多彩模様塗料

多彩模様塗料とは

多彩模様塗料

多彩模様塗料とは、色と形状の異なる複数の粒状チップが混合された一種の塗料です。

これらのチップは色彩が付いており、多様な形を持つため、塗布部分に立体感や表情を与えることができます。この塗料を用いることで、ペイント面に凹凸感を演出したり、自然石のような質感を再現したりすることが可能です。

通常の塗料を使用すると、一色で均質な塗りつぶしになりがちですが、多彩模様塗料を活用すると、多彩な要素を組み合わせることで複雑で魅力的なデザインを表現できます。この塗料の特長を生かすことで、表面の装飾に深みや立体感を与え、独自のアートワークを創出することが可能です。

多彩模様塗料の使用用途

1. 建築・内装デザイン

多彩模様塗料は、壁面や天井などの建築内外装に使用されています。凹凸感や質感を演出することで、空間にアクセントを与え、ユニークなデザインを実現可能です。特にレストラン、ホテル、ショップなどの商業施設での内装において、個性的な雰囲気を作り出すのに効果的です。

2. アート・クラフト作品

多彩模様塗料はアート作品や手芸作品の制作にも利用されます。色と形状のバリエーションを活かして、キャンバスや手工芸品に立体感や奥行きを与えることが可能です。クリエイティブな表現を追求するアーティストやホビイストにとって、多彩模様塗料は幅広い表現手段となります。

3. 自動車・乗り物塗装

自動車やバイクのカスタム塗装にも多彩模様塗料が利用されています。異なる色や形状のチップを組み合わせることで、個性的で目を引く車体を演出が可能です。カスタムカーショーなどで注目を集めるための一手として用いられています。

4. 工業製品デザイン

工業製品の外装デザインにも応用されています。機器や家電製品の表面に施されることで、製品の魅力や付加価値を高める役割を果たします。特に家電製品などの市場で、差別化を図るために利用されることが多いです。

多彩模様塗料の特徴

1. 多彩なデザイン

多彩模様塗料は、異なる色や形状の粒状チップを含んでおり、これにより豊かな色彩と複雑な模様を生み出します。これにより、単調なペイントとは異なる鮮やかなデザインが実現します。

2. 立体感と質感の演出

チップが塗膜表面に凸凹感を持たせ、質感を付加します。これにより、平坦な表面に奥行きを与えるだけでなく、触れたときのリアルな質感を楽しむことができます。

3. 環境への配慮

多彩模様塗料は、その視覚的魅力だけでなく、環境への配慮も考慮されています。一般的な塗料よりも塗料の厚みが薄く、資源節約に寄与します。

4. デザインの柔軟性

チップのサイズや配列を変えることで、無限のデザインバリエーションが可能です。この柔軟性により、様々なテイストやスタイルに合わせたカスタマイズが実現します。

5. 照明下での映え

多彩模様塗料は、光の反射と反射角により、照明下で複雑な光の反射を楽しむことができます。光の加減によって模様が変化し、興味深い視覚効果を提供します。

多彩模様塗料の種類

1. カラフルチップタイプ

カラフルチップタイプは、異なる色の粒状チップを含んだタイプです。これにより、鮮やかな色合いを持つ模様が形成され、ペイントされた表面が活気に満ちます。主にアートやデザインの分野で使用されます。

2. 自然模様エフェクトタイプ

このタイプの多彩模様塗料は、石や木の模様を再現することを目的としています。さまざまな色合いや模様のチップを組み合わせ、自然の質感を表現します。建築や家具の装飾などで利用される場合が多いです。

3. 光沢模様タイプ

光の反射を利用して、立体的な光沢を持つ模様を作り出すタイプです。特殊な処理を施したチップが使用され、照明下で複雑な光の反射を楽しむことができます。装飾品やアクセサリーなどで人気です。

4. 3Dエフェクトタイプ

このタイプの多彩模様塗料は、チップの形状や配置を工夫して立体的な3D効果を生み出します。視覚的に奥行きを持たせることで、平面的な表面に立体感を与えることが可能です。広告や看板などに利用されます。

5. メタリック模様タイプ

メタリック模様タイプは、金属の輝きや質感を模倣しています。チップに特殊なメタリック加工が施されており、金属の光沢や反射を表現します。車のカスタマイズや装飾品の製造などに使用される場合が多いです。

合成樹脂エマルションペイント

合成樹脂エマルションペイントとは

合成樹脂エマルションペイント

合成樹脂エマルションペイントとは、液体の塗料であり、水を基にして合成樹脂を微細な粒子として分散させたものです。

この塗料は水を溶剤として使用するため、揮発性有機化合物 (VOC) の排出が少なく、環境にやさしい塗料です。また、乾燥後の塗膜は耐久性が高く、さまざまな表面に密着しやすい特性を持っています。

合成樹脂エマルションペイントの使用用途

1. 屋内壁・天井の塗装

合成樹脂エマルションペイントは、その滑らかな仕上がりと豊富な色彩バリエーションから、住宅や商業施設の内部壁や天井の塗装に広く用いられます。美しい仕上がりと環境にやさしい性質が、快適な居住環境を作り出します。

2. 家具・木製品の塗装

合成樹脂エマルションペイントは、木材や木製家具の塗装にも適しています。その耐久性や均一な仕上がりが家具や木材を保護し、長寿命化を実現します。

3. インテリアデコレーション

豊富なカラーバリエーションと仕上がりの美しさから、合成樹脂エマルションペイントは室内のデコレーションにも利用されます。特に、アクセントウォールやデザイン壁において、個性的で魅力的な空間を演出するための選択肢として活用されています。

