非接触ヒータとは
非接触ヒータとは、物体を加熱する際に直接接触せずに熱を伝えるヒータです。
物体に熱源を接触させる必要がなく、効率的かつ均一に加熱することが可能です。非接触ヒータは、熱エネルギーのほとんどを物体に直接伝えるため、エネルギーの損失が少なく効率的に加熱できます。また、物体との接触がないため、熱による火災や火傷のリスクを低減することが可能です。
ただし、従来の加熱方法に比べて高価な場合があります。また、装置や技術の導入には費用がかかることがあり、原理によっては適用できない材質も多いです。
非接触ヒータの使用用途
非接触ヒータは、さまざまな分野で使用されます。以下は非接触ヒーターの使用用途一例です。
1. 工業
工業プロセスでは非接触ヒータが幅広く使用されています。金属の鋳造や溶接において金属材料を加熱して溶かし、成形や接合を行うことも可能です。また、プラスチックの成形では、プラスチック材料を加熱して成形プロセスを容易にします。
ガラスの加工においても使用され、成形や冷却を制御して所定の形状や性質を得るのに有用です。半導体製造プロセスでは、シリコンウェハの加熱や熱処理を行い、精密な製品を作り出すのに重要な装置です。
2. 食品加工
食品の乾燥プロセスでは食品の水分を除去するために使用され、保存期間を延ばしたり、軽量化したりすることが可能です。加熱殺菌では、食品中の微生物を除去するための加熱処理を行います。焼き付けプロセスでは食品表面を均一に加熱し、焼き目を形成することが可能です。
3. 医療機器
非接触ヒータは、医療機器や医療用具の加熱にも使用されます。手術用具の滅菌では、非接触ヒータによって高温の熱を加えることで微生物を殺菌することが可能です。温熱療法では、非接触ヒータが体の特定の部位を温め、血液循環を促進したり、筋肉の緊張を緩和したりするのに使用されます。
非接触ヒータの原理
非接触ヒータの主な原理は、熱放射によるエネルギー伝達です。具体的には、赤外線を利用して物体に熱を伝える仕組みが一般的です。
赤外線は電磁波の1種であり、目には見えないが熱エネルギーを持っています。非接触ヒータでは電気やガスをエネルギー源として使用し、赤外線を放射して物体を加熱することが可能です。
赤外線は熱エネルギーを伝える能力が高く、空気を通じて物体に直接熱を与えることができます。また、赤外線は物体に吸収される特定の波長帯域があり、対象物に応じて適切な波長帯域を選択することで効率的な加熱を実現します。
非接触ヒータの種類
非接触ヒータにはさまざまな種類が存在します。以下は非接触ヒータの種類一例です。
1. 赤外線ヒータ
赤外線放射によって物体を加熱するヒータです。電気赤外線ヒータは電気エネルギーを赤外線に変換し、放射します。工業加熱や暖房などのさまざまな用途で使用される非接触ヒータです。
赤外線ヒータにはさまざまな種類があり、セラミックヒータなどが一例です。セラミックに電気を通すことで発熱する非接触ヒータで、取り込んだ空気をヒータで暖めてから放出します。立ち上がり時間は早い点が特徴です。
2. 誘導ヒータ
誘導ヒータは電磁場を利用して物体を加熱するヒータです。電流を通したコイルが電磁場を発生し、対象物内の導電体に誘導電流を生じさせることで加熱します。導電性の高い物体などを効率的に加熱することが可能です。調理器具や産業用加熱装置などで広く使用されています。
3. マイクロ波ヒータ
マイクロ波を利用して物体を加熱するヒータです。マグネトロンと呼ばれる装置から発生されたマイクロ波を利用し、水分子の運動を活性化させて物体を加熱します。家庭用電子レンジや産業用の加熱装置などで使用されます。
4. レーザーヒーター
レーザー光を利用して物体を加熱するヒータです。高エネルギー光ビームを物体に照射し、物体表面で吸収された光エネルギーが熱エネルギーに変換されることで加熱が行われます。精密な加熱制御や局所的な加熱が必要な場合に使用されます。
参考文献
https://www.ec-current.com/shop/contents/contents.aspx/00000565
https://www.heat-technology.co.jp/type/