水冷機

水冷機とは

水冷機とは、冷媒として水を用いる冷却機器です。

装置の内部に冷却用の液体を循環させる冷却機器では、循環液を冷却する必要があります。水冷機とは、この循環水や循環液を冷やすために、外部から取り込んだ水を冷媒として用いる冷却機器です。また、冷却用の循環液自体に水が使われる場合もあります。

水冷機に分類される製品には、水冷チラー、水冷式冷却水循環装置など、様々なものがあります。空冷式の冷却機と異なりファンを内蔵しないため、低騒音、クリーン、室内への排熱がない点が特徴です。

水冷機の使用用途

水冷機は、循環液 (または循環水) を繰り返し循環させることにより、対象物・装置から熱を奪って冷却する装置です。研究機器、金属加工、食品加工、医療機器など、様々な分野・産業で使用されます。主な使用用途は下記の通りです。

  • 各種研究機器、計測機器を冷却し、一定の温度に保つ (ロータリーエバポレーター、電子顕微鏡、X線回折装置や赤外分光光度計など)
  • 食品加工工場での製造工程上の冷却や、洗浄・成形工程における冷却
  • 工作機械の温度調節
  • 金属加工において、加工による発熱を抑えるための冷却
  • プラスチックの射出成形における、成形物の冷却・固化
  • 印刷機のローラー部分の冷却 (印刷の精度を向上させる)
  • レーザ加工機や高周波加熱装置などの発熱部を冷却する
  • MRIで使用されるヘリウムガスの冷却
  • 医薬品を製造する際に発生する反応熱の除去
  • 成形機の金型温調
  • リフロー炉 (リフローはんだ付け装置) における冷却
  • その他産業機器の冷却

水冷機の原理

1. 概要

水冷機は、循環液などと呼ばれる液体が内部を循環して、冷却対象の装置から熱を奪います。一度排熱に使われた循環液は温度が上がってしまうため、外部から冷水を流して循環液を冷却し、排熱を行う仕組みです。循環の動力にはポンプや圧縮機 (コンプレッサー) などが用いられ、循環液には、純水、蒸留水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの混合物が主に用いられます。

冷水としては、工業用水や水道水などが使用されます。また、水道水などは水温が安定しないため、クーリングタワー水などの一次冷却水を用いる場合もあります。また、通常は安全装置として、温度プロテクタ、過電流継電器、水圧センサなどが搭載されていることが多いです。

2. 特徴

空冷式と異なり、室内に排熱が出ないため、室内が上昇しないという点が長所です。空冷式の冷却機よりも効率が良く、短時間で冷却が可能であるという特徴があります。ただし、水を通すための配管などが必要であるという点には注意が必要です。冷水を通す配管経路上に水槽を用意するケースもあります。

水冷機の選び方

水冷機は、冷却能力や対応可能温度が製品によって異なります。具体的には、下記のような点を検討し、製品決定を行います。

  1. 循環液の温度を決める
  2. 設置場所を決める (製品によっては屋外も可能) 
  3. ワークの温度変化や、循環水の流量・温度差などから冷却に必要な能力を算出する
  4. ポンプの能力を決める

冷却能力は、低いものでは1kW程度から、高いものでは14kW〜15kW程度の製品まであります。循環液温度は5℃〜40℃の範囲で対応している製品や、-10℃〜80℃の範囲まで対応している製品など、様々です。外部から水を流す配管が必要であり、比較的スペースも必要なため、設置場所を決める際は注意が必要です。製品によっては、屋外に設置することもできます。

このように、水冷機の選定にあたっては、様々な観点が必要ですが、用途に合わせて適切なものを選定することが必要です。

水冷機のその他情報

その他水冷機のように水を冷媒とする冷却用品として、水冷服などの熱中症対策用品があります。例えば、水冷服では、リチウムイオンバッテリーなどを動力として少量の冷水を循環させ、冷凍ペットボトルや氷、保冷剤などを用いて水を再冷却する仕組みなどが用いられます。

耐水紙

監修:株式会社田村商店

耐水紙とは

耐水紙とは、特殊な加工や素材によって水に強い性質を付加した(耐水性が高い)紙です。

耐水紙は、水や湿気のある環境でも劣化しにくく、水に濡れる場所や屋外での使用に優れています。水に強いだけでなく、耐久性、摩耗性にも優れ、変形しにくいことも特徴です。また、耐水紙の中には、コーティングの効果により、対候性や耐油性に優れたものもあります。耐水紙は表面が滑らかなため、美しい仕上がりの紙製品を作製することが可能です。

耐水紙の使用用途

耐水紙は、屋外を始めとする水がかかる可能性のある場所や湿気の多い場所などで多く用いられています。具体的には下記のようなものが挙げられます。

  • 飲食店等におけるメニュー
  • カタログ
  • 食品包装 (冷凍食品、冷蔵食品、生鮮食品、スナック菓子、弁当箱など)
  • 食品や瓶ボトルのラベル
  • 農業資材や園芸用品など、屋外で使用されるタグ
  • 機械装置の警告タグ
  • アミューズメントパーク・イベントにおける、チケットやパスポート
  • 地図や旅行ガイドの印刷
  • 建設現場や工場のマニュアル、図面
  • 屋外看板・ポスター
  • 病院などにおける採血管のラベル、リストバンドなど
  • 医療機器など水や汚れ(血液など)が掛かる可能性のある場所で用いられるマニュアル

