POEインジェクタ

POEインジェクタとは

POEインジェクタ

PoEインジェクタとは、PoE技術を実現する装置の1つです。

POE (英: Power over Ethernet) は、イーサネットケーブルを通じて電力とデータを同時に供給する技術を指します。PoEインジェクタはイーサネットケーブルと電源ケーブルを入力とし、1本のイーサネットケーブルに電力とデータを重畳させて出力します。

これにより、WiFiアクセスポイントやIPカメラ、VoIP電話機などの給電が必要な機器に対して、別々に電源ケーブルを引かずに電力とデータを供給できるようになります。

POEインジェクタの使用用途

POEインジェクタは、POE非対応のスイッチングハブにPOE対応するための機能を提供する際に使用されます。電源供給に制約がある状況下でも、各種ネットワーク機器の運用を容易にする有用なツールです。

1. 無線LANアクセスポイントの設置

企業や大学などの大規模なビルやキャンパス内に無線LANアクセスポイントを設置する場合、電源供給の問題によく直面します。この際、POEインジェクタを用いることで、電源供給が困難な場所でもアクセスポイントを設置ができます。

2. IPカメラの導入

電源とネットワークの両方を供給できるPOEインジェクタは、セキュリティ監視のためのIPカメラ導入にも有用です。特に、遠隔地のカメラ配置や屋外設置などで電源供給が難しい場所での利用に適しています。

3. VoIP電話の設置

デスク周りの乱雑さを減らすためにも、電話とコンピューターを同じネットワークケーブルで動作させることができます。また、万が一の停電時でもUPS (無停電電源装置) からPOEインジェクタ経由で電源を供給して、通話を続けることができます。

4. リモートセンサーの電源供給

IoTの普及に伴い、各種センサーが遠隔地に設置されることが増えています。これらのデバイスに対してPoEインジェクタを使用すれば、遠隔地からでも電源供給とデータ通信を行うことが可能となります。

POEインジェクタの原理

POEインジェクタの仕組みは比較的シンプルです。基本的には、データと電力を1つのEthernetケーブルで送受信します。具体的な動作原理は以下の通りです。

1. 電力供給

POEインジェクタは、まず電源から電力を取り入れます。その電力は直流電流としてPOEインジェクタ内部に供給され、特定の電圧 (通常は48V) に変換されます。

2. データと電力の合流

次に、ネットワークからのデータ通信がPoEインジェクタに到着します。このデータ通信と前述の電力がエンジェクタ内部で一緒になります。Ethernetケーブルの特性を活用し、データ通信と電力を一緒に送ることが可能です。

特に、一般的なEthernetケーブルは8本の導線を含んでいますが、一部のデータ通信規格では全ての導線がデータ転送に利用されません。この未使用の導線に電力を供給して、データと電力の同時転送を実現します。

3. データと電力の分離

POE対応のネットワーク機器側では、到着したデータと電力が分離されます。分離された電力は機器の電源として使用され、データは通常通りデータ処理に利用されます。

 

以上がPOEインジェクタの基本的な動作原理です。このような仕組みにより、ネットワーク通信と電源供給を一つのケーブルで行うことが可能となり、設置場所の制約を大幅に緩和ができます。

POEインジェクタの選び方

POEインジェクタの選び方は、その使用環境や目的に大きく影響を受けます。そのため、選定時は以下のポイントを考慮することが重要です。

1. 電力供給能力

最初に考慮すべきは、インジェクタが供給する電力の量です。使用するデバイスの電力要求を確認し、それに適した供給能力を持つインジェクタを選択します。基本的なPoE (IEEE 802.3af) 、PoE+ (IEEE 802.3at) 、PoE ++ (IEEE 802.3bt) の各規格から選びます。

2. 対応するEthernet規格

デバイスのネットワーク接続速度とインジェクタの対応するEthernet規格が一致していることを確認してください。例えば、Gigabit Ethernetをサポートするデバイスを使用する場合、同様にGigabit対応のインジェクタを選択する必要があります。

3. 品質と信頼性

POEインジェクタは通常、ネットワークの重要な部分で使用されるため、信頼性と耐久性が重要です。評判の良いメーカーから購入し、製品のレビューや評価の確認をおすすめします。

参考文献
https://community.fs.com/jp/blog/what-is-a-poe-injector-and-how-to-use-it.html
https://systemk-camera.jp/camera-blog/knowledge/what-poe-vol01.php
https://wa3.i-3-i.info/word16037.html

VMEボード

VMEボードとは

VME (Versa Module Europe) ボードとは、CPU用のバスであるVMEバスを使用したボードとして開発されたものです。

VMEボードにおいて使用されているVMEバスはもともとモトローラCPUである68000系向けに開発されたもので、その後、世界的な技術標準規格であるIEC (International Electrotechnical Commission : 国際電気標準会議) やIEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers: 電気・情報分野における標準化団体) において技術規格として標準化されました。

