硝酸態窒素除去装置

硝酸態窒素除去装置とは

硝酸態窒素除去装置とは、飲用水や各種用水中に含有される硝酸態窒素を除去するための装置です。

硝酸態窒素とは、硝酸イオンや硝酸塩などのように酸化窒素の形で存在する窒素の総称です。硝酸態窒素は生活排水や化学肥料、家畜の糞尿、農薬などを原因として、土壌中や水中で生成します。硝酸態窒素を多量に含んだ飲料水を体内摂取すると、血液中でヘモグロビンと結合して酸欠状態、疲労、頭痛、めまいが引き起こされます。

硝酸態窒素は水中では硝酸イオンとして存在しますが、一般的な硝酸態窒素除去装置はイオン交換樹脂 (アニオン樹脂) を用いて硝酸イオンを吸着し、塩化物イオンとのイオン交換反応によって除去する仕組みです。尚、イオン交換反応によってイオン交換樹脂に交換能力がなくなると、食塩水などで再生が行われます。その他、業務用の大掛かりな装置では、電気透析法や生物処理法など別の仕組みが用いられる場合もあります。

硝酸態窒素除去装置の使用用途

1. 井戸水・地下水

一般的な水道水は水質基準により、硝酸態窒素の上限量が定められています。一方、井戸水や地下水には高濃度の硝酸態窒素が含まれていることがあり、飲用水や業務用水等として利用するために硝酸態窒素除去装置が利用されます。

主な用途事例は、住宅用 (戸建・集合住宅) 、ホテル、商業施設、病院、福祉施設、各種製造業 (電子機器、化学、機械、医薬品など) です。また、水道水供給のための上水道施設でも利用されています。

2. 工場排水

工場排水に含まれる硝酸態窒素は環境汚染や水生生物への影響が懸念されるため、排出基準が設定されています。硝酸態窒素除去装置は、工場排水の窒素化合物を除去する目的で利用されています。

特に、金属化成加工で排出される洗浄廃水は、硝酸態窒素が多く含まれる産業排水です。具体的な導入事例には、リン酸亜鉛皮膜処理品や、亜鉛めっき、製鋼施設などがあります。その他、電気器具製造業、水産食料品製造業、畜産食料品製造業などでも利用されています。

3. 農業排水・畜産排水

家畜の排泄物には窒素化合物が多く含まれており、養豚・酪農をはじめとする畜産業においては排水中の硝酸態窒素を基準値以下まで下げてから放出する必要があります。農業においても、窒素肥料により排水中の硝酸態窒素の濃度が高くなる場合があり、ハウス栽培 (いちごなど) の排水処理や、暗渠、農業集落排水などで特に対策が必要です。

これらの農業・畜産排水では、イオン交換式の硝酸態窒素除去装置のほか、生物処理法など複数の方法を組み合わせた硝酸態窒素除去が行われています。

電子天びん

電子天びんとは

電子天びんとは、主に理化学用途で利用される、精密に質量を測定するための機器です。

古典的な天秤が分銅との釣り合いを用いて質量を計測するものであるのに対し、電子天びんは予め標準分銅で校正を行い、測定物を載せるだけで測定を行うことができます。電気抵抗線式 (ロードセル式や、ストレインゲージ式など) 、電磁平衡式、音叉振動式などの仕組みを用いて測定を行い、測定値を電気信号に変換して計測を行う仕組みです。

「電子はかり」が、キッチンスケールや台はかりなどの汎用的秤量機器を含む場合があるのに対し、電子天びんは精密秤量を目的として利用される機器です。特に目量 (最小表示) の小さい電子天びんは、静電気、風、振動による秤量結果への影響が無視できないほどの精密秤量となります。静電気除去器、風防、除振台などが併用して利用されることが多いです。

電子天びんの使用用途

1. 研究開発・分析

電子天びんは、大学の実験室や各種研究・検査機関など、精密な秤量が必要な研究開発の場で広く利用されている理化学機器です。化学分野や材料開発などの分野を始め、製薬、食品分野等での質量測定で、多くの電子天びんが使用されています。

