画像検査装置とは
画像検査装置とは、カメラやセンサーなどから得た画像を元に対象物の外観や寸法の検査をする装置です。
画像検査装置は、検査員による目視作業に代わるものとして利用されています。目視作業は、部品や製品の品質維持及び保証のために行われます。画像検査装置は、個人差や疲れによる検査精度のばらつきを防ぐ重要なものです。
画像検査装置の使用用途
画像検査装置は、様々な分野の製造ラインで利用されています。主な用途は、以下の通りです。
- 工場における部品等の傷や汚れ、欠損の有無検査
- 梱包される製品や部品の個数の過不足検査
- 製品や部品の寸法やサイズ違いの検査
- 製品や部品の色の検査
画像検査装置の導入により、ヒューマンエラーを防止して24時間の安定稼働や検査速度アップが図られています。
画像検査装置の原理
画像検査装置は、カメラやセンサーと照明からなる画像入力系と画像処理装置で構成されています。画像検査装置の原理は、カメラで撮影した画像を基に画像処理装置で特徴量などの情報を抽出し、登録している良品情報と照合することによる合否判定です。
画像入力系と画像処理装置の機能は、以下の通りです。
1. 画像入力系
画像入力系は、照明、カメラ、レンズで構成されています。画像入力系は、対象物、対象物の搬送条件、検査の目的 (キズの大きさや汚れの程度など) によって、最適な機器 (エリアカメラかラインセンサカメラか間接照明か直接照明かなど) を選定し、設置と制御を行う必要があります。
2. 画像処理装置
画像入力系から得られた画像に対して、画像変換、画像変形、特徴量抽出などの処理を実施します。画像検査装置では、画像処理装置にあらかじめ良品と判断する基準 (特徴量の数値や範囲、図形パターン) を登録しておき、画像入力系の画像から得た特徴量と比較して合否の判定をします。
画像検査装置の選び方
画像検査装置は、検査しようとする対象物、搬送ラインの仕様、検査の目的に合わせて画像入力系、画像処理装置を選びます。画像検査装置の選定においては、発生する費用に対して、生産性の向上や人員の負荷軽減などの効果を定量化し、費用対効果を得られるようにする必要があります。
画像検査装置を選定する際のポイントは、以下の通りです。
1. 画像入力系
照明
ムラが無く明るさが安定した照明は、画像検査を安定したものにします。検査したい項目を強調できるような光源の種類、フィルターの種類、光の当て方、台数の選定が必要です。
例えば、金属表面の凹凸を撮影する場合は正反射タイプの照明を、ハレーションが起こりやすい場合は拡散反射タイプの照明を使用します。
カメラ
検査したい項目によってカラーカメラ、モノクロカメラ、高速カメラ、ラインセンサカメラ、コンタクトイメージセンサカメラなどから選定します。カラーカメラは、製品や部品の色を検査する場合に採用します。
一般的にカラーカメラは、モノクロカメラよりも高価です。検査する対象の色が単純なものであれば、モノクロカメラとカラーフィルターによって安定した検査ができることもあります。カメラの選択時には、色の検査だからカラーカメラと単純に考えずに、モノクロカメラと照明の工夫による低コスト等の検討も必要です。
高速カメラは、検査対象物が高速に移動して通常のカメラではブレが生じる場合に採用します。一般的に高速カメラを使う際には、照明を明るくする必要があります。
ラインセンサカメラやコンタクトイメージセンサカメラは、シート状の検査対象物や検査対象物が円や円筒形の回転物などの場合に採用します。コンタクトイメージセンサカメラは、固定焦点レンズと照明が一体になったカメラで、検査対象とカメラの距離が安定している場合に有効です。
レンズ
レンズの選定は、焦点距離、被写体深度などを基に行います。画像検査をする場合は、検査対象を必要な精度で捉えられる様に視野を設定する必要があります。
そのために重要となる項目が焦点距離です。焦点距離は、レンズからカメラの撮像素子までの距離です。焦点距離は、検査対象物の大きさ (視野) 、レンズと検査対象物との距離、撮像素子の大きさから決まります。
被写界深度は、焦点を合わせた検査対象物がカメラから遠ざかったり、近づいたりしても焦点が合う範囲のことです。被写界深度が深いほど、検査対象物とカメラの距離が変動してもピントがあった画像を取ることができます。
製造ラインでは、他の機器との干渉しないようにカメラを設置するなどの制約が生じます。画像検査装置で使用するレンズは、検査に必要な撮影条件を満たす焦点距離と被写界深度が取れるレンズを選定する必要があります。また、焦点距離が短いレンズは画像にひずみが生じるので、検査精度に影響しないか確認が必要です。
2. 画像処理装置
画像処理装置は、検査に必要な精度 (キズの大きさやムラの程度、長さの誤差、文字やバーコードの認識率など) と、速度 (生産ラインで許される時間内に検査が完了できるか、現在の検査速度よりも早くできるかなど) を基に選定します。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/vision/visual-inspection/method/sensor.jsp
https://www.active-ltd.co.jp/picture_check.php