ボールロックピン

ボールロックピンとは

ボールロックピンとは、一端には球状の突起 (ボール) があるハンドル付きのピンです。

機械や装置の固定や取り外しを容易にするクイックリリース機構の一種で、部品同士を仮止めする際に使用します。ボールロックピンを使用することで、機器や装置の取り外しと取り付けが非常に迅速に行えます。繰り返し部品同士の接合を行うときに、他の工具を使わずに仮止めができるため便利です。

これにより、メンテナンスや修理作業の効率が向上します。また、ボールロックピンが適切に固定されると、しっかりとした保持力があり、機器や装置が安全に固定されます。高品質なボールロックピンは耐久性もあり、長期間の使用に耐えることが可能です。

ただし、ピンのサイズは使用する機器や装置に適合しなければなりません。適切でない場合、ピンが正しく固定されなかったり、外れやすかったりする可能性があるため注意が必要です。

ボールロックピンの使用用途

ボールロックピンはさまざまな産業・用途に使用されます。以下はボールロックピンの使用用途です。

1. 機械メンテナンス

工場や製造施設内での機械や設備のメンテナンス作業では、機械の一部を取り外すことが必要な場合があります。ボールロックピンを使用すると、螺子やボルトを緩める必要がなく、部品を迅速に取り外すことが可能です。これにより、メンテナンス作業の時間と労力が削減されます。

2. 検査装置

製品や部品のテストや検査を行うための装置や治具では、検査対象を確実に固定する必要があります。ただし、テスト部品を高頻度で取替する場合も多いです。ボールロックピンを使用して対象物がずれるのを防ぎ、正確な結果を得ることができます。

3. 加工

 金属加工や木工などの作業において、加工対象物をしっかりと保持する必要があります。ホルダーにボールロックピンを使用することで、加工部品を確実に固定することが可能です。これにより、加工中の動きやずれを最小限に抑え、高精度な加工を実現します。

ボールロックピンの構造

ボールロックピンの素材には、ステンレス製や鋼鉄製などがあります。ボール、ピン本体、ボタンまたはハンドルの3つの主要な部分から構成されています。

1. ボール

ボールは、球状または球状に近い形状をしてた部品です。ピンの取り付け先に挿入されることでピンが固定されます。ボールの直径や形状は、ピンの使用用途や負荷に合わせて設計されます。

2. ピン本体

ピン本体は円筒状または棒状の構造部分です。ボールを保持し、取り外しと取り付けを制御します。ピン本体はボールが穴にしっかりとはまるように設計されており、ピンを固定する際にボールを操作するための部分でもあります。

3. ボタンまたはハンドル

ボタンまたはハンドルは、ピンを操作するための部分です。一端に取り付けられており、ボールを制御して固定または解除する役割を果たします。ボタンはボールを解除する際に押し込むことで操作し、ハンドルはピンを装着する際に回すことでボールを穴に固定することが多いです。

ボールロックピンの選び方

ボールロックピンを選ぶ際には、いくつかの要因を考慮する必要があります。

1. 材質

ボールロックピンの材質は、使用環境や負荷に合わせて選択する必要があります。一般的な材質は、ステンレス鋼や合金鋼などです。耐食性が必要な場合や、高い強度が求められる場合にはステンレス鋼が適していることが多いです。

2. ハンドルの種類

ボールロックピンのハンドルは、ピンの操作を行う際に使用される部分です。ハンドルの種類にはノブ型、レバー型、ボタン型などがあります。選ぶ際には作業者が使いやすい形状や操作方法を選ぶことが重要です。

3. 軸径と軸長

ボールロックピンの軸径と軸長は、使用する装置や用途に合わせて選択する必要があります。軸径はピンの強度や耐荷重に影響を与える要因で、軸長はピンが装置内で適切に固定されるかどうかに影響する要因です。適切なサイズを選ぶことで、安全性や性能を確保することができます。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221000370016/
https://www.nbk1560.com/resources/machine_element/article/lockpin-about/?SelectedLanguage=ja-JP