特に、分析化学などに最適化された機構や機能を備えた製品は、分析用電子天びんとして販売されています。一般に分析用電子天びんとされるものは微量秤量が可能です。また、製品によってはオプションを追加することで粉体や液体の分注モジュールなどを搭載することもできます。

2. 取引・証明

産業用途では、電子天びんによる測定値を取引や証明に使用する場合があります。このような場合には、国家検定に合格した「検定証印」または「基準適合証印」付の電子天びんが必要です (特別計量器) 。

主な用途としては、貴金属や宝石、真珠の計量や、その他一般に商業的に量り売りなどをする場合が該当します。取引用の電子天びんの中には、カラット・もんめなどの単位に対応した製品もあります。一方、研究・開発や、製造・加工の中間管理工程での質量測定はこれには該当しません。

3. 調剤

医療現場では、調剤薬局での処方せんに基づく薬剤の計量や、病院内で入院患者が服用する薬を準備する際の薬剤の計量に電子天びんが使用されます。尚、薬の販売は取引行為に当たるため、特別計量器の認定を受けた電子天びんを用いる必要があります。

散薬は計量を行い、錠剤は計数を行うため、調剤を用途に想定した電子天びんは、計数機能が搭載されていることが多いです。

コンテナハウス

コンテナハウスとは

コンテナハウスとは、貨物輸送用のコンテナを建築物として転用したものです。

元々のコンテナとは、船や鉄道で荷物を輸送することを前提で作られた鋼鉄製の頑丈なものです。壁の一部をドアや窓のために切開して利用されますが、建物構造としては、通常の重量鉄骨建築と同様に取り扱うことができます。

建築用のコンテナハウスには、輸送用コンテナを建築基準法に適合させたJIS規格コンテナが利用されます。他の工法の建物と同様に建築基準法に従って建築が行われ、基礎の設置や建築確認申請が必要です。躯体が既に出来上がった状態で工場から建築地へ運ぶことができるため、工期の短縮・コストカットが可能です。また、複数のコンテナを積み重ねたり並べたりすることや、基礎から切り離して異なる場所へ移設することも比較的容易に行うことができます。

コンテナハウスの使用用途

コンテナハウスは、下記のような事業利用の他にも、一般的な住居として利用することも可能です。

1. 倉庫・オフィス

コンテナハウスは、一般的な業務利用が可能です。倉庫、事務室、オフィスなどとして利用されます。倉庫としては耐久性や気密性に優れており、一般的な事業用倉庫の他、レンタルスペース、トランクルームなどの貸し倉庫としての用途があります。ボイラーハウスなどの事業利用も可能です。

事務所としては、個性的なデザインのオフィスとして活用される他、増築・移転などのカスタマイズ性が高いスペースとして重宝されています。コンテナを複数組み合わせて中・大規模な事務所として利用される他、1つのコンテナで1人〜少人数で集中して作業を行う小規模ワークスペースとしても利用可能です。

2. 商業利用・宿泊施設

コンテナハウスは、外装デザインの特徴的な質感と内装デザインのカスタマイズ性を生かし、個性的な建築として様々な意匠を施すことが可能です。コンテナの開口部の広さを活かて全面をガラス張りにすることもできます。

商業施設としては、店舗、ショッピングモール、飲食店、ショールーム、美容室、サウナ、コインランドリー、休憩所、イベントスペースなどの活用事例があります。また、宿泊施設としては、防音性やプライバシーの確保された独立空間が魅力で、コンテナホテル、貸別荘、コテージなどに利用されています。また、商業用宿泊施設だけでなく、災害時の避難施設にも利用可能です。

3. 介護

コンテナハウスは、介護事業にも利用が可能です。既存の住宅を在宅介護のために改修することは多額の費用が必要であったり、既存住居の構造上理想的な改修ができない場合などがあります。このような場合に、コンテナハウスを介護用のセカンドリビングとして庭に建築する活用法があります。

