マルチシート

マルチシートとは

マルチシート

マルチシートとは、地温の調整や雑草予防、泥はねなどを防ぐために使用する農業資材です。

マルチシートの多くは、耐久性や保温性などを備えており、農家だけでなく家庭菜園でも多く使われています。

マルチシートの使用用途

マルチシートは、主に作物を植える前の段階で、畝全体の土壌を覆うように直接張って使用します。マルチシートを使用することで、霜や急激な温度上昇、土中の水分蒸発を抑制できるため、作物の成長を早めることが可能です。

また、土壌や肥料の流出の抑制、保温・保湿効果の目的でも使用されます。マルチシートが使われる農作物は多く、葉物野菜やイモ類、トマト・ナス・ピーマンなどの実を収穫する野菜の栽培に最適です。

マルチシートの特徴

長所

マルチシートの長所として、主に次の効果が挙げられます。

  • 防草効果
  • 土壌の保温効果
  • 土壌の水分保持
  • 土壌や肥料流出の防止
  • 作物への泥はねを防ぐ
  • 病気予防
  • 害虫避け効果

短所

マルチシートにも短所があるので正しく設置するとともに、季節や作物に応じて使用することが重要です。

  • 高温になりすぎることがある
  • シートを敷く・剥がす作業が伴う
  • しっかり抑えないと風でめくれてしまうことがある
  • 土寄せや追肥の手間がある
  • 廃棄にコストがかかる

マルチシートの種類

農業用マルチシートには、さまざまな種類があります。各色の代表的な特徴や効果は、以下のとおりです。

1. 黒色マルチシート

遮光性が高いため、雑草の発芽を抑制できます。また、夏場に使用することで、土壌の温度上昇を防げます。

ただし、黒色が光によって温められすぎると、葉焼けを起こす可能性があるため、藁などを株元に置いておくと良いです。

2. 透明マルチシート

透明のマルチシートは直射日光を通しやすく、地温を上げたいときや土壌殺菌したいとき、冬から春にかけての発芽や生育速度をアップしたいときなどに効果的です。

保湿性も備えているため、土が固くなるのを予防できます。ただし、透明マルチシートを夏場に使用した場合、地温が高くなりすぎることがあるので注意が必要です。

3. シルバーマルチシート

シルバーマルチシートは、アブラムシやアザミウマ、ハモグリバエなど光を嫌う害虫を寄せ付けにくい効果が期待されています。シートの光反射により、スイカやカボチャなど色付けが必要な作物にも有効です。

4. 銀黒マルチシート

表面がシルバー、裏面が黒色のマルチシートもあります。地温を温めたい季節には黒面を表にし、害虫の忌避効果や色付きを要する作物にはシルバー面を表にして使います。

5. 白黒マルチシート

季節によって白と黒の両面を変えて使えるマルチシートも便利です。年間を通して使えるため、コスト削減にもつながります。

マルチシートの選び方

マルチシートの厚みは0.02mmや0.05mmなどが一般的ですが、厚みがあるほど耐久性と保温性が高まります。

マルチシートを選ぶ際は、色・サイズ・目的をあらかじめ明確にする必要があります。

マルチシートの使い方

1. 畝立てを行う

マルチシートを張りやすいよう、真っすぐに畝立てし、畝の表面と側面を平らにしておくのがポイントです。

2. マルチシートを用意する

育てる作物によって畝幅や高さが異なりますが、畝の幅よりも広いマルチシートを用意します。労力を削減したい場合は、苗を植え付けやすいように穴があいている「穴あきタイプ」が便利です。穴が開いていないマルチシートは、カッターもしくは穴あけ専用カッターを活用します。

3. 畝の端に溝を作る

畝の端の土をクワで堀って溝を作りますが、あとからマルチシートに土を掛けやすいよう、すぐ横に避けておきます。

4. マルチシートを置く

畝幅に合わせてマルチシートを置きます。畝幅側のマルチシートの端を土またはマルチシート押さえで固定し、ピンと張るようにして転がしながら伸ばしていきます。

5. マルチシートを伸ばす

畝が長い場合はズレやすくなるため、中心を意識しながら伸ばします。また、途中の何カ所かに土を掛けながら伸ばしていくと綺麗に張れます。

6. マルチシートを踏み固める

張り終わったら、マルチシートの端部分を足で踏み固めます。踏み固める際は、破かないように注意が必要です。

足袋靴

足袋靴とは

足袋靴

足袋靴とは、ゴム底がついていて、足袋の形をした指股がある靴です。つま先に指股の割れ目が無い、ブーツ型やスリッポン型もあります。スニーカーやパンプスなどのファッショナブルな製品もありますが、いずれも一般的な靴に比べて、足指に力を入れやすく、しっかりと踏みしめられることが特徴です。

足袋靴の使用用途

足袋靴は、農業・林業・土木・建設・造園・鳶職・お祭りなど、様々な分野で使用されています。足場の悪い所での作業では、指に力を入れて踏みしめられる足袋靴が大変便利です。足袋靴を履くことによって、快適にかつ安全に作業できます。

足袋靴の特徴

長所

足袋靴は、靴底が薄めで足指に力を入れやすく、しっかりと踏みしめられることが特徴です。その上軽量で、足にフィットして動きやすく、安全・快適に作業できます。また、布製足袋の場合、通気が良く、蒸れにくいです。汚れても丸洗い可能で、取扱いが簡易であることも長所と言えます。

短所

最も一般的なコハゼという金具を止めるタイプは、脱ぎ履きに時間がかかる点が短所です。しかし、代わりにファスナーやマジックテープで留められる製品もあります。

また、下駄や雪駄、草履に慣れていないと指股が痛くなったり、ゴム底が薄いので小石などとがったものを踏むと痛かったりすることがあります。足袋靴のデザインと使用頻度にもよりますが、穴が開く、留め金部分が壊れてしまうなど、耐久性がやや劣る側面も短所の一つです。

