ダイヤモンドカッターとは
ダイヤモンドカッターとは、砥石や刃物を使用しないで硬質な素材を切断するための工具です。
ダイヤモンド粒子を固着した金属の円盤状のカッターで、石材やセラミック、ガラス、合金、プラスチックなどの切断に使用されます。ダイヤモンドカッターは刃の切れ味が非常に鋭く、高い精度で切断が可能です。
また、耐久性が高く切断速度が速いです。素材を削り取るようにして切断するため、砥石や刃物に比べて作業効率が良くなります。ダイヤモンドは熱に弱いため適切な冷却方法が必要です。
ダイヤモンドカッターの使用用途
ダイヤモンドカッターの使用用途は以下の通りです。
- 石材の切断
大理石、花崗岩、石灰岩などの石材の切断 - セラミックスの切断
陶器、タイル、磁器などのセラミックスの切断 - ガラスの切断
板ガラスや鏡、ガラス管などのガラスの切断 - 合金の切断
ステンレス鋼やアルミニウム、銅などの合金の切断 - プラスチックの切断
ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタールなどのプラスチックの切断 - 半導体の切断
シリコンウエハなどの半導体の切断
ダイヤモンドカッターの特徴
長所
ダイヤモンドカッターは、硬質材料の切削において多くの利点があります。主な利点の1つは、ダイヤモンドが最も硬い物質の1つであるため、金属やプラスチックなどの他の材料では切削が困難または不可能な非常に硬い材料でも切削が可能になることです。
ダイヤモンドは強度が高く耐久性に優れているため、摩耗や変形が少なく長時間使用しても破損が少ないのが特徴です。熱伝導率も高く、高速回転での切削時に発生する熱を効率的に逃がせるため、ダイヤモンドカッター自体で過熱防止できます。
ダイヤモンドカッターは刃先にダイヤモンドの粉末をコーティングしているため、非常に硬くて耐久性に優れ、高速回転にも耐えられ、高い精度での切削が可能です。
短所
ダイヤモンドカッターにはいくつかの短所があります。その中でも代表的なものは以下の2つです。
1つ目は非常に硬く高い耐摩耗性を持っているため、ダイヤモンドカッターを製造するためには高価な素材が必要となります。そのため一般的なカッターに比べて高価です。
またダイヤモンドは硬い素材である一方で、脆性も持っています。ダイヤモンドカッターに衝撃を与えたり落としたりすると欠けや割れが生じる可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。
ダイヤモンドカッターの種類
ダイヤモンドカッターの分類方法はいくつかありますが、形状で分類した場合の例は以下の通りです。名称はメーカーにより異なる場合があります。
1. セグメント型
セグメント型は、カッター周辺にダイヤモンド粒子を集めた複数のセグメントからなるタイプです。硬質素材の切削に適しており、大きな力をかけて素材を切断できます。主にコンクリートやアスファルトの切断に用いられます。
2. リム型
リム型は、カッター周辺に一列にダイヤモンド粒子を配置したタイプです。素材の表面が平滑に仕上がるため、セラミックやガラスなどの精密加工に使用されます。またプラスチックや木材などの柔らかい素材の切断にも使用されることがあります。
3. ターボ型
ターボ型は、セグメント型とリム型を組み合わせたような形状のカッターです。カッター周辺に複数のセグメントが並ぶ一方で、セグメント間の空洞にはリム型のカッターが配置されています。この構造により素材の切断速度が速く、切断面にキズがつきにくいことが特徴です。主にセラミックス、石材、コンクリートの切断に用いられます。
4. フラット型
フラット型は、ダイヤモンド粒子をコーティングしたフラットな金属プレートの形状をしたカッターです。主に鉄筋などの切断に使用され、丸鋸やハンドカッターなどの電動工具に装着されて使用されます。
ダイヤモンドカッターの使い方
ダイヤモンドカッターによる素材の切断は、下記のような流れで行います。
1. 準備
切断する素材を固定し、ダイヤモンドカッターを装置に取り付け、回転速度や送り速度、冷却液の供給などを調整します。
2. 切断開始
ダイヤモンドカッターを素材に接触させて切断を開始します。切削面に対して適切な角度で接触するように注意しながら、回転させたカッターを素材に向かって押し込みます。
3. 切断進行
ダイヤモンドカッターを素材に沿って進め、必要に応じて切削条件を調整しながら切断を進めます。冷却液を適切に供給することでダイヤモンドカッターの寿命を延ばし、切削面を滑らかにできます。
4. 切断完了
素材を完全に切り抜いて切断を完了します。ダイヤモンドカッターが素材を切断する過程で生じた切削屑や粉塵を取り除きます。
5. 切断面の仕上げ
切削された素材の表面を仕上げる必要がある場合は、適切な工具を使用して切断面を滑らかに仕上げます。
ダイヤモンドカッターのその他情報
1. ダイヤモンドカッターの使用環境による分類
ダイヤモンドカッターを使用環境で分類すると以下の2種類があります。
湿式のダイヤモンドカッター
湿式のダイヤモンドカッターは、水を使用して切削時に発生する熱を冷却するタイプのカッターです。切削時に発生する粉塵に水をかけるため粉塵の飛散が少なく、切削面の品質が良好です。また水冷によってダイヤモンドの耐久性を高め、長時間連続使用が可能になります。主に石材やタイル、セラミック、コンクリートなどの硬質素材の切削に使用されます。
乾式のダイヤモンドカッター
乾式のダイヤモンドカッターは、水を使用せずに素材を切削するタイプのカッターです。湿式カッターと比較して粉塵が飛散しやすく切削面に粗さが残ることがあるため、精密な切断には向いていません。一方で、水を使わないため持ち運びできる電動工具での使用や、屋内での使用に適しています。主に木材やプラスチック、金属などの柔らかい素材の切削に使用されます。