画像編集ソフト

画像編集ソフトとは

画像編集ソフト

画像編集ソフトとは、画像やイラスト、写真などの編集を行うために使用されるソフトウェアのことです。

画像にはビットマップ画像とベクター画像の2種類があり、それぞれに向き不向きがあります。ビットマップ画像は、ピクセル (ドット) の集まりで構成された画像であり、主に写真やイラストなどのリアルな表現に向いています。一方、ベクター画像は数学的な数式で表現された図形データであり、拡大縮小しても画質が劣化しないため、ロゴやイラストなどのシンプルなデザインに向いています。

画像編集ソフトの編集機能は種類が豊富です。例えば、ビットマップ画像の場合、トリミング、色調補正、エフェクトの追加、背景の消去などが可能です。一方、ベクター画像の場合は、図形の変形や複製、色や線の変更、テキストの追加などができます。

また、多くの画像編集ソフトでは、レイヤーという機能を使って、画像のパーツや領域ごとに編集を行うことができます。一般的に、プロフェッショナルな用途にはAdobe PhotoshopやIllustratorが、個人利用や軽微な編集にはGIMPやPaint.net、Canvaなどの無料のオンラインツールが使用されています。最近では、スマートフォン向けの画像編集アプリも多く、手軽に編集を行うことができます。

画像編集ソフトの使用用途

画像編集ソフトは、デジタル画像の加工や修正、デザインなど、様々な用途に使用されます。一般的な使用用途としては、以下のようなものがあります。

1. 写真の補正・加工

例えば、色調補正や明暗の調整、赤目補正、ノイズ除去など、さまざまな修正が可能です。また、写真にエフェクトを加えたり、切り抜いたりすることもできます。

2. Webサイトや広告制作

イラストやロゴの作成、バナー広告の制作、商品の写真加工など、さまざまなデザイン作業に使用されています。最近では、SNSやブログでの利用も増えています。

スマートフォンで撮影した写真を加工したり、インスタグラムのストーリーに加える画像を作成したりする際にも、画像編集ソフトは役立ちます。

3. 教育や研究分野

医学の研究でCTスキャンの画像を解析する際に、画像編集ソフトを使用することがあります。

 

総じて、画像編集ソフトは様々な分野で幅広く活用されており、その用途は多岐にわたります。

画像編集ソフトの原理

画像はRGBの色情報を持つ画素から構成されており、RGBとはRed (赤) 、Green (緑) 、Blue (青) の略称です。それぞれの色成分が多くの処理系では0~255の範囲で表現され、値の組み合わせによって色が決まります。

画像の編集は、これらの画素に対してさまざまなアルゴリズムで変化させることです。一例を挙げると、ヒストグラム変換は画像の輝度値を変換することで、コントラスト補正や明るさ補正、色補正などの処理を行う方法です。

なお、ヒストグラムとは、画像中の輝度値がどの程度分布しているかを表すグラフです。コントラストが低い画像は、ヒストグラムが一定の範囲に集中している傾向があります。

このような画像のコントラストを補正するには、ヒストグラムを広げることが必要です。画像のヒストグラムを均等に分布させることで、コントラストの補正が可能で、明るさ補正にも使用されます。

画像編集ソフトの選び方

1. 対象となる画像の形式

編集したい画像の形式がビットマップ画像かベクター画像かで、選択するソフトウェアが変わります。

2. 搭載されている機能

画像編集ソフトには、様々な機能がありますが、その中でも目的に合わせた機能があるかどうかが重要です。例えば、写真の補正を目的とする場合には、色調補正、トーン補正、シャープネス、レタッチなどの機能が必要になります。

ポートレート写真や不要なオブジェクトの削除、切り抜きなどに特化したソフトウェアもあります。特化したソフトウェアの場合は、操作も分かりやすいので、初心者でもすぐに使いこなすことができます。

3. オンライン・オフライン

ブラウザから利用できるオンラインサービスであれば、PCのスペックはそれほど要求されません。しかし、オフラインで利用するソフトウェアの場合は、比較的高いPCスペックが要求されます。

参考文献
https://www.sourcenext.com/product/image-software/
https://www.weblio.jp/content/%E7%94%BB%E5%83%8F%E7%B7%A8%E9%9B%86
https://www.creativebloq.com/graphic-design/free-graphic-design-software-8134039