足袋靴の種類

1. 爪先の形による分類

地下足袋型
爪先に指股のあるタイプは、地下足袋と呼ばれます。足袋同様、内くるぶしからふくらはぎにかけて開閉するようになったタイプが一般的で、コハゼという留め具がついています。足首丈の3枚コハゼから、膝丈の12枚コハゼまで、丈はさまざまです。コハゼ以外に、ファスナーやマジックテープで脱ぎ履きできるものもあります。

各用途に特化したデザインの地下足袋も、種類豊富です。ゴム製で膝上まである田んぼ作業用の足袋長靴、林業や鳶職など高所作業に向いているスパイク付き、指股が細目でより密着するタイプ、体形に合わせてふくらはぎが太目なデザイン、軽量タイプ、寒冷地向けの断熱素材製などがあります。

ゴム底についても、縫製されているタイプと防水性が高い貼り付け型があります。

ブーツ型
爪先が丸く、指股の無いブーツ型でも足袋靴と呼ばれる製品があります。靴底が薄く軽量で、踏みしめやすいです。丈は足首から膝丈まであり、足首丈の製品は、短靴とも呼ばれます。ブーツ型には、コハゼ留めタイプのみならず、ファスナーやマジックテープで脱ぎ履きが便利なタイプもあります。樹脂加工で、防水機能を高めたタイプ、ゴム底が厚いタイプ、つま先芯入りの安全靴タイプなど、デザインはさまざまです。

足袋靴の内部には指股があり、外観は爪先の丸いタイプもあります。指の踏ん張りが可能でありつつ、作業中に指股に草などが挟まらないようになっています。

スリッポン型
スニーカーのような形のスリッポン型は、くるぶし丈で、足の甲部分にゴムの付いたスリットが入り、脱ぎ履きがとても簡単です。一般の靴よりも靴底が薄く、素足に近い感覚で履けます。

2. 素材による分類

足袋靴に最も多い布製は、厚手の綿素材、または綿と化学繊維の混紡素材である場合が多いです。同じ布製でも、つま先部分、もしくは全体に、樹脂加工を施して、防水性を高めた製品もあります。

また、防寒対策に断熱素材を使ったものや、つま先芯入りの安全靴型など、用途に合った素材が使用されています。なお、靴底はゴム製が一般的です。 

足袋靴の選び方

最適な足袋靴は使用用途によって異なるため、しっかり選定することが大切です。

1. 農作業

畑作業では、地下足袋型かブーツ型の、つま先に防水加工の施されたタイプが、泥や水が靴に入らず、蒸れにくいため、便利です。ミカン畑等のように傾斜の急な農地では、地下足袋型でスパイク付きならば、滑りにくく作業がしやすくなります。

一方、田んぼ作業には、ゴム製で膝上丈の、足袋長靴が頻繁に使用されます。別添えのゴムベルトを足首にはめて、ぬかるみで靴が脱げないように固定することも可能です。ゴム底は縫製よりも、貼り付けタイプの方が、耐水性に優れています。

2. 建設・土木工事

建設や土木工事の現場では、安全性と動きやすさを兼ね備えた足袋靴が活躍しています。足指でつかむように立つことができる地下足袋型は、特に人気があります。更に、現場の環境に合わせて、軽作業向けの短靴タイプ、滑り止めのスパイク付き、寒冷地仕様のタイプや、脱ぎ履きの簡単な、マジックテープ式やファスナー式など、各用途に合わせた様々の足袋靴があります。

内装工事など、室内での作業には、脱ぎ履きが簡単なスリッポンタイプも、便利です。ゴム底の製法については、土木・建築現場では、縫製タイプも広く使用されています。

3. 鳶職・造園・林業

高所作業のある鳶職や造園業・林業には、足でつかむ感覚でしっかりと踏みしめられる、地下足袋型が最適です。指股の狭いデザインや、軽量で足によりフィットするタイプなど、高所作業に特化した品もあります。

4. お祭り

舗装道路がほとんどの現代では、神輿担ぎなどお祭りの神事を、素足やわらじ履きで執り行うことは、安全面で問題があることも多いです。そのため、地下足袋を使用することが多く、お祭り向けの地下足袋は、作業用よりも、ゴム底が厚めで、クッション性を高めてあります。

用途とサイズに合った足袋靴を選び、安全・快適に作業しましょう。

足袋靴の使い方

コハゼ留めの場合は、下から上に向かって開閉部分のコハゼをはめていきます。掛け紐や留め金に、くるぶしからアキレス腱の方向に向かってコハゼを差し込みます。この時、ゆるみがあると外れやすくなるので、しっかりとコハゼを押し込んで履くのがポイントです。多少のサイズ調整が可能なデザインが多いので、自分の足サイズに合わせて調整します。

なお、足袋靴は丸洗い可能です。定期的に洗って、しっかりと乾かします。洗った後はゴム部分が長時間直射日光に当たると、早く劣化してしまうので、注意が必要です。

鎌とは

鎌

鎌とは、草を刈ったり穀物を収穫したりする際に使用される農工具です。

刃が厚く丈夫で、柄が太いため力を入れて握りやすい特徴があります。除草に使われる印象の強い鎌ですが、元々は農作物の収穫用の道具として作られました。

現在においてもアスパラの収穫用の鎌など、特定の農作物の収穫に特化した鎌も販売されています。

鎌の使用用途

鎌は農業や庭仕事において、草や小枝などを刈り取るために使用します。通常の草刈りをはじめ、雑木林や竹林などの手入れにも役立ちます。

さらに、雑草を土から根ごと除去する際や稲や麦などの農作物の収穫作業など、様々な場面で使用できるのが魅力です。キャンプなどのアウトドアにおいては、ナイフの代わりに用いられる場合もあります。

鎌の特徴

長所

1. 狭いスペースでの作業に最適
トラクターなど農作業の機械化が進んだ現在においても、機械での作業が困難な狭いスペースや家庭菜園など、鎌は幅広い分野で活躍しています。

