超硬パンチ

超硬パンチとは

超硬パンチ

超硬パンチ (英: everloy-cemented-carbide punch tool) とは、超硬合金で作られ、材料に押しつけて穴開けなどに使われる工具です。

ポンチや雄型とも呼ばれます。超硬合金の一例は、炭化タングステン (WC) と炭化チタン (TiC) を鉄に添加し、結合剤としてコバルト (Co) 粉末を用いて、加圧成型で1,300~1,500℃の高温で焼結した合金です。

即ち、押し固めて、材料を融点近くで熱することにより、密着し固結した合金金属になります。超硬パンチは、耐摩耗対策として使われる非常に硬く熱に強いパンチです。通常のパンチ材 (SKD11相当) は、1,330℃付近の摩擦熱で、パンチの刃先がだれ始めて切れが悪くなります。

超硬パンチの使用用途

超硬パンチは、金型、自動機、精密機械、実験装置などの部品加工に広く使用されています。超硬合金金属のパンチであるため、耐摩耗対策が主な目的です。

精密金型に用いられることが多く、プレス金型用のパンチとして使われます。摩耗による寸法変動が少ない超硬パンチを使うことで、安定した寸法の維持が可能です。

超硬パンチは、耐摩耗性に優れており、圧縮応力には強いもの、引っ張り応力に弱いため使用する場合には、パンチ保持部の強度を上げる必要があります。

1. 粉末冶金用金型

超硬パンチは、粉末冶金用金型の製造に使われ、エンジンや変速機などの部品加工に使用されます。高精度の加工が可能で、生産性向上につながります。

2. 精密プレス金型

高精度のパンチ・ダイにより、プレス金型として自動車部品や電子部品の製造に使用されます。

超硬パンチの原理

切削工具用の超硬合金は、P種、M種、K種の3つの用途分類があります。

1. P種

P種は耐熱性や耐溶着性が優れており、TiC,TaCなどを多く含みます。特にクレーターや熱亀裂といった熱的損傷に強い合金です。鋼や合金鋼、ステンレスなどの加工に使われます。

2. M種

M種はTiC,Taなどを適度に含み、熱的、機械的損傷ともに強い合金です。ステンレスや鋳鉄、ダクタイル鋳鉄などの加工用です。

3. K種

K種は強度に優れるWC主体の合金で、特にすきとり磨耗のような機械的損傷に強い特性があります。鋳鉄や非鉄金属、非金属などの加工に使われます。

一方、硬いがために、ねばさが少なく折れやすい性質もあります。圧縮には強いですが、引っ張りや横からの力には弱いです。

超硬パンチの特徴

工具や金型には、加工する材質より数倍の硬さが必要です。硬度に優れた超硬合金は、工具や金型の用途に適しています。

超硬合金は切削工具の材料として開発され、鉄の2倍の重量があります。金と同等の比重を持っていることが特徴です。さらに、硬度だけでなく、強度や弾性に優れ、高温時の硬度低下も少ないのもメリットです。したがって、超硬合金は切削工具の素材として適した特性を有しています。

成形金型で使われる超硬パンチは、超微粒子超硬合金を使用しています。加工は円筒検索とプロファイル研削を組み合わせて行い、精度は5μm程度です。さらに、先端部の端面と表面をラップ処理して、面粗度を良くしています。

超硬パンチの種類

1. 小径パンチ (φ~9.9mm)

小径先端ランド部などの微細形状加工も可能です。径0.1mm程度のパンチが可能です。精密冷間鍛造、穴抜き、パイロットピン等に使われます。材質は、SKH51、HAP-40等のハイス鋼であり、微粒・超微粒系超硬合金です。

2. 中径パンチ (Φ10mm~)

精密冷間鍛造に最も適した大きさのパンチです。精密冷間鍛造、穴抜き等に使われます。材質は、SKH-51、SKD-11等のスチール鋼を使い、微粒・中粒・粗粒系超硬合金です。

3. 太径長尺パンチ (~Φ50mm)

圧造成形による深穴加工では、製品精度を維持するために超硬パンチを使い、精密冷間鍛造用です。微粒・中粒・粗粒系超硬合金です。

タイマーIC

タイマーICとは

タイマーIC

タイマーICは回路上において発振回路として使用されたり、一定周期のパルスを供給できることからたとえばLEDの表示に使用したりします。

最もメジャーなタイマーICとしてXX555があります。XXの部分はメーカーによって変わってきますが一般的にタイマーIC 555と言えば、デジタル回路を設計する人なら誰でも知っているほど有名なICです。

歴史もかなり古く1971年に初めて作られ、以降、様々な半導体メーカーでも作られ現在では、最も有名な半導体といっても過言ではありません。

タイマーICの使用用途

タイマーICの用途の1つである発振回路はデジタル回路において、システムを駆動させるための大元の同期信号として使われます。また、システムを制御するためのマイコンやシステムコントローラなども、発振回路により生成された一定周期の信号を自らが動作するための大元の同期信号として使用します。

LEDの表示回路においては、その表示の周期を比較的自由に設定することができるため用途は広いです。

その他、デジタル回路を設計する場合に、任意の周波数を有する一定周期の信号が必要となるケースが良くあります。このような場合にタイマーICはとても便利で手軽に利用されます。

