を果たします。潤滑剤が適切でない場合、金属が破断したり、焼き付きやかじりが発生したりすることがあります。

深絞りプレスの種類

深絞りプレスにはいくつかの種類があり、加工目的や材料によって選択されます。

1. シングルアクションプレス

シングルアクションプレスは一般的なプレス機で、単純な形状の深絞り加工に適しています。

2. ダブルアクションプレス

ダブルアクションプレスはブランクホルダーを独立して制御できるため、しわの発生を抑えることができます。

3. 油圧プレス

油圧プレスは圧力を細かく調整でき、厚みの異なる材料や複雑な形状の加工に適しています。

4. トランスファープレス

トランスファープレスは連続した工程で複数の加工を行うため、大量生産向けです。

深絞りプレスの特徴

深絞りプレスの特徴は以下の通りです。

  • 高い成形精度:精密な金型を使用することで、均一な厚みの製品が作成可能
  • 材料の有効活用:薄板を使用するため、材料コストを削減できる
  • 高い生産性:大量生産に向いており、一度に多くの製品を加工可能
  • 強度の向上:一体成形によって溶接や接合部が不要になり、強度が増す
  • 多様な材料に対応:ステンレス、アルミ、銅など多くの金属に適用可能

深絞りプレスの選び方

深絞りプレスを選ぶ際には、以下のポイントを考慮する必要があります。

1. 材料の特性

加工硬化指数 (n値) が高い材料ほど絞りに適しています。一方で、塑性ひずみ比 (r値) が高い場合は、変形しやすく品質が安定します。

2. 加工する形状

円筒形、角形、複雑形状など、加工する形状や目的に応じてプレス機を選択する必要があります。

3. 生産量

小ロット生産なら手動や油圧プレス、大量生産ならトランスファープレスが適しています。

4. 潤滑剤の選定

潤滑剤には油性タイプと水性タイプがあり、加工方法に応じて選択する必要があります。

深絞りプレスの構造

深絞りプレス機の主な構造は以下の通りです。

  • フレーム:機械の基盤部分
  • スライド部:パンチを上下に動かす部分
  • ダイセット:金型を保持し、成形を行う部分
  • ブランクホルダー:材料の動きを制御する部分
  • 潤滑システム:潤滑剤を供給し、摩擦を減少させる
  • 制御装置:圧力や加工スピードを調整する

深絞りプレスのその他情報

深掘りプレスの近年の動向

環境への配慮
最近では潤滑剤の選定や排出物の削減が求められ、環境負荷の低減が進められています。

最新技術の導入
AIやIoTを活用した品質管理が進んでおり、不良率の低減が可能になっています。

安全対策
プレス機の自動化により、作業者の負担軽減や安全性向上が図られています。

精密バイス

精密バイスとは

精密バイス

精密バイスとは、工作機械などに取付けて使用される被加工物をつかみ固定する治具です。

あたまに「精密」と付いているのは、工作機械での使用が前提のためです。固定に際し材料の平行度を高精度に行えるバイスです。

精密バイスはマシンバイスとも呼ばれています。取付ける工作機械のベース面との平行度、本体の固定口金と可動口金との平行度、可動口金のすべり面との平行度など、様々な接触面の平行度が保たれるよう製作されています。

精密バイスの使用用途

精密バイスは切削盤をはじめ、フライス盤やマシニングセンタなど、さまざまな工作機械に取り付けられて使用されています。同じタイプでもワーク (作業対象) に合わせてバイスの大きさが異なり、作業内容やワークのサイズに最適な精密バイスが選ばれ、それぞれの機械に適応した使い方がされています。

精密バイスの選定は、工作機械の加工精度に大きな影響を与えます。特に、精密バイスの平行度や精度が最終的な加工結果に直結するため、重要性が高い治具です。また、さまざまなタイプの精密バイスが存在し、それぞれの用途に応じて最適なものを選ぶことが求められます。作業効率を高め、加工精度を向上させるためには、精密デバイスの選択において十分な知識と理解が重要です。

精密バイスの原理

一般的に、バイスは2つの主要な部分である固定アームと可動アームに分かれています。これらはバイスの両側に取り付けられ、ワークを平行に固定するために使用されます。固定アームは治具に固定されていて、平行度の基準となる面です。可動アームはねじで駆動し、ボルトを回すことで動かし、ワークをしっかりと押さえつけます。

また、精密バイスの最大の特徴は、精密な調整機能があることが挙げられます。精密バイスは、バイスのアーム同士が完全に平行に並ぶように設計されており、ワークが歪みなく固定されることで、高い加工精度が得られます。この精度を保つため、バイスのアームやガイド面には精密な仕上げが施され、微細な誤差が生じないようになっています。

特にフライス盤やマシニングセンタなどの高精度な加工が求められる機械では、ワークの微細な位置ズレが品質に大きな影響を与えます。精密バイスは、これを最小限に抑えるため、ワークを非常に高い精度で固定します。

