タンク撹拌機

タンク撹拌機とは

タンク撹拌機とは、様々な産業用タンクに設置して利用することができる撹拌機です。

タンク式撹拌機は、撹拌機の動力であるモーター、撹拌機をタンクへ取り付ける取付部、モータと撹拌体をつなぐシャフト (軸) 、内容物を混ぜる撹拌体から構成されています。撹拌体は、撹拌翼、撹拌羽根、撹拌子、インペラなどと呼ばれる場合もあります。

通常、タンク上部に取り付ける製品が一般的ですが、タンクの底部に設置する下部型の撹拌機もあります。下部型は、沈む粉を強制的に巻き上げることができるため、沈降しやすい混合物の撹拌に特に効果的です。様々な製品があり、使用するタンクの大きさ、内容物の比重、粘度、大きさなどの性状や、撹拌目的などに合ったものを選定することが重要です。利用シーンに合わせて、防爆性製品やサニタリー面に配慮した製品も提供されています。

タンク撹拌機の使用用途

タンク撹拌機は、下記のような用途のほか、塗料などの撹拌や、水処理施設のタンクなどにも利用されています。

1. 化学・医薬品

タンク撹拌機は、様々な薬品を取り扱うタンクで利用されており、化学工業や医薬品製造などでの活用事例があります。タンク撹拌機を用いてスラリーやコロイド溶液などの沈殿や沈降を防止し、生産性や品質を向上させることができます。

硫酸、苛性ソーダ、塩化鉄、塩酸、次亜塩素酸ソーダなど、様々な薬品への耐久性があり、希釈・濃縮・混合・溶解・中和・反応・晶析・抽出などの工程にて、活用が可能です。医薬品製造では、原薬工程の反応・晶析・培養などの工程で特に利用されています。特に医薬品の製造を想定した製品機種では、サニタリー性に配慮し、異物汚染を防ぐ製品設計となっています。

2. 製紙

製紙業界において、パルプの分散や、黒液やコーティング剤の溶解・希釈・貯留用として撹拌機が利用されています。槽の側面に取り付ける横型撹拌機、槽の上部に取り付ける竪型撹拌機があります。

質の高い紙を生産する上ではパルプ液を均一に分散させることが重要です。パルプの種類、濃度、繊維の長短・単位液量当たりの動力、槽内抵抗物の有無などに合わせて適切に撹拌機を選定することが必要です。黒液やコーティング剤の撹拌においては、目的・濃度・比重などに合わせた製品が使用されます。

3. 食品

食品製造業において、タンク撹拌機は、調味液や飲料、各種食品原料の製造工程で多く利用されます。液体と液体の混合、固体と液体の混合などを行う場合などがあります。醤油やジュースなどの比較的粘性の低い液体から、マヨネーズ、チョコレート、ねり胡麻などの高粘性の内容物まで様々な用途で利用可能です。

様々な撹拌体の種類の中から撹拌する内容物に合ったものが利用されます。また、サニタリー性に配慮された部品設計や防錆処理が行われるほか、潤滑剤には食品機械用のグリース、オイルなどが用いられます。

錆止め塗料

錆止め塗料とは

錆止め塗料とは、金属の腐食を防ぐために用いられる、防錆効果のある塗料です。

錆止め塗料は、不動態皮膜の形成と犠牲防食の2つの効果により、基材の金属が錆びるのを防ぎます。不動態皮膜とは金属表面に形成する安定した皮膜です。酸素や水分が金属下地に付着することを防ぎ、錆の進行を抑制する効果があります。

犠牲防食とは、基材の金属が腐食する前に、錆止め塗料の金属成分を水や酸素と反応させることで、基材の腐食を遅くする仕組みです。例えば、亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が高いため、鉄材表面が露出しても塗料の亜鉛成分が鉄より早く水や酸素と反応して溶け出します。溶け出した亜鉛の酸化生成物は酸化保護皮膜として表面を覆い、鉄の腐食を更に予防することが可能です。錆止め塗料には、油性系、合成樹脂系、エポキシ樹脂系などの塗装材が利用され、防錆性の他にも、耐久性・耐候性に優れます。

錆止め塗料の使用用途

1. 橋梁・鉄塔

橋梁や鉄塔などは、屋外における大型の金属建造物であり、高い錆止め効果と耐久性・耐候性が必要です。錆止め塗料を用いた塗装を行うことで、これらの構造物の錆を防ぎ、長期に渡って安全に利用することができるようになります。