角型LED

角型LEDとは角型LED

角型LEDは、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子のパッケージ形態の一種です。

LED素子のパッケージは大きくわけてスルーホール型と表面実装型があり、角型LEDはスルーホール型LEDの一形態です。

頂部が半球型の円筒形の形状をした砲弾型LEDが代表的なスルーホール型LEDで、スルーホール型LED全般を指して「砲弾型LED」と呼ぶこともあります。

この砲弾型の部分を角型、帽子型、円筒型、逆円錐型など他の形状にしたLEDがあり、角型LEDは砲弾型LEDのバリエーションのひとつといえます。

角型LEDの使用用途

角型LEDは、前方・側面にムラのない光を照射する特徴があり、インジケータ、自動車のルームランプ、各種機器の動作確認ランプ、イルミネーション、光アートなど、主に広い範囲を照らす用途に使われています。また、明るく安価であることから、一般工作用にもよく使われます。

角型LEDの広角でムラのない発光は液晶パネルのバックライトに非常に適しているため、以前はよく使われていました。しかし、現在この分野は表面実装型LEDが主流になっており、角型LEDは使われなくなりました。 

角型LEDの特徴

LED素子は、P型半導体とN型半導体を接合したものです。

P側にプラス、N側にマイナスの電位を印加すると、P型半導体の中では正孔がマイナス側に移動し、N型半導体の中では電子がプラス側に移動します。正孔と電子とは、p-n接合面で出会い、再結合してエネルギーレベルの低い状態に遷移します。

このとき、再結合前後のエネルギーレベルの差に対応する波長の光が放出されます。このエネルギーレベルの差(バンドギャップ)は半導体材料固有の値で、LEDの発光色は半導体材料で決まります。

角型LEDは、上記のLED素子をリードフレーム上に固定し、アノード(プラス)端子とLED素子をボンディングワイヤで接続した後、封止樹脂で角型に封止した構造をしています。カソード(マイナス)端子はリードフレームから直接出ています。

角型LEDはアノード端子とカソード端子の2端子素子です。アノード端子の方が少し長くなっていて、端子を識別することができます。アノード側を電源のプラスに、カソード側をマイナスに接続して使用します。逆接続した場合は点灯しません。 

参考文献
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/38-03-sougouhoukoku.pdf
https://www.nichia.co.jp/jp/product/led.html

巻上機

巻上機とは

巻上機

巻上機 (英: Hoist) とは、ある物体を巻き上げるために用いる治具や装置です。

ウィンチ (英: Winch) とも呼ばれます。人力で運搬できる重量物の重さは労働基準法で定められており、18歳以上の女性と16歳以上18歳未満の男性は断続的には30kgとされています。しかし産業用機器は100kgを超える装置も珍しくなく、重い装置を運搬する際に巻上機を使用可能です。

巻上機の使用時には大きな引張荷重が発生するため、取り扱いを誤ると人身事故等が発生する危険性があります。使用者には十分な準備と正しい知識が必要です。

巻上機の使用用途

巻上機の使用用途の具体例として、建設や工事現場の物品運搬等などが挙げられます。重量物をトラックに荷揚げする場合や工事現場に据え付ける際等に巻上機を使用します。

ウィンチ自体は巻上機能しかないため、上下2方向しか物品を運べません。使い方によっては横引き等でもウィンチが使用され、重量物の下にローラーを噛ませて巻上機を横方向に引くと物品を横引きできます。2台のウィンチを使用して合い吊りすると階段や狭い場所へ運搬可能です。

巻上機の種類

主に巻上機には電動と手動の2種類があります。

1. 手動巻上機

手動巻上機は主に人の手で巻上動作を行い、ワイヤー、減速機、ハンドルから構成されています。

ワイヤーは実際に巻き上げる際に荷重がかかる部分です。ドラムに巻き付けて物品を運搬し、硬度や靭性が高い必要があるため主に鋼鉄製のワイヤーが使用されます。減速機は複雑なギアを噛ませた構造で、ギアの減速比を高くするほど重い物品を運搬可能です。ハンドルは人力を減速機へ伝達する部分で、クラッチがついており、手を放してもワイヤーが慣性で動かない構造になっています。

2. 電動巻上機

電動巻上機はモーターの力で巻上機を動作させます。ハンドル部分にモーターを設置し、コントローラによって巻上操作が可能です。コントローラの運転指令をモーターへ伝えるための駆動装置が別途必要です。ほとんどの電動巻上機は駆動装置もセットで販売されています。

