ギヤポンプ

ギヤポンプとは

ギヤポンプ

ギヤポンプとは、容積形ポンプの1種で回転ポンプに分類され、2つの歯車の回転により送液するポンプです。

ギヤポンプの使用用途

ギヤポンプは、定量的に送液したいときや高粘度液を送液したいときに用いられることが多いです。圧力上昇に伴う吐出量の変化が少なく定量性の良いことが特徴です。送液する液の種類としては、油、樹脂、塗料、接着剤、溶剤など幅広い種類の液を送液することができます。

歯車とケーシング以外で触れるところが少なく分解が比較的容易であることから、化学業界はじめ食品業界や薬品業界のサニタリー分野でも用いられています。更にある程度の固形物含有液にも使用することができます。

ギヤポンプの原理

ギヤポンプは、ケーシングの中に2つの歯車がぴったり収められた構造をしています。ギヤポンプは容積式ポンプと呼ばれ、歯車と歯車の間や、歯車とケーシングの間に存在する液にエネルギーを加えて吐出する機構になっています。ギヤの回転速度を変化させることにより吐出量のコントロールをすることができます。

ギヤポンプの歯車構成は複数ありますが、今回はケーシング内に上下2つの歯車が収められている外転式ギヤポンプとギヤとピニオンを組み合わせた内転式ギヤポンプについて説明します。

1. 外転式ギヤポンプ

上下の2つの歯車がかみ合うように回転を行います。中央で噛み合った歯車が、再び開くタイミングで負圧が生じることによって液を吸い込みます。吸い込んだ液は歯車とケーシングの間を通る仕組みになっています。

1. 内転式ギヤポンプ

ケーシングの吸引側でギヤとピニオンのかみ合いが離れた時、負圧が発生します。負圧により吸入口より液体を吸い込みます。ケーシング内には三日月の液が入る空間が存在しています。ギヤとピニオンは偏心していることから、三日月部分を通る際にギヤとピニオンは接触から離れる状態となります。出口側にてギヤとピニオンの歯が完全にかみ合うタイミングとなります。そのタイミングで完全にシールされた状態となり今度は加圧状態となって吐出口から液が送り出されます。 

ギヤポンプのその他情報

ギヤポンプ 用のオイルシールとメカニカルシール

ギヤポンプ軸部の密閉にはオイルシールもしくはメカニカルシールが使用されます。

オイルシールとは、シール自身の弾性で密閉性を確保するもので、メカニカルシールとはコイルバネの力を利用して密閉性を確保するものです。どちらの場合も、ポンプの軸が回転する為のクリアランスが存在するので、 完全な密閉性を担保できません。完全密閉してしまうと軸受摩耗及び抵抗の増加に繋がり、その結果、シール面の焼き付きなどトラブルに繋がるためです。

一般的には、メカニカルシールの方が、漏れが少ない、寿命が長い、メンテナンスがしやすいという特徴がありますが、流体の種類、ポンプの仕様、使用条件を考慮して設計することでメンテナンス頻度や設備の寿命が改善されます。また適切なクリアランスが維持されているか、漏れに変化がないか定期的な確認が必要です。

ギヤポンプ のキャビテーション発生と対策

ギヤポンプの吐出圧力不足のトラブルが生じた場合、その原因の一つとしてキャビテーションが考えられます。キャビテーションとは、ポンプのケーシング内で部分的な圧力差が生じ、その圧力低下が液体の飽和蒸気圧まで低下することで発生する現象です。この現象が起こると、流体内で気泡の消滅と発生が繰り返され、生じた気泡が消滅する際に、大きな衝撃圧力が発生します。

この衝撃圧力の影響により、キャビテーションの発生初期は、パチパチやバチバチという音が発生します。さらにキャビテーションが成長すると、ポンプ自体を揺らすような振動が発生する場合があります。このような状態となると、ポンプの性能が出ないだけでなく、設備が破損するなどの故障に繋がるおそれがあります。

キャビテーションを発生させないためには、配管内径を太くする、吸込側配管を短くする、ポンプ吸込み条件を可能な限り押し込み条件にする等の対策があります。これらは、設備設計の段階で考慮しておく必要があります。

ギヤポンプ のエア噛みと対策

エア噛みとは、ポンプの吸込側配管に空気などの気体が混入し、気泡やエア溜まりが生じている状態のことです。
この現象が発生すると、設計上の十分な吐出圧力や流量が得られずに、ポンプの能力低下に繋がるおそれがあります。

エア噛みを発生させないためには、ポンプを送液する流体の液面よりも下に設置すること、配管を曲げる個数を減らすこと (目安3個以内) 、配管を下り勾配にしないこと、2台のポンプで1本の配管から吸い上げしないことなどの対策があります。設備のレイアウト変更する際には注意が必要です。

参考文献
http://gearpump.co.jp/gearpump/index.html
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a1a.html
https://m-and-k.com/service/gearpump/
http://daidopmp.co.jp/products/
https://pump.acquainc.com/archives/362

画像検査装置

画像検査装置とは

画像検査装置とは、カメラやセンサーなどから得た画像を元に対象物の外観や寸法の検査をする装置です。

画像検査装置は、検査員による目視作業に代わるものとして利用されています。目視作業は、部品や製品の品質維持及び保証のために行われます。画像検査装置は、個人差や疲れによる検査精度のばらつきを防ぐ重要なものです。

画像検査装置の使用用途

画像検査装置は、様々な分野の製造ラインで利用されています。主な用途は、以下の通りです。

  • 工場における部品等の傷や汚れ、欠損の有無検査
  • 梱包される製品や部品の個数の過不足検査
  • 製品や部品の寸法やサイズ違いの検査
  • 製品や部品の色の検査