耐水紙は、主に、水や各種の汚れ(飲食店における食品の汚れ、医療分野における血液、建設現場等の作業現場における汚れなど)が付着する可能性があるシーンや、包装などの内容物を保護するために使用するシーンなどで多く用いられている紙であると言えます。

耐水紙の原理

耐水紙は、製造にあたって特殊な製造方法、薬品、加工や素材を用いることにより、耐水性が付与されています。

例えば、素材では、一般的な紙が木材パルプや植物繊維を原料などを原料とするのに対し、耐水紙はポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂を使用していることがあります。こうした合成樹脂を用いた耐水紙は耐水性とともに耐久性を向上させることが可能です。中でも、ポリエステル製の耐水紙は、特に強度が高いという特徴があります。また、コーティング加工を施すことにより、表面を滑らかにすることが可能です。このため、水分や油分、汚れが付着しにくくなります。

耐水紙の種類

1. 概要

耐水紙には、様々な種類の製品があり、それぞれ多様な用途で利用されています。下記は代表的な例です。

1. ユポ

ユポ、もしくはユポ紙、は、ポリプロピレンの樹脂を用いた合成紙です。表面が滑らかで、光沢があり、豊かな色彩表現が可能です。特に耐久性・耐水性に優れています。また、油や特殊な溶剤に対しても耐性を持つ耐水紙です。原料に木材を使用しないため、森林保全の観点でも優れています。

2. 耐水耐油紙ポエム-S

耐水耐油紙ポエム-Sは、ECFパルプ(無塩素漂白)を100%使用している耐水紙です。無塩素漂白のため、リサイクルが可能なことも特徴です。ベースの紙の強度が高いため、加工適性に優れています。

3. OKレインガード

OKレインガードは、コア部分に上質紙を使用している耐水紙です。白色度が高く、高い印刷効果を得ることができます。また、鉛筆や油性ペンで書いても、仕上がりが美しいことも特徴として挙げられます。

4. ストーンペーパー

ストーンペーパーは、石灰石とポリプロピレン樹脂を原料として製造される耐水紙です。色彩表現が豊かで、滑らかです。製造工程において木材を使用せず、水も殆ど使用しません。CO2の排出も紙より少ないため、環境に配慮された耐水紙といえます。

耐水紙のその他情報

耐水紙は、加工や印刷を行うことが可能です。耐水性や耐久性に優れた製作物を作製することができます。ただし、耐水紙の種類によっては、可能な加工が限定される場合があります。下記は、代表的な加工の例です。

  • 断裁加工 (一般的には専用の断裁機械やレーザー加工機を使用)
  • 穴あけ加工 (専用の穴あけ機を使用)
  • 印刷加工 (種類や用途によっては特殊なインクや特殊な印刷機器が必要)
  • 貼り合わせ加工
  • 折り加工
  • ミシン目加工
  • 型抜き加工
  • 箔押し加工
  • エンボス加工

本記事は耐水紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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厚紙

監修:株式会社田村商店

厚紙とは

厚紙とは、一般的な普通紙よりも厚みのある、しっかりとした厚手の紙のことです。

特に厚みの数値などの基準はありません。主観的に「厚い」と感じた紙に対して「厚紙」と呼ばれます。厳密な定義がないため、産業界では他の名称で呼ばれることが多いです。一般的には、ボール紙(板紙)や色カード、チップボール紙、コースター用紙、ダンボール紙などに対して「厚紙」と呼ぶことが多いようです。

厚紙の使用用途

厚紙は様々な使用用途があります。下記は代表的な使用用途例です。

  • 店頭などにおけるディスプレイ、POP
  • 各種パッケージ (ティッシュの箱 、靴箱、お菓子、玩具などの箱、各種化粧箱)
  • 工作用 (画用紙、カルトナージュ・ペーパークラフトなど)
  • 本の表紙
  • 飲食店などのコースター
  • ショップカード
  • 名刺
  • 活版印刷
  • 芯材・商品の折れ曲げ防止、服をたたむ台紙

厚紙は比較的固く、丈夫であるため、箱や芯材、台紙など、支える役割のある用途で用いられることが多いと言えます。その他では、高級感を出すために案内状などに敢えて厚紙を使用する場合があります。これらは、用途に合わせて異なる種類の厚紙が使用されています。

厚紙の原理

厚紙は、一般的に多層抄きによって厚みを出しています。多層抄きとは何層にも重ねて紙を抄くことで、こうしてできた紙を積層紙と呼びます。

抄紙工程では、抄紙網(ワイヤー)の上にパルプを流して水分を脱落させることで、層を形成します(脱水)。これを何度も上に重ねて繰り返すことで積層紙は製造されています。通常、5-7層が重ねられ、丸網多筒或いは短網多筒のマシンが用いられる事が多いです。尚、一番最後の層は、他の層とは別に形成され、特性を与えるために組み合わされます。

脱水された積層紙は、ローラーで圧力を加えられてプレス(圧搾)されます。プレスによって水分が50%程度まで減少し、その後乾燥工程や塗工工程、裁断工程を経て製品となります。

