コンターマシン

コンターマシンとは

コンターマシン

コンターマシンとは、鈑金や鋼材を切断するための工作機械です。

帯鋸盤やバンドソーとも呼ばれます。金属の輪にのこぎりの刃が付いた帯鋸を回転させることで、鈑金や鋼材を切断します。

加工物にあらかじめケガキを行い、その線に沿って加工物を動かしながら押し付けて加工する機械です。比較的小型のコンターマシンであれば、直線だけでなく、アールを付けるなど任意の形状に加工可能です。そのため、多様なデザインへの対応が期待できます。

一方、大型のコンターマシンは、厚みのある鋼材を切断することを目的としており、切断加工時の自由度は小型のものと比べて少々制限されます。しかし、その分厚い材料に対しても迅速かつ正確に切断できるため、さまざまな産業で重宝されています。

コンターマシンの使用用途

コンターマシンは、金属材料の切断加工に幅広く使用されています。具体的には、長尺物の鋼材を所定のサイズに切断したり、フライス盤で仕上げる前の材料の粗取り加工、そして任意の形状に鈑金を素早くカットしたりする用途があります。

鈑金加工や金型製作、鉄工所など、金属材料を日常的に扱う業界では欠かせない存在です。粗取り加工を行うことで、仕上げ作業にかかる手間が格段に短縮され、効率化が図られます。また、大型のコンターマシンでは、鋼材をセットしボタンを押すだけで切断が完了する自動化された製品もあります。

さらに、据え付けの大型機械だけでなく、建築現場に持ち込めるポータブルタイプの小型コンターマシンも存在します。コンターマシンを上手に使用することで、作業性の向上が実現可能です。

コンターマシンの原理

コンターマシンは、金属材料を切断するための工作機械で、原理は帯鋸を用いた切断方法に基づいています。帯鋸とは、金属の輪にノコギリの刃が付いたものです。帯鋸が高速で回転することで、金属材料の切断が可能となります。

まず加工物にケガキと呼ばれる目印を付けます。ケガキにより、切断するべき場所が明確になり、作業者が線に沿って加工物を動かしやすくすることが可能です。次に、加工物をコンターマシンにセットし、帯鋸が高速で回転する中で、加工物を押し付けながら切断します。

コンターマシンには、小型のものと大型のものがあります。小型は直線だけでなく、曲線やアールを付けるような任意の形状に加工が可能です。複雑な形状の金属材料を切断する際にも対応できます。

一方、大型のコンターマシンは、厚みのある鋼材の切断を主な目的としているため、切断加工時の自由度は小型のものと比較して若干制限されますが、厚い材料も迅速かつ正確に切断できます。

コンターマシンの種類

コンターマシン (バンドソー) の種類は、大きく分けて以下の4つがあります。

1. 卓上横型タイプ

卓上横型タイプは、比較的小型で持ち運ぶことも可能なサイズです。建築現場などで金属パイプ、板材、L字アングル、H鋼などの切断に使用されます。しかし、自在に任意の形状に切断することはできません。直線、及び設定した角度で切断する事が可能となります。

2. 卓上縦型タイプ

卓上縦型タイプは木材やアルミなど、比較的柔らかい材料の切断に使用されます。加工物を刃に押し当てて切断するため、自由自在に任意の形状に切断することが可能です。

3. 据付タイプ

据付タイプは、主に製造業など金属材料を扱うところで使用されます。据付タイプも横型、縦型の2種類があり、大きな鋼材を自動で切断したいのか、鈑金や比較的薄い鋼材を任意の形状に切断したいのかによって使い分ける必要があります。

4. ポータブルタイプ

ポータブルタイプは、その場で切断する必要がある材料や高所での作業などで活躍します。コードレスでストレスなく作業できる充電式が一般的です。

しかし、一定の角度で刃を当てないと、帯鋸が折損してしまう場合があります。自由度が高い反面、他のタイプに比べると帯鋸の折損頻度は高くなる傾向にあります。

参考文献
http://www.aero.kyushu-u.ac.jp/com/mshop/Pdf/Saw.pdf
http://www.andosaw.co.jp/pdf/catalogue.pdf
http://www.nccgp.co.jp/machine/
http://www.endokikai.com/catalog/html/products/detail.php?product_id=2436

ケーブルハーネス

ケーブルハーネスとは

ケーブルハーネス

ケーブルハーネス (英語:cable harness) とは、電源供給や信号通信に用いる複数の電線を束にして、端部にコネクタを取り付けたものです。

ケーブルは多芯の電線を意味します。主な使用用途は、FA、車載などにおける電子機器間での情報授受です。

自社製品に合わせて独自に用意するケースもあれば、汎用部品が入手できるサイト経由で自己手配の上、自作するケースもあります。多種多様で自動化による生産に不向きなため、大半は手作業で生産されています。

ケーブルハーネスの使用用途

ケーブルハーネスはFA (ファクトリーオートメーション) 、CASE (コネクテッド・オートノマス・シェアサービス・エレクトリック、自動自律運転電動化) 対応におけるxEV (電動車) などの電子機器間の通信授受を目的に利用されます。

民生機器の分野では、エアコン・冷蔵庫・電子レンジなどの家電製品に、電気信号の授受や電源の供給に使用します。テレビ・音楽プレイヤーなどのAV機器・パソコン・コピー機などのオフィス機器に使用するハーネスは、自動車用などと比較して、構造が単純で短いものが多くあります。

医療機器では、血圧計・心電図・血管撮影装置などの小型~中型のものから、MRI・CT・X線装置・超音波診断装置など大型のものまでケーブルハーネスが使用されています。自動車や医療機器などを製造する生産設備の現場では、多くの業種のケーブルハーネスが使われています。また、工場のFA化で導入されるロボットの制御にも使用されます。