基礎工事を打設して工場からコンテナハウスを搬入するだけでよく、最短で搬入当日から利用可能です。また、給排水を繋げばトイレや風呂などの水回りも施工することができます。不要になった場合はそのまま撤去すれば良いため、解体工事も不要です。

非球面レンズ測定機

非球面レンズ測定機とは

非球面レンズ測定機とは、楕円面・双曲面・4次曲面など、球面ではない曲面を持つレンズである、非球面レンズの形状測定を行うための測定機です。

非球面レンズは、複雑な曲面を持つことにより球面収差や歪曲収差などの収差を補正することができ、様々な精密光学系装置・機器で利用されています。非球面レンズの加工は複雑で難易度の高い加工で、非球面レンズ測定機を用いてレンズを測定し、品質管理や加工・設計へのフィードバックを都度行うことが必要です。

非球面レンズ測定機には、プローブで表面をスキャンする接触式の測定機や、干渉測定法などによる非接触式測定機などの種類があります。勾配や変曲点などの制限無く、精密な形状評価・偏心測定・厚み測定・粗さ測定などを行うことが可能です。測定精度は装置にもよりますが、誤差範囲はナノメートルやマイクロメーターのオーダーで精密な測定を行うことができます。

非球面レンズ測定機の使用用途

1. 精密光学機器・装置用レンズ

非球面レンズは、光学機器の高画質化・小型化・軽量化に貢献しており、様々な精密機器に利用されます。非球面レンズ測定機は、精密機器に搭載される小型の非球面レンズの形状測定が可能です。

主な例として、デジタルカメラ、スマートフォン用カメラ、プロジェクター、LED照明、イメージングセンサーなどがあります。比較的大型の非球面レンズの利用例には望遠鏡や自動車ランプなどが挙げられます。

2. 産業機器用レンズ

非球面レンズは、様々な産業用途や業務用途でも利用されており、レンズの製造段階の誤差測定・品質管理に非球面レンズ測定機が利用されます。

例えば、大規模なものでは人工衛星や防衛システムに搭載される非球面レンズがあります。また、レーザービームを用いる製造加工や医療用眼科機器など、業務用のレーザーシステムも非球面レンズの用途の一つです。また、非球面レンズを用いた高品質の画像システムやカメラシステムは、製造品質の管理、ロボット工学システム、医用画像システムなどにも活用されています。

3. レンズ製作用金型

非球面レンズの多くは、金型を用いて製造されます。非球面レンズ測定機の中にはレンズそのものだけではなく、レンズ製作用の金型の測定を行うことができる製品もあります。

金型製作の段階で誤差の測定と製造へのフィードバックを行うことにより、金型製作の精度を向上させることが可能です。金型開発のスピードアップにも繋がります。また、レンズと金型の両方について1台で測定が完結するため、測定機が変わることによる測定誤差の影響を受けること無く形状評価を行うことが可能です。

ヘリウム再凝縮装置

ヘリウム再凝縮装置とは

ヘリウム再凝縮装置とは、寒剤として利用される液体ヘリウムが気化したものを再度液体へ凝縮して再利用するための装置です。

液体ヘリウムは沸点-269℃であり、高い熱冷却性能と、非常に高い化学的安定性をもちます。低温を必要とする様々な理化学装置や産業装置の稼働の上で、不可欠の超低温寒剤です。一方で、国内消費のすべてを輸入に頼っているため、供給不安や価格高騰の問題が頻発しています。

ヘリウム再凝縮装置は、装置内などで気化した液体ヘリウムをGM冷凍機などの極低温冷凍機で冷却し、再度液化・回収する仕組みです。回収したヘリウムは利用中の機器へ自動的に再投入される仕組みとなっており、ロスなく再利用することができます。低温装置の安定稼働とランニングコストの削減に有効です。製品によって液化能力は様々ですが、概ね1日あたり1L~20Lの再凝縮能力を持ちます。