画像検査装置の導入により、ヒューマンエラーを防止して24時間の安定稼働や検査速度アップが図られています。

画像検査装置の原理

画像検査装置は、カメラやセンサーと照明からなる画像入力系と画像処理装置で構成されています。画像検査装置の原理は、カメラで撮影した画像を基に画像処理装置で特徴量などの情報を抽出し、登録している良品情報と照合することによる合否判定です。

画像入力系と画像処理装置の機能は、以下の通りです。

1. 画像入力系

画像入力系は、照明、カメラ、レンズで構成されています。画像入力系は、対象物、対象物の搬送条件、検査の目的 (キズの大きさや汚れの程度など) によって、最適な機器 (エリアカメラかラインセンサカメラか間接照明か直接照明かなど) を選定し、設置と制御を行う必要があります。

2. 画像処理装置

画像入力系から得られた画像に対して、画像変換、画像変形、特徴量抽出などの処理を実施します。画像検査装置では、画像処理装置にあらかじめ良品と判断する基準 (特徴量の数値や範囲、図形パターン) を登録しておき、画像入力系の画像から得た特徴量と比較して合否の判定をします。

画像検査装置の選び方

画像検査装置は、検査しようとする対象物、搬送ラインの仕様、検査の目的に合わせて画像入力系、画像処理装置を選びます。画像検査装置の選定においては、発生する費用に対して、生産性の向上や人員の負荷軽減などの効果を定量化し、費用対効果を得られるようにする必要があります。

画像検査装置を選定する際のポイントは、以下の通りです。

1. 画像入力系

照明
ムラが無く明るさが安定した照明は、画像検査を安定したものにします。検査したい項目を強調できるような光源の種類、フィルターの種類、光の当て方、台数の選定が必要です。

例えば、金属表面の凹凸を撮影する場合は正反射タイプの照明を、ハレーションが起こりやすい場合は拡散反射タイプの照明を使用します。

カメラ
検査したい項目によってカラーカメラ、モノクロカメラ、高速カメラ、ラインセンサカメラ、コンタクトイメージセンサカメラなどから選定します。カラーカメラは、製品や部品の色を検査する場合に採用します。

一般的にカラーカメラは、モノクロカメラよりも高価です。検査する対象の色が単純なものであれば、モノクロカメラとカラーフィルターによって安定した検査ができることもあります。カメラの選択時には、色の検査だからカラーカメラと単純に考えずに、モノクロカメラと照明の工夫による低コスト等の検討も必要です。

高速カメラは、検査対象物が高速に移動して通常のカメラではブレが生じる場合に採用します。一般的に高速カメラを使う際には、照明を明るくする必要があります。

ラインセンサカメラやコンタクトイメージセンサカメラは、シート状の検査対象物や検査対象物が円や円筒形の回転物などの場合に採用します。コンタクトイメージセンサカメラは、固定焦点レンズと照明が一体になったカメラで、検査対象とカメラの距離が安定している場合に有効です。

レンズ
レンズの選定は、焦点距離、被写体深度などを基に行います。画像検査をする場合は、検査対象を必要な精度で捉えられる様に視野を設定する必要があります。

そのために重要となる項目が焦点距離です。焦点距離は、レンズからカメラの撮像素子までの距離です。焦点距離は、検査対象物の大きさ (視野) 、レンズと検査対象物との距離、撮像素子の大きさから決まります。

被写界深度は、焦点を合わせた検査対象物がカメラから遠ざかったり、近づいたりしても焦点が合う範囲のことです。被写界深度が深いほど、検査対象物とカメラの距離が変動してもピントがあった画像を取ることができます。

製造ラインでは、他の機器との干渉しないようにカメラを設置するなどの制約が生じます。画像検査装置で使用するレンズは、検査に必要な撮影条件を満たす焦点距離と被写界深度が取れるレンズを選定する必要があります。また、焦点距離が短いレンズは画像にひずみが生じるので、検査精度に影響しないか確認が必要です。

2. 画像処理装置

画像処理装置は、検査に必要な精度 (キズの大きさやムラの程度、長さの誤差、文字やバーコードの認識率など) と、速度 (生産ラインで許される時間内に検査が完了できるか、現在の検査速度よりも早くできるかなど) を基に選定します。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/vision/visual-inspection/method/sensor.jsp
https://www.active-ltd.co.jp/picture_check.php

真空装置

真空装置とは

真空装置

真空装置とは、ある動力を用いて真空を作り出す機器のことです。

真空装置には大きく分けてエジェクター、真空ポンプ真空ブロワの三種類が存在します。それぞれ用途によって使い分けます。真空の用途として、吸着パッドによる吸着・系内を減圧することによる脱気が大きな項目として挙げられます。

真空装置の中でもエジェクターは原動力をエアーとすることで危険物使用区域でも使用できる、非常に有用な機器となります。一方で真空ポンプや真空ブロワは電動のため効率よく真空をつくることができます。

真空装置の使用用途

真空状態の用途として、吸着パッドによる吸着が挙げられます。これはロボットなどで搬送する際にワークを吸着させて持ち上げるのに使用します。

また、系内を減圧することによる脱気にも使用されます。酸化しやすい物質に対して、空気 (酸素) を取り除くことで酸化を防ぎます。また混合液や薬品などから不要な水分を蒸発させることで液体を分離させたり濃縮させたりすることも可能です。

真空装置の中でもエジェクターはエアーを用いているため、小型でシンプルなところから安価に真空発生したい場合に用いられます。真空ポンプは高い真空度を得るのに、真空ブロワは通気性のあるワークの吸着に用いられます。