また、作物の収穫や草刈りにおいては、用途に合った鎌を使うことで効率良く作業することが可能です。庭のお手入れなど鎌の必要性をあまり感じないような場面でも、草刈鎌があるだけで日々の雑草取り作業を格段に短時間で終えることができます。

2. 適切なメンテナンスで長く使える
鎌は使用をすることで刃先の切れ味が悪くなるため、時々研磨などのメンテナンスが不可欠です。しかしながら、適切なメンテナンスを行えば買い替えの必要はなく、同じ鎌を長く使うことができるため経済的です。

短所

鎌は便利な反面、使い方次第では怪我の原因にもなりかねません。種類に応じて正しい使い方をすることはもちろん、使用する際には極力肌の露出が少ない服装で、手には手袋を着用するようにしてください。

また、小さい子どもなどの手の届かない場所で管理することも大切です。

鎌の種類

1. 草刈鎌

草刈鎌は、柔らかい草を刈るのに適しているのが特徴です。軽いため片手で扱いやすく長時間の作業でも疲れにくい利点があります。種類が豊富な鎌の中で、最も一般的なタイプです。

刃の厚みによって薄鎌や中厚鎌などと区別される他、刃が三日月型の三日月鎌などもあります。また、西日本では刃幅が狭く鋭い切れ味が特徴の越前鎌、東日本では刀幅が広く重厚感の漂う信州鎌など地域特有の型が定着している場合もあります。

2. 草削鎌

草削鎌は、刃が柄に対して垂直に近い角度になっているのが特徴です。植物の根っこを土ごと取り除きたい場合に使用します。手作業では時間のかかる雑草取りも、草削鎌を使うことで軽い力で作業を進めることが可能です。

使用中に刃が土と触れて摩擦を起こすため、刃の消耗が早いという欠点があります。しかし、定期的に研いだり、錆止めを塗ったりするなどの手入れにより、長く使うことが可能です。

3. 鋸鎌

鋸鎌は、鋸のようにギザギザで不揃いな刃が特徴です。稲や麦などの穀物の収穫作業などに利用されます。特にトラクターでは作業のしづらい田圃の端などの収穫作業にも最適です。また、軽い力でも刈り取りが可能なため、茎の硬い草の刈り取りにも適しています。

ただし、刃が鋸状であるため通常の砥石で研ぐことができません。鋸刃用の目立てヤスリで研磨すれば切れ味を取り戻すことができますが、砥石での研磨と比べると手間がかかります。

4. ねじり鎌

ねじり鎌は、柄がねじれているのが特徴です。土の表面を削り取るように草を刈ることができます。使用場面は草削鎌とほぼ同じです。

5. 木鎌

木鎌は、ススキやヨシのような硬い植物を刈るのに適しているのが特徴です。柄が太く重みがあるため力を入れて握りやすく、庭木の手入れなどにも利用することが可能です。

6. 長柄刈払鎌

長柄刈払鎌は造林鎌とも呼ばれ、柄の部分が長いのが特徴です。鎌の柄の長さは40cm〜50cmが一般的ですが、長柄刈払鎌であれば柄の長さが1m前後であるため、立ったままで作業が可能です。

しゃがんで草刈りをするよりも少ない労力で作業を進めることができます。また、ススキなどの背丈の高い植物も一気に刈り取ることができるため便利です。

鎌の選び方

鎌は使用場面に適切な種類を選ぶことが大切です。刈り取る対象が柔らかい雑草の草取り用は薄刃、太い植物の場合は厚刃のものが適切です。刈り取る植物によって鎌を使い分ければ、刃先への負担を最低限に抑えられます。また、切れ味を維持しやすくなったり、刃先と植物の摩擦が少なくなったりするため、効率よく作業を進めることも可能です。

鎌は素材によっても性質が異なります。具体的には、比較的安価な全鋼、切れ味が良い鋼付、汚れにくく錆びにくいステンレス鋼に分類されます。素材によって特徴や必要なメンテナンスが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

鎌の使い方

鎌を使う際は、片手で鎌の柄を、反対の手で刈り取る植物を握ります。植物に刃先を当てたら、手前に引くようにして植物を刈り取ります。

鎌の切れ味が落ちてきた場合は、砥石などを使って研磨することで、切れ味が蘇ります。また、鎌が錆びてしまった場合は、錆落とし液を錆びている箇所に塗ることで、錆を落とすことが可能です。

適切な手入れを施すことで、切れ味をキープするだけでなく、作業にかかる心身の疲労度の軽減にもつながります。

米袋

米袋とは

米袋

米袋とは、米や穀類等の、保存や運搬のために使用する包装資材です。

米や穀類以外のものを運搬する際に、使用される場合もあります。また、消費者が手に取りやすい重さで販売するためのパッケージとしての役割もあります。

米袋の使用用途

1. 米の保存・運搬

米袋に詰めることで、米を運搬することができます。また、虫食いや酸化、湿気などを避けた保存が可能です。年に一度、秋に一年分が収穫される米は、1年以上保存されることも珍しくありません。

収穫後の稲は多くの場合、産地で乾燥、脱穀、籾すりの過程を経て、玄米の状態で米袋に入れて低温保管されています。その後、消費地の精米工場などに運搬されるという流れです。

生産地から精米までの段階では、玄米袋と呼ばれるクラフト紙製米袋が使用されます。なお、日本全国ほぼ同じサイズで30kg入りが一般的です。

2. 米以外の運搬

クラフト紙から作られた米袋は、米や米粉、穀類、澱粉や食塩などの粉状の食品、レジンなどの化学物質の輸送にも利用されています。また、稲作の際、肥料となる籾殻や米ぬか、堆肥などを運搬するために、30㎏入りなど大型の米袋が利用されることも多いです。

3. 消費者向けパッケージ

玄米を精米し、消費者へと販売される際のパッケージとしても、米袋が使用されます。米袋には、商品としての広告的な役割もあり、消費のスタイルや客層に合った素材やデザインの米袋を選ぶ必要があります。

