軸流ポンプ

軸流ポンプとは

軸流ポンプ

軸流ポンプ (英: axial flow pump) とは、羽根車から吐き出される流れが主軸と同心円筒面上にあるポンプです。

回転する軸に複数の羽根車を取り付け、羽根の揚力作用によって流体に圧力と速度エネルギーを与えます。そして、軸と平行に出た流体の速度エネルギーを、固定の案内羽根により圧力エネルギーに変換します。

軸流ポンプは、排水・灌漑用など大流量で圧力をそれほど必要としない場合に使用されています。

軸流ポンプの使用用途

軸流ポンプは空力損失が低く小型で取り扱いが比較的容易なため、産業用のさまざまな分野で用いられています。

具体的には、発電所の冷却水、蒸気タービンの復水器、上・下水道、化学産業分野での水等の循環や廃水などです。そのほか、河川の排水用、灌漑用、食品・飲料分野、石油・ガス、鉱業も用途として挙げられます。

軸流ポンプの原理

軸流ポンプは、ターボ型ポンプに分類されるポンプです。円筒状の回転軸に放射状に羽根を並べた構造をしており、高速で羽根車が回転することで遠心力を作ります。

羽根車は、飛行機の翼と似た形状です。軸流ポンプの場合は、羽根が羽根車に固定されており回転します。羽根に作用する揚力により、軸方向に流れる力が発生し、液体を吐き出します。

軸流ポンプの構造

軸流ポンプは一般的にケーシング、羽根車、固定羽根、主軸、軸受、軸封で構成されます。

1. ケーシング

ケーシングは、羽根車と軸で構成される回転体を収納するもので、効率よく液体を吐き出すために耐圧を有する構造です。

2. 羽根車

羽根車は、複数枚の翼をもち回転することで、流体を吐き出します。固定羽根により旋回する流れを軸方向に変え、速度エネルギーを圧力に変換します。

3. 主軸

主軸は、羽根車を取り付け回転する部分で、羽根車に必要な動力を伝達する部品です。

4. 軸受

軸受は、主軸と羽根車を支え、安定したポンプ動作を実現するために重要な部品であり、ポンプの運転による推力を受けます。

5. 軸封

軸封は、軸とケーシングの貫通部から水漏れを封止するものです。

軸流ポンプの特徴

ポンプは大きく分けると、ターボ型、容積型、その他に分類されます。ターボ型ポンプは、さらに遠心式、斜流式、軸流式などに分けられます。ターボ型ポンプの1つである軸流ポンプは、他の形式と比較すると以下のような特徴があります。

  • 高速運転ができるので、小型・軽量化が可能です。
  • 流量変化に対する揚程変化が大きく、運転可能範囲が狭いです。
  • 締切軸動力が定格時の2倍以上ある短所があります。締切時は振動が大きくなり、通常は使用しません。
  • ポンプ効率は斜流式に比べ、やや低いレベルです。
  • 軸流ンプは、主に大流量で小揚程の用途に適しています

軸流ポンプの選び方

ポンプの仕様を決める大きな要素は、流量と圧力です。圧力は位置エネルギーと同じ単位のmに換算でき、揚程あるいはヘッドと呼ばれます。流量と圧力から、ターボ型ポンプの内、どの種類を選定するかについての基準は、概ね以下の通りです。

  • 流量は少ないが、揚程を高くしたい場合は、遠心ポンプを選びます。
  • 流量が多く、揚程が小さい場合は、軸流ポンプを選びます。
  • 流量が比較的多く、揚程もある程度必要な場合は、斜流ポンプを選びます。

軸流ポンプのその他情報

ポンプのキャビテーション

ポンプは、キャビテーションと呼ばれる問題が発生することがあります。ポンプの羽根車の吸込み口では、流体の流速が速くなることで速度エネルギーが大きくなり、その分吸込み口の圧力、即ち静圧が低下します。

羽根車の吸込み口における圧力が、その時の温度における水の飽和蒸気圧力以下に低下すると、水が蒸気に気化して気泡が発生します。この現象がキャビテーションです。

このままポンプの運転を続けると、気泡が発生と消滅を繰り返すことで衝撃波が発生します。衝撃波が羽根車の翼表面を叩き、表面が徐々に浸食が進行します。これがキャビテーション壊食です。

さらに、キャビテーションが続くと、気泡が消滅せず、吸込み部が気泡で覆われ、ポンプの機能発揮が不可能になります。ポンプの定格運転流量では、キャビテーション発生に十分余裕があっても、小流量域では、キャビテーションが発生します。キャビテーションの対策は、最小運転流量を大きくするか、ポンプ回転速度を可変速にすることです。

参考文献
https://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a1a.html
https://engineer-education.com/pump-1/
https://engineer-education.com/pump-3_turbo-pump/
http://pump.seesaa.net/article/35819938.html

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