真空装置の原理

エジェクターはベンチュリ―効果を用いて真空発生させます。エジェクター内は部分的に絞られた構造で駆動流体であるエアーが通ると高速で通り抜けます。高速で通り抜けたところは部分的に真空になります。このような原理のため、駆動源は流体を用い、多様性があります。蒸気・空気・水・など様々な流体を使用できます。

真空ポンプはモーターの回転によりベーンが回り、ケーシング内の気体を密封しながら排出します。連続的に気体の排出を行い、動力としてモーターを使用できるため、高い真空度や排気速度を達成することができます。沸点を下げるための減圧機器としても用いられています。

真空ブロワはモーターを回すことで内蔵された羽を回転させます。羽が回転することで気体を取り込みます。気体を引き込むことで気体を圧縮して真空状態にします。吸い込み量が大きいことが特徴です。ただし、原理上吸着させるワークに通気性がある方が効率よく使用することができます。 

真空装置の構造

真空装置には装置によって異なる機能を持っていますが共通するユニットとしては真空ポンプ(エジェクター、真空ブロア)、真空チャンバ、真空バルブ、真空計で構成されています。

1. 真空ポンプ

真空ポンプとは、真空チャンバな内の空気を外へ放出し残った大気圧以下の低圧すなわち真空を保持するために機械です。またどの程度の真空圧を必要とするか、また排気する気体の成分によって使用する真空ポンプの種類が異なります。真空ポンプの中で最も一般的なのは、ロータリーポンプと呼ばれるもので排気量や圧力の上限、コスト面で優れています。

2. 真空チャンバ

真空チャンバは真空の状態を作り出すための容器です。真空チャンバは真空ポンプによって空気を排出するため容器内の圧力が低下します。低下した場合、真空チャンバ内の気圧より外気圧のほうが大きくなるため、外側から圧力を受けることになります。そのため、発生した圧力に真空チャンバ自身が耐えられなくなると形状を保つことができなくなるので真空チャンバを選定する際は強度に注意しなければなりません。

3. 真空バルブ

真空バルブは、真空チャンバと真空ポンプの間に生じる、異なる圧力を遮断するユニットです。真空バルブにはゲートバブルやL形バルブ、ストレートバブルなどの種類があり、圧力によって使用する真空バルブを分ける必要があります。

4. 真空計

真空計は真空チャンバ内の圧力を計測する機器です。真空計は種類によって計測できる圧力の大きさが異なるため、使用する真空装置の圧力に見合った真空計を使用する必要があります。

参考文献
http://www.hokuto-mfg.com/product/item04.html
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-components/vacuum-generators/ejector.html
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-components/vacuum-generators/vacuum-pump.html
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-components/vacuum-generators/vacuum-blower.html

絶縁被覆付圧着スリーブ

絶縁被覆付圧着スリーブとは

絶縁被覆付圧着スリーブ

絶縁被覆付圧着スリーブとは、圧着スリーブの表面部分に絶縁被覆が施した部品です。

主に、配線同士を中間地点で接続するために使用されます。絶縁被覆によって電線と他回路・部品の間を電気的に絶縁し、外部環境との電気的な接触を防止します。これにより、電気ショートや漏電を防ぎ、安全性を確保することが可能です。

また、導体を物理的に保護する役割も果たします。振動や化学物質などの外部要因から導体を保護し、損傷や劣化を防止します。耐摩耗性など、さまざまな性能を向上させることも可能です。

ただし、スリーブを正しく取り付けることが重要です。圧着工具を使用し、スリーブを導体にしっかりと固定する必要があります。正確な取り付けが行われない場合、絶縁や保護の効果が損なわれる可能性が高くなります。

絶縁被覆付圧着スリーブの使用用途

絶縁被覆付圧着スリーブは、さまざまな産業で使用されます。ただし、その全てが電気配線の接続用途です。それ以外の用途では使用されません。

配線の補修などで使用する場合が一般的です。配線が断線などによって故障した場合、中間地点で接続して捕集する場合があります。絶縁被覆付圧着スリーブを使用して捕集することで、故障した配線を電気的に接続しつつ、絶縁被覆によって外部環境と絶縁することが可能です。

また、機器の移設時にも使用されることがあります。固定使用される産業機器を移設する場合、電気配線の長さが足りなくなる場合が少なくありません。絶縁被覆付圧着スリーブを使用することで、同種類の配線を継ぎ足すことが可能です。

使用される産業も幅広く、建築から自動車産業までさまざまです。建築物では壁内配線の接続などに使用され、自動車ではハーネスの接続などに使用されます。

絶縁被覆付圧着スリーブの原理

絶縁被覆付圧着スリーブは一般的に2つの主要な部分から構成されています。絶縁被覆と導体です。

1. 絶縁被覆

絶縁被覆はスリーブの外側に位置し、導体を絶縁して保護する部分です。塩化ビニルやナイロンといった絶縁被覆を用いていることで絶縁性能を実現しています。ゴムなどが使用される場合もあります。

電気的な絶縁を提供し、導体と外部環境との間の電気的な接触を遮断します。これにより、電気ショートや漏電を防止することが可能です。

また、物理的な保護を提供し、導体を外部の環境から保護します。絶縁被覆は摩擦や湿気などの要素から導体を保護する役割を果たします。

2. 導体

導体はスリーブの内部にあり、電気信号や電力を伝える役割を果たす部分です。一般的に金属製であり、導電性と耐久性が求められます。配線との密着性も重要なことから、無酸素銅などの柔らかい材質が使用されることが多いです。

電線との接続を実施する場合、圧着工具の使用が推奨されます。圧着工具で圧着することをかしめると言います。圧着端子の接合部分の大きさに合った圧着ペンチを用いることで、正常なパワーで密着・接続させることが可能です。

