アスパラギン

アスパラギンとは

L-アスパラギンの構造式

図1. L-アスパラギンの構造式

アスパラギンは、アミノ酸の一種であり、アスパラガスの汁から単離されました。一番最初に発見されたアミノ酸でもあります。 ヒトのタンパク質を構成するアミノ酸であり生合成が可能であることから、栄養学的には非必須アミノ酸に分類されます。光学活性化合物であり、タンパク質構成アミノ酸としてのアスパラギンは全てL体です。

このアスパラギンには、体内で有害となるアンモニアを体外へ排出し、中枢神経系を保護する働きがあります。また、アスパラギン酸とともに、体内でエネルギーを作り出すTCA回路に働きかけてエネルギーの代謝を促進する働きをもっています。 そのため、効果としては運動をする際の持久力を向上させるというものがあります。

アスパラギンの使用用途

アスパラギンは、アミノ酸の一種でありヒトの体内に存在している物質になります。そのため、比較的安全性の高い物質といえます。このアスパラギンは食品添加物の分類で使用されることがあります。

また、TCA回路に働きかけてエネルギーの代謝を促進するという点から、低タンパク血症や低栄養状態の方にアミノ酸を補給する目的で医薬品として使用される場合もあります。

アスパラギンの性質

1. 名称

和名:L-アスパラギン 英名:L-Asparagine IUPAC名:(S)-2,4-diamino-4-oxobutanic acid 3文字略号:Asn 1文字略号:N

2. 分子式: C4H8N2O3

3. 分子量: 132.12

4. 構造式: 図1の通り。

5. 融点: 234~235℃

6. 溶媒溶解性: 水に易溶であり、エタノールに難溶である。

7. 味: 苦味

アスパラギンのその他情報

1. アスパラギンの生合成

アスパラギンの生合成

図2. アスパラギンの生合成

生体内においては、アスパラギンシンテターゼによりアスパラギン酸から生合成されます。

2. アスパラギンが多く含まれる食品の例

乳製品、ホエイ、肉類、魚介類、たまご、ナッツ、玄米、レーズン、エビ、ジャガイモ、アスパラガス、発芽したマメ類などに豊富に含まれます。

アジピン酸

アジピン酸とは

アジピン酸は、化学式(CH2)4(COOH)2で表される有機化合物です。工業的に最も重要なジカルボン酸で、白色で無臭の結晶性粉末です。別名、ヘキサン二酸、1,4-ブタンジカルボン酸とも呼ばれます。
アジピン酸自然界で見られることは稀ですが、火焔菜(カエンサイ)など一部の植物に含まれており、さわやかな酸味があります。歴史的には種々の脂肪を酸化させることで調製していたため、ラテン語で「動物の脂肪」を意味するadeps、adipisを冠してアジピン酸と名付けられました。

アジピン酸の性質

エタノールに溶けやすく、熱水やアセトンにも可溶です。水にわずかに溶け、水溶液は酸性を示します。

1分子あたり2つの酸性基を持ち、水中で2つのプロトンを放出できる二塩基酸の一つです。pKa値4.4と5.4において、2段階のプロトン解離を起こします。

2つのカルボン酸基が4つのメチレン基で隔てられているため、アジピン酸は分子内縮合反応します。水酸化バリウムを加えて高温で処理するとケトン化し、シクロペンタノンが生成します。
(CH2)4(CO2H)2 → (CH2)4CO + H2O + CO2

また、アジピン酸を高温で加熱すると、無水アジピン酸になります。

アジピン酸の製法

アジピン酸は、シクロヘキサンを酸化することにより得られます。まず、ケトンアルコールオイルと呼ばれるシクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物を用意し、これを硝酸で酸化することで、多段階の経路を経てアジピン酸を得ます。反応の初期にシクロヘキサノールはケトンに変換され、亜硝酸が放出されます。
C6H11OH + HNO3 → (CH2)5CO + HNO2 + H2O

多段階の反応過程で、次式に従ってシクロヘキサノンはニトロソ化され、C-C結合が切断されます。

HNO2 + HNO3 → NO+NO3- + H2O
OC6H10 + NO+ → OC6H9-2-NO + H+

この製法の副産物として、グルタル酸コハク酸があります。ここにおいて、アジピン酸に対して約1対1のモル比で亜酸化窒素(N2O)が生成されます。

亜酸化窒素が発生しない、代替製造方法としては、次式に従ってブタジエンをヒドロカルボキシル化する方法や、過酸化水素を用いてシクロヘキセンを酸化開裂させる方法が提案されています。