ケーブルハーネスの原理

ケーブルハーネスは、各種機器に動力となる電力と、機器制御のための電気信号を伝達する役割をし、自動車や様々な機械装置に組み込まれています。

産業用途で使用される通信方式は多くあり、CAN通信・Ethernet通信・CC-LINK通信などの方式が一般的です。民生用途では、音声や映像やデータファイルなどのデータのやり取りをするためのデータ受送信用ケーブルやネットワーク通信用ケーブルには、専用コネクタやUSBコネクタが使用されます。

ケーブルハーネスに使用するケーブルは、複数本のワイヤーをシースで覆ったものです。そのシースをワイヤーの保護材として利用します。特に移動する制御機器への配線は、早期の断線を防ぐため、動く部分のみ耐屈曲性に優れた可とうケーブルを使用します。

ケーブルハーネスのその他情報

1. ケーブルハーネスのメリット

配線が複雑になると他の線や部品と干渉してしまったり、揺れや振動などによりケーブルが摩耗することがあります。そのため、ケーブルをハーネスでまとめることでケーブルの保護に繋がります。

また、ケーブルによっては、火や油・ノイズ等などの環境耐性を機能として持たせることができるのもメリットの一つです。さらに、ケーブルがまとまっていることで取り付けが簡単になることや、簡略化によって間違い防止につながるなどのメリットがあります。

2. ケーブルハーネスの今後

ケーブルハーネスは、特に自動車での進化が大きいと言えます。自動車に様々な機能が増えている中、それぞれの機器や部品に対してケーブルハーネスで繋ぐため、ハーネスが増加傾向になっています。1台の車に対して多いものでは2,000本を超えており、全体の長さは3,000~4,000mほどの長さにもなると言われています。

今後は、材料の変化や軽量化など取り組むべき課題は多いです。これまでケーブルハーネスの材料として主流であっただけではなく、アルミの普及が進んでいます。さらに、電気自動車やハイブリット車の需要拡大で、ケーブルハーネスの需要も共に高まっています。

一方で、消費者の行動変化も起こりつつあり、自動車の機能のニーズも多様化していくことも予想されています。ケーブルハーネスも自動車の重要な部品であることから、こうした需要の変化やテクノロジーの進化に合わせながら変化していく必要があります。

参考文献
http://wireharness.jp/feature/2017/02/27/14/
https://xtech.nikkei.com/dm/article/NEWS/20141021/384001/
http://wireharness.jp/feature/2017/02/27/14/
http://wireharness.jp/feature/2017/03/31/157/

ケーブルコネクタ

ケーブルコネクタとは

ケーブルコネクタ

ケーブルコネクタ(英語:Cable connector)とは電気電子機器や生産設備間を通信するための通信ケーブルを接続するために使用されるコネクタのことです。ケーブルコネクタはそれぞれの通信方式毎に仕様が異なるため、使用目的、使用用途に応じて使い分けすることが重要となります。

ケーブルコネクタの使用用途

1. 産業用途

産業用途におけるケーブルコネクタの主な使用用途は、大きな装置間などの接続です。具体的には、生産設備施工時のマシン間インターロック通信施工や、電気電子機器の製造における電子機器間の通信或いは通信のための制御信号授受のためなどに使用されてます。

ケーブルコネクタは、通信仕様に応じた規格に対応するタイプに大別でき、使用目的や使用条件に合ったタイプのコネクタを選ぶことが必要です。産業用途で使用される通信方式は多岐に渡っており、CAN通信、Ethernet通信、CC-LINK通信などの方式が一般的です。

例えば、CC-LINK通信対応のケーブルコネクタは、建屋別の生産設備監視のためのCC-LINK通信による通信するケーブル間の接続を行っています。CAN通信対応コネクタは、RS-485通信などによりバッテリーマネジメントシステムと電池本体間の信号授受用のCAN通信コネクタとして使用されています。

2. 民生用途

ケーブルコネクタの使用用途として、個人若しくは法人などにおけるデータのやりとりなどを行う民生用途も挙げられます。民生用途は、大きく分けると以下の2つです。

データ受送信用ケーブルコネクタ
音声や映像やデータファイルなどのデータのやり取りをするためのケーブルコネクタです。以前はマウスやキーボード専用のコネクタも多くありましたが、現在はUSBタイプのものが増えてきました。

USBタイプはデータファイルのやり取りや周辺機器の電源供給など、日常生活でよく使われている一番認知度の高いケーブルコネクタです。以前はタイプAのUSBが一般的でしたが、最近はタイプCの利用が増えつつあります。

ネットワーク通信用ケーブルコネクタ
ネットワークを通信するためのケーブルコネクタで、イーサネットケーブルなどが一般的です。これは、パソコンやディスプレイや周辺機器などの内部のデータ転送に用いるもので、MIDIケーブルやHDMIケーブルなどがよく使われます。

内臓ドライブやマザーボード、電源供給などの機器内部にも用いられており、シリアルATAやIDEケーブルなどが挙げられます。

ケーブルコネクタの種類

ケーブルコネクタは、一般的に通信仕様に応じた評価項目が設定されており、その規格に対応する形で各種メーカー毎に生産製造されています。しかし、ケーブルコネクタは似たような見た目のものが多いため、型番等を確認してからの購入が必要です。

使用したい機器の仕様書などを確認しながらケーブルコネクタを選ぶ必要があります。代表的なケーブルコネクタを下記で4つ紹介します。

1. D型コネクタ

電力情報、制御信号等を設備間、機器間で受け渡しするために使用されるものです。

2. CAN通信コネクタ

CAN(Controller Area Network)は主として車載内における電気電子機器間の制御ネットワークを構築するために開発されたもので、その通信に使用されるコネクタです。