電線の絶縁被覆が剥き出しにされ、導体が露出した状態で端子の圧着部分に挿入されます。圧着工具を使用して適切な圧力をかけて電線をしっかりと固定し、導体同士が直接接触するようにします。電線接続部によって電線と絶縁被覆付圧着スリーブの確実な接続が可能です。

絶縁被覆付圧着スリーブの選び方

絶縁被覆付圧着スリーブを選ぶ際は、スリーブ径、絶縁被覆の材質、形状などを考慮することが重要です。

1. スリーブ径

スリーブ径は導体スリーブの大きさです。推奨される配線太さがカタログなどに記載されており、一般的には接続したい配線の太さに応じて選定します。複数本をまとめて圧着する場合でも十分な径のスリーブを選定することが重要です。

2. 材質

絶縁被覆の材質は、ナイロンや塩化ビニルから選定します。一般的には、ナイロンの方が耐熱温度が高いです。

3. 形状

絶縁被覆の形状はさまざまな製品が存在します。一般的には、直線状のストレートスリーブを選定することが多いです。配線を脱着する際は、差込接続スリーブを選定する場合もあります。

参考文献
https://www.fujiterminal.co.jp/products/cp/terminal/insulation/
https://kurashi-no.jp/I0020746

絶縁被覆付圧着端子

絶縁被覆付圧着端子とは

絶縁被覆付圧着端子

絶縁被覆付圧着端子とは、裸圧着端子の根元部分に絶縁被覆が施されている部品です。

電線の端部に施工されることが多く、他の電子機器や回路と接続するために使用されます。絶縁被覆によって電線と他回路・部品の間を電気的に絶縁します。

これにより、短絡や漏電、感電などのリスクを軽減します。安全な電気接続を確保することが可能です。また、絶縁被覆は電線の末端を保護し、外部の環境からのダメージや摩耗を防ぎます。物理的な衝撃や振動に対しても耐久性があり、長期間の使用に耐えられます。

ただし、絶縁被覆付圧着端子を正しく取り付けるためには、適切な工具を使用することが重要です。一般的な裸圧着端子と同じ工具を使用できないことが多いです。間違った工具や作業手順で圧着作業をした場合、接続の信頼性や安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。

絶縁被覆付圧着端子の使用用途

絶縁被覆付圧着端子は、さまざまな産業で使用されます。ただし、その全てが電気配線の接続用途です。それ以外の用途では使用されません。

1. 建物

建物の電気配線において電線の接続や分岐点で使用されます。壁面コンセントやスイッチの配線に利用されることが多いです。

2. 家電製品

家庭用エアコンなどの家電製品における電線接続に利用される場合も多々あります。

3. 自動車

自動車のハーネスにも使用されます。自動車のハーネスは、車両内の電気系統を配線するための重要な部品です。絶縁被覆付圧着端子はハーネスの接続点や分岐点で使用され、信号伝達や電力供給を確保します。

4. 産業機器

工場などにおける産業機器の電気配線接続にも使用されることが多いです。産業機械の制御系統やモーターなどの電気配線に使用され、信頼性の高い電気接続を提供します。

絶縁被覆付圧着端子の原理

絶縁被覆付圧着端子は一般的に絶縁被覆、端子本体、および電線接続部から構成されています。

1. 絶縁被覆

絶縁被覆は電線の一部を覆って外部の環境から電線を保護し、電気的な絶縁を提供する部分です。主に塩化ビニルナイロンなどの材料が使用され、耐熱性や絶縁性能などの要件に合わせて選択されます。

2. 端子本体

端子は電線と接続し、信号や電力の伝達を確保する役割を果たす部分です。一般的に金属製であり、導電性と耐久性が求められます。ビスなどとの密着性も重要なことから、無酸素銅などの柔らかい材質が使用されることが多いです。

端子にはさまざまな形状やタイプがあります。一般的にはリング型やY型または棒型などの形状が使用されることが多いです。端子部分は他の回路や部品との接続を可能にします。

3. 電線接続部

電線接続部は、ケーブルなどの電線と被覆付圧着端子を接続する部分です。圧着によって確実な接続を実現します。電線との接続を実施する場合、圧着工具の使用が推奨されます。

圧着工具で圧着することをかしめると言います。圧着端子の接合部分の大きさに合った圧着ペンチを用いることで、正常なパワーで密着・接続させることが可能です。電線の絶縁被覆が剥き出しにされ、導体が露出した状態で端子の圧着部分に挿入されます。

圧着工具を使用して適切な圧力をかけて電線をしっかりと固定し、導体同士が直接接触するようにします。電線接続部によって電線と絶縁被覆付圧着端子の確実な接続が可能です。

絶縁被覆付圧着端子の種類

絶縁被覆付圧着端子には、さまざまな種類があります。以下は代表的な絶縁被覆付圧着端子の種類です。

1. リング端子

リング端子は、円環状の端子形状を持つ圧着端子です。ねじやネジ圧着端子台座に取り付けられる場合が一般的です。この形状の端子は、配線接続が必要な箇所で広く使用されます。

2. 棒端子

棒端子は、直線的な端子形状を持つ圧着端子です。国内ではリング端子を使用する場合が多いですが、特に欧州におけるシェアは棒端子がほとんどです。配線の結合点や電気パネルなどで使用され、複数の同時に1つの端子にかしめることも可能な端子も販売されています。

3. Y型端子

Y型端子はY字型の端子形状を有する圧着端子です。端子をボルトやネジに取り付けるために使用されます。ネジを完全に外さなくとも配線を接続・離線可能で、施工性が高い点が特徴です。

ただし、ねじの緩みによって脱落するリスクがあります。リング端子を推奨しているメーカーなども多いです。

参考文献
https://www.fujiterminal.co.jp/products/cp/terminal/insulation/
https://kurashi-no.jp/I0020746

