ファインUナット

ファインUナットとは

ファインUナット_図0

ファインUナット (英: Fine U-Nuts) とは、ねじのゆるみを防ぐ機能や機構を備えたゆるみ止めナットの1種で、主にベアリング (軸受) 用のロックナットです。

ロックナットの緩み止めには、ロックワッシャと組み合わせて使用する方法が一般的です。それ以外に緩み止め機構を備えたハードロックナットがあります。

ファインUナットは、ゆるみ止め機構を備えたロックナットとしては、構造がシンプルで締め付けも容易であることから、ベアリングを使用している多くの機械や装置で使用されています。

ファインUナットの使用用途

ファインUナット_図1

図1. ファインUナットの使用例

ファインUナットは、ベアリング用ロックナットが使用されている場合に適用することが可能で、従来はロックナットとロックワッシャの組み合わせでベアリングを固定していた方法に代わり使用されています。

ベアリング用ロックナットは、主にアンギュラ玉軸受、円すいころ軸受、自動調心玉軸受および自動調心ころ軸受テーパ穴用アダプタスリーブなどが使用されている場合に、シャフト (回転軸) おすねじが加工され、ロックナットでベアリング内輪の位置合わせ、固定および予圧調整に使用されています。

ファインUナットの原理

ファインUナット_図2

図2 .ファインUナットの原理

ファインUナットのゆるみ止め機構は、フリクションリングロックナットやプリべリングトルク形ナットの1種です。ベアリング用ロックナットのベアリングと反対側に、フリクションリングと呼ばれるリングをはめ込み、ナット外周部をかしめ加工して固定し一体化させています。かしめ加工とは、機械的に圧力を加えて金属を塑性変形させ2つの部品を接合、固定する方法です。

ファインUナットをシャフトにねじこんでいくと、フリクションリングがシャフトのねじの谷に入りこみます。さらに、締めつけていくと、フリクションリングがねじに沿った状態で変形してねじ山を押す力F1と、おすねじとめすねじの摩擦力F2が発生します。

F1とF2が相反する方向に働くことで、ねじのゆるみの原因である、おねじとめねじの摩擦力低下を防ぐことが可能です。

ファインUナットの特徴

ファインUナットの特徴は下記のとおりです。

  • 任意位置での締結が可能
  • 取り付け作業に高度なスキルが不要
  • 再使用可能
  • シャフトの溝加工が不要
  • シャフトとベアリングの回転バランス向上
  • 部品点数削減

特に、フリクションリング式のゆるみ止め機構は、ナットの取り付け位置 (締め込み位置) に関係なく緩み止め効果を発揮し、締め付けトルクの管理も容易で、取り付け取り外し作業には高度なスキルは不要です。

フリクションリングやナット本体に異常な変形がなければ、10回の取り付け取り外しにおいても軸力の低下はわずかなため、再使用が可能です。また、使用されている材質は金属製で300℃程度までは、高温雰囲気で使用できます。

標準ロックナットを使用した場合は、ロックワッシャで回り止めをするために、シャフトにはロックワッシャ内側の突起がはまり込む溝加工が必要ですが、ファインUナットの場合は不要になり加工数削減のメリットがあります。

ファインUナットのその他情報

1.  標準ロックナット

図3. ファインUナットと標準ロックナットの比較

一般的なゆるみ止め方法は、JIS B1554 転がり軸受-ロックナット、座金及び止め金 で規定されている標準のロックナットでベアリングと、ロックワッシャ (座金) を使用します。この場合は、シャフト溝にロックワッシャ内側の突起 (つめ) が、外側の突起はロックナットの溝にはまり込み、ゆるみを防止します。

2. フリクションリングの枚数

ファインUナット_図4

図4. フリクションリングの枚数

一般的なファインUナットはフリクションリングが1枚ですが、特殊仕様として2枚のフリクションリングで、ゆるみ止め効果を向上させたものがあります。

ファンコイルユニット

ファンコイルユニットとは

ファンコイルユニット

ファンコイルユニットとは、一般に熱交換器 (コイル) とエアーフィルタおよびファンモーターユニットで構成された空調用の装置です。

メインユニットから配管を通じて送付される冷水や温水により室内の温度と湿度を熱交換器を介して調整し、その際にエアーフィルタで塵埃を取り除き、ファンモーターユニットで空調場所へ送付します。