タイマーICの原理

タイマーIC XX555は、大きく3種類の回路から構成されています。ウィンドウコンパレータとRS-フリップフロップ(RS-FF)およびCとRによる充放電回路です。基本的な構成は、ウィンドウコンパレータの出力をRS-フリップフロップのRとSの入力につなぎ、この出力(NOT(Q))をオープンコレクタのトランジスタバッファ等を通してCとRの充放電回路につなぎ、更に充放電回路の先をウィンドウコンパレータの入力につなぐという構成です。

CとRによる充放電回路において電圧を印可しCへの充電が始まり、ある一定の電圧に達すると
接続されているウィンドウコンパレータの出力(RS-FFのR端子に接続されている側)が[H]に切り替わります。これを受けてRS-FFのNOT(Q)出力も[H]に切り替わるため、トランジスタバッファはONとなり、その結果、その先につながっているCR充放電回路にて放電が開始されます。すると、放電によって、ウィンドウコンパレータの出力(RS-FFのS端子に接続されている側)が[H]に切り替わるため、RS-FFのNOT(Q)出力が[L]に切り替わります。すると、今まで、放電していたCR充放電回路では、トランジスタバッファのOFFにより、充電を再開する。

以上の動作の繰り返しにより、RS-FFのNOT(Q)の出力は一定周期で反転します。同様に、XX555の出力であるQはNOT(Q)の反転出力を継続します。

参考文献
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/166.html

2相ステッピングモーター

2相ステッピングモーターとは

2相ステッピングモーターとは、A相B相の2相から構成されるステッピングモーターです。

ステッピングモーターとは、パルス信号によって回転軸角度や回転速度を正確に制御できるモーターです。時計の秒針のように、一定の角度で回転します。この角度は、基本ステップ角度と呼びます。

向かい合った磁極で1つの相を形成する形状です。相の数に応じて、制御方法及び1パルスでの動作角度が変化します。

2相ステッピングモーターの使用用途

2相ステッピングモーターの使用例として、時計、産業用装置 (搬送機、ロボット) 、プリンタ、スロット、カメラレンズの動きなどが挙げられます。正確性が求められる軽負荷の分野に有用です。

外部のパルス信号に同期して動作角度及び動作速度を決めることが可能なため、決められた時間と距離 (回転角度) で動作させるものに多く使用されます。また、スイッチ信号を検知して即時停止させることも可能です。ただし、大きな負荷がかかる分野では使用できません。

2相ステッピングモーターの原理

ステッピングモーターは、その回転速度を時間に応じて設定することでその特性を最大限に発揮します。回転速度を時間に応じて設定することを、運転パターンと呼ぶのが一般的です。運転パターンには2通りあります。

1. 自動運転パターン

自起動運転パターンは、モーターの回転速度を最初から最後まで同じ速度で動かす運転パターンです。速度と時間をグラフにすると四角形になるため、矩形駆動と呼ばれます。 

2. 手動運転パターン

モーターの回転速度を最初は遅くして徐々に高速にする手法であり、最大の速度で一定期間回転したあとに徐々に低速にもどして、停止する運転パターンです。

速度と時間をグラフにすると台形になる制御方法であり、台形駆動と呼ばれます。モーターの回転速度はモーター特性や対象物の質量、モーターへの電力や配線方法で決まります。特に、急激に動かし、急激に止めたい用途で使用するときは、選んだモーターの特性が重要です。

2相ステッピングモーターの種類

1. VRモータ型

ローターは鉄でできています。また、ローターとステーターには複数の凸型の歯があります。現在はあまり使用されていません。

2. PMモータ型

ローターは永久磁石からなります。ステーターは90度ごとに配置された巻線を使用しており、対局にある位置のステーターに電流を流します。ローター側の磁化ピッチを細かくすることで極数を増やることはできますが、着磁間隔の関係で20極程度が限界です。

3. HBモータ型

回転軸には円筒形磁石があり、歯が1/2ピッチ分ずれている2枚のローターで磁石を挟んでいます。ステーターは90度ごとに配置された巻線を使用しており、複数の凸型の歯からなります。対局にある位置のステーターに電流を流します。

2相ステッピングモーターのその他情報

2相ステッピングモーターは配線方法

2相ステッピングモーターは配線方法で特性が変化します。機器の設計時には、配線方法の意識で、その機器に適したコストと性能のバランスを得ることが可能です。

1. バイポーラ結線
バイポーラ結線は、モーターの巻線に対して、双方向で電流を流す方式です。モーター内部の構造はシンプルですが、駆動回路は複雑になる点はデメリットです。特性としては、出力トルクはユニポーラ結線よりも、高くなります。また、トルク特性がユニポーラ結線と異なります。

2. ユニポーラ結線
ユニポーラ結線は、巻線に常に一定方向の電流を加える方式です。巻線は2本になるため、モーター内部の構造はその分複雑になります。しかし、モーターを動かすための駆動回路は単純になります。

特性としては、モーター内部の限られた空間に2本の巻線が入り、1本の巻線は常にお休みの状態になるため、バイポーラ結線に比べると半分程度の出力トルクになるのが基本的な考え方です。ただし、前述したようにバイポーラ結線とトルク特性が異なります。

参考文献
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/orien-sougou/book/orien-sougou-P0021.pdf

メモリIC

メモリICとは

メモリIC

メモリICとは、プロセッサを使ったシステムにおいて、データの記録を担う半導体デバイスです。

メモリICは大別するとROMとRAMがあります。ROM (英: Read Only Memory) は、製造時に書き込まれたデータを読み出すことに限定されたメモリです。ただし、EEPROMやフラッシュメモリなどデータの書き替えが可能なデバイスもROMに含まれます。