CH2=CH-CH=CH2 + 2 CO + 2 H2O → HO2C(CH2)4CO2H

アジピン酸の使用用途

アジピン酸は、各種有機合成原料として使用され、特にナイロン-66やポリエステル樹脂などの高分子製造の原料モノマーとして多く利用されています。また、アルキド樹脂や医薬品等の合成原料としても利用されています。

アジピン酸は他にも、食品添加物として酸味料、品質改良剤、膨張剤等に使われています。また、酸の標準物質として、アルカリ標準液の標定にも用いられています。

アジピン酸をオクチルアルコール、デシルアルコール等とエステル化して得られるジエステルは、可塑剤や合成潤滑油として使用されています。

アジピン酸の安全性

アジピン酸は、他のカルボン酸と同様に、軽度の皮膚刺激性があります。毒性は穏やかで、ラットに経口摂取させた場合の致死量は中央値で3600mg/kgです。

環境面としては、アジピン酸の生産において排出される亜酸化窒素(N2O)は、成層圏のオゾン層破壊を引き起こす物質であること、また二酸化炭素の約300倍の温室効果を有することが指摘されています。そのため、この排出を抑制する必要があり、アジピン酸メーカーでは、次式に従って、亜酸化窒素を触媒作用によって窒素と酸素に変換するプロセスを導入しています。
2 N2O → 2 N2 + O2

アクリルアミド

アクリルアミドとは

アクリルアミドとは、アクリロイル基 (-COCH2) とカルバモイル基 (-CONH2) を有する有機化合物です。

常温では無臭白色の結晶の物質です。別名、アクリル酸アミド、アクリルアミドモノマーとも呼ばれます。

アクリルアミドの使用用途

アクリルアミドは、ほぼ全量がアクリルアミドポリマー (ポリアクリルアミド) の原料として使用されています。アクリルアミドがそのまま別の用途に使用されるケースとしては、他のポリマーに少量モノマー成分として使用される以外はほとんどありません。なお、クリルアミドポリマーの使用用途は以下のとおりです。

1. 凝集剤

ポリアクリルアミドは、汚水処理などで凝集剤として利用されます。ポリアクリルアミドは、水と混合すると、水の表面張力を減少させるため、水中の不純物や浮遊物を凝集させ、ろ過によって取り除くことができます。このため、水処理においては、混凝処理や浄水場でのろ過工程前に添加されます。

2. 接着剤

ポリアクリルアミドは、接着剤の原料としても利用されます。ポリアクリルアミドをモノマーとする重合体は、熱可塑性や粘着性に優れているため、接着剤として使用されます。例えば、木材やプラスチックなどの素材を接着する際に使用されます。

3. 農業分野

ポリアクリルアミドは土壌改良用途用、特に土壌の保水性や透水性を改善するため、農業分野で利用されています。具体的には、農地に散布することで、土壌中の水分や栄養素を保持し、作物の生育を促進することができます。

4. 医療分野

ポリアクリルアミドは、医療用品などの原料としても使用されます。具体的には、血液や体液を凝固させる作用があるため、手術や出産時の止血剤として使用されることがあります。

5. その他

アクリルアミドポリマーは、紙力増強剤や繊維加工、漏水防止剤、染料、UV塗料、レンズ材料など、シェービングジェルや整髪剤などの化粧品にも利用されます。化粧品に使用する場合、保湿剤や増粘剤としての用途が多いです。アクリルアミドポリマーは、核酸およびタンパク質解析におけるPAGEゲル電気泳動で、マトリックスとしても使用されています。

アクリルアミドの性質

アクリルアミドは、分子式 (CH2=CHCONH2) 、分子量71.08の無色透明な結晶状の粉末で、水に溶解しやすく、エタノールジエチルエーテルにも溶解します。室温では安定した物質ですが、紫外線を受けることで重合が起こることがあります。また、水やアルコール、アセトン等に可溶ですが、ベンゼンヘプタンには不溶です。

