立型マシニングセンタ

立型マシニングセンタとは

立型マシニングセンター

立型マシニングセンタは立てフライス盤から進化した加工機で、ツール(工具)を回転させる軸(主軸)が垂直方向に取り付けられており、フライス加工穴あけ加工などの切削加工を1台で行うことができます。

汎用的で使い勝手がよく、省スペースでコストも安いため、マシニングセンタの中でも頻繁に使用される装置です。

立型マシニングセンタはX、Y、Zの3軸にワーク(材料)もしくはツールが動くため、標準は上面から加工します。また、X軸およびY軸を回転軸としてワークを回転させることができる5軸マシニングセンタもあります。

立型マシニングセンタの使用用途

立型マシニングセンタはフライスやエンドミル、中ぐりやドリル、タップ加工など切削加工品全般に対応できるため、金属やプラスチック、セラミックスなどの加工に使用されています。

ワークを置くスペースが広いため比較的大きな部品を加工可能なことや上面加工が得意である特長を活かし、金型加工に使用されています。

ワークの設置(セッティング)、治具などの固定も容易なため、頻繁にワーク交換を行うような多品種少量生産の加工でよく使用されています。

立型マシニングセンタの原理

立型マシニングセンタは主軸が上部にあり、加工エリアに対する設置面積が小さいため、狭いスペースでも設置可能です。また、構造が単純でコストが安い、切削油をワークの加工面に届けやすいというメリットもあります。

デメリットとしては切粉の排出悪さがあげられます。上からの加工で切削した時に発生する切粉がワーク上に残りやすく、加工作業で切粉を巻き込むことで加工面に傷がついたり、工具の痛みに繋がってしまうこともあります。また、ワークを自動交換するパレットチェンジャを導入しにくいため、ワークを自動で設置して連続で加工を行うことはできないため、大量生産にはあまり向いていません。加工対象が大量な場合は立型マシニングセンタではなく主軸が水平方向にむいた横形マシニングセンタが向いています。

また、この装置のサイズは小さいため加工できるワークの大きさの制限があります。立型マシニングセンタを使えない大型ワークの加工には門形マシニングセンタが向いています。

冷却機器

冷却機器とは

冷却機器

冷却機器はデバイスや装置、電子機器などの温度上昇を抑えるために使用される機器です。冷却機器は大きく分けて水を使って冷やす水冷式と空気で冷やす空冷式があります。

水冷式の中でも工業用水を流す場合と、装置の中を通って温度が上がった水を再度冷却して循環させるチラー装置を用いる方式があります。

空冷式には熱伝導が良い金属や空気と接することで熱を吸収して大気に放熱する方法や、ペルチェ素子とよばれる電子機器を用いて熱を移動させる方法があります。

冷却機器の使用用途

大規模な熱が発生する石油コンビナートやゴミ焼却プラントの冷却機器には、空冷式熱交換器(空冷ラジエータ)が使われています。空冷式熱交換器は冷却対象となる流体を流し、ファンで風をあてることで冷却しています。

金属部品などを効率的に冷却させるために水冷式熱交換器が使用されています。冷却したい部品に穴をあけて冷却水を通すことで、金属部品の熱を直接奪うことができます。カメラのノイズ低減や局所的に高温になるロウ付け機などで使用されます。

水や空気を循環できない箇所や0℃以下まで冷却したい箇所ではペルチェ素子を使用することがあります。

冷却機器の原理

ペルチェ素子を使った冷却機器は対象物を0℃以下まで冷やすことができます。

ペルチェ素子は、異なる2つの金属を直列に接合し電流を流すことで金属接合部で吸熱及び放熱が発生する現象である熱電効果を利用して冷却しています。ペルチェ素子にかける電流の向きで熱が流れる方向を制御できるため、冷却だけでなく発熱源としても使用することができます。

ペルチェ素子は複数段重ねることで大きな熱を奪うことができますが、奪った熱を効率的に放熱することも重要です。一般的にはアルミの放熱フィンと排熱用ファンで放熱することが多いですが、効率化のためヒートパイプや熱伝導シートなどを併用したユニットも増えてきました。単にペルチェの吸熱パワーだけでなく、排熱可能な量も重要になります。