比較的小型で簡易な空調装置であり、とくに暖房専用の装置の場合はファンコンベクターとも呼ばれています。

ファンコイルユニットの使用用途

一般的にオフィス、ホテル、病院、学校、大型商業施設などに設置されて使用されます。最も見かけるファンコイルユニットは部屋ごとに天井に四角形の吹き出し口の空調設備が設置されたタイプです。

主にファンコイルユニットは室内側の温度調整用に用いられ、外気とのやり取りは空調機 (AHU) で実施されます。建物全体の冷房や暖房などの風が統一され、個別のニーズではなく全体の空調目的で使われる場合が多いです。

ファンコイルユニットの原理

エアコンは室内のエアコン装置とファンを伴う室外機から構成されており、基本的に一対で動作し、個別のエアコン毎に冷房、暖房、除湿などの用途が使い分けられています。その一方でファンコイルユニットはメインユニットから配管を通じて送られてくる冷水や温水を各部屋のユニットで熱交換器を介して空調するため、建物全体の空調の種類は決まっています。

建物全体の空調の目的が決まっている大型の商業施設、ホテル、病院などに多く用いられ、個別のエアコンを部屋ごとに設置するよりも集中制御で効率的かつ経済的に冷暖房を提供可能です。

最近ではファンコイルユニットの小型簡便性を活かし、エアコンと併用されています。ファンコイルユニットは外壁や窓際のペリメータゾーンで負荷調整を行い、エアコンは室内のインテリアゾーンの温度調節を行います。

ファンコイルユニットの種類

ファンコイルユニットには、2管式、3管式、4管式、標準モーター搭載型、省エネモーター搭載型などがあります。

1. 2管式

コイルが1個しかなく、暖房期と冷房期で必要に応じて冷温水を切り替えます。比較的安価で配管の本数が少なくスペースを取りません。

2. 3管式

温水コイルと冷水コイルがあり、冷温水の還り配管が1つです。4管式と比べて配管を減らせますが、冷温水の混合損失が大きくあまり利用されません。

3. 4管式

温水コイルと冷水コイルがあり、配管の本数が多いです。一日の間で暖房と冷房を切り替える必要がある部屋で使われます。細かく調整可能ですが、2管式や3管式よりも設置や運転のコストがかかります。

4. 標準モーター搭載型

ACモーターを搭載したタイプで、建物のスペースや用途に合わせて設置方法を選べます。主な設置方法には、床置き型、天井吊り型、天井埋め込み型、天井カセット型などがあります。

5. 省エネモーター搭載型

DCブラシレスモーターを搭載したタイプです。環境を考慮した省エネモーターで二酸化炭素 (CO2) の排出量を抑え、風量が少ないと消費電力を節約してランニングコストを抑えられます。取り付け方法には、床置き露出型、床置隠ぺい型、天井吊り隠ぺい型、カセット型などがあります。

ファンコイルユニットの構造

ファンコイルユニットの構造には、二重床吹き出し型、ダクト接続型、壁掛け型、床置き型、天井吊型、天井埋め込みカセット型などがあります。

1. 二重床吹き出し型

二重床の内部に暖気や冷気を吹き出し、電算室のような二重床の部屋で使用されます。

2. ダクト接続型

ダクトとユニットを接続して任意の場所に吹き出し口と吸い込み口を設置可能です。 

3. 壁掛け型

壁面に取り付けて用いるタイプです。 

4. 床置き型

床面に置いて使用するタイプです。

5. 天井吊型

天井の骨組みがむき出しの倉庫などの場所で用いられます。

6. 天井埋め込みカセット型

天井内に設置され、表面に吹き出し口と吸い込み口があります。

ブライトヒーター

ブライトヒーターとは

ブライトヒーターとは、ジェットヒーターと呼ばれる大型の暖房機の中で、特に赤外線による暖房機のことを言います。熱風式のジェットヒーターとは異なり、基本的に赤外線を用いた暖房機なので、ヒーター設置個所から離れた場所や広い空間での暖房用に適しています。