4. 公共施設・商業施設

合成樹脂エマルションペイントは、学校、病院、オフィスビルなどの公共施設や商業施設の壁や天井塗装にも用いられています。耐久性と美観を兼ね備えた塗料が、快適な環境を提供します。

5. ホテルやレストラン

ホテルやレストランの内装デザインにおいても合成樹脂エマルションペイントは重要な役割を果たしています。多彩なカラーバリエーションを活かして、独自の雰囲気やアンビエンスを演出するために利用されています。

6. アート・クラフト活動

合成樹脂エマルションペイントは、アートやクラフトの活動にも適しています。その簡易的な塗布や扱いやすさが、個人の創作活動をサポートします。

合成樹脂エマルションペイントの原理

合成樹脂エマルションペイントは、水中に微小な油滴 (樹脂の粒子) を分散させたものです。樹脂は水中で微細な粒子となり、これにより均一な混合物が形成されます。樹脂粒子は電荷を帯びており、互いに反発しながら分散します。

なお、エマルションとは、2つの相(通常は液体と液体) が微細な分散相と連続相として均一に混ざり合う現象です。この場合、連続相は水であり、分散相には合成樹脂が微細な粒子として分散されます。これにより、合成樹脂が水相中に安定して分散された状態が形成されます。

合成樹脂エマルションペイントが塗布された表面は、水分が蒸発してエマルション状態から連続相が蒸発し、微細な合成樹脂粒子が接触して融合します。これにより、合成樹脂が連続的なフィルムを形成します。このフィルムは塗膜として表面を覆い、美しい外観や保護性が実現可能です。

合成樹脂エマルションペイントの種類

1. アクリルエマルションペイント

アクリル樹脂を主成分とするペイントで、屋内外の広範な用途に適しています。耐久性が高く、褪色しにくいため、外壁や木材の塗装に広く使用されます。また、水性であるため、環境にやさしい特性も持ち合わたタイプです。

2. ビニルアセテートエマルションペイント

ビニルアセテート樹脂を主成分とするペイントで、木材や壁紙の塗装に適しています。柔軟性があり、伸縮性に優れているため、季節の変化による素材の収縮・膨張に対応できます。

3. ウレタンエマルションペイント

ウレタン樹脂を使用したペイントで、高い耐久性と光沢を持っています。木材や金属表面の保護や装飾に適しており、外部環境にも耐える性能を持っています。

4. エポキシエマルションペイント

エポキシ樹脂を主成分とするペイントで、金属やコンクリートの表面に使用されます。耐腐食性や耐摩耗性に優れており、工業用途や床の塗装に広く用いられるタイプです。

合成樹脂エマルションペイントのその他情報

1. 合成樹脂エマルションペイントの製造

合成樹脂エマルションペイントを製造する際、合成樹脂の分散が安定であることが重要です。界面活性剤は、樹脂粒子同士の引き合いを防ぎ、分散相内での均一な分散をサポートします。これにより、樹脂粒子が凝集せずに水相内で安定に存在できる状態が維持されます。

2.合成樹脂エマルションペイントのペイントの形成

分散相と連続相 (水相) がエマルションの状態で混ざり合うことにより、合成樹脂エマルションペイントが形成されます。これは微細な合成樹脂粒子が水相内に均一に分散された状態です。このペイントは、塗布する際に均一なフィルムを形成する基盤となります。

耐熱塗料

耐熱塗料とは

耐熱塗料

耐熱塗料とは、熱に耐性のある塗料のことです。

一般的な塗料の耐熱温度がおよそ70°C〜100°Cに対して、耐熱塗料の耐熱温度は100°C以上です。一般塗料と耐熱塗料は塗膜成分に使われている樹脂が異なり、耐熱塗料では熱によって分解されにくいシリコーン樹脂が用いられています。

さらに、塗膜強度を高める働きのある「体質顔料」が加えられ、その種類によって耐熱温度が違います。

耐熱塗料の使用用途

耐熱塗料は約-50°Cから約600°Cまでの温度に対応可能で、耐寒性と耐熱性があります。そのため、主に高温にさらされる箇所で使用可能です。身近な例として、ストーブ、キャンプ用品、鍋やフライパン、バイクのマフラー、焼却炉、ボイラーなどの塗装が挙げられます。

熱に強いほか、気候の変化にも対応可能です。ただし、使用されている顔料によって耐熱温度が異なるため、使用する場所がどれくらいの温度になるのかを確認し、用途に合わせて選択する必要があります。

耐熱塗料の原理

耐熱塗料はシリコーン樹脂をベースとして、強度を高める体質顔料が含まれ、防錆顔料、着色顔料、溶剤、添加剤などの材料で作られています。耐熱塗料に含まれるそれぞれの原材料は熱に強いです。樹脂は塗料の性能に関する骨格成分です。

着色顔料は、補強材として防錆のために使用します。添加剤は熱に強い原材料を支え、塗膜を安定させます。溶剤は粘土調整に必要です。成分の流動性を高めて塗装の作業性を向上させます。