精密バイスの種類

精密バイスには、用途や使用する工作機械の種類に応じてさまざまな種類があります。それぞれの特徴や目的に応じて選ぶことが重要です。

1. 水平精密バイス

水平精密バイスは、主にフライス盤やマシニングセンタで使用されるバイスで、ワークを水平に固定します。作業面とバイスの上下アームが平行になるよう設計されており、精度の高い加工が求められる場面に最適です。

2. 垂直精密バイス

垂直精密バイスは、ワークを垂直方向に固定するタイプのバイスです。このタイプは主に立てフライス盤など、垂直方向に刃物を使う加工機で使用されます。

3. 角度付き精密バイス

角度付き精密バイスは、ワークを固定したまま、一定の角度で加工を行いたい場合に使用されるバイスです。バイスの固定部分に角度調整機能がついており、ワークを任意の角度に設定できるため、部品の面取り加工や傾斜面の加工に使用されます。

4. ロータリーバイス

ロータリーバイスは、ワークを回転させることができるバイスで、360度回転可能となっています。複雑な加工を一度のセットで行えることが特徴で、段取りを変える工数を減らすことが可能です。円形の部品を加工できるのも特徴として挙げられます。

5. 精密三つ爪バイス

精密三つ爪バイスは、三つの爪でワークを均等に固定することができるバイスで、 特に円形のワークや、形状が不規則なワークの固定に使用されます。

精密バイスの選び方

精密バイスの選び方は、主にワークのサイズや形状、加工精度、使用する工作機械に合わせて選定することが重要です。ワークの大きさに合ったバイスを選び、小型のワークにはコンパクトなバイス、大型のワークにはそれに適したバイスを選びます。また、形状にも注意が必要で、不規則な形状のワークには三つ爪バイスやロータリーバイスが適しています。

加工精度が求められる場合、バイスの平行度やクランプ力が高いものを選ぶことが重要です。また、頻繁にワークを交換する場合や角度調整が必要な場合は、調整が容易なバイスを使用することが作業時間の削減につながります。長期間使用するため、耐久性の高い素材やメンテナンスがしやすい設計のバイスを選ぶことが重要です。

製袋機

製袋機とは

製袋機

製袋機とは、包装材を用いて袋を製作するための産業用機械です。

食品、医薬品、日用品、工業製品など幅広い分野で利用され、製品の保存性や輸送性を高めるだけでなく、販売促進にも役立っています。現在では、袋詰め機や包装ラインに組み込まれ、効率的な自動化システムの一環として運用されることが一般的です。

製袋機の使用用途

製袋機は多様な分野で使用されています。主な使用用途は以下の通りです。

  • 食品包装:スナック菓子、レトルト食品、冷凍食品の袋製作
  • 医薬品・化粧品:個包装や使い捨てパウチの製作
  • 農産物包装:野菜や果物の保存用袋の製作
  • 工業製品包装:部品や工具など小型製品の梱包袋作成

特に食品業界では密封性や保存性が、医薬品業界では衛生性や品質保持が求められるため、それぞれの業界のニーズに応じた製袋機が選ばれています。

製袋機の原理

製袋機は、シート状またはロール状の包装材を熱や圧力で加工し、袋の形状に整える機械です。基本的な動作工程は以下の通りです。

  1. フィルム供給:ロール状のフィルムを適切な速度で供給します。
  2. 成形:フィルムを折り曲げたり、整形したりして袋の形を作ります。
  3. シール:熱や超音波を利用して袋の接合部分を密封します。
  4. 切断:密封した袋を個々に切り分けます。
  5. 追加加工:チャックや注ぎ口、持ち手を取り付けるオプション加工が可能です。

製袋機の種類

製袋機は用途や袋の形状に応じてさまざまな種類があります。主なものを以下に示します。

1. 三方シール製袋機

2枚のフィルムを重ねて三方をシールするタイプ。レトルト食品やスタンドパックなどの袋製作に適しています。

2. 半折製袋機

1枚のフィルムを折り返し、両側をシールする構造。強度が高く、重量物や大容量包装に向いており、特にチャック付き袋の製作に使用されます。

3. センターシール製袋機

1枚のフィルムを中央でシールするタイプ。コーヒー豆や粉物商品の包装によく利用されます。

4. 溶断製袋機

シールと同時にフィルムを溶断し、三角形や台形など特殊な形状の袋を作成可能。注ぎ口付きの袋なども製作可能です。

製袋機の特徴

製袋機には以下のような特徴があります。

  • 高生産性:自動化により大量生産が可能です。
  • 柔軟性:袋の形状やサイズ、素材の変更が容易です。
  • 高品質な仕上がり:密封性が高く、内容物の劣化を防ぎます。
  • カスタマイズ性:チャック、注ぎ口、持ち手など、さまざまな加工オプションが選択可能です。