最近、曲面に密着することで効率的に冷却することができるフレキシブルなペルチェ素子も開発されています。

圧縮ばね

圧縮ばねとは

圧縮コイルばね

圧縮ばね (または圧縮コイルばね) とは、一般的に金属製のバネであり、物体に力をかけて圧縮することでその力を蓄える機構です。

物体を押し返す力を生み出すために使用されることが多いです。ばねの反力を利用することで、荷重方向への衝撃や重みを緩和させたりすることに利用されます。

圧縮ばねの使用用途

圧縮ばねはさまざまな用途で使用されます。

1. 文房具

最も身近な使用例は文房具で、ノック式ボールペンの芯先ばねが圧縮ばねです。ボールペンの芯が戻るように圧縮ばねの反力を利用しています。

2. 家具

ドアクローザーやバネマットレス、ソファなどのクッション機構にも利用されます。

3. 自動車産業

自動車産業では、自動車のサスペンションシステムに使用されます。これにより、車体とタイヤの間の振動や衝撃を吸収し、乗り心地を改善します。

4. 工業機械

工業機械や装置のバッファや振動吸収装置としても使用されます。工業機械は高速で動作するため、機械要素の衝撃や振動が生じます。圧縮ばねは、機械の運動部品や機械構造に衝撃を緩和するための緩衝材として配置されます。

5. 遊具・娯楽施設

遊具や娯楽施設にも使用されます。遊園地のジャンプ台やブランコ、トランポリンなどに利用されます。これらの遊具では、圧縮ばねが体重や力を受けて圧縮され、その反発力が楽しさや遊びの要素を生み出します。

圧縮ばねの原理

圧縮ばねの動作原理は、フックの法則によって説明されます。フックの法則は、ばねが受ける力 (F) と伸びや圧縮量 (x) との間に比例関係があることを示しています。ばね定数 (k) を用いて式で表すと「F = kx」です。

フックの法則では、ばねの変位が増えるとばねにかかる力も増えることが示されています。また、変位が減ると力も減少します。ばね定数kはばねの剛性や硬さを表し、大きいばね定数ほどばねはより堅くなります。

圧縮コイルばねは、静荷重下で使用されることが一般的です。静荷重とはばねが使用される状態で荷重変動がほとんどない状態です。このような静荷重で使用される場合には、ばねの許容応力は材料の弾性限度内におさまっていれば問題ありません。

線材の直径に対する許容ねじり応力の関係は、材質ごとに定められてます。圧縮コイルばねにおいてはばね使用時の最大応力が、定められる許容ねじり応力の80%以下となる環境下で使用されることが推奨されます。

圧縮ばねの種類

圧縮ばねには、主に等ピッチコイルばねと不等ピッチコイルばねの2種類があります。加わる荷重や必要となる機能によって使い分けられています。

1. 等ピッチコイルばね

完全な円柱状のばねです。ばねに加える荷重とたわみの関係は、一般的に線形の関係になります。荷重とたわみの関係が線形であることから、両者の関係を数式化して設計を行うことも容易です。

ただし、実際のばねでは全たわみの30%以下および70%以上の領域では計算値から外れる傾向にあるため、注意が必要です。これはばねが圧縮した際に両端部から接着が始まり、有効巻数が変化していくために起こります。

等ピッチコイルばねは自動車のサスペンションやコンピューターのキーボードなどに使用されています。

2. 不等ピッチコイルばね

完全な円柱形状ではなくいばねです。円錐コイルばね、たる形コイルばね、つづみ形コイルばねなどがあります。基本的にバネに加える荷重とたわみの関係は非線形の関係になります。

円錐コイルばねは円錐状になっているコイルばねで、圧縮されたときにコイル部分が干渉しないという特長があります。たる形コイルばねはたるのような形をしたコイルばねで、両端のスペースを小さくしたい場合などに用いられます。

つづみ形コイルばねはつづみのような形をしたコイルばねで、圧縮したときに中央付近での干渉を避けられるのが利点です。不等ピッチコイルばねは、電池ケース内の接点ばねやコーヒーフィルター用取っ手などに使用されています。

圧縮コイルばねの選び方

圧縮コイルばねを選ぶ際は、それぞれのばねが持つ諸元値を考慮する必要があります。圧縮コイルばねにおいては、ばね定数、自由長、外径が重要です。

圧縮コイルばねとして使用できる範囲は、自由長の位置から許容最大圧縮長までとなるため、これを考慮して選定を行う必要があります。 また、圧縮コイルばねは装置に取り付ける際、その両端を対象となる部品に固定しなければなりません。これらの部品の形状等に応じて選定します。