電車や道路の橋梁、電力鉄塔などに利用されており、効果の高い錆止め塗料では20年以上も塗り替え無しで利用することが可能です。また、塩害地域の構鋼物などでは特に重防食塗料が用いられます。その他、屋外建造物では、公園の遊具などにも錆止め塗料が利用されています。

2. 鉄道・道路

高速道路や、立体駐車場部材、電車の高架、線路通用口や駅の設備など、鉄道や道路などの交通関係において、様々なシーンで錆止め塗料が利用されています。

これらの用途では屋外に設置されているものが多かったり、長期に渡る耐久性が求められたりする用途であることが多いです。特に、短時間での施工が求められることが多く、作業性の高い高効率な錆止め塗料が利用される傾向にあります。

3. 建築

様々な建物にも錆止め塗料は利用されています。建物の外壁・屋根のほか、鉄骨階段、屋外手すりなどの屋外部材で、腐食防止・耐久性向上のために活用可能です。屋内設備では、エレベーター・エスカレーターなど、腐食すると安全性に関わるような場所に錆止め塗料が特に利用されています。

一般の住宅、マンションなどの他、市民会館などの公共施設でも利用されています。腐食リスクの高い、潮風にさらされる市場の建築物などでも導入事例があります。

ペイントプロテクションフィルム

ペイントプロテクションフィルムとは

ペイントプロテクションフィルムとは、自動車の塗装面を保護するために利用されるフィルムです。

PPFフィルムや塗装保護フィルムとも呼ばれています。熱可塑性ポリウレタン (TPU) を基材とする、厚さ150μmほどの透明な積層フィルムが一般的です。車体のカラーに合わせた着色がされている製品もあります。光沢調フィルムのため、施工することでボディの光沢感が強くなり輝きが増します。

自己修復層を有する製品では、フィルムについた小さな擦り傷などが、熱を加えた条件下もしくは常温で時間の経過と共に自然と消えていきます。専門店での施工が一般的です。

ペイントプロテクションフィルムの使用用途

ペイントプロテクションフィルムは乗用車で利用される場合が多いようです。特に、高級車・輸入車・スポーツカーなど価格の高い自動車での使用が好まれます。下記のような保護を行いたいシーンで主に使用されます。

1. 物理的保護

ペイントプロテクションフィルムは、自動車の塗装面の物理的ダメージに対して非常に高い保護効果があります。伸縮性と柔軟性にとても優れているため、走行中に飛来する飛び石の衝撃を緩和したり、ドアノブ周りの爪キズやドアエッジの擦り傷、荷物の積み下ろしなどによる傷を防止したりできます。通常の乗用車のほか、サーキット走行などの過酷な環境下での走行が多い車両で特に効果的です。また洗車時につきやすい微細な小傷であるスクラッチ傷を、ペイントプロテクションフィルムを貼ることで防げます。

さらに自己修復機能を有する製品は、フィルムについた傷が経時変化とともに修復されるため、より高い表面保護効果を期待できます。

2. 退色防止

自動車の塗装面は通常、紫外線による劣化で色あせや剥離が起こりやすい環境下にあります。ペイントプロテクションフィルムは紫外線や酸性雨に強い素材でできているため、塗装面の色あせや塗装の剥離を防止できるでしょう。

また塗装の経年劣化が軽減されるため、高級車などでは特に、リセール時の評価を念頭に置いて利用される場合があります。車の買い替えを想定している場合に特に積極的に利用されます。光沢感やマット感のあるフィルムのため、美観的役割を兼ねた保護が可能です。

3. 撥水・撥油・耐溶剤

ペイントプロテクションフィルムは、様々な物理・化学特性により機能性を発揮し、自動車の塗装面の汚れを防ぎます。汚れによる塗装面の劣化を防ぐだけでなく、洗車頻度の減少による塗装面の物理的損傷の防止にもつながります。長距離走行やアウトドアなど、車両が汚れやすいと思われる利用シーンで特に効果的です。

ガラスコーティング剤と同等の撥水性能であり、親水性の汚れを防ぎます。撥油性・耐溶剤性に優れ、アスファルト由来のタールやピッチ、排気ガスなどに含まれる脂溶性の汚れ、整備時のクリーナーなどによるシミの予防が可能です。