製袋機の選び方

適切な製袋機を選ぶためには以下の要素を考慮する必要があります。

1. 対応素材

使用するフィルム (OPP、CPP、PE、NY、PET、アルミ箔など) が機械に適しているか確認します。

2. 袋の形状

製作したい袋のデザインや特殊機能 (チャック、スタンドパック、注ぎ口など) に対応しているかを確認します。

3. 生産速度

必要な生産量に応じた処理能力を持つ製袋機を選びます。

4. 設置スペース

工場内のスペースや既存のラインとの互換性を検討します。

5. コスト

機械の導入費用だけでなく、維持費や消耗品のコストも含めた総合的なコストパフォーマンスを考慮します。

製袋機の構造

製袋機は以下の主要な構造を持ちます。

  • フィルム供給装置:素材を一定速度で送り出す装置
  • 成形部:袋の形状を成形する部分
  • シール装置:熱や圧力、超音波で素材を密着させる装置
  • 切断装置:袋を個別に切り分けるための刃や機構
  • 追加加工部:必要に応じて注ぎ口や持ち手を取り付ける部分

製袋機のその他情報

近年、製袋機は技術革新が進み、省エネルギー型や高精度なモデルが登場しています。また、環境意識の高まりから、バイオプラスチックやリサイクル素材に対応した製袋機の需要も増加しています。さらに、IoT技術を導入した機械では、稼働状況のリアルタイム監視やメンテナンスの時期予測が可能となり、効率的な運用を実現しています。

切断砥石

切断砥石とは

切断砥石

切断砥石 (せつだんといし) は、金属やコンクリート、タイルなどの硬い素材を切断するために使用される砥石の一種です。

一般的に直径が大きく薄い円盤状で、刃物のように回転して素材を研磨しながら切断できます。砥石の主成分 (砥粒) はアルミナやシリコンカーバイトなどの硬質材料であり、樹脂などの材質 (結合剤) で結合されています。主にグラインダー、切断機、チップソーなどの電動工具に装着して使用されます。

切断砥石には金属用や石材用やコンクリート用など素材によって使い分ける必要があります。また粗目のものから細目のものまで様々な種類があり、切削能力が異なります。

切断砥石の使用用途

切断砥石は、さまざまな分野で利用されています。以下に代表的な使用用途を挙げます。

1. 金属加工

アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、銅、真鍮などの金属材料を切断したり、切削加工するために使用されます。金属切断砥石には、金属に合わせた硬度の異なる砥石があり、適切な硬度の砥石を選択することが必要です。

2. 石材加工

石材やタイルやセラミックなどの切断や加工に使用されます。切断砥石には、刃こぼれしにくいダイヤモンドなどの砥粒を使用しているものがあります。

3. コンクリート加工

コンクリートやレンガなどの切断や加工に使用されます。コンクリート切断砥石は、硬度が高く、抵抗があるコンクリートを切断するために開発されたものであり、特殊な結合剤を使用しているものがあります。

4. 自動車整備

自動車部品の切断や加工に使用されます。車両のシャーシ、エンジン部品、フレーム、排気管などを切断する際に使用されます。

5. 建築現場

建築資材の切断や加工に使用されます。鉄筋や鋼材や管材などを切断する際に使用されます。また、アスファルト舗装のカットにも用いられます。

切断砥石の種類

切断砥石を砥粒の種類で分類した場合、ボンド (結合剤) で分類した場合を以下に示します。メーカーによって名称が異なる場合があります。

1. 砥粒の種類による分類

アルミナ砥粒
アルミナを主成分とする砥粒で耐久性があり、一般的な金属 (鉄・鋼・ステンレス) の切断や加工に適しています。

シリコンカーバイト砥粒
シリコンと炭素を主成分とする砥粒で高い硬度と耐久性があり、金属加工に適しています。

ダイヤモンド砥粒
天然あるいは合成のダイヤモンドを砥粒として使用しているため、高い硬度と耐久性があります。石材加工やコンクリート加工や超硬材料の加工に適しています。

セラミック砥粒
セラミックスを砥粒として使用しているため硬度が高く、金属加工や石材加工や木材加工に適しています。

CBN砥粒
立方晶窒化ホウ素を砥粒として使用しているため硬度が非常に高く、金属加工に適しています。CBNとは、Cubic Boron Nitride (立方晶窒化ホウ素) の略語です。

2. ボンドによる分類

レジンボンド砥石
砥粒を樹脂 (レジン) で固めたもので金属加工に適しています。耐久性が高く高速切断に適しているので切削能力も優れています。一般的な切断砥石の多くがこのタイプです。