撹拌槽

撹拌槽とは

撹拌槽

撹拌槽とは、撹拌を行うためのタンクです。

異種の固体・液体・気体を撹拌槽の中に入れて、撹拌して混合させるために用います。撹拌槽の形状は、液面高さとタンク内径の比で示されます。一般的に効率的な比率は1.0から1.5程度です。

撹拌槽が過度に細いと上下の撹拌がうまくいかず濃度勾配が発生しやすくなり、一方で過度に太いとタンク径が大きくなってタンクに厚みを持たせる必要があります。

撹拌槽の使用用途

撹拌槽は、物質を混合させる撹拌機の外装として使用されています。撹拌槽の利用用途に応じコイルやジャケット、バッフル、ノズルなどの部品を導入します。部品を取り付ける場合、撹拌機に生じる液体のフローを妨害しないことや構造的に強度が保たれることが必要です。

コイルやジャケットは、加熱冷却を行うときに用います。バッフルは液体の横向きの流れに対して上下方向への流れを付与する役割があり、最大の効果を得るためにはタンクに対して2~8枚程度取り付ける必要があります。

ノズルはタンク内の液体の注入や流出に利用し、液体に気体を注入するときは槽の下部のノズルから入れてバブリングもできる部品です。

撹拌槽の原理

撹拌槽は、モーター、減速機、軸封装置、軸、撹拌翼、バッフルで構成されています。

1. 軸封装置

モーターが回転して軸に動力が伝わり、減速機を装着している場合は減速機に応じた減速とトルク上昇が生じます。また、軸封装置によって回転を妨げずに槽内を密閉できます。一般的に用いられている軸封装置は、グランドパッキンメカニカルシールです。

2. 撹拌翼

撹拌翼が回転するのと同時に軸が回転し、液体の撹拌が可能です。槽内の撹拌は、撹拌翼の形状に応じたスラスト力やラジアル力によって生じます。また、撹拌翼に接触した液が上下左右に流れを作ることで、撹拌翼特有の挙動へと変化します。

3. バッフル

撹拌された液はタンク内に取り付けたバッフルにより、更なる液分散が可能です。バッフルは、層流状態から乱流状態に変化させるのに用いられます。特に低粘度の液体の撹拌では層流となりやすく、バッフルの装着が効果的です。

4. タンク

タンクの形状によって液の分散具合が変化します。タンクボトムの形状は、特に液だまりに大きく影響します。一般的に用いられるのは、2:1の半楕円形状もしくは10%皿型です。液面の高さとタンク内径の比を1.2とした場合、槽の内径は液量を1.14倍し、1/3乗して算出できます。

撹拌槽のその他情報

1. 撹拌翼の種類

モーターの回転を撹拌槽に伝えて原料を撹拌する部分は、撹拌翼です。撹拌翼の役割は、撹拌槽内の各所にせん断力を与える「せん断作用」と、循環流の形成を与える「循環作用」の2つに大きく分けられます。撹拌する原料の粘度を基準として、目的が達成できる最適なバランスを持った撹拌翼を選択します。

撹拌槽に使用されている代表的な撹拌翼は、以下のとおりです。

プロペラ翼
プロペラ翼は、船舶に用いられる3枚の羽を持った撹拌翼です。高粘度の原料を撹拌するのには不向きですが、低粘度の液体に個体粒子が含まれているときに沈殿防止の目的で使用されています。その他にも、コスト面やコンパクト性から、標準的な撹拌翼として広く使われています。

ディスクタービン翼
ディスクタービン翼は、円盤に何枚かのブレードをつけた撹拌翼です。消費電力は大きいですが、大きな循環作用とせん断作用が発生します。固体を粉砕しながらの撹拌や、気体の分散や吸収などの反応を伴う撹拌などで利用できます。

アンカー翼
アンカー翼は、船の錨に似た形状をした撹拌翼です。一般的に、撹拌槽の底から壁に沿った形状になっている撹拌翼です。高粘度の原料でも撹拌可能ですが、撹拌能力は他の撹拌翼と比較するとあまり高くありません。

2. 撹拌槽の種類

撹拌槽にはいくつか種類があります。混合する液体に適した撹拌方法により、撹拌槽を選択することが大切です。

中心撹拌
撹拌槽の中心に、撹拌翼の中軸を垂直に取り付けた撹拌方法です。一般的な方法であり、均一な流動が生じる特徴があります。

偏心傾斜撹拌
撹拌翼を撹拌槽の中心ではなく、底面に対して斜めに取り付けた撹拌方法です。バッフルがない状態でも、乱流状態を発生させられます。

底部撹拌
撹拌翼を撹拌槽の底の部分から取り付けた撹拌方法です。撹拌槽が大型のときに長い軸の装着は不要になります。

参考文献
https://www.shi-pe.shi.co.jp/products/mixing/lecture/expert001/
https://www.shi-pe.shi.co.jp/products/mixing/lecture/basic000/

ダクト

ダクトとは

ダクト

ダクトとは空調設備の一つで、空気の通り道のことを指します。建物内での換気や空調、排煙などに使用されているのはもちろん、大型の機械などで内部の熱や不純物を排出するためにも使用されています。

