UPEとは
UPEとは、超高分子量ポリエチレンの略で、非常に高い密度のポリエチレンのことです。
優れた耐久性を持っていることから、様々な機械の部品として利用されています。さらに、耐摩耗性や薬品耐性も高く多くの利点を持っているため、今後も広く使用される材料です。
UHMWやニューライトと呼ばれることもありますが、これは超高分子ポリエチレンの略し方の違いや商品名として使われているからであり、全く同じものを指します。
UPEの使用用途
1. 化学工業
UPEの最も顕著な用途は化学工業における配管材料です。耐薬品性に優れているため、腐食性の液体や溶剤を輸送・貯蔵する配管に幅広く利用されます。
ポンプ部品やバルブシートなど、化学プラントの部品にも使用が可能です。その耐久性と耐薬品性から、厳しい環境での処理や運用が必要な産業で重要な材料として採用されています。
2. 食品産業
UPEの非常に高い耐薬品性と抗菌性が食品産業において重宝されています。食品加工時の液体輸送や容器、包装材料などに使用され、食品との接触において安全性が求められるため、UPEの特性は食品産業での利用に適しています。
3. 医療機器
UPEの特性は医療機器の製造にも応用されています。抗菌性や滑りの良さ、耐摩耗性が優れており、人体に対して安全性が高いため、外科手術用具、人工関節、インプラントなどの製造に利用されています。
4. エネルギー産業
エネルギー産業でもUPEの特性が重要な役割を果たしています。オイルパイプのリニング材料として、耐薬品性や耐摩耗性を活かした使用が可能です。さらに、電気絶縁性があるため、電気配線の絶縁材料としても用いられています。
5. スポーツ・アウトドア
UPEはその強度と軽量性から、スポーツ・アウトドア用品の製造にも広く採用されています。テントの素材、スポーツ用具、登山用具などに使用され、耐久性と軽量性が要求される分野で重宝されています。
UPEの特徴
UPEには大きく分けて3つの大きな特徴があります。
1. 耐久性
UPEは、衝撃耐性や摩耗耐性に非常に優れた素材です。耐衝撃性はプラスチックの中で最も高く、ナイロン樹脂を超える耐摩耗性を持っています。
この特徴を活かして、強い衝撃や長時間の負荷がかかる場面に活用されています。また、摩擦係数が低く潤滑性に優れているため、回転部分に使用されることも多いです。
2. 薬品耐性
薬品耐性が高いこともUPEの特徴です。強酸を除く多くの薬品に対して耐性を持っています。また、毒性が無く人体に無害なことから、食品加工や包装の時に利用することができます。
3. 使用温度の幅
UPEは使用できる温度の幅が広いです。高温時には約80℃、低温時には−100℃程度まで連続して使用することができます。
中程度の加熱や冷却が必要な機械にも使用可能です。また、吸水性が非常に低く、水を使用する機械にも対応しています。
UPEの種類
1. シート状UPE
シート状のUPEは、優れた耐摩耗性と耐薬品性を有しています。ポリエチレンに特有のC-F結合によるものであり、摩擦や腐食に耐える能力が高いことを意味します。
化学プラントや工業機械の部品、船舶のスクレーパーなど、耐久性が重要な環境で広く利用され、シート状UPEは機械加工が容易であり、自由な形状にカットできるため、さまざまな用途に適した材料です。
2. パイプ状UPE
UPEのパイプは、非常に高い耐薬品性を持っています。腐食性の液体や溶剤の輸送や貯蔵において、他の材料では耐えられないような厳しい環境にも対応が可能です。
パイプ状UPEは抗菌性があるため、食品産業や医療分野での使用に適しています。その優れた耐久性と耐薬品性から、特に化学工業や食品産業での配管材料として重要な存在となっています。
3. 繊維状UPE
繊維状に加工されたUPEは、その高い強度と耐摩耗性により、耐久性が要求される製品に広く用いられています。防弾チョッキや切削工具、耐摩耗性の高い部品などに使用されます。
繊維状UPEは軽量でありながらも非常に頑丈なため、航空宇宙産業やスポーツ用品など、軽量かつ高性能を求める分野でも重要な材料として採用されているUPEです。
4. フィルム状UPE
フィルム状のUPEは、高い電気絶縁性を持っています。このため、電子機器や電気部品の絶縁材料として広く利用されているUPEです。
フィルム状UPEは柔軟でありながらも耐久性があり、化学容器や包装材料としても重要な役割を果たしています。また、その耐熱性も優れており、高温環境での使用にも適しています。
参考文献
https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-uhmw-pe