メタルボンド砥石
銀や銅やニッケルなどの金属 (メタル) で砥粒を接着したもので、石材加工やコンクリート加工に適しています。硬度が高く熱にも強いため、高負荷や高温度での作業に適しています。メタルボンドは主にダイヤモンド砥粒やCBN砥粒の結合剤として使用されます。

切断砥石の原理

切断砥石は、高速回転することで砥粒が対象物に接触し、摩擦熱と研削作用を利用して材料を削りながら切断します。その基本的な原理は以下の通りです。

1. 研削作用

砥粒が対象物に接触し、表面を削り取ることで切断します。砥粒は硬度が高く、耐摩耗性に優れているため、金属やコンクリートのような硬い材料でも加工できます。

2. 摩擦熱

切断時には大量の摩擦熱が発生します。砥石の材質や結合剤 (ボンド) の種類によっては、耐熱性や冷却性が異なります。過度な熱を発生させると、材料の焼き付きや砥石の早期摩耗につながるため、適切な砥石選びが重要です。

3. 遠心力と回転速度

切断砥石は高速回転するため、遠心力によって安定した切断が可能となります。ただし、回転速度が高すぎると砥石の破損や飛散の危険があるため、適正な回転数で使用することが重要です。

切断砥石の特徴

1. 長所

高い切削能力
硬質な砥粒により、短時間で正確な切削が可能です。

多様な材質に対応
金属、コンクリート、ガラス、石材など、さまざまな材料を切断できます。

高い耐久性
硬質な砥粒と適切な結合剤により、長寿命で耐久性が高いことが特徴です。

高精度の切削
精密な切断が可能で、細かい加工作業に適しています。

大量生産に適応
高速切削により、大量生産の現場で活用される。

2. 短所

粉塵や騒音が発生
切削時に大量の粉塵が発生するため、防護対策が必要です。

砥石の消耗
使用するにつれて砥石が消耗するので、定期的な交換が必要です。

熱による変形
高速回転による摩擦熱で素材や砥石が変形することがあります。

適応素材の制限
柔らかい素材には向かない場合があり、適切な砥石の選定が必要です。

切断砥石のその他情報

目付け (粒度) によって、切断砥石を分類することがあります。目付けとは、砥粒の大きさを表す指標です。数字が小さいほど砥粒が粗く、大きいほど細かいことを意味します。目付けが大きいものは表面の仕上がりがきれいな仕上げ用途に向いていて、目付けが小さいものは素材を効率的に切断できるため、金属加工などに適しています。

目付けが大きくなると、仕上げ面は良くなりますが、研削能力が低下します。また、研削熱の発生が多くなり、研削焼けやビビリが生じることがあるので注意が必要です。

送りねじ

送りねじとは

送りねじ

送りねじとは、ねじ軸にナットが取り付けられた機械要素で、ねじ軸の回転運動をナットの直線運動に変換するために使われるものです。

モーターなどによりねじ軸を回転させることで、ナットを直線運動させます。送りねじには「すべりねじ」と、ボールを使った「ボールねじ」があります。ボールねじは、ナット内部のボールが転がることによって、摩擦が小さく滑らかに動作できるという特徴があります。直動のアクチュエータには欠かせない機械要素です。

送りねじの使用用途

送りねじは、直線動作を必要とする多くの装置で使用されています。NC工作機械では台座移動など、刃物や工作物を移動させるために用いられています。具体的な使用例は、マシニングセンタ、フライス盤、研削盤、旋盤などです。

そのほか、産業用ロボット、様々な搬送機器、半導体関連装置、射出成形機、印刷用機械、カラーグラフィックプリンタ、XYプロッタ、自動製図機などにも送りねじが使われています。また、自動車においてはヘッドライトの照射位置を調整するための機構に用いられています。

送りねじの原理

送りねじは、ねじ軸とナットを組み合わせたものです。ねじ軸の外ねじと、ナットの内ねじが噛み合うことにより、ねじ軸を回転させると、ナットは直線移動します。ねじ軸を1回転させることによって、内ねじが設けられたナットを1ピッチ分、直線移動をさせられます。回転方向を変えると、移動方向が変わります。

送りねじには、おねじとめねじが直接噛み合うすべりねじと、ナット内部のボールがねじ軸と接触するボールねじがあります。面接触するすべりねじに対して、点接触するボールが転がるボールねじの方が、摩擦が小さく、効率が高いという利点があります。送りねじの相手部品として使用されているナットの材質は、青銅鋳物やポリアセタール樹脂 (POM) が一般的です。

送りねじの種類

送りねじには、すべりねじとボールねじがあります。すべりねじは、さらに以下の種類に分類できます。

1. 三角ねじ

ねじ山形状が正三角形をしています。一般的な締結用のねじとほぼ同様です。転造で成形できるので加工性がよい反面、動力を伝達する部位には向いていません。

2. 台形ねじ

ねじ山形状が29°、30°などの台形形状になったすべりねじです。比較的加工しやすく、動力伝達にも使用することができます。台形ねじに使用されている材質は、汎用品では硬度があり耐久性にも優れたものとして、機械構造用炭素鋼やオーステナイト系ステンレス鋼などが一般的です。