エアツール

エアツールとは

エアツールとは、圧縮した空気を動力源とした工具製品群全般の総称です。

一般的には手持ち工具を指すことが多く、エアコンプレッサーから供給される圧縮空気の力でモーターを回し、締め・緩め・研磨・切断などの各種作業を行います。電動工具と比較して、高出力や高トルクでありながら小型で軽量です。過負荷に強く、モータの焼きつきなどがありません。電動工具に比べてシンプルな構造で壊れにくく、メンテナンスが容易です。

エアツール製品は、回転力・推進力・膨張力のそれぞれを利用する製品に大別されます。エアモーターの回転力を利用する主なエアツールは、エアインパクトレンチ・エアラチェットレンチ・エアドリル・エアドライバー・エアサンダーなどです。エアニッパー・エアソー・エアタッカーなどはピストンの推進力を利用します。エアダスター・スプレーガン・エアブラストなどは膨張力を利用するエアツール製品です。

エアツールの使用用途

エアツールは下記に挙げる分野のほか、航空・宇宙・鉱業・船舶・電力などの分野でも広く使用されています。

1. 自動車関係

エアツールのメリットの一つは、電気を使わないため、漏電や感電の危険性がほとんどないことです。圧縮空気を供給するエアコンプレッサーは、充填作業のために電源を必要とするものの、充填完了後は電源が不要です。そのため、火花による爆発の危険性がある自動車関係の現場で多く利用されています。

ガソリンスタンドや自動車修理工場などで、エアインパクトレンチやエアスクリュードライバを用いてボルト・ナット・ネジの取り外しが行われています。またタイヤの取り外しや組み立て、タイヤの充填などにも使用可能です。自動車塗装においても、エアスプレーガンなどのエアツールが利用されています。

2. 製造加工一般

一般的な工業生産において、組み立て作業・研磨・切断・整備・補修など、様々な加工作業にエアツールが使用されます。連続した使用で熱くなりやすい電動工具に対し、エアツールのモーターは熱を持たないため、生産ラインなどでの利用に適しています。

木工・金属加工など、様々な材質の加工で利用が可能です。例えば木工では、釘打ちや穴あけにエアネイラーやエアドリルが利用されています。また表面の研磨や仕上げにエアサンダーやエアプレーナーなどが利用されます。金属加工では、エアグラインダーによる金属表面処理や、エアパンチャーを用いた金属パンチングなどが行えます。

3. 建設業

エアツールは高出力や高トルクであるため、建設業においても活用されています。また電源が不要であることから、電源を確保しづらい場所や狭い箇所でも利用しやすいため、建設工事において電動工具よりも適している場合があります。

釘打機やスーパーネイラなどを用いたビス打ちが主流ですが、その他にも様々な種類のエアツールを用いて、穴あけ・ネジ締め・塗装などの様々な作業を行えます。またコンクリートの解体や打撃をエアハンマーで行えるので解体作業にも利用されます。

防水スイッチ

防水スイッチとは

防水スイッチとは、水によるスイッチの損傷を防ぐための防水性を備えたスイッチです。

防水スイッチには複数の種類があります。全防水形スイッチは、表面のパネルとパネル内部が共に防水性を持ちます。パネルシール防水と呼ばれるスイッチは、パネルシールに防水性があるスイッチです。パネルシール表面からの水の侵入を防ぎます。しかし全防水形スイッチとは異なり、パネル内部は防水ではないため、筐体で覆うなどの対策が必要です。非防水スイッチに防水キャップを使用し、パネルシール防水とする場合もあります。

様々な形状の防水スイッチがあり、トグルスイッチ・押しボタンスイッチ・ロッカスイッチ・ロータリスイッチ・タッチスイッチなどが一般的です。樹脂素材を主体とした製品や、メタルハウジングが使用された金属主体の製品などがあります。防水性は、IEC規格 (国際電気標準化会議) に基づくIP表示で表記される場合が多いようです。

防水スイッチの使用用途

1. 屋外

雨水がかかることが想定される、屋外に設置するスイッチには防水スイッチが利用されます。主な用途として、特殊車輌の操作パネル・ 屋外制御機器・セキュリティ機器・屋外用の工作機械・屋外用照明のスイッチなどが挙げられます。農工器具・バイク・自動車・トラックなどの車載用途で防水トグルスイッチなどが利用される場合も多いようです。

2. 水がかかる場所

屋外以外でも水がかかる場所では防水スイッチが利用されます。具体例として、各種業務用厨房機器スイッチ・浴室内設置用スイッチ・船舶用スイッチ・エンジンルーム内スイッチなどが挙げられます。業務用機器だけでなく、民生用の家電製品の部品にも防水スイッチが用いられることが多いようです。

