キャブタイヤケーブルとは
キャブタイヤケーブル(英語:Cabtyre cable)とは、固定式の配線施工を必要としない移動用電力供給ケーブルです。天井クレーン給電用など、駆動させるケーブルにおいて古くから使用されます。
キャブ(車)のタイヤのような、頑丈なゴムで覆われているという語源です。ただし、被覆はゴムだけでなくビニルも使用されます。キャブタイヤケーブルは使用環境や用途に応じて種類が分かれており、最適なものを選定する必要性があります。
キャブタイヤケーブルの使用用途
キャブタイヤケーブルは、製造業においても多く使用される電設部材の一つです。家庭内では、コンセントプラグ用ケーブルはキャブタイヤケーブルが使用されます。キャブタイヤケーブルの使用用途の代表例です。
産業用としては、主にはクレーンやエレベータ等の移動機器で使用します。第5世代通信網の基地局などで非常用電源供給を目的に施工されることもあります。
キャブタイヤケーブルの使用例を以下に記します。
- 車載用半導体製造装置の電力供給用ケーブル
- 第5世代通信基地局用バックアップ電源の電力供給用ケーブル
- 天井クレーンやジブクレーンの給電用ケーブル
- 扇風機のコンセントケーブル
- エレベータの給電用ケーブルや、通信信号用ケーブル
以上のように、キャブタイヤケーブルは幅広い用途で使用されています。
キャブタイヤケーブルの原理
キャブタイヤケーブルも他ケーブルと同様で、導体を絶縁体とシースで保護する構造となります。キャブタイヤケーブルにはいくつかの種類がありますが、大別するとゴム系ケーブルとビニル系ケーブルの2種類です。
1. ゴム系キャブタイヤケーブル
2PNCTや3PNCTなどがゴム系キャブタイヤケーブルとなります。絶縁体やシースの材料がゴムです。対候性、耐油性、耐衝撃性に優れており、頑丈な被覆を持ちます。その特性から、主に電力供給用のケーブルとして使用されます。絶縁体が天然ゴム、シースがクロロプレンゴム(ネオプレン)のものを2RNCTや3RNCTと呼ばれます。
対して、絶縁体及びシース共に天然ゴムのものを1CTや2CTと呼びます。絶縁体がEPゴム(エチレンプロピレン)、シースがクロロプレンゴム(ネオプレン)のものを2PNCTや3PNCTと呼ばれ、最も多く使用されるゴム系キャブタイヤケーブルです。
2. ビニル系キャブタイヤケーブル
VCTやVCTFなどがビニル系キャブタイヤケーブルとなります。絶縁体やシースの材料がビニルです。柔軟性や経済性に優れますが、耐衝撃性などはゴム系に劣ります。家電製品のコンセントプラグ用ケーブルにはこのビニル系キャブタイヤケーブルが使用されます。また、多芯として制御信号用ケーブルとして用いられることも多くあります。主に低圧電圧回路で使用します。
キャブタイヤケーブルの種別
ゴムキャブタイヤケーブルは、グレード(種別)により1種から4種に分類されます。
1種キャブタイヤケーブル
天然ゴムキャブタイヤケーブルのことを言います。経済性と汎用性が高い特徴を持ちます。
2種キャブタイヤケーブル
シースにクロロプレンゴムを使用したキャブタイヤケーブルです。可とう導体、絶縁体及びシースで構成されるケーブルのことを言います。
3種キャブタイヤケーブル
シースの中間層を補強しキャブタイヤシースを二重にすることで、耐衝撃性や耐磨耗性を向上させたケーブルのことです。
4種キャブタイヤケーブル
線心間にクレードルコアを入れ、3種よりも耐衝撃性や耐磨耗性を向上させたケーブルのことです。
参考文献
https://www.hashimoto-kosan.jp/CT/info/
https://www.kdh.or.jp/safe/document/knowledge/cable08.html
https://www.hashimoto-kosan.jp/CT/class/
https://electric-facilities.jp/denki6/vct.html