自動車業界においては、CASE対応が進み、自動車メーカーにとってはメーカーからモビリティサービスのプロバイダーへの変革期です。そこで、自動車内に使用されるCAN通信用ケーブルコネクタも今後のプロバイダーとしてのサービスに対応できるよう進化しています。

なお、ケーブルコネクタを用いた通信授受(ハンドシェイク)確認に関しては、各通信規格毎に詳細が設定されており、ケーブルコネクタを通じて取得したデータを上位コントローラーで処理するシステムになります。

3. ワンタッチコネクター

電子部品や基盤に配線をつなぐ場合に、コネクタを用いる場合もあります。中でもワンタッチコネクターと呼ばれるものは、図1に示すように本体に複数の貫通孔が設けられており、これら貫通孔にはお互いに電気的に接続された導電部が配されているのが一般的な構造です。

図2に示すように、貫通孔内にケーブルの導線を差し込み、導電部を接続させて複数の貫通孔内に配されたケーブル間を電気的に接続します。

ワンタッチコネクターの概念図

図1. ワンタッチコネクターの概念図(左) / 図2. ワンタッチコネクターの使用方法の概念図(右)

この導電部を接続する機構としては、導電部を下げるレバーを設けておき、レバーを下げるだけで電気的な接続を行う構造が多く用いられ、工具や配線を圧縮する作業も不要となることから、短時間での作業が可能です。

4. 防水コネクタ

ケーブルコネクタは電子部品同士の接続が用途の中心のため、基本的に水に濡れてしまうことは危険なので避けなければいけません。このため、屋外の照明や電気配線、船舶など防水の要素が必要なシーンに合わせて、防水コネクタと呼ばれるものもあります。

一般的な構造は、図3に示すように、対になる一方の防水キャップ内にコネクタ部を配し、もう一方の防水キャップ内にコネクタ部収納孔を設け、収納孔の先にコネクタ部と接続する端子を設ける構造です。

防水コネクタの構造

図3. 防水コネクタの構造

防水キャップの嵌合部にスクリュー部を設けておき、嵌合させる、もしくはシーリング材などで密閉するなどして防水性を確保しています。製品によって防止威勢が異なるので、どれぐらいの防水対策がされているかによって製品を選んでいきます。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/candata/example.jsp
https://www.atmarkit.co.jp/ait/subtop/features/windows/cableconnect_index.html
https://www.diylabo.jp/basic/basic-103.html
https://www.takachi-el.co.jp/main_cat/connector
https://kurashi-no.jp/I0020106

キャブタイヤケーブル

キャブタイヤケーブルとは

キャブタイヤケーブル

キャブタイヤケーブル(英語:Cabtyre cable)とは、固定式の配線施工を必要としない移動用電力供給ケーブルです。天井クレーン給電用など、駆動させるケーブルにおいて古くから使用されます。

キャブ(車)のタイヤのような、頑丈なゴムで覆われているという語源です。ただし、被覆はゴムだけでなくビニルも使用されます。キャブタイヤケーブルは使用環境や用途に応じて種類が分かれており、最適なものを選定する必要性があります。

キャブタイヤケーブルの使用用途

キャブタイヤケーブルは、製造業においても多く使用される電設部材の一つです。家庭内では、コンセントプラグ用ケーブルはキャブタイヤケーブルが使用されます。キャブタイヤケーブルの使用用途の代表例です。

産業用としては、主にはクレーンやエレベータ等の移動機器で使用します。第5世代通信網の基地局などで非常用電源供給を目的に施工されることもあります。

キャブタイヤケーブルの使用例を以下に記します。

  • 車載用半導体製造装置の電力供給用ケーブル
  • 第5世代通信基地局用バックアップ電源の電力供給用ケーブル
  • 天井クレーンやジブクレーンの給電用ケーブル
  • 扇風機のコンセントケーブル
  • エレベータの給電用ケーブルや、通信信号用ケーブル

以上のように、キャブタイヤケーブルは幅広い用途で使用されています。

キャブタイヤケーブルの原理

キャブタイヤケーブルも他ケーブルと同様で、導体を絶縁体とシースで保護する構造となります。キャブタイヤケーブルにはいくつかの種類がありますが、大別するとゴム系ケーブルとビニル系ケーブルの2種類です。

1. ゴム系キャブタイヤケーブル

2PNCTや3PNCTなどがゴム系キャブタイヤケーブルとなります。絶縁体やシースの材料がゴムです。対候性、耐油性、耐衝撃性に優れており、頑丈な被覆を持ちます。その特性から、主に電力供給用のケーブルとして使用されます。絶縁体が天然ゴム、シースがクロロプレンゴム(ネオプレン)のものを2RNCTや3RNCTと呼ばれます。

対して、絶縁体及びシース共に天然ゴムのものを1CTや2CTと呼びます。絶縁体がEPゴム(エチレンプロピレン)、シースがクロロプレンゴム(ネオプレン)のものを2PNCTや3PNCTと呼ばれ、最も多く使用されるゴム系キャブタイヤケーブルです。

2. ビニル系キャブタイヤケーブル

VCTやVCTFなどがビニル系キャブタイヤケーブルとなります。絶縁体やシースの材料がビニルです。柔軟性や経済性に優れますが、耐衝撃性などはゴム系に劣ります。家電製品のコンセントプラグ用ケーブルにはこのビニル系キャブタイヤケーブルが使用されます。また、多芯として制御信号用ケーブルとして用いられることも多くあります。主に低圧電圧回路で使用します。