米袋の特徴

長所

米や穀類は一粒がとても小さくバラバラの状態であるため、そのままでは持ち運びも保存も困難です。米袋を使用することで、米を運搬できるようになり、精米を待つ間、低温で保存も可能となります。この機能性がクラフト紙製の米袋の長所です。

一方、樹脂製の米袋の場合、密閉すれば虫は入ることはなくなります。真空処理や脱酸素剤を用いれば、さらに酸化防止が可能で、長期保存できることが樹脂製米袋の大きな長所です。

短所

クラフト紙製や樹脂製問わず、真空密閉できないタイプの場合、特に夏や高温多湿になる場所に長時間保存すると、コクゾウムシやコクヌストモドキといった虫やカビが発生することがあります。一度虫がついてしまうと、袋の中に産卵している可能性が高く、同じ袋の米や穀類は食べられなくなってしまいます。

そのため、このタイプの米袋を使用する場合、保管の際にも注意が必要です。

米袋の種類

米袋の素材には、クラフト紙やポリエチレンフィルム、ナイロンフィルムなどの樹脂フィルムがあります。サイズは小さいものでは1㎏入りから、大きいものは30㎏入りまでとさまざまです。

1. クラフト紙

一般的に、精米までの段階では、玄米袋と呼ばれる30㎏入りのクラフト紙製米袋を使用し、これを積み上げて保管します。そのため、何トンもの重量圧に耐えられる素材として、繊維の長い針葉樹を原料とした、非常に丈夫な重包装用のクラフト紙を使用します。30㎏入り米袋には3枚重ね、5~10kg入りであれば2枚重ねで、強度を高めます。

また、収縮加工を施して衝撃に強い性質のクラフト伸張紙も、米袋にはよく使用されます。さらに、クラフト紙製はリサイクルが可能で、使用済みの米袋は、ホームセンターなどでも販売されています。分解される素材であり、資源有効活用の観点からも、環境負荷が小さい点がクラフト紙製米袋の長所です。

その他、優れた通気性や防湿性を持っている特殊紙や、クラフト紙と樹脂などの、複合素材の米袋も存在します。

2. 樹脂フィルム

フィルム製の米袋は、カラフルな色のイラストや写真等を印刷可能で、様々な種類のデザインに対応することができます。また、熱処理で封をすることができるため、米を入れる作業が容易である点も長所の一つです。

さらに、樹脂フィルム製の米袋の中には、異物や虫の混入を防ぐ無孔袋も存在します。 ポリエチレン製の米袋は薄くても強度が高く、重量の米を包装するときも安心です。

米袋の選び方

1. クラフト紙

クラフト紙素材は、長期保存や高温多湿になる場所での保存には向きません。しかし、精米までの段階で、30㎏サイズでの低温保存や、少量ずつ分けて使い切る場合の包装に向いています。短期間であれば、米の呼吸を妨げず酸化も少ないうえ、蒸れづらいです。そのため、風味を損いたくない場合はクラフト紙製の米袋がおすすめです。

また、クラフト紙製はリサイクル可能で、環境負荷が小さいため、ごみ問題などに意識的な客層向けのパッケージとして、優れています。独特の質感やレトロな雰囲気を有するなど、デザイン面での長所もあります。

2. 樹脂フィルム

袋の中を無酸素状態にできる樹脂系の製品は、劣化と虫害から米を守ります。封を熱処理し、脱酸素剤も同封すれば、長期保存が可能です。そのため、まとめ買い向け製品のパッケージや真空包装で非常食としての包装におすすめです。

 米袋の使い方

クラフト紙製の場合、開閉部分に紙製の紐がついており、中に米などを詰めた後は、紐ごと数回折り曲げ、紐を結んで使います。樹脂製の袋の場合、多くは熱処理によって封をします。

真空処理をするタイプや、紐付きで、クラフト紙同様に折り曲げて紐を閉めるタイプも存在しますが、できるだけ中の空気を抜き、酸化を防ぐのがポイントです。また、中身を入れすぎると、封をする際に困難が生じるので、中身は定量を守るようにします。

糖度計

糖度計とは

糖度計

糖度計とは、糖分の濃度によって屈折率が異なるという性質を利用し、糖度を測定する計器です。

濃度計屈折計とも呼ばれています。糖度計には、アナログ式かデジタル式かという違いや、作物を傷つけずに糖度を計測するタイプなど、種類はさまざまです。

糖度計の使用用途

糖度計は、果実類や野菜類をはじめとする、さまざまな作物や食品等の糖度を計測するために用いられています。農家で使用する場合、農作物の糖度と成熟度を測定し、最適な品質の作物を収穫するタイミングを決定することができます。

これにより、過熟や未熟な農産物の廃棄やロスの削減が可能です。非破壊式糖度計は、木に実っている果実の糖度をそのまま測定できます。作物を傷つけないことから、収穫前に用いられる場合が多いです。

また、研究者や医療関係者が、食べ物が代謝に及ぼす影響を考察したりする際に、糖度計を用いると正確なデータを取得することができます。デジタル式の糖度計はペンの形のタイプなど、計測機器を試料に浸けることで糖度を計測するタイプも多く、家庭で作った料理の糖度や加工品の糖度分析を行うのに便利です。ハンディタイプの糖度計は、子供たちの自由研究のテーマにも使用できます。

糖度計の特徴

長所

1. アナログ式
アナログ式は、最も安価で手軽に使える糖度計です。飲食店や青果店、洋菓子屋や家庭での測定など、幅広く使われます。電源が不要なので持ち運びができる点が長所です。実験や自由研究など、たまにしか使わない人にも適しています。

2. デジタル式
デジタル式は、アナログ式のものより高価ですが、ディスプレイに数値化されるため、分かりやすく、測定数値も正確な点が長所として挙げられます。農業従事者が作物の糖度を把握したり、病人食などで料理中の微細な糖度を検出したりする必要がある場合に最適です。

