転造盤のメーカー5社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
金属には、ある程度以上の力を加えると元のかたちに戻らない塑性という性質があります。その性質を生かした加工方法を塑性加工といいます。
その分類の中に、ダイスと呼ばれる工具を被加工物に強く押し当てて、その形状を転写し必要な形を成形する転造加工があります。その転造加工を行う機械が転造盤です。
比較される加工方法として、被加工物を切って加工する切削加工があります。転造盤と同じ用途に使用する場合、旋盤やホブ盤などを使用して切削加工を行うことになります。
それぞれメリット・デメリットがありますので、製品形状や生産数量などを考慮して選定します。
転造盤は、ネジや歯車、インボリュートスプライン・セレーションの成形に使用されます。ダイスは、製品の仕様や形状に合わせて用意する必要があるため初期投資が必要になります。
また、品種の切り替えのために行う、段取り時間が長くなりがちです。ですので、少量多種の生産には不向きになります。
ですが、一度セットアップをおこなえば、工具寿命が長く製品精度も安定するため小種多量の生産にとても優位になります。また、加工時間も切削加工と比較して短くすることが出来ます。
転造盤は、丸ダイス転造盤と平ダイス転造盤という種類に大別されます。
ダイスを被加工物に油圧などの力で押し付けることで成形する原理は変わりませんが、同じ速度で回転する2つもしくは3つの丸いダイスに被加工物を挟み込むことで成形する加工方法が丸ダイス転造で、一対の平ダイスで丸ダイスと同じように被加工物を挟み込み、被加工物が回転するように平ダイスを平行に動かすことで成形する加工方法を平ダイス転造といいます。
両者ともダイス間の距離を変えることで被加工物の寸法を任意に調整することが出来ます。
丸ダイス転造には、その加工方法によって3種類に分けることができます。
ダイス間が開いている状態で被加工物を挿入しそのあと、ダイス間をゆっくりと閉じていくことで成形する寄せ転造とダイス間が閉じた状態で被加工物を油圧などの力をつかって押し込んでいく押し込み転造があります。
また、ネジやウォームのようにリードを有する被加工物には、閉じたダイス間を通り抜けていくことで成形する通し転造があります。製品の形状を考慮して最適な加工方法を選定します。
転造加工と切削加工を比較したときのメリットとしては、ダイスは研削で仕上げられているので、押し付けられた加工面がきれいに仕上がり、加工精度も高くなります。また、それらを維持できる工具寿命も長くなります。
削るわけではないので、削りカスが発生せず、歩留まりが向上します。繊維状金属組織が切削によって切断されず、さらに塑性変形によって加工面が組織硬化するので強い強度をえることが出来ます。
転造盤はダイス形状の違い(丸ダイス、平ダイス)や、動かし方の違い(同一方向、逆方向、往復運動)を組み合わせながら、ねじ以外にも様々な部品加工に応用可能な加工装置ですが、さらに高度な転造加工にも対応可能な数値制御(NC)で自動化された「転造機」も存在します。その背景には材料の無駄が出やすい切削加工から歩留まりの良い塑性加工へと部品加工をシフトさせたい産業界の意向がありました。
コンピューター制御型の転造機は、複数本の支柱で構成された高剛性の構造体を持ちます。左右の主軸台によって、ラム(往復運動をする台)に設置された2つのダイスが芯間距離を保ったまま、荷重変動を吸収しつつ加工を進めることができるため、従来の転造盤よりも高い製品精度の実現を可能としています。
さらに自動化で注目すべき点としては、工具軸の制御軸数の増加に対応できる点です。例えば7軸のコンピューター制御転造機の場合、主軸回転、傾斜角、主軸間距離などそれぞれが独立制御可能なため、一般的な丸ダイス転造で用いられる寄せ転造や通し転造よりも複雑で高精度な動きを難なく行えます。ダイスの回転速度のずれをリアルタイムで最小限に制御できる点も自動化の長所といえます。
転造盤の自動化によってダイスの制御はより高度化しました。そこからレシプロ転造や複数転造といった、従来の丸ダイス転造を発展させた加工方法が生まれました。