耐熱塗料の塗り方は一般塗料とほとんど同じです。塗装前の素材に塗料を密着させるために、ケレンと呼ばれる下地処理が重要です。下地処理をせずに耐熱塗料を塗ると、素材に塗料が密着せず剥離しやすくなります。

乾燥には200°Cでおよそ1時間の焼付乾燥が必要です。耐熱塗料を使った部品を、電気ヒーター、バーナー、乾燥炉などを用いて強制乾燥させます。しかし、急に加熱すると、塗膜が反応して多量にガスが生じる場合があります。

耐熱塗料の種類

他の塗料と同様に複数の種類があり、例えば刷毛塗りタイプやスプレータイプおよびマーカーペンで塗るタイプなどです。刷毛塗りタイプは工場のボイラーや焼却炉など、大きいものを広範囲で塗る場合に向いています。スプレータイプはバイクのマフラーなど、曲面や入り組んだ箇所が多いものに適しています。マーカーは実験室や工場などの生産現場で高熱になる箇所のマーキングなど、小さな箇所に使用可能です。

塗布方法のタイプの違いに加えて混ぜられている顔料や添加剤によって、耐水性、耐酸性、耐錆性などの性能を付加した製品もあります。耐錆性のある塗料は屋外の施設で使われ、耐酸性のある塗料はプラント設備の内部を燃焼ガスなどの酸と熱から保護する際に使われます。

一般的に耐熱塗料には、シリコーン樹脂を使用可能です。フライパンやホットプレートなどの調理器具ではヒトの口に入っても害のない成分を使う必要があるため、フッ素樹脂が主に利用されます。

耐熱塗料の選び方

多種多様な耐熱塗料が販売されており、使用用途に合わせて選択可能です。具体的には豊富なカラーの耐熱塗料があり、塗料する箇所の色に合わせて選択すれば自然な状態になります。劣化での変色を防止する効果もあります。ツヤの有無で見た目の印象が変わるため、耐熱塗料の光沢で選択可能です。

広い範囲に塗装する場合には、ハケで塗装する大容量タイプが適しています。バイク向けや鋳物ストーブ向けのように、用途が記載されている場合が多いです。

耐熱温度が300°C~600°Cの商品だけでなく、中には耐熱温度が1,000°Cや2,000°Cの業務向けの商品もあります。専用の下地を塗装すると、耐食性、耐久性、密着性などが向上するタイプも存在し、耐熱塗料で性能が異なります。塗装後の乾燥時間も変わるので、性能と合わせて確認が必要です。

錆転換剤

錆転換剤とは

錆転換剤

錆転換剤とは、赤錆を黒錆に転換してサビの進行を抑える薬剤です。

赤錆とは一般的にサビとして知られている赤茶色のものであり、放置しておくとサビが広がりボロボロに腐食してしまいます。その一方で、黒錆とは鉄の表面にできる酸化膜であり、サビの進行を止めます。

通常、「サンドペーパーなどで研磨する」「錆除去剤でサビを落とす」などの処理方法がありますが、いずれも手間がかかる方法です。錆転換剤はサビの上から直接刷毛で塗るだけで赤錆を黒錆に変え、サビの進行を防げるため手軽です。

錆転換剤の使用用途

錆転換剤はサビの進行を抑える役割があるため、サビの発生しやすい場所に使われます。特に研磨でのサビ除去が難しい場合に適用されます。例えば、自動車やバイク、屋外フェンスなど、大きな対象物に使用可能です。

それ以外にもタンク、橋、農機、鉄道、船舶、門扉、鉄骨階段、シャッターなど、サビの除去が困難な箇所へのサビ処理に適しています。ただし、錆転換剤の施工後は黒錆で真っ黒な見た目になるため、目に付きにくい場所や見映えを気にしない場所で使われます。

錆転換剤の原理

風雨や湿気で生じるサビが赤錆です。赤錆が生じると表面が波打ってその間に水分や酸素が入り、さらに放置すると腐食が進んで金属がボロボロになる場合もあります。

錆転換剤には赤錆に効果的な薬剤が含まれており、空気、薬剤、水が反応して黒錆に変わります。黒錆とは、鉄を高温で加熱すると生じるサビのことです。赤錆とは異なり黒錆は酸素や水を通さなくなるため、鉄の腐食を防ぎます。

錆転換剤によって鉄の腐食を防げますが、サビ自体は取り除けません。サビの成分を変化させて悪化を防ぐだけであり、サビの除去には除去剤やサビ取りクリームを使用します。錆転換剤を使うと黒くなるため、目立つ部分への使用は控えた方が良いです。

油性の錆転換剤には化学薬品のような臭いがあり、密閉空間で用いると強い臭いがこもります。火の気がある場所では発火する危険性もあり、換気できる環境や屋外での作業が必要です。

