真円球とは
真円球とは、高い精度で製造された完全に丸い球体で、工業製品で回転運動を支えるための重要な機械要素となる部品です。
真円球はベアリングという部品の転がり軸受けとして使用されており、回転の精度は組み込まれている真円球の精度に大きく左右されます。工業の発展にともない、真円球の精度も飛躍的に向上しています。
軸受けの部品に使用されいるため、精度が低いと回転の妨げになり、正しく工業製品が機能しなかったり効率が悪くなってしまします。高精度の真円球は、回転部分の摩擦を最小限に抑えエネルギー効率の向上や機械の長寿命化に貢献します。現代の産業機械や精密機器にとってなくてはならない存在です。
真円球の使用用途
真円球は主に回転運動を必要とする様々な製品の軸受け (ベアリング) として用いられます。身近なものだとCDやDVDプレーヤーのディスク回転部、パソコンのハードディスクドライブ (HDD) 内のデータ読み書きを行う部分など、精密さが求められる箇所に用いられています。特にHDDでは、近年の大容量化に伴い、軸受けに使われる真円球により一層の精度向上が求められています。
そのほかにもボールペンなど小さい日用品や自動車の部品など、様々な場所で使用されています。自動車には、エンジンやトランスミッション、ホイールのハブなど数多くの部品に真円球が組み込まれています。これにより走行性能、燃費、安全性といった重要な要素が支えられています。
真円球の原理
真円球は完全な球形によって接触する面との摩擦を極限まで減らし、滑らかな回転運動を実現しています。この球に少しでも凹凸があると転がる際に抵抗が大きくなってしまい、製品が正しく機能しなかったり動作の効率が悪くなってしまいます。凹凸が原因で軸受けに目的外の力が加わってしまうと、故障や破損の原因になることがあります。
真円球の精度は、その直径の均一性と表面の滑らかさによって決まります。これらはJIS B 1501 (転がり軸受用鋼球) などで規定されている等級によって表されます。等級が小さいほど精度が高いことを意味します。用途に応じて最適な等級の真円球が選択されます。
真円球の種類
真円球は素材や用途によって分類されます。大きな力がかかる工業製品などでは、耐久性を高めるために素材がステンレスなどの金属が用いられています。また樹脂製のものやアルミニウム製のものもあり、使用状況によって使い分けられています。
1. 材質による分類
真円球の最も一般的な材質はスチール製です。スチール製の真円球は強度と耐久性に優れており、幅広い用途に使用されています。またステンレス製の真円球は耐食性に優れているため、水や薬品に触れる環境で使用されます。
軽量化が重視される場合には、アルミニウム製の真円球が用いられます。例えば航空機やドローンなどの軽量化が求められる機器の軸受けには、アルミニウム製の真円球が採用されることがあります。
樹脂製の真円球は、金属製と比較して軽量で静音性にも優れることから、OA機器などにも採用されています。
2. 用途による分類
高速回転が求められる用途には、高精度の真円球が使用されます。例えばターボチャージャーや航空機のエンジンなどには、非常に高い精度と耐久性を持つ真円球が使用されています。また静音性が求められる用途には、樹脂製やゴム製の真円球が使用されることがあります。
参考文献
https://www.jbia.or.jp/about/illust/pdf/ballseido.pdf
https://www.kimihiko-yano.jp/Product/bb/g3-ball.htm