メモリデバイスを駆動する電源が切れても保存されているデータは消えずに維持されているので、繰り返し読み出すことが可能です。RAM (英: Random Access Memory) は、高速にデータの書き込み/見出しができるメモリです。記録されたデータはメモリデバイスを駆動する電源が切れると消えてしまうため、一時的なデータ保存の用途に限定されます。

また、構造的にはSRAM (英: Static Random Access Memory) と集積度を高められるDRAM (英: Dynamic Random Access Memory) があります。

メモリICの使用用途

メモリICはプロセッサと組み合わせて、プログラムデータの格納や演算処理中のデータ保持などに使われます。携帯電話やタブレット端末、パソコンからメインフレームに至るまで、プロセッサを搭載した機器やコンピュータには必ずメモリICが搭載されています。

一般的に、ROMにはプログラムデータが収納されていて、プロセッサはそのプログラムデータに沿ってさまざまな処理を進めます。その際、一時的に保存しておくデータや情報はRAMに書き込みます。また、RAMのデータは頻繁に書き換えれるため、高速に動作することが重要です。

ROMの一部に分類されるEEPROMは、特に電子機器で調整データなどを書き込んでおく目的でも利用されます。フラッシュメモリは、大きなメモリ容量が実現できる上、データ書き換えが可能なROMである特徴を活かして、メモリカードやSSD (英: Solid State Drive) の記憶素子として使われています。

メモリICの原理

メモリICは、一般に多くの記憶素子が整然と並べられた記録エリアと、個々の記憶素子のデータを指定するアドレスライン、記憶素子のデータを外部に伝えるための信号出力ライン、外部からデータを入力するための信号入力ラインを備えたものです。

メモリICと組み合わせて使われるプロセッサは、メモリICのデータ記録エリアの管理も担っているため、必要なデータを読み出す際は、アドレスラインを操作してその記憶素子のデータを信号出力ラインに出力させます。また、メモリに記録するデータは、アドレスラインを操作して記録素子を指定し、信号入力ラインにデータを転送します。

上記がメモリICへの信号の読み出しや書き込みを行う流れです。ただし、メモリICの内部回路構成や駆動方法は、種類により全く異なります。

メモリICの種類

メモリICはROMとRAMに大別できますが、それぞれいくつかの種類があります。

1. ROM

マスクROM
マスクROMは、書き込むデータに応じて専用のマスクを製作し、それを使ってデバイス製造工程でデータが書き込むものです。したがって、書き込まれたデータは変更できません

PROM (英: Programmable Read Only Memory) 
PROMは、書き込み/消去が可能なROMを指し、電源を切っても記憶内容が保持されるROMの1種です。1980年頃にはEPROM (Erasable Programmable Read Only Memory) と云われるデバイスが良く用いられました。

これはフローティング・ゲートを有するMOSFETのアレイ構造であり、専用の書き込みツールを使ってデータを書き込むものです。しかしながら、データ消去時に紫外線を照射する必要があることから、現在ではほとんど使われていません。

代わって、EEPROM (英:Electrically Erasable PROM) とフラッシュメモリが使われています。何れもコントローラからの制御信号を受けて書き込み/消去が可能ですが、フラッシュメモリは特に大きな記憶容量が実現できる構造であることから、メモリカード等に盛んに使われるようになりました。

なお、MOSFETのフローティング・ゲートに注入された電荷の有無によりデータの0/1が決まりますが、その電荷の注入や消去はトンネル効果を利用するので、IC内部に高電圧電源回路が組み込まれています。

2. RAM

SRAM
SRAMは記憶素子にフリップフロップ回路などを利用し、一度記録した内容は電源が供給されている限り保持され続けるという特性があります。後述のDRAMのようなリフレッシュ動作が不要なため、同規模のメモリ容量のDRAMより消費電力が少ない上、高速な読み出し/書き込みが可能です。

しかし、記憶素子の構造が複雑なため高密度化は難しく、製造単価が高額になります。したがって、省電力性や高速性が重視される用途に適しており、例えば、コンピュータ内部でプロセッサーとメイン・メモリの中に配置される高速キャッシュメモリとしてよく利用されます。

DRAM
DRAMはトランジスタとコンデンサーを1個ずつ利用してデータを記録する仕組みです。即ち、コンデンサーに電荷が有り/無しの状態をデータ0/1に定義して記録します。なお、コンデンサーに電荷を蓄積するスイッチとしてトランジスタが作用します。

回路構成が簡単なので、集積度を高くすることができますが、スイッチがOFF状態であってもコンデンサーから徐々に電荷が漏れてしまうため、データの上書を定期的に行って電荷の漏れによるデータ化けを防いでいます。これをリフレッシュ動作と呼びますが、DRAM特有の機能です。

参考文献
https://search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=crmas&p=SDRAM%E3%81%A8%E3%81%AF

カウンタIC

カウンタICとは

カウンタICとは、デジタル回路の1種で、カウント (計数) する機能を備え、主に特定の事象の頻度を数えるために使用される集積回路です。

特定のイベントやクロックパルスに基づいて、内部のレジスタに格納された数値を1つずつ増やす (アップカウント) 、または減らし (ダウンカウント) 、目指す数値に達したとき、もしくは外部機器から要求があったときに計数結果を出力します。カウンタICにはさまざまな種類がありますが、最も基本的なタイプはバイナリカウンタです。