真円球

真円球とは

真円球

真円球とは、高い精度で製造された完全に丸い球体で、工業製品で回転運動を支えるための重要な機械要素となる部品です。

真円球はベアリングという部品の転がり軸受けとして使用されており、回転の精度は組み込まれている真円球の精度に大きく左右されます。工業の発展にともない、真円球の精度も飛躍的に向上しています。

軸受けの部品に使用されいるため、精度が低いと回転の妨げになり、正しく工業製品が機能しなかったり効率が悪くなってしまします。高精度の真円球は、回転部分の摩擦を最小限に抑えエネルギー効率の向上や機械の長寿命化に貢献します。現代の産業機械や精密機器にとってなくてはならない存在です。

真円球の使用用途

真円球は主に回転運動を必要とする様々な製品の軸受け (ベアリング) として用いられます。身近なものだとCDやDVDプレーヤーのディスク回転部、パソコンのハードディスクドライブ (HDD) 内のデータ読み書きを行う部分など、精密さが求められる箇所に用いられています。特にHDDでは、近年の大容量化に伴い、軸受けに使われる真円球により一層の精度向上が求められています。

そのほかにもボールペンなど小さい日用品や自動車の部品など、様々な場所で使用されています。自動車には、エンジンやトランスミッション、ホイールのハブなど数多くの部品に真円球が組み込まれています。これにより走行性能、燃費、安全性といった重要な要素が支えられています。

真円球の原理

真円球は完全な球形によって接触する面との摩擦を極限まで減らし、滑らかな回転運動を実現しています。この球に少しでも凹凸があると転がる際に抵抗が大きくなってしまい、製品が正しく機能しなかったり動作の効率が悪くなってしまいます。凹凸が原因で軸受けに目的外の力が加わってしまうと、故障や破損の原因になることがあります。

真円球の精度は、その直径の均一性と表面の滑らかさによって決まります。これらはJIS B 1501 (転がり軸受用鋼球) などで規定されている等級によって表されます。等級が小さいほど精度が高いことを意味します。用途に応じて最適な等級の真円球が選択されます。

真円球の種類

真円球は素材や用途によって分類されます。大きな力がかかる工業製品などでは、耐久性を高めるために素材がステンレスなどの金属が用いられています。また樹脂製のものやアルミニウム製のものもあり、使用状況によって使い分けられています。

1. 材質による分類

真円球の最も一般的な材質はスチール製です。スチール製の真円球は強度と耐久性に優れており、幅広い用途に使用されています。またステンレス製の真円球は耐食性に優れているため、水や薬品に触れる環境で使用されます。

軽量化が重視される場合には、アルミニウム製の真円球が用いられます。例えば航空機やドローンなどの軽量化が求められる機器の軸受けには、アルミニウム製の真円球が採用されることがあります。

樹脂製の真円球は、金属製と比較して軽量で静音性にも優れることから、OA機器などにも採用されています。

2. 用途による分類

高速回転が求められる用途には、高精度の真円球が使用されます。例えばターボチャージャーや航空機のエンジンなどには、非常に高い精度と耐久性を持つ真円球が使用されています。また静音性が求められる用途には、樹脂製やゴム製の真円球が使用されることがあります。

参考文献
https://www.jbia.or.jp/about/illust/pdf/ballseido.pdf
https://www.kimihiko-yano.jp/Product/bb/g3-ball.htm

環境測定器

環境測定器とは

環境測定器

環境測定器とは、湿度や温度、風速、騒音、日射、ガス濃度などの環境要素を測定するための機器です。

特に工場や事業所における環境保全や作業環境の管理で使用されます。例えば日本では水質汚染防止法や大気汚染防止法などの法律が規定されており、事業者はそうした法を遵守することが必要です。

環境測定器は単一の測定機能に特化した製品が多く、近年では温度と湿度、風速や騒音などを1台で測定できるマルチ環境測定器もあります。また環境測定器は一般的に軽量で持ち運びやすく、屋外での使用も考慮した設計がされています。さらに防水性を備えており、どのような天候下でも安定した測定が可能です。高性能な機種では、24時間の連続測定が可能なものや、設定した閾値に達するとアラームを鳴らす機能を持つものもあります。