現在では、16bitCPUや32bitCPUに加え、64bitCPUに使用する標準的なバスとして使用されています。

VMEボードの使用用途

VMEボードでは、複数のVMEボードを接続する土台側であるマザーボード上に9枚もしくは20枚のVMEコネクタが用意されています。このマザーボードのことをVMEバックプレーンボードもしくはVMEバックプレーンシャーシと呼んでおり、その性能や品質を維持するため材質やサイズなども決められています。

このVMEバックプレーンボードは、複数のVMEボードを電気的かつ構造的に接続する役割を果たしており、このボードを介してデータの送受信を行っているため非常に重要です。VMEバックプレーンボード上のスロットにCPUボードやIOボードが挿入されて使用されます。

VMEボードの原理

VMEボードにおいて使用されるデータ転送は、非同期式インタークロックという方法がとられています。これはシステムのクロックに同期してデータを送受信する方式とは異なります。

マスタ側からのデータ転送に対して、スレーブ側がデータの受信完了を示す確認信号を返答するまで、マスタ側はデータ送信を繰り返し、データ転送サイクルを終了しません。スレーブデバイスのタイミングに応じてデータの送受信が可能であることから、転送速度に余裕のない周辺デバイスにとっては有利であり設計しやすい仕様です。

ただし、マスタからの転送サイクルが無限に続くことを回避する必要があります。このために、VMEバスではタイムアウト機能が実装されています。VMEバス上におけるデバイス間のデータの衝突が発生した場合への対応も考慮されています。

衝突を検出して対応するための専用の機能モジュールとしてアービトレーションモジュールが定義されており、VMEバスシステム上には必ず存在します。衝突を検出して対応する方法として、2つの方法が決められています。ラウンドロビンという方式と優先順位方式です。いずれの方式を採用するかは、システムの用途や特性に応じて決められます。

1. ラウンドロビン方式

ラウンドロビンとは、VMEバス上のデバイスに振られた数字に基づき、各デバイスが順次割り振られていくという方式です。例えば、A,B,Cのデバイスが存在したとして、1周目はA、B、Cだとすると、2周目はB、C、A、3周目はC、A、Bというように優先順位を逐次均等に入れ替えていくというルールに基づき、衝突が発生した場合にいずれを優先するか決めます。

2. 優先順位方式

優先順位方式とは、各デバイス固定的に決められた優先順位に基づき衝突が発生した場合にいずれのデバイスを優先するか決める方式です。

VMEボードのその他情報

1. バス

上述の説明で出てきているバスとは、コンピュータ内部でデータや信号を伝達する回路のことです。コンピュータ内部では、CPUやメモリ、IO装置などの各装置が共通のバスで接続されています。

メモリアドレス信号を伝送するためのアドレスバスや、CPUとメモリ・IO装置でデータ転送を目的とするデータバスが存在します。また、これら2つのバスを制御するためのコントロールバスがあります。コントロールバスでは、アドレスバスやデータバスが実際に入出力を行うタイミングの制御等を担当します。

2. バス規格

開発当初の標準は、Eurocardのコネクタに収まるために16ビットバスの規格でした。その後、拡張を経ることで現在のVME64では64ビットバス規格と32ビットバス規格が存在します。

参考文献
https://www2.denshi.numazu-ct.ac.jp/mirsdoc2/mirs9805/tech/num0004a/vme.html
https://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/

パワーモジュール

パワーモジュールとは

パワーモジュールとは、複数個のパワー半導体を組合せることにより電源関係の回路を1パッケージのモジュールに集積化した製品のことです。

電源関係のモジュール化により、電子機器の小型化や製造時の生産性改善に寄与させることが可能です。IC (半導体集積回路) の中に必要機能をまとめて低電力設計を行い、最適化を施すことにより、工場などで使われる産業機器や大型白物家電、自動車、鉄道、新エネルギーなど広範な分野で使われるようになっています。

現在もパワーモジュール関連の市場規模は、急成長している状況です。

パワーモジュールの使用用途

パワーモジュールの最も身近な使用例はエアコンや冷蔵庫、洗濯機などに搭載されている「インバーター」です。このインバーターは、周波数を変換することでモーターの回転数を制御できます。

モーターの回転数を自由に変えることによって無駄な動きを減らし、省エネ化に貢献可能です。これに対して、インバーター非搭載のエアコンではモーターのオンオフしかできないためエアコンを動かしたり止めたりという極端な動作の繰り返しで、無駄な電力を消費することに繋がります。

インバーターは、モーターの回転数を制御する用地、HEVやEVといった電動自動車などにも利用されています。自動車の駆動はオンオフのみではなく、タイヤが空転するのを検知し、制御することが重要です。

この制御が行われないと、自動車はスリップを起こしてしまいます。雪が降る地域では安全に効率よくタイヤに力を加える必要があり、モーターの電力を非常にきめ細かく制御することは、特にEVやHEVにおいて重要かつ欠かせないものです。

パワーモジュールの原理

パワーモジュールは、その必要とされる電源用途に最適な複数のパワートランジスタをバイアス駆動回路と共にIC化したものを、周辺の部品と一緒にモジュール化して、パワー動作時の耐圧とスイッチング速度や効率の向上を図っています。また、パッケージや基板の放熱性などにも配慮し、使いやすくしている点が特徴です。

