データ復旧サービス

データ復旧サービス

データ復旧サービスとは、何らかのトラブルにより消えてしまったデータを、特殊技術を用いて復旧させるサービスです。

一般的な修理サービスでは、機能を回復させることを目的とするため、部品の入れ替えなどによりデータが失われるケースが多いです。一方、データ復旧サービスは内蔵データを取り出すことを目的とするサービスであり、基本的に修理は行いません。

データ復旧を必要とする障害は、論理障害 (保存されている情報が破損する) と、物理障害 (部品に電気的・機械的な故障が発生する) の2種類に大別されます。データ復旧サービスは機器内部を解析して適切な方法でデータ復旧を行います。

データ復旧サービスの使用用途

1. 対応機器

データ復旧サービスは機器の個人利用・企業利用の別を問わず利用が可能です。主な対応機器には下記のようなものがあります。

  • パソコン (内蔵HDD/SSD)
  • 外付けハードディスク
  • サーバー
  • SSD
  • NAS
  • RAID
  • 各種テープメディア
  • CD/DVD
  • フラッシュメモリ
  • スマートフォン

2. 利用シーン

データ復旧サービスは、個人利用・企業利用を問わず様々なトラブルの場合に利用が可能です。主な例には下記のようなものがあります。

  • 無くなってしまった写真データの復旧 (パソコン・SDカード・フラッシュメモリなど)
  • マザーボード、その他の部品の経年劣化によって起動しなくなったパソコンのデータ復旧
  • 水没したパソコンの復旧
  • 起動しないパソコンからのデータ復旧
  • 誤ってフォーマットしたパソコンの復旧
  • ウィルスに感染して消去されてしまったデータの復旧

データ復旧サービスの原理

1. 障害の種類

データ復旧が必要となる障害には大きく分けて、論理障害と物理障害があります。

論理障害は、記憶媒体そのものに故障が発生しているわけではないものの、保存されている情報が破損し正常に読み出しができない状態の障害です。データ構造に問題が発生してデータが読み出せない状態になっています。誤削除やウィルス感染、フォーマット、リカバリなどが論理障害に該当します。

対して物理障害は、記録媒体自体に電気的、機械的な故障がある障害です。落下や水没などの物理的な衝撃の他、経年劣化によって生じる場合もあります。

2. 復旧処置

データ復旧サービスは、まず対象機器の異音の診断、プログラム解析機、電圧測定器などの外部機器による診断により初期診断を行います。

診断後、物理障害の場合は部品の交換や専用ツールによる処置を施すことでデータの復旧を試みます。一方、論理障害と診断された場合は、フォルダ・ファイル構造分析と再構築を行うなど、物理的な修復以外の方法で復旧を試みます。

尚、データ復旧サービスでは、データの復旧の過程で、記憶媒体を開封した上で復旧作業を行います。復旧作業後の動作的な機能は一切回復できなくなる場合もある点には注意が必要です。メーカー保証の対象外となる可能性もあります。

データ復旧サービスの種類

データの復旧サービスは、機器が設置されている場所に作業員が訪問して復旧作業を行うオンサイト型と、復旧機器媒体を送付して消去を依頼する送付型に分かれます。オンサイト型は、送付時のトラブル・配送事故などのリスクを抑えたい場合や、機器の送付が難しい場合などに特に有効です。

また、クラウドや仮想化などを使用した大規模システム (仮想化サーバ、SAN、NAS、Unifiedストレージなど) に特化した復旧サービスや、携帯電話会社におけるスマートフォン復旧サービスなど、一部のサービスは特定の媒体に特化しています。緊急ですぐに復旧したいデータがある場合は、緊急復旧サービスを利用することが可能な場合もあります。

データ消去サービス

データ消去サービスとは

データ消去サービスとは、パソコンやサーバー機器などの機密保全のため、データを完全に削除するサービスです。

パソコン、サーバー機器、HDDなどを廃棄したり、またはリース返却したりする場合は、プライバシー保護や機密情報の保全の観点から完全にデータを消去する必要があります。このような場合、通常のデータ削除では予期せぬデータ流出を招く恐れがあるため、専用の消去サービスが必要です。

データ消去サービスでは、ソフトウェアを用いたり、物理的破壊したりすることで、確実なデータの消去を行います。

データ消去サービスの使用用途

1. 利用シーン

データ消去サービスは、老朽化した機器の廃棄、レンタル/リース品の返却、不要になった機器の譲渡、リサイクルなどのシーンで利用されます。

パソコンやサーバなどの電子機器は、適切にデータを消去しないまま廃棄・譲渡すると、機密情報や重要なデータの流出を引き起こす恐れがあります。データ消去サービスは、これらの利用シーンにおいて、記憶媒体のすべてのデータを完全に消去する目的で利用されるサービスです。