巻上機の原理

傾斜角をθ、滑り摩擦係数をμとします。重量M (kgf) の荷重を速度v (m/s) で斜面に沿って引き上げるために必要な力F (N) はF = 9.8M(sinθ+μcosθ) (N) と表されます。必要な動力PはP = Fv = 9.8Mv(sinθ+μcosθ) (W) です。

算出された力や動力は負荷自身の必要動力です。装置を運転する場合には装置の動力伝達機構の損失を考えて電動機出力を計算します。電動機出力をPM、装置効率をηLとすると所要電動機出力はPM = P/ηL (W) となります。

巻上機の構造

巻上機の構造には、普通型、ローヘッド型、ダブルレール型、電気チェーンブロックなどがあります。

1. 普通型

最も一般的な巻上機で、I形鋼を使った天井クレーンやテルハに用いられます。ローヘッド型よりもフック上限位置とレール下面の距離が長く、フック上限の高さが短いです。

2. ローヘッド型

普通型と同様にI形鋼を使用した天井クレーンやテルハなどに用いられます。普通型と比べてフック上限位置をより高くできます。

3. ダブルレール型

ダブルレール型のクレーンに使用するワイヤロープ巻上装置で、2.8t~30tクラスに使われます。一つのフレームで主巻と補巻のフック2つを有する巻上機もありますが、主巻と補巻の同時操作はできません。

4. 電気チェーンブロック

I形鋼を使用した天井クレーンやテルハに用いられ、ワイヤロープ巻上装置と比較して125kg~10tクラスの軽作業や軽負荷率の作業などに用いられます。大容量ではワイヤロープホイストよりも巻上速度が遅いです。上下は電動で、水平移動は手押しの場合に適しています。

結束機

結束機とは

結束機

結束機とは段ボール、本等の荷物を束ね、運搬を容易にすることを目的として使用される機械です。製品によってはより大型のパレットの固定等を目的としたものも存在します。

結束機には2種類に分類され、PPバンドを掛けて先端部分を溶着させる方式のもの(梱包機とも呼びます)、紐を掛けて先端を結び合わせるもの(紐かけ機)が存在し、用途に応じた使い分けがされます。

結束機を導入することにより、梱包作業の効率化や精度のばらつきによる事故防止、コスト削減等をはかることが可能です。

結束機の使用用途

結束機は工場や物流倉庫、金融機関や書店等あらゆる場所で梱包の作業性向上のために使用されています。

PPバンドを用いた結束機は段ボールの梱包、固定に適しており主に物流関連の現場で利用されることが多いのに対し、紐を利用した結束機は製品の梱包等、より一般的な用途にも利用されます。

一般的な製品では結束対象を機械まで運んで機械の上に載せ、操作を行いますが、ライン作業のベルトコンベア上で結束が可能な製品も存在します。

結束機の原理

最も一般的に使用されているフットペダル式の結束機では、結束対象を機械の台の上に設置し、ペダルを足で踏むことによってモーターを作動させ、アームを回転させることによってPPバンドもしくは紐を対象物に巻き付けます。この時、PPバンドを用いる製品ではバンドの端を圧着させることによって留め、紐を用いる製品では紐を結んで切断します。

結束機の動作には機械制御で主流のシーケンサは用いられておらず、カムによって駆動しているため、使用の際には他の機械と比較して細かな調整が必要になります。また、機械により駆動しているため機能維持の為に定期的な注油が必須です。

半自動結束機では結束対象を機械に設置するところまでは同一ですが、ペダルやスイッチ等は存在せず、結束テープを所定の場所に差し込むことによって結束を行います。

全自動結束機と比較して作業効率では劣りますが、結束の為のアームが不要になるため機械がより小型になります。

参考文献
https://www.tom-yamada.co.jp/semiauto/%e8%87%aa%e5%8b%95%e7%b4%90%e6%8e%9b%e6%a9%9f/
http://www.shirai-co.com/Q&Akonpouki.htm
https://cams.co.jp/column19

軸流ポンプ

軸流ポンプとは

軸流ポンプ

軸流ポンプ (英: axial flow pump) とは、羽根車から吐き出される流れが主軸と同心円筒面上にあるポンプです。

回転する軸に複数の羽根車を取り付け、羽根の揚力作用によって流体に圧力と速度エネルギーを与えます。そして、軸と平行に出た流体の速度エネルギーを、固定の案内羽根により圧力エネルギーに変換します。