また熱風方式と異なり、特に運転時の静音性に優れていることから、各種イベント会場や体育館等での冬季の学校行事などでの会場全体の暖房用によく用いられるヒーターです。

ブライトヒーターの使用用途

ブライトヒーターは、大型という点を除けば家庭用ストーブに近い使用感であり、通常は体育館などの広い場所で、大人数の利用者が暖を取るために使用されます。

一方で熱風式のジェットヒーターは赤外線ではなく直接的に熱風を当てて温める方式であり、建築現場や農作業等での乾燥作業に使われることが多く、目的や使用用途が異なっています。

ただ、ブライトヒーターでも、サーキュレーター内蔵型のものも多く、この場合は赤外線で温めた空気を前方に押し出す役割も期待できます。

ブライトヒーターの原理

赤外線の中でも特に遠赤外線は、一般に3um~1mmの波長の電磁波の事を指しますが、この遠赤外線の波長は人の皮膚の分子振動の周波数に合致するため、人体の表面でよく吸収される性質があります。この際人体の毛細血管にその熱が吸収され、血管を通して体内に効率よく伝搬されるので、「身体の芯まで暖まる」とよく表現されるのです。

赤外線ヒーターは、熱を直接体に届けて温めるだけでなく、ヒーターに直接触れている空気が熱伝導で温度上昇しその結果空気の対流が起きるので、部屋全体の空気も徐々にではありますが、暖まっていきます。

ブライトヒーターの中でも特にサーキュレーター内蔵タイプでは、前述の空気の熱伝導の効果の他に、サーキュレーターにより起こす熱の対流により、より効果的に部屋全体の空気を温めることができます。つまり、熱の放射(輻射)と熱伝導、熱対流という熱の伝搬の各種方式を効率よく用いた暖房機というわけです。

なお、ブライトヒーターの燃料には一般に灯油が用いられています。

プレスブレーキ

プレスブレーキとは

プレスブレーキ

プレスブレーキとは、金属板に圧力をかけて曲げて加工するための代表的なプレス機械であり、曲げ機とも呼ばれます。一般に4m程度までの長さで厚み0.5~5mm程度のアルミ板やステンレス板などの鋼板を曲げるために用います。

パンチと名付けられた先端の尖った上側の金型と、ダイと呼ばれるV字の溝の下側の金型の間に金属板を挟み、プレス圧力を印加することで金属版の曲げ加工を行います。

ちなみにNCがない時代、プレス機のブレーキを巧みに操りながら曲げ加工をしていたことが、プレスブレーキの名称の由来という説もあります。

プレスブレーキの使用用途

使用用途ですが、主に比較的薄いステンレスやアルミ、鉄鋼などの金属板を曲げるために用いられており、その曲げについても実に様々な仕様があります。最も基本的な用途は90度曲げであり、L字曲げとも言われます。

金属板はスプリングバックと呼ばれる元の形状へ戻ろうとする弾性に起因したそりが存在するので、精密な精度が要求される曲げ加工には、ダイへの押し込みの圧力と、金属板をセットする位置決めが重要なポイントになります。

L字以外にもU字やV字、Z字や折りたたむ形状のヘミング加工、複雑な曲線加工の成形加工などが用途としてあげられます。

プレスブレーキの原理

プレスブレーキの駆動方式については、機械式と油圧式、サーボ式、油圧とサーボ式を組みあわせたハイブリッド(油圧サーボ)方式に大別されます。

かつては動力部分がクランク形状の機械式が多かったのですが、その制御性が難しく加工速度もばらつくために近年は製造メーカーも限られ、あまり用いられていません。

油圧式は、油圧シリンダをプレス動力に用いている特徴があり、比較的コンパクトな構造にもかかわらず高い加圧能力を得ることができ、業界の主流です。

サーボ式はサーボモーターを用いて、プレス動力を得る方式であり、制御性がよく加工速度を自由に変更可能な点とメンテナンス費用を低くできる利点があります。ただし油圧式に比べると、加圧能力は一般に低いです。

油圧サーボ方式は油圧式とサーボ式の利点を組み合わせた方式で、最近プレスブレーキ業界に登場した駆動方式です。油圧ポンプをサーボモーターで駆動するために高い制御性と油圧式の大きな加圧を同時に得ることが可能で、発熱も少なく油圧式単独に比べて作動に要する油量も少なくて済みます。