3. 角ねじ

ねじ山の形状が正方形の角形状になっています。位置決めの精度は高くありませんが、動力伝達には有利なねじです。主にプレスやジャッキといった、大きな力を伝達する部位に用いられます。

 送りねじのその他情報

ボールねじの精度等級について、以下に示します。ボールねじは、JISやISO規格で精度等級が定められています。C0, C1, C3, C5, C7の4種類があり、数値が小さいほど高精度、数値が大きいほど低精度になります。C0からC5までが位置決め用のボールねじ、C7は搬送用のボールねじとして用いられます。ボールねじの精度等級の主な項目は、以下の通りです。

1. リード精度

リード精度は、位置決めの精度を意味します。C0からC5までは直線性と方向性、C7は300mmに対する移動量誤差によって定められています。

2. 取付部精度

ボールねじの取付部精度には、複数の項目が定められています。回転軸の各部位の円周振れ、ナット外周面の並行度について、等級ごとに基準寸法に対する許容値が定められています。

3. 与圧トルク

与圧トルクは、ボールねじで位置決めする際に必要となるトルクです。ねじ軸、ボール、ナットの間の隙間が大きいと、精度のよい位置決めができません。隙間が少なければ動作のためにトルクが必要となるため、規格によって定められています。

袋詰め機

袋詰め機とは

袋詰め機

袋詰め機 (英: bagging machine) とは、物を袋に詰める機械です。

対象とする物は食品、小物、レクトロニクス機器、事務用品など多岐にわたります。機械のタイプも汎用機、用機、支援ロボットを使用するものなどさまざまです。包装方法は個包装と複数包装の2種類があり、用途に応じて適切な機械を選定することが重要です。以下に、袋詰め機の使用用途・原理・種類などを解説します。

袋詰め機の使用用途

袋詰め機はパン、菓子類、弁当、惣菜などの食品の製造工場をはじめ、コンセントやスイッチなどの電気・電子部品、バルブやベアリングなどの産業用部品製造工場などで使用されます。

水産物・練物加工工場、農産物・畜産物の生産現場、スーパーマーケットや物販店舗のような小売店などでも一般的です。インターネットによる通信販売の普及に伴い、全国から寄せられる注文に対応するため、地方の店舗や工場でも利用できるようになっています。さらに、医療品の錠剤やカプセルなどを包装する際にも活躍しています。

袋詰め機の原理

袋詰め機は人の手に寄らず短時間で大量包装ができます。対象物を正確に計量・充填するため、安定した品質を提供できる上、密閉環境のため衛生的です。袋詰めのプロセスのまず始めに「給袋」を行います。次に「充填」した後「封閉」し、完成品を「排出」します。以下に各工程を詳しく解説します。

  • 給袋:ロール状のフィルム (プラスチックや紙など) を袋詰め機に送り込み、対象物のサイズに合わせた長さにカットした後、ヒートシール法で溶着し袋を形成
  • 充填:コンベアなどで製品を送り込み、製品の種類や生産量により速度を調整しながら、形成した袋に正確な量を充填
  • 封閉:製品によって袋の内部の空気を窒素ガスに置換して酸化を防ぎつつ、袋上部をヒートシール法で溶着し密封の上、必要に応じて製造日や賞味期限を印字
  • 排出:封閉工程を終えた完成品をコンベアなどで次工程へ排出

袋詰め機の種類

袋詰め機は包装する製品や生産量に応じて、多くの種類が用意されています。代表的な袋詰め機の種類について、以下に詳しく説明します。それぞれの特徴をよく理解し、適切な種類を選択してください。

1. 垂直型

フィルムを垂直に立てて袋を形成し、充填します。食品や日用品だけでなく多様な製品の包装に対応可能です。コンパクトな設計で場所をとりませんが、製品によっては粉じんが発生する場合があるので注意してください。

2. 水平型

フィルムを水平に置いて袋を形成、充填します。形が一定ではない製品の包装に対応可能です。大型の製品の包装も水平型の袋詰め機が最適です。ただし、袋詰め機の寸法が大きく、立ち上げに時間を要する傾向にあります。

3. 横型

フィルムを筒状に成形、充填します。製品が枕 (ピロー) の形状に似ているため「ピロー包装」とも呼ばれます。密封性が高く、食品の鮮度を保ち、医薬品などの防湿性を高めます。

4. 真空型

袋の中の空気を抜いて真空状態にしてからシールする包装方法です。特に食品の鮮度を保ち、害虫の侵入を防ぎ、賞味期限を延長させる効果を発揮します。ただし、包装工程に時間を要します。