温度補正の機能付きなら、熱い液体も測定できます。なお、デジタル式はポケットタイプ、ペンタイプの2種類です。

3. 非破壊式
非破壊式は、木になっている状態で糖度を測定できる点が大きな長所です。

短所

1. アナログ式
アナログ式は、目盛りを読みとるのに慣れる必要があり、測定値の誤差が生じやすい点が短所です。

2. デジタル式
デジタル式は、一般的にアナログ式のものより多くの試液を必要な点が短所です。また、電池交換も必要で、高価な製品も多くあります。

3. 非破壊式
非破壊式は、近赤外線を作物の表面に照射して測定するため、周りの温度と光の量の影響を受けやすい点が短所です。非破壊式のものを使用する際は、使用環境に注意が必要です。

糖度計の種類

糖度計には、大きく分けて以下の3種類があります。

1. アナログ式糖度計

アナログ式の糖度計は、電池交換が不要で、電子機器的な故障も少ないです。計測面に試料を数滴たらし、目盛りを読んで糖度を計測します。3種類の中では最も手頃な価格帯で、1台2,000円前後からと、導入しやすい商品です。持ち運びが可能で、場所を選ばすにどこでも使えます。たまにしか使用する予定がない人にもおすすめな糖度計です。

2. デジタル式糖度計

デジタル式の糖度計は、自分で目盛りを読む必要がなく、ボタンを押すだけで数値が表示されます。操作が簡単で素早く測定可能で、使用頻度が高い人に適した糖度計です。

温度補正機能搭載の商品を選べば、熱い液体も正確に測定します。ペンタイプのものは携帯可能で、ペン先を試料に挿したり、浸したりするなど、多くの測定方法が選べます。デジタル式の糖度計には、データ保存やバッテリー長持ち設計、測定後に丸洗いできる機能付きなど、種類はさまざまです。

3. 非破壊式糖度計

その名の通り、野菜や果物を傷つけずに糖度を測定できる糖度計です。近赤外線を当てることで、木になったままの状態で糖度を測定します。ただし、正確に糖度測定をするためいには、コツを押さえることが大切です。

糖度計の選び方

糖度計には3種類ありますが、選び方のポイントは、使用目的に合った糖度計を選ぶことです。手頃な価格で糖度計を購入したい場合は、アナログ式のものがおすすめです。自分で目盛りを読むため、結果が分かるまでに時間がかかったり、測定値に誤差が生じやすいことがありますが、最低限必要な機能が揃っています。

迅速かつ正確に測定する目的がある場合は、デジタル式を選びます。アナログ式のものより高価になりますが、精度が高く、オプションで機能が搭載されている製品を使えます。

そして、糖度計により糖度の測定範囲が異なるため、どのような測定が必要かを事前に確認することが重要です。目盛りの範囲が0~80%であれば、広範囲のものが測定できます。

防草シート

防草シートとは

防草シート

防草シートは、雑草の生育を防ぐことを目的として敷設される、繊維製のシートです。防草シートは、遮光効果をもつシートで雑草を完全に覆い、太陽光を遮断することで、雑草の生育や成長を阻害します。また、シートに覆われているため、飛来した種が土着して発芽することを防ぐといった効果もあります。

防草シートを用いた雑草の駆除は、他の方法と比べて、手軽さが最大のメリットです。また、低価格で使用することができ、除草剤のように土壌への悪影響も少ないため、土地の再利用がしやすいというメリットもあります。

一方で、防草シートを敷設することによって、設置場所の景観を損ねるといった欠点も生じます。そのため、防草シートの上に、さらに、砂利や人工芝を敷くなどといった対策が取られることもあります。また、防草シートを設置する際には、事前に、土を平坦にならし、石等を取り除くといった作業が必要となります。 

防草シートの使用用途

防草シートは、用途が非常に幅広く、公園・インターロッキング・高速道路の中央分離帯・墓地・道路建設予定地など、公共の場でも多く利用されています。また、防草シートは、一般家庭においても普及しており、ウッドデッキの下・玄関アプローチ・駐車場など、庭全般に対応しています。さらに、防草シートは、空き地や農地にも使用されています。

防草シートは、最近では、太陽光発電所における雑草対策として用いられることが増えています。防草シートを設置することで、雑草によって太陽光パネルが覆われ、発電効率が低下するといった状態を防ぐことができます。

防草シートは、コストをかけずに駐車場の雑草対策を行う場合にも有効です。防草シートは、水を通すため、設置しても駐車場に水が溜まりません。また、防草シートは、耐久性が高いため、シート上に車で乗り入れても破けにくいといったメリットもあります。 

防虫ネット

防虫ネットとは

防虫ネット

防虫ネットとは、野菜や果実、花などを害虫による被害から守るために使用するネットのことです。

防虫ネットを活用することで、減農薬や無農薬栽培が可能となり、健康的で安全な農作物を育てられます。ただし、防虫ネットには網目の細かさや色・反射の有無など種類が多いため、害虫の大きさや性質に応じた製品を使用することが大切です。

防虫ネットの使用用途

防虫ネットは、露地栽培でトンネル被覆として使用されるほか、ハウスの側面・天窓・開口部に使用されています。特に、無農薬栽培や減農薬栽培には欠かせない資材です。

例えば、ハクサイ・キャベツ・ブロッコリーなどのアブラナ科野菜は、アオムシやヤサイゾウムシ、アブラムシ、カメムシ類などの害虫被害を受けやすいことで知られています。野菜の害虫被害においては、幼虫による食害が多く発生しますが、防虫ネットを設置することで、成虫が飛来して卵を産み付けるのを防げます。

防虫ネットの特徴

防虫ネットは、一定の大きさの害虫の侵入を防ぎながらも、透光性・通気性・透湿性が高く作られているため、野菜や果実、花などの生育を妨げにくいのが特徴です。

長所

防虫ネットを一度設置したあとは、ネットが劣化するまで長期間の効果を得られるのが長所です。虫からの被害以外にも、雨風から農作物を守れる効果も期待できます。さらに、ネットの上から散水できる点も長所の一つです。