キャブタイヤケーブルの種別

ゴムキャブタイヤケーブルは、グレード(種別)により1種から4種に分類されます。

1種キャブタイヤケーブル

天然ゴムキャブタイヤケーブルのことを言います。経済性と汎用性が高い特徴を持ちます。

2種キャブタイヤケーブル

シースにクロロプレンゴムを使用したキャブタイヤケーブルです。可とう導体、絶縁体及びシースで構成されるケーブルのことを言います。

3種キャブタイヤケーブル

シースの中間層を補強しキャブタイヤシースを二重にすることで、耐衝撃性や耐磨耗性を向上させたケーブルのことです。

4種キャブタイヤケーブル

線心間にクレードルコアを入れ、3種よりも耐衝撃性や耐磨耗性を向上させたケーブルのことです。

 

参考文献
https://www.hashimoto-kosan.jp/CT/info/
https://www.kdh.or.jp/safe/document/knowledge/cable08.html
https://www.hashimoto-kosan.jp/CT/class/
https://electric-facilities.jp/denki6/vct.html

カーボンブラシ

カーボンブラシとは

カーボンブラシ

カーボンブラシとは、モーターや発電機などに使用される導電性摺動部品です。

直流モーターや大型の発電機などに使用されます。摺動部品で摩耗するため、定期的な交換が必要な部品です。

摩耗限度線と呼ばれる刻印を超えて使用すると、モーターが故障する危険があります。

カーボンブラシの使用用途

カーボンブラシは、一部のモーターで使用される部品です。主に整流用、集電用、接地用の3つの用途で使用されます。

1. 整流用カーボンブラシ

整流用とは、直流モーターの巻線極性を反転させることを目的に使用される用途です。以下は整流用カーボンブラシの使用一例です。

  • 電動工具内部の直流モーター
  • 自動車のワイパーやドアガラスの駆動用モーター
  • 路面電車の走行直流モーター

バッテリー駆動の電動工具や車載装置などには直流モーターが付属しており、その内部にカーボンブラシが使用されます。

2. 集電用カーボンブラシ

集電用とは、回転体に電気を通過させることを目的に使用される用途です。以下は集電用カーボンブラシの使用一例です。

  • 天井クレーンなどに使用される巻線型誘導モーター
  • 回転体の計装信号送信用

回転体へ電力や電気信号を伝えるスリップリングという機器があり、内部にカーボンブラシが使用されます。混合機の内部温度発信など、用途はさまざまです。

交流モーターはカーボンブラシを持たないかご型誘導モーターが主流ですが、巻線型誘導モーターを選定した場合は二次巻線接続用にカーボンブラシを使用します。

3. 接地用カーボンブラシ (アースブラシ) 

電食防止の目的で使用される場合もあります。電食とは回転機器の回転軸に電気が流れることで、その軸受が電気分解によって腐食する現象です。

インバータ駆動のモーターや発電機において発生しやすい現象であり、カーボンブラシで回転軸を接地することで防止します。電食目的で軸を接地するカーボンブラシを「アースブラシ」または「接地ブラシ」とも呼びます。

カーボンブラシの原理

カーボンブラシはブラシ部分、リード線、スプリングなどで構成されます。

1. ブラシ部分

ブラシ部分は回転体と接して摺動する部分です。多くの場合は材料として黒鉛が使用されます。黒鉛が使用される理由は軽量でさびにくく、導電性で滑りが良いためです。

カーボンブラシ用のホルダの寸法に合わせてブラシの大きさを選定します。カタログ品も存在しますが、カーボンブラシメーカーに形状や寸法を問い合わせれば同様の製品を製作してもらえる場合が多いです。

2. リード線

リード線はブラシに接続された配線部分です。そのほとんどが撚線構造の裸銅線です。接続する端子台形状に合わせて端末の形状や大きさを選定します。

使用電流値が大きくなるほどリード線が太くなり、端子も大きくなることが多いです。

3. スプリング

スプリングはブラシ部分を整流子に押し当てるための圧力を加える部分です。ブラシホルダにがスプリング付きの場合は省略されることもあります。スプリングは一般的にリード線を取り囲むように取り付けられる場合が多いです。

カーボンブラシのその他情報

ブラシレスモーター

直流電源用モーターには、ブラシモーターが主流でした。ブラシモーターでは内部にカーボンブラシと整流子を使用します。したがって、直流モーターには経年ですり減るカーボンブラシの定期的な交換が必要であるという欠点がありました。

近年では、直流電源用モーターにブラシレスモーターを採用している製品も多く存在します。ブラシレスモーターは専用の電源ユニットで電源側を変調させることで、ブラシを使用しないモーターです。専用の電源ユニットが必要ですが、ブラシがないためメンテナンス性に優れており小型です。

ブラシモーターは構造が簡単で安価なため、速度制御が不要な場合に使用されます。ブラシレスモーターは速度制御や一定トルク運転をしたい場合に使用されます。

オイルセパレータ

オイルセパレータとは

オイルセパレータ

オイルセパレーターとは、油と水、または油と気体を分離する装置です。

オイルセパレーターには主に2種類のタイプがあります。1つは油中に混入した固体粒子や水分を取り除く油水分離器で、もう1つは油中に溶け込んでいる気体を取り除くための気体分離器です。ただし、後者を指してオイルセパレータと呼ぶことが多いです。

前者は排水に含まれるオイルを除去するために使用されることが多く、後者はエンジンオイルなどの潤滑油に混入した気体を分離するための装置です。

前者のオイルセパレータを使用しない場合、船舶や工場などの産業活動において油が排水に混ざって環境へ悪影響及ぼす可能性があります。後者のオイルセパレータがない場合、潤滑油に空気やブローバイガスが混入して潤滑油性能を低下させつつオイルクーラーで放熱効率も悪くなります。

