天板加工

天板加工とは

天板加工とは、木材をテーブルやカウンターなどの天板として使用する際に必要となる加工です。

天板には、天然木の一枚板や、集成材、表面にカラーのメラミン板を貼ったものなど、様々な種類があります。板材を天板製品として加工する作業には、板材をフラットに加工する平面加工や、製品の形に切断する加工、側面を滑らかにする加工などがあります。

天板加工の使用用途

天板加工で製造される天板は、様々な家具製品に使用されています。

  • 学校用机
  • ダイニングテーブル
  • 商業施設のテーブル
  • カフェテーブル
  • ローテーブル
  • テレビボード
  • 各種カウンター・棚

こうした家具製品は、家庭用や教育施設用の他、食堂施設、コンビニのイートインコーナーや商業施設などのキッズスペース、オフィスの打ち合わせスペースなど、多様な分野で使用されます。

天板加工の原理

天板に使用される板材は、無垢材、集成材、積層材、繊維材などです。使用する板材に合わせて適切な加工を行い、また、製品の天板サイズに合わせて適切なカット・成型を行います。天板エッジの加工は、見た目の印象を左右し、肌や物への当たりを柔らかくして安全性を向上させる効果があります。天板隅のR加工には様々な形状があります。

1. 無垢材

無垢材とは、切り出した木材をそのまま一枚板の板材として使用するものです。無加工の一枚板は木の特性やその木材の置かれていた環境によりねじ曲がったり、でこぼこしているため、天板として使用するには平面加工を施すことが必要です。平面加工の工程では大型のプレーナーサンダーなどを使用して、一枚板を裏表から削り出し、フラットに仕上げます。

2. 集成材・積層材・繊維材

集成材とは、小さな寸法に切り出した小さな角材や挽板を、寄木のように接着剤で固着して再構成した材木です。

積層材は、薄めの挽板を何層か重ね合わせて作られた合板です。単板であるベニヤを積層して成型されます。木目を90度互い違いに熱圧接着して積層することにより、強度を高めることが可能です。

繊維材とは、木材チップやおがくずなどを一度細かな繊維の状態にしてから接着剤などで圧着加工した板材です。他の木材と比較して軽量に仕上がり、安価に入手できるため幅広く利用されています。テーブル天板として利用する際は、表面がむき出しのままだと少しずつ剥離してきてしまうため、突板や化粧板による仕上げが必要です。

3. 化粧板加工

天板として使用される板材は、表面に仕上げ加工が施されます。一般的に、繊維材や積層材の板材には、表面に突板や樹脂化粧板などの化粧板が張られます。

突板 (つきいた) 仕上げとは、主に繊維材、積層材の板材に施される加工です。突板と呼ばれる0.2㎜~0.6㎜程度の薄いシート状の天然木板材を張ります。天然木の木目を生かした風合いになることが特徴で、樹脂化粧を施した板材との対比により、天然木化粧板と呼ばれることもあります。

樹脂化粧板とは、メラミンやポリエステルなどのプラスチック樹脂板を化粧板として板材に施す加工です。特に、メラミン樹脂は高耐熱性、高強度、表面が滑らかで清掃性が高いなどのメリットがあり、業務用のテーブル天板に一般的に使用されます。芯材には繊維材や積層材が用いられることが多いです。プラスチック樹脂のため自由度の高い彩色が可能です。

4. 塗装加工

無垢材や集成材の場合でも、表面に塗装加工を施すことが一般的です。無塗装のままでは、水シミや汚れ、小キズができてしまうため、塗装にはこれらを防ぐ役割もあります。天板に用いられる塗装は、主にウレタン塗装、オイル塗装、ラッカー塗装の3種類です。

ウレタン塗装仕上げは熱や水に強く、傷や汚れもつきにくい耐久性のある塗装です。最も一般的な塗装として使用されます。

オイル塗装は木の質感を最大限に活かした塗装で、高級感のある仕上がりになりますが、一方で水シミなどの防汚性には劣ります。

ラッカー塗装は木の質感を残しながら、傷や汚れをつきにくくした塗装です。ウレタン塗装ほどの強度はありませんが、オイル塗装よりは傷がつきにくくなっており、塗膜を張るのですべすべした感触になります。

無垢材、集成材のものが多いですが、カラマツなど強度の高いものであれば積層材の場合にも独特の風合いの天板が比較的安価に提供されています。

天板加工の種類

天板加工には、前項までに挙げた一般的なものの他、特殊なものもあります。例えば、天板に穴をくり抜いて植栽を設置することができるようにする加工や、学校の多目的教室などで使用される瓢箪型や台形型などの特殊形状の天板成型などが挙げられます。

また、帯鋸仕上げ、丸カンナ仕上げ、うづくりなどは、板材の木目や質感を活かす特殊な表面加工です。帯鋸仕上げとは、木材を丸太から製材する時に使用した帯鋸の切断跡を生かした加工であり、丸カンナ仕上げでは木目に対して直角方向にカンナ掛けすることで横から見ると波模様に見える仕上げです。多様な種類の天板加工があり、製品に合わせて使い分けられます。

学校内装

学校内装とは

学校内装とは、学校などの教育施設における教室を始めとする屋内の設備や意匠・装飾を整える内装サービスです。

学校内装の考え方は、小中学校などの義務教育に限らず、高校・大学、幼稚園・保育園や学習塾なども含めて幅広く取り入れられています。安全かつ機能的で、過ごしやすく学びやすい環境整備が行われており、特に木材を取り入れた内装づくりが多く行われています。