また、露地栽培以外のトンネル栽培やハウス栽培でも防虫ネットを活用することで、害虫からの被害を食い止められます。

短所

防虫ネットで害虫から農作物を守るためには、成虫が飛び交う前に張っておかなければなりません。また、隙間があると害虫が入り込むので、隙間なく丁寧に張る必要があります。

防虫ネットを張るタイミングが遅れると、害虫が外に出られなくなり大繁殖する可能性があるので注意してください。地域によって害虫が発生する時期が若干異なるため、正確な情報を得ておきましょう。

防虫ネットは透光性や通気性が備わっているものの、栽培環境によってはムレやカビを呼び込むことがあるので、観察を怠らないことが大切です。

防虫ネットの種類

防虫ネットの素材はポリエチレン製の白色が主流ですが、虫が嫌がる赤色の製品や銀糸入りのタイプも販売されています。また、網目の大きさ (目合い) や色、長さなど、家庭向けと農業向けに様々な種類があります。

1. 目合いによる分類

防虫ネットの目合いは、約0.25mmと細かいものから4mm程度の大きさまで販売されており、害虫の侵入を阻止することが可能です。目合いが細かくなるほど、微小害虫の侵入を阻止できますが、透光性・通気性は若干低下します。

目合い 害虫
0.4mm アザミウマ・コナジラミ・ヨトウムシ・タバコガ・ハダニ・カメムシ
0.6 mm ハモグリバエ・キスジノミハムシ
0.8 mm アブラムシ
1.0 mm ヨトウムシ・アオムシ・コナガ
2~4 mm モンシロチョウ・オオタバコガ

 

害虫に応じた目合いの防虫ネットを使用すれば、虫取りにかかる労力を極限的に削減できます。ただし、リンゴやミカンなどの果実や野菜の汁を吸うサビダニは体長が0.1mm程度と小さく、防虫ネットでは防げない点に注意が必要です。

2. 薬剤の有無による分類

ハウス栽培向けの新しいタイプの防虫ネットとして、長期間持続性がある薬剤入りの製品も販売されはじめました。殺虫ではなく害虫が寄り付きにくい程度の薬剤量なので、死んだ虫が網目に詰まることがなく、ハウス内の通気性を維持できます。

薬剤入りなので、作物に直接触れるベタ掛け栽培やトンネル栽培には使えません。ハウス栽培であっても、無農薬栽培に徹する際は使用しないほうがよいでしょう。

防虫ネットの選び方

農作物などの種類によって、寄り付きやすい害虫の種類や大きさは様々です。防虫ネットを選ぶ際は、農作物などを加害する害虫の大きさをあらかじめ把握し、害虫の大きさよりも小さな目合いの防虫ネットを選ぶことが大切です。

また、害虫の発生時期よりも前に防虫ネットを正しく張り、侵入を防ぎましょう。

コンポスター

コンポスターとは

コンポスター

コンポスターとは、野菜くずや落ち葉などの有機物を微生物によって発酵・分解し、堆肥にするための容器や装置のことです。

また、コンポスターなどを活用して堆肥を作ることをコンポストと言います。コンポストは昔から行われてきましたが、近代になり技術が確立しています。

コンポスターで作った堆肥は、主に家庭菜園や農業で活用されており、ゴミや二酸化炭素の削減ができるとして注目を浴びています。

コンポスターの使用用途

コンポスターは、一般家庭のみならず農業でも使用されています。

1. 家庭用途

一般家庭で使用する場合は、調理の際に出る野菜くずなどの生ゴミを原料として、コンポスター内で堆肥化します。コンポスターを活用してできあがった堆肥は栄養が豊富なので、家庭菜園やガーデニング用として使用されます。

2. 農業用途

コンポスターで作った堆肥は畑などの農場でも活用されており、作物の生育や味のよい野菜作りに最適です。とくに、無農薬栽培や有機栽培農業では、自前の野菜くずから作った完全熟成堆肥が役立ちます。

また、農作物の栽培過程で発生する葉くずや、売り物にならない廃棄予定の作物などもコンポスターの原料として利用できるため、ゴミの有効活用やコスト削減が可能です。

コンポスターの特徴

長所

コンポスターの長所は、生ゴミなどの有機物を微生物で分解・発酵させ、堆肥に変換できることです。また、生ゴミの量だけでなく二酸化炭素排出量も減らせるので、環境保全や持続可能な食の循環にもつながります。

さらに、難しい作業工程がないため、比較的簡単に取り入れられる点も長所の一つです。

短所

コンポスターの短所は、堆肥になるまでに時間と手間がかかることです。製品によって多少異なりますが、生ゴミを完全に発酵・分解させるために1~数カ月ほどかかり、毎日あるいは1週間に1度ほど切り返す必要があります。

また、微生物が分解できないプラスチック類などは、コンポスターに投入できません。土の量に対して生ゴミや水分量が多すぎると、ニオイや虫の発生につながる可能性があるので注意が必要です。

コンポスターの種類

1. 家庭用コンポスター

設置型コンポスター
家庭用のコンポスターは、底がないバケツを逆さにした形状が主流です。プラスチック素材で、直径60~80cm×高さ60~70cm程度の大きさの容器が販売されています。

密閉型コンポスター
密閉型コンポスターは、コンポスター内が外気に触れない構造です。生ゴミだけでなく、発酵促進剤を投入して分解・熟成させます。虫の混入の心配や、かき混ぜる手間がなく、容器の下部から液体肥料を収集できるのが特徴です。

回転式コンポスター
回転式コンポスターは、手で容器ごと簡単に回転させられるため、かき混ぜる労力を省けます。数日に1度、5~10回転させるだけなので、手が汚れにくいのも特徴です。

段ボールコンポスター
段ボール箱を利用したコンポスターは簡単に組み立てられて安価なものの、2~6カ月程度で段ボール自体を交換する必要があります。

2. 農業用コンポスター

農業用のコンポスターの一例として、1日に100kgの食品廃棄物を約80%の減量率で分解処理する大がかりな装置があります。廃棄コスト削減や資源循環サイクルの実現に活用されています。