パワーモジュールに広く用いられているパワー半導体の中でも、パワートランジスタは最も応用範囲が広く、半導体や材料メーカーを中心に技術開発が盛んに行われている状況です。パワートランジスタの中にも、以下にあげる複数の半導体デバイスがあります。

1. バイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタは構造がシンプルで大きな電力を扱える代わりに、スイッチング速度が遅く、消費電力が大きいという欠点があり、近年はパワーモジュール用途の主力ではなくなってきています。

2. パワー MOSFET

 パワーMOSFET (FET: Field Effect Transistor) は最も高速なスイッチングが行え、消費電力が少ない優れた利点を有しますが、大きな電力を扱いにくいという欠点を併せ持つデバイスです。

3. IGBT

1980 年代に開発された IGBT (Insulated Gate Bipolar Transistor: 絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ) は、大きな電力が扱うことができます。 MOSFET と比べて、あまり大きくは見劣りしないスイッチングが可能です。回路構成はMOSFET と BJT (Bipolar Junction Transistor) を合わせたような構成になっています。

パワーモジュールのその他情報

1. 次世代パワーモジュールの動向

次世代パワーモジュール用デバイスとして、昨今SiC-MOSFETが注目されています。SiC基板はSi基板と比較して、バンドギャップエネルギーが大きく耐圧が稼げる物性を有しており、MOSFETでもSiC基板で作成することにより、大電力化が可能です。

IGBTはSi基板でも大きな電力を扱えますが、バイポーラ構造に起因するスイッチング速度を上げにくいという課題もあり、大電力でスイッチング速度の速いデバイスであるSiC-MOSFETが次世代パワーモジュール用に現在本命視されています。

これまではSiC基板の弱点であった量産性も、その技術革新に伴い6インチ基板を扱える基板メーカーが出現したこともあり、克服されつつあります。

2. EVにおけるパワーモジュール

自動車のEV化が加速する昨今において、パワーモジュールはますますその必要性を高めています。EVにおけるリチウムイオン電池の電圧は、充電の時間にも関係するために、高速な充電による充電時間の短縮を目指し、またパワートレインといわれるEVのエンジンに相当する箇所の効率化のため、現在の400V程度の電圧から、例えば800Vといった更なる高電圧化が必要とされている状況です。

高電圧で車載用のモーターを制御性良く扱うためには、インバーター回路で発生された交流電流を高速でスイッチングすることが重要であり、ここにパワーデバイスやパワーモジュールが用いられています。

参考文献
https://www.electrical4u.com/insulated-gate-bipolar-transistor-igbt/

セラミック発振子

セラミック発振子とは

セラミック発振子とは、電子デバイスの一種であり、振動するセラミック (チタン酸ジルコン酸鉛が主流) を使用して、特定の周波数で振動する現象を利用した電子部品です。

発振子の素材としては、調整が不要で安定性にも優れている水晶がよく使われていますが、高価で形状が大きくなる欠点があります。セラミック発振子は安価で形状が小さいため、多くの電子機器で使用されています。

ワンチップ・マイコンのような機器では、基準クロックの要求精度が比較的緩いため、セラミック発振子で十分に対応が可能です。

セラミック発振子の使用用途

主にデジタル回路における基準クロックの発振回路に使用されますが、対象となる装置は、下記の通り多岐に渡ります。特に、小型/軽量化を優先する場合に積極的に採用されています。

  • デジタル時計やスマートウォッチ
  • 電子レンジや電子オーブンなどの家電製品のタイマー
  • 自動車のエンジン制御ユニット (ECU)
  • 音響機器や楽器のチューニング
  • データ通信機器のクロック信号発生
  • 計測機器や制御装置のタイミング制御
  • ロボットや自動制御システム
  • メディカルデバイスのタイマーや制御装置
  • 電子錠やセキュリティシステムのタイミング制御
  • モバイルデバイスのバッテリーマネジメント

セラミック発振子の原理

セラミック発振子の原理は、圧電効果 (ピエゾ効果) に基づいています。

1. 圧電効果

セラミック材料は、圧電効果によって物理的な変形と電気信号の相互変換が可能です。圧電効果とは、物質に力が加わるとその物質が微小な変形を起こし、同時に電荷が生じる現象です。

2. 振動生成

セラミック発振子では、セラミック材料に電圧を加えることで圧電効果が働き、セラミックが微小な変形を起こします。この変形によりセラミック材料は振動を発生させますが、振動の周波数はセラミック材料の物理的な特性によって定まります。

3. 振動のフィードバック制御

セラミック発振子は、振動をフィードバック制御することで安定した振動を維持します。セラミック材料が振動すると、この振動から発生する電圧が制御回路によって検出されます。