学校内装の使用用途

学校内装は、学習環境に特化した内装設備で、学校をはじめとして様々な教育施設で取り入られられている内装施工です。

  • 小中学校
  • 高等学校
  • 大学
  • 幼稚園・保育園
  • 学習塾・予備校

これらの施設では、通常の教室のみならず、理科室などの特別教室や、また、体育館や、廊下・昇降口などにも学校内装の工事施工が行われています。過ごしやすく、安全で学びやすい学習環境づくりを目的としています。

学校内装の原理

1. 概要

学校内装は、児童・生徒の学習・生活の場としてふさわしい環境整備を行う内装工事です。安全性、快適性、健康面の配慮が重視されます。また、特に小学校を中心として、多様な学習形態への対応が必要となっています。これらの環境を実現するために、具体的には、教室の広さや、空気・熱、光、音などについて、配慮・工夫が必要です。

また、学校教育には、他者や環境との社会的な関わりの中で精神の成長を促すことや、基本的な生活習慣の確立と、社会生活を送る上での規範意識を身に付けさせる役割もあります。このような学習活動を支える空間として、児童生徒同士の交流を生む空間や豊かな芸術空間などの構築が必要とされる場合もあります。

また、運動を通じて体力を養い、身体の成長を促すことも学校教育の目的の一つです。日常的な体力づくりを行うための体育館などの運動施設や、食育を充実させるための空間なども学校内装における役割に含まれます。

2. 学校内装における木材利用の推進

学校内装における木材の利用が進められています。木材は、温かみのある意匠性を持つと共に、室内の湿度変化を緩和さ せ、ブルーライトなどの目に負担をかける光を吸収するなど、室内環境を快適に保つ機能があります。特に、内装材として木材を使用することにより、風合いと快適性に優れた教育環境づくりが可能です。また、木材を活用することで、脱炭素化や森林の保全、地域の文化の継承、地域の活性化などにも繋がります。

文部科学省でも、昭和60年に各都道府県教育委員会教育長宛に「学校施設における木材使用の促進について」という通知文を発出しており、防火対策を考慮した上での木材利用を推進しています。

学校内装の種類

1. 概要

学校内装には、様々な内装材が使用されます。一般教室に用いられる内装材は、シート・パネル、木材などの床材や、クロス・シートなどの壁材、意匠性の高い壁材などです。特別教室には、それぞれの用途に合わせた内装材が使用されます。例えば、理科室には耐薬品性に優れた床材が使用され、音楽室や図書室には吸音材などが使用されます。玄関など、特に高い意匠性が求められる場合には、ルーバーなども使用される場合があります。

2. パーテーション (学校間仕切り)

廊下と教室を仕切る、パーテーション・学校間仕切りも内装材の一種です。木材利用推進の観点から、木製のパーテーションの利用が進んでいます。製品によっては、ロッカー等の家具とを一体化させることも可能です。また、木製であっても含浸加工による不燃処理を施したり、突板加工によって不燃仕様にしたりすることもできます。

代表的な国産材のスギ・ヒノキや、地域産材などの木材を利用することで、林業の活性化や地域環境の保護に貢献する効果もあります。

3. 防球格子戸

体育館などに窓を設ける場合は、人やボールが接触しないよう格子が設けられます。この防球格子戸にも国産材や地域材を利用した製品があります。木の温かみを感じさせながらも安全性と耐久性に優れた製品です。主には国産スギ無垢材が使用されます。スギ材は靭やかさに優れており、衝突したときの衝撃を和らげることが可能です。

抜き加工

抜き加工とは

抜き加工とは、抜き型を加工対象の素材に押し当てて素材を様々な形状にカットする加工サービスです。

プレス機械を用い、鉄・ステンレスなどの金属や、カーボン、ゴム、樹脂をはじめとする様々な板材を加工する手法です。

抜き加工の使用用途

抜き加工は、様々な産業分野において部品・部材の加工に使用されています。複雑な形状の加工にも使用することが可能です。各種ガスケット、カバー、シール、シム、スペーサー、パッキン、フィルター、その他の製品製造が行われています。使用されている産業分野には下記のようなものがあります。

  • 建築、建材分野
  • 電子機器分野
  • 車載機器
  • 医療機器
  • 農業機器
  • 発電機
  • ホビー関係

抜き加工の原理

1. 抜き加工に使用される素材

抜き加工に使用される素材には次のようなものがあります。

  • 金属: 鉄 (SPCC・冷間薄鋼板など) 、SUS材、アルミニウム材、真鍮材
  • カーボン
  • ガラス繊維
  • ゴム
  • 紙、パルプ、木材
  • 各種プラスチック樹脂 (PE、PET、フッ素樹脂など)
  • 防水・防塵シート

  • 粘着テープ

  • 放熱・熱対策材

抜き加工においては、一定の靭性がないと、素材がひび割れてしまいます。そのため、硬くてひび割れやすい素材には適していません。

2. 抜き加工の概要

抜き加工は、プレス機械を使用して材料の板材を抜く加工方法です。加工方法には大きく分けて2つの方法があります。

  1. 型と真っ直ぐな土台の間で材料を挟み込んで抜く方法
  2. 型と型で材料を挟み込んで抜く方法

1の土台を用いて抜く方法では、全層をカットするフルカットと2層以上の構造素材においてカットしたい層だけをカットするハーフカットが可能です。下記のような型が使用されます。