2. 消去可能な機器

データ消去サービスを利用してデータ消去が行われる主な機器には下記のようなものがあります。

  • パソコン (内蔵HDD/SSD)
  • サーバー機器
  • ストレージ (外付けHDD/SSD)
  • ネットワーク対応HDD (NAS)
  • フラッシュメモリ・SD/CFカード
  • 磁気テープ媒体 (DAT、LTO、カートリッジ他)
  • 記録ディスク (フロッピーディスク・光ディスク・DVD・光磁気ディスク)
  • 各種ネットワーク機器

データ消去サービスの原理

データ消去サービスは、専用ソフトウェアなどを用いたソフト消去、強力な磁気によってデータを消去する消磁消去、機械的な破壊によってディスク・機器を破壊する物理破壊などの方法でデータの消去を行います。

1. ソフト消去サービス

ソフト消去サービスでは、専用ソフトウェアを用いてハードディスクの全領域に無意味なデータを上書きすることで既存のデータを読めないようにします。論理消去と呼ばれる場合もあります。

機器・ハードディスクの再利用が可能であり、物理的な破壊を伴わないので環境にも優しいことが特徴です。ただし、ソフトウェアに対応していない機器では行うことができません。

2. 消磁消去サービス

消磁消去サービスは、専用の消磁装置を用いて直流強磁場を瞬間照射することによって、ハードディスクに記録された磁気データを完全に消去するサービスです。

消去ソフトウェアに対応しない故障機器やソフトウェア対象外機器でも消去可能ですが、ハードディスクの再利用はできなくなります。磁気消去サービスと呼ばれる場合もあります。

3. 物理消去サービス

物理消去サービスは、専用の加圧装置やドリルを使用し、記録媒体を変形・損傷させて物理的に破壊するサービスです。

再使用はできなくなりますが、媒体の容量に関わらず一定時間で作業が完了することや、機器動作に関わらずデータ消去が可能というメリットがあります。

データ消去サービスの種類

データ消去サービスは、機器が設置されている場所に作業員が訪問して消去作業を行うオンサイト型と、消去機器媒体を送付して消去を依頼する送付型に分かれます。オンサイト型は、送付時のトラブル・配送事故による流出リスクを抑えたい場合や、機器の送付が難しい場合などに有効です。

どのサービスでも基本的に消去証明書が発行されますが、事業者側での証明書だけでなく第三者認証のデータ消去証明書の発行が可能な場合もあります。また、消去サービスの中には消去と合わせて買取・廃棄を受託しているものもあります。

LED看板

LED看板

LED看板とは、LED光源を用いた看板製品です。

LED看板は、文字や絵柄を書いた看板を後ろから照明で照らすものをはじめとして、メッセージボード、ネオン管、LEDを用いたディスプレイに広告を掲載するものなど、多種多様です。チャンネル文字にLEDを内蔵させて光らせたものはLEDサイン、LEDチャンネル文字と呼ばれる場合もあります。

LEDを用いることから視認性が高く、従来型の電飾看板に比べて省電力・低コスト・長寿命という点が長所です。

LED看板の使用用途

LED看板は、商業施設や飲食店、安全保安に関する看板、広告など、様々な用途で使用されています。主な用途例は下記の通りです。

  • 飲食店や商業店舗における店頭看板・店頭案内板
  • 病院・クリニック看板
  • アミューズメント施設の看板
  • 各種宣伝・広告
  • 安全保安に関する看板・指示案内板・各種標識
  • ルームプレート
  • 展示会やショールームの装飾

LED看板の原理

1. 一般的な仕組み

LED看板は様々な種類がありますが、LED光源を用いて光らせるという点は共通です。一般的な内照式看板では、看板の内側にLED照明を設置し、絵柄や文字が書かれた看板パネルを後ろから照らします。外照式看板は、看板の外側に光源などを設置しLED看板を照らす仕組みです。

また、チャンネル文字と呼ばれる箱文字看板は、箱状の文字の中にLEDモジュールを設置して光らせる仕組みです。金属製の箱文字は表面から光を通さないため、表面からは発光せず、光が壁に当たるバックライトになります。一方、アクリル樹脂など表面に光を通す素材を使用すると、表面が発行する文字看板となります。

その他では、デジタルディスプレイを用いて静止画や動画を再生する看板もあります。これらもLEDを利用しているためLED看板と呼ばれることがあります。

2. LEDの特徴

一般的な照明の色合い (光色) のカテゴリーは、昼光色・昼白色・白色・温白色・電球色の5つです。しかしLEDでは、赤・黄・緑・青・白の5種類が発光でき、これらを組み合わせて用いられています。

また、LEDは従来の蛍光灯や電飾に比べて省エネルギーであり、電気代を抑えることができます。加えて寿命も長く、一般的な蛍光灯の約5倍ほどです。そのため、照明の交換やメンテナンス作業などのコストダウンが可能です。

LED看板の種類

1. 大きさ・形状

LED看板には、比較的小型の置き型製品や、店頭などの壁面に設置される大型の製品などがあります。置き型製品は、内側にLED照明を仕込んだ内照式看板や、動画や静止画を再生することができるデジタルディスプレイ/デジタルサイネージ式の看板などが中心です。