加熱すると84.5℃で溶融し、急激に反応してポリアクリルアミドになります。アクリルアミドは、発がん性物質である可能性があるため、長期的な摂取や曝露には注意が必要です。特に、炭水化物を多く含む食材を高温加熱した食品に含まれていることが多く、食品安全上の問題となっています。

また、アクリルアミドは皮膚や目に刺激性があり、吸入すると呼吸器系に影響を与えるため、取り扱いには十分な注意が必要です。

アクリルアミドのその他情報

アクリルアミドの製造方法

アクリロニトリルを酸触媒 (硫酸塩酸など) の存在下で加水分解する方法です。この反応は以下のように表されます。

CH2=CHCN + H2O → CH2=CHCONH2

この反応では、アクリロニトリルと水が反応してアクリルアミドが生成します。また、酸触媒によってニトリル基の加水分解が促進されます。

その他、アクリロニトリルの加水分解反応をニトリルヒドラーゼという微生物由来の酵素を用いて合成することも可能です。ニトリルヒドラーゼはニトリルを加水分解する酵素で、製造効率の観点で優れているため、工業的にも採用されています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/79-06-1.html

アクリル酸メチル

アクリル酸メチルとは

アクリル酸メチルの構造

図1. アクリル酸メチルの構造

アクリル酸メチル (Methyl Acrylate) とは、アクリル酸エステルの一種である有機化合物です。

MAと省略形で表記されることもあります。IUPAC命名法では、プロペン酸メチル (methyl propenoate) と呼ばれます。

二重結合を有するエステル化合物で、分子式はCH2=CHCOOCH3です。自然界の果実などの匂いに近い、エステル臭と呼ばれる強い匂いのする無色透明の液体です。揮発性かつ引火性物質として、危険物第4類第1石油類非水溶性液体に指定されています。

アクリル酸メチルの使用用途

アクリル酸メチルは、各種化学反応の反応剤として汎用性の高い化合物です。そのため、他のアクリル酸エステル一般と同様に、広範な産業分野で製品原料として活用されています。

主な用途は、アクリル繊維、成型用樹脂、粘接着剤、塗料、エマルジョン、繊維処理剤、塗料等の原料です。また、他の樹脂の共重合原料などにも用いられます。

具体的な産業分野の例としては、自動車業界 (各種部品や成型用樹脂) 、皮革加工や紙加工、アクリルゴムの製造等が挙げられます。

また、アクリル酸メチルは、接着剤や粘着剤として透明性や耐熱性、耐溶剤性などにおいて優位です。そのため、液晶パネルやスマートフォンなどの保護シートなどへも応用されています。

アクリル酸メチルの原理

アクリル酸メチルは、分子式CH2=CHCOOCH3で表される、分子量86.1、融点-76.5℃、沸点80.3℃、引火点-2.8℃の化合物です。常温では無色透明の液体であり、密度は0.953〜0.959g/mL (20℃)、水に溶ける性質を示します (6g/100ml水, 20℃) 。CAS登録番号は、96-33-3です。

1. アクリル酸メチルの合成方法

アクリル酸メチルの合成方法

図2. アクリル酸メチルの合成方法

アクリル酸エステルは、オレフィン部分がエステル基の電子求引性によって活性化されており、求核剤と容易に反応可能です。また、自己重合を起こしやすいため、一般的には安定剤としてヒドロキノンモノメチルエーテルが添加されます。

アクリル酸メチルは、アクリル酸メタクリル酸系のエステルの中でも特に重合しやすい物質です。尚、不純物として酢酸メチルやプロピオン酸メチルが含まれることがあります。

アクリル酸メチルの種類

製品としてのアクリル酸メチルには、試薬用途としての小型製品や産業用の大型容量製品等の種類があります。化学試薬としての小型製品の容量は、1mL, 10mL, 25mL, 50mL, 100mLから、500mL, 1L, 2.5L程度までです。

通常、 重合防止剤として、ヒドロキノンモノメチルエーテルが約100〜300 ppm含まれます。産業用の大型製品には、15kg缶、180kgドラム缶、ローリー等の荷姿があります。

アクリル酸メチルのその他情報

アクリル酸メチルの安全性情報

アクリル酸メチルの蒸気と空気の混合気体は引火すると爆発を起こす危険性があるため、注意が必要です。アクリル酸メチル自体も引火性があります。

また、人体への有害性では下記をはじめとする様々な危険性が指摘されています。

  • 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
  • 重篤な眼の損傷
  • 吸入すると有毒
  • 発がんのおそれ
  • 呼吸器の障害
  • 水生生物に毒性