錆転換剤の構造

金属の表面の金属原子が水分や酸素と酸化還元反応を起こすと、腐食物としてサビが生成します。サビには赤錆と黒錆があり、錆転換剤は化学的に赤錆を黒錆に変化させます。

1. 赤錆

赤錆とは、自然に鉄の原子が水や酸素と結合して生成した水酸化鉄や酸化第二鉄のことです。赤錆は水溶性で水分を保持しやすく、赤錆が一度生じると次々反応が進行します。

2. 黒錆

黒錆とは、四酸化三鉄のことです。密度が濃いため固く表面に定着し、内部まで反応は進行しません。鉄を加熱しても黒錆が得られます。

錆転換剤の種類

錆転換剤には、油性と水性の2種類があります。

1. 油性錆転換剤

耐久性のある強い被膜を形成し、建物の屋外の場所や車の外面などに適しています。天候では変化せず薄膜によってサビ部分をカバーでき、長く効果が保たれます。

ただし、油性のため、火気がある場所では取り扱えません。

2. 水性錆転換剤

水性は浸透しやすいため、油性では届きにくい部分でも染み込んで届きます。凹凸の多い場所に施工しやすいです。

短い時間で被膜を形成し、比較的すぐに乾きます。臭いも少なく、特に火に気をつける必要がありません。

錆転換剤の選び方

錆転換剤は臭気が強いため、換気が必要です。発火の危険性も高く、注意しながら施工します。また、塗布する形式の違いで、刷毛・ローラー塗りタイプとスプレータイプがあります。

フェンスや門扉などの広範囲に塗布する場合には、刷毛やローラータイプが適しており、狭い場所や入り組んだ場所などの手が届きにくい箇所ではスプレータイプが使いやすいです。そのほか、サビ止め成分が含まれている製品や塗料の上塗りができない製品 (上塗りすると融解してしまう) など、さまざまな種類があります。用途に応じた錆転換剤を選ぶことが大切です。

メタリック塗料

メタリック塗料とは

メタリック塗料

メタリック塗料とは、金属の輝きや光沢を持つ塗料の一種です。

微小な金属粒子や顔料が塗料中に分散されており、光がこれらの粒子に反射・屈折することによって独特のメタリックな外観を持つ塗膜を形成します。

メタリック塗料には、さまざまなカラーや種類があります。その違いは、金属粒子の大きさや顔料によるものです。

メタリック塗料の使用用途

1. 自動車産業

自動車の外装やホイールなどにメタリック塗料が使用されています。これにより、車両が太陽光や照明の下で美しい光沢を放ち、高級感やスポーティな印象を演出します。

2. 家具製造

木材や金属製の家具にメタリック塗料を使用することで、家具の外観を洗練されたものに仕上がります。特に、モダンなデザインやインダストリアルスタイルの家具に適しています。

3. インテリアデザイン

壁面や天井、カーテンなどのインテリアにもメタリック塗料が利用されます。これにより、空間全体に光沢感を持たせたり、アクセントを加えたりすることが可能です。

4. 工業製品

金属部品や機械部品にメタリック塗料を塗布することで、耐久性や防錆性を向上させることができます。また、製品の見た目を改善するためにも使用されます。

5. エレクトロニクス製品

スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどの電子機器の外装にメタリック塗料を使用することで、高級感や洗練されたデザインを実現します。

6. パッケージデザイン

商品のパッケージデザインにメタリック塗料を使用することで、商品の価値や質感を高められます。特に高級品や特別なイベント向けのパッケージによく利用されます。

7. 装飾用途

メタリック塗料はアート作品や手工芸品、クラフト作品などの装飾にも広く利用されます。独特の輝きを活かして、創造的なプロジェクトを実現します。

メタリック塗料の原理

メタリック塗料には微細な金属粒子 (アルミニウム、銅、真鍮など) が均一に分散されています。これらの金属粒子は微細なサイズを持ち、光を反射・屈折させる能力を持っています。塗料が乾燥すると、金属粒子が膜中に配置されます。これにより、光が金属粒子に当たると、金属表面で反射されるだけでなく、粒子同士の散乱によっても反射される仕組みです。

微細な金属粒子は光の波長に近い大きさを持っており、光が金属粒子に当たった際に、波の干渉効果が生じます。これによって、特定の波長の光が増強され、輝きや光沢が強調されます。メタリック塗料に使用される金属粒子は、フレーク状や球状など、形状はさまざまです。これによって、光の反射や屈折の角度が変化し、独特の視覚効果が生まれます。

なお、メタリック塗料の膜は、金属粒子が均一に分散されていることが重要です。均一性が保たれることで、光の反射や屈折が一様に行われ、美しい輝きが得られます。

メタリック塗料の種類

1. アルミニウムメタリック塗料

アルミニウム粒子を使用して製造される塗料です。アルミニウムの銀色の輝きが特徴で、高い光反射率と光沢を持ちます。主に自動車やオートバイの外装、家具、金属部品などに使用され、美しい金属光沢を提供します。

2. 銅メタリック塗料

銅粒子を使用して製造される塗料です。銅の赤みを帯びた色合いと独特の質感があり、装飾的な効果を持ちます。主に装飾品やアート作品、家具のアクセント部分などに使用され、温かみのある外観を提供します。

3. ブロンズメタリック塗料

ブロンズ粒子を使用して製造される塗料で、金属の重厚感と温かみを持つ特徴があります。建築物の装飾、家具、彫刻などに使用され、アンティーク調の外観を演出します。

4. ステンレススチールメタリック塗料

ステンレススチール粒子を使用して製造される塗料で、シルバー色の輝きと耐久性が特徴です。主に屋外の建築物や構造物、金属製品の表面保護に使用され、耐候性と高い光沢を提供します。

5. ホログラムメタリック塗料

ホログラム効果を持つ金属粒子を使用して製造される塗料です。光の角度によってさまざまな色と模様が変化し、視覚的な興味を引きます。主にアート作品や特殊なデザインに使用され、ダイナミックな外観を実現します。