壁面に設置されるものには、内照式看板やデジタルサイネージの他、サイン文字やチャンネル文字が用いられることもあります。ネオンライト風の看板を再現できるLEDネオンライトは、鮮やかな発色で本物のネオン管のような外観を表現することができる看板です。

2. 屋内用と屋外用

屋内用LEDと屋外用LEDは特徴が異なります。例えば、屋外用LED看板は太陽光の影響を受けるため、屋内用LED看板よりも高い輝度が必要です。対して屋外用は、天候や気温の変化などにも耐えられるように高い防塵・防水性能を有します。

3. メッセージボード・サインボード

頻繁に書き換えるメッセージなどを掲示するためにLEDメッセージボードやLEDサインボードなどが用いられる場合があります。

LEDメッセージボードは、黒い樹脂板に蛍光ペンで書き込み、LEDの光で際立たせることが可能なメッセージボードです。周囲が明るいときには通常のブラックボードと同様ですが、暗くなるとLEDを発光させ目立たせることが可能です。

計測器管理システム

計測器管理システムとは

計測器管理システムとは、自社内に保有する計測器の分類、校正期日管理、持ち出し管理、予約管理などを一元的に担うことのできるシステムです。

計測器を適切に管理するためには、保有する計測器の一元的な管理による把握が必要です。計測器管理システムは、このような台帳管理とともに、購入実績や校正履歴、修理履歴、トラブル履歴、附属書類の管理など、履歴の管理を行うことができます。

また、校正計画と日常点検の実施など、予定事項についても管理することが可能です。

計測器管理システムの使用用途

1. 対応している計測器

計測器管理システムは、工場などで使用されている計測器一般の管理に対応しています。温度、圧力、力計、流量、長さ、電気などの各計測器に対応しており、具体的な例としては下記のようなものが挙げられます。

  • 機械計測機器 (ノギスやマイクロメーター、プラグゲージ、リングゲージ、ねじゲージ)
  • 角度計、圧力計
  • 抵抗や電流などを計測する電子計測機器・装置一般 (マルチメータ、電圧標準器、分圧器、標準電池、電流センサ、LCRメーターなど)
  • 秤量機器
  • 温度計 (抵抗温度計、放射温度計、など)、熱電対
  • 環境計測器
  • 流量計
  • 照度計・放射照度計

製造業一般で汎用される計器のほか、化学プラント系の圧力、流量、秤量や、炉の温度計・熱電対なども管理が可能です。

2. 導入目的・効果

計測器管理システムを活用して計測器情報を一元的に管理することにより、次のような効果が得られます。

  • 管理業務の効率化と管理コストの削減
  • 紛失防止
  • 遊休資産の削減・過剰購入の抑制
  • 計測器運用効率の向上
  • 計測器予約機能を活用し、社内の計測器の共用利用を促進
  • 把握した利用状況の情報から、最適な計測器の調達・運用・管理

また、ISO9001では、検査、測定及び試験機の管理において次のような項目が要求されており、計測器管理システムはこれらの遵守に役立っています。

  • 必要な正確さと精密さを持つ測定器を選択すること
  • 使用する計測器が、使用頻度に応じ規定した間隔で校正、調整されていること
  • 合格していることの根拠となる記録を作成し、維持していること

計測器管理システムの原理

計測器管理システムには、主に下記のような機能が搭載されています。

  • バーコード・ICタグを用いた棚卸し
  • 持ち出し・貸出・返却時のステータス管理
  • 利用予約
  • 校正結果・履歴、修理履歴、稼働率、の把握
  • 校正期限のスケジュール管理・リマインダーアラート
  • 月次、年次校正スケジュールの作成
  • レポート作成
  • 校正費用の管理
  • 取扱説明書・校正手順書の管理
  • 廃却記録

計測器管理システムで一元的に台帳管理を行うことにより、計測器の保有数や保有種類の適正な管理が可能です。また、校正期限・スケジュールを自動管理することにより、使いたい計器が校正切れになっているシチュエーションを防ぐことができます。

また、計器回収を指示する回収指示書の自動発行や、校正手順書・計測器説明書など付属書類の一元管理も可能です。

計測器管理システムの種類

計測器管理システムは、様々なシステム製品が提供されています。それぞれのシステムで特色ある機能が搭載されています。

例えば、持ち出し記録の入力方法では、QRコード、バーコード、ICタグなどがあります。発行・登録は簡便で、持ち出し・返却はスキャンするだけです。工場マップをシステム内に読み込んでマッピングを行うことができるシステムも有ります。特に、ICタグを用いているシステムでは、紛失防止のための位置管理にも有効です。

多くのシステム製品でクラウド型管理が可能です。Webブラウザのみで操作が完結する製品もあります。また、一部の製品では、基本機能を無料で使用することができ、追加料金にて予約機能などの拡張機能を使用することが可能です。

