ダクトとは
ダクトとは空調設備の一つで、空気の通り道のことを指します。建物内での換気や空調、排煙などに使用されているのはもちろん、大型の機械などで内部の熱や不純物を排出するためにも使用されています。
ダクトには様々な種類があり、設置場所や、使用用途によって大きさや素材などが異なります。
ダクトの使用用途
建築物の換気や空調に使用されています。
内部に送風機などで流れを作り、ダクトを通じて外に出してあげることによって、建物内は常に新鮮な空気や温度を保つことができます。
ダクトには2つの種類があり、1つは「角ダクト」もう一つは「丸ダクト」です。それぞれの使用用途を説明します。
角ダクト
角ダクトは直線及びカーブ部に使用され、丸ダクトよりも排気性能が高いとされています。そのため排気が多く必要なキッチンなどで使用されます。
丸ダクト
丸ダクトは強度が高いとされており、集合住宅やオフィスなどの耐久性が必要な場所で使用されています。
ダクトの原理
ここではダクトの原理について説明します。
まずは「ダクト」と「配管」の違いから説明します。 「ダクト」は空気の流れのみを通すのに対して、「配管」は空気のみではなく、水や様々なガスなどの流体を通すことができる点が最大の違いです。また、「配管」は大掛かりな作業になりやすいですが、「ダクト」は簡易的な作業で行われる点も違います。
次にダクトに使われている、主な材料を4種類紹介します。
1.亜鉛メッキ:最も使われている素材。空調や排気に使われています。
2.ステンレス鋼:ステンレスなため耐食性、耐腐食性に優れています。食品工場やエアコン部などのさびやすい部分に使用されます。
3.ガルバニウム鋼:アルミニウムと亜鉛の合成メッキです。耐腐食性・耐熱に優れているかつ、ステンレスよりも安価なのが特徴です。
4.塩ビコーティング鋼:亜鉛メッキに樹脂コーティングをした物です。耐アルカリ・耐薬品性に優れているので、主に薬品工場で使用されています。
ダクトの設置にも注意する必要があり、特に曲げと勾配に注意する必要があります。曲げの部分は気流の乱れ・抵抗となるのでできるだけ少なく、極端な曲げは避け、長さもできるだけ短くする必要があります。また、結露によってダクト内に水がたまることがあるため、ダクトは勾配をつける必要があります。そして、ダクトは振動などで騒音を出すため、補強材等で騒音対策をする必要があります。
ダクトの吹出・吸入口
ダクトの吹出・吸入口には様々な形状があります。
オフィスビルやデパートではアモネスタットと呼ばれる天井付けの吹出口が定番で、丸型や角型があります。アモネスタットは複数の羽を重ねた断面構造をしており、吹き出す空気が放射状に広がることで、室内全体に空気が広がることが特徴です。
外気を取り入れる吸入口では、「ガラリ」と呼ばれるものが広く使用されています。屋外使用における雨水の侵入を防ぐために、水切りや水返しの羽が取り付けられた構造をしています。屋外で使用するため、ステンレスなどの耐候性、耐久性に優れた素材が使用されます。また、虫や鳥などの侵入を防ぐためにステンレス網を取り付ける対策が必要です。
このほかに、体育館などの広い空間に広く空気を届けるためのノズル型、可動式の羽が取り付けられたユニバーサル型など目的に合わせて様々な吹出・吸入口が使用されています。
ダクト設置の注意点
ダクトの設置にも注意する必要があり、特に下記4点に注意する必要があります。
1.ダクトの損失抵抗
ダクト内の損失抵抗は内部の空気の流れを妨げ、送風動力の増加によりエネルギーの無駄が発生するため、損失抵抗をできるだけ下げるようにダクトを設置する必要があります。
まずは、ダクトの長さをできるだけ短くすることです。また、給排気口や分岐、曲がりなどでは大きな損失抵抗が生じるため、これらはできるだけ少なくする必要があります。とはいえ、無理なダクトの接続は著しい損失抵抗が生じます。したがって、距離と曲げ・分岐をできるだけ少なくしつつ、無理な接続を避けることが重要です。
2.ダクト内の結露
ダクト内では場合によっては結露が発生することがあります。ダクト内の結露はダクトの腐食だけでなく、ダクトを介して危機に水が入ることで漏電・火災につながる可能性があります。これを防止するために、ダクト内の水を外に排出するための勾配をつけることがあります。
3.ダクトの振動・騒音
ダクトの施工方法を間違えると、送風機等のモーターの振動がダクトに伝わり、振動や騒音の原因となってしまうため、これらの対策が必要です。
まず、対策の一つとして「たわみ継ぎ手」を取り付けることで機器の振動がダクトに伝わることを防ぎます。また、蛇腹構造の「フレキシブルダクト」を接続部分に用いることで、振動を抑制できるだけでなく、柔軟に曲げることができるため施工が難しい場所に使用することができます。また、「消音ボックス」を取り付けることで騒音対策することがあります。消音ボックスは内部にロックウールやグラスウールを充填することで吸音・消音機能を付与しています。