環境測定器の使用用途

環境測定器の使用用途として、水質汚染測定と分析、大気汚染のモニタリング、騒音・振動測定、ガス検知と呼気アルコール検査、熱中症対策と気象モニタリングの5つを解説します。

1. 水質汚染測定と分析

河川や湖沼の水質を監視するために、水質計測器が使用されています。水質計測器は、pH値、溶存酸素量 (DO) 、化学的酸素要求量 (COD) などの指標を測定します。

2. 大気汚染のモニタリング

大気中の二酸化炭素、一酸化炭素、窒素酸化物などの濃度を測定するための環境測定器があります。大気汚染防止法の遵守や都市部の空気質の評価するのに使用されます。

3. 騒音・振動測定

都市開発や工場の稼働に伴う騒音や振動を測定するための環境測定器があります。騒音計や振動計は、規制基準に適合しているかを確認するために使用されます。

4. ガス検知と呼気アルコール検査

ガス検知器は工場や研究施設での漏洩ガスを検出するためのものです。またアルコールチェッカーは、運送業や建設業での飲酒運転防止において法律で義務付けられています。

5. 熱中症対策と気象モニタリング

猛暑日が増加する中、熱中症予防として温湿度計やアラーム機能付きの熱中症指標計が使用されます。

環境測定器の原理

環境測定器の原理として、湿度と温度の測定原理、風速と気圧の測定原理、騒音の測定原理、ガス濃度測定の原理、熱中症指標計の仕組みの5つの順に解説します。

1. 湿度と温度の測定原理

湿度計や温度計は、センサーが空気中の水分量や温度を検出する仕組みです。湿度計では通常、電気抵抗または静電容量を利用し、水蒸気量の変化を数値として表示します。一方、温度計ではサーミスターや熱電対を用いて温度の変化を計測します。

2. 風速と気圧の測定原理

風速計は空気の流れを羽根車や熱線で検知し、風速を計算します。気圧計はセンサー内の膜が気圧の変化に応じて膨張・収縮することで圧力を測定します。

3. 騒音の測定原理

騒音計は、音波を電気信号に変換するマイクロフォンを備えています。信号を周波数分析し、騒音レベルをデシベル (dB) 単位で表示します。

4. ガス濃度測定の原理

ガス検知器では、センサーが特定のガスとの化学反応を起こし、生成される電流または光の変化を検出します。

5. 熱中症指標計の仕組み

熱中症指標計は、気温、湿度、輻射熱を基にWBGT (湿球黒球温度) を算出し、熱中症のリスクを評価します。

環境測定器の種類

環境測定器として単機能型環境測定器、多機能の環境測定器、携帯型と据置型を解説します。

1. 単機能の環境測定器

特定の環境を測定するために設計された機器です。例えば温湿度計や騒音計などがこれに該当します。軽量かつ操作が簡単で、個別の測定が必要な現場に適しています。

2. 多機能の環境測定器

1台で複数の測定を行える機器です。温度、湿度、風速、騒音などを同時に測定可能なため、測定の効率化と機器の持ち運び負担の軽減が実現します。

3. 携帯型と据置型

携帯型環境測定器は軽量で持ち運びが容易です。一方、据置型は長期間にわたる連続測定や高精度測定が必要な場面で使用されます。

参考文献
https://www.eiwa-net.co.jp/item/makercategory/id/3
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_processing/T0300000000/T0328000000/
https://www.sibata.co.jp/category/cate1/

ダイヤモンドカッター

ダイヤモンドカッターとは

ダイヤモンドカッター

ダイヤモンドカッターとは、砥石や刃物を使用しないで硬質な素材を切断するための工具です。

ダイヤモンド粒子を固着した金属の円盤状のカッターで、石材やセラミック、ガラス、合金、プラスチックなどの切断に使用されます。ダイヤモンドカッターは刃の切れ味が非常に鋭く、高い精度で切断が可能です。