厚紙の種類

厚紙の種類には様々なものがあります。下記は代表的な厚紙の例です。

  • 白ボール(コートボール)
  • チップボール
  • クラフトボール
  • 段ボール原紙
  • 画用紙
  • 両面大光紙
  • コースター用紙

これらのうち、白ボール、チップボール、クラフトボール、段ボール原紙は、「板紙」として総称されることもあります。特に、白ボール、チップボール、クラフトボールは、主に商品パッケージなどを作るための紙であることから紙器用板紙と呼ばれます。

1. 白ボール (コートボール)

最もメジャーな板紙は白ボールです。白ボールは、表面が白、裏側がねずみ色をしており、特にコート剤を塗布して印刷適性を上げたものいるものはコートボールと呼ばれます。

白ボールの原料としては、白層にパルプやPPCなどの上質系古紙、中層や裏層に新聞古紙・雑誌古紙などが使用されることが一般的です。中層に紙質が落ちる古紙を挟むことが出来るため、古紙利用率が薄紙に比べて高い特徴があります。

2. チップボール

チップボールは、表裏ともにねずみ色をしています。白ボールのように塗工を行わないため印刷には適しませんが、芯材など各種補強材として使用されます。

3. 段ボール原紙

段ボール原紙とは、段ボールを成形する前の原料紙です。段ボールは、ライナーと呼ばれる原紙の間に中芯となる原紙が挟まれて貼り合わされている構造です。これら、ライナーと中芯をまとめて段ボール原紙と呼びます。原料には古紙を含みます。

4. 画用紙

画用紙も厚みがあり、厚紙の一種です。画材の定着を良くするため、表面には適度な凹凸がつけられています。特に、水性インクや水性絵の具などの水性顔料との相性が良いですが、油性マジックのような油溶性顔料も定着が良く、鉛筆の消しゴム修正にも耐えます。

材料には上質な化学パルプなどが用いられる紙製品です。

本記事は厚紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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水溶紙

監修:株式会社田村商店

水溶紙とは

水溶紙とは、水に溶ける性質を持つ紙です。

水溶紙は、水中で繊維と繊維の結びつきが速やかに分解され、溶けてなくなります。「水溶紙が溶けた」という状態は、水中で繊維がバラバラに細かくほぐれた状態です。トイレットペーパーのような薄く直ちに分解されるものから、ある程度の時間水濡れに耐えてから分解するようなものまで、様々な種類があります。処分の際も焼却の必要がなく、土に還る天然素材でできていることから、環境に優しい素材であると言えます。

水溶紙の使用用途

水溶紙の主な使用用途には下記のようなものがあります。

  • トイレットペーパー
  • 携帯用のポケットティッシュ
  • ウエットティッシュ、赤ちゃん用のおしり拭き
  • 灯籠流し、流し雛など儀礼的行事
  • ガーデニング
  • 洗濯機で溶ける洗濯タグ
  • 刺繍用の接着芯
  • 医療用の検査台紙や綿棒などの衛生用品
  • 機密文書などの用紙
  • ラベル用紙
  • 熔接用ダム紙
  • 成型品 (紙管、水溶性の紙ひも、棒、袋など)
  • 入居前の不動産において排水口に蓋をする

最も一般的な用途はトイレットペーパーです。また、携帯用ティッシュペーパーなどにも使用されます。こうしたものは、汚れたものをすぐに水に流して処分することができるため、衛生上優れています。

灯籠流しや流し雛などの紙製品を海や川に流す儀礼的行事では、水溶紙を用いることで回収の手間も無く、環境を汚さないようにすることが可能です。ガーデニングにおいては、種子を包んで土に埋める袋に用いられたり、ガーデニングデザインにおけるレンガや庭石の配置図などに使用されます。

また、印刷可能な水溶紙は、機密文書や一時的な付箋など、使用後に速やかに廃棄することがわかっている文書の用紙として活用されています。入居前の不動産などでは、臭い防止の為に排水口に蓋をすることが必要ですが、水溶紙を用いられることがあります。これは、水道開栓後には速やかに水に溶けるため、水を流しても溢れないという利点のためです。

水溶紙の原理

1. 概要

紙は、パルプなどの植物の繊維が結合してできています。水溶紙は、繊維の結合を弱くすることにより、水に濡れると繊維の結合が分散し、最終的に分解して溶解する仕組みです。冷水、温水、海水で分散しますが、アルコールには分散しません。

2. 溶けやすさ・加工性

結合の度合いによって、溶けやすさ・溶けるまでの速さを調節することができます。結合を弱くすればトイレットペーパーのように直ちに分解されるようにできますし、逆に結合を強くすれば、ある程度の時間水に耐えた後最終的に分解されるようにすることも可能です。

ある程度の強度があるものは、ヒートシールなどでの貼り合わせ加工が可能であり、箱や袋状に成形することもできます。また、適切な厚み・強度の水溶紙は、印刷・筆記も可能です。

3. 環境

水溶紙は天然素材である、パルプを主成分として製造されている製品です。全く人体に対する有害性はありません。また、水溶紙は燃焼・焼却を行うこと無く、水に溶けて最終的に土へと還ります。焼却によるCO2放出や有毒物質の放出もありません。通常の紙よりも分解が早いため、リサイクルもスムーズに行われます。このように、水溶紙は環境への負荷が低い素材であると言えます。