制御回路は検出された振動電圧から適切な電圧をセラミック材料に供給 (フィードバック) して振動を制御します。

4. 信号出力

セラミック振動子が振動を続けると、そこから発生する電圧は制御回路を介して外部に出力されます。これを利用して特定周波数のクロックを作ります。

セラミック発振子の特徴

セラミック発振回路は、水晶発振回路やLC発振回路と比較していくつかの特徴があります。

1. 小型/軽量

セラミック発振回路は、セラミック材料が比較的小型であり、回路全体がコンパクトに設計できます。これにより、デバイスやシステムの小型化や軽量化が可能になります。

2. 低コスト

セラミック材料は比較的安価で入手可能です。また、セラミック発振回路の製造コストも比較的低いため、大量生産に適しています。

3. 消費電力の低さ

セラミック発振回路は、一般的に低い消費電力で動作します。これにより、電力効率が向上し、バッテリー駆動の機器や省エネルギー設計に適しています。

4. 高い信頼性

セラミック材料は堅牢で信頼性が高く、振動の安定性があります。また、セラミック発振回路は熱や振動に対して比較的耐性があり、広範な動作温度範囲に対応できます。

5. 幅広い周波数範囲

セラミック発振回路は、幅広い周波数範囲で動作することができます。さまざまな周波数要件に対応できるため、多様なアプリケーションに適用可能です。

セラミック振動子のその他情報

セラミック振動子の欠点

水晶発振回路やLC発振回路に比べて、セラミック発振回路の制約も存在します。例えば、周波数の安定性や温度変動特性が水晶発振回路より劣ります。

また、特定の周波数範囲や高い周波数の発振等では、水晶発振回路の方が対応範囲が広く、適しています。LC発振回路では広い範囲で自由に発振周波数可変することができますが、セラミック発振回路では基本的に発振周波数を変えることはできません。

参考文献
https://www.kansaidenshi.com/product/ceramic/
http://kousyuha-kiban.com/zais-3.html
https://www.kansaidenshi.com/product/ceramic/
https://ceramic.co.jp/about
https://sudoteck.way-nifty.com/blog/2011/12/post-23d1.html

パワーローラ

パワーローラとは

パワーローラ

パワーローラは、一本の太いローラーがラインに沿って並び、ローラーの上を転がすことで荷物を輸送することができる装置です。工場における重荷重の製品のライン輸送、物流などで使用されます。使用できる搬送物は、底面がフラットで、負荷重量が均等でバランスが取れるものが適しています。

通常のパワーローラにおいて、搬送物を自走させるためには、ラインに一定の勾配をつける必要があります。必要な勾配は搬送物の材質や質量などによって異なるため、用途に応じて設計します。

パワーローラの使用用途

パワーローラは様々な物資をライン上に輸送する産業、製造、物流といった分野で使用されます。例えば、工場などの製造ラインにおいて、重いプラスチックケースや木箱などを搬送したい場合に適しています。

パワーホイールと異なり、より重荷重の荷物を輸送したい場合に使用されます。ラインに傾斜が付けられる環境では、電源不要のパワーローラが使用されますが(フリーローラ)、ローラーが回転するモータローラと組み合わせて使用されることもあります。

パワーローラの原理

パワーローラは、重い荷物をラインに沿って輸送する際に使用され、比較的重荷重の荷物を扱う場合に適しています。傾斜を付けて重力に応じて自走させることも可能ですが、前述したように傾斜を付けるのが困難な場合には、モータ付きのパワーローラ(モーターローラ)もあります。こちらはローラーに小型のモータを内蔵しており、ローラー自体を回転させることができます。これにより、ライン輸送の効率化を図ることができるメリットがあります。搬送物は底面がフラットで、負荷重量が均等でバランスが取れるものが適しています。

パワーローラに似た装置として、パワーホイールがあります。パワーホイールの場合、レールに沿って多数のホイールが取り付けられており、そのホイール上を転がすことで輸送できるものです。一般的にはパワーホイールの方がパワーローラに比べて騒音も少なく滑らかに回転し、比較的軽量の荷物の輸送に適しています。搬送物のサイズや形状によってもどちらが適しているか異なります。その他に使用時の気温や湿度も関係しており、使用用途に応じてパワーホイールまたはパワーローラを検討する必要があります。

プリンターケーブル

プリンターケーブルとは

プリンターケーブル

プリンターケーブルはPCと接続するためのケーブルです。プリンターとの有線接続は現在USBケーブルによるものが一般的ですが、それ以外にLANケーブルを使用してプリンターをハブに接続しネットワークプリンターとして利用する方法もあります。

またUSB普及前の規格であったパラレル(IEEE1284)インターフェースによる接続ケーブルやRSS232Cポートを利用する接続ケーブルもあります。LANケーブルによる接続以外はPCとプリンターは1対1対応での接続となります。

プリンターケーブルの使用用途

このケーブルを選択するときはPC側とプリンタ側のインターフェイスを確認してから選択します。ケーブルによる接続は有線接続と呼ばれ、基本的にPCとプリンタは1対1で接続されます。LANケーブルによって複数のPCとプリンタをそれぞれハブに接続することによってネットワークプリンタとして使用することもできます。