ダクトには様々な種類があり、設置場所や、使用用途によって大きさや素材などが異なります。

ダクトの使用用途

建築物の換気や空調に使用されています。

内部に送風機などで流れを作り、ダクトを通じて外に出してあげることによって、建物内は常に新鮮な空気や温度を保つことができます。

ダクトには2つの種類があり、1つは「角ダクト」もう一つは「丸ダクト」です。それぞれの使用用途を説明します。

角ダクト

角ダクトは直線及びカーブ部に使用され、丸ダクトよりも排気性能が高いとされています。そのため排気が多く必要なキッチンなどで使用されます。

丸ダクト

丸ダクトは強度が高いとされており、集合住宅やオフィスなどの耐久性が必要な場所で使用されています。

ダクトの原理

ここではダクトの原理について説明します。

まずは「ダクト」と「配管」の違いから説明します。 「ダクト」は空気の流れのみを通すのに対して、「配管」は空気のみではなく、水や様々なガスなどの流体を通すことができる点が最大の違いです。また、「配管」は大掛かりな作業になりやすいですが、「ダクト」は簡易的な作業で行われる点も違います。

次にダクトに使われている、主な材料を4種類紹介します。

1.亜鉛メッキ:最も使われている素材。空調や排気に使われています。

2.ステンレス鋼:ステンレスなため耐食性、耐腐食性に優れています。食品工場やエアコン部などのさびやすい部分に使用されます。

3.ガルバニウム鋼:アルミニウム亜鉛の合成メッキです。耐腐食性・耐熱に優れているかつ、ステンレスよりも安価なのが特徴です。

4.塩ビコーティング鋼:亜鉛メッキに樹脂コーティングをした物です。耐アルカリ・耐薬品性に優れているので、主に薬品工場で使用されています。

ダクトの設置にも注意する必要があり、特に曲げと勾配に注意する必要があります。曲げの部分は気流の乱れ・抵抗となるのでできるだけ少なく、極端な曲げは避け、長さもできるだけ短くする必要があります。また、結露によってダクト内に水がたまることがあるため、ダクトは勾配をつける必要があります。そして、ダクトは振動などで騒音を出すため、補強材等で騒音対策をする必要があります。

ダクトの吹出・吸入口

ダクトの吹出・吸入口には様々な形状があります。

オフィスビルやデパートではアモネスタットと呼ばれる天井付けの吹出口が定番で、丸型や角型があります。アモネスタットは複数の羽を重ねた断面構造をしており、吹き出す空気が放射状に広がることで、室内全体に空気が広がることが特徴です。

外気を取り入れる吸入口では、「ガラリ」と呼ばれるものが広く使用されています。屋外使用における雨水の侵入を防ぐために、水切りや水返しの羽が取り付けられた構造をしています。屋外で使用するため、ステンレスなどの耐候性、耐久性に優れた素材が使用されます。また、虫や鳥などの侵入を防ぐためにステンレス網を取り付ける対策が必要です。

このほかに、体育館などの広い空間に広く空気を届けるためのノズル型、可動式の羽が取り付けられたユニバーサル型など目的に合わせて様々な吹出・吸入口が使用されています。

ダクト設置の注意点

ダクトの設置にも注意する必要があり、特に下記4点に注意する必要があります。

1.ダクトの損失抵抗

ダクト内の損失抵抗は内部の空気の流れを妨げ、送風動力の増加によりエネルギーの無駄が発生するため、損失抵抗をできるだけ下げるようにダクトを設置する必要があります。

まずは、ダクトの長さをできるだけ短くすることです。また、給排気口や分岐、曲がりなどでは大きな損失抵抗が生じるため、これらはできるだけ少なくする必要があります。とはいえ、無理なダクトの接続は著しい損失抵抗が生じます。したがって、距離と曲げ・分岐をできるだけ少なくしつつ、無理な接続を避けることが重要です。

2.ダクト内の結露

ダクト内では場合によっては結露が発生することがあります。ダクト内の結露はダクトの腐食だけでなく、ダクトを介して危機に水が入ることで漏電・火災につながる可能性があります。これを防止するために、ダクト内の水を外に排出するための勾配をつけることがあります。

3.ダクトの振動・騒音

ダクトの施工方法を間違えると、送風機等のモーターの振動がダクトに伝わり、振動や騒音の原因となってしまうため、これらの対策が必要です。

まず、対策の一つとして「たわみ継ぎ手」を取り付けることで機器の振動がダクトに伝わることを防ぎます。また、蛇腹構造の「フレキシブルダクト」を接続部分に用いることで、振動を抑制できるだけでなく、柔軟に曲げることができるため施工が難しい場所に使用することができます。また、「消音ボックス」を取り付けることで騒音対策することがあります。消音ボックスは内部にロックウールグラスウールを充填することで吸音・消音機能を付与しています。

真空ブロワ

真空ブロワとは

真空ブロワは真空発生器の一つで、吸い込み側で真空が、排出側で加圧・吐出が起こる装置です。

真空発生器にはエジェクター、真空ポンプ、真空ブロワの3種類があり、それぞれ用途によって使い分けます。加圧 (吐出) が必要な場合にはブロワが使用され、吸引が必要な場合は真空ポンプを使用することが一般的です。真空ブロワは、吸着搬送などに用いられています。真空の用途としては、吸着パッドによる吸着・系内を減圧することによる脱気が挙げられます。

真空ブロワの使用用途

真空状態の主な用途には下記のようなものがあります。

  • 部品の吸着搬送
  • 粉粒体 (食品、プラスチック、化学、製薬など) 輸送
  • 真空チャック
  • 真空包装器
  • 脱気、蒸着装置
  • 濾過機の真空引き
  • 真空成形機
  • 食品の真空含浸、真空乾燥
  • 印刷インク脱泡器
  • 気密テスト
  • エアーナイフ

吸着搬送とは、ロボットなどで搬送する際に吸着パッドによる吸着を行う搬送の方法です。真空ブロワは吸込量が大きいことから、特に段ボール、断熱材、木板などの通気性のあるワークの吸着に用いられます。