  • エッチング型:型材の不要部分を溶かし、残った部分でベース部分と刃物部分を作る。
  • トムソン型:木材や樹脂などの板材にレーザーで溝を作り、その溝に刃物を埋め込む。
  • 彫刻型:金属の塊を切削等で削り出してベース部分と刃物部分を作る

2の型と型で材料を挟み込んで抜く方法では、パンチ (突起) とダイ (穴) が対になった金型が用いられます。ダイ型を固定し、パンチ型が上下に動くことにより、1対の型で上下から素材を挟んで加工します。この方法ではハーフカットは出来ないため、フルカットのみの加工です。

抜き加工の種類

抜き加工には主に

  • 打ち抜き加工
  • 穴抜き加工
  • 縁切り加工 (トリミング加工)
  • ハーフ抜き加工(半抜き加工)
  • スリット(切込み)加工

などの種類があります。

1. 打ち抜き加工

打ち抜き加工とは、型を使い、金属板に圧力をかけて目的の形に打ち抜く加工方法です。製品部分は元の板材から完全に分離し、残った板材の部分はスクラップになります。

2. 穴抜き加工

穴抜き加工は打ち抜き加工と同様に型枠で板材をくり抜く加工方法ですが、打ち抜き加工とは反対にプレス機に残った板材の側が製品となる加工方法です。例えば、製品にネジを通すための穴を開けるなど、板材に穴をあけることを目的に用いられます。

3. 縁切り加工 (トリミング加工)

縁切り加工とは、整形された部品の縁をきれいに切り取り、形状を整える加工方法です。すでに成形されている商品を綺麗にする目的や、製品の大きさを調整する目的で用いられます。

4. ハーフ抜き加工(半抜き加工)

ハーフ抜き加工 (半抜き加工) とは、穴抜きを途中で止めた状態にして凸形状を作る加工方法です。他の抜き加工と違い、凹凸をつけるだけで板材をくり抜く加工方法ではありませんが、半抜き加工も抜き加工の一つに分類されます。

プレスを深くし過ぎると板材が切断されてしまったり亀裂が入ったりしてしまうため、綺麗に成形するためには技術が必要です。

5. スリット (切込み) 加工

スリット加工とは、一部が開いたドアのような形状の製品を作る際に用いられる加工方法です。抜かれた部分は分離しないように注意を払います。切り込みに合わせて曲げ加工も必要な加工方法であり、金属板と平行のパンチを使うことはできません。スリットの角度に合わせたパンチと、それと一対になるダイを使用するのが一般的です。

電鋳

電鋳とは

電鋳とは、電気鋳造の略語で、電解液中の金属イオンを母型の表面へ金属として電析させ、母型の表面上に金属被膜として成型する技術です。

電解めっき加工が対象物の表面に装飾、耐食性、機能を付与する表面処理技術であるのに対し、電鋳は、母型表面にめっき加工を施した後、母型を取り外してめっきされた電着物自体を独立した製品として使用します。電鋳は、精密電子部品をはじめとする様々な産業分野で活用されている技術であり、様々な金属製品が製造されています。

電鋳の使用用途

電鋳は、半導体、電子分野などの分野を中心に、広く産業一般で使用されています。電鋳を利用することで、機械加工や切削では作製できない高い寸法精度の製品製造が可能です。

例えば、

  • レコード原盤や光ディスクなどの成形用金型
  • 電気かみそりの刃
  • インクジェットノズル
  • ロケットの噴射ノズル
  • 導波管、冷却管
  • 航空機部品

などの製造に適用されています。

電鋳の原理

1. 電鋳の概要

電鋳の基本的な仕組みは電気めっきと同じです。電解液に陽極・陰極を浸して電気を流します。金属塩水溶液などの電解液を適性温度に維持して、陽極側に電鋳させようとする素材 (Ni・Cu・Au・Agなど) の金属を入れ、陰極側にステンレス等の母型を配置します。ここに電流を流すと、陽極側の金属が溶け出し、陰極側の母型の表面上に金属の被膜が形成されます。

電着したこの金属の被膜層を母型から剥離すると、母型と逆の形状の電鋳 (ネガティブ電鋳) が得られます。このまま用いることもありますが、このネガティブ電鋳の表面に適切な前処理を施してから、所要の厚さに金属を電着させて剥離する (転写法) と、母型と全く同じ形状の電鋳 (ポジティブ電鋳) が得られます。すなわち、ネガティブ電鋳を使って、同じ操作を繰り返すと、母型の複製を大量生産することが可能です。

2. 電鋳の特性

電鋳は、析出金属の種類やめっき浴の条件を変更することで、硬度をはじめとする物理的性質を調整する事が可能です。

加工精度が高いことも特徴の一つで、電鋳では0.01~0.1ミクロンの精度で面転写を行うことができます。母型との誤差が非常に小さいため、レザー模様、木目模様などの表面の微細な凹凸を忠実に再現することができます。また、継ぎ目のない容器やパイプを作製することも可能です。また、製品の形や大きさに関係なく、電鋳槽があれば製作を行うことができることも特性の一つです。