レシプロ転造とは、同一方向に回転するダイスが同期を取りつつ正転と逆転を交互に繰り返しながら加工を進める転造のことです。被加工物の歩みに伴う移動量を抑制し、非加工部への接触を回避できるメリットがあるため、繰り返し加工が必要となる加工山の高い品物の製造も容易となります。
複数転造とは、一度の処理で複数箇所に異なるパターンを転造できる加工方法です。サーボ制御されたスライド台によって被加工物を正確な位置に送り込むことで実現しています。従来の転造盤では2台以上必要となる複数箇所への加工が、複数転造では1台で済みます。
参考文献
https://www.nisseiweb.co.jp
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/kos/pre/index.htm
https://www.tsugami.co.jp/product/rolling
https://www.nisseiweb.co.jp/formrolling.php?page=fmnissei
https://www.nisseiweb.co.jp/pdf/tenzo_thesis.pdf
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
PFM-Xシリーズは、高剛性を有する本体とセミドライ工具により、セミドライ転造を実現しています。
タテ型の平ダイス転造盤です。
最大転造外径は、φ40であり、ラックホルダの幅は、145mmとなっています。
駆動の電動化により、油圧を使用せず消費エネルギーを低減しています。
NC同期により、シムで調整していた位相調整をNC化しており、数値指令のみで調整することができます。
ラック交換時の移動ストロークを延長したことにより、ラックの段取り作業が容易になっています。
また、ラックを緩めずにOPD寸法補正が可能となっています。
3ダイス転造盤は、3個のローラーダイスが水平方向に回転します。
転造加工では難しいとされる、薄肉中空部品や異形部品のネジ転造を可能にしています。
3点加圧による塑性加工のため、適切なワークの転造姿勢を保持することができます。
加工中心は、3個のローラーダイスによって自動的に決定するため、ワークの芯出しは不要です。
回転は完全に同期しているため、段取りは、目盛りによる位置合わせのみで完了します。
加圧ストロークは、油圧シリンダーもしくはカムによってダイホルダーに伝達します。
自在に転造条件を設定でき、均一な転造圧力で運転することができます。
R17NC-Ⅱは、CNC制御による精密転造盤です。
標準では、左右軸と右主軸台の3軸による制御となります。
右主軸台による転造力は、電動機によって発生し高剛性リニアと大径ボールねじによって伝えられます。
熟練を要するピッチ合わせも、NC制御により数値指令でおこなうことができます。
油圧レスタイプであり、連続稼働による温度変化の影響が少ない安定した精度を得ることができます。
インフィード転造では、φ75の長さ150mmまで転造できます。
また、スルーフィード転造では、φ40の長さ4000mmまで転造可能となっています。
VGR-2NCWは、2軸NC制御による歯車内周転造盤です。
スリーブの内周部にスプラインを、使用するダイス形状に高精度で転造することができます。
オートローダーを装備しているため、ワークの投入から排出まで全自動での成形が可能となっています。
加工ワークは、内径最小φ40、外径最大φ170です。
ワークドライブ方式により、転造精度を向上させています。
また、ツールをヘッド側とテール側のストックの両側で支持しているため、ツールの倒れがありません。
ワークヘッドの回転数や切込み量は、NC制御のため数値指令でおこなうことができます。
CT-400/450は、クラス最小レベルの省スペースを実現した、カウンターフロー転造盤です。
マシン本体幅は、750mmとなっています。
ラック長さは、400mmと450mmに対応します。
高精度なインボリュートスプラインやインボリュートセレーションを主に転造します。
スプライン加工径は、φ20程となっており、加工最大モジュールは、1.0です。
標準的な、油圧駆動のタイプやサーボモーターとボールねじを使用した油圧レスタイプがあります。
また、ハイブリッド油圧タイプがラインナップされています。