水溶紙の種類

1. 概要

水溶紙には、水に溶けるまでの速さや、厚み、やわらかさなど、様々な種類があります。水解性の不織布も水溶紙の一種に含まれます。厚みの種類は50μm前後から200μm前後まであり、水に溶けるまでの分解時間は速いものでは35秒前後、遅いものでは100秒前後です。

2. 感熱水溶紙

感熱水溶紙とは、バーコードなどの感熱印刷が可能な水用紙です。バーコード読取も行うことができます。冷水よりも温水の方が速やかに分散する水溶紙です。

本記事は水溶紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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吸水紙

監修:株式会社田村商店

吸水紙とは

吸水紙とは、水や油などの液体を吸い取る作用がある紙です。

吸水紙は、繊維の密度が少ないため、繊維の隙間に水などの液体を吸わせることができます。水分や液体を吸い取ったり、結露などの水分対策をしたり、食品や野菜などの保水などに用いられる紙製品です。食品容器などにも用いられており、厚みのあるものでは、吸水力や保水力の他に、クッション性にも優れています。プラスチック容器からの代替としても検討が進んでいる製品です。

吸水紙の使用用途

1. 概要

吸水紙は、単純に液体を吸わせたり拭き取ったりする用途や、結露・水分対策、保水などに用いられます。農業・漁業・工業などの各種産業用途でも広く利用されます。

2 .食品

吸水紙は、食品分野において様々な用途があります。具体例には下記のようなものが挙げられます。

  • 食品・総菜・青果物などから出る余分な水分を吸水する、敷紙・台紙
  • 保冷剤の結露対策及び食品の冷え過ぎ防止
  • 鮮魚の氷焼け防止
  • 精肉・鮮魚のドリップ対策
  • テイクアウト用BOX・食品トレイ

吸水紙を使用することで、調理食品から出る蒸気・水分を吸収し、食感を保つことも可能です。商品の傷つきを防止したり、包装から水分が漏れたり染み出したりすることを防ぐこともできます。

3. 工業

工業分野では、吸水紙は、下記のようなものが挙げられます。

  • 機械の油漏れ・オイル漏れに対する給油
  • 部品修理・交換時の一時置きの際に、汚れ防止のために下に敷く
  • 部品を包む
  • 工場内の環境保全・作業保全

4. 農業

農業分野において、商品となる青果物の取り扱いには水分がつきものです。商品出荷時に、吸水紙は活用されています。主な用途は下記のものが挙げられます。

  • 野菜など水分が出るものを包んで出荷する
  • 保冷剤をくるみ、結露を吸水させる
  • 商品輸送時の箱内下敷きに使用する

これらの活用により、商品の傷付き防止や鮮度・水分の保持、水濡れ防止を行うことが可能です。また、梱包箱の外への液体漏れや染み出しも予防することができます。

5. 医療・その他

吸水紙は、血液や浸出液などを吸い取るため、医療用途でも使用されます。歯科エプロン・検診用シーツなどは吸水紙が使用される製品です。ラミネート加工された吸水シートは、吸水性と防水性を併せ持ちます。ペットシーツも、排泄物を吸収させてそのまま捨てることができるため、吸水紙が利用されている製品の一つです。

吸水紙の原理

吸水紙は、紙の繊維の密度を下げ、繊維の隙間に液体を吸水する仕組みです。隙間が広いほど液体を吸収しますが、繊維の密度を少なくし過ぎると紙の強度が下がってしまうため、密度と強度のバランスを取ることが必要です。

紙の密度を低くするには、パルプの叩解を調整したり、搾水時に加圧の調整を行ったりします。場合によっては、紙の層の間にPE樹脂などの化学繊維を混抄して低密度にします。また、高吸水性樹脂の粉末を塗料化したもの (SAP(Super Absorbent Polymer)など) を用い、不織布もしくは通気性の良い紙に塗工する場合もあります。

吸水紙の種類

吸水紙には、様々な種類がありますが、まず、大きく分けて薄紙と厚紙とがあります。

1. 薄紙

薄紙には、ロールタイプ、シートタイプ、魚や肉のドリップ吸水用の薄紙などの種類があり、主に水などを拭き取ったり染み出るドリップを吸い取ったりすることに使用されます。身近なところでは、ティッシュペーパーやキッチンペーパーも吸水紙の一種です。

2. 厚紙

厚紙は紙強度と吸水性の両方に優れ、各種産業用に使用することができます。また、強度の強いものは一次容器として使用することが可能です。

用途に合わせて多様な製品が販売されています。例えば、食品対応の製品では、クレープ紙を貼り合わせたものや、食品の離型性を高めるために微塗工のシリコーン加工が施された製品などがあります。色は、白や晒などの色が主流です。加工性にも優れているものが多いため、用途に合わせて柔軟に活用することができます。

本記事は吸水紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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薄葉紙

監修:株式会社田村商店

薄葉紙とは

薄葉紙とは、厚みが非常に薄い紙を総称して指す言葉です。

薄紙、ライス紙などと呼ばれる場合もあります。薄葉紙の語源としては、紙の薄さを表す「薄様」が由来ではないかと言われています。洋服や靴などの包装・緩衝材、ラッピングペーパーなどの用途が一般的です。グラシン紙、トレーシングペーパーなども薄葉紙の一種です。

薄葉紙の使用用途

薄葉紙は、包装用紙としての利用が最も一般的です。洋服や靴など、角の尖っていないものを包装することに用いられます。また、箱詰めの際の緩衝材としても使用される製品です。簡易包装として、プラスチック素材からの移行が進んでいる資材でもあります。