倍速チェーンコンベヤ

倍速チェーンコンベヤとは

倍速チェーンコンベヤとは、搬送速度がチェーン速度の約2.5倍となるチェーンコンベヤです。

倍速チェーンコンベヤは、小径ローラと大径ローラを組み合わせた構造であり、大径ローラが小径ローラの回転に同期することにより、チェーン速度の約2.5倍で搬送することが可能となっています。

チェーン自体の速度を低速にすることができるため、エネルギー消費を抑えることができ、低騒音でアキュムレートが可能です。

倍速チェーンコンベヤの使用用途

倍速チェーンコンベヤは、製造業における様々な効率的な搬送において活用されています。

例えば、コンベアフレームにストッパ機構や位置決め機構を取り付けることにより、フリーフローラインのメインコンベアとして、ラインを構成することが可能です。 特に、コンベアとの接地面が平らなワーク (パレット、トレイ、コンテナなど) のアキュムレート搬送に適します。

溶接機やプレス機などの装置への供給と排出部分にも倍速チェーンコンベヤが使用されています。また、コロコンローラの置き換えに倍速チェーンコンベヤを使用すると、手動搬送を自動化して任意のタイミング、位置での供給が可能です。

その他活用例には下記のようなものがあります。

  • 幅広ワークの搬送
  • パレット搬送
  • 装置間の専用パレット
  • 冶具の搬送
  • フリーフロー搬送

倍速チェーンコンベヤの原理

1. 特徴

倍速チェーンコンベヤは、大径ローラの外側に小径ローラが同じ軸になるように組み合わせられた構造です。大径ローラと小径ローラの間に摩擦力がはたらくことにより、2つの両者が同一回転となる特徴があります。

半径の比は概ね1:1.5ですが、搬送速度がチェーン速度の約2.5倍になります。ワークとコンベアの接地面がローラであるため、ベルトコンベアに比べて、アキュムレート時にワークに傷がつきにくいです。

重量物の搬送・アキュームレートも可能です。例えば、50番手の場合、1メートルあたりの搬送重量は樹脂ローラで160kg、スチールローラで320kg、最大約700kgまで搬送できます。尚、搬送物が軽量すぎる場合 (概ね1kg以下) では、倍速効果が得られない場合があります。

2. 計算式

搬送速度がチェーン速度の約2.5倍になる具体的な計算は次のようになります。

チェーン速度をν、搬送速度をVとすると、小径ローラ外周の周速度はνです。大径ローラと小径ローラの角速度は等しくなるため、小径ローラと大径ローラの半径をそれぞれr、Rとすると、半径の比より計算して大径ローラ外周の周速度は(R/r)×νと求められます。

このとき、

搬送速度 V=(R/r)×ν+ν=(R/r+1)×ν

であり、半径の比、R/r≒1.5を代入すると、

V≒(1.5+1)ν≒2.5ν

となります。

倍速チェーンコンベヤの種類

倍速チェーンコンベヤは、様々なローラサイズ・ローラ材質・チェーン材質の製品があります。用途に合わせて柔軟にカスタマイズすることが可能です。

コンベヤ端は安全カバーで保護することで挟まれ・巻き込まれを防止することができます。隙間をカバーしてボルト・ナットなどのかみ込みや落下を防止するカバーなど、様々なアクセサリを利用してカスタマイズすることが可能です。

1. チェーン材質

倍速チェーンコンベヤのチェーンには、スチールチェーン、コーティングチェーン (HCP仕様) 、ラムダチェーン、ステンレスチェーンなどが用いられます。

HCP仕様は、硬質クロムめっき加工が施されており、クリーンルームなどのサビを嫌う用途でも使用が可能です。ステンレスチェーンは、非磁性・耐食を必要とする場面に用いられ、ラムダ使用のチェーンは給油できない (しない) 際に活用されます。

2. ローラ材質

倍速チェーンコンベヤで用いられるローラ材質にはエンプラローラ、ウレタンローラ、スチールローラなどがあります。エンプラローラには、汎用ローラの他に高摩擦ローラ、導電ローラ、導電高摩擦ローラなどの小分類があります。

エンプラローラは、低騒音が特徴で、無給油での使用も可能です (長期間の使用の場合は要給油) 。高摩擦タイプは、立ち上がりが素早いことが特徴です。ウレタンローラは、搬送物の直乗せができます。スチールローラは、給油が必要で湿潤雰囲気下で錆びる性質があるものの、高負荷での使用に向いています。

ハンドドライヤー

ハンドドライヤーとは

ハンドドライヤーとは、洗ったあとの手を風の力で非接触的に乾かすための装置です。

主に不特定多数の人が利用する商業施設、飲食店などのトイレに使用されていることが多いです。ペーパータオルなどと比べてコストが低く、速乾性も高いという特徴があります。

ハンドドライヤーの使用用途

ハンドドライヤーは、様々な施設の手洗い場 (主にトイレ内) において、清潔性向上や利便性向上のために設置されています。

ペーパータオルや布ロールタオルなどの設備に比べて維持費を抑えることができ、またタオル補充・交換などの手間も無くなります。また、ペーパータオルでは紙ゴミが出てしまいますが、ハンドドライヤーでは廃棄物が出ないため、環境保全にも効果があります。