取り扱いの際は、保護メガネや保護手袋などの保護具が必須です。各種法令では、下記の内容が定められています。

  • 消防法: 第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体
  • 労働安全衛生法: 危険物・引火性の物、健康障害防止指針公表物質、名称等を表示すべき危険物及び有害物、名称等を通知すべき危険物及び有害物、危険性又は有害性等を調査すべき物、作業場内表示義務
  • 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法): 第1種指定化学物質

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/96-33-3.html

スプリングベンダー

スプリングベンダーとは

スプリングベンダーとは、配管やパイプなどの断面を潰さずにきれいに曲げることができる工具です。名前の通り、スプリングの構造になっているので、色々な角度に曲げることができます。           

スプリングベンダーには2種類あり、1つ目は、銅管を中に差し込んで曲げるタイプの銅管用スプリングベンダーです。ちょっとした曲げ加工に便利です。2つ目は、銅管の中に差し込んで曲げるタイプの被膜銅管用スプリングベンダーです。被膜や断熱材がついたままで使用できます。

スプリングベンダーの使用用途

スプリングベンダーは、エアコンの設置工事などで簡易的な曲げ加工をする時に使用します。一般的なベンダーがかけにくい場合や壁から出て急激に曲げる必要がある場合に重宝します。

また、配管のサイズが、1/4インチ(2分)や3/8インチ(3分)のものだとプロの職人では、手で曲げることもあります。しかし、1/2インチ(4分)以上ではベンダーがないと作業できません。スプリングベンダーを使用することで、しわ、へん平、座屈のないきれいな仕上がりになります。

銅管用スプリングベンダーは、室外機の接続部分などの短い距離での加工に便利です。
被膜銅管用スプリングベンダーは、フレア加工後も使え、曲げ角度が実際と違う時も修正できます。

スプリングベンダーの選び方

「サイズ(銅管の太さ)」「材質」「用途」別で選ぶことができます。

  1. サイズ別
    銅管用・被覆銅管用スプリングベンダーでは、以下のサイズの商品が販売されています。

    銅管用スプリングベンダー:1/4、5/16、3/8、1/2、5/8、3/4インチの6種類

    被覆銅管用スプリングベンダー:3/8、1/2、5/8、3/4インチの4種類

  2. 材質
    スプリングベンダーには、ステンレス製のものとスチール製のものがあります。
    ステンレス製は、錆びにくく、強度が強いという性質があります。そのため、銅管の中に差し込んで使用する被覆銅管用スプリングベンダーの多くの商品に使用されています。スチール製のものもありますが、亜鉛メッキやクロムメッキされています。どちらも滑りが良く取り外す時に便利です。
    スチール製のものは、銅管用スプリングベンダーで使用されています。安価に抑えることができます。
  3. 用途別
    銅管用スプリングベンダー:軟質銅管、アルミ管など曲げ加工に使用します。
    被覆銅管用スプリングベンダー:断熱材などをはがさずに曲げ加工ができます。銅管の中に差し込んで曲げられるので、銅管を潰さずに小さいRで曲げ加工が可能です。
    塩ビパイプベンダー:塩ビパイプの内径を潰さずにきれいに曲げられるスプリングベンダーです。塩ビパイプの中に差し込んで曲げたい箇所を温めて曲げます。

万能ソケット

万能ソケットとは

万能ソケットとは、一つで色々なサイズ、形状のネジ、ボルト、ナットなどを簡単に締めたり緩めたりすることができる工具です。

仕組みは、ソケット内部に多数のバネピンが設置されており、ピンにボルトを押し当てるとボルトの形にピンが引っ込みます。そして、引っ込んでないピンが、ボルトに引っかかることで回せるようになっています。

同じく、様々な種類のネジやボルトに対応することのできる「スプラインソケット」というソケットがあります。こちらは、内部に複数の溝があり、その溝に引っ掛けて回すタイプのソケットです。

