水溶紙

監修:株式会社田村商店

水溶紙とは

水溶紙とは、水に溶ける性質を持つ紙です。

水溶紙は、水中で繊維と繊維の結びつきが速やかに分解され、溶けてなくなります。「水溶紙が溶けた」という状態は、水中で繊維がバラバラに細かくほぐれた状態です。トイレットペーパーのような薄く直ちに分解されるものから、ある程度の時間水濡れに耐えてから分解するようなものまで、様々な種類があります。処分の際も焼却の必要がなく、土に還る天然素材でできていることから、環境に優しい素材であると言えます。

水溶紙の使用用途

水溶紙の主な使用用途には下記のようなものがあります。

  • トイレットペーパー
  • 携帯用のポケットティッシュ
  • ウエットティッシュ、赤ちゃん用のおしり拭き
  • 灯籠流し、流し雛など儀礼的行事
  • ガーデニング
  • 洗濯機で溶ける洗濯タグ
  • 刺繍用の接着芯
  • 医療用の検査台紙や綿棒などの衛生用品
  • 機密文書などの用紙
  • ラベル用紙
  • 熔接用ダム紙
  • 成型品 (紙管、水溶性の紙ひも、棒、袋など)
  • 入居前の不動産において排水口に蓋をする

最も一般的な用途はトイレットペーパーです。また、携帯用ティッシュペーパーなどにも使用されます。こうしたものは、汚れたものをすぐに水に流して処分することができるため、衛生上優れています。

灯籠流しや流し雛などの紙製品を海や川に流す儀礼的行事では、水溶紙を用いることで回収の手間も無く、環境を汚さないようにすることが可能です。ガーデニングにおいては、種子を包んで土に埋める袋に用いられたり、ガーデニングデザインにおけるレンガや庭石の配置図などに使用されます。

また、印刷可能な水溶紙は、機密文書や一時的な付箋など、使用後に速やかに廃棄することがわかっている文書の用紙として活用されています。入居前の不動産などでは、臭い防止の為に排水口に蓋をすることが必要ですが、水溶紙を用いられることがあります。これは、水道開栓後には速やかに水に溶けるため、水を流しても溢れないという利点のためです。

水溶紙の原理

1. 概要

紙は、パルプなどの植物の繊維が結合してできています。水溶紙は、繊維の結合を弱くすることにより、水に濡れると繊維の結合が分散し、最終的に分解して溶解する仕組みです。冷水、温水、海水で分散しますが、アルコールには分散しません。

2. 溶けやすさ・加工性

結合の度合いによって、溶けやすさ・溶けるまでの速さを調節することができます。結合を弱くすればトイレットペーパーのように直ちに分解されるようにできますし、逆に結合を強くすれば、ある程度の時間水に耐えた後最終的に分解されるようにすることも可能です。

ある程度の強度があるものは、ヒートシールなどでの貼り合わせ加工が可能であり、箱や袋状に成形することもできます。また、適切な厚み・強度の水溶紙は、印刷・筆記も可能です。

3. 環境

水溶紙は天然素材である、パルプを主成分として製造されている製品です。全く人体に対する有害性はありません。また、水溶紙は燃焼・焼却を行うこと無く、水に溶けて最終的に土へと還ります。焼却によるCO2放出や有毒物質の放出もありません。通常の紙よりも分解が早いため、リサイクルもスムーズに行われます。このように、水溶紙は環境への負荷が低い素材であると言えます。

水溶紙の種類

1. 概要

水溶紙には、水に溶けるまでの速さや、厚み、やわらかさなど、様々な種類があります。水解性の不織布も水溶紙の一種に含まれます。厚みの種類は50μm前後から200μm前後まであり、水に溶けるまでの分解時間は速いものでは35秒前後、遅いものでは100秒前後です。

2. 感熱水溶紙

感熱水溶紙とは、バーコードなどの感熱印刷が可能な水用紙です。バーコード読取も行うことができます。冷水よりも温水の方が速やかに分散する水溶紙です。

本記事は水溶紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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