ガラス管ヒューズ

ガラス管ヒューズとは

ガラス管ヒューズ

ガラス管ヒューズとは、保護管にガラスを使用したヒューズです。

最も一般的に使用される管ヒューズと言えます。そもそもヒューズとは、定格以上の電流が流れた際に、エレメントを溶断させることで通電を遮断する安全部品です。定格以上の電流が流れ続けると回路破損や発煙発火などの事故が発生するため、これを未然に防止します。

ガラス管ヒューズの使用用途

ガラス管ヒューズは計装・制御機器に広く使用されます。以下はガラス管ヒューズの使用一例です。

  • モーターコントロールセンターユニットの制御電源
  • 電源ランプや計器用変圧器の過電流保護
  • 車載制御装置やバイク用制御装置の過電流保護
  • 家電製品のプリント基板
  • 産業用整流器の制御基板上

制御回路などに使用される場合がほとんどです。ガラス管ヒューズは小さく省スペースなため、基板上の過電流保護用途として使用されます。また、一般的なブレーカよりも速動するため、主幹表示灯や制御電源にも用いられます。

ガラス管ヒューズの原理

ガラス管ヒューズはガラス管、エレメント、口金などで構成されます。

1. ガラス管

ガラス管はフィラメント保護用の部分です。材質はPCガラスが使用されることがほとんどです。透明ガラスが使用され、内部のフィラメントが溶断しているかを目視で確認できる点が特徴です。

製品によってはガラス管ヒューズの中に消弧剤が封入されています。消弧剤はフィラメント断線時のアーク発生を抑制する素材であり、主に珪砂が使用されます。

2. エレメント

エレメントは過電流時に溶断する部分です。一般的にはエレメントが太い方が許容電流が高く、ガラス管から内部を見ると目視で違いが分かります。材料には多くの場合は亜鉛が使用されます。亜鉛以外には鉛や銀などの合金で製作され、配合によって融点を調整します。

エレメントには上記のような低い融点の金属を使用され、電流によるジュール熱によって温度が融点に到達すると溶断します。エレメントの配合や放熱および熱容量を変化させて、ユーザーの意図したヒューズ溶断特性を得ることができます。

3. 口金

口金はヒューズホルダーと呼ばれるヒューズ受け部品と接続される部分です。材質はニッケルメッキ加工したが使われます。口金部には耐電圧や許容電流などの情報が印字される製品が一般的です。

ガラス管ヒューズの種類

ガラス管ヒューズには、普通溶断型やタイムラグ溶断型、速動溶断型が存在します。各ガラス管ヒューズは、さらにそれぞれA種とB種の区分があります。

A種とB種はそれぞれ溶断特性が異なります。A種はアメリカで主流のヒューズであり、日本では現在あまり使用されていません。

1. 普通溶断型ガラス管ヒューズ

普通溶断型は、一般的なガラス管ヒューズです。定格電流の200%程度であれば、2分ほど耐えることが可能なヒューズです。通信機器や制御電源に使用されるガラス管ヒューズは主に普通溶断型です。

2. タイムラグ溶断型ガラス管ヒューズ

タイムラグ溶断型は、溶断する際のタイムラグが大きいヒューズです。突入電流や起動電流が大きい場合にはタイムラグ溶断型のガラス管ヒューズを使用します。モーターや電磁弁の保護にはこのヒューズを使用します。

3. 速動溶断型ガラス管ヒューズ

速動溶断型は、過大電流を瞬時に遮断するヒューズです。200%程度の電流が流れた場合、0.5~1秒程度で遮断します。過大電流や逆電流で故障する危険がある半導体の保護などに使用します。

ガラス管ヒューズのその他情報

ガラス管ヒューズの使い方

ガラス管ヒューズは一般的に、ヒューズホルダーに接続して使用します。ヒューズホルダーには爪やばねが付いており、口金部分を保持します。取り外す際に口金に触れると感電の危険があるため、専用治具を使用するなどして安全処置を図ります。

使用するガラス管ヒューズの容量は、電装品の定格電流以上である必要があります。ただし、配線や弱点部品の最大容量以下のものを選定することも重要です。耐電圧にも注意が必要であり、125V用と250V用がそれぞれ存在します。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/
https://www.daitotusin.co.jp/case/2017/11/14/3

金属ワッシャ

金属ワッシャとは

金属ワッシャ

金属ワッシャとは、ボルトとナットの間に挟む金属製パーツです。

ワッシャはほとんどが金属製で作られており、座金や平座金などとも呼ばれます。ワッシャはボルトやナットの下に置かれることで、締結面積に圧力を均等に分散させます。

これによって部品同士の接触が均一になり、強力な締結が可能です。均等な圧力分散がないと、部品の変形や破損が生じる場合があります。

また、ボルトやナットが部品の表面に直接接触するのを防ぐ役割も果たします。金属同士の直接の接触は、摩擦や腐食の問題を引き起こすことも多いです。ワッシャを挟むことで、部品同士の接触を緩和し、摩耗や腐食を軽減することが可能です。

金属ワッシャの使用用途

金属ワッシャはありとあらゆる場面に使用される部品です。以下は金属ワッシャの使用用途です。

1. 建設業

建築業において金属ワッシャは、建材の締結に使用されます。鉄骨構造の建物では、大きな荷重に耐えるためにボルトやナットと一緒に金属ワッシャが使用されることが多いです。また、コンクリートの固定や木材の組み立てにも利用されます。