ヘリウム再凝縮装置の使用用途

1. NMR

NMR (核磁気共鳴装置) とは、磁場の中で原子の化学的環境 (近傍に存在する元素の種類、結合状態) を明らかにする分析装置です。超電導磁石を液体ヘリウムで冷却して稼働しており、有機化学・無機化学・物理化学の広い分野において無くてはならない装置です。

NMRは研究開発の非常に広い分野で利用されているため、ヘリウム再凝縮装置もNMRに対して最も多く利用されます。NMR専用のヘリウム再凝縮装置も様々なメーカーから販売されており、高効率で回収液体ヘリウムをNMRへ戻すことが可能です。NMRの安定稼働とランニングコスト削減に貢献します。

2. MRI

医療用MRIはNMRと同様の原理で超電導磁石を液体ヘリウムで冷却し、体内の水素原子の共鳴を画像化する画像診断装置です。筋肉、骨、内臓、血管など、様々な組織の画像を撮影することができ、腫瘍や炎症、脊髄疾患などの発見に役立ちます。

MRIの場合、外付け形のヘリウム再凝縮装置を利用する場合もありますが、MRIの装置自体にヘリウム再凝縮装置が組み込まれている場合も多いです。再凝縮装置によるヘリウム回収により、一度の液体ヘリウム補充で最長10年ほど装置の利用が可能になる場合もあります。

3. 超低温分野の研究・開発

液体ヘリウムは4K (4ケルビン) という他の寒剤にない超低温状態を作り出すことができるため、NMR以外にも様々な超低温分野の研究開発で利用されています。超電導磁石などを用いる様々な低温実験や、クライオスタット、希釈冷凍機、走査型プローブ顕微鏡 (STM) 、 ARPES などの各種低温実験装置などにヘリウム再凝縮装置を活用することが可能です。

装置から失われる液体ヘリウムを回収するだけでなく、ヘリウム保存デュワーからの回収・再投入にも用いられます。ガスボンベからの回収・再液化が可能な場合もあり、廃棄ヘリウムの削減に効果的に活用することができます。

インターロッキングブロック

インターロッキングブロックとは

インターロッキングブロックは、互いに噛み合わせることで安定した舗装面を形成するコンクリート製のブロックです。

インターロッキング (英: interlocking) とは、「かみ合わせる」という意味です。インターロッキングブロックは、ブロック同士を噛み合わせて、目地に砂を充填して手作業で施工されます。レンガ調の見た目ですが、工業製品のブロックであるためにレンガよりもコストパフォーマンスに優れており、目地に充填した砂により荷重分散効果が得られることが特徴です。ブロックの目地から下に雨水が浸透するため、水はけにも優れた舗装方法です。

色や質感、形には様々な種類があり、希望する舗装デザインに合わせて自由に選択することができます。また、その他に植生用や、透水ブロック、保水ブロックなど、様々な用途・機能性の製品が提供されています。

インターロッキングブロックの使用用途

1. 歩道・公園

インターロッキングブロックは、人が歩行する場所の舗装材として広く使われています。一般道路の歩道のほか、遊歩道、広場、公園、施設通路など様々な場所で利用が可能です。耐久性に優れ、レンガ調・石畳調の景観効果が得られます。スリップ防止効果があるため、歩行者の安全を向上させる機能的な舗装でもあります。

透水性や保水性などの機能性のあるブロックを用いると、雨水対策なども可能です。福祉対応型として目地幅を狭くしたり段差抑制を考慮したインターロッキングブロックもあるため、こどもや高齢者などへ配慮した舗装敷設を行うこともできます。

2. 車道・駐車場

インターロッキングブロックは、荷重分散効果により、ひび割れや変形が起こりにくい舗装材です。耐衝撃性と耐久性に優れることから、下地をきちんと整備すれば、車両利用にも耐えることができます。

車道、駐車場に広く利用され、大型車の走行にも耐えることが可能です。スリップ防止効果が高く、雨天時走行の安全性も高まります。透水性が高いため、水たまりができにくいことも特徴です。一般的なアスファルトよりも表面温度が上昇しにくいため、ヒートアイランド現象の緩和効果が期待できます。