袋詰め機の選び方

袋詰め機は、何を包むのか、包み方はどうするのかによって使用する機械が異なります。選定する際には、包装する対象物や包み方を十分に考慮する必要があります。

袋詰め機は、食品、医薬品、電気・電子部品、産業用部品、水産物、農産物など、さまざまな物を包みます。それぞれに専用の袋詰め機がありますが、食品では特に変質の注意が必要なため、各種対策が施された食品専用の袋詰め機を選ぶことが大切です。医薬品では個包装が主流で、錠剤やカプセルで使われるプレス・スルー・パッケージ用の機械が選ばれています。

青果物や部品を包む際には、それぞれのさや大きさが異なるため、計量器やラベル印字用プリンタがいた袋詰め機が最適です。食品の変質を防止する「ガス置換包装」や「真空着包装」などの処理可能な袋詰め機もあり、フィルムを開けやすくする工夫も施されています。商品を上から投入する場合は、縦型ピロー包装機を選択してください。シール時に内容物が挟み込まれないようストリッピング動作に対応した製品や、バラ物や液体、粉末、粒体、粘体の包装に適しています。

竹の子ばね

竹の子ばねとは

竹の子ばねとは、板材を竹の子の形状のように巻いて作られた特殊なばねです。

体積に対して非常に高い荷重に耐えられるため、工業分野を中心にさまざまな用途で利用されています。竹の子ばねは、焼入鋼やステンレス鋼などの素材を使用し、板材を少しずつずらしながら巻き上げて製造されます。そのため、大きいばねの製作には熟練した技術が必要とされてきました。

また、製造の過程では両端の研磨も欠かせません。板材の厚さは通常、1 mmから30 mm程度まで幅広く対応しており、用途に応じて最適な仕様が選ばれます。

竹の子ばねの原理

竹の子ばねは、コイルばねや板ばねとは異なり、特殊な巻き構造によって荷重特性が変化する点が特徴です。

1. 荷重特性の非線形性

竹の子ばねの荷重特性グラフでは、一般的なばねとは異なり、荷重が増加するにつれてたわみ量の増加が小さくなる現象が見られます。多くのばねは荷重に応じてたわみ量が比例的に増える直線的な挙動を示します。しかし竹の子ばねではその挙動が非線形的です。つまり、荷重が増えてもたわみ量が比例して増加しない特性を示します。

2. 非線形性が発生する理由

竹の子ばねでは、荷重が大きくなるにつれて巻かれた板材が互いに密着し始めます。板材の密着により、ばねの有効巻き数が徐々に減少し、たわみ量が比例的ではなくなります。その結果、小さな体積で非常に大きな荷重を支えられる非線形性の特性を発揮します。一部の竹の子ばねでは、500 kNの荷重に耐えた実績があります。

3. 製造技術の工夫

竹の子ばねの原理を最大限に引き出すためには、製造時の精密な加工が必要です。例えば、使用される板材は座巻 (ばねの両端) が水平になるように設計されており、板材の幅と厚さを適切に調整し、均一な性能を確保します。座巻部分ではテーパ状にカット加工を施し、強度を高めると同時にばね全体の精度を向上させています。

竹の子ばねの使用用途

竹の子ばねは、その高い耐荷重性や衝撃吸収能力から、さまざまな分野で活用されています。

1. 工業機械や設備での利用

小型の竹の子ばねは、ボールネジのカバーや機械内部の部品として使用されています。一方、大型のものは産業機器の衝突時に発生する衝撃を吸収する目的で使用される場面が多いです。

2. 自転車の車軸部分

クロスバイクやロードバイクの車軸に使われている竹の子ばねは、一見するとコイルばねのように見えます。しかし、軽量でかつ耐久性に優れた性能で自転車を支えています。

3. JIS規格への登録

竹の子ばねは、日本工業規格 (JIS B0103:2015) の「番号3300」として正式に定義されています。この規格は、竹の子ばねの性能や品質を明確にするための指標です。特に、工業分野で使用される際には、JIS規格準拠のばねが求められる場合が多く、部品の信頼性や安全性を保証し、国内外で幅広く使用されています。

竹の子ばねの種類

竹の子ばねには、用途や設計に応じていくつかの種類があり、それぞれが独自の特徴を持っています。

1. 小型竹の子ばね

小型の竹の子ばねは、機械内部や精密機器に組み込まれる場合が多いです。軽量かつ高耐久で、スペースを有効に活用できます。また、軽量設計により部品全体の省エネルギー化が図れるため、次世代の精密機械でも重要な役割を果たしています。

2. 大型竹の子ばね

大型の竹の子ばねは、工業機械や重機に使用されます。これらは高い耐荷重性を求められる場面で活躍し、安全性を確保するために不可欠な部品です。さらに、大型設計により大きな衝撃を効率よく吸収する機能を持ち、設備の寿命を延ばす効果も期待されています。