2. 自動車産業

自動車産業では、金属ワッシャがサスペンションや車体の組み立てに使用されます。振動や道路の振動にさらされる自動車部品は、安定した締結が重要です。金属ワッシャはこの安定性を提供し、部品同士の接触を保護します。

3. 電子機器

電子機器内部では、金属ワッシャはボルトやネジの締結において、接続を安定させる役割を果たします。また、導電性のある金属ワッシャは、電子部品の接地や導電性を保つために使用されることも多いです。家庭用電化製品やコンピュータなどに広く使用されます。

4. 産業機械

産業機械の製造や保守において、金属ワッシャは部品同士の接続の強化や部品の摩耗を軽減するために重要です。産業機械は高負荷や厳しい作業環境に置かれることが多いため、金属ワッシャの耐久性が求められます。加工機やプレス機などに広く使用されます。

金属ワッシャの原理

金属ワッシャの主な原理は部品同士の接触を均一にし、締結や組み立て作業における安定性や信頼性を向上させることです。一般的には、円筒状で滑らかな形状をしています。中央に穴が開いており、ボルトやナットを通して使用することが多いです。

材質は鉄やステンレスが広く使用されますが、黄銅チタンアルミニウムなどの製品も販売されています。総じて金属ワッシャは堅牢であり、長期間にわたって安定して使用することが可能です。

金属ワッシャは、さまざまな規格に基づいて設計・製造されています。これにより、異なるサイズや形状の金属ワッシャが特定の用途に適した形で提供されることが保証されます。ISOやDINなどの規格において形状や寸法が定められており、国内ではJISに準拠した製品が多いです。

金属ワッシャの選び方

金属ワッシャを選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。

1. 材質

金属ワッシャは、さまざまな材質で製造されます。鉄やステンレス鋼、真鍮などが一般的です。使用環境に応じて適切な材質を選ぶことが重要です。例えば、屋外や湿った環境では錆に強いステンレス鋼が採用されることも多いです。

2. 準拠規格

金属ワッシャは、国際的な規格や国内規格などに従って製造されることが多いです。規格にはワッシャの寸法や形状、性能基準などが含まれており、製品の品質と適合性を保証します。使用する環境や用途に応じて適切な規格に準拠したワッシャを選ぶことが重要です。

3. 呼び径

金属ワッシャは、ボルトやナットのサイズに合わせて選ぶ必要があります。ワッシャの内径と外径を適切に選んで、ボルトやナットと正しく組み合わせることが重要です。呼び径は規格によって異なる場合もあるため、準拠する規格を確認して選ぶことが大切です。

4. 種類

金属ワッシャには、平ワッシャやスプリングワッシャ、ロックワッシャなどさまざまな種類があります。使用環境や目的に応じて、適切な種類を選ぶことが重要です。スプリングワッシャは振動や緩みの防止に適しており、ロックワッシャは緩みの防止に特化しています。

参考文献
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element11.html
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element12.html
https://wilco.jp/products/washer/metal/
https://neji-one.com/lineup/W1000250.htm

レべリングボルト

レべリングボルトとは

レべリングボルト

レベリングボルトは機械やテーブルなどを水平に保つためや高さを調整するための調整ネジです。家庭用のテーブルでも各足の先端にレベリングボルトが付いているものもあり、手やレンチなどでくるくる回して高さを調整します。

工業用の機械は製造後や加工後の製品の品質の観点から水平に設置する必要があります。機械が傾いていたらモーターの回転等が不安定になったり想定外のトルクが発生したりして故障の原因になりますし、油等の液体が漏れてしまうかもしれません。このために、設置に関しては水平に調整する必要がありますので、レベリングボルトを用いて調整が行われます。

レべリングボルトの使用用途

レベリングボルトは広範囲に使用されています。例を挙げてみますと、工作用機械等の産業機械やコンベアー、自動販売機、作業台、コピー機、事務机などなど、レベリングボルトは脚のある大きな設置物には大抵ついています。

レベリングボルトは別名がアジャスターボルトやジャッキボルト、アジャスターフットなどとも言い、呼び方が沢山ありますので少々混乱しますが、どれも水平や高さ調節のために使用するボルトを指しています。

ネジを回すことで水平面や高さが調節できますので水準器を用いて精密な調整が可能になります。

レべリングボルトの原理

物体には重心がありますのでこの重心を支えるためには最低3本の脚が必要になります。ただし、3本脚だと不安定になりますので、4隅に1本ずつ合計4本の脚を取り付けて安定化させています。一方でよくあることですが、1テーブルの4本脚の内、1本の長さが他の3本と異なっている場合は不安定になりガタついてしまいます。このような場合には長さの異なる脚に付いているレベリングボルトを回すことで脚の長さを調整します。これにより、テーブルは安定しガタつきは無くなります。

しかし、この場合の調整はただ脚の長さを合わせただけであり、テーブルが傾いている可能性もあります。このような傾いているケースに対してレベリングボルトが真価を発揮します。傾いているかどうかは球形の物体を置いてみれば転がりだすのですぐにわかります。テーブルが傾いていると物を置いても滑ってしまったり倒れてしまったりする恐れがありますのでレベリングボルトを用いて水平の調整を行います。

水平面の調整及び高さ調整に関しては水準器を用いて傾きが無いようにレベリングボルトをネジやレンチなどで回しながら4本の脚の高さを微調整していきます。

参考文献
https://www.iwata-fa.jp/html/index-t17.html
https://www.imao.co.jp/introduce/adjustable-feet.html

