LPWA機器

監修:エルスピーナヴェインズ株式会社

LPWA機器とは

LPWA機器とは、Low Power Wide Area (LPWA) と呼ばれる、広域無線通信技術を利用するために用いられる機器一般です。

LPWAは、消費電力が小さいことや長距離通信が可能なことが特徴です。周波数帯、通信距離、省電力性、通信速度などの異なる様々な通信規格があります。また、それらの通信規格は、通信事業者が提供する「セルラー系 (ライセンスバンド) 」と呼ばれる種類と、無線局免許が不要な「非セルラー系 (アンライセンスバンド)」と呼ばれる種類に分けられます。

非セルラー系では自由な運用が可能である一方で、基地局の施工・設定、サーバの構築などが必要です。一方、セルラー系では通信料金は発生しますが、通信事業者による既存の基地局を利用することが可能です。LPWA機器とは、こうしたLPWAネットワークを構築するのに必要な機器類(ゲートウェイ、エンドデバイスなど)を指します。

LPWA機器の使用用途

LPWAは一般家庭における家電・スマートホーム化や、産業分野や公共サービスなど、多様なシーンで活用されています。

1. 一般家庭のスマートホーム化

一般家庭におけるLPWAの使用用途では、スマートメーターやスマートロックなどが挙げられます。スマートメーターとは、電気・ガス・水道などの利用量を自動的に遠隔で検針することができるメーターです。また、空調機器、照明機器など各種家電製品を統合制御したり、スマートロックなどを制御することにも用いられています。

2.  トラッキング

LPWAは、人や動物、モノなどの位置情報を追跡するトラッキングにも利用可能です。産業分野においては、物流・輸送管理に用いられています。輸送パレットにLPWAモジュールを装着することで、荷物の紛失を予防することができます。通信距離が長く、国や地域をまたいでも通信可能です。また、動線を可視化できるため、輸送ルートの再検討や効率化にも役立ちます。

また、ウェアラブルデバイスを子供やペットに装着することで、見守りや迷子防止を行うことも可能です。

3. モニタリング

通信距離の長さや消費電力の低さを活かし、LPWAは環境測定センサ(水温・水量・土壌・CO2濃度など)の情報を遠隔で取得することにも使用されている通信技術です。農業のスマート化に活用されている他、危機管理型水位計、マンホール内の水位の監視など自然災害対策で活躍しています。

また、農業分野では農作物の盗難防止にも使用されます。医療分野では、医療機器(CPAP装置など)の遠隔モニタリングに利用することが可能です。

LPWA機器の原理

1. 概要

LPWAとは、Low Power Wide Areaの略ですが、LPWAN(Low Power Wide Area Network)とも呼ばれることもあります。名称の通り、消費電力が低いことと広域・長距離通信が特徴です。種類にもよりますが、低速な狭帯域を利用しているため、最大伝送距離は短いものでも2km以上、長いものでは50kmや100kmにも及びます。

LPWAの伝送速度は小さいものの工場や物流、農業、住居、生活インフラなどのスマート化においては小サイズデータの長距離通信が行われるため、LPWAの最大伝送速度でも十分に機能を果たすことができます。最大伝送速度は非セルラー系で数十~250kbps、セルラー系で200kbpsから1Mbpsほどです。(LPWA以外の最大伝送速度は、LTEは37.5~150Mbps程度、Wi-Fi(IEEE 802.11ac)は1Gbps)

2. ネットワーク構築機器

非セルラー系のLPWAネットワークでは、基地局の施工・設定、サーバの構築などを自前で行う必要があります。ネットワーク構築には

  • 使用したいIoT機器/センサーなど
  • ゲートウェイ(基地局)
  • ネットワークサーバー
  • アプリサーバー

です。

セルラー系では、通信事業者の基地局を利用するため、SIMが必要です。通信事業者へ通信料金を支払う必要がありますが、ネットワーク構築を自分で行う必要はありません。接点監視端末などを利用する場合もあります。

LPWA機器の種類

概要

前述の通り、LPWAには様々な通信規格があります。主な非セルラー系の通信規格には、

  • LoRaWAN
  • Sigfox
  • Wi-SUN
  • ZETA
  • ELTRES

などがあります。また、セルラー系には

  • LTE-M
  • NB-IoT

があります。下記は代表的な非セルラー系のLPWAの例です。

・LoRaWAN

LoRaWANとは、LoRa Allianceによって仕様策定された規格であるLoRaを使用したオープン無線ネットワークです。非セルラー系であり、920MHz帯の周波数を使用します。通信速度は環境にに依存しますが、50kbps〜250kbps程度です。また、双方向通信が可能です。ユーザーがゲートウェイを設置して自由にネットワークを構築することが可能であるため、山奥や地下など、携帯電話やSigfoxなどの基地局の電波が届かない場所でも利用することができます。

・Sigfox

Sigfox(シグフォックス)はフランスのUnaBiz社が各国のオペレーターを通じて提供している非セルラー系のLPWAネットワークです。920MHz帯を使用し、通信速度は100kbps程度です。

Sigfoxは国ごとに提供する通信事業者を1社に絞っており、日本では京セラコミュニケーションシステム社が回線提供とクラウド提供を行っています。そのため通信に必要な基地局を自分で用意する必要がありません。

本記事はLPWA機器を製造・販売するエルスピーナヴェインズ株式会社に監修を頂きました。

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