ラッカー

ラッカーとは

ラッカー

ラッカーとは、工業や日常生活において幅広く利用されている重要な塗料です。

アクリルなどの合成樹脂をトルエンアセトンという揮発性の溶剤に溶かした塗料のことを指します。元々、ラッカーとはニトロセルロースを有機溶剤に溶かしたものを指していました。

しかし、現在では揮発性の溶剤を使用した速乾性の塗料を総称して使われています。乾燥が非常に速く、取り扱いしやすいため、スプレー缶での使用が一般的です。

ラッカーの使用用途

1. 木材の保護と装飾

ラッカーは木材の表面に塗布され、耐久性を向上させると同時に、美しい仕上がりを提供します。家具や床材、建築材料などに使用され、木材を効果的に保護し、装飾性を高めます。

2. 金属の防錆と美観の維持

ラッカーは金属表面に塗布されることで、酸化や錆の発生を防ぐ役割を果たします。また、美しい光沢や色彩を持つことから、自動車や自転車の塗装、金属製品の装飾などで使用されます。

3. プラスチックの保護と改質

プラスチック製品に対しても、ラッカーは保護層を提供し、色あせや劣化を防ぎます。さらに、プラスチックの表面を改質して特定の特性を付加するためにも使用されます。

4. 色とデザインの付与

ラッカーは多彩な色や光沢を持つため、デザイン性やアートに利用されます。家具や工芸品、アート作品などに施され、個性的な外観を実現します。

5. 航空機や船舶の塗装

航空機や船舶の外装には、耐久性や気象条件への耐性が求められます。ラッカーはこれらの要件を満たす塗料として使用され、船舶や航空機の外観を保護し続けます。

6. 産業製品の仕上げ

工業製品においても、ラッカーは仕上げ工程で使用され、外観の美しさや耐久性を確保します。金属部品や機械の表面に塗布され、製品の品質を高めます。

7. 高温耐性の向上

一部のラッカータイプは高温耐性を持ち、熱を受ける環境で使用される部品や構造物に塗布されます。これにより、安全性と耐久性が向上します。

8. アート・工芸品

ラッカーは、伝統的な工芸品やアート作品の仕上げにも用いられます。美術品や彫刻などに塗布され、作品の美しさや保護を実現します。

ラッカーの原理

ラッカーは液体状態で塗布される際、その主成分である溶剤が大気中で蒸発します。溶剤の蒸発により、塗料が急速に乾燥し、固体の形態に変化します。

溶剤が蒸発すると、塗料中の固体成分が徐々に表面に移動し始めます。これにより、塗料の薄膜が形成され、塗料の特性によって膜の厚さや均一性が調整される仕組みです。

表面に形成された膜は、酸素との反応によって酸化やポリマー化などの化学反応を起こします。これにより塗料膜が固化し、均一で硬い膜が形成されます。化学反応によって形成された膜は、塗料の成分や添加剤によってその特性が決定されます。硬さや光沢、耐候性、耐薬品性など、膜の特性はラッカーの種類や用途によって異なります。

また、ラッカー膜は基材表面に密着し、化学的または物理的な接着力が特徴です。これにより、ラッカーは塗布された基材の表面を保護し、外力に対して耐性を提供します。

ラッカーの種類

1. ニトロセルロースラッカー

ニトロセルロースラッカーは、ニトロセルロースを主成分とする塗料です。速乾性があり、木材や金属表面に均一な光沢と保護を提供します。楽器や家具などに使用されることが多く、薄膜を形成し美しい仕上がりを実現します。

2. アクリルラッカー

アクリルラッカーは、アクリル樹脂を主成分とする塗料です。耐候性が高く、塗膜が変色しにくい特徴があります。車の外装やプラスチック製品、家具などに使用され、耐久性と美しい仕上がりを提供します。

3. ウレタンラッカー

ウレタンラッカーは、ウレタン樹脂を主成分とする塗料です。耐摩耗性や耐薬品性に優れ、木材や金属、プラスチックに幅広く使用されます。家具やフローリング、自動車の内装などに利用され、硬い膜を形成して長期間の保護を提供します。

4. エナメルラッカー

エナメルラッカーは、硬質な樹脂と顔料を組み合わせた塗料です。耐久性が高く、金属や陶器、ガラスなどに使用されます。模型や工業製品、装飾品などで広く利用され、美しい仕上がりと保護を実現します。

5. シェラック

シェラックは、虫の分泌物を主成分とする自然なラッカーです。木材や家具の表面を保護し、光沢と深みを与える役割を果たします。食品や医薬品のコーティング、楽器の仕上げなどに使用されます。

基板用コネクタ

基板用コネクタとは

基板用コネクタ

基板用コネクタとは、基板を電気的に接続する際に用いるコネクタです。

電子部品等が搭載されたプリント基板と評価装置、別の機器、基板等を配線ケーブルを用いて電気的につなぐ場合のオスやメスのコネクタを指します。

EIAJ規格でコネクタは「接続および切り離しを目的とした導体を接続する機構部品」と定義され、基板用コネクタの場合には片側や両側に基板との接続が想定されています。

基板用コネクタの使用用途

基板用コネクタの使用用途は接続する部品に応じてさまざまです。

例えばPCとメモリカードやICソケットと基板の接続で基板間や基板パッケージ間を直接コネクタで接続する場合には、「電子部品評価用基板ボード」「測定器を電気的配線でつなぐための基板」「ハーネスの接続のために用いられる場合」に大別できます。