竹の子ばねのその他情報

歴史と背景

竹の子ばねは、20世紀半ばに工業分野の需要に応じて開発された技術です。当時、高い荷重に耐えられるばねが求められており、竹の子の形状をヒントにした構造が考案されました。竹の子ばねは、加工技術の進化で製造が容易になり、多くの分野で利用できます。現在では、産業機器や精密機械に欠かせない部品です。

超合金

超合金とは

超合金

超合金 (英: Superalloy)とは、高温での耐食性や耐酸化性に優れ、高い強度を備えた耐熱合金の総称です。

その特性を実現させるために、ベースとなる金属にクロムやモリブデン、タングステン、チタンなど、さまざまな元素が添加されています。

現在も研究が続けられ、さまざまな優れた超合金が新たに開発されています。こうした特性を有する超合金のさらなる研究開発は、航空機や宇宙産業だけでなく、エネルギー分野や自動車産業などの幅広い分野に大きな影響を与え、機器の運転効率を上げるなど、環境負荷を低減できる可能性があります。

超合金の使用用途

Fe基合金は、超合金の中でも高温強度、耐腐食性、耐酸化性、耐クリープ性に優れているうえ、コストパフォーマンスが高いため、排気バルブやターボチャージャーなどの自動車部品などに使用されています。またNi基超合金は、とくに超高温での強度が優れているため、航空機エンジン部品やガスタービンなどに使用されています。そのほか、Co基合金は耐摩耗性や耐衝撃性に優れており、切削工具や耐熱コーティングなどに使用されます。ただし超合金は高い硬度や耐熱性をもつ一方で、製造コストや加工の難しさといったデメリットも伴います。

超合金の性質

代表的な超合金は、鉄をベースにしたFe基超合金、ニッケルをベースにしたNi基超合金、コバルトがベースのCo超基合金の3種類です。

1. Fe基超合金

主成分の鉄に、炭化物を分散させることで高温強度を高めています。比較的安価でありながら高い耐熱性と強度を兼ね備えているため、幅広い分野で利用されています。

2. Ni基超合金

主成分のニッケルにγ’相と呼ばれる金属間化合物を析出させることで、高温強度を実現しています。そのため、特に極限的な高温環境で高い性能が要求される用途に多く用いられます。

3. Co基超合金

主成分のコバルトに元素を添加して、強度と耐酸化性を向上させています。したがって、高温での摺動部や酸化雰囲気下での使用に適しています。

これらの他にも、タンタル基やチタン基など、特殊な用途に特化した超合金もあります。タンタル基超合金は、耐食性と耐熱性に優れており、化学プラントの部品などに使用されます。一方チタン基超合金は、比強度が高く耐食性にも優れているため、航空機や宇宙産業などで用いられています。

超合金の構造

微細構造とは、材料を拡大して観察した際の結晶粒径、配列、形状、そして析出物などの特徴を指し、超合金の優れた特性はその微細な組織に依存しています。

1. 結晶粒の微細化

超合金は、その優れた特性を支える微細な結晶粒構造を特徴とします。微細化された結晶粒は転位運動を阻害することで変形抵抗を高め、割れを抑制し、これにより高温におけるクリープ強度が大幅に向上します。

また析出物の種類と量を制御し最適な熱処理条件を設定することで、結晶粒成長を抑制し、安定な微細組織を得ることができます。

2. 析出物の分布

超合金の特性は、合金に添加された元素によって形成される析出物と呼ばれる微細な粒子の存在とも深く関わっています。最も代表的な析出物として、γ’ (ガンマプライム) 相が挙げられます。γ’相は合金元素が規則的に配列した構造を持ち、母相であるγ相の結晶粒界や粒内において微細な粒子として析出します。このγ’相が規則的に配列すると、材料内部を移動する転位が動きにくくなり、結果として材料の高温強度が上がります。

またγ’相以外にも、ニオブカーバイドなどの炭化物が添加されることがあります。これらの析出物はγ’相とは異なる形状や大きさで析出し、材料の強度や耐酸化性をさらに向上させます。

3. 組織の安定性

超合金は高温環境下においても性能を維持できるよう、組織の安定性が重要です。そのため、析出物の溶解や結晶粒の成長を抑制するよう設計されています。

一般的に合金は高温環境において析出物の溶解や結晶粒の成長が起こり、その結果、強度が低下する可能性があります。そのため超合金では、溶解温度の高い析出物の添加や固溶元素の調整により、析出物の溶解を抑制しています。

超合金の特徴

超合金が開発される以前、耐熱性に優れた金属としてステンレス鋼や耐熱鋼が代表的でしたが、いずれも500℃程度までしか特性を維持できませんでした。耐熱性に優れた金属は、一般的に融点が高いことが求められます。ちなみにおもな金属の融点は、最も高いタングステンから順に、モリブデン、ニオブ、チタン、鉄、コバルト、、ニッケルとなります。しかし、たとえばタングステンやチタンは、室温での耐食性には優れているものの加工が難しく、高温環境下では酸化しやすいため、実用性に欠けました。