万能ソケットの使用用途

万能ソケットの用途は、ネジやボルトを締付け、緩め作業です。

ラチェットハンドルなどに差し込み、手作業用として使用されています。また、ソケット専用アダプターを使えば電動ドライバー、インパクトドライバーとしても使用可能です。上部から力をかけて回すのと違い、横から回す場合は、力がかけにくいため、電動ドライバーとして使用できることが大変便利です。

「機械部品製造業」「自動車整備工場」「建築」「電設工具」として使用されています。また、ご家庭でのDIYや日曜大工でも利用されています。

万能ソケットの選び方

万能ソケットの選ぶポイントは、差し込み角と対応サイズです。

  1.  工具の差し込み角
    自身が持っているレンチなどの工具の差し込み角と万能ソケットが合わなければ使用できません。差し込み角は、9.5mmか12.5mmが多いです。
    もし、万能ソケットと工具の差し込み角が合わなかった場合には、変換アダプターがあるのでこちらを利用しましょう。
  2.  対応サイズ
    万能ソケットの対応サイズは、主に2つに分けられます。7-19mm程度のレギュラーサイズと11-32mm程度のジャンボサイズです。ネジのサイズに合ったソケットでないと作業ができません。例えば、小さなネジは、ジャンボサイズのソケットでは回せません。サイズ別でいくつか揃えておくことをおすすめします。
  3. その他
    万能ソケットにも欠点があります。それは万能ソケットの構造上均一にトルクがかからないということです。トルクをかけて作業したい場合には、スプラインソケットがおすすめです。スプラインソケットは、様々なサイズには対応していないため、セットで購入しておくといいでしょう。

マイナスビット

マイナスビットとは

マイナスビットとは、先端がマイナスドライバーの形状になっている先端工具です。ネジやボルトの頭部が、マイナスネジかプラスマイナスネジになっているタイプのネジに利用できます。

電動ドライバーなどの電動工具に装着し、高速で回転させることでビスをねじ込ませるなどの作業ができます。

電動工具としてだけでなく、ビット差し替えドライバーに装着すれば、手作業用としても使用できます。

各メーカーからサイズや材質の違いにより、様々な種類のマイナスビットが販売されています。

マイナスビットの使用用途

マイナスビットの主な用途は、ネジ頭部の形状がマイナスネジ、プラスマイナスネジになっているタイプのネジ回しとして使用されています。

マイナスネジ自体が少ない為、プラスビットに比べると使用頻度は低くなります。

マイナスネジには作りがシンプルゆえに埃やゴミが溜まりにくいという利点があります。そのため、キッチンや風呂場などの水回り、配管まわりの水圧の調整など埃や汚れ、石などが詰まりやすい環境で大変重宝されています。

マイナスビットの選び方

「サイズ」「材質の種類」「形状」の違いにより、様々な種類が販売されています。

サイズ

刃先の寸法は、3mm―10mm、長さは45mm―75mmの範囲で展開されています。

材質

「カーボン」「ニッケル」「クロム」「モリブデン」の4種類があります。ニッケル材質のビットが多く販売されています。
マグネット入りのビットは、磁力によってネジやビスを吸着させるため、落下させることなく簡単に作業することができます。

 形状

  • 方頭ビットと両頭ビット:両頭ビットとは、ビットが両端に付いているビットのことです。マイナスビットの場合、もう片方はプラスビットとなります。
  • スリムビット:ネジの頭部が見えやすいように先端部分が細くなっているビットのことです。狭い場所での作業や細めのネジを使用する作業に重宝します。
  • 段付きビット:軸が細く、狭い場所での作業に向いています。スリムビットよりも細い部分が長く、折れやすいので注意が必要です。
  • トーションビット:ビットの中央部分にくびれを持たせることで、ネジ締めの際の衝撃を吸収し緩和させることができます。

用途に合った種類のマイナスビットを選ぶことで、効率的に安全に作業を行うことができます。

L型ドライバー

L型ドライバーとは

L型ドライバーとは、アルファベットの「L」に似た独特の形状をしており、狭い場所や届きにくい場所にあるネジやボルトにアクセスできるように設計された工具です。

「アングルドライバー」とも呼ばれます。プラスやマイナス、六角など、さまざまなタイプのネジに対応できるよう、サイズや形状が豊富に用意されています。自動車修理や電子機器、狭い場所や角度のある機械的用途によく使われます。