平ベルトプーリ

平ベルトプーリとは

平ベルトプーリ

平ベルトプーリとは、平ベルトを用いて回転動力を伝達する場合に使用される円筒状部品です。

回転するプーリからベルトを通して、別のプーリや軸に動力を伝達することができます。エンジンやモーターからの回転運動を機械部品に伝えられ、さまざまな回転動作に利用されます。

平ベルトは、断面が平らで長方形になったベルトです。構造が単純で、プーリを分解せずとも取り外しができる点が特徴です。古くからさまざまな機械に使用されてきました。

日本ではプーリの規格は、JISで正式に定められています。規格に合っていない場合、機能不良の原因となります。そのため、使用時にはJIS規格を事前に確認して、ベルトに合ったプーリーを選定することが重要です。

平ベルトプーリの使用用途

平ベルトプーリーはその特性と効果的な動力伝達能力から、さまざまな用途で使用されています。以下は平ベルトプーリの使用用途です。

1. 自動車

自動車のエンジンは内燃機関であり、エネルギーを回転運動に変換します。エンジンからの動力をさまざまな部品に伝えるために、平ベルトプーリーが使われる場合もあります。

エンジンのクランクシャフトに取り付けられた平ベルトが、エアコン用コンプレッサーや発電機などに動力を伝達させる仕組みです。これにより、エアコンの冷風を生み出したり、電力を発生させたりすることが可能です。

2. 冷暖房

冷暖房においては、エアコンユニットや暖房装置のファンやコンプレッサーを駆動するために平ベルトプーリーが用いられることも多いです。これによって空気の循環や温度の調整が行われます。特に商業施設や工場内の大規模な冷暖房システムでは、効率的な動力伝達が重要です。

3. 農業機械

草刈り機はエンジンからの動力を刃や刈り込み部に伝えて、草や草木を刈り取るために使用される装置です。その動力伝達に平ベルトプーリーが使用される場合があります。効果的な動力伝達能力を活かして、農作業を支援することが可能です。

平ベルトプーリの原理

平ベルトプーリーの本体は、円筒状の金属部品です。一般的には鋼やアルミニウムなどが使用され、必要に応じて耐摩耗性や強度を高めるための加工が行われます。プーリーの両端にはフランジと呼ばれる突起がある場合が多いです。

フランジは平ベルトがプーリーから外れないように保持し、ベルトが側方にずれるのを防ぐ役割を果たします。特に高速回転するプーリーでは、ベルトの安定性を保つために重要です。

プーリーの中心部にある穴は、軸を通してプーリーを回転させるための要素です。軸穴は円筒状であり、軸との適切な取り付けを可能にするために設計されています。軸穴のサイズは軸との対応性を考慮して選ばれます。

平ベルトプーリにかけられたベルトは、ベルトとプーリに働く摩擦力によって回転を伝達することが可能です。この場合、より効率的に回転動力を伝達するためには、実際にプーリにベルトがかけられる接触角が最大になるように設計することが重要です。

平ベルトプーリーの選び方

平ベルトプーリーを選ぶ際には、いくつかの要素を考慮することが重要です。

1. 材質

平ベルトプーリーの材質は、耐摩耗性や耐腐食性などを考慮して選ばれます。一般的な材質には鋼やアルミニウムなどが使用されることが多いです。

鋼は高い強度と耐久性を持つため、重い負荷や高い速度で使用する場合に適しています。アルミニウムは軽量で腐食に強いため、一般的な動力伝達用途に有利です。鋳鉄が使われることもあり、耐摩耗性に優れている点が特徴です。

2. 寸法

プーリーの寸法は、直径や幅などを確認して選定します。寸法は動力伝達能力や回転速度に影響を与える重要な要素の1つです。

プーリーの直径は、ベルトの張力や動力伝達の効率に影響を与えます。大きなプーリーはベルトの曲げストレスを減少させることが可能です。プーリーの幅は、ベルトがフランジ内で正確に動くことを保証し、動力伝達の安定性を高めます。

3. 取付方法

プーリーを取り付ける際には、軸のサイズや取り付け方法との互換性を確認することが大切です。一般的にはキー溝を利用して取り付けることが多いです。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machine-elements/gear/belt-chain-basic.jsp
https://kikaikumitate.com/post-2727/
https://kurashi-no.jp/I0019796

真空用チューブ

真空用チューブとは

真空用チューブ

真空用チューブとは、高真空環境で使用される特殊なチューブです。

真空用途では、チューブ内の気体がほとんどないか、完全に排気された状態で動作する必要があります。これにより、気体の影響を排除し、さまざまな高度な科学研究や産業応用を実現することが可能です。

真空用チューブの使用用途

1. 半導体製造

真空用チューブは、半導体産業において欠かせない要素です。半導体の製造プロセスでは高度な真空環境が必要であり、エッチングや蒸着といった工程において真空用チューブが使用されます。これにより、高精度な半導体デバイスの製造が可能となります。

2. 宇宙探査

宇宙空間は極めて低圧の真空状態であるため、宇宙探査機器や人工衛星において真空用チューブが活用されます。これらの機器では、高真空下での信頼性と耐久性が求められ、真空用チューブが信頼性の高い動作をサポートします。

3. 精密測定装置

科学研究や産業分野において、微細な測定や評価が必要とされる場合があります。真空用チューブは精密な測定装置や試験装置において、気体の影響を排除して高精度な測定を行うのに適しています。

4. 真空冷凍真空冷却

真空用チューブは、冷凍や冷却のプロセスにも利用可能です。真空環境下では熱の伝導が低下し、素材や試料の冷却効果が向上します。真空用チューブを用いることで、より効率的な冷却が可能となります。