透け感や光沢感があることから、清潔感や高級感を演出するラッピングペーパーとしても使用されます。主に花束、お菓子、洋服などのラッピングに使用されます。柔らかくしなやかなことから、ぬいぐるみなど、変形のものをラッピングすることも可能です。

また、薄葉紙は、ペーパーフラワー、フラワーボールなどの装飾づくりにも活用される資材です。また、薄葉紙は印刷用紙としても利用が可能です。印刷用紙として用いられる薄葉紙には、辞書などに用いるインディアペーパーや、カーボン原紙などがあります。

薄葉紙の原理

1. 規格・特徴

薄葉紙は、JIS規格では、洋紙・和紙の坪量が40g/
㎡以下と規定されている紙です。この坪量以下のものは薄葉紙と言えるため、厳密にはトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの薄い紙も薄葉紙に含まれます。ただし、各種メーカーでは基本的に20g/m2以下の、光沢感のある薄い紙を薄葉紙に分類して販売していることが多いようです。

また、薄葉紙は中性紙なので、時間がたっても茶色に変色しないという特長があります。そのため、薄さや不透明度とともに辞書に最適な紙であると言えます。

2. 製造

薄葉紙は、非常に薄い紙であるため製造上の工夫が施されています。例えば、抄紙にあたって一般的な紙製造におけるパルプの脱水は上から下の一方向ですが、薄葉紙では上下両側から脱水を行います。また、薄さだけでなく、印刷用紙として用いるためには不透明度をもたせることが必要です。このため、薄葉紙の製造にあたっては鉱物の填料が加えられ、かつ、均一に紙の中に留める工夫が行われています。

薄葉紙の種類

薄葉紙には、「薄葉紙」として販売されるされる他、純白ロール紙、グラシン紙を始めとする様々な種類があります。また、それぞれについて、豊富なカラーや大きさの製品があり、中にはワックス加工が施されたものもあります。ワックス加工によって耐水性や強度が増すため、ワックス加工された紙は特にフラワーラッピングなどに最適です。

「薄葉紙」として販売される場合は、坪量14g/m2程度の紙である事が多いようです。その他、下記のような種類があります。

1. グラシン紙

グラシン紙は耐油性及び耐水性がある紙です。主な用途はクッキングシートや薬包紙です。平滑度や密度が高いことが特徴です。化学パルプを長時間叩解した後、熱と圧力をかけて密度を高めてあります。

2. トレーシングペーパー

トレーシングペーパーは、イラストや文字のトレース、製図のために使用される薄葉紙です。透写紙と呼ばれることもあります。印刷物の表面を保護する用途や、ブックカバー、に使用されることもあります。

3. その他

その他では、辞書などに使用されるインディアンペーパー、肉や魚などの生鮮食品を包装するホワイトパーチ、たばこの巻き紙に使用されるシガレットペーパーなどがあります。ホワイトパーチは耐水性に優れており、シガレットペーパーは別名にライスペーパーという名称があります。

本記事は薄葉紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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プラズマインジケータ

プラズマインジケータとは

プラズマインジケータとは、プラズマ処理の効果を色材の変色によって可視化し、評価するツールです。

プラズマ処理は、様々な素材に対する表面処理の前処理として行われます。電気的作用により、酸素などの気体をプラズマ化し、ラジカルを発生させて樹脂などの表面に付与します。プラズマインジケータは、ガスプラズマ中のラジカルやイオンなどと反応して変色する色材を用いることで、プラズマ処理の効果を簡便に評価することが可能です。

プラズマインジケータの使用用途

1. プラズマ処理の用途

プラズマ処理は、産業分野において、金属、合成樹脂、セラミックス、プラスチックなど、様々な素材に対して施されます。主な用途は下記のものが挙げられます。

  • めっき前の表面改質
  • 接合面の表面改質 (ワイヤーボンディング・フリップチップボンディングなど)
  • プリント配線板製造
  • FPD製造
  • フィルム加工
  • 部品実装後のアンダーフィル前クリーニング
  • プリント配線板におけるデスミア工程
  • LSI、メモリ、MEMS、LED等電子デバイスの封止前のクリーニング

2. プラズマインジケータの用途

プラズマインジケータは、上記のようなプラズマ処理を必要とする産業シーンで、プラズマ処理の効果を評価することに使用されます。主な用途は下記のものが挙げられます。電子部品メーカー、樹脂成型品メーカー、半導体メーカーを始めとした多くの産業分野で使用されている評価ツールです。

  • 不良品の検知
  • 3次元形状の対象物においてムラができていないか確認する
  • プラズマ装置不具合の早期発見
  • 製品品質のばらつきがないかの確認
  • ウエハの面内均一性の確認
  • 酸素のリークチェック
  • 高価な検査設備を代替することによる省コスト化

プラズマインジケータの原理

プラズマインジケータは、フィルムなどの基材の上に、各種ガスプラズマの中に含まれるラジカルやイオンなどと反応する機能性色材が付加されている構造です。

プラズマ強度に応じて連続的な変色が起こるため、プラズマの処理効果を細かく評価することが可能です。カードやラベルなどの形状があり、ステージ面に置く、壁面に貼り付けるなどの方法で測定することができます。使用されている素材には、「有機色材とPET基材」の組み合わせと「無機色材とポリイミド基材」の組み合わせなどがあります。