タングレスインサート

タングレスインサートとは

タングレスインサートは、タングがないインサートねじ(雌ねじ補強、補強部品)です。

従来のインサートねじには、タングが存在しており、補強のために雌ねじへ挿入後、タングを折り取る工程が必要でありましたが、タングレスインサートはこのタングが存在しないため、専用の工具によりインサートを挿入するだけで補強が完了します。

その特徴により、様々なコストカットや作業により発生する欠損等を大幅に削減することが可能となります。

タングレスインサートの使用用途

タングレスインサートは対象となる雌ねじに挿入することで補強を行います。

挿入方法は専用の挿入工具を用いて、挿入工具の爪にタングレスインサートを引っ掛けて挿入を行います。

対象となる軽金属あるいは樹脂等に雌ねじとなる下穴をあけ、そこに対して垂直に雌ねじに沿う形でタングレスインサートを回して挿入を行います。

取り外しも容易に行え、取り外しの際には工具の爪をタングレスインサートに引っ掛けて、挿入時とはタングレスインサートを逆に回すことで取り外しを行うことができます。

タングレスインサートの特徴

タングレスインサートを使用することで、従来のインサートねじと比較し、様々なメリットを受けることができます。

  1. タングを折り取る必要がない。
    従来のインサートねじはタングが存在しており、挿入後、タングを折り取る必要がありました。

    その為、その際に発生する衝撃により、雌ねじとのピッチがずれてしまったり、折り取った先のタングが機器等に混入することで、機器に異常が発生するなどがあり、そのため折り取ったタングを保管・確認するといった作業が発生しますが、タングがないことによりこれらの作業が無くなります。

    また、タングを折り取るといった作業が発生するため、作業時間がかかっておりましたが、折り取る必要がないため、作業時間の削減を行うことができます。

  2. 方向性が存在しない。
    タングレスインサートには方向性が存在しない為、挿入時に方向を確認するための手間が省け、作業時間の削減を行うことができます。
  3. 母材を傷つけない
    挿入及び抜き取りが容易なため、挿入先である母材を傷つける心配がありません。
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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

Metoreeで化学物質の紹介を開始しました

エンジニアや研究者の方からのご要望があったことから、メトリーで試験サービスを提供するメーカー・企業・業者・商社の紹介を開始しました。

今回新規で紹介する化学物質カテゴリは合計144(2022年1月現在)で、下記のようなカテゴリをご紹介しています。

化学物質の一覧ページも合わせて作成致しました。

今後も引き続き紹介する化学物質を増やして参ります。

メトリーではエンジニアや研究者の方が研究・開発に集中できるような環境をつくるべく今後もサービスの充実を加速させていきます。

エス・オー・シー株式会社

エス・オー・シー株式会社は1958年に設立された東京都港区高輪3丁目16番17号に所在する会社です。ヒューズヒューズホルダーチップヒューズ基板実装用ヒューズガラス管ヒューズ電流ヒューズ管ヒューズ等を取り扱っています。

バフ加工

バフ加工とは

バフ加工

バフ加工とは、布、他材料を用いた製作されたバフの周囲(表面)に様々な研磨剤を付け、回転させて対象物を研磨することで、表面の凹凸をなくし、滑らかにする施工方法です。

バフ加工は、金属やプラスチック樹脂の材質に適用が可能です。バフ加工の目的としては、めっき処理前後に、バフ加工を実施することで、面取り、面粗さ、鏡面度、滑り性などを付与させます。また、バフの素材や研磨剤の種類を変えることで、研磨の度合いを柔軟に変えられます。

バフ加工の使用用途

バフ加工は、主に「素材表面を滑らかにしたい!」「素材表面に光沢を出したい!」「バリ・面取りを行いたい!」「めっき後に光沢を出したい!」「面粗度指定の要求がある!」場合に実施します。

バフの素材は、布・麻・ウール・スポンジであり、砥石のような硬い素材ではなく、弾性のある素材を用い、求める要求事項によって使い分けを行うのが一般的です。主に「#〇〇(数字)」で区別されており、この数字が大きいほど、バフの目は細かくなり、研磨された表面に光沢が生まれます。