電鋳の種類

1. 剥離型電鋳と厚付け型電鋳

剥離型電鋳は、母型に金属を電着させ、剥離して製品とする電鋳の方法です。非常に薄いメッシュのような厚さのものから、数mm以上の厚いものまで様々です。

剥離型電鋳には、原型に剥離皮膜処理を行って電鋳を施してから剥離する転写法や、原型を一度型取りして、それを母型として使用する型取法などがあります。型取り方は、特に、原型が1個しかない美術工芸品や木、織物などに用いられ、型取りにはプラスチック、石膏などが使用されます。熔融除去法は、一度型取低温熔融合金やワックスで原型を作り、電鋳後、原型を熔融除去して電鋳殻を製作する方法です。

厚付け型電鋳とは、素地金属に直接厚く電着し、機械部品の補修や肉盛りをする場合に行われる電鋳です。通電めっきを長時間行い電着層を厚くします。多量生産ではなく、電鋳が1回で終わるものが多いです。肉盛り、電鋳被覆、電鋳組立て等に応用されます。

2. 製品の種類

電鋳技術によって様々な電鋳製品が製造されており、主に下記のような製品種類があります。

  • メタルマスク (はんだボール搭載用、印刷用、蒸着用)
  • 有機ELディスプレイパネル蒸着用高精細ハイブリッドマスク (FMM)
  • はんだバンプ付きウエハ
  • 転写リードフレーム
  • インクジェットプリンタ用ノズル・フィルタ
  • 電子部品用金型
  • マイクロマシン用部品 (マイクロギヤ、マイクロワッシャー、構造部品)
  • エンコーダー用光学スリット板
  • はんだボール吸着用ヘッド
  • 精密位置決め治具
  • 回析格子

学校家具

監修:帝国器材株式会社

学校家具とは

学校家具とは、学校をはじめとする教育機関向けに設計された家具です。

学校用家具、スクール家具と呼ばれる場合もあります。学校家具には、生徒・児童用の机・椅子、大学の講義室用連結机・いすの他、理科室などの特別教室用の実験台や調理台、教卓や配膳台、収納家具などが含まれます。

学校家具の使用用途

学校家具は、小中学校、高校、大学をはじめ、塾やフリースクール、放課後学童保育、その他各種教育・研修施設で使用されています。

普通教室用の生徒用机・椅子として使用される他、理科室、図工室、美術室、技術室、家庭科室などの特別教室にもそれぞれ専用の学校家具が使用されます。大学の講義室などで使用されている固定式の机・椅子も学校家具の一種です。ロッカー・下駄箱などの生徒用収納としても学校家具は使用されています。

また、生徒用の家具だけでなく、教員用の教卓、職員室用の家具も学校家具の一種です。

学校家具の原理

1. 学校家具の定義

文部科学省の定義するところの学校家具の種別は下記のとおりです。

  1. 普通教室用机・いす
  2. 特別教室用実験台・いす
  3. 講義室用連結机・いす
  4. 収納家具
  5. 管理諸室用家具

これらについて、それぞれJIS規格が定められ、時代とともに見直し・改訂が行われました。特に、普通教室用机・いすは、1966年に旧JIS規格が制定されており、その後1999年に新JISと呼ばれる規格に更新されました。

例えば、机の天板寸法は、従来は60cm×40cmの1種類でしたが、新JISでは机の奥行きは45cm以上と定められており、70cm×50cmなどの大きな天板も規格に含められるようになりました。教科書の大型化や、ICT教材の使用など、時代の要請に合わせて制定されています。

尚、特別教室用、すなわち、理科室、図書室、家庭科室、図工室、美術室、視聴覚教室、音楽教室などの家具については、旧JISで定められていましたが、1999年の改正に伴い廃止されています。

2. 材質・つくり

学校家具については、

「机やいす,収納家具,ワゴン類,ついたて類等の学校用家具については、 (中略) 多様な学習形態に対応できるよう数量,材質,形状等を各室と一体的に計画することが重要」 (文部科学省 小学校施設整備指針 第4章 各室計画) 
とされています。

材質については、有害な物質の使用は望ましくないとされますが、それ以外は自由です。堅牢で機能的な金属製の家具もあれば、天然木の風合いを生かした木製の家具もあります。金属製の脚が使用された机や椅子であっても、国産材・地域材活用の取り組みから国内で育った木が机の天板や椅子の背座に使用されている場合もあります。

また、教育現場における情報機器の導入や、多目的スペースの活用など教育現場における変化・新しい学びのニーズにも対応した製品設計が活発です。教育機関での使用という性質から、どの製品も安全かつ丈夫で、学びやすく使いやすいよう、開発されてきています。

学校家具の種類

1. 普通教室用机・いす

学校家具の最も代表的な種類が、普通教室用の机・いすです。基本的に、大きさはJIS規格に従っていますが、素材や形状など実に様々なものがあります。金属脚に木製天板の机/木製背座の椅子の他、樹脂天板/背座の製品、全て木製の製品などです。金属脚の製品では、高さが変えられるようになっているものもあります。また、机といすが一体化している製品などもあります。

2. 特別教室用机・いす

理科室や家庭科室、図工室をはじめとする特別教室では、専用の実験台・美術机・調理台・工作台などが生徒・教員共に使用されています。機能的で使いやすく、教えやすく学びやすい、安全に配慮された設計の製品です。