軸流ポンプは、排水・灌漑用など大流量で圧力をそれほど必要としない場合に使用されています。

軸流ポンプの使用用途

軸流ポンプは空力損失が低く小型で取り扱いが比較的容易なため、産業用のさまざまな分野で用いられています。

具体的には、発電所の冷却水、蒸気タービンの復水器、上・下水道、化学産業分野での水等の循環や廃水などです。そのほか、河川の排水用、灌漑用、食品・飲料分野、石油・ガス、鉱業も用途として挙げられます。

軸流ポンプの原理

軸流ポンプは、ターボ型ポンプに分類されるポンプです。円筒状の回転軸に放射状に羽根を並べた構造をしており、高速で羽根車が回転することで遠心力を作ります。

羽根車は、飛行機の翼と似た形状です。軸流ポンプの場合は、羽根が羽根車に固定されており回転します。羽根に作用する揚力により、軸方向に流れる力が発生し、液体を吐き出します。

軸流ポンプの構造

軸流ポンプは一般的にケーシング、羽根車、固定羽根、主軸、軸受、軸封で構成されます。

1. ケーシング

ケーシングは、羽根車と軸で構成される回転体を収納するもので、効率よく液体を吐き出すために耐圧を有する構造です。

2. 羽根車

羽根車は、複数枚の翼をもち回転することで、流体を吐き出します。固定羽根により旋回する流れを軸方向に変え、速度エネルギーを圧力に変換します。

3. 主軸

主軸は、羽根車を取り付け回転する部分で、羽根車に必要な動力を伝達する部品です。

4. 軸受

軸受は、主軸と羽根車を支え、安定したポンプ動作を実現するために重要な部品であり、ポンプの運転による推力を受けます。

5. 軸封

軸封は、軸とケーシングの貫通部から水漏れを封止するものです。

軸流ポンプの特徴

ポンプは大きく分けると、ターボ型、容積型、その他に分類されます。ターボ型ポンプは、さらに遠心式、斜流式、軸流式などに分けられます。ターボ型ポンプの1つである軸流ポンプは、他の形式と比較すると以下のような特徴があります。

  • 高速運転ができるので、小型・軽量化が可能です。
  • 流量変化に対する揚程変化が大きく、運転可能範囲が狭いです。
  • 締切軸動力が定格時の2倍以上ある短所があります。締切時は振動が大きくなり、通常は使用しません。
  • ポンプ効率は斜流式に比べ、やや低いレベルです。
  • 軸流ンプは、主に大流量で小揚程の用途に適しています

軸流ポンプの選び方

ポンプの仕様を決める大きな要素は、流量と圧力です。圧力は位置エネルギーと同じ単位のmに換算でき、揚程あるいはヘッドと呼ばれます。流量と圧力から、ターボ型ポンプの内、どの種類を選定するかについての基準は、概ね以下の通りです。

  • 流量は少ないが、揚程を高くしたい場合は、遠心ポンプを選びます。
  • 流量が多く、揚程が小さい場合は、軸流ポンプを選びます。
  • 流量が比較的多く、揚程もある程度必要な場合は、斜流ポンプを選びます。

軸流ポンプのその他情報

ポンプのキャビテーション

ポンプは、キャビテーションと呼ばれる問題が発生することがあります。ポンプの羽根車の吸込み口では、流体の流速が速くなることで速度エネルギーが大きくなり、その分吸込み口の圧力、即ち静圧が低下します。

羽根車の吸込み口における圧力が、その時の温度における水の飽和蒸気圧力以下に低下すると、水が蒸気に気化して気泡が発生します。この現象がキャビテーションです。

このままポンプの運転を続けると、気泡が発生と消滅を繰り返すことで衝撃波が発生します。衝撃波が羽根車の翼表面を叩き、表面が徐々に浸食が進行します。これがキャビテーション壊食です。

さらに、キャビテーションが続くと、気泡が消滅せず、吸込み部が気泡で覆われ、ポンプの機能発揮が不可能になります。ポンプの定格運転流量では、キャビテーション発生に十分余裕があっても、小流量域では、キャビテーションが発生します。キャビテーションの対策は、最小運転流量を大きくするか、ポンプ回転速度を可変速にすることです。