バフ加工の原理

バフ加工の原理は「砥粒による微小切削作用を用いて、高速回転(摩擦)により温度が上昇し、表面の塑性流動の機械的作用と研磨剤との化学的作用が発生し、光沢を生む」という流れになります。

また、バフ加工工程は、大きく「1. 粗磨き→2.中間磨き→3.仕上磨き 」の3工程に分けられます。

  1. 粗研磨きは、機械加工面や圧延肌のキズ取りを行う程度であれば、バフ加工は粗研磨で完了します。
  2. 中間磨きは、粗研磨後に中間研磨を実施します。この方法は、素材の表面に光沢を出す場合に用いられます。尚、バフ研磨を施す製品は、中研磨を最終仕上げとすることが多数です。
  3. 仕上磨きは、素材の表面を準鏡面、鏡面に仕上げる場合に実施します。

要求するレベルによって実施する工程は、異なりますので、事前に加工メーカーへ確認しておきましょう。

以上の通り、バフ加工は、製品品質に大きなインパクトを与える加工であり、最終的にはバフ研磨によって製品寿命向上等に貢献します。

ワイヤーカット放電加工

ワイヤーカット放電加工とは

ワイヤーカット放電加工

ワイヤーカットは、真鍮のワイヤーに電流を流し、放電の熱によって、材料を溶かしながら切断していく加工方法です。ワイヤーが材料に触れることなく溶解していくので、切断面が綺麗です。また、精密に切断していくことができ、数μ(ミクロン)で単位での加工が可能です。切断加工幅は、400mmの厚い材料から、0.02mm薄い箔材も可能です。

切断できる素材は「鉄」「ステンレス」「銅」「真鍮」「アルミニウム」など、伝導体であれば溶融切断できます。逆に伝導性がない素材は、使用できません。

ワイヤーカット放電加工の使用用途

ワイヤーカット放電加工は、金属の切断や高精度を求める加工に用いられます。加工できる材料の厚みが、薄いものから厚いものまで可能です。そのため、スマートフォンや家電製品などの小さな部品から、機械などの大きな加工部品まで、ワイヤーカットにて製作されています。

ワイヤーカットは、精密加工が可能なため、金型の製作や複雑な形状の加工に向いています。また、ワイヤーで材料を切っていくため、マシニング加工のように工程が多くなりません。板加工の場合、一筆書きのように一工程で切り抜きできます。

ワイヤーカット放電加工の原理

ワイヤーカット放電加工機は、純水、もしくは油が入った液槽の中で絶縁をしつつ、ワイヤーが熱によって切断されないよう冷却しながら加工します。通電されたワイヤーと材料間で放電が発生し、接触することなく、数千度の熱で溶かしながら加工していきます。

メリットは、導電性素材なら、薄いものから厚いものまで切断できます。使用するワイヤーの太さは、加工会社によって違いますが、一般的に直径0.10mm~0.30mmで、高精度加工が感応です。材料を溶解して切断するため、バリや加工屑がでません。そのため、バリや加工屑の処理工程が省けます。さらに、ワイヤーは安価なので、ドリルを使う切削よりもコストを下げられます。

デメリットは、伝導性の素材以外は加工できません。また、材料を溶かしながら切断していくため、加工速度は遅いです。ワイヤーを上下に張った状態で加工するため、溝加工やポケット加工など、底を必要とする加工はできません。

座繰り加工

座繰り加工とはザグリ加工

座繰り加工とは、ネジ穴をあけてボルトを締める際に、ボルトの頭が出ないよう、段付き穴の座繰りを作る加工方法です。座繰りは、主に六角穴付きボルト用のために加工されますが、座繰りの寸法を指定すれば、六角ボルトや皿ねじ用にも使われます。

座繰りがあれば、ボルトの頭が表に出っ張らないため、ボルトに引っかかって怪我をすることがなくなります。また、ボルトを使用する面がフラットになるので、見た目も綺麗で、構造上平面にしたい場合にも有効です。

座繰り加工の使用用途

座繰り加工は、ボルトの頭が出ないように座繰りを作るための加工方法です。座繰りは、綺麗な見た目にしたい場所や構造上、突起物をなくし、平面にしたい場所に用いられています。特に木材を使用した建築物や家具では、見た目が重要視されるため、目に見える場所には座繰りを作ることが多いです。