3. 建築外構

インターロッキングブロックは、レンガ風・石畳風の意匠性の高さから、様々な建築外構に取り入れられています。アプローチ、駐車場、庭などの様々な用途で利用され、一般住宅の玄関のアプローチからショッピングセンターや商業施設まで、規模の大小を問わず利用が可能です。

破損したブロックだけを交換できるため、部分的なメンテナンス性の高さも特徴です。カラーバリエーションが豊富であることから、デザインパターンも無限に組み合わせることができ、直線的なレイアウトだけではなく曲線的なレイアウトにも対応します。

汚泥濃縮機

汚泥濃縮機とは

汚泥濃縮機とは、排水処理工程で発生した汚泥を濃縮して体積を減らすための機械です。

排水処理で発生する汚泥は、通常99%以上が水であるため、埋立や焼却の前工程として濃縮や脱水によって体積を減らすことが必要です。汚泥濃縮機は、脱水機の前段階に利用し、脱水機の効率を高めることができます。また、脱水機と異なり減容後の汚泥形状が液状のため、処理後の取り扱いの上で液状のままが望ましい場合に特に有効です。

汚泥濃縮機では、一般的に、固形物濃度0.4~2%程度の汚泥を4%前後の濃度まで高めることが可能です。汚泥濃縮機による濃縮は、動力機構を利用して濃縮を行う「機械濃縮」に分類され、ベルト式濃縮機、遠心式濃縮機、スクリュープレス濃縮機などがあります。

汚泥濃縮機の使用用途

1. 下水処理施設

生活排水や雨水、産業排水などを処理する一般的な下水処理施設で汚泥濃縮機は利用されています。下水処理場などでは微生物の力で排水中の有機物を分解する水処理技術が一般的ですが、一方で増えすぎた微生物が汚泥の発生原因となるという側面があります。

沈澱池から送られた汚泥に凝集剤を添加し、主にベルト式濃縮機や遠心式濃縮機を用いた濃縮が行われます。主に汚泥脱水機の前段階で利用され、処理コストの削減や施設負荷の軽減、環境負荷の低減に効果があります。

2. 産業排水処理

工場や産業施設から排出される産業排水には重金属や化学物質などの有害成分が含まれる場合があり、汚泥は産業廃棄物として適切な処理を行うことが必要です。化学工場、メッキや表面処理の工場、発電所、建設現場などの利用シーンが挙げられます。

また、オフィスビルや大型商業施設など、地下に排水処理設備を備える施設では脱水ケーキの搬出ができないため、汚泥を液状のままバキューム搬出することが必要となります。このような場合、汚泥濃縮機を利用して搬出頻度を減らし、産廃費を削減することが可能です。

3. 畜産業

畜産業では糞尿を処理する際に汚泥が発生します。畜産業で発生する汚泥には窒素やリンなど有機物量が多く含まれることが特徴です。また、悪臭や病原性微生物によって水質汚染や土壌汚染を引き起こす可能性があることから適切な処理を行うことが必要です。

汚泥濃縮機を利用することで、糞尿汚泥も処理を行うことができ、含まれる有機物を有機肥料として農業利用へつなげることも可能です。また処理効率向上によりコストカット効果も期待されます。畜産業の中でも豚舎糞尿汚泥で特に多く利用されています。

スクリュープレス脱水機

スクリュープレス脱水機とは

スクリュープレス脱水機とは、回転する円筒型のスクリューを用いて汚泥や廃棄物の脱水を行う機械です。

スクリュープレス脱水機は、円筒状のスクリーンとスクリュー羽根から構成されます。スクリュー羽根が回転して汚泥を搬送しながら圧搾・せん断して脱水する仕組みです。脱水汚泥出口に向かって汚泥の充填部分が狭くなっており、脱水が進むにつれて段々圧力が高くなっていきます。駆動部が少なく低速回転で動作するため、エネルギー消費が少なく、維持管理コストも低く抑えられます。