また、図書室や、ラウンジ、食堂などもそれぞれ適切な家具製品が販売されています。

3. 講義室用連結机・いす

講義室用連結机・いすとは、主に大学などの講義室・講堂で使用されています。机といすが床に固定されており、席数を多く確保することが可能です。整然としており、スロープや階段状での配置も可能です。

いすの形状には、机と一体化している「座跳ね上げ式」のほか、いすの脚が机から独立した「独立脚式」、人の座る動作に合わせて座が動く「スイングアップ式」などがあります。

4. 収納家具

収納家具とは、ロッカー・下駄箱・書架をはじめとする、様々なものを収納するための学校家具です。最近では情報機器を学校でも使用することが多くなっており、タブレット収納庫・ノートPC収納庫なども学校家具として取り入れられています。

本記事は学校家具を製造・販売する帝国器材株式会社様に監修を頂きました。

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強化段ボール

強化段ボールとは

強化段ボールとは、パルプ原紙を用いることで強度が非常に高くなっている丈夫な段ボールです。

一般的な段ボールには古紙が使用されていますが、強化ダンボールは約95%以上パルプ原紙が使用され、木材並みの強度を発揮することができます。一方、木材に比べて重量は数分の1と非常に軽量であり、廃棄時には通常の段ボールと同様に古紙としてリサイクルが可能です。重量物の梱包、段ボールパレット、作業台やデスクなどの家具に使用することが可能です。

強化段ボールの使用用途

強化段ボールは、一般的な段ボールに比べて強度が高いため、下記のような様々な用途があります。

  • 一般的な梱包 (冷蔵品や冷凍品、青果物、小型機器など)
  • 重量物の梱包
  • 輸出梱包
  • 木箱の代替
  • 段ボールパレット
  • 子供の玩具、遊具
  • 展示台
  • 椅子などの家具
  • 災害時の避難所生活でのベッドや仕切り
  • 治具、生産補助具
  • 作業台

強化段ボール製の製品は、軽くて扱いやすく、また、使用後は通常の段ボールと同様に古紙としてリサイクルが可能です。強化段ボールの家具や遊具は、工具やねじなどを使用することなく簡単に組み立てることができ、扱いやすいことも魅力の一つです。

強化段ボールの原理

1. 強化段ボールの概要

段ボールは、表の紙 (表ライナー) と裏の紙 (裏ライナー) 、それに挟まれた波型の中芯原紙が接着剤で張り合わせられています。この中芯部分をフルートと呼び、フルートの形状には様々なものがあります。

一般的な段ボールには古紙が使用されますが、強化段ボールにはパルプ原紙が約95%以上使用され、一般ダンボールよりもライナーが強くて厚くなっています。ライナーは指で押しても凹まず、木材のような堅さです。一般的な段ボールよりも耐圧・破裂の強度、耐湿性・密封性能が高くなります。

また、強化段ボールは、フルートが2層、3層で作られており、強度は2層で一般ダンボールの450%、3層では一般ダンボールの700%を誇ります。このような特徴により、強度・耐荷重が高くなるため、強化段ボールは木材と変わらない強度を期待して使用することが可能です。

2. 強化段ボールのメリット

強化段ボールには

  • 軽量性
  • 環境配慮
  • 輸出の際に燻蒸などが不要
  • 組み立て・解体が簡単

などの優れた特徴があります。

強化段ボールは木材並みの強度を持つ一方で重量は木材の数分の1から1/3です。取り扱い易いだけでなく、輸送にかかる積載重量が下がるため、輸送手段の燃料消費を減らすことができます。また、木箱などに比べると容積も減るため、トラック1台あたりの積載量を増やすことができ、輸送コスト削減も可能です。

また、強化段ボールは処分時には古紙として回収することができるため、環境にも優しい資材です。製造・輸送・廃棄に係るCO2発生量を大幅に削減することができます。更に強化段ボールは、国際基準ISPM No.15の検疫規制に準じた輸出梱包材であるため、輸出の際にも検疫における燻蒸・熱処理の手間がありません。

家具などの組み立てにあたっては、工具などが不要であり、軽量なため、力の弱い人でも取り扱いやすいというメリットもあります。

強化段ボールの種類

強化段ボールは、様々な企業より製造販売されています。フルートの構造などによって形状にはいくつかの種類があります。通常の段ボールもフルートの形状にいくつかの種類がありますが、強化段ボールには強化段ボール用のライナーが使用されている点が大きく異なっています。また中芯にも強化中芯と呼ばれる中芯が使用されている場合が多いです。一般的な段ボールの中芯は120g/m2ですが、強化中芯では160g/m2強化や180g/m2強化、200g/m2強化とグラム数が大きくなっています。

構造は、一般的に、2層強化段ボール (AA・2Aフルート) と3層強化段ボール (AAA・3Aフルート) が主流です。2層強化段ボールはAフルート (5mm厚) を2層に重ねた構造であり、厚みは10mmです。3層強化段ボールはAフルートが3層になっており、厚みは15mmです。その他、Aフルート1層タイプも強化段ボールとして使用されることがあります。