その中でもPCや端末などの情報機器向け、自動車などの車載向け、産業機械インフラ用途など、扱う用途事例も多種多様です。

基板用コネクタの原理

1. 基板対ハーネス

基板対ハーネス (電線) のコネクタは一般的にハウジング (ケース) でコンタクト (端子) を覆って格納した構造を有しています。端子にはタブと呼ばれる板状の導体とタブを包むリセプタクルがあり、オス・メスの関係です。

通常ハーネス側をリセプタクルにして両者は圧着接続でつなぎます。はんだ付け接続と異なり熱ストレス印加がなく、接触面は外気からの遮断状態となるため非常に高い接続信頼性が保たれます。圧着の場合にはリセプタクルの大きさとクリアランスでピッチが決まるため、より高密度な実装コネクタの形成が可能です。

2. 基板対基板

基板対基板はコネクタ間で基板を接続するため、基板の支持応力による接触不良に気を付ける必要があります。とくにコネクタ同士の接触ではレセプタクル側の金属接点と差し込み側の金属接点の有効接触距離が小さい場合が多く、両者の角度や基板用コネクタ間の取り付け位置の精度に十分注意が必要です。

基板用コネクタの種類

基板用コネクタの種類は1ピースタイプと2ピースタイプに分類可能です。

1. 1ピースタイプ

単独で用いるタイプです。直接プリント基板にはんだ付けされます。

2. 2ピースタイプ

ソケットとプラグの2つのピースで構成されています。ソケットとプラグをはめ合わせる箇所を接触部、電線やプリント基板を取り付ける箇所を接続部と呼びます。

基板用コネクタの構造

一般的に基板用コネクタはハウジングとコンタクトで構成されます。

1. ハウジング

端子を収容してコンタクトを組み込むためのケースです。人が触れるため、絶縁体の樹脂などで作られます。挿される側をリセプタクル、レセプタクル、ソケット、挿す側をプラグと呼びます。

2. コンタクト

ターミナルや端子とも呼ばれ、コネクタを接続する際に相互に電子的接続をする接触子です。挿される側をリセプタクルコンタクト、レセプタクルコンタクト、ソケットコンタクト、挿す側をタブコンタクト、ピンコンタクトと呼びます。

基板用コネクタの選び方

基板用コネクタの接続形態には複数あります。

1. 基板とリード線

接続形態はBtoW (英: Board to Wire) で、基板とリード線で繋ぎます。スイッチやランプのような外部機器と基板の電気信号をやりとりでき、幅広い用途で用いられます。

2. 基板同士

接続形態はBtoB (英: Board to Board) で、直接基板同士を繋ぎます。2階建ての基板になり、1枚の基板では載り切らない部品も2枚にして接合可能です。設計や保守の柔軟性を上げ、小型化を達成できます。

3. I/O

接続形態はI/O (英: Input/Output) で、機器同士を繋ぎます。組み立てられた複数の機器を繋ぐ場合に使用されます。

4. 短絡コネクタ

ジャンパーピンとも呼ばれ、設定スイッチの代わりとして用います。自由に回路の短絡パターンを変えられます。

油性塗料

油性塗料とは

油性塗料

油性塗料は、塗料成分としてシンナーなどの有機溶剤が含まれている塗料です。

合成樹脂の代わりに乾性油や不乾性油を用いた塗料の総称で、絵画で使うアクリル絵の具も油性塗料の一種となります。乾燥するときに水分が蒸発するものは水性塗料と呼ばれ、有機溶剤が揮発するものは油性塗料と呼ばれています。

油性塗料の使用用途

油性塗料は耐久性の高さや仕上がりの美しさといった点が水性塗料よりも優れているため、屋根や外壁塗装などの屋外の塗装の他、車体や船舶の塗装にも使用されます。室内においても、フローリングなどの高い耐久性が必要とされる場所については油性塗料が用いられます。

密着性が高く適用範囲が広いことから金属の塗装などの水性塗料で対応できない素材にも使用さるほか、乾燥が早いことから工期を短縮したい場合にも油性塗料が選択されます。

油性塗料と水性塗料の違い

油性塗料_metoree

液系の塗料は油性塗料と水性塗料に大別され、水性塗料は有機溶剤の代わりに水が使われています。油性塗料は、水性塗料よりも塗膜が強固で密着性が高く、耐久性、耐候性に優れています。

一方で、溶剤として有機溶剤を使用しているため水性塗料よりも匂いが強いというデメリットがあり、価格も水性塗料よりは高いです。

 

油性塗料の種類

油性塗料の特性比較_metoree

油性塗料の樹脂の種類には、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系の4種類あります。それぞれ価格や性能面で大きな差があり、用途に応じて使い分けます。

1. アクリル系塗料

アクリル系塗料のメリットは、発色・ツヤが良く、豊富な色があり素人でも扱いやすいことです。重ね塗りしやすく安価なため、コストを抑えたい場合や塗り替えをマメにしたい場合に最適です。デメリットは紫外線に弱く耐候性が低いことです。耐候性とは、温度変化、紫外線、風雨などの気候の変化に対する耐性のことを指します。屋外などで使用する場合はこまめな塗り替えが必要となります。

2. ウレタン系塗料

ウレタン系塗料は、主成分であるウレタン樹脂が柔軟性に優れているため高い密着性を得られます。光沢が美しく高級感を演出できることから幅広い用途に使用されます。最も安価な塗料はアクリル塗料ですが、ウレタン系塗料も比較的安価に生産することができます。アクリル系とシリコン系の中間ぐらいのコストと耐久性になります。