また機械形状については、手前が広い空間で作業汎用性を確保しやすいC型プレスと、4隅に支柱があり、高圧耐性に優れたストレートサイド型(門型)プレスが一般に用いられています。

プロトコルアナライザ

プロトコルアナライザとは

プロトコルアナライザとはパソコンなどデジタル通信機能を持つ機器間のシステム開発時のテストやトラブル対応、あるいはネットワークを保守する場合に使用する計測器を示します。

デジタル通信回線の検証、解析を行う場所は室内だけではなく屋外など様々な場所があります。このためプロトコルアナライザは装置として野外で使用できる電池駆動タイプ、パソコンに接続して使用するタイプ、または、パソコンにインストールして使用するアプリケーションタイプがあり、解析するレベルや環境によって使い分けることが可能です。

プロトコルアナライザの使用用途

プロトコルアナライザは、コンピュータ間でデータ通信のデータ異常、通信障害など不具合が発生した場合に問題を解析、解決するために使用します。

また、通信障害に至らなくともネットワーク回線速度が安全で正常なことを確かめるため定期的にネットワークのメンテナンスが必要です。このようにネットワークの定期メンテナンスなどにも有効です。

また、ネットワーク機器の開発時に通信の検証を行う場合、あるいは通信機器の新規設置、変更など行った時に通信の確認と検証を行う場合などに使用されます。

この様にデジタル通信回線の送受信データが通信プロトコルに準拠していることを確認、検証などを行うためにはプロトコルアナライザが必要になります。

プロトコルアナライザの特徴

プロトコルアナライザの特徴とは通信規格(通信プロトコル)の解析を行う機器、ソフトウェアになります。
基本的にはデータ回線を流れる通信パケットをモニタする装置ですが、高機能なプロトコルアナライザーであればデータのビットレベルのモニタが可能でありロジックアナライザの機能を持つ機種もあります。

しかし、オシロスコープのようにデジタル通信回線に流れる信号の波形解析を行う場合には、特殊で高機能な機種を選択する必要があります。

現在、通信プロトコルは非常に多くの種類があります。この中で全てのプロトコルに対応可能なプロトコルアナライザは調べたところ見当たりません。

従いまして機器の選択としてはマルチプロトコルアナライザの様な汎用機能を持つ機種であれば、通常使用されている通信プロトコルに対応していますので汎用性があります。
また、解析する内容にもよりますが、プロトコルアナライザーの解析時間は実装しているメモリによって制限されます。このため長時間の解析を行う場合には十分なメモリを持つ機種を選択する必要があります。

通信データをモニタする程度の簡単な解析を行う場合には、アプリケーション型のプロトコルアナライザがあります。このような製品は低価格もしくは無料で使用可能なものもあります。

映像系や無線系のプロトコル解析には専用のプロトコルアナライザがあります。これらのプロトコルアナライザは対応するプロトコル解析に特化しておりコンプライアンステストまで行うことができますが、非常に高価な製品になります。

ボルトクリッパー

ボルトクリッパーとは

ボルトクリッパー

ボルトクリッパーとは、てこの原理を応用した工具で、線材や棒鋼、硬銅線、軟鉄線などを切断する専用工具です。

ハンドルを握るだけで非常に大きいパワーを生み出すため、握力が弱い人でも硬くて太い線材を楽に切断できます。ボルトクリッパーの長さは300mm程度のものが一般的ですが、1,000mmを超える大型のボルトクリッパーもあります。

ボルトクリッパーは「番線カッター」や「ボルトカッター」などと呼ばれることもありますが、JIS規格の呼称はボルトクリッパーです。

ボルトクリッパーの使用用途

ボルトクリッパーは、棒鋼材や硬銅線、軟鉄線、より線、ケーブル線、針金、釘など、おもに線状または棒状の硬い鋼材を切断する目的で使われます。また、南京錠で施錠した太いチェーンや、鉄筋の切断に使用されることもあります。

ボルトクリッパーがよく使用される現場は、建築工事現場や土木工事現場、配管工事現場などです。そのほか、災害救助用の必需品としても常備されています。また、小型で安価なボルトクリッパーがホームセンターなどで販売されており、DIY工具としても使われています。