参考文献
https://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a1a.html
https://engineer-education.com/pump-1/
https://engineer-education.com/pump-3_turbo-pump/
http://pump.seesaa.net/article/35819938.html

斜流ポンプ

斜流ポンプとは

斜流ポンプ

斜流ポンプ (英: mixed flow pump) とは、刃根車から流出する流体の角度が、主軸の中心線を軸とする円すい面内にあるポンプです。

軸に取り付けられた羽根車が回転し、その遠心力により、軸方から流入した流体が、軸に対し斜め方向に流出します。渦巻状のケーシングや案内羽根により圧力が回収され、揚程が高くできます。

斜流ポンプは、比較的高揚程で大流量です。下水道の汚水ポンプや河川・雨水の排水ポンプなどに多く使用されます。

斜流ポンプの使用用途

斜流ポンプの使用用途は、都市用の上下水道、雨水の排水、農業用や工業用水用、及び火力発電所の冷却水用などです。また、海水の取水、一般給水・排水用、石炭発電所のスラリー液排水などに用いられます。

斜流ポンプの特性は、渦巻きポンプより高速運転が可能で小型軽量となり、軸流ポンプと比べて高揚程で用いても、キャビテーションの発生が少ないことです。斜流ポンプは、大きく分けると、渦巻き斜流ポンプとディフューザー型斜流ポンプの2種類があります。

1. 渦巻き斜流ポンプ

渦巻き斜流ポンプは、渦巻き状のケーシングを有し、流体の速度エネルギを圧力に回収させます。比較的高揚程であり、下水道用の汚水ポンプや冷却水循環などに多く使われます。

2. ディフューザー型斜流ポンプ

ディフューザー型斜流ポンプは、ケーシング内面に案内羽根を固定し、流体を案内羽根に沿って流すことにより、圧力を回収させるポンプです。大容量ポンプとして、河川排水用、雨水排水用、高潮対策・浸水対策用、及び農業用水・工業用水取水用、工場排水用などに多用されます。

斜流ポンプの原理

ターボ型ポンプに分類される斜流ポンプの主要部品は、一般的にケーシング、羽根車、主軸、軸受、軸封などです。

1. ケーシング

ケーシングは、羽根車と軸で構成される回転体を収納するもので、効率よく液体を吐き出すために耐圧性がある構造です。

2. 羽根車

羽根車は、複数枚の翼が回転することで、流体を吐き出すためのものです。羽根の流体出口の角度が軸方向に対し斜めの方向です。

そして、ケーシングや案内羽根により、圧力が回復し、流れの方向を軸と直角方向に変えたり、軸方向に変えたりします。

3. 主軸

主軸は、羽根車を取り付け回転する部分で、羽根車に必要な動力を伝達する部品です。

4. 軸受

軸受は、主軸と羽根車を支え、安定したポンプ動作を実現するために欠かせません。ポンプの運転による推力を受ける部分です。

5. 軸封

軸封は、軸とケーシングの貫通部から水漏れを封止するシール装置です。

斜流ポンプの特徴

ポンプには、大きく分けるとターボ型、容積型、その他の3種類があり、ターボ型が、遠心式、斜流式、軸流式に分類されます。

斜流ポンプは、ターボ型ポンプの1つであり、遠心式と軸流式の両方の特性を有しています。

1. 効率性

斜流ポンプの効率は、遠心式の代表である渦巻式ポンプに比べやや低いですが、軸流式より高いです。

2. 運転可能範囲

斜流ポンプの運転可能範囲は、渦巻式より狭いが、軸流式より広い特徴があります。柔軟な対応が可能です。

3. 揚程特性

遠心式が流量変化に対し揚程変化が最も小さく、軸流式が最も大きい特性があります。斜流ポンプの揚程特性は、両者の中間です。たとえ揚程が120%になっても、流量は80%ぐらい確保できます。

4. 軸動力

軸流式の締切軸動力が定格の2倍以上であるのに対し、斜流ポンプの軸動力は全水量でほぼ一定です。締切運転ができます。

5. 騒音

運転可能範囲全般で、低騒音です。

6. キャビテーション

同じ揚程の軸流式に比べ、キャビテーション性能が優れています。斜流ポンプの必要な吸い込み圧力は、軸流式に比べて約1/2です。

参考文献
https://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a1a.html
https://engineer-education.com/pump-1/
https://engineer-education.com/pump-3_turbo-pump/