そこで、鉄、ニッケル、コバルトのように比較的融点が高く、加工しやすい金属をベースとして、添加元素の配合量を変えることにより超合金が生み出されました。さらに新たな合金元素の添加による特性改善や、合金の表面へのコーティング、3Dプリンティング技術を用いた複雑形状製品の製造など、より優れた性能を活かす研究も進められています。

なお、JISでは「NCF600」などの超合金が「耐食耐熱超合金棒」として規格化されています。

参考文献
https://kikakurui.com/g4/G4902-2019-01.html

鉄筋加工機

鉄筋加工機とは

鉄筋加工機とは、鉄筋の加工に関する機械のことです。

鉄筋とは、正式には「鉄筋コンクリート用棒鋼」という名称の鋼材です。建築材料として欠かせない材料の一つであり、具体的に鉄筋加工機とは建築現場や工場において、この鉄筋という名の鋼材を加工するための工作機械です。

鉄筋加工機は、鉄筋を切断、曲げ、溶接といった加工を正確かつ効率的に行えるよう設計されています。建築現場や工場で使用される鉄筋加工機は、現場に合わせて設計され、作業効率や施工精度を高めるために重要です。また、最近では自動化や高性能化が進み、多様な用途や加工条件に対応可能な機種が増えています。

鉄筋加工機の使用用途

鉄筋加工機は、鉄筋を切断、曲げ、溶接するための専用機械であり、その使用用途は鉄筋が主にコンクリート建造物などの補強材として使用される特性にもとづいています。具体的な使用用途として工場での大量生産向けと建築現場での作業向けの2つを解説します。

1.  工場での大量生産向け

工場での大量生産においては、高精度で効率的な加工が求められます。工場での用途では、一度に多量の鉄筋を迅速に加工する必要があります。さらに連続運転にも耐えうる頑丈な構造と信頼性が必要です。

2.  建築現場での作業向け

建築現場では、作業条件や機械の取り回しが重要となります。具体的には重量が軽く、簡単に運搬できる設計が求められます。狭い現場での操作が可能であるコンパクトな設計が重要です。

鉄筋加工機の原理

鉄筋加工機は、建築用鉄筋を効率的かつ正確に加工するための専門機械です。基本的な原理は、切断、曲げ、溶接といった作業を高い精度で行うために、油圧、電動モーター、または機械的な圧力を活用して鉄筋に必要な力を加える仕組みにあります。

鉄筋の形状や強度に応じた力を調整できるため、加工する鉄筋の仕様や目的に応じた柔軟な対応が可能です。また、最近の鉄筋加工機では、自動制御やプログラム設定機能を備えたモデルが多く、複雑な加工でも迅速かつ正確に仕上げることが可能です。

具体的には、鉄筋を希望の長さに切断する「切断機」、必要な角度や形状に加工する「曲げ機」、鉄筋同士を接合する「溶接機」の3つの機能が、鉄筋加工機の基本的な構成となっています。

以上のように鉄筋加工機の原理は単純に見えて、実際には高度な技術と力学の応用が含まれており、鉄筋加工機は工場や現場での効率的な生産と加工を担っている機械と言えるでしょう。

鉄筋加工機の種類

鉄筋加工機の種類として、切断機、曲げ機、溶接機の3種類があります。

1. 切断機

切断機は、建築現場で用いられる加工機に「鉄筋カッター」があります。鉄筋カッターは持ち運びに便利はハンディタイプのものが多く、電動ないしは油圧で、鉄筋を切断します。ただし大量に切断するには不向きな点があり、現場向けであると言えます。

一方で鉄筋加工の工場で用いられるのは、「鉄筋自動切断機」です。オートメーション化された全自動タイプも多く、搬入、切断、排出の一連の流れをコンピュータ制御で高速に行います。加工精度もmm単位で実現可能で、同時に複数本の鉄筋の加工を実現できるものが多いです。

2. 曲げ機

曲げ機は、切断機同様にハンディタイプの「鉄筋ベンダー」と呼ばれる曲げ機械があります。しかし、複雑な曲げ加工や大量に扱うことはできません。

工場では、NC制御にもとづき、複雑な曲線の曲げ加工を、複数本分、大量に扱える「鉄筋自動曲げ機」や、円形の曲げに徹した「リングベンダー」と呼ばれる据え置き式のものなども、よく使用されています。

3. 溶接機

溶接機は、鉄筋用専用というよりはスポット(局所)溶接の用途に対して、様々なタイプの加工機が使われています。工場向けには溶接と鉄筋の組み立て加工用の機械が、1セットになった、鉄筋組立工法に適したスポット溶接向けの加工機もあります。