また、系内を減圧することによる脱気では、空気 (酸素) を取り除くことで酸化しやすい物質の酸化を防ぐことができます。

真空ブロワの原理

1. 概要

真空ブロワはモーターを回すことで内蔵された翼 (インペラ) を回転させる仕組みです。インペラが回転することで気体を取り込み、さらにハウジング内に気体を引き込むことで気体を加速および圧縮させます。すなわち、インペラの羽根によってエアーが吸い込まれて圧縮することにより、吸込み側で負圧 (真空) が排出口を通って、ブロワから加圧・放出が発生します。

2. 特性

真空ブロワは吸い込み量が大きいことが特徴です。しかしその一方で、発生する真空度はあまり高くは有りません。また原理上、吸着させるワークには通気性がある方が効率よく使用することができます。

真空ブロワは、吸い込み側の真空によって吸着パッドによる吸着を行うことが可能です。吸着パッドとワークの間に存在する圧力よりも周囲の圧力が高い場合、大気圧によってワークと吸着パッドが固定されます。吸着パッドの吸着力は大気圧とパッド内の圧力との圧力差に正比例します。

3. ルーツ式ブロワ

真空ブロワの一種にルーツ式ブロワがあります。ロータリ・ブロワ (ルーツ式) と呼ばれる場合もあります。

ルーツ式ブロワは、ケーシング内部で回転するインペラが、インペラ同士とケーシング内壁に僅かな間隙を保ちながら、非接触回転します。これにより、吸込側から吐出し側へと気体を移送する仕組みです。ケーシングの外側のタイミングギヤによってロータへ回転が伝達され、ケーシングとロータとの間に閉じ込められた気体は、吸入側から吐出側へ移送され、吐出口を通ってケーシング外部に吐出されます。

真空ブロワの種類

1. 概略

真空ブロワの駆動方法には、直接駆動式または周波数制御式などがあります。周波数制御式では、モーター回転数や吸込量をコントローラーで制御することにより、カスタマイズが可能です。

吸い込み量は 75~1,050m³/h、真空は100〜450mbar前後などの幅の中で、様々な製品があります。

2. ルーツ式ブロワの種類

ルーツ式ブロワには、インペラが2枚の2葉式と、3枚の3葉式とがあります。2葉式は1回転あたりの吐出数が4回であるのに対して、3葉式は6回です。また、2葉は内部容積が大きい為、3葉よりはポンプ本体が小さくなるという特長がある一方、3葉式は脈動圧や圧縮音、漏洩量が2葉式より小さくなるという特長があります。理論風量は2葉式の方が大きく、対応圧力は3葉式の方が大きいです。

製品によって、インペラ先端をケーシング内周に対して面シールとすることで漏洩量を低減させ、効率化している製品などもあり、また、軸封にも様々なものがあります。用途に合わせて適切なものを選択することが可能です。

参考文献
http://www.schmalz.co.jp/fileadmin/schmalz/country-pages/jp/pdf/VT_Main-2012/vt-vacuum_components-2012_06-P0163-vacuum_knowledge_system-cp-01.pdf
http://www.schmalz.co.jp/vacuumblowers.html

撹拌翼

撹拌翼とは

撹拌翼とは、モーターからの回転エネルギーを槽内へ伝達する役割を持ち、撹拌機の中で最も重要な構成要素です。

主に回転エネルギーは、槽内全体の循環流を生み出す吐出作用と局所的な剪断力をかける剪断作用に使用されます。撹拌翼は、吐出作用と剪断作用のどちらを優先して求めるかによって、形状を最適化できます。

モーターの一定動力内において発揮できる最大の能力を見極め、目的に合った撹拌翼を選択可能です。代表的な撹拌翼として、プロペラ翼やタービン翼、アンカー翼、パドル翼、リボン翼が挙げられます。

撹拌翼の使用用途

撹拌翼は、撹拌機内の物質を混合させる際に使用されています。比較的大きな工場では、撹拌槽の容量は大きく、それに伴い撹拌に要する時間も多くなります。一方で、小型の撹拌機は実験室レベルから工場現場など容易に使用できるもので、短時間での撹拌が可能です。

小型の撹拌機で検討された撹拌翼の形状を、大型の撹拌機でも使用できるようにスケールアップするのが一般的です。しかし、物質の粘度域により、単に撹拌翼をスケールアップするだけでは物質を混合できないケースもあります。撹拌翼のスケールアップには、検証を十分に重ねていかなければなりません。

撹拌翼の原理

1. 撹拌翼により生じる物質の状態

槽内を混合させるには、拡散と対流が必要です。拡散は分子運動によって自然に、細部まで均一に混合していく現象を表します。一方、対流は異なる物質同士を槽内で引き伸ばしたり分割したりして、広い空間として捉えた場合に、その空間全体に物質が分散する現象を表します。

2. 撹拌翼がもたらす撹拌現象

2種類の液体が、槽内に2層で存在すると仮定します。モーターの力により撹拌翼が回ると、まず強制的に液体を細かく分散させます。ドレッシングを使用する前に振る時と同様のイメージです。

撹拌翼の形状により、撹拌翼に接触した液が上下左右に流れを作ることで、撹拌翼特有の挙動へと変化します。例えば、パドル翼は傾斜が付いていて、上下方向にもより流れを形成できる形状です。また、タービン翼は円盤に取り付けたブレードが槽内で高速回転し、高い剪断力を生み出しています。

3. 撹拌翼の動力

モーターが回転することで、軸に動力が伝わります。その際に減速機を付けていれば、減速機に応じた減速とトルク上昇が可能です。また、軸封装置により、回転を妨げずに槽内を密閉できます。軸封装置は一般的に、グランドパッキンやメカニカルシールが用いられています。

撹拌翼の種類

物質の低粘度域で用いられる撹拌翼は、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼です。撹拌翼の枚数や取り付ける角度によって、物質の混合状態を変化させられます。