なお有線接続と異なり、無線LANやBluetoothを利用したプリンター接続ではケーブルを必要としません。

プリンターケーブルの原理

家庭用プリンターであれば現在のインターフェースはほぼUSB Type-BでPC側はUSB Type-Aであるため、プリンターケーブルとしてはコネクタ形状が USB A(オス)-USB B(オス)のものを使用します。ただし業務用プリンターを使用したい場合や旧規格のインターフェースのプリンターを使用する場合はパラレルポート(IEEE1284)やRS232Cでの接続が必要です。PCが新しい、あるいはノートPCでインターフェースが限られる条件で業務用プリンターを使用する場合などはUSB A(オス)-IEEE1284(オス)ケーブルやUSB A(オス)-RS232Cケーブルを用いて接続する必要があります。これらの接続方法はいずれもPCとプリンターは1対1対応の接続となります。

一方、複数台のPCで共有して使用可能なネットワークプリンターとして接続する際はLANケーブルを使用しハブを介してPCと接続する必要があり、プリンターがLAN接続に対応している機種であることが必要条件です。

現在のプリンターケーブルの種類

プリンターケーブルは接続方式によりいくつかの種類があります。

  • パラレルポートケーブル
    初期の家庭用PCではプリンターはこのパラレルポートケーブルの接続でした。プリンタ側のパラレル接続用コネクタはセントロニクス仕様とも呼ばれ、アンフェノールフルピッチと呼ばれる36ピンのコネクタを採用しています。PCのパラレルポートと、ストレートケーブルで1対1に接続されます。現在では、USBの接続ケーブルやWi-Fi、Bluetoothなど取って代わられ、互換性が重視される産業用のプリンターでしか見かけることがなくなりました。
  • プリンタ用USBケーブル
    Wi-Fi、Bluetooth接続以外の有線プリンターケーブルはこのUSBコネクタのケーブルが主流となります。プリンター側がUSBのTypeAで接続するPC等の機器側がTypeBの形状となっているものが多いです。USB2.0が多いですが、USB3.0の物もあります。
  • シリアルポートケーブル
    Apple社のPC、Macintosh用の接続ケーブルです。端子は両側ともミニDIN8Pinシリアルポートに接続する形状となっています。こちらもApple社の古いタイプのものに使われいましたが、パラレルポートケーブル同様、他の接続方法に変わってしまい、見ることが無くなりました。

最近では、上記以外にもスマートフォンと接続できるように、片側がUSBケーブルでもう片側がLightning端子やUSB TYPE-C端子になっているものでプリンターケーブルとして使用する事もあります。

これからのプリンターケーブル

現在、既にプリンターケーブル(プリンター専用の接続線)というものは無くなりつつあります。他の機器でも使用できるUSBケーブルや、LANケーブルでルーターに接続されているもの、あるいはケーブル自体を必要としないWi-FiやBluetoothなどの接続が主流になってきており、一般家庭では有線でプリンターが接続されている光景を見ることは無くなっていきそうです。

参考文献
https://direct.sanwa.co.jp/contents/sp/backno/onayami_150415.html
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0005/23/news027.html

トースカン

トースカンとは

トースカン

トースカンとは、工作物に定盤などのベース面に対して、平行な高さにケガキ線を描く工具です。

汎用旋盤の4つ爪チャックなどに黒皮材を把持する際、荒芯出しをする場合にも使用します。直立した台座にケガキ部がついたアームが固定されており、ケガキ部を任意の高さに調整可能です。

ケガキ部は、高速度鋼などでつくられた針によって工作物にキズをつけてケガキをいれるケガキ針や、鉛筆・シャープペンシルがついています。トースカンを使うケガキ作業は、仕様条件によってケガキ方法が変わるため、熟練したカンコツ作業が必要です。

トースカンの使用用途

トースカンは、機械を頼らない手作業での加工工程で、ケガキ作業を行うために使用します。トースカンを使ったけがき作業の主な目的は以下です。

  • 図面の仕様に従って工作物に寸法や形状を描く
  • 水平線・垂直線・円・中心線を描く
  • 穴あけ作業の際のポンチを打つ

図面で指示されただけでは正確な作業が難しい場合に、トースカンを使ったケガキで基準線を定めると、より精度の高い作業が可能です。例えば、溶接箇所を決める場合に、あらかじめケガキを施した工作物を供給することで溶接作業時のズレを防ぐことができます。

また、丸棒の中心を求める場合にもトースカンが活躍します。丸棒を回転させながら定盤に4本の平行な線をトースカンを使って描き、その向かい合った頂点を結んで交点を求めれば、それが丸棒の中心です。

トースカンは、金属加工だけでなく、彫刻の星取りやプラモデルを作る際にも使われています。

トースカンの原理

トースカンは、台座に対して垂直に取り付けられた金具からアームが伸びており、アームを工作物に向けて作業しやすい高さと角度で固定します。アームの先端には針やペンなどが付いていて、工作物に直接描くことができます。

工作物にケガキ線を描く際には、トースカンは動かさず工作物を滑らせます。そのため、しっかりとズレることなく工作物にアームの先端を当てる技術が必要です。

また、アームの先端に取り付ける針やペンの種類を工夫します。例えば、針の先端を焼くと、より確実なケガキ線を入れることができます。鉛筆を取り付ければ、失敗しても消せるうえ、素材を傷つけることなく凹凸のある物体に水平線を引くのにも便利です。

