錆転換剤

錆転換剤とは

錆転換剤

錆転換剤とは、赤錆を黒錆に転換してサビの進行を抑える薬剤です。

赤錆とは一般的にサビとして知られている赤茶色のものであり、放置しておくとサビが広がりボロボロに腐食してしまいます。その一方で、黒錆とは鉄の表面にできる酸化膜であり、サビの進行を止めます。

通常、「サンドペーパーなどで研磨する」「錆除去剤でサビを落とす」などの処理方法がありますが、いずれも手間がかかる方法です。錆転換剤はサビの上から直接刷毛で塗るだけで赤錆を黒錆に変え、サビの進行を防げるため手軽です。

錆転換剤の使用用途

錆転換剤はサビの進行を抑える役割があるため、サビの発生しやすい場所に使われます。特に研磨でのサビ除去が難しい場合に適用されます。例えば、自動車やバイク、屋外フェンスなど、大きな対象物に使用可能です。

それ以外にもタンク、橋、農機、鉄道、船舶、門扉、鉄骨階段、シャッターなど、サビの除去が困難な箇所へのサビ処理に適しています。ただし、錆転換剤の施工後は黒錆で真っ黒な見た目になるため、目に付きにくい場所や見映えを気にしない場所で使われます。

錆転換剤の原理

風雨や湿気で生じるサビが赤錆です。赤錆が生じると表面が波打ってその間に水分や酸素が入り、さらに放置すると腐食が進んで金属がボロボロになる場合もあります。

錆転換剤には赤錆に効果的な薬剤が含まれており、空気、薬剤、水が反応して黒錆に変わります。黒錆とは、鉄を高温で加熱すると生じるサビのことです。赤錆とは異なり黒錆は酸素や水を通さなくなるため、鉄の腐食を防ぎます。

錆転換剤によって鉄の腐食を防げますが、サビ自体は取り除けません。サビの成分を変化させて悪化を防ぐだけであり、サビの除去には除去剤やサビ取りクリームを使用します。錆転換剤を使うと黒くなるため、目立つ部分への使用は控えた方が良いです。

油性の錆転換剤には化学薬品のような臭いがあり、密閉空間で用いると強い臭いがこもります。火の気がある場所では発火する危険性もあり、換気できる環境や屋外での作業が必要です。

錆転換剤の構造

金属の表面の金属原子が水分や酸素と酸化還元反応を起こすと、腐食物としてサビが生成します。サビには赤錆と黒錆があり、錆転換剤は化学的に赤錆を黒錆に変化させます。

1. 赤錆

赤錆とは、自然に鉄の原子が水や酸素と結合して生成した水酸化鉄や酸化第二鉄のことです。赤錆は水溶性で水分を保持しやすく、赤錆が一度生じると次々反応が進行します。

2. 黒錆

黒錆とは、四酸化三鉄のことです。密度が濃いため固く表面に定着し、内部まで反応は進行しません。鉄を加熱しても黒錆が得られます。

錆転換剤の種類

錆転換剤には、油性と水性の2種類があります。

1. 油性錆転換剤

耐久性のある強い被膜を形成し、建物の屋外の場所や車の外面などに適しています。天候では変化せず薄膜によってサビ部分をカバーでき、長く効果が保たれます。

ただし、油性のため、火気がある場所では取り扱えません。

2. 水性錆転換剤

水性は浸透しやすいため、油性では届きにくい部分でも染み込んで届きます。凹凸の多い場所に施工しやすいです。

短い時間で被膜を形成し、比較的すぐに乾きます。臭いも少なく、特に火に気をつける必要がありません。

錆転換剤の選び方

錆転換剤は臭気が強いため、換気が必要です。発火の危険性も高く、注意しながら施工します。また、塗布する形式の違いで、刷毛・ローラー塗りタイプとスプレータイプがあります。

フェンスや門扉などの広範囲に塗布する場合には、刷毛やローラータイプが適しており、狭い場所や入り組んだ場所などの手が届きにくい箇所ではスプレータイプが使いやすいです。そのほか、サビ止め成分が含まれている製品や塗料の上塗りができない製品 (上塗りすると融解してしまう) など、さまざまな種類があります。用途に応じた錆転換剤を選ぶことが大切です。

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