組ヤスリとは
組ヤスリは複数の種類のヤスリを一組にまとめたものです。組ヤスリには平型・丸型・三角型など、ヤスリの断面形状が異なる種類があります。それぞれの切削面の形状が異なるため、用途に合わせて使い分けられます。
組ヤスリは金属加工や木工などの手作業において、細かい部分の仕上げやバリ取りなどに使用されます。また本数が多いほど、形の種類が増えるため、より幅広い用途に対応できます。組ヤスリの種類や形状によって異なりますが、切削量が多く荒取りに適しているものや、細かい面取りや仕上げに適しているものがあります。
組ヤスリの使用用途
1. 切断面の仕上げ
切断面に素材の切りくずが付着していたり切断面が荒れていたりする場合、組ヤスリから適切なヤスリを選んで切断面を仕上げます。
2. 研磨の仕上げ
電動の研磨機などを使って表面を研磨した際に十分に研磨できない部分があった場合、組ヤスリを使って表面を研磨して仕上げます。
3. 金型の微調整
プラスチック用の金型や金属部品用のプレス金型で、最終調整をする際に機械加工では対応できない箇所の修正に使用します。
4. 錆の除去
金属部品の表面が錆びている場合、できるだけ表面を傷つけないで錆を削り取るために使用することがあります。
5. 塗料の除去
金属やプラスチックや木材の表面に、塗料が付着している場合、できるだけ表面を傷つけないで塗料を削り取るために使用することがあります。
6. キズの除去
金属やプラスチックや木材の表面に、外観上で問題になるレベルのキズがある場合に、表面を磨きながらキズを削り取るために使用することがあります。
組ヤスリの原理
組ヤスリには複数の種類のヤスリが一式にまとめられています。機械加工では対応しづらい箇所の表面加工を、様々なヤスリを使用して、細かい手作業で仕上げることが,組ヤスリの原理です。
角穴のコーナー部に付着した切りくずを除去したりドリルであけた穴を微妙に拡大したりなど、機械加工をした後に手作業で仕上げることは頻繁にあります。
設計段階の試作品などを組み立てる場合は、部品の精度がないことが多く微調整をすることが多くなり,その際に組ヤスリは非常に便利な工具です。
組ヤスリの種類
組ヤスリのセットには、一般的に数本から十数本まで様々な種類があります。セットに含まれるヤスリの種類や本数は、メーカーや販売店によって異なります。一般的に、組ヤスリのセットには、複数の種類のヤスリがセットになっており、それぞれが異なる用途に使われます。
組ヤスリの中に含まれているヤスリの種類には以下のようなものがあります。
1. 平ヤスリ
幅広い面積を均一に削るために用いられます。
2. 角ヤスリ
平面の角を削るために用いられます。
3. 丸ヤスリ
曲面を削るために用いられます。
4. 半丸ヤスリ
角やエッジを滑らかにするために用いられます。
5. 三角ヤスリ
狭いスペースに入り込んで削るために用いられます。
6. 楕円ヤスリ
曲線の部分や凹凸のある部分を削るために用いられます。
組ヤスリの特徴
長所
(様々な用途に対応できる)
平面の研削や曲面の研削をしたり丸穴の縁や角穴の縁を削ったりするなど、様々な作業に対応できます。
(仕上げ作業に適している)
手作業による仕上げでは、あるヤスリで表面を削った直後に表面の状態を確認し、次は別のヤスリで表面を削る作業を繰り返すことがあります。複数の種類が一式にまとめられている組ヤスリは便利です。
(作業効率が上がる)
組ヤスリには、形状や目の粗さや硬度の異なる種類のヤスリが入っていることがメリットです。組ヤスリは箱や収納袋にまとめられていることが多く、作業現場に必要なヤスリを持って行く場合でも時間も手間もかからないので便利です。
短所
(ヤスリの刃が破損する可能性がある)
組ヤスリを使って作業をする場合,ヤスリを複数本使うことが多く,それらのヤスリの刃がぶつかって刃を破損する可能性があります。
(適切でないヤスリを使用する可能性がある)
組ヤスリは複数の種類のヤスリが一式になっていますが、作業後に作業者が間違って組ヤスリに含まれていないヤスリと入れ替えて保管する場合があります。適切でないヤスリで表面を削ると、必要以上に表面を削ったりなかなか表面を削れなかったりキズが残ったりするなどの不具合が発生する可能性があります。
(メンテナンスを忘れる可能性がある)
組ヤスリに含まれているあるヤスリの刃が破損して使えない場合でも,組ヤスリに含まれている別のヤスリで代用できる場合が多いのですが、これが原因で破損したヤスリを修理したり買い換えたりすることを忘れることがあります。そうすると実際に作業をする際に、必要なヤスリが使えない可能性があります。
組ヤスリのその他情報
組ヤスリを正しく使うためには、ヤスリの組み合わせを常に正しく保つことが必要です。例えば、木材と金属とプラスチックの表面加工をする可能性がある作業現場では、組ヤスリの中のヤスリの種類を正しく維持していないと,木工用のヤスリで金属の表面を削ってしまう可能性があります。
作業者の経験が浅い場合、ヤスリの区別ができずに誤用してしまう可能性があります。ヤスリの柄の部分にテープを貼って区別するなどして、ヤスリの誤用を防止することが大切です。
また組ヤスリの入った箱や袋から必要なヤスリだけを抜き出して作業した後に、そのヤスリを収納していた箱や袋に戻すのを忘れてしまうと、最終的に使ったヤスリを紛失してしまうこともあります。そうすると使いたいときに、使いたいヤスリがないという状況になってしまいます。
組ヤスリは全てのヤスリを使える状態にしておくことが重要です。そのためにはヤスリの目詰まりを掃除したり、ヤスリを修理したり交換したりするなどメンテナンスが必要になります。