5. 質量分析

質量分析器は、物質の成分や組成を調べる際に用いられる重要な装置です。真空用チューブは、サンプルを真空状態に保持するために使用され、高精度な質量分析を実現します。

6. レーザーシステム

レーザー装置では、真空状態下で光の増幅や誘導放出が行われます。真空用チューブはレーザーシステムにおいて光の伝播を補助し、レーザーの性能向上に寄与します。

真空用チューブの原理

1. 気体の排除

真空用チューブは、内部の気体を排除して高真空環境を実現することが重要です。通常、真空用チューブの内部には特殊なポンプが設置されており、これによって気体が吸い出されて真空が生成されます。気体の排除により、真空用チューブ内の圧力が極めて低くなり、真空状態が形成されます。

2. リークの防止

真空用チューブは非常に気密性が要求されるため、リーク (漏れ) を防止することが重要です。チューブの接合部やパッキンなど、構造全体が気密性を持っていることが必要です。リークが発生すると、真空状態の維持が困難となり、装置の正確な動作が妨げられます。

3. 熱伝導の低下

真空用チューブは、高真空環境下で熱の伝導が低下する特性があります。通常の大気圧下では熱は空気を介して伝わりますが、高真空状態では気体の存在が少ないため、熱の伝導が抑制されます。

これにより、真空用チューブ内の物体や試料の熱特性が変化し、熱の効率的な制御が可能です。

4. 加熱と蒸発

一部の真空用チューブは、加熱および蒸発の原理を利用して動作します。内部に設置された加熱器によって試料や材料が加熱され、それによって気体や蒸気が生成されます。

このプロセスによって、真空用チューブ内の圧力や成分を制御することが可能です。

5. ガス導入

一部の実験やプロセスにおいて、特定の気体を真空用チューブ内に導入する必要があります。この際には、制御されたガス導入装置が使用されます。

特定の気体を正確な量で導入することで、試料の反応や挙動を観察し、研究や製造プロセスを進めることが可能です。

真空用チューブの種類

1. エジェクターチューブ

エジェクターチューブは、高速の気流を用いて真空を生成するタイプのチューブです。内部にはノズルがあり、圧縮空気や蒸気をノズルによって高速に排出することで、周囲の気体を吸い込み、真空状態を形成します。

構造がシンプルで、動作に電力を必要としないため、省エネルギーな真空生成が可能です。主に排気装置やエアポンプなどに利用されます。

2. ディフュージョンポンプ

ディフュージョンポンプは、分子の拡散を利用して気体を排除するタイプのチューブです。内部にはヒーターや冷却器があり、気体分子が衝突して壁に吸着・脱着することで、気体が排除されます。

高真空領域で使用され、高い真空度を実現するのに適しています。主に半導体製造や真空メッキなどに利用できるタイプです。

3. ターボ分子ポンプ

ターボ分子ポンプは、高速回転するターボ分子を用いて気体を排除するタイプのチューブです。分子がターボ分子の回転によって排除されることで、高真空領域を形成します。

非常に高い真空度を実現できるため、高度な実験や加工に用いられます。特に半導体製造や宇宙航空産業で重要な役割を果たす製品です。

4. イオンポンプ

イオンポンプは、イオン化した気体を電場によって排除するタイプのチューブです。内部には電極があり、イオン化した気体が電場によって引き寄せられてチューブから排出されます。

高い真空度を実現できるうえ、希ガスや水蒸気の除去にも効果的です。主に真空冷凍機や電子顕微鏡などで使用されます。

参考文献
https://www.pisco.co.jp/dl/pdf/TFCT4-01_71.pdf

Vベルトプーリ

Vベルトプーリとは

Vベルトプーリ

Vベルトプーリとは、Vベルトを用いて動力伝達をする際に使用される円盤形状の部品です。

Vベルトは断面がVの字になったベルトで、Vベルトプーリとセットで使用されます。VベルトプーリにはVの字の溝が掘られており、平ベルトおよびプーリと比較し接触面積が大きく伝達効率が高い点が特徴です。

ベルトおよびプーリは多くの回転機械に利用されますが、Vベルトプーリは日本国内で使用されるプーリの中でも使用頻度の高い部品です。

Vベルトプーリの使用用途

Vベルトプーリは家電製品から産業機器まで、さまざまな装置に使用される部品です。以下はVベルトプーリの使用用途一例です。

  • ベルトコンベアやコンプレッサ
  • 自動車や自転車
  • 工業用ポンプ
  • 可搬式発電機

ベルトとプーリのかみ合いが強固なため、高速回転する機械で使用されます。一方で、動力伝達対象との距離が短い場合にはVベルトプーリの使用は不適です。

距離が短い場合は、摩耗が小さい平ベルトが採用される傾向にあります。

Vベルトプーリの原理

Vベルトは断面がV字型となっており、VベルトプーリにはV字型の溝が掘られています。VベルトがVベルトプーリの溝にはまり込み、摩擦によってプーリを回転させます。

動力伝達のポイントは、ベルトの張りとベルト面粗さです。

1. ベルトの張り

張りは強くなるほどプーリとのかみ合いが強固になり、伝達効率が高くなります。しかしながら、強く張りすぎるとベルトが破断してしまう可能性もあるため、適切な調整が必要です。