トースカンを使うケガキ作業は、仕様条件によってケガキ方法が変わるため、熟練したカンコツ作業が必要です。また、工作物に当たる先端部分の針には、高度と耐摩耗性が求められます。中心位置を決める作業では、針の片側が90度に曲げてある場合もあります。

トースカンのその他情報

1. 荒出しとは

トースカンは、汎用旋盤の4つ爪チャックでの芯出し作業にも使用されます。この作業では通常、黒皮材での大まかな荒芯出し作業にトースカンを使用します。

芯出しとは、チャックを回転させたときに工作物の振れを最小限に抑える作業です。振れの高いところにトースカンを接触させ、チャックを回転させてトースカンと工作物のスキ間を確認します。4つ爪チャックの各爪の締め込み量を調整し、スキ間をなくしていくことで芯出しを行います。

加工面の芯出しの場合などは、高い精度で芯出しをおこなう必要があるため、トースカンを使用できません。この場合はトースカンではなく、ダイヤルゲージを当てて数値を読み取りながら芯出しを行います。

2. ハイトゲージとは

ハイトゲージもトースカンと同様に、工作物のケガキに使用することができます。基本的にハイトゲージは工作物の高さや厚さを測定する測定器です。スクライバーの測定面を測定する工作物の上面に当てることで、工作物の高さや厚さを測定可能です。

スクライバーの先端は鋭利になっており、金属製の工作物などにケガキ線引く用途にも使用できます。この場合、ハイトゲージはトースカンと同じ役割を果たし、より正確な高さにケガキ線を引くことができます。

参考文献
https://electrictoolboy.com/media/5640/
https://axel.as-1.co.jp/contents/at/s_tools_heightgauge

スパイラルタップ

スパイラルタップとは

スパイラルタップ

スパイラルタップは材料にネジ穴を立てる際に使用する工具の一つで、らせん上に刃が付いた構造をしています。スパイラルタップは直溝タップと比べて、ネジ穴を加工するときの切りくずが外に排出されやすく、より下穴に密着しながら削り出せます。そのため、主に止まり穴加工用によく用いられます。
スパイラルタップではらせん状に取り付けられた刃溝を回転させることで、切りくずをポケットに沿って外に排出できます。スパイラルタップは、ステンレスや合金、炭素鋼、プラスチックなどの材料で止まり穴加工を行う場合に有効です。

スパイラルタップの使用用途

1. 止まり穴加工

スパイラルタップは、主に止まり穴加工に使用されます。止まり穴とは材料が貫通されていない穴のことで、後にボルトを締めたとしても穴の底でボルトは必ず止まります。あるいは貫通させたくない材料に対しては、止まり穴加工を行います。スパイラルタップは、切りくずが外に排出されやすいため、穴加工の際に切りくずが残らず、ネジを正確に切り出すことができます。

2. ステンレス、合金、炭素鋼、プラスチックなどの材料での加工

スパイラルタップは、ステンレス、合金、炭素鋼、プラスチックなどの硬質材料での加工に適した工具です。これらの材料は切削加工が難しいため、スパイラルタップのように切りくずを排出しやすい工具が必要です。スパイラルタップは、らせん状に取り付けられた刃溝が材料の切りくずをポケットに沿って外に排出するため、スムーズに加工できます。

スパイラルタップの原理

スパイラルタップは、タップ加工における切りくずの排出を改善するために開発された工具です。通常タップ加工をするときには下穴を開けてから、タップによりネジを切る必要があります。このときタップが穴の底についてしまうとネジをそれ以上切ることができないため、下穴はタップの深さよりも深く開けておくことが必要です。

直溝タップを用いた場合には、大きな切りくずはポケットから外に取り出せますが、細かな屑については排出されずに止まり穴の底に溜まってしまいます。そこでスパイラルタップではこの欠点を改善するために、ネジ加工用の刃溝がらせん状に取り付けられています。

この刃溝を材料の中で右ネジの進行方向に従って回転させると、刃溝に沿って材料の切りくずはポケットに沿って、外に排出されるという仕組みです。逆向きに回転させれば、ポケットの内側へと向かっていきます。

スパイラルタップにより下穴を深く開ける必要がなくなり、切りくずの排出がスムーズになるため、穴加工の効率が向上します。また切りくずが詰まってしまうことによる刃の摩耗も軽減されるため、耐久性が向上するというメリットもあります。

スパイラルタップの特徴

長所

(切りくずを外部に排出できる)
スパイラルタップはらせん状の刃溝が付いているため、切りくずを材料から外部に排出できます。このため穴底に切りくずが溜まりにくく、タップが進行しやすいことが利点です。また切りくずが穴内に残らないため、加工面の品質を保ちやすくなります。

(作業効率が高い)
スパイラルタップは切りくずを排出しやすく、作業効率が高くなります。またスパイラルタップは比較的高速で回転できるため加工速度を上げられます。

(精度が高い)
スパイラルタップは切りくずを排出することで加工面に切りくずが付着することを防止するので精度が高い加工が可能です。また刃先が穴底に密着しやすく、均一な加工ができるという特長があります。

