吸水紙

監修:株式会社田村商店

吸水紙とは

吸水紙とは、水や油などの液体を吸い取る作用がある紙です。

吸水紙は、繊維の密度が少ないため、繊維の隙間に水などの液体を吸わせることができます。水分や液体を吸い取ったり、結露などの水分対策をしたり、食品や野菜などの保水などに用いられる紙製品です。食品容器などにも用いられており、厚みのあるものでは、吸水力や保水力の他に、クッション性にも優れています。プラスチック容器からの代替としても検討が進んでいる製品です。

吸水紙の使用用途

1. 概要

吸水紙は、単純に液体を吸わせたり拭き取ったりする用途や、結露・水分対策、保水などに用いられます。農業・漁業・工業などの各種産業用途でも広く利用されます。

2 .食品

吸水紙は、食品分野において様々な用途があります。具体例には下記のようなものが挙げられます。

  • 食品・総菜・青果物などから出る余分な水分を吸水する、敷紙・台紙
  • 保冷剤の結露対策及び食品の冷え過ぎ防止
  • 鮮魚の氷焼け防止
  • 精肉・鮮魚のドリップ対策
  • テイクアウト用BOX・食品トレイ

吸水紙を使用することで、調理食品から出る蒸気・水分を吸収し、食感を保つことも可能です。商品の傷つきを防止したり、包装から水分が漏れたり染み出したりすることを防ぐこともできます。

3. 工業

工業分野では、吸水紙は、下記のようなものが挙げられます。

  • 機械の油漏れ・オイル漏れに対する給油
  • 部品修理・交換時の一時置きの際に、汚れ防止のために下に敷く
  • 部品を包む
  • 工場内の環境保全・作業保全

4. 農業

農業分野において、商品となる青果物の取り扱いには水分がつきものです。商品出荷時に、吸水紙は活用されています。主な用途は下記のものが挙げられます。

  • 野菜など水分が出るものを包んで出荷する
  • 保冷剤をくるみ、結露を吸水させる
  • 商品輸送時の箱内下敷きに使用する

これらの活用により、商品の傷付き防止や鮮度・水分の保持、水濡れ防止を行うことが可能です。また、梱包箱の外への液体漏れや染み出しも予防することができます。

5. 医療・その他

吸水紙は、血液や浸出液などを吸い取るため、医療用途でも使用されます。歯科エプロン・検診用シーツなどは吸水紙が使用される製品です。ラミネート加工された吸水シートは、吸水性と防水性を併せ持ちます。ペットシーツも、排泄物を吸収させてそのまま捨てることができるため、吸水紙が利用されている製品の一つです。

吸水紙の原理

吸水紙は、紙の繊維の密度を下げ、繊維の隙間に液体を吸水する仕組みです。隙間が広いほど液体を吸収しますが、繊維の密度を少なくし過ぎると紙の強度が下がってしまうため、密度と強度のバランスを取ることが必要です。

紙の密度を低くするには、パルプの叩解を調整したり、搾水時に加圧の調整を行ったりします。場合によっては、紙の層の間にPE樹脂などの化学繊維を混抄して低密度にします。また、高吸水性樹脂の粉末を塗料化したもの (SAP(Super Absorbent Polymer)など) を用い、不織布もしくは通気性の良い紙に塗工する場合もあります。

吸水紙の種類

吸水紙には、様々な種類がありますが、まず、大きく分けて薄紙と厚紙とがあります。

1. 薄紙

薄紙には、ロールタイプ、シートタイプ、魚や肉のドリップ吸水用の薄紙などの種類があり、主に水などを拭き取ったり染み出るドリップを吸い取ったりすることに使用されます。身近なところでは、ティッシュペーパーやキッチンペーパーも吸水紙の一種です。

2. 厚紙

厚紙は紙強度と吸水性の両方に優れ、各種産業用に使用することができます。また、強度の強いものは一次容器として使用することが可能です。

用途に合わせて多様な製品が販売されています。例えば、食品対応の製品では、クレープ紙を貼り合わせたものや、食品の離型性を高めるために微塗工のシリコーン加工が施された製品などがあります。色は、白や晒などの色が主流です。加工性にも優れているものが多いため、用途に合わせて柔軟に活用することができます。

本記事は吸水紙を製造・販売する株式会社田村商店様に監修を頂きました。

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