ベルトの張りの強さは、ベルト張力計を使用することで定量的に管理できます。

2. 面粗さ

Vベルトプーリはベルトとの接触面が広いため、それぞれの接触面の粗さは伝達効率を左右する重要な要素です。面が粗いほうが摩擦力が高まり、伝達効率は高くなります。

その反面、摩耗量が増え、機械寿命が短くなるという欠点もあります。長期間使用し続けるとVベルトプーリの溝が次第に摩耗し、表面が滑らかになります。この状態ではベルトとプーリが滑りを起こしやすく伝達効率が低下するため、交換が必要です。

Vベルトプーリのその他情報

1. Vベルトプーリの芯出し

Vベルトプーリはモーター側と機械側の位置がずれた状態で使用すると、Vベルトやプーリの摩耗を早めたり機器へ想定外の負荷を掛けたりします。この状態を「芯が出ていない」と表現します。

上記を防止するために、Vベルトプーリの芯出しは非常に重要な作業です。水糸を使用する芯出しは、広く使用される方法です。モータ側と機械側のプーリ上面・下面に糸を当て、糸の浮き上がりを比較します。

片方に糸を押し当てた状態でもう片方を浮かせていき、糸がプーリ面から離れるタイミングを確認します。面の平行具合や位置のずれを目視で確認できる方法であり、微調整しながら複数回繰り返して調整します。

近年ではレーザによる芯出し器も販売されており、作業が簡単で正確性も高いことから広く普及しつつあります。

2. Vベルトプーリの摩耗

Vベルト及びVベルトプーリは経年によって徐々に摩耗します。摩耗速度はVベルトの方が早いため、Vベルトの交換頻度の方が高いです。ただし、Vベルトプーリも徐々に摩耗するので、経年によって交換が必要になります。

Vベルトプーリの摩耗具合は、溝ゲージという計測器具で計測することが可能です。Vベルトプーリの溝に溝ゲージを押し当て、溝と溝ゲージの隙間を隙間ゲージで計測します。溝ゲージはVベルトプーリの規格によって使い分ける必要があり、JIS規格、ISO規格、ウェッジベルトなどがあります。

Vベルトプーリの径によっても溝ゲージの使い分けが必要です。事前に測定するVベルトプーリの規格とサイズを確認する必要があります。

摩耗限界については、メーカー許容値は隙間が0.8 mmとされている場合が多いです。ただし、型式によっても異なるため使用しているVベルトプーリの許容値は測定前に確認します。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machine-elements/gear/belt-chain-basic.jsp
https://kikaikumitate.com/post-2727/
https://kurashi-no.jp/I0019796
https://www.nbk1560.com/resources/pulley/article/vpulley-exchange/?SelectedLanguage=ja-JP 

キャストナイロン

キャストナイロンとは

キャストナイロン

キャストナイロンとは、キャスト法で製造されたナイロンです。

キャスト法とは金型内で原料であるモノマーを反応させて、材料を作り出す方法です。樹脂は冷却されると内部にひずみが残り、ひずみが残ると変形の原因となり、場合によっては破損にもつながります。

他の成型法に比べ金型内で発生するひずみが少ないため、寸法安定性に優れているのが特徴です。また、ひずみによる変形が少ないことから、通常のナイロンよりも高強度です。

キャストナイロンの使用用途

キャストナイロンは、自動車部品で使われています。使われている部品の1つが軸受です。軸受は名前の通り、回転する軸を支える部品です。軸受があることで回転時の摩擦を少なくし、エネルギーの消費や部品の故障を抑えています。

従来の軸受は、耐久性が求められることから金属製が主流でした。しかし、燃費向上を目的として、自動車の軽量化が進みました。

軽量化のために樹脂製の軸受が検討されており、材料として軽量性と強度が両立可能なキャストナイロンが使われています。

キャストナイロンの原理

ナイロン樹脂にも種類があり、キャストナイロンで使われるのは6ナイロンが主流です。6ナイロンは、ε-カプロラクタムという物質を開環重合させることで製造されます。

6ナイロンは、ナイロンの中でも一般的であり、同じく一般的なナイロンとして6,6ナイロンもありますが、物性に若干の違いがあります。融点は6,6ナイロンが高い一方、加工性は6ナイロンの方が優れています。

なお、6ナイロンには下記のようなメリットがあります。

  • 耐油性をもち、エンジン周りでの使用が可能
  • 一般的な樹脂に比べて融点が高く、高温化での使用が可能
  • 軽さと耐久性を併せ持つ

軽量性と油や衝撃に対する耐久性を持つことから、他の樹脂よりも軸受で利用されています。多くのメリットを持つ一方、デメリットも存在します。

最大のデメリットは吸水性の高さです。ナイロンの分子中には、アミド基が存在し、アミド基の親水性により、水と反応して加水分解を起こします。加水分解により寸法変形が発生し、強度が低下してしまうことがあります。

キャストナイロンの種類

1. キャストナイロン6 (ポリアミド6)

キャストナイロン6は、ε-カプロラクタムから製造される線状高分子であり、耐摩耗性や耐衝撃性に優れています。また、耐薬品性や耐候性も持ち、屋外や厳しい環境下での使用が可能です。

水分を吸収しやすい性質があるため、湿度の高い環境では寸法変化が起こる可能性が高いです。主な用途として、ギア、軸受け、歯車、パッキン、繊維などが挙げられます。

2. キャストナイロン66 (ポリアミド66)

キャストナイロン66は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンから製造される高強度の線状高分子です。そのため、キャストナイロン6よりも耐熱性や耐摩耗性に優れています。

自動車部品の断熱材や電気機器の断熱部品、機械部品、工業部品など、高温環境での使用に適しています。また、摩擦特性が良好で、スリーブ、軸受け、歯車などの部品にも広く利用される製品です。

