防虫ネットとは
防虫ネットとは、野菜や果実、花などを害虫による被害から守るために使用するネットのことです。
防虫ネットを活用することで、減農薬や無農薬栽培が可能となり、健康的で安全な農作物を育てられます。ただし、防虫ネットには網目の細かさや色・反射の有無など種類が多いため、害虫の大きさや性質に応じた製品を使用することが大切です。
防虫ネットの使用用途
防虫ネットは、露地栽培でトンネル被覆として使用されるほか、ハウスの側面・天窓・開口部に使用されています。特に、無農薬栽培や減農薬栽培には欠かせない資材です。
例えば、ハクサイ・キャベツ・ブロッコリーなどのアブラナ科野菜は、アオムシやヤサイゾウムシ、アブラムシ、カメムシ類などの害虫被害を受けやすいことで知られています。野菜の害虫被害においては、幼虫による食害が多く発生しますが、防虫ネットを設置することで、成虫が飛来して卵を産み付けるのを防げます。
防虫ネットの特徴
防虫ネットは、一定の大きさの害虫の侵入を防ぎながらも、透光性・通気性・透湿性が高く作られているため、野菜や果実、花などの生育を妨げにくいのが特徴です。
長所
防虫ネットを一度設置したあとは、ネットが劣化するまで長期間の効果を得られるのが長所です。虫からの被害以外にも、雨風から農作物を守れる効果も期待できます。さらに、ネットの上から散水できる点も長所の一つです。
また、露地栽培以外のトンネル栽培やハウス栽培でも防虫ネットを活用することで、害虫からの被害を食い止められます。
短所
防虫ネットで害虫から農作物を守るためには、成虫が飛び交う前に張っておかなければなりません。また、隙間があると害虫が入り込むので、隙間なく丁寧に張る必要があります。
防虫ネットを張るタイミングが遅れると、害虫が外に出られなくなり大繁殖する可能性があるので注意してください。地域によって害虫が発生する時期が若干異なるため、正確な情報を得ておきましょう。
防虫ネットは透光性や通気性が備わっているものの、栽培環境によってはムレやカビを呼び込むことがあるので、観察を怠らないことが大切です。
防虫ネットの種類
防虫ネットの素材はポリエチレン製の白色が主流ですが、虫が嫌がる赤色の製品や銀糸入りのタイプも販売されています。また、網目の大きさ (目合い) や色、長さなど、家庭向けと農業向けに様々な種類があります。
1. 目合いによる分類
防虫ネットの目合いは、約0.25mmと細かいものから4mm程度の大きさまで販売されており、害虫の侵入を阻止することが可能です。目合いが細かくなるほど、微小害虫の侵入を阻止できますが、透光性・通気性は若干低下します。
目合い | 害虫 |
0.4mm | アザミウマ・コナジラミ・ヨトウムシ・タバコガ・ハダニ・カメムシ |
0.6 mm | ハモグリバエ・キスジノミハムシ |
0.8 mm | アブラムシ |
1.0 mm | ヨトウムシ・アオムシ・コナガ |
2~4 mm | モンシロチョウ・オオタバコガ |
害虫に応じた目合いの防虫ネットを使用すれば、虫取りにかかる労力を極限的に削減できます。ただし、リンゴやミカンなどの果実や野菜の汁を吸うサビダニは体長が0.1mm程度と小さく、防虫ネットでは防げない点に注意が必要です。
2. 薬剤の有無による分類
ハウス栽培向けの新しいタイプの防虫ネットとして、長期間持続性がある薬剤入りの製品も販売されはじめました。殺虫ではなく害虫が寄り付きにくい程度の薬剤量なので、死んだ虫が網目に詰まることがなく、ハウス内の通気性を維持できます。
薬剤入りなので、作物に直接触れるベタ掛け栽培やトンネル栽培には使えません。ハウス栽培であっても、無農薬栽培に徹する際は使用しないほうがよいでしょう。
防虫ネットの選び方
農作物などの種類によって、寄り付きやすい害虫の種類や大きさは様々です。防虫ネットを選ぶ際は、農作物などを加害する害虫の大きさをあらかじめ把握し、害虫の大きさよりも小さな目合いの防虫ネットを選ぶことが大切です。
また、害虫の発生時期よりも前に防虫ネットを正しく張り、侵入を防ぎましょう。