プラズマインジケータの種類

プラズマインジケータには、検出可能なプラズマ種によって様々な種類があります。主な種類は、Oクリーニング用、Arクリーニング用、大気圧プラズマ用、デスミア用などです。また、200℃まで耐熱可能な耐熱用、基板と同じ形状で面無い分布を可視化することができるウエハ型などもあります。

下記には代表的なものを記述しましたが、それぞれ、低感度・中感度・高感度の製品が用意されています。

1. Oクリーニング用

O2クリーニング用は、有機色材とPET基材の組み合わせを使用し、ラジカル性のプラズマ検知に最適化された製品です。ラジカル性のプラズマであれば検知できるため、O2以外にもN、Air、CF、H、NHなども検知可能です。また、Arプラズマで変色する場合もあります。

また、UV洗浄、及び、UVオゾン洗浄にも適用することが可能です。カード型、ラベル型、シート型などがあります。

2. Arクリーニング用

Arクリーニング用は、有機色材とPET基材の組み合わせを使用していますが、Oクリーニングでは検知しにくいHeやArなどのイオン性プラズマを効率よく検知できる製品です。

3. 大気圧プラズマ用

大気圧プラズマは、マイルドなプラズマ処理におけるラジカル種に特化した製品です。O2、N2、Arなどに対応しています。高感度の色材を採用しており、有機色材とクリーンペーパーの組み合わせで構成されています。

面積が広い部分の大気圧プラズマ処理のチェックに適しており、UV洗浄、及び、UVオゾン洗浄にも適用することが可能です。

4. 耐熱性

耐熱性のプラズマインジケータには、色材に無機材質、基材にポリイミドを使用しています。200℃までの高温で使用することができます。 (物理的耐熱温度は250℃)

フレキシブル性及び、接着性があるため、基盤表面や装置内に自由に貼り付け評価することが可能です。

IoTセンサー

監修:エルスピーナヴェインズ株式会社

IoTセンサーとは

IoTセンサーとは、IoT (Internet of Things)と呼ばれるモニタリング・コントロール・センシング技術において用いられている、通信機能を持ったセンサーです。

IoT(Internet of Things)とは、インターネットに接続されたさまざまな物理的なデバイスやオブジェクトが相互に通信し、データを交換する技術のことです。

センシング技術と通信技術を用いて、生産設備や家電製品などをインターネット上で接続し、状況の監視や遠隔操作を行います。IoTセンサーとは、温度・加速度・圧力・光などの各種センシング機能と通信機能を併せ持ったデバイスのことを指します。

IoTセンサーの使用用途

1. 概要

IoTセンサーの用途はさまざまで、「環境モニタリング」「モーションモニター」「位置検知」「開閉検知」などがあります。

環境モニタリングでは、温度、湿度、気圧、照度、などをモニタリングすることができ、居住空間、作業環境や農園などのモニタリングが可能です。モーションモニターでは衝撃、振動などの動きの様子を検知することで、製造現場などの機器稼働状況などをモニタリングすることができます。

位置検知では、対象物と受信機の間の電波強度を計測することで距離を測り、物体の存在検知、近接検知、通過検知を行うことが可能です。開閉検知は、ドアや窓などの開閉状態を検知します。

2. 具体的な利用シーン

産業用途では、工場などにおいてIoTによる設備状況のリアルタイム監視を行うことで、稼働状況の監視、工程管理、異常動作の検知、故障予知を行うことができます。農業分野では、ビニールハウス内の温度、湿度、土壌の水分、照度を遠隔で確認することに利用されています。

また、防災分野では、河川にIoT水位計を設置することで、増水・氾濫の危険検知に役立てられています。一般住宅や、オフィスなどでは、室内の温湿度、ドアの開閉状況の管理が可能です。介護シーンでは、離床センサーや、落下・転倒を検知するセンサーを利用することで、見守りや安全確保などを行うことができます。

IoTセンサーの原理

IoTセンサーのセンサー部分には、金属や半導体素子を用います。これらの素材から得たアナログな情報を電気信号によりデジタル情報に変換して通信を行う装置です。測定対象に合わせて、熱電対やシリコンチップ隔膜など、様々なものが用いられます。

センサー部分から得た情報は、数値データとして収集され、通信機能を介してサーバ・クラウドで監視・管理できるようになります。

IoTセンサーの種類

IoTセンサーは、測定対象に合わせて様々な種類があります。主なものでは、温度、加速度、圧力、距離などが挙げられます。以下に代表的なものを記述します。

1. 温度センサー

温度センサーは、物体や空間の温度を計測します。センサー部位には、熱電対 (異なる金属を溶接したもので、温度変化に伴って電圧・電流が流れる)や、測温抵抗体やサーミスタ、バイメタル、圧力温度計、放射温度計など、様々なものがあります。

2. 加速度センサー

加速度とは、単位時間あたりの速度を表す値です。加速度センサーは、この加速度を測定するセンサーです。対象物体の移動や傾き・振動・衝撃などを検知することができます。静電容量検出方式・ピエゾ抵抗方式・熱検知方式などの主な種類があります。