オイルセパレータの使用用途

オイルセパレータは内燃機関や圧縮機などで広く使用される装置です。油水分離器と気体分離器に分けて使用用途を下記します。

1. 油水分離器

船舶のエンジンやボイラーなどから排出される機関油や重油を分離し、海洋環境への影響を低減するために使用されます。また、工場においては工業用油や冷却水、洗浄液などから油を分離して廃水処理やリサイクルなどに利用されます。医薬品・化粧品や食品の生産プロセスにおいては、油を分離するために使用される場合もあります。

2. 気体分離器

気体分離器は主に内燃機関や冷凍回路などにおいて、オイルを分離させる際に使用します。どちらも、高速で回転するクランク部品でオイルと気体が掻き回わされ、オイルに気体が混入しやすい環境下にあります。気体分離器を用いる事で、オイルの減りを抑制し、潤滑特性や放熱特性を維持することが可能です。

また、気体に含まれる酸素を取り除くことで、機械部品の防錆用としても使用されます。

オイルセパレータの原理

オイルセパレータの原理は油水分離器と気体分離器で異なります。

1. 油水分離器

油水分離器は油と水が異なる比重を持っていることを利用し、油を浮かせることにより分離を行います。一般的に油水分離器には内部に設置されたプレートやメッシュ、またはコイル状の管などによって構成されます。これらの部品によって液体を通過させる際に油を取り除き、油と液体を分離します。

液体は構造物を通過する際に濾過され、油は構造物に引っかかるように浮かせられて分離されます。その後、油は別のタンクに貯蔵され、液体は処理された後に排出されます。

2. 気体分離器

気体分離器は気体が液体に溶け込んでいる状態から分離するために、減圧や加熱、拡散などの方法を使用します。

一般的に気体分離器は油が入ったタンクに対して真空ポンプを使用し、タンク内の圧力を下げます。すると、液体中に溶け込んでいる気体が油から分離され、液体中の気泡が減少します。

また、加熱や拡散などの方法を併用することで、より効率的な気体分離が可能になります。その後、気体は別のタンクに貯蔵され、液体は処理された後に排出されます。

オイルセパレータの選び方

オイルセパレータを選ぶ際には、以下の点に留意して選定します。

1. 油水分離器

分離する油と水の種類と量を確認し、それに合った容量の油水分離器を選ぶことが重要です。分離能力は油滴の大きさや液体の流れ方、油の密度や粘度、油と水の比重差などに影響を受けます。そのため、使用環境や条件に合った油水分離器を選ぶ必要があります。

2. 気体分離器

気体分離器の性能には、分離対象の気体の種類や濃度、分離後の気体の純度などがあります。これらを考慮して、分離器の適切な性能を選ぶ必要があります。

また、気体分離器の分離方式は、拡散分離、遠心力分離、重力分離、凝縮分離などがあります。それぞれの特性に応じて、目的に合った気体分離器を選ぶ必要があります。

気体分離器の流量にも留意することが必要です。処理する気体の流量に合わせて、適切な流量の気体分離器を選ぶことが必要です。

参考文献
https://patents.google.com/patent/JP2007283290A/ja

エマルジョン塗料

エマルジョン塗料とはエマルジョン塗料

エマルジョン塗料とは、従来の油性塗料と水性塗料が持つ欠点をエマルジョン技法により改善した塗料です。

引火せず、粘度調整や添加剤の混和が容易な塗料です。エマルジョンは日本語で「乳化」を意味します。乳化とは、互いに混ざり合わない液体、油性成分と水性成分の一方を微粒子にして他方に分散させ混ざり合わせた状態にすることをいいます。

エマルジョン技術を最初に利用したのは米国で1927年にブタジエンの乳化剤分散液から合成ゴムの製造に成功しました。日本では1949年に酢酸ビニル系エマルジョン塗料が市販されています。

エマルジョン塗料の使用用途

エマルジョン塗料は、6割が建築用に使われています。油性塗料と比較して、揮発性有機化合物を抑えてシックハウス症候群対策ができるためです。特に水性のエマルジョン塗料は水で自由に薄めることができ、増粘剤により粘度調整が容易にでき、スプレー適性に優れています。モルタルのような吸湿性の高い面にも塗布しやすく、顔料や添加剤の混和も容易に行うことができます。

金属塗装には熱硬化性のアクリルエマルジョンが使用されます。塗装後に焼付けを行い、架橋反応を起こして硬度や密着性、耐水・耐溶剤性を向上させます。

過酷な条件下では耐候性・耐水性・耐アルカリ性に優れたアクリルなどで、金属塗装には熱硬化性のアクリルエマルジョンが使用されることがあります。塗装後に焼付けを行い、架橋反応を起こさせて硬度や密着性、耐水・耐溶剤性を向上させます。

エマルジョン塗料の原理

まず、水の中に分散しているエマルジョン粒子同士が塗装によって相互に近付き、密な状態に充填されます。水が蒸発していくと粒子表面にある保護層が破壊され、露出したポリマー表面で架橋が進み次第に癒着していきます。癒着した粒子は均一な皮膜になり、顔料が充填された塗膜となります。

乾燥時の温度が最低造膜温度を下回ってしまうと粒子の変形と癒着が起こらないために粉末となってしまい、充分な強度が得られません。そのため助剤を添加して反応を起こしやすくします。

多くのエマルジョンは一度凍結してしまうと元に戻らないため、凍結安定剤としてエチレングリコール等を添加したり親水モノマーの共重合によって安定を図ります。塗料の保存にあたり品質を安定させるために分散剤、増粘剤、安定剤、防カビ剤も適宜添加されます。