ボルトクリッパーの原理

ボルトクリッパーは、刃部とハンドル部から構成されています。てこの原理を2段に応用した機構をしており、ハンドル末端に加えた力が刃先で20〜50倍の力になるため、硬い鋼材を簡単に切断可能です。

ボルトクリッパーは刃先の隙間を調整する機構をもち、ハンドルの付け根に調整機構をもつ調整フレーム式と、刃部に調整機構をもつ偏心ボルト式があります。細い線材や軟質鋼材を切断する際に、刃先の隙間が空きすぎて切断しきれない場合は、フレームの調整ボルトや偏心ボルトで隙間を減少させるように調整して使用します。

ボルトクリッパーの種類

1. サイズによる分類

ボルトクリッパーのサイズ (全長) はJIS規格で定められており、以下の7種類です。

・300mm
・350mm
・450mm
・600mm
・750mm
・900mm
・1050mm

JIS規格で定められたもの以外に、200mmや250mmなどのミニサイズのボルトクリッパーも販売されています。

2. 刃先の形状による分類

刃先の形状には、「両刃 (センターカット) タイプ」と「片刃 (クリッパカット) タイプ」の2種類があります。両刃タイプは刃が厚く強度が高いため、片刃タイプに比べて、より硬いものや太いものの切断が可能です。片刃タイプは、両刃タイプより切断面がフラットに仕上がります。

3. アンギュラーカッター (斜め型)

ボルトクリッパーには、アンギュラーカッターと呼ばれる刃先を約30度曲げた斜め型があります。アンギュラーカッターは、刃先を壁や床にぴったりつけられるため、鉄筋コンクリートの工事現場などで壁や床から飛び出ている鉄筋を根元から切断可能です。アンギュラーカッターは、刃部を交換すれば通常のボルトクリッパーとしても使えます。

ボルトクリッパーのその他情報

ボルトクリッパーを使用する際の安全対策

ボルトクリッパーは、硬くて太いものを切断するため、破片が飛ぶと思わぬケガをする可能性があります。安全対策として、以下の3点が重要です。

1. 保護メガネ
万が一、切断した破片が飛んできてもケガをしないように、保護メガネを着用して作業すると安全です。

2. 飛散防止策
切断箇所を布や袋などでカバーしておけば、破片の飛散を防止できます。また、より線を切断する際は、切断部にビニールテープなどを巻き、テープごと切断すればバラけることがなく安全です。

3. 数回にわけて切断する
切れにくい場合は1回で切断しようとせず、数回にわけて切断するのがポイントです。無理に力を入れて切断しようとすると破片が飛散しやすいほか、刃を傷めてしまうおそれもあります。

また、切断は刃の先端ではなく、中央から根元のほうが力が伝わりやすく簡単に切断できます。

マシンキー

マシンキーとは

マシンキー

マシンキーとは、工作機械などのシャフトとギアのはめ合い部の溝に差し込まれる機械要素のことです。

JIS B1301-1996「キー及びキー溝」にも基本的形状のものが規定があり、「平行キー」「こう配キー」「半丸キー」の3種類の記載があります。さらに平行キーには「両丸キー」「両角キー」「片丸キー」が規定されています。

なお、JISの規定が1972年改正されたことに伴い、改定前後で寸法や公差の異なる「旧JIS」対応と「新JIS」対応があるため注意が必要です。

マシンキーの使用用途

マシンキーは、動力伝達の行われている様々なところに必要となるもので、使われている機械や使用されている分野も広範囲に及んでいます。

動力源となる電動機やポンプのシャフト側のギアをはじめ、変速機のような相手のギアやベルトへの伝達を行うプーリーなどでも使われています。工作機械をはじめとした建設機械、食品機械だけでなく、車両関連分野などでも幅広く使用されています。

マシンキーの構造

マシンキーは、使われる趣旨から高強度が求められる一方で、はめ込みなど構造上からねばりや引っ張り強さ、耐久性といった特質も兼ね備え、かつ必要に応じ外せることが大切です。

マシンキーは、用途に応じ形状のほか材質も「S50C」といった機械構造用炭素鋼や合金銅をはじめ、「SUS316」のような各種ステンレス鋼、工具鋼、チタンといった様々なもので対応製作されています。