また、耐久性が高く切断速度が速いです。素材を削り取るようにして切断するため、砥石や刃物に比べて作業効率が良くなります。ダイヤモンドは熱に弱いため適切な冷却方法が必要です。

ダイヤモンドカッターの使用用途

ダイヤモンドカッターの使用用途は以下の通りです。

  1. 石材の切断
    大理石、花崗岩、石灰岩などの石材の切断
  2. セラミックスの切断
    陶器、タイル、磁器などのセラミックスの切断
  3. ガラスの切断
    板ガラスや鏡、ガラス管などのガラスの切断
  4. 合金の切断
    ステンレス鋼アルミニウムなどの合金の切断
  5. プラスチックの切断
    ABS樹脂、ポリカーボネートポリアセタールなどのプラスチックの切断
  6. 半導体の切断
    シリコンウエハなどの半導体の切断

ダイヤモンドカッターの特徴

長所

ダイヤモンドカッターは、硬質材料の切削において多くの利点があります。主な利点の1つは、ダイヤモンドが最も硬い物質の1つであるため、金属やプラスチックなどの他の材料では切削が困難または不可能な非常に硬い材料でも切削が可能になることです。

ダイヤモンドは強度が高く耐久性に優れているため、摩耗や変形が少なく長時間使用しても破損が少ないのが特徴です。熱伝導率も高く、高速回転での切削時に発生する熱を効率的に逃がせるため、ダイヤモンドカッター自体で過熱防止できます。

ダイヤモンドカッターは刃先にダイヤモンドの粉末をコーティングしているため、非常に硬くて耐久性に優れ、高速回転にも耐えられ、高い精度での切削が可能です。

短所

ダイヤモンドカッターにはいくつかの短所があります。その中でも代表的なものは以下の2つです。

1つ目は非常に硬く高い耐摩耗性を持っているため、ダイヤモンドカッターを製造するためには高価な素材が必要となります。そのため一般的なカッターに比べて高価です。

またダイヤモンドは硬い素材である一方で、脆性も持っています。ダイヤモンドカッターに衝撃を与えたり落としたりすると欠けや割れが生じる可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

ダイヤモンドカッターの種類

ダイヤモンドカッターの分類方法はいくつかありますが、形状で分類した場合の例は以下の通りです。名称はメーカーにより異なる場合があります。

1. セグメント型

セグメント型は、カッター周辺にダイヤモンド粒子を集めた複数のセグメントからなるタイプです。硬質素材の切削に適しており、大きな力をかけて素材を切断できます。主にコンクリートやアスファルトの切断に用いられます。

2. リム型

リム型は、カッター周辺に一列にダイヤモンド粒子を配置したタイプです。素材の表面が平滑に仕上がるため、セラミックやガラスなどの精密加工に使用されます。またプラスチックや木材などの柔らかい素材の切断にも使用されることがあります。

3. ターボ型

ターボ型は、セグメント型とリム型を組み合わせたような形状のカッターです。カッター周辺に複数のセグメントが並ぶ一方で、セグメント間の空洞にはリム型のカッターが配置されています。この構造により素材の切断速度が速く、切断面にキズがつきにくいことが特徴です。主にセラミックス、石材、コンクリートの切断に用いられます。

4. フラット型

フラット型は、ダイヤモンド粒子をコーティングしたフラットな金属プレートの形状をしたカッターです。主に鉄筋などの切断に使用され、丸鋸やハンドカッターなどの電動工具に装着されて使用されます。

ダイヤモンドカッターの使い方

ダイヤモンドカッターによる素材の切断は、下記のような流れで行います。

1. 準備

切断する素材を固定し、ダイヤモンドカッターを装置に取り付け、回転速度や送り速度、冷却液の供給などを調整します。

2. 切断開始

ダイヤモンドカッターを素材に接触させて切断を開始します。切削面に対して適切な角度で接触するように注意しながら、回転させたカッターを素材に向かって押し込みます。

3. 切断進行

ダイヤモンドカッターを素材に沿って進め、必要に応じて切削条件を調整しながら切断を進めます。冷却液を適切に供給することでダイヤモンドカッターの寿命を延ばし、切削面を滑らかにできます。