バイナリカウンタは2進数で数を数えることが可能で、例えば4ビットのバイナリカウンタは、0から15までの値を2進数で表現します。また、リングカウンタやジョンソンカウンタなど異なる動作モードを持つカウンタICもあります。

カウンタICの使用用途

カウンタICは、デジタル回路の設計や制御システムなどのさまざまなアプリケーションで使用されるものです。タイマーや順序制御、周波数分周器などが具体的な応用例として挙げられます。

1. タイマー

カウンタICは、特定の時間間隔やイベントの計測に使用されるタイマー回路で使用されています。例えば、デジタル時計やストップウォッチなどがその具体例です。

2. 順序制御

カウンタICは、順序制御回路でも使用されます。例えば、シーケンシャルロジック回路や状態遷移マシンなどで利用され、特定の順序で動作するデバイスやシステムを制御することが主な機能です。

3. 周波数分周器

カウンタICは、入力信号を分割して周波数分周器回路とすることも可能です。これにより高周波信号から整数分の1の周波数の信号を作成することができます。主な用途は、周波数合成や周波数制御などのアプリケーションです。

4. イベント計数

カウンタICは、特定のイベントが発生した回数を計測するためにも使用されます。例えば、交通量調査における車両の台数や通行人の計数などです。

5. データ通信

カウンタICは、データ通信回路で使用されることもあります。シリアル通信やパケット伝送などでデータ数を設定する際に利用されます。

カウンタICの原理

カウンタICは、以下で挙げる要素で構成されています。

1. Dフリップフロップ

カウンタICを構成する論理回路では、Dフリップフロップが主に使われています。この論理回路は1ビットの情報を記憶する機能があるため、この素子を組み合わせて各種のカウンタICを構成します。

Dフリップフロップは、クロック端子 (CLK)、データ入力端子 (D) 、データ出力端子 (Q) とその反転出力を備え、クロックの立ち上がりエッジのタイミングでデータ入力端子に入力されているデータをそのままデータ出力端子へ出力する機能を有したものです。

2. カウンタ

反転出力を入力端子に直結するとともに、データ出力端子を次段のDフリップフロップのデータ入力端子に入力することが基本的な構成です。これをN段縦続に接続することにより、2のN乗のバイナリカウンタが出来上がります。

3. 周波数分周器

Dフリップフロップを前述の端子間接続を行うことで、D端子へ入力したデータの出力は1/2に分周されるとの見方ができます。この機能を利用することにより、カウンタICで周波数分周器を作ることが可能です。

4ビットのバイナリカウンタの場合、2の4乗 (16) となるので入力クロックに対して入力クロックの1/16の周波数を出力することになります。8ビットのバイナリカウンタの場合は同様にして2の8乗 (256) となるので、入力クロックの1/256の周波数を出力することが可能です。

カウンタICの種類

カウンタICにはさまざまな種類があります。代表的なものは、以下のとおりです。

1. バイナリカウンタ

最も基本的なカウンタICであり、2進数で数え上げることができます。Nビットのバイナリカウンタは、0から (2の N乗-1) までの数値を表現できます。

2. リングカウンタ

リング状のカウンタICで、クロック毎に内部のビットが順番にシフトされるものです。各フリップフロップの入リュク端子は前のフリップフロップの出力端子に接続され、最後の出力が最初のフリップフロップの入力端子にフィードバックされます。ビット”1″が、順番に隣のフリップフロップに移動するように機能するものです。

3. ジョンソンカウンタ

ジョンソンカウンタはリングカウンタの一種ですが、最後段の出力を反転して先頭のフリップフロップの入力信号とする点が異なります。特定のパターンが、クロック毎に隣のフリップフロップにシフトされるよう動作するものです。ジョンソンカウンタは、シーケンシャルロジック回路やデコーダ回路などで利用されます。

4. アップカウンタ

アップカウンタは、1つずつ数が増加していくカウンタICで、クロックパルスまたは特定のイベントに応じて、内部の値が増加します。

5. ダウンカウンタ

ダウンカウンタは、1つずつ数が減少していくカウンタICで、クロックパルスまたは特定のイベントに応じて、内部の値が減少します。

6. プリセットカウンタ

プリセットカウンタは、事前に設定された値からカウントを開始するカウンタICです。特定の条件や入力に応じて、指定された初期値からカウントが開始されます。

7. リアルタイムカウンタ

リアルタイムカウンタは、実時間での計測やタイミングに使用されるカウンタICです。内部のカウンタ値をクロックパルスや外部信号に基づいて増加または減少させ、時間の計測やイベントのタイミング制御に利用されます。

参考文献
https://www.marutsu.co.jp/contents/shop/marutsu/mame/93.html

エンジニアリングプラスチック

エンジニアリングプラスチックとは

エンジニアリングプラスチック

エンジニアリングプラスチックとは、プラスチックの中でも特に機械強度、耐熱性に優れたプラスチックです。

エンプラと略称で呼ばれることが多く、従来のプラスチックと同様に軽量である点や、高性能と低コストである点から金属の代替品として期待されています。さらに、エンジニアリングプラスチックの中でも特に高性能のものはスーパーエンジニアリングプラスチック (スーパーエンプラ) と呼ばれ、様々な製品への応用に向けて開発が進められています。