3. 産業

様々な産業シーンでは、水の利用が想定される場合でなくとも、過酷な環境下に機器がさらされることを想定して防水スイッチが利用される場合があります。具体例として、建設機械・工具・ポンプ・エネルギー貯蔵システム・食品加工機器・輸送機器・工作機器などが挙げられます。また医療機器は、薬品や種々の液体にさらされる可能性を考慮し、防水スイッチが利用されることが多いようです。

ハンガーボルト

ハンガーボルトとは

ハンガーボルトとは、ネジ頭部を持たず、一端がコーチスクリュー (木ネジ形状) 、もう一端がボルトになっている製品です。

コーチ部を木材へ埋め込み、もう一方は通常のボルト部として雌ネジ (鬼目ナットなどのインサートナットや六角ナットなど) と組み合わせて部材を連結します。取り外し可能な連結部分として利用可能です。鉄やステンレス製の製品が一般的で、クロメート処理などの表面処理が施される場合もあります。一般的なものは、M6~M8などのメートルネジ規格の製品や、W1/4~W3/8などのウィットネジ規格などです。

コーチ部を木材へ埋め込む場合は、ボルト部の方にロングナットやダブルナットを取り付け、ソケットやスパナを用いて木部にねじ込みます。取り外す場合も同様にナットとスパナを用い、取り付け時とは逆向きに回して外します。

ハンガーボルトの使用用途

1. 組み立て家具

ハンガーボルトは、組み立て家具に利用されています。机・こたつ・棚・チェスト・下駄箱などの脚に木ネジ部分を埋め込んでおきます。さらに家具本体側には、鬼目ナットや爪付ナットなどで雌ねじを取り付けて連結します。

ハンガーボルトを利用することで家具の組み立てが容易になり、消費者自身で組み立てることが可能です。大型家具の完成品は輸送に手間とコストが掛かりますが、運搬しやすくなり、輸送コストや製品価格を下げられます。また家具の分解が容易です。木製の通い箱などの蓋をナットを使用して開閉する用途でも利用されています。

2. 持ち手・引き手

ハンガーボルトは、引き出しなどに持ち手や引き手を取り付ける用途でも用いられます。引き出し側に雌ネジを取り付けて、引き手側にハンガーボルトをつける利用方法と、引き出し側にハンガーボルトを利用して引き手側を雌ネジとする方法の、2種類の方法で利用可能です。

様々なデザインの引き手がありますが、ハンガーボルトを利用することで引き手の交換が容易になります。またハンガーボルトは、ドアノブなどに利用することもあります。

3. 壁や柱

ハンガーボルトを用いることで、つまみやフックを容易に壁や柱に取り付けられます。コーチ部 (木ネジ部) を壁や柱側に埋め込み、つまみやフック側をボルト部に利用するのが一般的です。

つまみやフックに物を掛けられるため、室内の壁面収納や装飾的意匠として利用されます。コーチ部を用いてしっかりと壁面に固定されるので、衣類や軽量荷物などを安全に保持できるでしょう。

伝票発行システム

伝票発行システムとは

伝票発行システムとは、見積票や受発注伝票、送り状や納品伝票など、商品出荷や物流に関わる各種伝票の発行を自動化したり効率化したりするシステム製品のことです。

伝票発行システムを用いることで手書きで伝票を発行する必要がなくなり、発行業務の省力化が可能です。システムに情報を入力することで自動的に所定のフォーマットの伝票が作成できます。また、省力化システムの中には、商品のバーコードを読み取るだけで自動的に伝票作成を行うことが可能な製品もあります。

更に、自社納品書・請求書作成のほか、百貨店統一伝票など取引先毎にフォーマットが違う伝票を作成することが必要な場合、伝票発行システムでは様々な様式に柔軟に対応が可能です。伝票作成だけでなく、出荷状況の確認や、請求書発行など、関連業務を同じシステム内で一元管理可能な製品もあり、業務効率化が期待されます。

伝票発行システムの使用用途

1. 販売業

販売業では、主に卸売業で伝票発行システムが利用されています。卸売業とは商品を仕入れて小売販売店や他の卸売業などに卸売を行う業種です。大量の商品を取り扱うため、従来型の手書き伝票の作成は現場での負担が大きくなります。伝票発行システムを使用して社内商品コードやJANコードを用いた商品出荷などに対応することで、大幅な業務効率化が期待されます。