段ボールパレット

段ボールパレットとは

段ボールパレットとは、フォークリフトやハンドリフトを使った荷物の運搬に使用されるパレットのうち、段ボール製のパレットのことです。

従来のパレットはプラスチック製や木製のものが主流でした。段ボールパレットは、強化段ボールで製造されているため軽量で扱いやすく、リサイクル性が高いため環境に優しいという特徴があります。不要になった際に処分しやすいため使い捨てのワンウェイパレットとして利便性が高いですが、十分な強度を備えることで繰り返し利用するリターナブルパレットとして使える製品もあります。

段ボールパレットの使用用途

段ボールパレットは、他の素材のパレットと同様に荷物の保管や運搬を行うために使用される部材です。リサイクル性が高いことから、ワンウェイ使用に特に向いており、医療・食品分野など清潔性の高い利用用途で重宝されることも多くあります。

倉庫などでフォークリフトやハンドリフトを用いた機械運搬や、保管時の荷役台、などに使用されることが多いです。その他、輸送用、海外輸出用、展示会用ディスプレイなどの用途もあります。一方で、紙であることから水分には強くないため、屋外での使用や湿気などには向いていません。

段ボールパレットの原理

段ボールパレットには、下記のような性質があります。

1. 軽量性

段ボールパレットは、非常に軽量であるため作業者の負担を軽くすることができます。重さは木製パレットの数分の1であり、片手で持つことも可能です。パレットの移動や積み替え時の取り扱いがしやすい資材です。空輸の場合は、荷物だけでなくパレットも総重量に含めて計算されるため、軽量な段ボールパレットはコスト削減に貢献します。

軽量性の一方、耐久性では、5t以上の耐荷重を誇る段ボールパレットもあり、重量物も含めた幅広い荷物の運搬に対応することが可能です。

2. 低コスト

段ボールパレットは、原料・加工費が安いため、木製パレットやプラスチックパレットよりも低価格であることが特徴です。

また、製造時には加工日数が短いのもメリットです。プラスチックパレットでは、パレット作成の為に専用の金型を作成する必要がありますが、段ボールパレットは金型を必要とせず製造でき、加工性が高いため、製造コストが低く済みます。

3. リサイクル性・環境配慮

木製・プラスチック製パレットは産業廃棄物に分類されるため廃棄時に費用が発生します。一方、段ボールパレットは古紙としてリサイクルすることが可能であり、処分の際に費用がかかりません。

また、段ボールパレットは、プラスチックや木製パレットに比べて、製造・輸送・廃棄に係るCO2発生量を大幅に削減することができる、環境配慮型の資材です。

4. その他

木製パレットなどと異なり、段ボールパレットにはささくれなどが発生しないという利点があります。また、段ボールパレットは、国際基準ISPM No.15の検疫規制に準じた輸出梱包材であるため、輸出の際も検疫における燻蒸・熱処理の手間がありません。

段ボールパレットの種類

段ボールパレットには、様々な種類があります。段ボールの高い加工性を活かして多様な成形加工が可能です。差込口はフォークリフトの種類に合わせた形状の種類があります。片面2方差し、片面4方差し、両面2方差し、両面4方差し、スキッド2方差し、スキッド4方差し、ハンドリフト対応などがあります。荷受け部分の形状も、トレー型や平型があります。

段ボールパレットの大きさは、一般的に長辺が800~1,400mm、短辺は800~1,400mm、高さは120~160mmの範囲です。前述の通り、加工性が高く、製造にあたって金型が不要なため、特殊サイズも比較的柔軟に製造可能な場合が多いです。耐荷重は製品によって異なりますが、1t、2t、5tなどがあり、重量物に対応しています。

また、段ボールの高い加工性を活かして、製品梱包とパレットが一体化した集合包装を行っているケースもあります。梱包の作業時間短縮や、輸送効率向上が可能です。

二軸押出機

二軸押出機とは

二軸押出機とは、シリンダー内で2本のスクリューを用いて樹脂などを溶融・混錬し、押し出す装置です。

 二軸押出機を用いて溶融した樹脂を押し出し、様々な形状で成形・冷却することでプラスチック製品を成型することができます。二軸押出機は単軸の押出機よりも混練性能が高く、二軸押出機を用いることで複数の樹脂や添加剤などをより均質に分散させることができます。二軸混練押出機と呼ばれる場合もあります。

二軸押出機の使用用途

二軸押出機は混練性能性能が特に優れていることから、押出成型の中でも難易度の高いポリマー加工 (流動性が低くて劣化しやすい樹脂素材など) などに使用されることが多いです。また、材料を着色したり、添加剤で改質したりするなど、複数の原料を配合・均一分散する用途に適しています。揮発分除去、化学反応などの処理操作にも使用されます。

主な用途はペレット造粒や、フィルム・シートの製造です。下記は具体的な使用例の一部です。

  • コンパウンドペレット (添加剤や顔料などを練り込んだ樹脂) などの造粒
  • 棒状の押出成形
  • EVAシート成形
  • 金型を使用する射出成型
  • 重合、解重合、化学的改質などのリアクタ
  • ABS湿粉など、ゴム関連の脱水乾燥

二軸押出機の原理

1. 二軸押出機の概要

押出機は、筒状のシリンダー (バレル) の中にスクリューが格納されている構造です。シリンダーは、周囲のヒーターによって熱せられており、機内に投入されたプラスチック原料が溶融します。二軸押出機は、スクリューが2本格納されています。このスクリューがモーターで回転することによって、樹脂がシリンダーのなかで溶融・混練させる仕組みです。シリンダーの回転によって樹脂材料は先端のダイス出口まで搬送され、押出によって成型されます。