エンジニアリングプラスチックの使用用途

エンジニアリングプラスチックは多くの種類が存在し、用途に応じて様々な機器に利用されています。

1. ポリアセタール

ポリアセタールはポンプ部品や給水管のジョイント、歯車や軸受、ファスナーや洗濯槽など幅広い業界、用途で使われています。

2. ポリアミド

ナイロン6や、ナイロン6,6に代表される繊維、衣料用途で多く使用されています。宇宙服にも使用されたことがあります。強度が高いため、衣服以外でも、鞄やバッグ、釣り糸、ロープなど太さにかかわらず、ちょっとやそっとの引っ張りで壊れない製品の素材となっています。

3. ポリカーボネート

高い透明性から眼鏡、カメラのレンズ、CD、DVD基板、耐候性に優れることから自動車のヘッドランプレンズ、ドアハンドル、ルーフレールなどに使用されています。

4. 変性ポリフェニレンエーテル

着色性の良さや難燃化のしやすさなどから電気・OA機器のハウジングによく使用されます。また低吸水性から水道配管や給水機などにも使用されます。また低比重、耐衝撃性がよいことから自動車用の外装材に使用されます。

5. ポリブチレンテレフタレート

自動車分野におけるイグニッションコイル、ワイパーアーム、ディストリビューター、スイッチ類、ヘッドライトハウジング、モーター部品、バルブ、ギヤなどの各部品類や、電気・電子分野で、スイッチ類、コネクター、ソケット、リレー、ハウジング、モータ部品などがあります。

エンジニアリングプラスチックの特徴

上記で紹介したポリブチレンテレフタレートの特徴は、以下の通りです。

1. ポリアセタール

ポリアセタールは剛性、耐摩耗性、耐薬品性、絶縁性に優れ、吸水性が小さい、金属との摩擦係数が小さいなどの長所があります。

2. ポリアミド

耐熱性、機械強度、耐薬品性に優れた素材です。しかし、吸湿性が高いため水分を吸収しやすく、膨張しやすい欠点がある反面、染色しやすいことから衣料用繊維用途に用いられています。

3. ポリカーボネート

高い透明性と耐衝撃性を最大の特徴とし、紫外線にも強く、屋外での使用でも高い強度を長期間持続します。しかし、薬品耐性は低いため、薬品と共に使用する場合は注意が必要です。

4. 変性ポリフェニレンエーテル

機械強度、耐衝撃性、電気特性に優れており、吸水率も低く、比重も比較的軽いことが特徴です。耐酸、耐アルカリ性には優れていますが、トルエンなどの一般的な有機溶剤には溶けてしまうのが欠点です。

5. ポリブチレンテレフタレート

優れた機械物性の他にも、電気特性、耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性、低吸水率、寸法安定性に優れるなどの特性を持っています。アルカリにより加水分解しやすい点が欠点です。

エンジニアリングプラスチックのその他情報

1. 医療用エンジニアリングプラスチック

医療用途においても、プラスチックには耐熱性、耐薬品性、耐腐食性、生体親和性などに優れたものであることが要求され、以下の用途でエンジニアリングプラスチックが使用されています。

  • ポリフェニレンスルファイド樹脂 (PPS) / 医療用チューブポリエーテルエーテルケトン樹脂 (PEEK)
    骨固定補助剤・脊柱インプラント・整形外科用インプラント・頭蓋顎顔面インプラント・人工歯根
  • ポリスルホン樹脂 (PSU)
    人工腎臓の透析膜
  • ポリエーテルスルホン樹脂 (PES)
    コンタクトレンズ用殺菌容器、注射器シリンジ

2. エンジニアリングプラスチックの接着技術

エンジニアリングプラスチックを自動車部品として適用するときの大きな課題に、部材間の接合が挙げられます。エンジニアリングプラスチックは、表面性状が安定しているため接着力が十分に発現されない場合があります。

自動車部品のような高温下など過酷環境で使用されるエンジニアリングプラスチックは、その寸法安定性を確保するために部材に対してアニール処理 (熱処理) を施して接着を行うことが一般的です。しかし、アニール処理により部材表面に脆弱層が形成されこれが接着性の低下につながるため、この脆弱層を除去することにより、接着性が改善されるという研究結果が報告されています。

参考文献
https://www.kda1969.com/study/study_pla_detail2.htm
https://www.nagaseplastics.co.jp/info/plastic/enpla#:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000189.000059861.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/90/5/90_262/_pdf/-char/ja

UPE

UPEとは

UPEとは、超高分子量ポリエチレンの略で、非常に高い密度のポリエチレンのことです。

優れた耐久性を持っていることから、様々な機械の部品として利用されています。さらに、耐摩耗性や薬品耐性も高く多くの利点を持っているため、今後も広く使用される材料です。

UHMWやニューライトと呼ばれることもありますが、これは超高分子ポリエチレンの略し方の違いや商品名として使われているからであり、全く同じものを指します。

UPEの使用用途

1. 化学工業

UPEの最も顕著な用途は化学工業における配管材料です。耐薬品性に優れているため、腐食性の液体や溶剤を輸送・貯蔵する配管に幅広く利用されます。

ポンプ部品やバルブシートなど、化学プラントの部品にも使用が可能です。その耐久性と耐薬品性から、厳しい環境での処理や運用が必要な産業で重要な材料として採用されています。

2. 食品産業

UPEの非常に高い耐薬品性と抗菌性が食品産業において重宝されています。食品加工時の液体輸送や容器、包装材料などに使用され、食品との接触において安全性が求められるため、UPEの特性は食品産業での利用に適しています。