また、皮膜形成直後よりも一定時間が経過したもののほうが機械的強度が向上することが多く、これはポリマーの拡散が皮膜形成後も進行することによります。

エマルジョン塗料の種類

塗料は溶剤により大きく油性塗料と水性塗料とに分類できます。有機溶剤を使う油性塗料と水が溶剤の水性塗料とがあります。

エマルジョン塗料にも、溶剤系塗料と水性塗料があります。油性の溶剤の中に水の微粒子が浮いている状態の塗料が溶剤系塗料、水の溶液の中に油性の微粒子成分が混ざっている状態が水性塗料と呼ばれています。

油性塗料に使われている有機溶剤は環境や人体に有害なこともあり、メーカーは乳化した状態で安定させる物質である界面活性剤の開発などに力を入れ、水性塗料の改良をしてきました。その結果開発されたのが、油性顔料を分散させたエマルジョン塗料で、現在は水性エマルジョン塗料が主流になりました。

エマルジョン塗料の選び方

エマルジョン塗料の最も大きな特徴は「硬化」です。硬化は塗られた塗料が時間がたつにつれて水分が蒸発して硬い塗膜となることをいいます。硬化の仕方と塗膜の強度によって融着融合硬化と水性反応硬化に分類されます。

融着融合硬化は、分散している粒子が水や油が蒸発することにより、接近し融着し硬化する現象です。粒子自体が純粋に融着している状態なので塗膜の密着度は比較的弱いです。

一方、水性反応硬化は、あらかじめ粒子と一緒に混ぜ合わせておいた反応剤が水や油の蒸発に伴って粒子同士をくっつけて行きます。これを架橋反応とよんでいます。架橋反応がもたらす硬化は粒子間の三次元構造の融合なのでより強固な塗膜となります。塗料の耐久性を求める場合は反応剤が入った水性反応硬化型エマルジョン塗料が推奨されます。

エマルジョン塗料のその他情報

1. エマルジョン塗料の特徴

エマルジョン塗料は、人体への影響が少ないです。油性塗料は塗装後に溶剤成分が蒸発し塗膜が固まります。その際に人が吸い込むと、気分が悪くなり意識を失うこともあります。乾燥後もわずかに残った溶剤成分により、シックハウス症候群などの健康障害の原因にもなりますが、エマルジョン塗料は蒸発するものが水分のため健康に悪影響を与えることはありません。

しかし、油性塗料と比較して塗膜の接着性が悪いです。水に塗料を浮遊させているものなので、油性塗料より親水性があり、外壁など雨水に晒される個所では塗装が剥がれやすい難点があります。難点を補うために、何層も重ねて塗装するなど工夫が必要です。

2. 塗料のグレード

塗料のグレードは耐久性によって異なります。主にアクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料の順で耐久性が高く価格も高価になります。このうち塗料の耐久性と価格のバランスが一番取れているのはシリコン塗料です。

多くの塗装工事で使われ現在の主流となっているのがシリコン塗料です。耐久性を重視したい場合はフッ素塗料、耐久性よりも初期コストを抑えたいときはアクリル塗料やウレタン塗料が使われます。

  • アクリル塗料
    最も安価で、耐久性が極端に低く外壁ではほとんど使われない
  • ウレタン塗料
    低価格で耐久性が低い。外壁で使う塗料の最低グレード
    シリコン塗料:価格と耐用年数の費用対効果がもっとも良く現在の主流
  • フッ素塗料
    耐用年数は長いが価格が高い

3. シックハウス症候群 

シックハウス症候群は、住宅の高気密・高断熱化にともない、建材・内装材に含まれる揮発性有機化合物による室内の空気汚染が原因で発症すると考えられた健康障害の総称です。

ホルムアルデヒドトルエンなどの揮発性有機化合物を多く含んだ建材・素材が原因とされました。2002年に建築基準法の改正に伴い、原因物質の使用が規制されています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/22/11/22_11_944/_pdf/-char/en
https://www.nissin-chem.co.jp/emulsion/
https://www.diy-shop.jp/contents/diy-school-paint/paint_type_emulsion.html
https://www.yuzu-tosou.com/category/paint_search/paint_type/emulsion/
https://www.dnt.co.jp/technology/technique/pdf/giho16-28.pdf

エアバランサ

エアバランサとは

エアバランサとは、工業現場や製造業において使用される荷役機器です。

作業者が重い荷物や工具を持ち上げたり操作したりする際に、荷重を支援しバランスを取る役割があります。エアバランサは、空気圧を利用して荷物の重量を相殺し、作業者が荷物を軽く感じるようにすることが可能です。

具体的には、吊り下げられた荷物を空気の力で浮かせ、バランスを保ちながら上下左右に移動できるようになっています。これにより、作業者の負担が軽減され、作業効率が向上します。

エアバランサは、作業者が荷物を指示通りに操作しやすくするだけでなく、作業環境の安全性を高める一環としても重要です。

エアバランサの使用用途

エアバランサの使用用途は、以下の通りです。

1. 組み立て作業

大きな部品や機器を組み立てる際に、エアバランサを使用して作業者が部品を持ち上げるのを容易にすることができます。これにより、正確な位置に部品を配置する作業が容易になります。

