スプリングベンダー

スプリングベンダーとは

スプリングベンダー (Spring Bender) とは、配管やパイプなどの断面を潰さずに曲げることができる工具です。

スプリング構造をしているためスプリングベンダーと呼ばれています。大まかに、管の中に差し込んで曲げるタイプと、管の外側に装着して曲げるタイプの2種類があります。管の直径や材質にあったベンダーを選び、変形や潰れを防ぎながら手軽に管を曲げられる便利なツールです。

スプリングベンダーの使用用途

スプリングベンダーは、銅管、アルミ管、ステンレス管などの金属管を所定の角度に曲げる作業で使われます。壁から出て急激に曲げる必要がある場合などに重宝です。配管工事、自動車の製造や修理、エアコンや冷蔵・冷凍機器の配管、電気工事など、さまざまな用途があります。以下にそれぞれの用途ついて説明します。

  • 配管工事:水道やガス、冷媒などの配管を成形するために使用
  • 自動車製造・修理:ブレーキや燃料のラインで金属管を精密に曲げ加工するために使用
  • エアコン、冷蔵・冷凍機器:冷媒配管を成形するために使用
  • 電気工事:コンジットを曲げて配線ルートを調整するために使用

スプリングベンダーの原理

スプリングベンダーは管の内外に均一に力を分散させることで、管が潰れたり変形したりするのを防ぎます。管の内側に挿入するタイプでは内側から形状を保持し、外側に装着するタイプでは外側にかかる力を分散させます。手作業で管を曲げる作業では、スプリングを支点とすれば効率よく力を加えて曲げることが可能です。

管の内部に挿入するタイプでは、引き抜く際に切れてしまうことがあるので注意が必要です。また、角度を付けすぎると抜けにくくなるため、曲げた後の処理も考えながら注意深く加工します。

スプリングベンダーの種類

スプリングベンダーには、管の内側に挿入するタイプと管の外側に装着するタイプがあります。前者は内挿式スプリングベンダーあるいはインサイドスプリングと呼ばれ、特に細い管や柔らかい材質 (銅管、アルミ管など) の加工に適したベンダーです。曲げる際に管の内径が潰れるのを防げます。後者は外装式スプリングベンダーあるいはアウトサイドスプリングと呼ばれ、曲げる際に管の外側が膨らむのを防ぎ、均一な曲げ加工を実現します。

スプリングベンダーの選び方

スプリングベンダーは、曲げる管の性質を考慮して、適した製品を選びます。アルミや銅を素材にした柔らかい管には内挿式、被覆管には外装式が適しています。ステンレス製とスチール製のベンダーがあり、錆びにくさと強度が求められる場合にはステンレス製、取り外しやすさが求められる場合にはメッキ加工を施したスチール製がおすすめです。また、スチール製は安価に抑えられます。

スプリングベンダーは特定の外径に対応して設計されるため、曲げる管のサイズに合ったものを選びます。一般的なサイズ例は6mm、8mm、10mm、12mmです。素材やサイズによって、最小の曲げ半径が決まっているため、それに対応したベンダーを選んでください。長期的な使用頻度を考慮して、コストパフォーマンスの良いものを選ぶことも大切です。

スプリングベンダーのその他情報

スプリングベンダーを使用する際には、いくつかの注意点があります。これらを守ることで、効率的かつ安全に作業を行い、製品や材料を損傷から守ることが大切です。以下に主な注意点を説明します。

1. 材質・サイズの適合性

スプリングベンダーは特定の材質に最適化されています。柔らかい銅管やアルミ管には適していますが、硬いステンレス管や鉄管には適さない場合がありますので注意が必要です。また、使用する管の外径に適合したスプリングを選び曲げ加工の品質を確保します。

2. 曲げ半径の制限を確認

管それぞれに「最小曲げ半径」があり、それを超えると管が潰れる、折れる、または亀裂が入る可能性があるため注意が必要です。無理に急な角度を作ろうとすると、管の内部構造を破壊するリスクがあります。

3. 内挿式の注意点

内挿式スプリングベンダーの場合には、スプリングを完全に管の中に挿入しないと、曲げ加工中にスプリングが管内で動かなくなり、取り出せなくなる可能性があります。また、取り出しやすいように、スプリングの一部を管の外に残す工夫が必要です。

4. 作業環境の安全

作業中に管が滑ることを防ぐため、管や手に油分や水分がついていないか確認することが大切です。また、安定した作業台の上で作業してください。ベンダーや管がずれたり転がったりするリスクを減らせます。

5. 事前にスプリングの状態を確認

使用する前に損傷がないか、ひび割れや曲がりがないかを確認します。長期間使用したスプリングは、経年劣化で硬度が低下することがあるため、定期的に交換を検討してください。

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