スクリュープレス脱水機はフィルターを使わないため、ベルトプレス方式などと比べて目詰まりの心配がありません。メンテナンスが容易で、汚泥の洗浄にかかる手間やコストも削減でき、排水処理の効率を高めることが可能です。

スクリュープレス脱水機の使用用途

1. 下水処理

スクリュープレス脱水機は、下水・産業廃水・し尿などの処理を目的として、下水処理場や産業廃棄物処理施設などで利用されている装置です。

下水処理場などでは微生物の力で排水中の有機物を分解する水処理技術が一般的ですが、一方で増えすぎた微生物が汚泥の発生原因となるという側面があります。下水処理の最終工程では、スクリュープレス脱水機を用いて汚泥を脱水し、汚泥のリサイクルや廃棄物処分を行いやすくしています。特に、スクリュープレス脱水機は、目詰まりしにくいことから、下水処理で発生する有機性汚泥の脱水に適しています。

2. 食品廃棄物

食品加工業では、食品の製造・調理の過程において加工残渣や調理くずなどの食品廃棄物が発生します。これらの廃棄物は、含まれる水分量が多いため焼却すると燃焼効率を下げる恐れがあり、温室効果ガスの発生の原因ともなります。スクリュープレス脱水機は、各種の野菜 (もやし、キャベツなど) 、果実、茶殻、焼酎原料残渣などの食品廃棄物を脱水して、大幅に減量・減容することが可能です。脱水によって再利用加工が容易になるため、搾りカスを畑の堆肥、牛や豚の飼料としてリサイクルすることもできるようになります。各種食品工場や搾汁工場、酒造メーカーなどで積極的に利用されています。

3. 農業・畜産・水産

農業・畜産・水産において、スクリュープレス脱水機は、家畜糞尿や植物性残渣 (稲わら、野菜くず) 、水産加工工程で発生する廃棄物などの脱水処理に利用されています。スクリュープレス脱水機を用いることで、汚水処理を効率化し、汚泥の悪臭対策を効果的に行うことが可能です。農業用水源の汚濁防止にも貢献します。

脱水後の処理水は、農業用水などとしてリサイクル可能です。また、脱水を行うことにより、脱水処理後の固形物は堆肥、発酵肥料の原料、燃料などに再利用することができるようになります。

ステンレスシンク

ステンレスシンクとは

ステンレスシンクとは、手洗いや厨房などに利用されるステンレス製の流し台です。

ステンレスとは、鉄にクロムを添加して製造される合金です。ステンレスシンクには、一般的にSUS430やSUS304などが利用されています。耐腐食性があり、錆びにくいことが特徴です。業務用のシンクは、家庭用のシステムキッチンとは異なり、側面も全てステンレス製です。耐久性があるため、湿気などの様々な環境条件や、化学物質、油脂、熱湯などの利用にも耐えることができます。硬度が高いため、耐衝撃性にも優れ、変形しにくいことも特徴の一つです。

また、表面が非常に滑らかで、微細な隙間が少ない素材でもあります。汚れや細菌が付着しにくいため衛生性が高く、清掃・消毒も容易に行うことができます。このため、衛生性が要求される、食品関係や理化学関係での用途にも適しています。

ステンレスシンクの使用用途

1. 厨房

ステンレスシンクは、規模の大小を問わず様々な業務用の調理設備で利用されている製品です。具体的には、飲食店の厨房設備や、給食センター、病院の調理施設などが利用シーンであり、手洗い、食器・食材を洗うなどの用途で利用されます。飲食店では衛生管理の観点から、食品衛生法で洗浄設備としてのシンクの設置が義務付けられています。規模・用途にあった形状のシンクを選定することが必要です。

例えば、舟形シンクは、手前側の縁が他より低くなっているため、シンクの中にまな板を入れて魚介類の調理を行うことに適します。また、そばを冷やすためのそばシンクなどが利用される場合もあります。