2. 運搬と移動

重い荷物や部品を運搬したり、作業エリア内で移動させたりする際にエアバランサを使用します。これにより、作業者の負担を軽減し、作業効率を向上させることができます。

3. 装置の取り付けと取り外し

工業機器や設備の取り付けや取り外しの際にエアバランサを使用して、作業者が機器を持ち上げ、正確な位置に配置できるようにサポートします。

4. 塗装や仕上げ作業

車両や製品の塗装や仕上げ作業において、エアバランサを使用して塗装銃や仕上げツールを正確に操作できるようにすることがあります。

5. 検査とメンテナンス

機械や設備の検査やメンテナンス作業において、作業者が必要な道具や機器を容易に取り扱えるようにするために使用されます。

6. 製品の搬送と積み下ろし

製品や材料の搬送、トラックへの積み下ろし作業において、エアバランサを使用して効率的な荷役を行います。

7. 狭いスペースでの作業

狭い作業スペースや高い場所での作業において、エアバランサを使用して作業者の動きをサポートし、作業を容易にすることがあります。

エアバランサの原理

エアバランサは内部の空気圧調整によって荷物に浮力を与え、作業者の負担を軽減し作業効率を向上させる原理を利用しています。本体内部に空気圧を調整する機構を備えており、空気圧の調整によって荷物の重量に対するバランスを取ることが可能となります。

エアバランサの吊り下げ部に荷物や工具を取り付けると、エアバランサ内部の空気を一定の圧力で保ちつつ、吊り下げ部を上下に移動させることが可能です。また、エアバランサ内部の圧力調整機構によって一定の空気圧が保たれます。

この圧力によって、荷物にかかる重力とエアバランサ内部の空気圧とのバランスが取られます。エアバランサ内部の空気圧が荷物の重力とバランスすると、荷物は浮力を持つようになります。

これにより、作業者が荷物を持ち上げる際に必要な力を軽減することが可能です。エアバランサは、作業者が荷物を簡単に上下に移動させることができるように設計されています。作業者はわずかな力で荷物を操作し、必要な位置に配置することができます。

エアバランサの種類

エアバランサの主な種類は以下の通りです。

1. ロープ式エアバランサ

吊り下げられた荷物をロープやケーブルを通じて支持するタイプのエアバランサです。一般的な作業用途に適しています。

2. ホース式エアバランサ

エアバランサ本体から伸びるフレキシブルなホースを介して荷物を吊り下げます。作業範囲が広く、狭いスペースでの作業に適しています。

3. バランサーアーム式エアバランサ

長いアームを持っており、そのアームの先に荷物を吊り下げます。アームの長さや形状によって、作業範囲やアクセス性を調整できます。

4. 空気バッグ式エアバランサ

荷物を支持するために空気バッグを使用します。荷物の形状に合わせてバッグを調整できるため、形状や作業が特殊な場合に適しています。

5. 吸着カップ式エアバランサ

平らな表面の荷物を吸盤や吸着カップを使用して吊り下げます。ガラスや金属板などの素材を取り扱う際に便利です。

6. 複数ワークステーション用エアバランサ

 複数の作業ステーションで使用するために設計されています。1つの本体から複数の吊り下げ部を操作できるようになっています。

7. 高能率エアバランサ

重い荷物や部品を素早く持ち上げ、操作できるように持ち上げ速度が速く、正確な制御を提供するタイプです。

参考文献
http://www.endo-kogyo.co.jp/japanese/product/air-balancer/index.html
http://www.hitachi-juki.com/products_intro.html

プラズマ切断機

プラズマ切断機とは

プラズマ切断機

プラズマ切断機 とは、プラズマ切断を行うための工作機械です。

そもそもプラズマ切断は、アーク放電と呼ばれる現象を利用した切断方法を指します。アーク放電は電流が狭い通路に集中した時に発生する放電現象で、電気エネルギーが熱エネルギーや光エネルギーに変換される放電です。

具体的には、アーク放電によって約2万℃ほどの高温になったアークプラズマによって、材料を溶かして切断するものです。この切断を行う専用機械として、プラズマ切断機が使用されています。

プラズマ切断機では、高温で溶かした切断部分を高圧エアーで吹き飛ばすため、後述するガス切断機では切れないステンレス鋼やアルミ合金も切断できます。さらに、切断速度が早く、ガス切断よりも切断によって生じる材料の歪みを少なくすることも可能です。

プラズマ切断機の使用用途

プラズマ切断機は、プラズマ切断を行う専用機械として、鋼材構造物の製造分野で使用されています。例えば、建築業界、トラックやフォークリフト、ショベルカー (油圧ショベル) などの特殊車両の製造、発電所や港湾クレーンといったプラント施設、鉄道や船舶などの製造です。

プラズマ切断は原理上、ほぼ全ての金属と一部の非金属材料を切断できます。しかし、実際に現在のプラズマ切断機が広く使われるのは、薄板から30mm程度の軟鋼板が一般的です。

プラズマ切断機の原理

プラズマ切断機は、アーク放電という現象を使い、電気を熱に変換した高温ガス (プラズマ) によって切断材を溶融させます。さらに、プラズマガスの噴出力によって溶けた材料を吹き飛ばし、除去することによって切断が行われます。

プラズマ状態とは、物質が加熱されて固体から液体、気体となった状態からさらに5,000 ~7,000℃に加熱することによって気体の分子が電離し、プラスとマイナスのイオンに分離した状態のことです。プラズマ状態において物質はイオン化しているため、電流を通しやすい状態であり、効率的に多くの電流を流すことによって、高温状態を生み出せます。

非常に高温になったプラズマによって材料の切断部分を溶かし、さらにプラズマを勢いよく噴出することによって溶けた材料が吹き飛んで除去されるため、結果的に材料は切断されます。

プラズマ切断機のその他情報

1. プラズマ切断以外の熱切断方法

プラズマ切断以外の熱切断方法として、ガス切断法とレーザー切断法が挙げられます。

ガス切断法
ガス切断法は、最も歴史ある熱切断方法です。ガス切断では酸素と金属の酸化反応を利用しています。切断する材料の加熱はガスによって生まれる火炎を使い、加熱部に酸素ガスが吹き付けられることによって溶融と共に酸化現象を生じさせて切断します。

