セラミック発振子

セラミック発振子とは

セラミック発振子とは、電子デバイスの一種であり、振動するセラミック (チタン酸ジルコン酸鉛が主流) を使用して、特定の周波数で振動する現象を利用した電子部品です。

発振子の素材としては、調整が不要で安定性にも優れている水晶がよく使われていますが、高価で形状が大きくなる欠点があります。セラミック発振子は安価で形状が小さいため、多くの電子機器で使用されています。

ワンチップ・マイコンのような機器では、基準クロックの要求精度が比較的緩いため、セラミック発振子で十分に対応が可能です。

セラミック発振子の使用用途

主にデジタル回路における基準クロックの発振回路に使用されますが、対象となる装置は、下記の通り多岐に渡ります。特に、小型/軽量化を優先する場合に積極的に採用されています。

  • デジタル時計やスマートウォッチ
  • 電子レンジや電子オーブンなどの家電製品のタイマー
  • 自動車のエンジン制御ユニット (ECU)
  • 音響機器や楽器のチューニング
  • データ通信機器のクロック信号発生
  • 計測機器や制御装置のタイミング制御
  • ロボットや自動制御システム
  • メディカルデバイスのタイマーや制御装置
  • 電子錠やセキュリティシステムのタイミング制御
  • モバイルデバイスのバッテリーマネジメント

セラミック発振子の原理

セラミック発振子の原理は、圧電効果 (ピエゾ効果) に基づいています。

1. 圧電効果

セラミック材料は、圧電効果によって物理的な変形と電気信号の相互変換が可能です。圧電効果とは、物質に力が加わるとその物質が微小な変形を起こし、同時に電荷が生じる現象です。

2. 振動生成

セラミック発振子では、セラミック材料に電圧を加えることで圧電効果が働き、セラミックが微小な変形を起こします。この変形によりセラミック材料は振動を発生させますが、振動の周波数はセラミック材料の物理的な特性によって定まります。

3. 振動のフィードバック制御

セラミック発振子は、振動をフィードバック制御することで安定した振動を維持します。セラミック材料が振動すると、この振動から発生する電圧が制御回路によって検出されます。

制御回路は検出された振動電圧から適切な電圧をセラミック材料に供給 (フィードバック) して振動を制御します。

4. 信号出力

セラミック振動子が振動を続けると、そこから発生する電圧は制御回路を介して外部に出力されます。これを利用して特定周波数のクロックを作ります。

セラミック発振子の特徴

セラミック発振回路は、水晶発振回路やLC発振回路と比較していくつかの特徴があります。

1. 小型/軽量

セラミック発振回路は、セラミック材料が比較的小型であり、回路全体がコンパクトに設計できます。これにより、デバイスやシステムの小型化や軽量化が可能になります。

2. 低コスト

セラミック材料は比較的安価で入手可能です。また、セラミック発振回路の製造コストも比較的低いため、大量生産に適しています。

3. 消費電力の低さ

セラミック発振回路は、一般的に低い消費電力で動作します。これにより、電力効率が向上し、バッテリー駆動の機器や省エネルギー設計に適しています。

4. 高い信頼性

セラミック材料は堅牢で信頼性が高く、振動の安定性があります。また、セラミック発振回路は熱や振動に対して比較的耐性があり、広範な動作温度範囲に対応できます。

5. 幅広い周波数範囲

セラミック発振回路は、幅広い周波数範囲で動作することができます。さまざまな周波数要件に対応できるため、多様なアプリケーションに適用可能です。

セラミック振動子のその他情報

セラミック振動子の欠点

水晶発振回路やLC発振回路に比べて、セラミック発振回路の制約も存在します。例えば、周波数の安定性や温度変動特性が水晶発振回路より劣ります。

また、特定の周波数範囲や高い周波数の発振等では、水晶発振回路の方が対応範囲が広く、適しています。LC発振回路では広い範囲で自由に発振周波数可変することができますが、セラミック発振回路では基本的に発振周波数を変えることはできません。

参考文献
https://www.kansaidenshi.com/product/ceramic/
http://kousyuha-kiban.com/zais-3.html
https://www.kansaidenshi.com/product/ceramic/
https://ceramic.co.jp/about
https://sudoteck.way-nifty.com/blog/2011/12/post-23d1.html

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