ほかにも、浄化槽などから余剰汚泥を再利用して堆肥化する装置もあり、農地の栄養回復やゴミの減量などに役立っています。

家庭用コンポスターの使い方

  1. コンポスターを設置する
    水はけ・風通し・日当たりのよい場所に設置します。10cmほどコンポスターの底部を埋めておきましょう。
  2. 原料を投入する
    生ゴミや落ち葉などの原料を投入します。投入後に土を被せることで、土の中の微生物が発酵・分解を促進します。
  3. かき混ぜる
    製品の使用説明に従い、定期的に中身をかき混ぜます。
  4. 熟成させる
    2~3週間放置し、生ゴミが分解されて形がなくなったら熟成完了です。
  5. 使用する
    堆肥として使用しましょう。プランターに「土3:堆肥1」程度の割合で混ぜて使います。

コンポスターのその他情報

コンポスターの価格

家庭用のコンポスターの価格は5千円から1万円前後の製品が多く見られます。農業用のコンポスターは家庭菜園用とは異なり、大がかりな装置の種類が主流で、600万円以上する製品もあります。

作業椅子

作業椅子とは

作業椅子とは、農業やガーデニングなどの作業時に、足腰への負担を軽減する目的で使う椅子のことです。

作業椅子を使用すれば作業効率も高まります。腰をかがめる作業時に身体の痛みがある方だけでなく、腰痛などを予防したい方にもおすすめです。

作業椅子には、持ち運びができる軽量タイプや座ったまま移動できるタイプなど色々あるので、特徴を把握して自分に合うものを選ぶことが大切です。

作業椅子の使用用途

作業椅子は、農作物の収穫、雑草の草むしりや草刈り、ガーデニングなどさまざまな場面で使用されています。作業椅子を使用することで、長時間の畑作業で起こしがちな腰痛や疲労を軽減できます。

作業椅子の製品は色々なタイプがあり、特徴も異なります。安全のためにも、正しく使うことが重要です。

作業椅子の特徴

作業椅子は、軽量かつシンプルな構造でできているのが特徴です。

長所

作業椅子の最大の長所は、身体の疲労を軽減できる点にあります。腰に装着できるタイプの作業椅子であれば、圃場内の移動や立ったり座ったりする動作がスムーズです。

短所

作業椅子の短所は、座った瞬間にひっくり返ってしまう可能性があることです。安定性が悪い地面や畝間が狭い場所で使用する際は、転倒に注意が必要です。

また、腰に固定するタイプの作業椅子を使用する際は、正しく装着することが大切です。

作業椅子の種類

作業椅子には、腰に直接装着するタイプやキャスター (車輪) が付いたタイプなどさまざまです。

1. 腰に装着する作業椅子

腰に装着するタイプの作業椅子には、装着用のベルトもしくはゴム紐が付いているので、体形に応じて調整可能です。腰に装着するタイプの作業椅子は、軽量の発泡スチロール製で作られたものが多いため、腰に負担を掛けません。

また、移動時に取り外しが不要なので、頻繁に立ったり座ったりする作業時や、持ち運びが面倒なときに便利です。

2. 高さ調整できる作業椅子

数センチ刻みで何段階かに高さ調整ができる作業椅子もあります。股関節や膝に痛みがある方や、身長が高めの方にもおすすめです。

3. キャスター付き作業椅子

作業椅子の下部にキャスターが付いたタイプも便利です。2輪タイプや4輪タイプがあり、座ったままの姿勢で横に移動できます。車輪の幅を広げることで、畝をまたいだ状態で移動できるタイプもあります。

ただし、キャスターが回転しないタイプの作業椅子は、横移動のみとなるので選ぶ際に確認してください。

4. 収納付き作業椅子

作業椅子の座面下に収納スペースが付いているので、作業に必要な道具を入れておくことも可能です。作業椅子と収納箱が合体しているため、畑に道具を置き忘れる心配がありません。また、農業だけでなくガーデニングの際にも便利です。

5. 座面が360度回転する作業椅子

座面が360度回転するタイプの作業椅子は、簡単に身体の向きを変えられます。手を伸ばして収穫する際に、腰への負担を軽減できるメリットがあります。

また、畝の両側の草むしりや収穫を同時にできるので、効率を重視する方にもおすすめです。

6. 背もたれ付きの作業椅子

背もたれ付きの作業椅子は、高齢者や腰に不安を抱えている人からも人気です。座面のクッション性が高い製品も多く、疲労軽減にもつながります。

7. 折りたたみ式作業椅子

軽量な骨組みに丈夫な布が張られたタイプの折りたたみ式作業椅子も販売されています。コンパクトに収納できるので、市民農園まで車で移動する方や、マンションのベランダでガーデニングをする方、たまにしか使用しない方などにおすすめです。

作業椅子の選び方

作業椅子を選ぶ際は、どのような場所や目的で使うことが多いのかを考えることが大切です。また、洗浄可能なタイプか、汚れを拭き取りやすいタイプか、座面のクッション性はどうかなど、細かい点まで確認して選べば失敗することはありません。

身体に痛みがある方は、クッション性の高いタイプや回転式タイプなど、自身の負担を軽減できそうな作業椅子を選ぶことが肝心です。

作業椅子のその他情報

作業椅子を使用する際の注意点

作業椅子は様々なタイプが販売されていますが、ソファのようにクッション性が高いものは少ないです。そのため、座り続けていると尾骨や腰など身体に痛みが生じることがあります。

座っているから大丈夫と過信や無理をせず、できるだけ休憩を取りながら活用することが重要です。

スプリンクラー

スプリンクラーとは

スプリンクラー

スプリンクラーとは、水源からホースやパイプで接続し、水圧で飛沫にした水を、広範囲に散布するための装置です。

肥料や農薬などを混合した溶液を散布できるタイプもあります。また、 一般的に屋外の地面に設置しますが、ビニルハウスや建物内では、天井に取り付けたり、吊り下げたりする製品など種類はさまざまです。