L型ドライバーの使用用途

L型ドライバーの用途は、従来のドライバーでは届かないような狭い場所にあるネジやボルトを締めたり緩めたりすることです。L字型に設計されているため、手を作業面から離したまま、ネジやボルトにトルクをかけることができます。電子機器や機械など、ネジやボルトに手が届きにくい場所での作業時に特に有効です。

プラスやマイナス、六角など、さまざまなネジの頭の種類に対応できるよう、サイズや形状のバリエーションが豊富です。また、狭い場所での作業でも人間工学に基づいた快適な握り心地を実現し、手の疲労を軽減して生産性を高めることができるよう設計されています。L型ドライバーは、自動車修理、電子機器、製造業など、さまざまな業界で幅広い用途に使用できる汎用性の高い工具です。

L型ドライバーの原理

L型ドライバーの原理は、ネジやボルトを締めたり緩めたりするためにかかる回転力である「トルク」の概念に基づいています。L字型デザインは、狭い場所や届きにくい場所にあるネジやボルトでも、このトルクをかけることができます。

工具の先端をネジやボルトの頭部に当て、ハンドルを回して回転力を加えます。そして、工具の角度を調整することで、ネジやボルトに必要なトルクをかけることが可能です。また、L字型に設計されているため、人間工学に基づいた快適な握り心地を保ちながら必要な力を加えることができ、手の疲れや怪我のリスクを軽減します。

L型ドライバーの種類

L型ドライバーにはいくつかの種類があり、それぞれ用途に合わせて設計されています。

1. 標準的なL型ドライバー

L型ドライバーの中で最も基本的なタイプで、従来のドライバーの先が90度に曲がっています。

2. オフセットL型ドライバー

従来のドライバーのグリップ部分がないので短く、狭い場所にあるネジやボルトに手が届くドライバーです。

3. ボールポイントL型ドライバー

軸の先端がボール状になっており、中心から最大25度ずれた角度で作業ができるドライバーです。ネジやボルトが直線でない場合に有効です。

4. ラチェット式L型ドライバー

ラチェット機構により、工具を取り外すことなく、ネジやボルトを回すことができるドライバーです。

5. マグネット式L型ドライバー

先端が磁石になっているため、ネジやボルトを固定し、工具からの脱落を防ぐことができます。小さなネジやボルトを扱うときに便利な機能です。

6. 電動式L型ドライバー

電動ドライバーの先端に装着するL型のドライバーアダプターで、「L型アダプター」と呼ばれます。

L型ドライバーの選び方

L型ドライバーの選び方は、用途、ネジやボルトの種類、必要な工具のサイズや形状など、いくつかの要因によって異なります。

1. 用途

L型ドライバーは、用途によって設計が異なります。電子工作をする場合は、先端が小さく精密なドライバーが必要です。自動車修理の場合は、狭い場所のネジに届くように軸の長いドライバーが必要になります。作業内容をよく考えて、その条件に最も適したドライバーを選びます。

2. ネジやボルトの頭

L型ドライバーには、さまざまなサイズや形状のものがあり、ネジやボルトの頭の種類に合わせることができます。ネジやボルトの頭の形に合わせて選びます。プラス、マイナス、六角などの種類が一般的です。

3. サイズ

ドライバーは、作業するネジやボルトに適したサイズのものを選びます。小さすぎたり大きすぎたりするドライバーを使うと、ネジやボルトを傷つけてしまい、作業が難しくなることがあります。

4. ハンドル

人間工学に基づいた快適なハンドルが付いたL型ドライバーを選ぶことによって、しっかりと握ることができ、手の疲れや怪我のリスクを軽減します。また、グリップ力を高めたり、滑りにくくする工夫がされているハンドルもあり、力が必要な作業にも役立ちます。

5. 品質

クロムバナジウム鋼など、丈夫で長持ちする高品質の材料で作られており、先端は、ネジやボルトの頭部にうまくフィットするように精密に研磨されているものが良いです。

四角ビット

四角ビットとは

四角ビットとは、先端の形状が正方形になっていて、ネジ頭部が四角にくり抜かれている四角ネジ専用のビットのことです。「スクエアビット」とも呼ばれています。

四角ネジは、高トルクをかけても折れにくいという点から主にサッシや筋交い金具など建築現場で使用されています。

電動ドライバーなどの電動工具に装着し、高速で回転させ、ビスをねじ込ませるなどの作業に便利です。

各メーカーからサイズや材質の違いにより、様々な種類の四角ビットが販売されています。

四角ビットの使用用途

四角ビットの主な用途は、四角ネジの締付、緩め作業です。

四角ネジは、たくさんネジを締める際にビットのすべりが少ない上にあまり磨耗や破損もしないという特性があります。そのため、高トルクをかけるネジによく使用されています。例えば「サッシ」「耐震金物(筋交いプレートなど)」「輸入建築」「合板床パネル」「LCボード」「足場つなぎ」などの場面で重宝されています。