一方、物質の高粘度域で用いられる撹拌翼は、アンカー翼とリボン翼です。高粘度液の均一化や熱交換に用いられます。

1. 低粘度域で用いられる撹拌翼

プロペラ翼
一般的な撹拌翼で、ヘリコプターのプロペラに類似した形状です。槽内で軸方向に液体の流れを形成できるため、エネルギー的に効率よく撹拌できます。

タービン翼
円盤にブレードを付与した形状で、剪断力が高く、液滴の微細化や気液分散に向いています。消費動力が大きい点がデメリットですが、広範囲の粘度域にて使用可能です。

パドル翼
船のオールに類似した形状です。構造がシンプルであるため、基本的な撹拌データを取得する材料として用いられています。大型の撹拌機にて低速で使用されるケースが多く、バッフルを付属させて強い乱流を引き起こせるため、効率よく液体を撹拌できます。

2. 高粘度域で用いられる撹拌翼

アンカー翼
船の錨のような形状です。撹拌槽の壁面付近に滞留する物質を混合させられますが、軸方向への流れはできにくい点がデメリットとして挙げられます。

リボン翼
高粘度域における代表的な撹拌翼です。アンカー翼と同様の特徴を特徴を持ちますが、構造がより複雑化しています。撹拌翼を傾斜させ、その分軸方向への流れを形成できます。

参考文献
https://www.satake.co.jp/research/technical/about_mixer/
https://www.kobelco-eco.co.jp/process_equipment/agitation/general.html
https://www.mizuho-ind.co.jp/labo/about/basic_knowledge_03_13/
https://www.shi-pe.shi.co.jp/technology/mixing-lecture/basic001/index.html

圧力変換器

圧力変換器とは

圧力変換器

圧力変換器とは、圧力センサーとも呼ばれ、あらゆる圧力を電気信号に変換して送信する機器です。

主に、圧力制御を行う際にセンサーとして用いられます。基本的には信号として、DC4-20 mAの電気信号もしくは20-100 kPaの空圧信号に変換して伝送します。ただし、空圧信号の採用は減少傾向です。

圧力を測る対象として、気体・液体・蒸気などが挙げられます。また、圧力変換器には絶対圧と相対圧の2種類がありますが、用途に応じた使い分けが必要です。 

圧力変換器の使用用途

圧力変換器の中でも差圧伝送器の用途としては、差圧式流量測定用や圧力測定用、液面レベル測定用、液体の密度測定用などがあります。その中でも、差圧式流量測定用は最も使用用途が多く、半分以上を占める状況です。

圧力変換器は、タンクの液面レベルを圧力変換器にて測定し、現在の液面高さを測る用途で使用します。また、ある圧力になった時に別の動作をさせるといった制御用途でも用いられます。 

圧力変換器の原理

圧力変換器は主に圧力を電気信号に変換して伝送しています。圧力に伴う変位が電気信号となり伝送されますが、伝送する際には信号増幅を行った後に直流信号で伝送します。安定性を考え、ダイヤフラムを用いる場合が多いです。

1. 流量測定用

流量測定用の場合は、プロセス配管にオリフィスを設けることで測定できます。オリフィス前後の圧力 (差圧) は流量の2乗に比例するため、圧力から流量を測定することができます。

気体流量を測定する場合は、温度と圧力の補正が必要となりますが、この機能を内蔵した圧力変換器もあります。

2. 液面レベル測定用

液体が入っている容器において容器底面にかかる圧力は、液面レベルと液体密度の積に比例します。つまり、圧力を測定することで液面レベルを相対的に測定することが可能です。

容器底面に内圧がある場合は圧力変換器、内圧が無い場合は差圧伝送器を用いることで測定することができます。こちらも、ダイヤフラムシール式の使用が増えてきています。

圧力変換器の構成

ブルドン管ダイヤフラムベローズなどを用いて、圧力に伴う変位を圧力変換器で測定します。圧力変換器の代表的な構成部品は、以下の通りです。

1. オリフィス

流量測定用の圧力変換器に使用するオリフィスとは、しぼり流量計に使用されるしぼり機構の1種です。

孔のある薄板を管内に設けることで、オリフィス板の上流と下流の間に生じる圧力差を利用して、流量を測定します。

2. ブルドン管

圧力変換器で使用するブルドン管とは、断面が扁平になるよう加工したパイプです。ヘリカルの金属パイプ内に、開口固定端から測定圧力を導入すると圧力に応じてパイプの曲率が変化します。

管先の変位量は、弾性限界内で圧力に比例します。管先にリンクした拡大機構で指針が回転し、その位置の目盛り板上の位置が測定圧力となります。

圧力変換器のその他情報

圧力変換器で測定する圧力の種類

圧力変換器で測定する圧力の種類は、圧力の基準を何にとるかによって異なります。

1. 絶対圧
絶対真空をゼロ基準として表しており、大気圧力や理学系で使用する圧力です。大気圧とゲージ圧の和が絶対圧になる関係を持ちます。ゲージ圧と近藤しないようabs.を便宜上表記することもあります。

2. ゲージ圧
大気圧もしくは周辺の圧力をゼロ基準として表した圧力です。工業的には、断りの無い限り通常単に圧力と呼んでいます。ISOではPeやGageをつけた表記を推奨しています。

3. 差圧
特定の圧力を基準にして、2つの圧力の差を測定した圧力です。2つの圧力の差を表すため負の値を取ることもあります。

圧力変換器では、2つの圧力を受けてこの両者の差を信号に変換して外部へ伝送する仕組みです。工業計測制御システムで重要な位置を占めています。

参考文献
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_03-06-05-01.html
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0211.pdf
https://www.yokogawa.co.jp/