導入されている主な施設には下記のようなものがあります。

  • 飲食店
  • 商業施設・百貨店
  • オフィスビル
  • 公共交通機関
  • 医療機関
  • 福祉施設
  • 食品工場
  • 学校給食施設
  • 幼稚園・保育園

ハンドドライヤーの原理

ハンドドライヤーは、差込口に手を入れるとセンサーが反応し、風を吹き出して手を乾かすことができる仕組みです。動作機構には弱い温風で水を蒸発させて乾かす温風式や、高速の風で水を吹き飛ばすジェット風式 (高速風式) などの種類があります。

温風式ハンドドライヤーは、乾燥に約30~40秒かかるのに対して、ジェット式ハンドドライヤーは約5~9秒で乾燥させることが可能です。ジェット式ハンドドライヤーにも、風を吹き出すだけの標準的なものの他に、吸引式と呼ばれる奥側で風を吸引するタイプの製品もあります。

標準的なジェット式ハンドドライヤーは、製品の横側から手を差し入れて上部へ手を引き出しながら乾かす動作を繰り返しますが、吸引式は製品上部から手を差し入れ、ゆっくり手を引き出して手を乾かします。吸引式は水滴や風が吸引されるため、水滴や風が飛び散りにくい特徴があります。

ハンドドライヤーの種類

ハンドドライヤーは、様々なシーンで利用されており、多様な製品があります。用途や利用シーンに応じて、適切なものを選ぶことが重要です。

1. 大きさ

大きさでは、ごく普通の大きさの製品のほか、薄型の製品もあります。設置場所のスペースが限られている場合に有効です。製品によっては洗面カウンターへ埋め込み設置することも可能です。一方、乾燥時間重視で乾燥力が高いパワフルな製品は、比較的標準的な大きさをしている場合が多くなります。

また、製品自体の形状が異なるコンパクトな製品もあります。こちらは、個室型トイレや多目的トイレなど、比較的小規模なトイレに採用されることが多いです。

上記の業務用ハンドドライヤーは基本的に壁付け設置ですが、洗面カウンターの上に設置することができる更に小型の家庭用製品も提供されています。

2. 機能面

ハンドドライヤーは、機能面では上述の通り温風式とジェット式とに分けられます。より短時間で乾燥させたい (利用人数が多いので速く回転させたい) 場所には、ジェット式が用いられることが多いです。ジェット式には、風を吹き出すのみの製品と、吸引式の製品があります。

尚、標準的な壁付けのハンドドライヤーでは手を挟み込むように両面から風が吹き付けられます。一方、コンパクトタイプは上からのみの送風ですが、手もみをすることで手にまんべんなく風を吹き付けられるため、素早く手を乾かすことが可能です。

また、高機能製品では殺菌灯を備えている製品や、設置空間の空気を24時間循環清浄する機能を持った製品も販売されています。

工場レイアウト設計

工場レイアウト設計とは

工場レイアウト設計とは、新規工場建設や改修工事などにおける効率的な工場設計、ライン設計、生産レイアウト設計などを行うサービスです。

効率的な生産活動のためには、各工程がスムーズに連携できる適切な工場レイアウトの設計が不可欠です。機械設備の配置だけでなく、ロボットや人の運用シミュレーションなど幅広いサービスが含まれ、自動化、人間工学的要件、資材配送戦略、生産率などの最適化が行われます。

工場レイアウト設計の使用用途

工場レイアウトは、新規工場建設や設備改修に伴うレイアウトの見直しなどの際に使用されています。具体的には、設備、機械、作業スペース・組み立てスペースなどの戦略的配置です。また、部品や原材料、仕掛品、完成品など、製品・部材の保管場所の配置も行われます。

適切なレイアウトを行うことで、製造効率の向上や従業員の移動距離短縮、製造リードタイムの短縮、コスト削減、中間在庫の削減などが可能です。その結果、従業員のモチベーション向上や製品品質向上、顧客満足度の向上などの波及効果を得ることができます。

工場レイアウト設計が行われている主な活用シーンには下記のようなものがあります。

  • 自動車製造工場
  • 金属加工工場
  • 家電製品工場
  • 飛行機工場
  • 船舶工場
  • 製鉄工場
  • セメント製造工場
  • ごみ処理施設などのプラント設備の改修工事
  • 工場の空調設備の改修工事

工場レイアウト設計の原理

1. 要点

工場レイアウト設計は、機械類の配置、保管場所の配置、作業スペースの確保、動線の設計など、様々な要素を複合的に考慮して行われます。例えば、機械類の配置においては、機械の可動域、発生する振動や騒音、機械の重量 (床の耐荷重) 、周辺作業員の安全確保などに留意して行うことが必要です。