金属材料での座繰りは、ボルトが出ていると、何かに干渉してしまったり、製品が通過する際に当たってしまうなど、フラットでなければならない場所に使われます。

座繰り加工は「建築」「機械」「自動車」「航空」など、幅広い分野の製品に使用されています。

座繰り加工の原理

座繰り加工は、通常のドリルで、ボルトを通すための下穴を加工します。次に、座繰り加工します。この座繰り加工するときに適したドリルは、木材用では座繰り専用ドリルを使います。金属用では、エンドミルが一般的です。ドリルの種類によっては、1本でドリルの穴と、座繰りが作れる工具があります。段付きドリルや座繰りドリルと呼ばれます。この座繰りドリルを使用すれば、使う工具も減り、工程も短くできます。しかし、座繰りの寸法が決まってしまうので、座繰りを広げたりすることはできなくなります。

座繰り加工する際は、座繰りの径、深さ、使用する機器などから、加工寸法や工具を選定します。六角穴付きボルトに対する座繰りとボルト穴の寸法は、標準数値があり、例えば、M5のネジを使う場合は、「5.5mmのボルト穴」「9.5mmの座繰り直径」「5mmの深座繰り」となります。同じボルトサイズで、座繰りの径や深座ぐりを違う寸法にする場合は、数値の指定をします。

座繰り加工は、六角穴付きボルトのための加工ですが、皿ねじ用の皿座繰り加工もあります。また、表がわの座繰りだけでなく、裏側も加工する裏座繰りもあり、専用のドリルが必要です。

鍛造加工

鍛造加工とは鍛造加工

鍛造加工は、金属の特性である塑性を利用した加工方法の一つです。金属材料を叩いて圧力を与え、目的の形に成形します。これは、金属材料を叩くと素材内部の気泡が埋まり、結晶が微細化します。そして、結晶の方向が整うため、金属材料の強度が上がります。

材料を成形する方法は、切削や鋳造加工がありますが、強度や生産性は、鍛造加工が優れています。ただし、切削は加工精度を上げられるため、鍛造した後に使われることがあります。

鍛造加工の使用用途

鍛造加工は、金属材料を叩くと強度が上がるため、強度がほしい製品で用いられます。身近なところでは「包丁」「ナイフ」などの刃物や「ペンチ」「くわ」などの工具や農具があります。他には、飛行機や自動車、機械の部品など、鍛錬加工にて製作されており、切削では出せない、強度が必須の部品製造に用いられています。

金型を使わずに成形する自由鍛造は、日本では古くから利用されており、刀鍛冶による日本刀の製作が有名です。

金型を使った型鍛造は、製作精度が高く、大量生産にむいています。しかし、金型の製作が初期費用として必要になります。

鍛造加工の原理

鍛造加工は、金属に圧力を加わえると、この圧力が違う方向へ逃げる性質を利用して、材料を成形します。また、粘り強さができて強度が上がります。「据えこみ」「鍛伸」「展伸」「押出」などの変形方法があります。鍛造の主な成形方法は、材料を自由に叩いて成形する自由鍛造と、金型を使って成形する型打ち鍛造があります。

  • 自由鍛造
    自由鍛造は、熱した材料を台の上で叩いて成形します。複雑な形状の製作や小ロット生産などを製作する場合に用いられます。以前は、ハンマーを使い、手で叩いていました。今では、機械ハンマーを使って叩くことがほとんどです。
  • 型鍛造
    金型を使い、材料を鍛造する方法です。複雑な形状や大量生産する場合に用いられます。型鍛造の中でも「密閉鍛造」「半密閉鍛造」「閉塞鍛造」などがあります。

鍛造加工は、材料の加工温度によっても加工方法が違います。「熱間鍛造」「冷間鍛造」「温感鍛造」「溶湯鍛造」があります。材料を熱すると、柔らかくなって、加工しやすくなります。

メリットは、材料の強度が増すことです。また、金型を使うことにより、製作精度や量産が可能になります。

デメリットは、鍛造加工する機械が大型になってしまうところです。他にも、金型や材料は、加える圧力によって破損しないように、素材の性質を考慮し、設計、製作をしなければいけません。