四角ビットと四角ネジは、サイズが合わないと使用できません。そのため、購入する際には確認が必要です。サイズは、mm、インチ、SQ(SQUAREより)で表記されています。

四角ビットの選び方

四角ビットは、サイズと形状の違いにより選ぶことができます。

サイズ

刃先のサイズは、3種類です。サイズによって用途が変わります。

  • SQ NO.1[3/32インチ(2.4mm)]:細いビス全般
  • SQ NO.2[1/8インチ(3.0mm)]:スチールハウス、輸入住宅、ログハウスの組立ビス
  • SQ NO.3[9/64インチ(3.5mm)]:ALC床、ボード固定用ビス

サイズが合わないと使用できないため、購入する際はしっかりと確認してください。
長さは、25mm、65mm、110mm、150mmの4種類です。

形状

  • 方頭ビットと両頭ビット:両頭ビットとは両端にビットが付いているものです。両端とも四角ビットの場合と片方がプラスビットの場合があります。
  • トーションビット:両頭ビットの中央部分がくびれているビットです。ネジ締めの時の衝撃を吸収し緩和させることができ、ビスの折れや刃先が割れるのを防止できます。

その他

先端にマグネットが付いている四角ビットは、磁力によってしっかりキャッチしてくれるので落下の心配がありません。そのため、小さなビスや手の届きにくい狭い場所での作業に大変便利です。

効率的に安全に作業を行うためにも用途に合った種類の四角ビットを選びましょう。

ダイヘッド

ダイヘッドとは

ダイヘッド (英: Die heads) とは、ビルの配管などに使用されるパイプのねじ切り機に取り付けるドーナツ形状をした工具です。

ねじ切り機の自動式と手動式に合わせそれぞれに固定しやすい構造で、ねじを切る刃 (チェーザ) を取り付けたうえでねじ切り機に固定して切っていきます。ダイヘッドは加工を必要とするパイプの径に合ったダイヘッドに交換するだけで、ねじ切り機1台で対応できるというメリットがあります。

ダイヘッドの使い方

ダイヘッドは、加工するパイプに適合した径のものにチェーザを指定された向きと順番に従って確実にしっかりと取り付けます。

使用するチェーザは、基本的にセットになったものを使用し、チェーザを取付けたダイヘッドをねじ切り機に確実に固定します。固定したあと改めて固定具合が適正か確認することが大切です。

ねじ切りの完了が、自動で終了する自動切上げダイヘッドと異なり、操作者が手動で切上げを行うダイヘッド使用時は切上げタイミングにも留意する必要があります。

ダイヘッドの選び方

ダイヘッドは下記4つの組み合わせで決めます。

  1. ねじ切り機の種別 (自動か手動式) 
  2. パイプの外径
  3. 自動切上げか手動切上げ
  4. パイプ材質 (鋼管用かステンレス用) 

自動ねじ切り機に取り付けて使用するダイヘッドは、そのねじ切り機専用の指定されたものを使用するよう気をつける必要があります。

ねじを切るパイプは、ミリメートル系のA呼称とインチ系のB呼称が使われています。例えば、パイプ外径34mmといえば、呼び径25Aであり1Bとも呼ばれ、所定の対応したダイヘッドを選びます。インチ系では、通称が使われることもあります。たとえば1/8Bを「いちぶ」、3/8Bが「さんぶ」、1 1/2Bを「インチはん」などのように分母を8にした時の数値で呼ばれています。

一般的に、パイプ径に合わせ調整可能とするものが多く、A呼称で小さいもので8A~10A、大きなものでは65A~100Aなどと幅をもたせた製品が流通しています。さらにパイプの材質 (特にステンレス) による使い分けが必要になる場合もあります。