具体的には設計作業には、描画ツールやCADなどが用いられる他、生産シミュレーションシステムが用いられる場合もあります。

2. 代表的な工場レイアウト

工場レイアウト設計で用いられる代表的な工場レイアウトには下記の4種類があります。

  • ジョブショップ型 (機能別レイアウト)
  • ライン型 (フローショップ型/製品別)
  • セル型 (グループ別レイアウト)
  • 据え置き型 (固定型レイアウト)

ジョブショップ型は、似た機能をもつ機材や設備をまとめて配置する多品種少量生産向きのレイアウトです。例えば、切断加工機器、組み立て機器、塗装機械などをそれぞれカテゴリごとにまとめて設置するようなレイアウトが該当します。

ライン型は、製品別に製造工程に沿って機器、設備を配置するレイアウトです。少品種大量生産に適しています。工程の自動化が容易である一方、手順変更や生産量の調節は難しい傾向にあります。

セル型は作業員の配置を中心として、必要な設備を配置する工場レイアウトです。作業員の手の届く範囲で製造が完結する、小さい製品の製造に適しています。

据え置き型は、飛行機、船舶など、移動が困難な大型製品の周囲に機器、設備を配置するレイアウトです。

工場レイアウト設計の種類

工場レイアウト設計サービスは、様々な企業より提供されており、それぞれ独自の特色を持ちます。一般の機械系2D CADや汎用2D CADの他、工場レイアウト検討専用の支援ツールを用いるサービスもあります。

例えば、工場レイアウト用の設備ライブラリがデフォルトで用意されているものではコンベア、フォークリフト、安全柵などの設備ライブラリを一から設計することなく使用することが可能です。シミュレーション技術を用いて、仮想空間上で様々なレイアウト案の試作が行われます。

また、新規建設ではなく、既存施設の改修設計等の場合は、現況建物の診断サービスなどが含まれる場合もあります。

カテーテル

カテーテルとは

カテーテルとは、医療用チューブのうち、特に患者の体内に挿入して使用されるものです。

具体的には、経管栄養用カテーテルや、静脈内カテーテル、血管造影、心臓治療や脳血管治療に用いられるカテーテルなどがあります。人体内部に挿入することから、径の大きさは数mm前後と極めて細いチューブが用いられます。生体適合性が高く、屈曲性に優れた柔らかい樹脂素材が用いられることが一般的です。

カテーテルの使用用途

カテーテルは、患者の体内に挿入して検査や治療などを行う細いチューブです。主な用途には次のようなものがあります。

1. 経管栄養用カテーテル

口から栄養を摂取することが難しい場合、経管栄養が行われます。経管栄養とは、チューブやカテーテルなどを用いて、胃や腸に直接栄養剤や水分を注入する栄養補給法です。

経管栄養用カテーテルには、食道瘻カテーテル、胃瘻カテーテル、経鼻カテーテル、空腸瘻カテーテルなどがあります。

2. 静脈内カテーテル・中心静脈カテーテル

静脈内カテーテルは、腕や首などにある静脈に挿入するカテーテルです。その中でも心臓近くの太い血管 (中心静脈) に留置する静脈内カテーテルを、中心静脈カテーテルと呼びます。

中心静脈カテーテルは、腕や首、大腿などの血管から挿入し、点滴や注射、採血、静脈圧測定などを行うために使用されます。また、経口摂取や経管栄養が難しい場合に、栄養液を点滴するケースもあります。

3. 血管造影検査・心臓カテーテル

血管造影検査とは、カテーテルを血管内に挿入して血管内や心腔内の血液の状態を検査したり、造影剤を急速注入して血液の流れや心臓の動きを動画撮影したりする検査です。特に心臓のカテーテル検査は「心臓カテーテル」と呼ばれます。

心臓各部分の圧力の測定、血液の中の酸素量の測定のほか、造影剤を使って心臓の動きや大きさ、欠損孔の有無などを評価する検査が可能です。

また、カテーテル治療では、流れの悪くなった血管の拡張、閉塞血管の開通や、異常血管を塞ぐ治療などの治療が行われます。開胸・開腹手術に比べて低侵襲であり、負担が少ないというメリットがあります。

カテーテルの原理

カテーテルとは、体内に挿入することができるごく細い医療用チューブです。素材はシリコン、PTFE、ナイロンなど、生体適合性 (人体がチューブの素材に対して異物反応や拒絶反応を起こすことがなく、人体に対して安全に使用できる) の高い素材が用いられます。また、柔軟性があり、耐屈曲性にも優れた素材であることが必要です。

用途に応じて、太さは1~10mm程度、長さは数cm前後から2m近くまで様々なものが用いられます。末梢の血管に挿入するカテーテルは短いものが用いられますが、例えば心臓カテーテルは太ももの付け根や腕の血管から心臓まで挿入されるため長いものが必要です。

検査用のカテーテルは造影だけですが、治療用のカテーテルは中にガイドワイヤーやバルーン、ステントなどを通すため、治療用には検査用より少し太いものが用いられます。

例えば脳血管治療では、直径2㎜程度のガイディングカテーテルと呼ばれる太めのカテーテルを挿入してから、ガイディングカテーテルの中に直径0.5㎜程度のマイクロカテーテルと呼ばれる細いカテーテルを通して治療を行う場合もあります。