(ワークに傷をつけにくい)
スパイラルタップは切削力が比較的小さいため、ワークに傷をつけることが少なくなります。またらせん状の刃が加工面を滑らかに切削するため、加工面の仕上がりが良好です。

(幅広い材料に使用できる)
スパイラルタップは硬い材料やプラスチックなどの柔らかい材料にも使用できます。このため一つのタップで多種多様な材料に対応できるため、加工工程の簡略化につながります。

短所

(切りくずが詰まりやすい)
スパイラルタップは切りくずの排出がスムーズなため、直溝タップよりも清掃性は良好ですが、それでも細かな切りくずがポケット内に残りやすく詰まりやすいというのが欠点です。この場合はスパイラルタップを回転させて進行方向にねじ込んだ直後に,逆回転させて,進行方向とは逆に移動させて切りくずを排出するなどの手間が必要です。

(切削力が大きい)
スパイラルタップはらせん状の刃を持っているため、直溝タップよりも切削力が大きくなります。そのため加工する材料が硬かったり加工する深さが深かったりする場合、スパイラルタップの切削力に耐えられずにタップが折れてしまうことがあります。

(加工面が荒れる)
スパイラルタップは切りくずを外に排出するため、切りくずが加工面に付着することは少なくありません。このため直溝タップに比べて加工面が荒れやすく、表面の仕上がりが悪くなることがあります。特に切削速度が速すぎると、切りくずが熱で焼き付いてしまうことがあるため、適切な切削速度で加工することが必要です。

スパイラルタップのその他情報

スパイラルタップは、高い剛性と耐久性が求められる工具であるため、一般的にHSS(高速度度鋼)やカーバイト(硬質合金)で作られています。

HSSは、鉄、炭素、モリブデン、クロム、バナジウムなどの合金を主成分とした鋼材で、高い硬度と耐摩耗性、耐熱性を持っていることが特徴です。このためHSSは高速切削工具の材料として広く用いられています。

一方、カーバイトは、タングステン、チタン、コバルト、クロムなどの金属を主成分とした硬質合金です。非常に硬く、高い耐磨耗性、耐摩耗性、耐熱性を持っています。カーバイトはHSSよりも硬くて刃先を薄くできるため、高精度での切削加工に適しています。

電気チェーンブロック

電気チェーンブロックとは

電気チェーンブロック

チェーンブロックとは運搬機器の一種で、重量物を安全に持ち上げられる機器です。手動式と電動式の機器があり、電動モーターによって荷物を持ち上げるタイプのものが電気チェーンブロックです。なお、チェーンブロックは単体で使用するものではなく、天井から吊り下げたり三脚と組み合わせて使用します。このような使い方では荷物の上げ下げしかできませんが、天井クレーンや門型クレーンと組み合わせると荷物の移動も可能になります。

電気チェーンブロックの使用用途

チェーンブロックは、重量物を吊り下げるあらゆる現場で使用されています。例えば簡易三脚とチェーンブロックを使用すれば、狭い現場でもトラックなどから重量物の積み下ろしを安全に行うことが可能です。またチェーンブロックは持ち運びが容易であるという利点を生かして、解体現場で地中に埋め込まれた基礎を引き抜いたり、伐採した大きな樹木の根の部分を引き抜く作業などにも利用されることがあります。その他、チェーンブロックをより小型化した工具としてレバーブロックという機器も存在します。

電気チェーンブロックの原理

手動チェーンブロックは組み合わせ滑車を元に設計されています。滑車の仕組みは学校の授業で習った人もいるかもしれません。この機器ではチェーンは環状になっており、歯型を付けた組み合わせ滑車に組み合わせてあります。この環状になったチェーンを手動で引くことにより、人力でも重量物を持ち上げることを可能としています。

一方電動式チェーンブロックは滑車部位が電動モータとなっており、幾つかのギアを組み合わせて十分なトルクを発生させています。一般的に同等のサイズの手動チェーンブロックよりも釣り上げ能力は低い傾向があります。また電動チェーンブロックは比較的重量が大きく、また電源が必要になることから移動して使用する用途には向きません。このため、工場内など門型クレーンなどと組み合わせて、ある決まった作業をさせるような作業には適しています。

なお、電動式とはいえ野外でも使用可能で、ほとんどの製品が防塵性や防水性をはじめ耐久性を有しています。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/chain_block/#ABOUTCHAINBLOCK

組ヤスリ

組ヤスリとは

組ヤスリ

組ヤスリは複数の種類のヤスリを一組にまとめたものです。組ヤスリには平型・丸型・三角型など、ヤスリの断面形状が異なる種類があります。それぞれの切削面の形状が異なるため、用途に合わせて使い分けられます。
組ヤスリは金属加工や木工などの手作業において、細かい部分の仕上げやバリ取りなどに使用されます。また本数が多いほど、形の種類が増えるため、より幅広い用途に対応できます。組ヤスリの種類や形状によって異なりますが、切削量が多く荒取りに適しているものや、細かい面取りや仕上げに適しているものがあります。