4. 切断完了

素材を完全に切り抜いて切断を完了します。ダイヤモンドカッターが素材を切断する過程で生じた切削屑や粉塵を取り除きます。

5. 切断面の仕上げ

切削された素材の表面を仕上げる必要がある場合は、適切な工具を使用して切断面を滑らかに仕上げます。

ダイヤモンドカッターのその他情報

1. ダイヤモンドカッターの使用環境による分類

ダイヤモンドカッターを使用環境で分類すると以下の2種類があります。

湿式のダイヤモンドカッター
湿式のダイヤモンドカッターは、水を使用して切削時に発生する熱を冷却するタイプのカッターです。切削時に発生する粉塵に水をかけるため粉塵の飛散が少なく、切削面の品質が良好です。また水冷によってダイヤモンドの耐久性を高め、長時間連続使用が可能になります。主に石材やタイル、セラミック、コンクリートなどの硬質素材の切削に使用されます。

乾式のダイヤモンドカッター
乾式のダイヤモンドカッターは、水を使用せずに素材を切削するタイプのカッターです。湿式カッターと比較して粉塵が飛散しやすく切削面に粗さが残ることがあるため、精密な切断には向いていません。一方で、水を使わないため持ち運びできる電動工具での使用や、屋内での使用に適しています。主に木材やプラスチック、金属などの柔らかい素材の切削に使用されます。

フォーミングマシン

フォーミングマシンとは

フォーミングマシン

フォーミングマシンは、コイルなどの線材や板材をプレスや曲げ、切断加工など複数の加工を1台で行うことができ、バネやコイル、クリップやリングなどの部品を連続で製造できる加工機です。

フォーミングマシンの中で、バネ部品を専門とする期首があり、ワイヤーフォーミングまたはバネ成形機と呼ばれています。

最近は、さらに多様な加工に対応できるようになっており、かしめや部品の組み込み、溶接、ヘッダー加工や鍛造なども一貫してできるようになっています。

フォーミングマシンの使用用途

自動車や家電製品、各種建材や産業機械、農業機械や文房具などで汎用的に使用されている圧縮コイルばね板ばねなどバネ類の製作に使用されています。

また、線径が数mmまで対応できる装置も多く、スナップピンや抜け止め防止ピン、ホースバンド、止め輪やサークリップ、スナップリング、ホースクリップや針金クランプまで幅広い部品の製作で使用されています。

従来、金型を製作してプレス加工でつくっていた部品のコストダウンのためにフォーミングマシンに切り替えることもあります。

フォーミングマシンの原理

フォーミングマシンの加工工程は次の通りです。まず、フィード装置により板材やコイルなどの線材を一定速度で供給し、スタンピング装置によってせん断やプレス加工を行い、穴をあけたり、成形を行います。その後、複数のフォーミング装置によって複雑な曲げや3次元の立体に成形し、必要に応じて他工程を一気通貫に加工することができます。

フォーミングマシンをつかうことで、材料のムダがなくなり、連続で加工できることで製造コストをさげることができます。また、似た機能をもつ順送プレス機に比べて、単純な構造になるため、加工機の金型コストをさげることができます。

これまでは、単純な製品を大量に製作する際に使われることが多かったフォーミングマシンですが、技術の進歩とともに高機能化されており、現在では、NC(数値で制御できる)加工機などとの複合化されることでかなり複雑な形状の部品を安価に製作できる加工機となっています。

参考文献 https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machining/plasticity/forming-machine.jsp

自動はんだ付け装置

自動はんだ付け装置とは

自動はんだ付け装置

自動はんだ付け装置とは、はんだを使用する部品接合工程を機械制御で行う装置です。

はんだとは、金属同士を溶かして密着させるために用いられる合金を指します。高温で溶解させることで部品同士を接合することが可能です。従来は手作業に頼ることが多かったはんだ付けは、熟練者の技能や長時間にわたる集中力に左右されやすく、生産効率や品質安定化が課題とされていました。