3. シリコン系塗料

シリコン系塗料は塗膜が硬く、撥水性があることから汚れを寄せ付けないという特徴があります。化学的安定性の高いシロキサン結合を有しているため、耐薬品、耐熱性が高いです。価格や耐用年数のバランスがよくコストパフォーマンスに優れているため、家屋の外壁塗装に最もよく用いられています。透湿性に優れ湿気を通しやすいため、カビが生じにくく塗装が剥がれにくいという利点があります。

4. フッ素系塗料

フッ素系塗料は耐候性が非常に優れていることが最大の特徴です。耐候性以外にも耐熱性、耐薬品性なども優れており、フッ素樹脂塗装は非常に高性能ですが、その分価格は他の樹脂による塗装と比べて高価になります。

油性塗料のその他情報

1. 溶剤の分類

油性塗料の分類_metoree

油性塗料は使用する有機溶剤の種類によって、「強溶剤型」と「弱溶剤型」の2種類に分類されます。強溶剤は芳香族や酸素などの極性基を分子内に有しているため、樹脂分子に溶媒和しやすく、樹脂の溶解力が高いです。塗装する下地の材質によっては強溶剤により侵される可能性があるため、注意する必要があります。

弱溶剤は炭化水素系の溶剤で、樹脂を溶解する能力は小さいです。揮発性も強溶剤より低く、乾燥には時間がかかります。臭いも強溶剤より控えめです。

2. 使用方法の分類

強溶剤、弱溶剤の種類_metoree

使用方法による分類は、そのまま使用するか、使用前に主剤と硬化剤を混ぜて使用するかによって、1液型と2液型に分けられます。
1液型はそのまま塗って乾燥すれば塗膜が形成されるのに対して、2液型は硬化剤を混合することで、樹脂分子が高分子量化することで硬化し塗膜を形成します。2液型は硬化剤と混合後8時間ほどで固まってしまい使えなくなりますが、塗膜の艶や耐久性においては、1液型よりも優れています。

農業資材

農業資材とは

農業資材

農業資材は、農業を行うときに使用する資材を指します。農業における作物の栽培方法は、大別して3つに分かれており、露地栽培・雨よけ栽培・施設栽培があります。

  • 露地栽培

    露地栽培は、屋根などの設備を使用せずに自然に近い環境で作物などを栽培する方法です。露地栽培で使用する資材には、風よけや霜よけに使用される農業用フィルムなどがあります。

  • 雨よけ栽培

    雨よけ栽培は、作物が雨に濡れないように保護しながら栽培する方法です。土壌の水分過多や土の流出を防ぐ目的があります。雨よけ栽培で使用する資材には、畝(うね)を覆うように使用するトンネル用被覆資材などがあります。

  • 施設栽培

    施設栽培は、ビニールハウスやガラスハウスなどの施設内部で作物を栽培する方法です。施設栽培をさらに細分すると、土壌栽培や水耕栽培などに分けられます。施設栽培で使用する資材には、施設用の被覆資材などがあります。

また、栽培方法は、季節にも影響されます。そのため、農業資材の種類も豊富です。しかし、特定資材の使用には、資格・申請が必要となる場合があり、農薬やドローンを取り扱う際には、農薬管理指導士や国土交通省などへの届出が必要になる場合があります。これらは、農薬取締法や航空法に該当する場合に必要です。詳細は、農林水産省や国土交通省のホームページで確認ができます。

農業資材の使用用途

農業資材は、さまざまな分類に分けることができます。例えば農機具でカテゴリ分けを行うと、農業資材は、耕うん機や玄米保冷庫、噴霧器・動噴などに分けられます。

  • 耕うん機

    耕うん機は、固くなった土を砕くことにより、土をやわらかく耕す農機具です。

  • 玄米保冷庫

    玄米保冷庫は、玄米を適切な環境で保管する保冷庫です。玄米は、温度を11〜14℃、また湿度を60〜70%に調節することにより、酸化を防ぐことができます。

  • 噴霧器・動噴

    噴霧器・動噴は、薬剤を散布するための農業資材です。一般に噴霧器は、人力で容器内に圧力を加えることにより、薬液が自動で噴霧される道具です。動噴は、動力噴霧器の略称でガソリンや電気を動力として使用する機械です。昨今は、自走式のラジコンタイプの動噴も販売されています。

農業資材は、そのほかにもカテゴリがたくさんあり、道具では、士農具や刈払機、撒水用品があります。そして、播種(はしゅ)・種苗では、ポリポットや種苗箱、灌水用具などがあります。

このように農業資材は、多くの資材が販売されています。したがって、用途や目的に応じて資材を検討することが大切です。

農業資材に関する取り組みについて

農業資材は、農林水産省のホームページで肥料や農薬、農業機械などの農業生産資材について、関連する通知や事業、コスト削減にかかる取り組みなどの情報が公開されています。そのなかから「農業資材価格の見える化」や「農業競争力強化プログラム」「農業生産資材価格の見える化推進事業」を解説します。

農業資材価格の見える化

農林水産省は、特に農業資材価格の見える化に積極的に取り組んでおり、農業者が肥料や農薬、農業機械などの農業資材を購入する際の参考となるように、価格情報などを見える化することにより、農業者が最適な農業資材を比較、もしくは選択できる環境を整備しています。