3. キャストナイロン12 (ポリアミド12)

キャストナイロン12は、ラウロイル塩化アミンから製造される柔軟性と耐低温性に優れた線状高分子です。その軟質性から、曲げや捻じりが容易で、耐薬品性もあります。

燃料タンク、ブレーキ管、ケーブルシースなど、自動車産業や航空宇宙産業での使用が一般的です。さらに、医療機器やスポーツ用具などにも幅広く応用されています。

4. キャストナイロン (耐油性)

キャストナイロンの中には、特に耐油性を強化したタイプもあります。これらのキャストナイロンは、オイルやガソリンなどの燃料に対して高い耐性を持ちます。

エンジン部品や燃料系部品など、油脂を多く使用する機械や車両の部品として利用され、耐摩耗性や耐薬品性も持ち合わせており、高い機能性を持つ製品です。

参考文献
https://www.mitsuboshi.com/japan/product/synthetic/kind/cn.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/plastic_mold_design/pl09/c1015.html
https://koyo.jtekt.co.jp/2018/11/column01-01.html
https://www.igus.co.jp/info/why-plastic-ball-bearings
https://www.kobelco.co.jp/products/outstanding/lighterautos/
https://www.try-it.jp/chapters-10095/sections-10240/lessons-10241/point-2/
https://www.yumoto.jp/material/6nylon
https://www.yumoto.jp/material-onepoint/plastic-the-water-absorbent

フッ素樹脂チューブ

フッ素樹脂チューブとは

フッ素樹脂チューブとは、特殊なフッ素樹脂を主成分として製造されるチューブです。

フッ化樹脂としては、テフロン (商標名) が有名です。フッ素樹脂は耐熱性や絶縁性、薬剤耐性、非粘着性や電気絶縁性に優れており、オートクレーブなどの滅菌も可能です。

これらの性質により、医療や化学、薬品、食品など幅広い分野で使用されています。内径、外形ともサイズ展開が豊富で多くの企業で特注対応も可能です。フッ化樹脂単体のチューブの他、他素材と多層形成されたチューブも販売されています。

フッ素樹脂チューブの使用用途

フッ化樹脂の化学的に安定な性質を活かし、食品製造装置や各種理化学機器、化学プラントや薬液やオイルなどの輸送管などに使用されます。フッ化樹脂の性質を利用した使用例としては、腐食性の高い廃液用のライン (耐薬品性) 、蒸気移送ライン (耐熱性) 、低粘着性 (塗料移送ライン) 、電気機器の冷却用チューブ (電気絶縁性) などがあります。

また、可塑剤などを含まず物質の遊離がほとんどないことから医療用途や食品製造工程、分析機器にも使用が可能です。

フッ素樹脂チューブの原理

テフロンを代表例とするフッ素樹脂は非常に強固なC-F結合を有する高分子重合体で、あらゆる薬品や高温、オゾンなどに耐性を有する安定した物質であることが最大の特徴です。

この特性 (耐薬品性、電気絶縁性、耐熱性、加工のしやすさ) を生かし、厳しい温度条件下で使用するチューブや薬品に侵されない特性を利用した薬品の輸送管への応用など安定性を重視される個所のチューブとして単純なフッ素樹脂単体のものはもちろん、複数素材による層状構造を有するチューブの材料にも広く利用されています。

なお、工業的に利用されているフッ素樹脂は下記となります。

  • PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)
  • PFA (テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)
  • FEP (テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)
  • ETFE (テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)
  • PVDF (ポリビニリデンフルオライド)
  • PCTFE (ポリクロロトリフルオエチレン)

フッ素樹脂チューブの種類

1. PTFEチューブ

PTFEチューブは、ポリテトラフルオロエチレンと呼ばれるフッ素樹脂から作られたチューブです。最も一般的で広く使われているフッ素樹脂チューブの1つです。

その主な特性としては、非常に高い耐熱性が挙げられます。通常、PTFEは−200°Cから+260°Cの広い温度範囲で安定して性能を発揮し、極端な温度変化にも耐えます。さらに、化学薬品に対する耐性も優れており、腐食性のある薬品に対しても劣化せずに使用することが可能です。

非粘着性が強いため、内部の流体がスムーズに移動し、チューブ内壁に付着することなく、高い流体の流れる効率が得られます。これらの特性により、化学産業、食品産業、医療産業などの幅広い分野で使用されています。

2. FEPチューブ

FEPチューブは、フッ素化エチレンプロピレン樹脂から成るチューブで、PTFEに似た特性を持っていますが、より柔軟性があります。FEPは耐熱性が高く、-200°Cから+200°Cの広い温度範囲で使用が可能です。耐薬品性にも優れており、ほとんどの有機溶剤や腐食性のある薬品に対して安定しています。

非粘着性も高く、内部の流体がスムーズに流れるため、特に流体の移送や排出が必要な場面で優れたパフォーマンスを発揮します。また、FEPの透明性は高く、内部の流体の視覚的な確認が可能で、医療機器や半導体産業で広く使用される製品です。

3. PFAチューブ

PFAチューブは、フッ素化アルコキシアセテート樹脂から製造されたフッ素樹脂チューブです。PFAはPTFEとFEPの特性を組み合わせたような性質を持ち、非常に高い耐熱性、耐薬品性、非粘着性を有しています。耐熱性はPTFEに次いで高く、一般的に-200°Cから+260°Cの広い範囲で使用できます。