3. ジャイロセンサー

ジャイロセンサーとは、対象の傾きや角速度を検知する装置です。加速度センサーと似ていますが、ジャイロセンサーでは回転運動を検知することが可能です。

4. 圧力センサー

圧力センサーは、気体や液体の圧力を測ります。シリコンチップでできた隔膜を用いて膜の変形を検出し、電気信号に変換することで圧力を計測します。

5. 光センサー

光センサーは、光の有無や強さを検知する装置です。可視光線、紫外線、赤外線など、光の種類別にセンサーが存在します。

6. 距離センサー

距離センサーは、対象物に光、電波、超音波などを照射して得られる反射を評価して距離に換算し、物体の位置を特定するセンサーです。特に、障害物検知や侵入対策などに活用されています。

本記事はIoTセンサーを製造・販売するエルスピーナヴェインズ株式会社に監修を頂きました。

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LPWA機器

監修:エルスピーナヴェインズ株式会社

LPWA機器とは

LPWA機器とは、Low Power Wide Area (LPWA) と呼ばれる、広域無線通信技術を利用するために用いられる機器一般です。

LPWAは、消費電力が小さいことや長距離通信が可能なことが特徴です。周波数帯、通信距離、省電力性、通信速度などの異なる様々な通信規格があります。また、それらの通信規格は、通信事業者が提供する「セルラー系 (ライセンスバンド) 」と呼ばれる種類と、無線局免許が不要な「非セルラー系 (アンライセンスバンド)」と呼ばれる種類に分けられます。

非セルラー系では自由な運用が可能である一方で、基地局の施工・設定、サーバの構築などが必要です。一方、セルラー系では通信料金は発生しますが、通信事業者による既存の基地局を利用することが可能です。LPWA機器とは、こうしたLPWAネットワークを構築するのに必要な機器類(ゲートウェイ、エンドデバイスなど)を指します。

LPWA機器の使用用途

LPWAは一般家庭における家電・スマートホーム化や、産業分野や公共サービスなど、多様なシーンで活用されています。

1. 一般家庭のスマートホーム化

一般家庭におけるLPWAの使用用途では、スマートメーターやスマートロックなどが挙げられます。スマートメーターとは、電気・ガス・水道などの利用量を自動的に遠隔で検針することができるメーターです。また、空調機器、照明機器など各種家電製品を統合制御したり、スマートロックなどを制御することにも用いられています。

2.  トラッキング

LPWAは、人や動物、モノなどの位置情報を追跡するトラッキングにも利用可能です。産業分野においては、物流・輸送管理に用いられています。輸送パレットにLPWAモジュールを装着することで、荷物の紛失を予防することができます。通信距離が長く、国や地域をまたいでも通信可能です。また、動線を可視化できるため、輸送ルートの再検討や効率化にも役立ちます。

また、ウェアラブルデバイスを子供やペットに装着することで、見守りや迷子防止を行うことも可能です。

3. モニタリング

通信距離の長さや消費電力の低さを活かし、LPWAは環境測定センサ(水温・水量・土壌・CO2濃度など)の情報を遠隔で取得することにも使用されている通信技術です。農業のスマート化に活用されている他、危機管理型水位計、マンホール内の水位の監視など自然災害対策で活躍しています。

また、農業分野では農作物の盗難防止にも使用されます。医療分野では、医療機器(CPAP装置など)の遠隔モニタリングに利用することが可能です。

LPWA機器の原理

1. 概要

LPWAとは、Low Power Wide Areaの略ですが、LPWAN(Low Power Wide Area Network)とも呼ばれることもあります。名称の通り、消費電力が低いことと広域・長距離通信が特徴です。種類にもよりますが、低速な狭帯域を利用しているため、最大伝送距離は短いものでも2km以上、長いものでは50kmや100kmにも及びます。

LPWAの伝送速度は小さいものの工場や物流、農業、住居、生活インフラなどのスマート化においては小サイズデータの長距離通信が行われるため、LPWAの最大伝送速度でも十分に機能を果たすことができます。最大伝送速度は非セルラー系で数十~250kbps、セルラー系で200kbpsから1Mbpsほどです。(LPWA以外の最大伝送速度は、LTEは37.5~150Mbps程度、Wi-Fi(IEEE 802.11ac)は1Gbps)

2. ネットワーク構築機器

非セルラー系のLPWAネットワークでは、基地局の施工・設定、サーバの構築などを自前で行う必要があります。ネットワーク構築には

  • 使用したいIoT機器/センサーなど
  • ゲートウェイ(基地局)
  • ネットワークサーバー
  • アプリサーバー

です。

セルラー系では、通信事業者の基地局を利用するため、SIMが必要です。通信事業者へ通信料金を支払う必要がありますが、ネットワーク構築を自分で行う必要はありません。接点監視端末などを利用する場合もあります。

LPWA機器の種類

概要

前述の通り、LPWAには様々な通信規格があります。主な非セルラー系の通信規格には、

  • LoRaWAN
  • Sigfox
  • Wi-SUN
  • ZETA
  • ELTRES

などがあります。また、セルラー系には

  • LTE-M
  • NB-IoT

があります。下記は代表的な非セルラー系のLPWAの例です。

・LoRaWAN

LoRaWANとは、LoRa Allianceによって仕様策定された規格であるLoRaを使用したオープン無線ネットワークです。非セルラー系であり、920MHz帯の周波数を使用します。通信速度は環境にに依存しますが、50kbps〜250kbps程度です。また、双方向通信が可能です。ユーザーがゲートウェイを設置して自由にネットワークを構築することが可能であるため、山奥や地下など、携帯電話やSigfoxなどの基地局の電波が届かない場所でも利用することができます。