原理から酸素が届く範囲で切断できるため、厚板の切断に向いている切断方法です。

レーザー切断法
レーザー切断法はガス切断、プラズマ切断の後に生み出された最も新しい熱切断方法です。基本原理は虫眼鏡のようにレンズによってレーザー光を切断する部位に集中し溶融した上で、アシストガスによって溶融物を除去します。切断溝幅が狭く、精密な切断に向いています。

2. プラズマ切断機の注意点

プラズマ切断機で厚さが大きい材料を切断したり、高速切断を行ったりするためには、それに見合う電源設備が必要です。プラズマ切断では発生する有害光線やヒューム (金属の上記が冷却され固体状となったもの) 、粉塵への対策が求められます。

そのため、法規で定められた局所廃棄設備の使用や呼吸用保護具を使用します。プラズマ切断時に発生するアーク光は、目の炎症ややけどの原因になるので、遮光メガネまたは切断用保護面を使用します。

切断に使用するトーチは、大変な高温になり協力なプラズマ気流が発生するため、保護手袋を使用していてもやけどの原因になります。保護具の着用だけにとどまらず、作業者の安全行動を徹底することが大切です。

参考文献
http://www-it.jwes.or.jp/qa/details.jsp?pg_no=0070100100
http://wwwb.pikara.ne.jp/ogawa-giken/uw_cut/uc71.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/79/2/79_123/_pdf

エアシャフト

エアシャフトとは

エアシャフトとは、紙や布の巻き取りに使う巻き取り軸のことです。

インフレシャフト、膨張シャフトとも呼ばれます。巻き取りや供給の際に用紙やフィルムなどの材料を保持し、正確なテンションを調整するために使用されるシャフトです。

一般的なエアシャフトは、内部に空気を充填または排出するためのバルブを持ち、空気を注入してシャフトを膨張させ、材料を保持する力を発生させます。この膨張力によって、材料は均一なテンションで巻き取られたり供給されたりします。

エアシャフトの使用用途

エアシャフトの中でも代表的な印刷用の用途は、以下の通りです。

1. 材料の保持

印刷プロセス中に用紙やフィルムなどの材料を確実に保持するために使用されます。材料が正確な位置に保たれることで、印刷の精度と品質が向上します。

2. 均一なテンションの維持

エアシャフトによって発生する膨張力により、巻き取りや供給時の材料のテンションを均一に保つことができます。これにより、材料が歪まずに印刷機内で正確に扱われます。

3. スピードと効率

空圧を利用してエアシャフトが迅速に膨張や収縮を行えるため、作業の効率性が向上します。また、印刷作業のスピードに対応してテンションを調整できる利点もあります。

4. 複数の材料に適用可能

エアシャフトは、異なる種類の印刷材料に適用できるように設計されている場合があります。これにより、印刷業界でさまざまな材料を扱う際に柔軟性を持たせることができます。

印刷用エアシャフトはこのような特徴があるため、巻き取り装置や供給装置、位置合わせ、ラミネート印刷、エッチング印刷などの用途に使用されます、

エアシャフトの原理

印刷用エアシャフトは、空圧を利用して膨張することにより、材料を保持し、正確なテンションを調整しています。内部には、空気を充填または排出するためのバルブが備わっています。

そして、空気を供給することで、シャフト自体が膨張、またはエアシャフトから爪がでてくる仕組みです。この膨張や爪が出ることによって、シャフトが外側に圧力をかけ、材料を保持します。反対に、空気排気することでシャフトは収縮し、材料を緩めることが可能です。

エアシャフトの膨張力を調整することで、材料にかかる引っ張り具合を調整できます。適切な引っ張り具合を保つことで、材料を均一に巻き取り、供給します。材料全体に均一な保持力がかかるため、材料が歪むことなく正確な位置決めが行えるのが特徴です。また、空気を供給または排気することで、エアシャフトの膨張や収縮が素早く調整されます。

エアシャフトの種類

エアシャフトの主な種類は以下の通りです。

1. シングルグリップエアシャフト

1つの側面に空圧バルブがあり、シャフトを膨張または収縮させるタイプのエアシャフトです。巻き取り装置や供給装置で使用され、引っ張り具合の制御や材料の保持に適しています。

2. ダブルグリップエアシャフト

両側に空圧バルブを備えたエアシャフトで、引っ張り具合をより均一に制御することができます。巻き取りや供給の際に、両側から均等な力がかかるため、材料の歪みを最小限に抑えるのに役立ちます。

3. エキスパンディングエアシャフト

エアシャフトの膨張部分が複数のセグメントから構成されており、それぞれのセグメントを独立して制御することができます。これにより、印刷物の幅やサイズに合わせて引っ張り具合を柔軟に調整することができます。

4. 差動テンションエアシャフト

印刷材料の両側に異なるテンションをかけるために使用されます。片側のテンションを調整して、差動を補正し、均一な印刷を実現します。

5. ラトック型エアシャフト

空気を排気してシャフトを収縮させる際に、ラチェット機構を使用して徐々に収縮させるタイプのインフレシャフトです。材料の巻き取り時に均一な力がかかり、材料の保持と引っ張り具合の安定性が向上します。

6. スリップ型エアシャフト

エアシャフトの外部部分が滑りやすい素材で被覆されており、材料の滑りを助けるタイプです。巻き取りや供給時にスムーズな材料の動きを確保し、材料の摩耗を軽減します。

参考文献
http://www.ejbairshaft.com/webls-tran-j/category-%E6%B0%A3%E5%A3%93%E8%BB%B8-001.html