PFAはFEPよりもさらに高い耐薬品性を持ち、より強い薬品に対しても安定して使用が可能です。医療機器、化学産業、半導体製造、自動車産業など、高い要件が課せられる分野で広く利用されています。

フッ素樹脂チューブのその他情報

1. フッ素樹脂チューブの硬さ

フッ素樹脂は一般的に硬質な材料として知られていますが、その実際の硬さを把握するには触れてみることが重要です。通常、ホームセンターなどで見かけるプラスチックチューブは手で簡単に曲げることができますが、フッ素樹脂チューブはそのように簡単には形状を変えることができません。少し曲げようとしても非常に固く、なかなか曲がりません。

例えば、フックの形状にフッ素樹脂チューブを加工したい場合、以下のような手順を踏みます。まず、フックの形状になるような金属の型を用意し、その型にフッ素樹脂チューブをはめ込みます。そして、オーブンなどでフッ素樹脂チューブを加熱します。

加熱によってフッ素樹脂チューブは柔軟になり、フックの形状になるように曲げることが可能です。しかし、この状態は加熱中に保たれるため、冷却すると再び固くなり、元の硬い状態に戻ります。形状を保つためには、加熱後の冷却が必要です。

このように、フッ素樹脂チューブは加熱・冷却によって形状を変えることができる硬さを持っています。加工する際にはこの特性を考慮し、加熱を行って形状を作り上げることが一般的です。この硬さと特性が、フッ素樹脂チューブの優れた耐熱性や耐薬品性に寄与しています。

2. 軟質のフッ素チューブ

フッ素樹脂チューブには、硬く高強度なタイプと柔軟で耐摩耗性に優れたタイプの両方が存在します。柔軟性を持つ軟質フッ素樹脂チューブは、機器の狭い空間などに適しており、配管として利用され、この柔軟性を実現するポイントは、チューブの2層構造です。

軟質フッ素樹脂チューブの外径は2層から成り立っており、内層はフッ素樹脂で、外層はナイロン樹脂などが用いられています。ナイロン樹脂は柔らかい性質を持つため、外層に使用することでチューブの曲げや捻じれを容易にすることができます。

そして内層にフッ素樹脂を採用することで、もし外層のナイロン樹脂にヒビやダメージが生じた場合でも、内層のフッ素樹脂がガスや液体の流れる通路を保護が可能です。このような2層構造により、軟質フッ素樹脂チューブはしなやかさと耐久性を両立させています。

一方で、固いフッ素樹脂チューブはC-F結合による特性により高い硬度と強度を持つため、特定の用途に適しています。しかし、曲げや形状変化が難しいのが一般的な特徴です。このように、フッ素樹脂チューブには硬質なものと柔軟なものがあり、それぞれ異なる用途に適した特性を発揮します。2層構造を活用することで、柔軟性を持ちつつ耐久性を確保する工夫が成されています。

参考文献
https://www.chukoh.co.jp/products/tube/
https://www.packing.co.jp/PTFE/ptfe_tube1.htm
http://www.smcworld.com/newproducts/ja/pdf/tq.pdf

平行チャック

平行チャックとは

平行チャックとは、2つの爪が平行に開閉してワークを掴んで運ぶ搬送装置です。

平行チャックは工場などの製造現場で、製造装置や検査装置に組み込まれる形でワークのハンドリング作業を担っています。ワークをチャック中心で把持するという点ではマシニングセンタCNC旋盤などの工作機械で使用される3つ爪スクロールチャックと似た機能を持ちますが、平行チャックは基本的に2つ爪構造で、よりコンパクトな構造が特徴です。

平行チャックの使用用途

平行チャックは、自動化された生産ラインなどでワークの搬送のために使用されています。

工場の生産現場では、製品の組み立てや検査のために多くの機械やロボットが稼働しています。また製品の工程間の移動にはベルトコンベア等が使われています。平行チャックはそれらのロボットや機械のために加工対象のワークを供給したり、1つの工程が終わったワークの所定の穴に部品を挿入する、加工対象のワークをベルトコンベアに乗せる、などの作業を行います。例えば工作機械と連結してワークを供給するローダー機などでもよく使用されています。軽量で高速に動く平行チャックは、高速ローダーにも対応可能です。

ワークを掴むフィンガー部には、ワーク形状に合わせたハンド爪を取り付けることができるため、爪を取り換えることで様々な形状や大きさのワークを取り扱うことが可能です。最も基本的な形状のワークとしては円筒形のシャフト材があります。

平行チャックの原理

一般的に、平行チャックはエアコンプレッサから供給される圧縮空気を用いてチャックの開閉を行います。

平行チャック内部にはエアシリンダが内蔵されており、エアシリンダは駆動ローラを介してフィンガと機械的に繋がっています。エア供給ポートからエアが供給されるとエアシリンダのピストンが押され、駆動ローラがフィンガを押し閉じる構造になっています。エア供給ポートが1つのものを単動式といいます。一方で中には複数のエア供給ポートを持つものもあり、これを複動式といいます。複動式の場合は、使用するエア供給ポートによって把持力を弱めることもできます。

エアチャック仕様なので、油圧や手動式のチャックと比較すると繰り返し精度は高い傾向にあります (±0.01mm程度) 。しかしエアチャックであるうえにコンパクトな構造であることから、重量のあるワークを保持することは困難です。

平行チャックの種類

平行チャックは、上記の単動式と複動式という構造の違いの他に、次のような種類分けができます。

1. 汎用タイプ、専用タイプ

汎用タイプの平行チャックでは、チャックを取り換えることで様々な形や大きさのワークに対応できます。その一方で、特殊な形状のワークをハンドリングするために、個別に設計して製作されたフィンガ形状のものを使用するカスタマイズされた平行チャックもあります。