さらに、ギアやプーリーなどの摩耗や破損による交換で外す必要がありますが、長期間使用していたものは外れにくいため、外しやすくするためのタップが付いたものなども製作されています。シャフトに加工されているキー溝の位置によって使えるものが決まる場合もあるため交換時には注意が必要です。

マシンキーは、その形状によりはめ込む順序も異なり、平行キーのように先にマシンキーを入れておいてからギアなどをはめ込むのに対し、こう配キーはギアを装着後叩いてはめ込むためより一層装着はしっかりしたものとなります。

マスター超硬バー

マスター超硬バーとは

マスター超硬バー

マスター超硬バーとは、切削加工などを行う超硬バーの一種です。

超硬バーは超硬ロータリーバーとも呼ばれ、エアグラインダーなどの回転工具の先端に取りつけて使用します。超硬バーはタングステンカーバイド (WC) とコバルト (Co) など、硬質の金属炭化物と鉄系金属から人工的に作られる超硬合金で作られ、非常に硬くて金属のような硬い素材を切削可能です。

超硬バーは刃部のカットタイプによってスパイラルカット・マスターカット・アルミカットなどの種類があり、マスター超硬バーは刃形状がマスターカットの超硬バーを指します。 

マスター超硬バーの使用用途

超硬バーはステンレスや耐熱合金のような硬い素材を用いた加工品の成形やバリ取りなどの仕上げ作業に使用可能です。マスター超硬バーは右回りのらせん状の刃と左回りのらせん状の刃が交差しており、切削抵抗が小さいため作業時の手ぶれを押さえます。

炭素鋼・合金鋼・耐熱鋼・ステンレスなどの加工に適し、特にチタン合金・溶接鋼の加工にはマスター超硬バーの使用が推奨されています。その一方でアルミニウムや樹脂など融点の低い材質の加工に使うと目詰まりを起こしやすいです。

マスター超硬バーの種類

マスター超硬バーの刃部は、マスターカット、ダブルカット、クロスカットなどと呼ばれるカットタイプをしています。一方向の刃のみで構成されたシングルカット (またはスパイラルカット) の刃部に対し、マスターカットはその逆方向の刃を付加した形状です。シングルカットの加工では針状の切粉が排出されますが、マスターカットでは粉状の切粉が排出されるため手作業でも安全です。

1. クロスカット

最も一般的な刃形状です。スパイラルカットよりも切削抵抗が小さく、粉状の切粉が排出され、ビビリを最小限に抑制可能です。

2. スパイラルカット

シングルカットのねじれ刃で、切削量が多いです。短い時間で効率的に作業でき、針状の切粉が排出されます。クロスカットより切削抵抗は少し増加しますが、仕上面は良いです。

3. アルミカット

切粉の排出を良くするため、広くチップポケットを取っています。目詰まりを防止でき、作業が効率的です。

マスター超硬バーの構造

マスター超硬バーの刃部の形状には、円筒型・先丸円筒型・楕円型・砲弾型・球型・円錐型などの構造があり、加工する場所の形状に応じて刃部の種類を選びます。

1. 円筒型

刃先が平らな形をしています。外周に刃を持ち、軸方向に垂直に押し当てて加工します。先端に刃がある製品もあり、軸方向にも加工可能です。

2. 先丸円筒型

刃が円筒型で、先端が丸みを帯びています。曲面の隅の加工に向いており、円筒型と同様に側面も加工できます。

3. 楕円型

刃全体が丸みを帯びています。ワークの曲面を均等に加工する場合に適しています。

4. 砲弾型

砲弾のように刃物の先端が細いです。曲面のような複雑な形や細かい場所の加工に用いられます。

5. 球型

刃物が球体で、丸溝の加工に使用されます。

6. 円錐型

円錐形状の刃物で、円錐の角度には60°や90°があります。V溝や皿ザグリの加工に使われ、逆円錐形状の製品もあります。

マスター超硬バーのその他情報

刃部の材質

マスター超硬バーの刃部の材質は超硬合金で、シャンク部には超硬合金製や鉄製があります。全て超硬合金でできているマスター超硬バーは「オール超硬タイプ」と呼ばれます。

シャンク部の直径には3mm、6mm、8mmがあり、6mmシャンクが最も一般的なサイズです。3mmシャンクは精密加工に、8mmシャンクは除去量の多い加工に適しています。