・Sigfox

Sigfox(シグフォックス)はフランスのUnaBiz社が各国のオペレーターを通じて提供している非セルラー系のLPWAネットワークです。920MHz帯を使用し、通信速度は100kbps程度です。

Sigfoxは国ごとに提供する通信事業者を1社に絞っており、日本では京セラコミュニケーションシステム社が回線提供とクラウド提供を行っています。そのため通信に必要な基地局を自分で用意する必要がありません。

本記事はLPWA機器を製造・販売するエルスピーナヴェインズ株式会社に監修を頂きました。

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LEDビジョン

LEDビジョンとは

LEDビジョンとは、LEDディスプレイを利用した大型の電子看板です。

従来の広告に代わって、画像や映像などで広告を掲示することに活用されています。明るさに優れているため日中の屋外でも視認性が良いことが特徴です。また、従来広告・ディスプレイよりコンテンツの入れ替えが容易であるという利点があります。屋内用や屋外用がある他、様々な種類の製品があります。

LEDビジョンの使用用途

1. 概要

LEDビジョンは、主に大型広告・掲示に用いられている製品です。屋内外において様々な用途で用いられています。

屋外型LEDビジョンの主な用途は下記の通りです。

  • 店舗看板 (特にビル・テナントなどの外壁)
  • 大型自立看板
  • 映像による空間演出や動画広告 (野外コンサートやイベントなど)
  • 案内用看板
  • スタンド看板

屋内型LEDビジョンの主な用途は下記の通りです。壁だけでなく床、天井などにも設置することができます。

  • 店内案内
  • 施設案内
  • オフィス
  • 催し物などにおける展示ブース
  • コンサートホールにおける催し物案内

2. デジタルサイネージとの違い

LEDビジョンと類似のものにデジタルサイネージがあります。デジタルサイネージは近くで見る(視認距離が近い)ことに適している媒体です。そのため、店舗の入口や駅構内にある広告など、視認距離が近く、情報提供や顧客対応を行う場所に設置されています。一方、LEDビジョンは明るくて目立ち大規模なビジュアル広告や展示に適している媒体です。そのため、ビル壁面の大広告、駅や空港の電子掲示板などに多く使用されています。 

LEDビジョンの原理

1. 概要

LEDビジョンはLED素子を発光させて画像や映像を映し出す装置です。LEDビジョンにはLED素子を組み込んだLEDモジュールが多数組み込まれています。画像や映像の表示にあたっては、コントローラーから電気信号によって電流の制御が行われ、モジュールのダイオードが点灯します。

液晶モニターは、画面をバックライトで照らすことで発光させる一方、LEDビジョンはLED素子自体が発光するという点が決定的に異なります。LED素子自体が発光することにより、液晶モニターの約20倍の明るさで表示させることが可能です。

2. ピクセルピッチ

LEDビジョンのLED電球の間隔のことをピクセルピッチと呼びます。ピクセルピッチの細かさとLEDビジョンの大きさによって、LEDビジョンの解像度が決まります。例えば、LED球の間隔が10mmであれば10mmピッチです。適切なピッチサイズは次式で表されると言われています。

視認距離(m) ÷ 1.16 = 最適なピッチサイズ(mm)

これは例えば、ピッチサイズが10 mmであれば、視認距離は 11 mとなる計算です。

3. リフレッシュレート

もう一つのLED ビジョンの特徴は、リフレッシュレートが高いことです。これにより、滑らかで鮮明な映像を表示することができます。通常のテレビや PC モニターのリフレッシュレートが 60Hz 程度であるのに対し、LED パネルは最大で 3840Hz の高い更新頻度を実現することが可能です。

4. その他

LEDビジョンはベゼル (枠) がないため、複数のビジョンを並べて大きな1枚画とすることが可能です。そのため、サイズを柔軟に設置場所に合わせることができます。防塵・防水機能に優れ、動作温度は-20℃~60℃まで対応しています。湾曲した曲面にも設置可能です。

LEDビジョンの種類

1. 概要

LEDビジョンには様々な種類があります。屋外型は日中の太陽光の下でもはっきりと見えるように明るさが設定されており、屋内型LEDビジョンは、近距離でも綺麗な映像を映し出すためにピクセルピッチが細かくなっています。視聴距離や設置スペースに合わせて、ビジョンの大きさやピッチサイズを決定することが必要です。

その他、特殊なLEDビジョンは下記の通りです。

2. 透過型LEDビジョン

透過型LEDビジョンとは、素材を通して背景を見ることができるLEDビジョンです。半透明なアクリル板などを用い、LEDモジュールの素子の間を光が透過するように設計されています。例えば、屋内外を仕切る面に設置すると、室内からは、LEDビジョンを通して外を、外からはLEDビジョンを通して室内を見通すことが可能です。

3. キューブ型LEDビジョン

キューブ型LEDビジョンは、形状が立方体となっているLEDビジョンです。3面から6面の複数の面にLEDビジョンが配置され、様々な角度から視聴することができます。店先の看板や室内の天井、屋外などに用いているLEDビジョンです。