充填機

充填機とは

充填機

充填機とは、ビンや缶、チューブ等に一定の割合で液体や粉体のような内容物を充填する機械です。

充填機を導入するとラインの生産能力の向上や充填工程の精度向上、人件費削減を図れます。

充填機にはボタン等の操作により一定量の充填を行う半自動充填機、充填容器のキャップ締めやラベル貼り、ロット印字等までを一貫して行う全自動充填機の2種類があり、用途に応じて使い分けられます。

充填機の使用用途

充填機は食品や化粧品、日用品等の生産工程で作業の自動化や品質の向上を目的として幅広く利用可能です。

手作業を充填機を用いた作業に置き換えて生産速度を向上させ、作業精度のばらつきを抑え、コンピュータを用いて管理を行い作業に再現性を持たせます。

最も一般的な充填機は連続供給される容器に規定量を充填するタイプの製品ですが、化粧品のカラーパレットのように複数の内容物を充填する必要がある場合には専用の充填機が開発されています。

充填機の原理

充填する内容物が液体や粉体の場合には充填量を一定に保つため重量充填が最もよく用いられています。重量は装置内のロードセルによって検出され、一定重量が充填されると内容物の供給が停止し、キャップ締め等の次工程へ搬出可能です。ロードセルはボトル重量の計測も合わせて行うため、ボトルの重さが正常範囲を外れていた際に検出する役割も担っています。

内容物によっては充填ノズルへの付着や内部での飛散が問題となるため、内容物に応じた材質や機能が装置に取り入れられる場合もあります。

1. 液体充填機

内容物が液体の場合にはレベルセンサによる計測も用いられます。充填量の正確性ではロードセル方式に劣りますが、視覚的に充填の高さを揃えられます。

2. 粉体充填機

充填する内容物が粉体の場合には充填容器に内容物を供給して装置を止めた後、粉がこぼれ落ち充填量に影響を与える可能性があります。フィーダ内部にオーガと呼ばれるスクリュー状の構造を設け、スクリューの回転に応じて重量を計測する方法が取られる場合もあります。

充填機の種類

充填機は容器に液体や粉体を充填する工程で用いる産業用の機械です。液体充填機と粉体充填機の2種類に分類可能です。

1. 液体充填機

少量から大容量の充填まで、製品で仕様が違います。充填速度や排出能力は適切な充填バルブを選び、充填と容器に合うライン構成の構築が必要です。

低粘度から高粘度の液体まで、食品、化学薬品、塗料、洗剤、シャンプー、硬化剤、潤滑油、溶剤などの特性に応じた液体充填機があります。容器の大きさも1L以下の小型容器から、角型缶、丸型容器、ドラム缶、大容量容器までのあらゆる形状に対応可能です。

2. 粉体充填機

スクリューを使って粉末や顆粒のような固形物を送り出して計量しつつ充填可能です。スパイラルスクリューを用いるためスクリュー式充填機とも呼ばれています。

オーガー充填機は充填物の製造の際に最終プロセスに組み込まれています。固形物は粒状、粉末状、顆粒状のため流動性が低いです。そのためスクリュー部の回転により充填物を排出して流動性を向上でき、指定量を高速で測定して一定量を充填できます。

食品、農薬、飼料、石油化学製品、セラミック、医薬品などの業界を代表として導入されています。具体的には大豆粉、片栗粉、塩、こしょう、コンソメなどの顆粒調味料などの固形物に使用可能です。

充填機の選び方

充填機は数多くの種類があるため、メリットやデメリットを考えて選ぶ必要があります。

1. スクリュー式充填機

粉体を送り出して計量する粉体充填機です。

2. 振動フィーダー式充填機

固形物を振動させて充填物を移送する方式です。

3. チューブポンプ式充填機

充填物をチューブから吸い上げてポンプで移送し、計量機で量りつつ充填する液体用充填機です。

4. ロータリー式充填機

ポンプ室内にローターを2つ配置して容積変化で送り出し、粘体物を充填可能な機械です。

5. ピストン式充填機

大きな注射器のように充填物を吸い込んで吐き出す充填機です。

参考文献
https://jutenki-sanmi.com/feature/about/
https://www.sanshinseiki.co.jp/machine/
https://www.esukei.biz/filling-machine/
https://www.hbm.com/jp/6992/using-weighing-technology-for-automated-filling-processes/
https://www.yamato-scale.co.jp/content/wp-content/uploads/2020/01/10001-10002.pdf