3. 医療機器

UPEの特性は医療機器の製造にも応用されています。抗菌性や滑りの良さ、耐摩耗性が優れており、人体に対して安全性が高いため、外科手術用具、人工関節、インプラントなどの製造に利用されています。

4. エネルギー産業

エネルギー産業でもUPEの特性が重要な役割を果たしています。オイルパイプのリニング材料として、耐薬品性や耐摩耗性を活かした使用が可能です。さらに、電気絶縁性があるため、電気配線の絶縁材料としても用いられています。

5. スポーツ・アウトドア

UPEはその強度と軽量性から、スポーツ・アウトドア用品の製造にも広く採用されています。テントの素材、スポーツ用具、登山用具などに使用され、耐久性と軽量性が要求される分野で重宝されています。

UPEの特徴

UPEには大きく分けて3つの大きな特徴があります。

1. 耐久性

UPEは、衝撃耐性や摩耗耐性に非常に優れた素材です。耐衝撃性はプラスチックの中で最も高く、ナイロン樹脂を超える耐摩耗性を持っています。

この特徴を活かして、強い衝撃や長時間の負荷がかかる場面に活用されています。また、摩擦係数が低く潤滑性に優れているため、回転部分に使用されることも多いです。

2. 薬品耐性

薬品耐性が高いこともUPEの特徴です。強酸を除く多くの薬品に対して耐性を持っています。また、毒性が無く人体に無害なことから、食品加工や包装の時に利用することができます。

3. 使用温度の幅

UPEは使用できる温度の幅が広いです。高温時には約80℃、低温時には−100℃程度まで連続して使用することができます。

中程度の加熱や冷却が必要な機械にも使用可能です。また、吸水性が非常に低く、水を使用する機械にも対応しています。

UPEの種類

1. シート状UPE

シート状のUPEは、優れた耐摩耗性と耐薬品性を有しています。ポリエチレンに特有のC-F結合によるものであり、摩擦や腐食に耐える能力が高いことを意味します。

化学プラントや工業機械の部品、船舶のスクレーパーなど、耐久性が重要な環境で広く利用され、シート状UPEは機械加工が容易であり、自由な形状にカットできるため、さまざまな用途に適した材料です。

2. パイプ状UPE

UPEのパイプは、非常に高い耐薬品性を持っています。腐食性の液体や溶剤の輸送や貯蔵において、他の材料では耐えられないような厳しい環境にも対応が可能です。

パイプ状UPEは抗菌性があるため、食品産業や医療分野での使用に適しています。その優れた耐久性と耐薬品性から、特に化学工業や食品産業での配管材料として重要な存在となっています。

3. 繊維状UPE

繊維状に加工されたUPEは、その高い強度と耐摩耗性により、耐久性が要求される製品に広く用いられています。防弾チョッキや切削工具、耐摩耗性の高い部品などに使用されます。

繊維状UPEは軽量でありながらも非常に頑丈なため、航空宇宙産業やスポーツ用品など、軽量かつ高性能を求める分野でも重要な材料として採用されているUPEです。

4. フィルム状UPE

フィルム状のUPEは、高い電気絶縁性を持っています。このため、電子機器や電気部品の絶縁材料として広く利用されているUPEです。

フィルム状UPEは柔軟でありながらも耐久性があり、化学容器や包装材料としても重要な役割を果たしています。また、その耐熱性も優れており、高温環境での使用にも適しています。

参考文献
https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-uhmw-pe

非接触ヒータ

非接触ヒータとは

非接触ヒータ

非接触ヒータとは、物体を加熱する際に直接接触せずに熱を伝えるヒータです。

物体に熱源を接触させる必要がなく、効率的かつ均一に加熱することが可能です。非接触ヒータは、熱エネルギーのほとんどを物体に直接伝えるため、エネルギーの損失が少なく効率的に加熱できます。また、物体との接触がないため、熱による火災や火傷のリスクを低減することが可能です。

ただし、従来の加熱方法に比べて高価な場合があります。また、装置や技術の導入には費用がかかることがあり、原理によっては適用できない材質も多いです。

非接触ヒータの使用用途

非接触ヒータは、さまざまな分野で使用されます。以下は非接触ヒーターの使用用途一例です。

1. 工業

工業プロセスでは非接触ヒータが幅広く使用されています。金属の鋳造や溶接において金属材料を加熱して溶かし、成形や接合を行うことも可能です。また、プラスチックの成形では、プラスチック材料を加熱して成形プロセスを容易にします。

ガラスの加工においても使用され、成形や冷却を制御して所定の形状や性質を得るのに有用です。半導体製造プロセスでは、シリコンウェハの加熱や熱処理を行い、精密な製品を作り出すのに重要な装置です。

2. 食品加工

食品の乾燥プロセスでは食品の水分を除去するために使用され、保存期間を延ばしたり、軽量化したりすることが可能です。加熱殺菌では、食品中の微生物を除去するための加熱処理を行います。焼き付けプロセスでは食品表面を均一に加熱し、焼き目を形成することが可能です。

3. 医療機器

非接触ヒータは、医療機器や医療用具の加熱にも使用されます。手術用具の滅菌では、非接触ヒータによって高温の熱を加えることで微生物を殺菌することが可能です。温熱療法では、非接触ヒータが体の特定の部位を温め、血液循環を促進したり、筋肉の緊張を緩和したりするのに使用されます。