見える化施策の位置付けとしては、以下の農業競争力強化プログラムや農業競争力強化支援法があります。

農業競争力強化プログラム

農業資材価格の見える化施策のひとつとして、農業競争力強化プログラムは、2016年11月29日に農林水産業・地域の活力創造本部による決定によって始動しています。この施策は、生産者の所得向上につながる生産資材形成の仕組みを見直し、生産資材価格の引き下げをおこなっています。

また、価格の引き下げに加えて農業の競争力を強化する取り組みとして、13項目について実現を目指しています。

このうち、一部を抜粋すると、流通・加工の構造変革や人材力の強化、土地改良制度の見直しなどが、このプログラムに含まれています。

農業競争力強化支援法

2017年には、法律第35号の農業競争力強化支援法が公布されており、良質かつ低廉(ていれん)な農業資材の供給を実現するため、有利な条件を提示する農業生産関連事業者を選択するための情報を民間事業者の知見を活用しつつ、講ずるものとしています。

また、政府は、これまで農業の構造改革を推進してきましたが、農業の更なる発展を目指すために農業者の努力ではどうにもならない構造的な問題を解決していくことが必要だとし、農業資材の価格や農産物の流通、加工といった構造の改革を行うと公表しています。

さらに、より周知と理解を深めてもらうためにホームページ上で農業資材分野や農業機械分野、流通加工分野などのパンフレットを公開しています。

農業生産資材価格の見える化推進事業

農業生産資材価格の見える化推進事業では、2016年の補正予算事業の取り組みによって、農業資材比較ウェブサイト「AGMIRU(アグミル)」のサービスが提供を開始しました。

AGMIRUは、農業者が購入を検討している資材を選択することで、資材の販売事業者から見積もりが届き、事業者とのマッチングを行うサービスです。

このウェブサイトでは、農業者が農業資材の購入にあたって、希望する資材の価格などを比較検討できます。

また、ウェブサイト構築の検討にあたり、資材の買い手である農業者をはじめとし、資材販売事業者や資材EC販売事業者等によって、検討委員会が設置され、意見交換を行い、発言者が特定されない議事録として公開されています。

包装資材

包装資材とは

包装資材

包装資材とは、対象物の包装や装飾、保護、運搬などに使用される材料です。包装資材の形態は、さまざまであり、一例として食品に焦点を当てると、食品の容器やトレー、レジ袋、紙袋、フィルム包装、紙ナプキン、緩衝材などがあります。このように包装資材は、製造や販売で使用する包装材の全般が対象となっています。

国内における包装産業の規模は、2020年では、包装・容器出荷額が5兆5,618億円、包装関連機械の生産金額が5,165億円です、また、包装・容器出荷数量は、1,850.0万トンで、包装関連機械の生産数量が275.3千台です。この推移は、2012年の東日本大震災の影響を受けて、同年では、わずかな減少が認められたが、その後に増加の傾向をたどり、以降は、ほぼ横ばい状態で推移しています。

包装資材の使用用途

包装資材は、多くの産業を支えており、包装を機能別に大別すると、物品を輸送または保管するための工業包装と、商的流通における商品販売の促進効果をもつ商業包装に分けられます。工業包装は、保護や配送、費用面に重点をおいており、商業包装は、商品の販売に重きをおいています。

工業包装の例としては、ラミネート製品が挙げられます。ラミネート製品は、防湿や防錆の機能を有するため、精密機器や電化製品、紙、木、衣類、金属製品に使用されています。そのほかにも輸出の包装・梱包材としても活用されています。

ラミネート素材には、アルミ箔やポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などがあります。

商業包装の例としては、ギフト用のラッピングが挙げられます。ギフト用ラッピングは、包装の見た目を自由に加工できるため、商品のデザインを消費者に合わせてアレンジできます。

ラッピング素材には、紙や布、ポリプロピレン(PP)、ダンボールなどがあります。

包装資材の原理

包装資材は、成長を続けている産業であり、1962年の包装・容器出荷金額は、紙板紙製品の合計額が2,089億円となっており、プラスチック包装資材の合計額が262億円、金属製資材容器の合計額が939億円です。2020年では、紙板紙製品の合計額が2兆4,969億円となっており、プラスチック包装資材の合計額が1兆5,519億円、金属製資材容器の合計額が8,138億円です。

工業包装と商業包装のどちらも研究が盛んに行われており、昨今では特に原油や海洋汚染の問題に対して懸念があり、プラスチックの研究が進んでいます。

プラスチックは、可塑性があり、加熱により軟化し、任意の形に成形できる有機高分子物質を指します。プラスチックには、主に2つの種類があり、熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチックがあります。また、容器包装に使われる代表的なプラスチックには、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などがあります。

プラスチックは、バリアー性包装資材としても有用です。バリアー性とは、気体や水分、ガス、日光、臭気などの包装した対象物にとって、害になる物質を防ぐことを指します。

バリアー性包装資材には、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が多く使われています。一般的には、家庭用ラップやハム、ソーセージなどの食品包装フィルムとして活用されています。しかし、昨今は、環境問題から脱塩素化が推奨されており、使用量は減少しています。そのため、代替品として酸化アルミナや酸化ケイ素などの無機蒸着フィルム、ベンゼン骨格を有するポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)を中間層にした三層ナイロンなどが使用されています。