鎌とは
鎌とは、草を刈ったり穀物を収穫したりする際に使用される農工具です。
刃が厚く丈夫で、柄が太いため力を入れて握りやすい特徴があります。除草に使われる印象の強い鎌ですが、元々は農作物の収穫用の道具として作られました。
現在においてもアスパラの収穫用の鎌など、特定の農作物の収穫に特化した鎌も販売されています。
鎌の使用用途
鎌は農業や庭仕事において、草や小枝などを刈り取るために使用します。通常の草刈りをはじめ、雑木林や竹林などの手入れにも役立ちます。
さらに、雑草を土から根ごと除去する際や稲や麦などの農作物の収穫作業など、様々な場面で使用できるのが魅力です。キャンプなどのアウトドアにおいては、ナイフの代わりに用いられる場合もあります。
鎌の特徴
長所
1. 狭いスペースでの作業に最適
トラクターなど農作業の機械化が進んだ現在においても、機械での作業が困難な狭いスペースや家庭菜園など、鎌は幅広い分野で活躍しています。
また、作物の収穫や草刈りにおいては、用途に合った鎌を使うことで効率良く作業することが可能です。庭のお手入れなど鎌の必要性をあまり感じないような場面でも、草刈鎌があるだけで日々の雑草取り作業を格段に短時間で終えることができます。
2. 適切なメンテナンスで長く使える
鎌は使用をすることで刃先の切れ味が悪くなるため、時々研磨などのメンテナンスが不可欠です。しかしながら、適切なメンテナンスを行えば買い替えの必要はなく、同じ鎌を長く使うことができるため経済的です。
短所
鎌は便利な反面、使い方次第では怪我の原因にもなりかねません。種類に応じて正しい使い方をすることはもちろん、使用する際には極力肌の露出が少ない服装で、手には手袋を着用するようにしてください。
また、小さい子どもなどの手の届かない場所で管理することも大切です。
鎌の種類
1. 草刈鎌
草刈鎌は、柔らかい草を刈るのに適しているのが特徴です。軽いため片手で扱いやすく長時間の作業でも疲れにくい利点があります。種類が豊富な鎌の中で、最も一般的なタイプです。
刃の厚みによって薄鎌や中厚鎌などと区別される他、刃が三日月型の三日月鎌などもあります。また、西日本では刃幅が狭く鋭い切れ味が特徴の越前鎌、東日本では刀幅が広く重厚感の漂う信州鎌など地域特有の型が定着している場合もあります。
2. 草削鎌
草削鎌は、刃が柄に対して垂直に近い角度になっているのが特徴です。植物の根っこを土ごと取り除きたい場合に使用します。手作業では時間のかかる雑草取りも、草削鎌を使うことで軽い力で作業を進めることが可能です。
使用中に刃が土と触れて摩擦を起こすため、刃の消耗が早いという欠点があります。しかし、定期的に研いだり、錆止めを塗ったりするなどの手入れにより、長く使うことが可能です。
3. 鋸鎌
鋸鎌は、鋸のようにギザギザで不揃いな刃が特徴です。稲や麦などの穀物の収穫作業などに利用されます。特にトラクターでは作業のしづらい田圃の端などの収穫作業にも最適です。また、軽い力でも刈り取りが可能なため、茎の硬い草の刈り取りにも適しています。
ただし、刃が鋸状であるため通常の砥石で研ぐことができません。鋸刃用の目立てヤスリで研磨すれば切れ味を取り戻すことができますが、砥石での研磨と比べると手間がかかります。
4. ねじり鎌
ねじり鎌は、柄がねじれているのが特徴です。土の表面を削り取るように草を刈ることができます。使用場面は草削鎌とほぼ同じです。
5. 木鎌
木鎌は、ススキやヨシのような硬い植物を刈るのに適しているのが特徴です。柄が太く重みがあるため力を入れて握りやすく、庭木の手入れなどにも利用することが可能です。
6. 長柄刈払鎌
長柄刈払鎌は造林鎌とも呼ばれ、柄の部分が長いのが特徴です。鎌の柄の長さは40cm〜50cmが一般的ですが、長柄刈払鎌であれば柄の長さが1m前後であるため、立ったままで作業が可能です。
しゃがんで草刈りをするよりも少ない労力で作業を進めることができます。また、ススキなどの背丈の高い植物も一気に刈り取ることができるため便利です。
鎌の選び方
鎌は使用場面に適切な種類を選ぶことが大切です。刈り取る対象が柔らかい雑草の草取り用は薄刃、太い植物の場合は厚刃のものが適切です。刈り取る植物によって鎌を使い分ければ、刃先への負担を最低限に抑えられます。また、切れ味を維持しやすくなったり、刃先と植物の摩擦が少なくなったりするため、効率よく作業を進めることも可能です。
鎌は素材によっても性質が異なります。具体的には、比較的安価な全鋼、切れ味が良い鋼付、汚れにくく錆びにくいステンレス鋼に分類されます。素材によって特徴や必要なメンテナンスが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
鎌の使い方
鎌を使う際は、片手で鎌の柄を、反対の手で刈り取る植物を握ります。植物に刃先を当てたら、手前に引くようにして植物を刈り取ります。
鎌の切れ味が落ちてきた場合は、砥石などを使って研磨することで、切れ味が蘇ります。また、鎌が錆びてしまった場合は、錆落とし液を錆びている箇所に塗ることで、錆を落とすことが可能です。
適切な手入れを施すことで、切れ味をキープするだけでなく、作業にかかる心身の疲労度の軽減にもつながります。