非接触ヒータの原理

非接触ヒータの主な原理は、熱放射によるエネルギー伝達です。具体的には、赤外線を利用して物体に熱を伝える仕組みが一般的です。

赤外線は電磁波の1種であり、目には見えないが熱エネルギーを持っています。非接触ヒータでは電気やガスをエネルギー源として使用し、赤外線を放射して物体を加熱することが可能です。

赤外線は熱エネルギーを伝える能力が高く、空気を通じて物体に直接熱を与えることができます。また、赤外線は物体に吸収される特定の波長帯域があり、対象物に応じて適切な波長帯域を選択することで効率的な加熱を実現します。

非接触ヒータの種類

非接触ヒータにはさまざまな種類が存在します。以下は非接触ヒータの種類一例です。

1. 赤外線ヒータ

赤外線放射によって物体を加熱するヒータです。電気赤外線ヒータは電気エネルギーを赤外線に変換し、放射します。工業加熱や暖房などのさまざまな用途で使用される非接触ヒータです。

赤外線ヒータにはさまざまな種類があり、セラミックヒータなどが一例です。セラミックに電気を通すことで発熱する非接触ヒータで、取り込んだ空気をヒータで暖めてから放出します。立ち上がり時間は早い点が特徴です。

2. 誘導ヒータ

誘導ヒータは電磁場を利用して物体を加熱するヒータです。電流を通したコイルが電磁場を発生し、対象物内の導電体に誘導電流を生じさせることで加熱します。導電性の高い物体などを効率的に加熱することが可能です。調理器具や産業用加熱装置などで広く使用されています。

3. マイクロ波ヒータ

マイクロ波を利用して物体を加熱するヒータです。マグネトロンと呼ばれる装置から発生されたマイクロ波を利用し、水分子の運動を活性化させて物体を加熱します。家庭用電子レンジや産業用の加熱装置などで使用されます。

4. レーザーヒーター

レーザー光を利用して物体を加熱するヒータです。高エネルギー光ビームを物体に照射し、物体表面で吸収された光エネルギーが熱エネルギーに変換されることで加熱が行われます。精密な加熱制御や局所的な加熱が必要な場合に使用されます。

参考文献
https://www.ec-current.com/shop/contents/contents.aspx/00000565
https://www.heat-technology.co.jp/type/

PROM

PROMとは

PROM

PROM (英: Programmable Read Only Memory) とは、半導体メモリの1種で、書き込み可能なROMのことです。

半導体メモリは大別して読み書きが可能なRAM (英: Random Access Memory) と、読み出しだけが可能なROM (英: Read Only Memory) の2種類があります。

RAMは電源を切るとデータが消える揮発性メモリですが、ROMは電源が切れてもデータが消えない不揮発性メモリです。ROMは自由な書き込みが出来ない代わりに、RAMよりも回路構造が簡潔になるため、同じ記憶容量でも小さいチップサイズになります。

ROMにはマスクROMとPROMがあり、マスクROMは半導体の製造工程中にメモリの1ビット毎のトランジスタの出力値を電源電圧かアースのどちらかに固定するため、製造後の変更ができません。

これに対し、同じ不揮発性でも製造後の書き込み/書き換えができるように開発されたROMがPROMです。

PROMの使用用途

様々な機器の制御に用いられるマイコン(マイクロコントローラ)は、機器に応じてプログラムが決まっており、また電源投入で動作する必要があるため、不揮発性でコストの低いROMにプログラムを格納しています。

当初はROMとしてマスクROMが使用されていました。しかしプログラムが確定してから製造完了までの期間が長く、新製品開発サイクルの短期化への対応が困難となりました。

又、消費者ニーズの多様化による多品種少量生産への対応においても、別々の半導体チップとしての製造が必要でした。

これに対してPROMは、プログラムのデバッグプロセスを経て確定した後でも書き込むことができます。これにより、製品出荷直前のプログラムの書き込みによる開発期間の短期化や、プログラムのみの変更による品種展開が可能となりました。

PROMの原理

PROMは大別するとOTPROM (英: One Time PROM) とEPROM (英: Erasable PROM) に分類されます。OTPROMは一度だけ書き込みができるタイプのPROMであり、EPROMは複数回の書き込みができるPROMです。

1. OTPROM

OTPROMはメモリの1ビット毎にヒューズを備え、出荷後に選択的に高電圧を加えることで一部のヒューズを溶断します。溶断されたヒューズに繋がるトランジスタと溶断されなかったヒューズに繋がるトランジスタでは、電流供給の有無が異なるため、これが0と1の違いになります。書き込みには専用のツールが必要になります。

一度使用したヒューズは元には戻らないため、1回のみの書き込みが可能となります。

2. EPROM

EPROMは、メモリの1ビット毎のトランジスタ中にフローティングゲートと呼ばれる電気的に独立した領域を製造工程で形成します。書き込み時にフローティングゲートに対して選択的に電圧を印加することで電荷を蓄えさせ、0と1の違いを作ります。

書き換える場合には対象部分のメモリの電荷を消去し、その後に再度書き込みを行います。この消去方法の違いにより、UV-EPROMとEEPROMがあります。

UV-EPROM
UV-EPROMはメモリ領域にUV光 (紫外線) を照射することで電荷を消去します。このためUV-EPROMは、半導体のパッケージ上にUV光照射用の窓があります。