納品書、送り状、明細書など取引に関わる様々な伝票を取り扱いますが、取引先で決まった様式の伝票が定められている場合もあり、煩雑な伝票処理が必要になります。伝票発行システムは複数様式の伝票発行に対応しており、システムで一元化することで業務におけるミスを減らすことも可能です。

2. 製造業

製造業では、製造した自社製品の出荷や、工場から倉庫などへの輸送などの際に伝票発行システムが利用されています。伝票発行システムを利用することで、伝票発行の省力化を行うだけでなく、出荷実績の管理や荷物の追跡などに活用することも可能です。従来型の紙伝票では荷物追跡を行うことが困難でしたが、伝票発行システムではデータ管理により追跡が容易です。

また、製造業においても、納品先指定様式の伝票が必要になる場合があり、伝票発行システムを用いて大量の複雑な伝票管理を行うことで業務の省力化が図れます。

3. 運送業・物流

運送業、物流業界では、送り状や各種伝票を伝票発行システムで一括管理することが可能です。システムによっては、ハンディターミナルを用いて商品バーコードの読み取りと連動させたり、モバイルプリンターを用いて客先などでも伝票発行を行ったりすることができ、便利です。

倉庫などで利用される伝票発行システムの中には、伝票とあわせてピッキングリストも同時に作成できるものもあり、倉庫搬出入作業の効率化が可能です。従来の手作業では納品伝票をもとに目視での対応が必要でしたが、ハンディターミナルと連動したシステムを利用することで大幅な省力化を行うことができます。事務作業を自動化するRPAシステムを併用して伝票発行システムを利用することも可能です。

小荷物専用昇降機

小荷物専用昇降機とは

小荷物専用昇降機とは、エレベーターに類似した構造の設備で、小荷物の運搬を行うための製品です。

小荷物専用のため、人の乗降は想定されておらず、かごの床面積が1m2以下で、かつ天井の高さが1.2m以下と規定されています。電動ダムウエーター、リフトなどの別名で呼ばれる場合もあります。昇降機の一種のため、設置の際には建築基準法に基づき確認申請が必要です。また、維持・管理に当たっては、おおむね6ヶ月~1年ごとに、法令に基づく定期点検を行う必要があります。

テーブルタイプの製品は、搬入出の作業がしやすく、特に小型の荷物の取扱に便利です。一方、フロアタイプと呼ばれる製品は、昇降機底面が床面と同じになるため、台車やカートなどの少し大きさのある荷物の搬入出に適しています。

小荷物専用昇降機の使用用途

1. 飲食提供

小荷物専用昇降機は、飲食物を提供する施設において、調理場と提供するフロアの階が異なる場合などに利用されています。配膳前の飲食物の搬送、下げ膳した食器の搬送などを行うことが可能です。始動時や停止時の衝撃が少ないため、飲物もこぼさずに運ぶことができます。

主な利用施設は、レストラン、ホテルなどの他、給食を提供する学校や病院などです。飲食店などではテーブルタイプの製品が主流ですが、学校など台車ごと運ぶようなシーンではフロアタイプの製品も利用されています。

2. 書類・一般物品

小荷物専用昇降機は、オフィスや銀行などにおける書類や業務上の一般的な小荷物の運搬に利用されています。オフィスビルなどにおいて、一日の業務時間の中で何度も階段で荷物を運ぶことは非効率であり、足元が見えない状態での階段昇降は転落事故の原因にもなります。

また、一般的な小売店舗などにおいても、小型の荷物や商品の搬入出に利用することが可能です。病院やホテルでリネンなどを台車ごと運んだりする用途もあります。

3. 製造業・物流

製造業や物流など、様々な物品を扱う業種においても、フロア間の搬送に小荷物専用昇降機が利用されています。配送センター、工場などで利用され、やや大量・大型の荷物の運搬に利用されることもあります。

具体的な用途は、半導体製造などにおいて精密機械部品を輸送したり、自動車のタイヤ製造における製品搬送、製造業における倉庫への搬入出、物流倉庫での製品搬送などです。比較的重量のある荷物が多いため、フロアタイプの製品が利用されることが主流です。