カテーテルの種類

カテーテルには用途に応じて様々な種類があり、多様な素材・太さ・長さ・形状の製品が提供されています。

血管内カテーテルに用いられる素材は、ポリエステル、ポリウレタン、PTFE (ポリテトラフルオロエチレン) ナイロンなどです。ナイロンとウレタンを混合したポリマーアロイが用いられることがあります。また、先端形状記憶性の機能を付加した製品では、目的部位への挿入がより容易です。

尿を排出するための膀胱留置カテーテルには、バルーンのついたカテーテルが使用されます。ラテックスアレルギーに配慮して、素材にはシリコンや熱可塑性エラストマーが使用されていることが多いです。

その他、経管栄養にもそれぞれの用途に応じた専用のカテーテルが使用されています。経鼻カテーテル、胃瘻カテーテルを始めとしてそれぞれの用途に適したカテーテルを使用することが重要です。

医療用チューブ

医療用チューブとは

医療用チューブとは、臨床において様々な検査・処置に使用されているチューブ製品です。

柔らかく曲げ伸ばしできる樹脂製のチューブや、注射針として用いられるステンレス製のチューブなどがあり、多種多様な製品が販売されています。

医療用チューブのうち、特に患者の体内に入れて使用するものはカテーテルと呼ばれており、圧や流量の測定、血液・体液の採取や排出、検査、カテーテル治療等に使用されます。医療用チューブは、生体反応性が少なく (生体適合性が高い) 、耐薬品性・低薬剤吸着に優れた素材で製造されることが一般的です。

医療用チューブの使用用途

医療用チューブは、臨床治療における様々なシーンで利用されています。輸液・薬液をはじめとする薬品類や、血液・排液・排尿などの体液、酸素吸入用酸素を流す用途で使用したり、カテーテル治療など体内に留置する用途で使用したりすることが一般的です。

1. ステンレスチューブ

ステンレスチューブは、主に下記のような用途で使用されます。

  • 注射針 (注入針、薬液移注射、採取針、ガイド針、カプセル穿刺針など)
  • 吸引ノズル
  • 耳鼻科用ノズル
  • 拡管付カヌラ

2. 樹脂チューブ、シリコンチューブ

医療用の樹脂チューブやシリコンチューブは、柔軟性があり、耐屈曲性に優れています。

主な用途には下記のようなものがあります。

  • 輸液 (点滴) ・薬液・麻酔・補栄養液などの注入用チューブ
  • 輸血用チューブ
  • 酸素医療用チューブ
  • 排液用チューブ (ドレナージ)
  • 気管内チューブ (挿管チューブ)
  • 経管栄養用チューブ
  • 導尿用チューブ (排尿カテーテル)
  • 血液検査用のチューブ
  • 点滴針用プロテクターチューブ
  • ガイドワイヤー保護用チューブ
  • 血管造影用チューブ
  • 内視鏡治療用オーバーチューブ
  • カテーテル治療用 (心臓カテーテル治療、脳血管内治療)
  • 血管縫合用人工血管チューブ

医療用チューブの原理

医療用チューブは、薬品を扱う場合が多いことから、一般的に耐薬品性を備えた素材が使用されます。特に、チューブを通過する際に薬剤がチューブ表面に吸着すると投薬の信頼性が下がってしまうため、投薬用にはなるべく薬剤吸着性の低い素材が望ましいです。

また、医療用チューブには、生体適合性があることが求められます。生体適合性とは、人体がチューブの素材に対して異物反応や拒絶反応を起こすことがなく、人体に対して安全に使用できる性質です。

また、樹脂チューブには適度な柔軟性があり、耐屈曲性に優れています。そのため、曲げ伸ばしにも丈夫で扱いやすい特性を持ちます。内面は滑らかで摩擦が少ないため、スムーズな流体の移動が可能です。

医療用チューブの種類

医療用チューブは、用途・目的に応じて様々な径や素材の製品があります。主な素材は下記の通りです。

  • ステンレス
  • フッ素樹脂
  • ポリエチレン
  • ポリ塩化ビニル
  • ポリイミド
  • ナイロン
  • シリコン

このうち、ポリ塩化ビニル (PVC) は安価で透明性が高く、耐久性、耐候性、耐水性に優れている素材です。ただし、一部の薬剤がチューブ表面に吸着し、信頼性の高い投薬が難しくなる場合があることが指摘されています。

このような従来型医療用チューブの問題点を改善して、薬剤吸着性や可塑剤移行、環境負荷などに配慮されたチューブ製品の開発・販売が進められています。

1. ステンレス

ステンレスチューブは、錆びにくく強度があり、汚れや熱に強いことが特徴です。主に注射針などに用いられることが一般的です。

注射針の太さはG (ゲージ) という単位で表され、医療現場では、16G(外径1.6mm)~27G(外径0.4mm)の注射針が一般的に使用されます。ゲージの値が大きくなるほど、注射針が細くなります。