自動はんだ付け装置を使用することで、設定やプログラミングに応じてはんだゴテの温度や動きを制御します。これにより、適切なタイミングと位置で一定量のはんだを供給することが可能です。精密な加熱制御やノズルの高速・高精度な移動機構を組み合わせることで、作業者が手作業で行う場合よりも安定した仕上がりが得られます。また、連続して大量の基板を処理できるため、生産ライン全体の効率向上にも寄与します。

自動はんだ付け装置の使用用途

自動はんだ付け装置は以下のような用途で使用されます。

1. 電子機器

電子機器の基板実装で広く活用されます。コンピューターや通信機器などの基板には多数のチップやコネクタが実装されており、それぞれの位置やサイズが異なる場合も少なくありません。自動はんだ付け装置を使うことで、微細な部品の位置合わせを精密に行い、不良発生を抑えて大量の部品を安定的に実装できます。

2. 家電・音響機器

家電製品や音響機器などの製造工程においても、自動はんだ付け装置は重宝されます。異なる形状の基板や複数の部品が混在するラインでも、装置のプログラム設定を調整するだけで、温度や供給位置を変えられる点が利点です。高い生産性と安定した接合品質を両立することができます。

3. 産業機器

高い信頼性が必要な産業用制御機器の分野にも導入されます。工場などで稼働する制御基板やロボット用回路は、一度の不良が大きなトラブルにつながる可能性があります。したがって、接合部の品質は極めて重要です。自動はんだ付け装置は精密な温度管理と的確な位置決め制御を組み合わせることで、安定したはんだ付けを実現し、製品の長期的な信頼性向上に寄与します。

自動はんだ付け装置の原理

自動はんだ付け装置は、はんだゴテに相当する加熱部やはんだを供給する機構部、及び自動制御プログラムなどで構成されます。

はんだゴテ部分には温度制御機能が備わっていることが多いです。レーザーを使用する製品も販売されています。はんだを高温に加熱することで、部品と基板を接合します。センサーが先端温度をモニターしている場合、過熱による部品や基板の損傷を防ぐことが可能です。

位置決めはサーボモーターなどの駆動装置によって実施します。あらかじめ設定されたプログラムに従い、ノズルの動作位置や速度を制御する仕組みです。はんだの供給量や供給タイミングも合わせて制御するため、はんだの過剰供給によるはんだブリッジや、はんだ不足による接合強度不良を防ぐことが可能です。

こうした加熱管理と位置管理の両立が、自動はんだ付け装置の安定した接合品質を支える要となっています。

自動はんだ付け装置の種類

自動はんだ付け装置は以下のような種類が存在します。

1. 直交型

直行型ははんだユニットとリニアステージで構成する方式です。可動域が平面的で、軸構成がシンプルな点が特徴です。位置決め精度も高く、維持管理も比較的容易です。歩留まり重視の量産ラインで採用されるほか、試作や少量多品種にも使用します。

2. スカラ型

スカラ型は多関節ロボットにはんだユニットを搭載した方式です。アームが円弧状に動くため、斜め方向からのアプローチが容易で、高さの異なる部品が混在する基板でも陰になる箇所へアクセスしやすくなります。短い移動距離を高速で往復できるため、高速生産が要求される家電や通信機器の実装工程に適しています。

3. レーザー型

レーザー型は、はんだを溶融させる熱源としてレーザービームを利用する非接触方式です。はんだペーストを照射点に供給し、光エネルギーで瞬時に融かして接合します。加熱範囲が非常に狭いため、周囲の樹脂部品や高感度素子に熱影響を与えにくいことが最大の特徴です。さらに、非接触ゆえにノズルの磨耗や付着物によるトラブルが起こりにくく、メンテナンス負荷も抑えられます。

参考文献
https://amasawahakusyo.com/electronics/soldering-method/
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5336.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/lasermarker/processing/soldering.jsp