木製矢板

木製矢板とは

木製矢板とは、土木仮設材の一種で、土木工事・建築工事において土砂などが崩れないように押さえるための土留め板です。

別名で木矢板と呼ばれる場合もあります。長い板状の部材を隣同士で連結させて、壁を作って使用されます。樹種は杉・松・ひのきが利用されていることが多く、国産のほかニュージーランド産などの輸入木材も利用されます。板の厚みや長さは様々なものから選択することが可能です。

横矢板と縦矢板の種類があり、横矢板は、H鋼を地盤に対して垂直に打ち込み、その間に矢板を横に差し込んで土留めして利用する方法が一般的です。簡易土留め工事などでは土留め用木杭と木製矢板をあわせて利用する場合などがあります。

木製矢板の使用用途

1. 掘削工事

木製矢板は、各種の掘削を行う際、土の崩落を止める土留として利用されています。ビルやマンションなどの大型建物は大規模な基礎を必要とするため、地下の掘削が行われます。このような場合に、土砂の崩落を防ぎ、安定した掘削面を保つため、木製矢板が利用可能です。大型建物の建設のほか、地下構造物の建設や橋梁建設などにも利用されています。

2. トンネル

トンネル工事において、矢板工法と呼ばれる施工方法では、トンネルの崩落を防ぐ土留として木製矢板が利用されています。矢板工法では、火薬で施工箇所を爆破して岩を砕いて破砕物を運び出した後、木製矢板を連続して打ち込みます。その後、内側から鋼製支保工を設置して補強し、内壁をコンクリートで固める仕組みです。

3. 造成工事

木製矢板は、造成工事や治山・林道工事など、山がちな地形の工事において、山留めとして利用されています。土木仮設材として、土砂の崩落を防いだり、法面の落石防護壁に使われたりしています。作業員の安全確保を行う土留としても利用可能です。水路の壁を作るために杭に掛けることもあり、敷板や幅木・足場板の代用等、その他の用途でも利用される場合があります。

保持炉

保持炉とは

保持炉とは、溶解炉で溶解した金属の溶湯を、固まらないように一定の温度に維持するための炉です。

アルミニウムをはじめとした金属や合金は、溶解炉で溶解させた後、鋳造までに冷えると固まってしまいます。保持炉は溶湯の温度を維持するために利用され、鋳造機やダイカストマシン、または鋳型に直接注湯を行います。

保持炉の熱源はガスや電気が用いられ、加熱機構にはバーナーや浸漬ヒーターなどが利用されている仕組みです。溶解炉から独立した保持炉は溶解の必要がなく、保温のみの機能であるため熱容量は小さいです。一方、溶解保持炉と呼ばれる炉には、金属を溶解する溶解室と、溶けた溶湯を同じ温度に保持しておく保持室とが備えられており、1台で溶解機能と溶湯保持機能の両方を満たすことができます。

保持炉の使用用途

1. ダイカスト

ダイカストとは、アルミニウムや亜鉛、マグネシウムなどの非鉄金属の合金を高温で溶かし、高速・高圧で金型に流し込んで成形する鋳造法です。保持炉は、ダイカストマシンへ注湯する溶湯の温度を維持するために利用されています。

自動車部品をはじめとして、通信機器、建築材料、産業機械や家電製品、日用品など、様々な金属部材を製造するために利用されている加工技術です。アルミニウムのダイカストが主流ですが、亜鉛合金、マグネシウム合金なども利用されます。

2. 精錬・成分調整

アルミニウムなどの金属精錬においても保持炉は溶湯の温度維持に利用されています。電解炉などで精錬した溶湯温度の維持を行うだけでなく、合金成分の調整や不純物の除去を行うことも可能です。アルミニウムの場合、精錬用フラックスを添加し、アルカリ金属の除去、脱ガス装置による水素ガス除去、フィルタ処理による介在物ろ過などによって精錬度が高められます。

また、銅の主溶解炉であるシャフト炉は成分調整ができないため、保持炉で所定の成分調整を行った後に鋳造が行われています。

3. 低圧鋳造

低圧鋳造は、ダイカストとは異なり、空気圧を用いて溶融金属を金型に流し込む鋳造方法です。低圧鋳造においてもアルミなどの溶湯温度を維持するため、保持炉が利用されています。低圧鋳造は、ひけ巣やガス欠陥などの内部欠陥が少なく、寸法精度も高い鋳物を製作することが可能です。また押湯が不要なため、鋳造歩留まりにも優れています。

一般的には、保持炉と金型をストークで連結して低圧空気を溶湯表面に吹き付け、ストークを通して溶湯を金型内に注ぎ込みます。