2. 二軸押出機のスクリュー

スクリューには、二つの軸の回転が同じ方向の場合 (同方向) と、異なる場合 (異方向) があります。スクリューやバレル間の隙間を調整することで、剪断力や摩擦熱を調整したり、自己クリーニング性を高めたりすることが可能です。一般的に、スクリューの間の間隔が狭い方が剪断力や摩擦熱が上昇します。

二軸押出機のスクリューには、一般的に優れた耐摩耗性と耐腐食性を併せ持つ合金素材が使用されます。材質、形状、表面処理等は用途に合わせて設計されます。例えば腐食性の高い原料の生産にはステンレス鋼、コバルトやニッケル合金などです。ガラス繊維や金属粉によって摩耗が激しくなると予想される場合には、窒化処理などによる表面硬化処理や、合金工具鋼やハイス鋼など高硬度な材料が採用されます。

特に、二軸押出機の部材用に開発された特殊な合金素材を使用することにより、部品消耗が大きく改善し、部品の交換頻度を減少させることによってコストダウンを図ることが可能です。

3. 一軸押出機との違い

一軸押出機 (単軸押出機) と比較して、二軸押出機では、添加剤や充填剤 (炭素繊維、タルク、木粉など) などの異なる成分を均一に混練する操作に優れています。また、内部の材料流れが一軸押出機よりも複雑で、流れのパターンを数値シミュレーションで設計・計算することが難しいと言う特徴があります。

一般的に一軸押出機より二軸押出機の方が高価になります。

二軸押出機の種類

二軸押出機には様々な種類があります。例えば、スクリューだけでも、三条、二条、浅溝、深溝、超深溝と様々な形状の種類があり、用途に応じて使い分けることが可能です。スクリューの間隔も製品によって異なります。

動作機構による種類では、生産性を高めるために高トルクによる効果を取り入れた超高トルク型二軸押出機や、少量の材料開発に適している小型二軸混練などがあります。押出機内の複雑な流体挙動を解析する目的で、内部を可視化出来る押出機なども開発されています。

樹脂パーツ

監修:株式会社国盛化学

樹脂パーツとは

樹脂パーツとは、狭義では自動車に用いられる樹脂製の部品を指しますが、広義では樹脂で作られた部品類一般を指します。

自動車で使用される樹脂パーツにはエアロパーツやバンパーなどの外装パーツや内装材があります。用いられる具体的な素材は、PP樹脂、ABS樹脂やAES樹脂などの熱可塑性樹脂や、ガラス繊維強化プラスチック (GFRP) 、炭素繊維強化プラスチック (CFRP) などです。可塑性や素材の安価さなどから、自動車の樹脂パーツ以外にも様々な用途・分野で樹脂製の部品は使用されています。

樹脂パーツの使用用途

自動車に用いられる樹脂パーツには、

  • ワイパーの根本部分
  • ワイパーやフロントガラスの周辺部
  • タイヤハウスの周辺部
  • ドアミラー
  • バンパー
  • ルーフレール
  • スポイラー
  • 内装材
  • エンジンルームにおけるパワートレーン、エンジン、電子部品 (排ガス処理バルブ、キャブレータ、マニホールド
    、ECUケーブル、ランプソケットなど)

などの部品があります。これらの樹脂パーツは、車体の軽量化に貢献しています。

自動車以外では、樹脂パーツは各種機械部品、家電部品、電子部品、光学部品や、建築資材などの資材一般などに使用されています。樹脂の可塑性・加工しやすさや、素材の安価さが生かされる分野での使用が多い素材です。

樹脂パーツの原理

1. 加工性

樹脂パーツの原料素材であるプラスチックには、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があります。熱可塑性樹脂は加熱によって柔らかくなる性質を持ち、熱を加えれば何度でも成形加工可能です。一方、熱硬化性樹脂は最初の段階では加熱すると柔らかくなりますが、更に加熱すると硬くなります。そのため、熱硬化性樹脂は繰り返しの成形加工はできません。

2. 加工方法

樹脂パーツの製造・加工方法には、主に、成形加工・切削加工・3Dプリンターなどの方法があります。

成形加工とは、加熱によって溶融した樹脂を金型などに注入し、冷却や圧縮により固めて成形する方法です。

切削加工では、固めた樹脂を機械などで削って加工を行います。特に特殊な加工が必要な場合や何度も試作が必要な場合などに用いられる方法です。

3Dプリンタは、パソコンで作成した立体データをプリントする装置です。成形方法は複数有り、溶かした樹脂を吐出しながら積層したり、樹脂溶液をレーザーなどで硬化させたりする方法などがります。

3. 特性

プラスチックには、下記のような特性があります。樹脂パーツは、主にこうした特性を生かした用途で使用される素材です。特に軽量である特性を活かして、製品の軽量化を目的として採用される場合が多いです。