仕様としては奨励回転数が公開されています。回転数が合わないグラインダーに取りつけて使用するとビビりや目詰まりが発生しやすいです。使用時に奨励回転数を確認し、回転工具に合わせて適正なマスター超硬バーの選択が重要です。

メカロック

メカロックとは

メカロックは、産業機械などに使われる摩擦式締結具の一種です。

摩擦式締結具は動力を伝達するために回転軸と回転体(プーリ・ギア・スプロケットなど)を締結する部品で、キーを使わず摩擦によって回転軸と回転体を固定するためキーレスブッシングと呼ばれることもあります。

摩擦式締結具には、くさびの原理を応用したメカ方式(くさび方式)とパスカルの原理を応用したハイドロ方式(油圧方式)があり、メカロックはメカ方式の摩擦式締結具です。

メカロックの使用用途

メカロックは、研究開発・医療介護・製造現場・食品衛生・印刷など幅広い分野で、工作機械・産業機械・搬送装置・包装装置・印刷機械やその他自動機器に使用され、機器の回転軸とプーリや歯車などの機械要素を締結するためのつなぎとしての役割を担っています。

メカロックは、ボルトを締めつけるだけで回転軸と回転体を簡単に締結することができるため、位相合わせに自由度があり、回転軸と回転体の広範囲な組合せが可能です。また、キーを使用した締結に比べてガタつきが発生しにくいため、正転・反転をくり返す場所での使用に適しています。

メカロックの特徴

メカロックは、円筒状の本体部分、2つのテーパーリング(外輪のアウターリングと内輪のインナーリング)、複数のボルトで構成されています。

内輪側に回転軸、外輪側にプーリ・ギア・スプロケットなどの回転体を取り付けます。ボルトを締めつけるとアウターリングが移動し、インナーリングは縮小して回転軸に押しつけられアウターリングは拡大して回転体に押しつけられます。双方の押しつけられる力によって2つのテーパーリングの間に強力な摩擦力が発生し、くさびの原理で回転軸と回転体を強く締結します。

メカロックは、油圧方式の摩擦式締結具に比べ安価で、小型で高トルクを伝達することができるというメリットがあります。締結する回転軸・回転体の組合せの汎用性も高く、キー溝がある回転軸に対して使用することもできます。

一方、複数のボルトを使用するため着脱に時間がかかり、締め忘れが発生する恐れもあります。また、取付け時に回転体が軸方向に移動してしまうため、高精度の位置決めが難しいというデメリットもあります。

リモートセンサー

リモートセンサーとは

リモートセンサー

リモートセンサーとは、直接ものに触ることなく調査できる技術 (リモートセンシング) に欠かせない検知機器のことです。

温度や湿度をはじめ多くの検知対象や条件によって多種多様のものが製作され、その性能もセンサー素子の開発とともに進化し続けています。

リモートセンサーの使用用途

リモートセンサーは、リモートせざるを得ない場所や環境に使われることが多く、耐久性能が必要です。

森林や農耕地、北極や南極などの極地や海上・地表の温度などの測定に使用され、天気予報の重要な判断材料となる雲の状態や雨の強さ、台風の目と言われる空中での状況観察などにも使用されます。

そのほか、センサーを使って得られる温度や湿度といった数値情報以外に、カメラ映像といった多くの情報が得られるセンサーの活用も行われています。

リモートセンサーのその他情報

リモートセンサーの特徴

リモートセンサーにより得られた情報には、代表的な環境要素となる温度・湿度をはじめ、天気予報で貴重な情報源となる風速・風向・雨量から、さらに定点でのカメラ映像などがあります。

そのほか、河川やダムなどの水位や地図作成に欠かせない標高といったものから、漁業には欠かせない潮流といった情報取得にも利用されています。

さらに、環境条件の厳しい人工衛星から得られる情報は、リモートセンサーなしには得られない非常に貴重な情報と位置付けられ、人工衛星の中でも観測衛星が主体として取得されています。

この地球観測衛星で使用されているセンサーには、地表や海上の温度など多くの情報を得る「光学センサー」をはじめ反射電磁波から各種情報の得られる「マイクロ波センサー」などがあります。