スプリンクラーの使用用途

スプリンクラーは、農作物や果樹、芝生、植栽、グリーンカーテンへの潅水、農薬散布、ビニルハウスや畜舎、建物や畜舎屋根への散水による冷却など幅広く利用されています。そのほか、スプリンクラーの起源である消防の分野、各種競技場や作業現場の粉塵防止、線路の融雪、漁業の撒き餌代わりなども使用用途の1つです。

スプリンクラーの特徴

長所

スプリンクラーの長所は、広い面積や斜面など移動が困難な場所でも、手間をかけずに散水をできることです。また、点滴灌漑には劣るとはいえ、雨や霧のような水滴にして、少量の水を効果的に潅水可能です。スプリンクラーを使用することによって、植物は水分を吸収しやすくなります。

短所

スプリンクラーの短所は、特に屋外だと風の影響を受けてしまうことです。また、場所によって散水量にムラが出てしまうことも短所として挙げられます。

スプリンクラーの種類

1. 散水方式による分類

回転式
360度回転して散水する全円型と、その一部のみに散水できる扇型があります。インパクト式は地上に設置し、水圧でアームがバタバタと動くタイプです。最も一般的で用途も広く、種類も豊富です。

ポップアップ式は芝生や道路の緑地帯、植栽などで使用され、土中に埋め込み設置します。稼働時のみ、水圧で持ち上がり散水し、低圧でも使えて、軽く小型、構造的にも単純で、故障が少ないという長所があります。レインガン式は大型競技場や工場など、広大な面積をカバーできる散水距離が特徴です。

その他、スプリンクラー内のボールが水流で動くボールドライブ式や、本体の中に組み込まれたピストンが回転し、インパクト式に比べ、均一に散水できる、ピストン式もあります。

首振り式
前後 (左右) に直線的に反復運動し、長方形に均一に散水できます。

噴水 (ミスト) 式
霧状の水を噴射し、芝生への散水や、涼しいミストシャワーに利用されます。

チューブ式
ホース全体に開いた等間隔の穴から、均一に散水するタイプの製品で、散水 (ドリップ) チューブとも呼ばれます。地面に直接置いて使います。

農業分野などで広く使用されています。散水範囲は幅1~3mですが、チューブがねじれていると、散水できないだけでなく、破損の原因にもなるため注意が必要です。また、耐久性が良いとは言えず、散水穴が劣化で広がってしまうこともあります。

2. 機能面・素材・付属品による分類

散水距離は、散水チューブの1メートル程度から大型レインガンでは25メートル以上と多岐に渡ります。圧力は0.3MPa以下の低圧から、0.4~0.7Mpaの高圧まであります。

地面と散水ノズルの角度は仰角と呼ばれ、農業分野で最も多様されるのは、23~27度です。樹木や屋根への散水では10度以下、逆に斜面に向かっての散水や、各種作業現場の粉塵防止では、40度以上の高仰角にすることもあります。また、可変仰角タイプもあります。

素材としては、耐久性に優れた金属と小型タイプに多い樹脂製が一般的です。樹脂製は金属よりも耐久面で劣りますが、エンジニアリングプラスチック製は金属製にも劣らない強度や耐久性があります。農業では、作物の高さに対応するため、ライザー管 (立ち上がり管) を接続することもあります。

スプリンクラーの選び方

スプリンクラーは、以下の手順で選ぶことが大切です。

  1. 散水場所の広さから何メートル水を飛ばすのかを算定します。
  2. スプリンクラーの散水距離に合った品を選び、適切な設置間隔を検討します。
  3. 散水に必要な水圧と毎分の水吐出し量、スプリンクラーの口径サイズを性能表を見て確認します。
  4. ポンプや配管、水源からの距離、予算などから、希望に合う設備を選びます。

スプリンクラーのカタログには性能表が表記されていますが、大型の設備を設置する場合は、業者に見積もり相談をすることも可能です。必要な水の量は、作物によって異なります。例えば苗栽培での場合、余り水勢の強い大量の水散布では、苗を痛めてしまうため注意が必要です。

何ヘクタールもあるような広い場所では、回転するインパクト式やポップアップ式で、散水距離20m以上の広範囲に散水できるものが便利です。家庭の花壇や小さな菜園では、散水距離5m以下の小型種か噴射式、あるいはチューブ式でも十分と言えます。また、ビニルハウスなど天井がある場合、天井に当たらないよう工夫したうえで使用します。

スプリンクラーは固定設置だけでなく、ワンタッチで取り外しができるタイプや、手で持つまたは車両などに設置して、移動しながら散水するタイプもあります。手動の要素が増えれば予算は少なくて済みますが、その分手間や時間はかかります。目的と予算に合うスプリンクラーを選ぶことが大切です。

スプリンクラーの使い方

スプリンクラーは設置の前に、破損やノズルの目詰まりは無いかを確認します。広範囲に設置する場合は、配置図を作成すると良いです。プリンクラーの目詰まりを防ぐため、水源とスプリンクラーの間に、フィルターを設置することが推奨されます。

また、水源に開栓をタイマー設定することで、自動散水が可能です。水に肥料などを混ぜる場合、液肥混入機をスプリンクラーと水源の間に設置します。さらに、水源からの水圧が高すぎる場合、減圧弁を挟んでスプリンクラーに接続することもあります。

水源からの水圧が十分強ければ、多くのスプリンクラーを一度に稼働できますが、水圧が低ければ部分的なスプリンクラー稼働で順次散水することになります。飛距離範囲内であっても、場所によって散水量には多少ムラがあることが多く、均一な散水量になるよう、配置には注意が必要です。

さらに、スプリンクラーは風の影響を受けるので、散水距離の約60-80%を有効散水距離として、スプリンクラーの配置間隔を決めます。使用後の閉栓では、水撃作用による破損を防ぐために、ゆっくりと栓を閉じることも重要です。