  • 軽量
  • 加工しやすく (可塑性) 、加工の方法も多い
  • 電気絶縁性に優れている
  • 腐食しにくい
  • 断熱性が高い

樹脂パーツの種類

1. 自動車部品

自動車に用いられる樹脂パーツには「樹脂パーツの使用用途」で挙げた各種外装材・内装材・エンジンルーム内のパーツなどがあります。

使用される樹脂素材の種類は、PP樹脂、PPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどです。熱可塑性プラスチックは加工が容易で熱による修復が可能であるという利点があり、強化プラスチックは強度と剛性に優れ、耐久性が高いという利点があります。

2. 自動車以外

自動車以外にも樹脂パーツは各種産業用途で部品として製造されています。ケーブル・ホースを保護するためのケーブルチェーンと呼ばれる部品や、各種パーテーション、コンテナなどの梱包資材やその部品などが挙げられます。樹脂成形されたケーブルチェーンは、複合連続一体成形品を採用することで滑らかで複雑な三次元方向の動きに対応する部品です。多関節ロボットや協働ロボットなど、ロボット配線に適しています。

家電部品では、電子レンジの部品、電磁調理器のコイルベース、ヘアドライヤーのノズルなどに活用されている部品素材です。電気・電子部品では、マイクロスイッチやコンデンサー、フォトインターラプターCDドライブやDVDドライブの光ピックアップベース、プリント基板、IC部品などにも樹脂パーツが使用されています。

本記事はワイヤーハーネス加工を行う株式会社国盛化学様に監修を頂きました。

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油吸着材

油吸着材とは

油吸着材とは、油による汚染が発生した場合に油を吸着させて清掃・除去を行うための清掃資材です。

油吸着材は、油を瞬時に吸着して内部に取り込み、水は吸着しません。土壌や河川、湖沼、海洋などにおいて油流出事故などが発生した場合に使用されます。ロープ状、マット状、粉状など、様々な形状の製品があります。

油吸着材の使用用途

油吸着材の主な用途の一つは、油による環境汚染時の清掃資材です。それ以外でも、油による転倒を防ぐ、排水に対して使用することで流出を防ぐなどの用途により、各種分野で使用されています。下記は、具体的な用途の一部です。

  • 池、湖沼、油水分離槽に浮いた油の吸着・回収を行う
  • 川や排水溝等流れてしまった油をせき止め、広範囲に拡散することを防ぐ
  • 土壌や床面にこぼれてしまった油を吸着・回収する
  • 工場内などにおける機械周りや床の油を拭き取る
  • 工場、自動車整備工場、ガソリンスタンドなどの床における溢れた油に対する滑り止め・転倒防止
  • 事故や緊急事態の予防・準備としての備蓄在庫
  • スーパーや飲食店において、靴裏、台車やカートの車輪などに付着した油を吸着し、拡散を防ぐ
  • 飲食店などにおける調理場の油の飛散対策、天ぷら油の処理
  • 飲食店などにおける厨房排水への対処

油吸着材の原理

油吸着材に使用される素材は、ポリプロピレンや、珪藻土、鉱物、石灰岩などです。その他にもセルロースや綿、樹皮、泥炭、おが屑、製紙用パルプなどの天然素材や、セラミックなどを加工して製造される場合もあります。油を吸着する素材は、親油的かつ疎水的な性質を持ち、油が水に優先して素材の表面に油が広がるような臨界表面張力を持つ物質です。毛細管現象によって吸い上げる場合もあります。

油のみを吸着する製品と、油以外にも水や溶剤など液体全般を吸着する製品とがあります。油のみを吸着する製品は、水上における浮上油の回収・吸着に使用されます。油以外の液体も吸着できる製品では、水以外にも硫酸や塩酸などの酸、苛性ソーダやアンモニアのようなアルカリ、不凍液、アルコール、なども吸着可能な場合があります。多くの油吸着材では油を吸着した後は産業廃棄物として処分しなければならないため、注意が必要です。

油吸着材の種類

油吸着材には、様々な形状の吸着材があります。用途に合わせて適切なものを選択することが重要です。

1. ロールタイプ

ロールタイプの油吸着材は、用途に合わせて必要な長さにカットして使用する油吸着材です。広い範囲に使用することができ、特に、大量の油を吸着させる場合に適した油吸着材です。予めミシン目が入っている製品もあります。

2. カットタイプ/シートタイプ

カットタイプやシートタイプの油吸着材は、正方形や長方形になどに予めカットされている製品です。機器のオイル漏れなど、比較的小規模な油や燃料の流出対処に適しています。また、ウエスとして使用することも可能です。

3. チューブタイプ

チューブタイプの油吸着材には、綿状の吸着剤や珪藻土などの粒状の吸着剤が詰められています。曲げ伸ばしが容易なため、現場に合わせた形状に変えることや、製品同士の接続によって長さを調整することも可能です。特に、油漏れ現場を囲んで堰き止めることで流出を止め、広い範囲に対処するための対策として使用することに特に向いています。

4. マットタイプ

マットタイプは、強度や耐久性の点で優れており、人や台車などの往来がある場所で特に適している油吸着材です。床や靴底の油を吸着する際に利用されます。裏面に滑り止め加工が施されている製品などもあります。

5. 砂状・粉状

砂状・粉状の油吸着材は、タイルの目地やアスファルトの凹凸など、他の形状の油吸着材では対処しにくい形状の現場でも効率的に油を回収することができます。また、土壌に混ぜる使い方も可能です。素材には、珪藻土、鉱物、石灰岩、セラミックなどが多く用いられます。環境に優しく、使用後の処理も簡単です。