巻上機

巻上機とは

巻上機

巻上機 (英: Hoist) とは、ある物体を巻き上げるために用いる治具や装置です。

ウィンチ (英: Winch) とも呼ばれます。人力で運搬できる重量物の重さは労働基準法で定められており、18歳以上の女性と16歳以上18歳未満の男性は断続的には30kgとされています。しかし産業用機器は100kgを超える装置も珍しくなく、重い装置を運搬する際に巻上機を使用可能です。

巻上機の使用時には大きな引張荷重が発生するため、取り扱いを誤ると人身事故等が発生する危険性があります。使用者には十分な準備と正しい知識が必要です。

巻上機の使用用途

巻上機の使用用途の具体例として、建設や工事現場の物品運搬等などが挙げられます。重量物をトラックに荷揚げする場合や工事現場に据え付ける際等に巻上機を使用します。

ウィンチ自体は巻上機能しかないため、上下2方向しか物品を運べません。使い方によっては横引き等でもウィンチが使用され、重量物の下にローラーを噛ませて巻上機を横方向に引くと物品を横引きできます。2台のウィンチを使用して合い吊りすると階段や狭い場所へ運搬可能です。

巻上機の種類

主に巻上機には電動と手動の2種類があります。

1. 手動巻上機

手動巻上機は主に人の手で巻上動作を行い、ワイヤー、減速機、ハンドルから構成されています。

ワイヤーは実際に巻き上げる際に荷重がかかる部分です。ドラムに巻き付けて物品を運搬し、硬度や靭性が高い必要があるため主に鋼鉄製のワイヤーが使用されます。減速機は複雑なギアを噛ませた構造で、ギアの減速比を高くするほど重い物品を運搬可能です。ハンドルは人力を減速機へ伝達する部分で、クラッチがついており、手を放してもワイヤーが慣性で動かない構造になっています。

2. 電動巻上機

電動巻上機はモーターの力で巻上機を動作させます。ハンドル部分にモーターを設置し、コントローラによって巻上操作が可能です。コントローラの運転指令をモーターへ伝えるための駆動装置が別途必要です。ほとんどの電動巻上機は駆動装置もセットで販売されています。

巻上機の原理

傾斜角をθ、滑り摩擦係数をμとします。重量M (kgf) の荷重を速度v (m/s) で斜面に沿って引き上げるために必要な力F (N) はF = 9.8M(sinθ+μcosθ) (N) と表されます。必要な動力PはP = Fv = 9.8Mv(sinθ+μcosθ) (W) です。

算出された力や動力は負荷自身の必要動力です。装置を運転する場合には装置の動力伝達機構の損失を考えて電動機出力を計算します。電動機出力をPM、装置効率をηLとすると所要電動機出力はPM = P/ηL (W) となります。

巻上機の構造

巻上機の構造には、普通型、ローヘッド型、ダブルレール型、電気チェーンブロックなどがあります。

1. 普通型

最も一般的な巻上機で、I形鋼を使った天井クレーンやテルハに用いられます。ローヘッド型よりもフック上限位置とレール下面の距離が長く、フック上限の高さが短いです。

2. ローヘッド型

普通型と同様にI形鋼を使用した天井クレーンやテルハなどに用いられます。普通型と比べてフック上限位置をより高くできます。

3. ダブルレール型

ダブルレール型のクレーンに使用するワイヤロープ巻上装置で、2.8t~30tクラスに使われます。一つのフレームで主巻と補巻のフック2つを有する巻上機もありますが、主巻と補巻の同時操作はできません。

4. 電気チェーンブロック

I形鋼を使用した天井クレーンやテルハに用いられ、ワイヤロープ巻上装置と比較して125kg~10tクラスの軽作業や軽負荷率の作業などに用いられます。大容量ではワイヤロープホイストよりも巻上速度が遅いです。上下は電動で、水平移動は手押しの場合に適しています。

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