2. フッ素樹脂

フッ素樹脂チューブには、PFAやPTFAなどの素材が使用されます。フッ素樹脂チューブは極めて優れた耐薬品性が特徴で、強酸、強アルカリ、溶剤など、ほとんど全ての腐食性流体へ耐性を示します。また、非粘着性が高く、高粘度流体でも付着しないことも特徴です。

吊りクランプ

吊りクランプとは

吊りクランプとは、鋼材や石材をはじめとする重量物の吊り上げ、運搬、反転などを行うための吊具です。

鉄工や土木、建築などで使用される重量物の中には平鋼板や形鋼などのように、ワイヤやフックなどを掛けるところが無いものがあります。吊りクランプは、このような資材を吊り上げるときに使われる吊具です。

縦吊り用、横吊り用などの吊り上げ方で分かれている製品や、コンクリート用、鉄鋼用などの吊り荷別の種類で分けられているものなどがあります。

吊りクランプの使用用途

吊りクランプは、建築、土木、鉄工、造船、機械、運輸など、様々な分野において重量物を吊り上げるために使用されています。平鋼板や形鋼 (H形鋼、I形鋼、L形鋼) 、鋼構造物などを掴んで持ち上げます。

特に、フックなどを掛ける部分がないものを吊りあげる場合や、鋼板を水平に吊り上げた際に横滑りを防ぐ場合などに効果的です。

具体的な使用例には下記のようなものがあります。

  • 鋼板の縦吊り・水平吊り
  • 鉄骨の吊り上げ・反転・引き起こし
  • 重心が不明瞭な吊り荷の吊り上げ
  • コンクリート製二次製品 (U字溝・側溝・基礎ブロックなど) の吊り上げ
  • 木質梁の吊り上げ
  • 墓石の移動・設置
  • 建物外壁用パネルの吊り上げ

吊りクランプの原理

1. 構造と仕組み

吊りクランプは、吊り上げるものを挟んで掴むクランプ部分に、チェーンやワイヤーロープを掛けるための吊環が付属した形状をしています。

クランプ部分にはカムという可動式の歯がついており、カムと旋回アゴ (ジョー) でつり荷をつかみます。初期摩擦力を起こしてつり上げまたは引き起こした後、吊り荷の自重を利用して食い込ませてつり上げる仕組みです。

吊りクランプは、てこの原理を応用することで、吊り荷の重さよりも大きな力を掛けて吊り上げられるよう設計されています。一般的な縦吊りクランプで吊荷荷重1.6倍、横吊りクランプで吊荷荷重1.0倍の力で吊り上げることが可能です。

吊り上げたときのクランプの口の向きは、種類によって異なり、適切なものを選択することが必要です。

2. 使用上の注意

クランプは、吊り荷の大きさ・重さに合った適切なものを選択することが重要です。極端に小さすぎるものも、また、大き過ぎるものも危険です。また、使用荷重範囲内であっても極端に厚さが薄いものは吊ることができません。

次のような使用は、事故の原因となり、危険です。

  • 2枚以上重ねた状態の吊り上げ
  • 縦吊りクランプでの横吊り
  • 荷重が均等にならないような吊り方 (偏荷重)
  • 長尺物の1点吊り
  • つかみ部分が滑りやすい吊り荷の吊り上げ
  • 玉掛け作業の法定資格が無い者の使用

吊りクランプの種類

吊りクランプには吊り上げ形状や吊り荷に応じて様々な種類があります。吊り上げ形状別の主な型式は、縦吊り・横吊り・縦横兼用・ねじ式の4種類です。吊り荷種類では、鉄鋼用・コンクリート用・木質梁用・石材用・パネル吊り用などがあります。

1. 縦吊りクランプ

縦吊りクランプは、平板などを縦に吊る作業に適しているクランプです。吊り荷を吊り上げたときに、クランプの口が縦向きに下になるように使用します。主に平置きの鋼板を掴んで引き起こし・運搬・反転をする際に使用されます。一般的な容量は0.5~10トン程度です。

また、製品の中にはロックハンドルで吊り荷を掴んだカムをロックするものや、クランプを締め付けるストッパーが搭載されているもの、開放状態を保持できる開放ロック機構が搭載されているものなどもあります。

2. 横吊りクランプ

横吊りクランプは、クランプの口が横向き (水平向き) になるように吊り上げるクランプです。鉄骨などを横向きに掴んで吊り上げる用途で使用されることが多くあります。一般的な容量は0.5~5トンです。

3. ねじ式クランプ

ねじ式クランプは、カムの代わりにねじで吊り荷を挟んで固定するクランプです。ねじの先端や半球状のカムにより、強力にクランプします。

重心が不明瞭な吊り荷や、建物の支柱などに固定して物を吊り下げる際に効果的です。鉄鋼材料などに使用され、一般的な容量は0.5~5トンです。