EEPROM
EEPROMはメモリ領域に対して通常の読み出し時よりも高い電圧を印加することでデータの消去と書き換えを可能としています。

PROMのその他の情報

1. 用途の拡大

当初のPROMは製造コストが高く、使用用途が限られていましたが、技術開発の進展や大量生産により安価となったことで使用用途が拡大しています。

特に、EEPROMの一種であるフラッシュメモリ(Flash ROM)は一度にまとまったメモリ領域の消去を行うようにすることで回路を簡潔にし、大容量化と高速化を実現しています。更に、書き換え回数上限が数十〜数百万回となったことで不揮発性を活かした使用用途が拡がり、ストレージデバイスとしてSD、USBやSSD、HDD等にも用いられるようになり、現在のメモリの主役となっています。

2. 将来展望

将来的には、不揮発性で書き換え回数制限が無くローコストのメモリが実用化されることが期待されます。これが実現されると、例えばパソコンの立ち上げやシャットダウンが不要となり、照明器具のように電源のオンオフのみで使えるようになります。

参考文献
https://japan.zdnet.com/glossary/exp/PROM/?s=4

CAEソフトウェア

CAEソフトウェアとは

CAEソフトウェア

CAEソフトウェアとは、空気の流れや伝熱、構造物に加わる応力などをパソコンやスーパーコンピュータで計算するソフトウェアです。

多くのCAEソフトウェアは有償ですが、流体解析ソフトのOpenFAOMや応力解析ソフトのAbaqusなど、無償で利用できるソフトウェアも多数存在します。CAEソフトウェアは、実験施設や構造物を製作して実験する方法の代替として用いられる場合がほとんどです。

実験施設や大きな構造物は試作が困難な場合があるため、低コストなCAEソフトウェアが使われます。

CAEソフトウェアの使用用途

CAEソフトウェアは、主に製品の開発工程で用いられ、自動車などの製造業分野で広く使用されています。CAEソフトウェアを使用することで試作品を製作し、実験せずに製品の性能を評価することが可能です。

そのため、開発期間の短縮や試作コストの削減が可能になるというメリットがあります。また、大規模な構造物や特殊な環境での実験の代替として、航空宇宙分野などでCAEソフトウェアが利用されています。例えば、飛行機の翼周辺の空気の流れを調べる場合、縮小サイズの模型を作り、実験する必要があるため、コストと時間がかかります。

しかし、CAEソフトウェアを用いれば、コンピュータ上で実験以上に詳細な風速分布や圧力分布を得ることが可能です。より詳細なデータを得られることから、不具合原因の解明に役立つ場合もあり、実用性に優れています。

CAEソフトウェアの原理

CAEソフトウェアは、パソコンやワークステーションなどのコンピュータ上で方程式を解くことにより、様々な物理現象をコンピュータ上での再現が可能です。例えば、理化学研究所の飛沫に関するシミュレーションは、飛沫が飛び散る現象を再現した結果です。

シミュレーションは、CADデータの作成から始まります。そして、要素分割および境界条件や物性値などの設定といった準備段階 (プレ処理) を経て、方程式を計算するシミュレーション実施の段階 (ポスト処理) に入ります。シミュレーション終了後、計算結果の可視化や分析へ進みます。

要素分割などのプレ処理に特化したソフトウェアや、ポスト処理後の結果の可視化に特化したソフトウェアも存在します。多くのCAEソフトウェアは、プレ処理とポスト処理が一体となっていますが、一般的なCAEソフトウェアは方程式を計算するソフトウェア、つまりポスト処理のみを行うソフトウェアのことです。

CAEソフトウェアでは、対象としている流体や構造物の方程式が解きやすいように、要素分割をする離散化と呼ばれる手法が用いられます。また、CAEソフトウェアで解く方程式は偏微分方程式である場合がほとんどです。偏微分方程式は解が求められない場合が多いため、計算をコンピュータで実施し、近似の解を求めます。離散化をした後、コンピュータで近似の解を求めることがCAEソフトウェアの基本的な役割です。

CAEソフトウェアのその他情報

1. CAEソフトウェアの離散化

離散化の手法は差分法や有限要素法などが有名で、空間や構造物の離散化に用いられます。時間で変化する現象をシミュレーションする場合については、陰解法や陽解法が用いられます。

その他、温度などに依存する物性値を決定する数式などを用いる場合もあり、CAEソフトウェアの手法は多種多様です。CAEソフトウェアの手法は多種多様な選択肢があるため、シミュレーションしようと思う現象に応じて、その都度、最適な手法や条件を設定する必要があります。

2. CAEソフトウェアのシュミレーションソフト

CAEソフトウェアには様々なシミュレーションソフトがあります。代表的なものは、熱流体解析ソフト構造解析ソフト電磁場解析ソフトなどです。

熱流体解析ソフト
熱流体解析ソフトは、流体の流れや熱の移動をモデル化した方程式をコンピュータを用いて解き、シミュレーションによって表現して、熱流体を解析することができるソフトです。

構造解析ソフト
構造解析ソフトとは、解析対象に荷重が加わることで変化する物理量をシミュレーションを用いて解析するソフトウェアです。有限要素法などは構造解析ソフトで多く用いられます。

電磁場解析ソフト
電磁場解析ソフトは、電磁波や磁力が、対象物に対してどのような影響を及ぼすかを調べるために利用されるソフトウェアです。自動車、宇宙、防衛などの幅広い産業で利用されています。