水処理装置

水処理装置とは

水処理装置

水処理装置とは、水を処理し安全かつ利用可能な水に変える装置全般を指す言葉です。

水処理には、給水処理と排水処理があります。

給水処理は、上水を生成するためのプロセスで水源から取り入れた水を浄化して飲料水や産業用水として提供することを目的としています。この過程では、まず物理的な処理が行われ、ろ過や沈殿によって水中の不純物不純物や浮遊物を除去します。次に、化学的処理が行われ、微細な不純物や微生物を除去します。

一方、排水処理は家庭や工場などから排出される下水を処理し、環境への影響を最小限に抑えることを目的としています。排水処理装置によって、汚水から有害物質や微生物を取り除き、環境への負荷を軽減し、水質を改善します。

水処理装置の使用用途

水処理装置は生活に根差した処理装置ですが、市販で見られることはほぼありません。インフラなどに使用されています。以下は主な用途の一例です。

1. 浄水場

各市町村が保有している浄水場は、巨大な水処理装置と言えます。主に上水を沈底ろ過させて、塩素を添加して飲料に適した性質にした後に一般家庭や商業施設へ送水しています。

2. 排水処理場

下水処理施設も生活を支えるインフラの一つです。下水道から流入した汚水を無害化して海洋に放流する役割を果たします。

3. 産業

産業の用途としては、工業用水の処理などに広く使用されます。工場などでは機械の冷却などを目的に多くの水を使用します。これらの水を工業用水と呼びます。

工業用水は溜池や河川から導入することが多く、その水質によって配管の閉塞等が懸念されます。配管の詰まりによって冷却水が減少した場合、冷却不足による生産性の低下やメンテナンス費用の増加が懸念されます。水処理装置を使用して、工業用水を清浄化することで、これらの問題を防止することが可能です。

水処理の原理

水処理の原理は、物理的、化学的、生物学的なプロセスを組み合わせて、水を浄化し、安全な水にすることです。

物理的処理:水中の大きな不純物を取り除くために、ろ過や沈殿などの物理的な手法が使われます。ろ過では、水をろ過媒体(砂、砂利、活性炭など)を通して通すことで、固体や微生物を捕捉します。沈殿では、重い粒子が水中から底に沈殿し、不純物を分離します。

化学的処理:化学薬品を使用して、水中の不純物や微生物を凝集・沈殿させたり、化学的に分解・中和したりします。凝集剤や消毒剤を添加して、微小な不純物や病原体を除去し、水を浄化します。

生物学的処理:微生物や生物を活用して、有機物や窒素、リンなどの汚染物質を分解・除去します。生物反応槽や湿地処理などの方法が用いられ、微生物が有機物を酸化分解することで、水を浄化します。

水処理装置の種類

水処理装置は、主に給水処理と排水処理の2つに分類されます。また、給水処理は、海水淡水化処理と浄水処理に分けられます。排水処理は下水処理と工業排水の処理に分けられます。

1.海水淡水化処理

現在では逆浸透膜(RO膜)と呼ばれる部品を使用することが一般的です。逆浸透膜とは、塩素等の電解質イオンを通さない膜です。逆浸透膜を介して海水に圧力を加えてろ過すると、純水のみがろ液側に排出される仕組みとなります。雨が降らない地域では、海水を淡水化して上水として使用することもあります。

2.浄水処理

全国各地に設置されています。ダム等で土砂を沈底させた後、薬液を添加してPH調整を行って沈底ろ過を繰り返します。最終的に塩素を加えて殺菌し、各地へ送水する仕組みとなっています。

3.下水処理

合併浄化槽を使用することが一般的です。嫌気性微生物によって、汚水を比較的無害な排水へと処理した後に海洋へ放流します。

4.工業排水の処理

浄水処理と似た構造ですが、最終的に海へ放流する点が最大の違いです。排水の性質から、添加剤を加えてPH処理を行い、処理汚泥を分離ろ過した後に処分場等へ運搬します。ろ液は、県庁等との取り決めを満たした処理水とした後に海洋へ放流されます。