ロジウムめっき加工

ロジウムめっき加工とは

ロジウムめっき加工とは、貴金属であるロジウム (元素記号: Rh) を用いためっき技術を使った加工を施すサービスのことです。

ロジウムは白金族の1つで、価値の高い金属として知られています。ロジウムめっきは、ロジウムが溶けた液体に素材を浸し、電気を通すことで、素材の表面に薄いロジウムの膜を形成する方法で行われます。

めっき技術は、素材の表面に薄い膜を張ることで、保護を目的として使用される点が特徴です。ロジウムめっきは化学的に非常に安定であり、硬度が高く傷が付きにくくなっています。また、耐摩耗性に優れ、500℃以下では酸化しないという性質も持ち合わせています。

さらに、ロジウムめっきは白色光沢があり、反射率が80%以上と高いため、美しい外観が特徴です。魅力的な外観を活かし、高級装飾品にも使用されています。ロジウムめっきは、その高い性能と美しい外観から、多くの分野で重宝されている技術です。

ロジウムめっき加工の使用用途

ロジウムめっき加工は、耐食性や耐摩耗性が高く、さらに電気抵抗が小さいため、工業分野において電気接点 (リードスイッチなど) に使用されています。また、広い波長範囲に対して高い反射率を示す特性を活かし、光学素子やミラーとしての利用も多いです。さらに、排気ガスを抑える触媒としての働きを持つため、工業分野で使う部品にも採用されています。

ロジウムめっき加工が施せる対象素材は、銅や銅合金、鉄やステンレスなどです。これらの素材にロジウムめっきを施すことで、耐久性や機能性が向上します。

工業用途だけでなく、ロジウムめっき加工は高級装飾品にも有用です。その美しい白色光沢が、メガネフレームやネックレス、時計や指輪などのアクセサリーに加え、魅力的なデザイン性を与えています。

ロジウムめっき加工の原理

ロジウムは非常に硬い金属であり、金などと違って形を成形することが難しいため、めっきとして使用されることが多い点が特徴です。白金金属元素であり、通常の酸やアルカリにも腐食されず、化学的に安定した性質を示しています。また、工業用クロムと同程度の硬さがあり、耐食性や耐摩耗性に優れているため、長期間劣化せずに使用することが可能です。

ロジウムめっき加工は、500℃以下では変色せず、高い光の反射率と低い電気抵抗 (数マイクロオーム) を持つので、静電気対策が必要な場所にも適用可能です。ただし、ロジウムは高価な貴金属であるため、通常は下地処理を行った後、最表層にのみ0.05~0.3μm程度の薄いロジウム層を形成させます。

通常のめっきに比べて膜厚が薄いですが、化学的性質が良好です。また、傷にも強い硬さを持っているため、薄い膜でもめっきとして十分機能します。

ロジウムめっき加工の種類

ロジウムめっきは主に硬質ロジウムめっき、黒ロジウムめっき、薄膜ロジウムめっきの3種類が存在します。それぞれの特性や用途に応じて選択されることが多く、ロジウムめっきはさまざまな分野で幅広く活用されています。

1. 硬質ロジウムめっき

硬質ロジウムめっきは、通常のロジウムめっきよりも硬度が高く、耐摩耗性に優れています。そのため、機械的ストレスがかかる部品や装飾品、電気接点などに適しています。高い耐久性が求められる用途で活用されることが多い点が特徴です。

2. 黒ロジウムめっき

黒ロジウムめっきは、通常のロジウムめっきと同様に耐久性や耐摩耗性に優れていますが、黒色の外観が特徴です。その美しい黒色光沢が魅力的で、高級ジュエリーや時計のアクセントとして使用されることがあります。また、光学機器の光学部品や反射防止処理が必要な箇所にも有用です。

3. 薄膜ロジウムめっき

薄膜ロジウムめっきは、通常のロジウムめっきよりも膜厚が薄く、コストを抑えることが可能です。薄い膜でもロジウムの化学的性質や美しい外観を活かせるため、装飾品や一部の工業用途で使用されます。ただし、耐久性や耐摩耗性が通常のロジウムめっきに比べて劣るので、適用範囲が限定されることがあります。

参考文献
https://www.wakayamapp.jp/product/plating-detail4/