データ復旧サービス
データ復旧サービスとは、何らかのトラブルにより消えてしまったデータを、特殊技術を用いて復旧させるサービスです。
一般的な修理サービスでは、機能を回復させることを目的とするため、部品の入れ替えなどによりデータが失われるケースが多いです。一方、データ復旧サービスは内蔵データを取り出すことを目的とするサービスであり、基本的に修理は行いません。
データ復旧を必要とする障害は、論理障害 (保存されている情報が破損する) と、物理障害 (部品に電気的・機械的な故障が発生する) の2種類に大別されます。データ復旧サービスは機器内部を解析して適切な方法でデータ復旧を行います。
データ復旧サービスの使用用途
1. 対応機器
データ復旧サービスは機器の個人利用・企業利用の別を問わず利用が可能です。主な対応機器には下記のようなものがあります。
- パソコン (内蔵HDD/SSD)
- 外付けハードディスク
- サーバー
- SSD
- NAS
- RAID
- 各種テープメディア
- CD/DVD
- フラッシュメモリ
- スマートフォン
2. 利用シーン
データ復旧サービスは、個人利用・企業利用を問わず様々なトラブルの場合に利用が可能です。主な例には下記のようなものがあります。
- 無くなってしまった写真データの復旧 (パソコン・SDカード・フラッシュメモリなど)
- マザーボード、その他の部品の経年劣化によって起動しなくなったパソコンのデータ復旧
- 水没したパソコンの復旧
- 起動しないパソコンからのデータ復旧
- 誤ってフォーマットしたパソコンの復旧
- ウィルスに感染して消去されてしまったデータの復旧
データ復旧サービスの原理
1. 障害の種類
データ復旧が必要となる障害には大きく分けて、論理障害と物理障害があります。
論理障害は、記憶媒体そのものに故障が発生しているわけではないものの、保存されている情報が破損し正常に読み出しができない状態の障害です。データ構造に問題が発生してデータが読み出せない状態になっています。誤削除やウィルス感染、フォーマット、リカバリなどが論理障害に該当します。
対して物理障害は、記録媒体自体に電気的、機械的な故障がある障害です。落下や水没などの物理的な衝撃の他、経年劣化によって生じる場合もあります。
2. 復旧処置
データ復旧サービスは、まず対象機器の異音の診断、プログラム解析機、電圧測定器などの外部機器による診断により初期診断を行います。
診断後、物理障害の場合は部品の交換や専用ツールによる処置を施すことでデータの復旧を試みます。一方、論理障害と診断された場合は、フォルダ・ファイル構造分析と再構築を行うなど、物理的な修復以外の方法で復旧を試みます。
尚、データ復旧サービスでは、データの復旧の過程で、記憶媒体を開封した上で復旧作業を行います。復旧作業後の動作的な機能は一切回復できなくなる場合もある点には注意が必要です。メーカー保証の対象外となる可能性もあります。
データ復旧サービスの種類
データの復旧サービスは、機器が設置されている場所に作業員が訪問して復旧作業を行うオンサイト型と、復旧機器媒体を送付して消去を依頼する送付型に分かれます。オンサイト型は、送付時のトラブル・配送事故などのリスクを抑えたい場合や、機器の送付が難しい場合などに特に有効です。
また、クラウドや仮想化などを使用した大規模システム (仮想化サーバ、SAN、NAS、Unifiedストレージなど) に特化した復旧サービスや、携帯電話会社におけるスマートフォン復旧サービスなど、一部のサービスは特定の媒体に特化しています。緊急ですぐに復旧したいデータがある場合は、緊急復旧サービスを利用することが可能な場合もあります。