水素発生装置

水素発生装置とは

水素発生装置とは、水や天然ガスを反応させることによって水素を生産する装置です。

水素は以前は大規模な工場で生産され、必要な場所にボンベ等を用いて運搬されていましたが、可燃性ガスであるため取り扱いに注意が必要でした。

水素発生装置は必要な場所で水素を生産することが可能なため、運搬、保管に伴うリスクを軽減します。また、原料は水や電気、天然ガス等いずれも容易に入手可能なものであり、機械のメンテナンスも容易です。

水素発生装置の使用用途

小型の水素発生装置は主にガスクロマトグラフィーで用いられる FIDに水素燃料を供給する目的で使用されています。

製品によっては生成する水素の純度を上げるため、発生したガスをパラジウム等で処理することがあります。

一方、大型の水素発生装置は金属の生産や原油の脱硫、燃料電池向けなど、水素が大量に必要とされる場合に利用されますが、使用する電気のコストや副生成物である二酸化炭素の取り扱いに課題を抱えています。

水素発生装置の原理

最も一般的な水素発生装置は水が電気によって分解される原理を利用しています。

電気分解の方法としてはKOH水溶液を用いるアルカリ水電解法とイオン交換膜を用いた固体高分子形水電解法が存在し、いずれも水に電子を供給することによって陽極に酸素、陰極に水素を発生させます。前者は生成効率に優れていますが、特に小型の装置では取り扱いに注意が必要なアルカリ溶液を使用しない後者の方法が好んで利用されます。

一方、大型の水素発生装置では天然ガスやナフサに水を反応させ、水素を取り出す水蒸気改質法が取られており、例としてメタンを用いた場合、800℃以上の高温の水蒸気を作用させることにより、二酸化炭素と水素を生成させます。

水蒸気改質によって発生させた水素は電気分解の場合と比較して不純物が多いため、圧力変動吸着法を用いて分離することによって精製します。また、原料に都市ガスを用いる場合、臭い付けの為に含まれている硫黄分を取り除くための装置が必要になります。

参考文献
https://www.peakscientific.jp/discover/articles/how-does-a-hydrogen-generator-work/
https://www.nedo.go.jp/content/100639759.pdf
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/suiso_nenryo/pdf/018_01_00.pdf

水道メーター

水道メーターとは

水道メーター

水道メーターとは、水道で使用した水量を記録していくメーターのことです。主に上水の使用水量を測定するのに使用されます。

水道メーターは主に水道使用料金の決定に使用されることが多いため、計量法による取り決めが適用されます。水道メーターを製作できるメーカーは、特定計量器製作場所として指定されたメーカーのみです。また、有効期限も定められており、期限を超過したメーターを料金決定に使用することが出来ません。

具体的な特定計量器製作場所は、経済産業省のホームページで確認することが出来ます。

水道メーターの使用用途

水道メーターの使用用途は、上水水道で使用される場合がほとんどです。

一般家庭の水道メーターは玄関口や地下等に設置されています。都道府県や市区町村に雇われた検針員が月一回以上の検診を行い、水道料金を決定されています。法人に対しての請求も同様に検針員が検診をすることで請求します。大口法人の場合は送水側と入水側両方で水道メーターを設置し、相互チェックがなされます。

料金が発生しない場合は、検定品以外の水道メーターを使用することもできます。特定計量器の指定を受けない水道メーターは、工場のライン管理等に使用されることがあります。

水道メーターの原理

水道メーターは、流量計の一種と言えます。

水道メーターとして最も多く使用されるのは、羽根車式の流量計です。水流によって羽根車が回転し、羽根車の回転数で数えることで流量を積算していきます。実際に羽根車を駆動させるため測定誤差が少なく、電気などの外部動力も必要としません。羽根車式は、羽根車を内蔵しなければならないため、測定流体に固形物等を含むスラリーである場合は故障の原因になります。上水は不純物がほとんど入らないため、羽根車式に適していると言えます。

また、水道水は導電性の為、電磁流量計を使用することもできます。設置場所や口径によっては、電磁流量計が使用されることもあります。電磁流量計は、流体の流れ方向に対して垂直に電磁力を加えることで、発生する起電力を測定する流量計です。外部電源が必要とされますが、水道メーターの特性上有効期限が定められているため、有効期限を満足するだけの電池を付属する場合が多いです。

参考文献
経済産業省 計量制度の概要 https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/10_gaiyou.html