2. 公共施設

学校や病院など、衛生に配慮する必要のある公共施設では、浴室や洗面台、トイレなどにおいて手洗い用のシンクとしてステンレスシンクが利用されています。

学校では、一度にたくさんの児童・生徒の手洗いができるよう、槽が大きいタイプの一槽シンクが利用されることが多いです。耐久性が高いため、長期に渡って衛生的に利用することが可能です。病院などの医療機関では、洗浄・手洗いを目的とした特殊形状の複合シンクが利用されています。医療機関では薬品などの使用が想定されるため、耐薬品性、耐摩耗性や抗菌性などに優れているSUS304が素材として利用されることも多いです。

3. 製造業・理化学用途

工場でのステンレスシンクの用途は、作業場や倉庫内における手洗い、機材や容器の洗浄などです。衛生性が高く、食品工場や精密機器工場など、清潔な環境が求められる製造業にも適します。特に、二槽シンクなどの大型の製品が利用される傾向にあります。シンクの横に水切り台をつけたタイプや、下部がキャビネットになっているタイプもあり、作業場の大きさや用途に合わせて選定することが可能です。

また、理化学研究設備では実験室用としてステンレスシンクが利用されています。ステンレスの耐久性や耐薬品性を生かし、実験器具などの洗浄が可能です。通常、実験用の場合は、排水トラップまでオールステンレスで製造されます。

金属塗料

金属塗料とは

金属塗料とは、金属素材の保護や装飾性の付加のために用いられる塗料です。

塗装を施さない無垢の金属材の中には、空気中の酸素によって錆を生じ、腐食しやすくなる素材が多くあります。そのため、金属塗料を用いて表面に塗膜を形成し、表面を保護することが必要です。

金属塗料には下塗り塗料と上塗り塗料とがあります。一般的に、下塗り塗料は金属表面を錆から保護し、上塗り塗料との密着性を高める役割を持ちます。一方、上塗り塗料は艶、光沢、色などを付加して装飾性を高めると共に、耐候性、耐摩耗性や耐衝撃性、導電性向上などの機能を付加する役割を持つ塗料です。塗料の成分には様々なものがありますが、保護する対象の金属素材に合わせて適切なものを選択することが重要です。

金属塗料の使用用途

金属塗料は、下記に挙げるような大規模な業務用金属製品の他にも、家電製品、装飾用フレーム、ゴルフクラブ、釣具、医療機器など、あらゆる一般的な金属塗料に利用されています。

1. 建造物・構造物

金属塗料は、一般的なビル・住宅などの建物の他、大小を問わずあらゆる金属製の建造物・構造物に利用されています。具体的な例には、道路の標識柱、グレーチング、ガードレール、照明柱、電車や高速道路の遮音壁、橋梁、欄干、遊園地の遊戯施設、立体駐車場などがあります。

これらの建造物は、屋外の過酷な環境に曝されていることが多いため、強力な錆止め効果と表面の保護が必要です。適切な金属塗料を塗装することにより、長期間の使用に耐える耐久性を保つことができます。

2. 車両・航空機

金属塗料は、耐久性向上に優れた効果を発揮するため、航空機、自動車、バイク、船舶、重機、電車、新幹線など、業務用車両から旅客輸送用車両まで、様々な車両に利用されています。

外観となるボディ部分の耐久性・意匠性を高めているだけでなく、様々な部品にも金属塗料が塗布されています。例えば、エンジンルームの部品など、高温になる部分には耐熱塗料が利用されます。金属塗料を適切に利用することで、車両の部品を保護し、寿命を延ばすことが可能です。

3. 産業用機器

金属塗料は、配管や工場設備、及び、計測器や工業用機器、映像機器などの業務用機器にも使用されています。

産業用機器・設備は、高温・化学薬品の使用など、過酷な環境下での動作が想定されるため、金属部材の腐食や劣化を防止するために塗装が不可欠です。とりわけ、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性など、機能性を付加した金属塗料が利用されます。金属塗料を適切に利用することで、動作中の摩擦や衝撃による損傷を防いで機器寿命を延ばすことが可能です。