組ヤスリの使用用途

1. 切断面の仕上げ

切断面に素材の切りくずが付着していたり切断面が荒れていたりする場合、組ヤスリから適切なヤスリを選んで切断面を仕上げます。

2. 研磨の仕上げ

電動の研磨機などを使って表面を研磨した際に十分に研磨できない部分があった場合、組ヤスリを使って表面を研磨して仕上げます。

3. 金型の微調整

プラスチック用の金型や金属部品用のプレス金型で、最終調整をする際に機械加工では対応できない箇所の修正に使用します。

4. 錆の除去

金属部品の表面が錆びている場合、できるだけ表面を傷つけないで錆を削り取るために使用することがあります。

5. 塗料の除去

金属やプラスチックや木材の表面に、塗料が付着している場合、できるだけ表面を傷つけないで塗料を削り取るために使用することがあります。

6. キズの除去

金属やプラスチックや木材の表面に、外観上で問題になるレベルのキズがある場合に、表面を磨きながらキズを削り取るために使用することがあります。

組ヤスリの原理

組ヤスリには複数の種類のヤスリが一式にまとめられています。機械加工では対応しづらい箇所の表面加工を、様々なヤスリを使用して、細かい手作業で仕上げることが,組ヤスリの原理です。

角穴のコーナー部に付着した切りくずを除去したりドリルであけた穴を微妙に拡大したりなど、機械加工をした後に手作業で仕上げることは頻繁にあります。

設計段階の試作品などを組み立てる場合は、部品の精度がないことが多く微調整をすることが多くなり,その際に組ヤスリは非常に便利な工具です。

組ヤスリの種類

組ヤスリのセットには、一般的に数本から十数本まで様々な種類があります。セットに含まれるヤスリの種類や本数は、メーカーや販売店によって異なります。一般的に、組ヤスリのセットには、複数の種類のヤスリがセットになっており、それぞれが異なる用途に使われます。

組ヤスリの中に含まれているヤスリの種類には以下のようなものがあります。

1. 平ヤスリ

幅広い面積を均一に削るために用いられます。

2. 角ヤスリ

平面の角を削るために用いられます。

3. 丸ヤスリ

曲面を削るために用いられます。

4. 半丸ヤスリ

角やエッジを滑らかにするために用いられます。

5. 三角ヤスリ

狭いスペースに入り込んで削るために用いられます。

6. 楕円ヤスリ

曲線の部分や凹凸のある部分を削るために用いられます。

組ヤスリの特徴

長所

(様々な用途に対応できる)
平面の研削や曲面の研削をしたり丸穴の縁や角穴の縁を削ったりするなど、様々な作業に対応できます。

(仕上げ作業に適している)
手作業による仕上げでは、あるヤスリで表面を削った直後に表面の状態を確認し、次は別のヤスリで表面を削る作業を繰り返すことがあります。複数の種類が一式にまとめられている組ヤスリは便利です。

(作業効率が上がる)
組ヤスリには、形状や目の粗さや硬度の異なる種類のヤスリが入っていることがメリットです。組ヤスリは箱や収納袋にまとめられていることが多く、作業現場に必要なヤスリを持って行く場合でも時間も手間もかからないので便利です。

短所

(ヤスリの刃が破損する可能性がある)
組ヤスリを使って作業をする場合,ヤスリを複数本使うことが多く,それらのヤスリの刃がぶつかって刃を破損する可能性があります。

(適切でないヤスリを使用する可能性がある)
組ヤスリは複数の種類のヤスリが一式になっていますが、作業後に作業者が間違って組ヤスリに含まれていないヤスリと入れ替えて保管する場合があります。適切でないヤスリで表面を削ると、必要以上に表面を削ったりなかなか表面を削れなかったりキズが残ったりするなどの不具合が発生する可能性があります。

(メンテナンスを忘れる可能性がある)
組ヤスリに含まれているあるヤスリの刃が破損して使えない場合でも,組ヤスリに含まれている別のヤスリで代用できる場合が多いのですが、これが原因で破損したヤスリを修理したり買い換えたりすることを忘れることがあります。そうすると実際に作業をする際に、必要なヤスリが使えない可能性があります。

組ヤスリのその他情報

組ヤスリを正しく使うためには、ヤスリの組み合わせを常に正しく保つことが必要です。例えば、木材と金属とプラスチックの表面加工をする可能性がある作業現場では、組ヤスリの中のヤスリの種類を正しく維持していないと,木工用のヤスリで金属の表面を削ってしまう可能性があります。

作業者の経験が浅い場合、ヤスリの区別ができずに誤用してしまう可能性があります。ヤスリの柄の部分にテープを貼って区別するなどして、ヤスリの誤用を防止することが大切です。

また組ヤスリの入った箱や袋から必要なヤスリだけを抜き出して作業した後に、そのヤスリを収納していた箱や袋に戻すのを忘れてしまうと、最終的に使ったヤスリを紛失してしまうこともあります。そうすると使いたいときに、使いたいヤスリがないという状況になってしまいます。

組ヤスリは全てのヤスリを使える状態にしておくことが重要です。そのためにはヤスリの目詰まりを掃除したり、ヤスリを修理したり交換したりするなどメンテナンスが必要になります。