油性塗料

油性塗料とは

油性塗料

油性塗料は、塗料成分としてシンナーなどの有機溶剤が含まれている塗料です。

合成樹脂の代わりに乾性油や不乾性油を用いた塗料の総称で、絵画で使うアクリル絵の具も油性塗料の一種となります。乾燥するときに水分が蒸発するものは水性塗料と呼ばれ、有機溶剤が揮発するものは油性塗料と呼ばれています。

油性塗料の使用用途

油性塗料は耐久性の高さや仕上がりの美しさといった点が水性塗料よりも優れているため、屋根や外壁塗装などの屋外の塗装の他、車体や船舶の塗装にも使用されます。室内においても、フローリングなどの高い耐久性が必要とされる場所については油性塗料が用いられます。

密着性が高く適用範囲が広いことから金属の塗装などの水性塗料で対応できない素材にも使用さるほか、乾燥が早いことから工期を短縮したい場合にも油性塗料が選択されます。

油性塗料と水性塗料の違い

油性塗料_metoree

液系の塗料は油性塗料と水性塗料に大別され、水性塗料は有機溶剤の代わりに水が使われています。油性塗料は、水性塗料よりも塗膜が強固で密着性が高く、耐久性、耐候性に優れています。

一方で、溶剤として有機溶剤を使用しているため水性塗料よりも匂いが強いというデメリットがあり、価格も水性塗料よりは高いです。

 

油性塗料の種類

油性塗料の特性比較_metoree

油性塗料の樹脂の種類には、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系の4種類あります。それぞれ価格や性能面で大きな差があり、用途に応じて使い分けます。

1. アクリル系塗料

アクリル系塗料のメリットは、発色・ツヤが良く、豊富な色があり素人でも扱いやすいことです。重ね塗りしやすく安価なため、コストを抑えたい場合や塗り替えをマメにしたい場合に最適です。デメリットは紫外線に弱く耐候性が低いことです。耐候性とは、温度変化、紫外線、風雨などの気候の変化に対する耐性のことを指します。屋外などで使用する場合はこまめな塗り替えが必要となります。

2. ウレタン系塗料

ウレタン系塗料は、主成分であるウレタン樹脂が柔軟性に優れているため高い密着性を得られます。光沢が美しく高級感を演出できることから幅広い用途に使用されます。最も安価な塗料はアクリル塗料ですが、ウレタン系塗料も比較的安価に生産することができます。アクリル系とシリコン系の中間ぐらいのコストと耐久性になります。

3. シリコン系塗料

シリコン系塗料は塗膜が硬く、撥水性があることから汚れを寄せ付けないという特徴があります。化学的安定性の高いシロキサン結合を有しているため、耐薬品、耐熱性が高いです。価格や耐用年数のバランスがよくコストパフォーマンスに優れているため、家屋の外壁塗装に最もよく用いられています。透湿性に優れ湿気を通しやすいため、カビが生じにくく塗装が剥がれにくいという利点があります。

4. フッ素系塗料

フッ素系塗料は耐候性が非常に優れていることが最大の特徴です。耐候性以外にも耐熱性、耐薬品性なども優れており、フッ素樹脂塗装は非常に高性能ですが、その分価格は他の樹脂による塗装と比べて高価になります。

油性塗料のその他情報

1. 溶剤の分類

油性塗料の分類_metoree

油性塗料は使用する有機溶剤の種類によって、「強溶剤型」と「弱溶剤型」の2種類に分類されます。強溶剤は芳香族や酸素などの極性基を分子内に有しているため、樹脂分子に溶媒和しやすく、樹脂の溶解力が高いです。塗装する下地の材質によっては強溶剤により侵される可能性があるため、注意する必要があります。

弱溶剤は炭化水素系の溶剤で、樹脂を溶解する能力は小さいです。揮発性も強溶剤より低く、乾燥には時間がかかります。臭いも強溶剤より控えめです。

2. 使用方法の分類

強溶剤、弱溶剤の種類_metoree

使用方法による分類は、そのまま使用するか、使用前に主剤と硬化剤を混ぜて使用するかによって、1液型と2液型に分けられます。
1液型はそのまま塗って乾燥すれば塗膜が形成されるのに対して、2液型は硬化剤を混合することで、樹脂分子が高分子量化することで硬化し塗膜を形成します。2液型は硬化剤と混合後8時間ほどで固まってしまい使えなくなりますが、塗膜の艶や耐久性においては、1液型よりも優れています。

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