2. 使用環境に合わせたタイプ

クリーンルーム内などの清潔な環境下での使用を想定して、異物混入を防ぐための構造になったものや、発塵の多い場所での使用を前提に対策されたものなど、使用環境に合わせた平行チャックがあります。

3. 駆動力による違い

平行チャックを駆動する力には、エアシリンダだけでなく電動アクチュエータやマグネット、油圧を使うものがあります。

平行チャックの選び方

平行チャックを選ぶ際には以下の点を考慮することが重要です。

ワークの形状とサイズ
ワークの形状やサイズに合わせて、適切なフィンガ形状や開口量を選びます。

必要なクランプ力
ワークの重量や加工時の力に耐えられるだけのクランプ力が必要です。

動作速度
搬送速度やサイクルタイムに合わせて、動作速度が適切なものを選びます。

環境
使用環境 (温度、湿度、振動など) に合わせたものを選ぶ必要があります。

参考文献
https://www.pisco.co.jp/dl/pdf/NPAC1-01.pdf
http://ca01.smcworld.com/catalog/ja/rotary_airchuck/MHZ_2/6-3-p0381-0463-mhz/data/6-3-p0381-0463-mhz.pdf

ジグソー

ジグソーとは

ジグソー

ジグソーとは、ブレードと呼ばれる細い刃を動かして材料を切断する工具です。

電動で動くため、ノコギリよりも簡単に材料を切ることができます。また、直線状に切るだけではなく、ブレードを変えることで曲線状に切り出すことも可能です。

切り出す材料により、使うブレードが分かれています。ブレード次第で、木材からプラスチックまで幅広い材料を切断可能です。材料を切り出すことが主目的ですが、ドリルで切り出した穴を起点にジグソーを動かせばくり抜きも可能です。

ジグソーの使用用途

ジグソーはDIYで多く使用されています。自分で家具などを組み立てる際、購入した材料を想定している形に切り出す必要があります。直線状のカットであればノコギリでも可能ですが、曲線状の切り出しは困難です。また、ノコギリは直接手を動かすため、体力も使います。

ジグソーを用いることで、さまざまな形状を簡単に切り出すことが可能です。ただし、操作音がうるさかったり、切りくずが周りに飛んだりするなどのデメリットも存在するため、使用環境を考慮することが重要です。

ジグソーの原理

ジグソーで物が切れるのは、ブレードの動きによるものです。ブレードが上下に細かく動くことで、材料を切ることができます。対象となる材料により、ブレードの形も異なります。

1. 木材用

最も多く用いられるジグソーです。ノコギリと同様に大きな刃が特徴です。木材用には、高速切断用と仕上げ用が存在します。高速切断用は速く切り出せるように刃が通常のものより大きい点が特徴です。仕上げ用は切断面をきれいに仕上げるため、刃が細かくなっています。

2. 金属用

木材用と比較して細かい刃がたくさんついているジグソーです。金属は木材よりも固いため、ブレードに力が加わりやすくなります。たくさんの細かい刃にすることで力を分散させ、ブレードの負担を少なくしています。

3. プラスチック用

プラスチックは木材や金属と比較して熱に弱い性質があります。そのため、プラスチックは切断時の摩擦で溶けてしまい、バリが発生しやすい材料です。バリ発生を防止できるように、刃は波のように緩いカーブがかかった形状をしている点が特徴です。

ジグソーの選び方

ジグソーには多くの種類が存在します。そのため、選定時には意図しない製品を購入しないように注意が必要です。ジグソーを選定する際は、以下のポイントを考慮します。

1. サポート機能

早く正確に切断できるように、ストローク数が多く、幅が広い製品がおすすめです。また、真っすぐ切断できるサポートが付いている製品も存在します。機種やメーカーによってサポート機能が異なるため、どの機能が付いているか確認して購入しましょう。

2. オービタル機能

オービタル機能とは、刃が上下だけでなく前後にも動く機能です。前後に動いた方が、早く切断できます。

3. ブレード交換方式

作業効率も向上するため、刃の交換が容易なワンタッチ式の機種がおすすめです。ワンタッチ式以外にはネジ留め方式の製品などが販売されています。

ジグゾーのその他情報

ジグソーの使い方

ジグソーは電動で刃を動かすため、木材やプラスチックなどを簡単に切断できます。その反面、正しく使用しないと人身事故が発生する大変危険な道具です。

ジグソーの基本的な使用方法は、以下のとおりです。

  1. ジグソーの振動で材料が動かないようにクランプなどで作業台に固定します。
  2. 切断する箇所に目安線を引きます。
  3. ジグソーの電源を入れて空回しします。
  4. 刃が正常に動いていることを確認してから、材料の目安線の箇所に刃を入れます。
  5. 真上より切断面を見ながら、目安線に沿って刃を進めていきます。

上記の使い方や製品説明書を熟読してから、使用することが大切です。また、切断時にはジグソー本体のベース部分が材料に密着していることを確認します。ジグソーを材料に押し付けながらカットをすることで、材料のバタつきを軽減できます。

参考文献
https://electrictoolboy.com/media/14964/
https://www3.roymall.jp/shop/e/ejigsaw/
https://makit.jp/03061/
https://makit.jp/00684/
https://www.kda1969.com/words/words_pla_6h_02.htm
https://electrictoolboy.com/media/14964/