ハロゲンフリーフラックスとは
ハロゲンフリーフラックスとは、活性剤にハロゲン化物を使わないで、主に有機酸を使用するフラックスです。
ハロゲンは、周期表の第17族にあるフッ素 (F)、塩素 (Cl)、臭素 (Br)、ヨウ素 (I)、アスタチン (At) の5元素を指します。
フラックスは、はんだ付けされる母材や部品、はんだ自身の金属酸化物などを除去して、清浄な接合面を作り、はんだのぬれ性を確保するために、使用されます。
はんだ付けの場合、Cl、Br等のハロゲンをフラックス中に入れ、はんだのぬれ性・作業性を高めてきました。しかし、Cl、Brを含む電子基板を焼却すると、生物に有害なダイオキシンが発生する恐れがあり、ハロゲンを使用しないフラックスが必要となった経緯があります。
ハロゲンフリーフラックスを使用すると、酸化を減らし、電気的接触が改善され、はんだの流れを助けます。
ハロゲンフリーフラックスの使用用途
ハロゲンフリーフラックスは、ハロゲン成分を意図的に含有していないフラックスで、電子部品などのハンダ付けに必要不可欠です。次の用途があります。
- はんだ付け促進剤として、はんだ付けを可能にします。
- はんだや部品リード、基板銅箔などの金属表面に酸化被膜を付着させないようにし、クリーンな接合面を作る部材です。
- はんだ付け後の残渣を少なくし、腐食を抑制します。
- 乾燥性を利用して水洗浄後の水切り剤として使用することも可能です。
ハロゲンフリーフラックスの特徴
ハロゲンフリーフラックスは、一般社団法人電子情報技術産業協会 (JEITA) の規格では、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素がそれぞれ1,000ppm以下で、ハロゲン成分の含有がありません。特徴は次の通りです。
- ハロゲンフリーですが、ぬれ性に優れています。
- 塩素や臭素含有率は、ハロゲンフリー規格どおりです。
- はんだ付け促進剤として、はんだ付けを可能にします。
- 独自の活性成分配合でフラックスの飛散を抑制します。
- より線の端末処理に最適です。
- 乾燥性を利用して水洗浄後の水切り剤としても使用可能です。
- 鉛フリーはんだを使用したプリント基板に最適で、はんだ付け後の残渣信頼性が優れ、無洗浄化がはかれます。
ハロゲンフリーフラックスのその他情報
はんだ付けの場合のハロゲンフリー、ぬれ性、フラックス飛散、ボイド、印刷性、タック時間、電気的信頼性などの各種課題を解決した 多機能ソルダーペーストが出ています。すずに銀や銅を加えたペーストです。
・環境対応
ハロゲンフリーであり、各種環境規制に対応します。
・ぬれ性
2種類の活性剤の混合効果により、プロファイルや表面処理を選ばず、安定したぬれ性が得られ、母材に確実なぬれを発生させます。
・フラックス飛散抑制
はんだ溶融直後にフラックスがはんだ上面から捌けるため、気泡排出時のフラックス成分の巻き込みを抑制することにより、フラックス飛散がわずかになります。特に、カメラ、センサー部品の実装へ適用されます。また、飛散フラックスの除去工程が削減可能です。
・ボイド低減
はんだ粒子同士の凝集の他にフラックス同士も凝集するため、発生したガスをフラックスが吸収し外部へ排出します。はんだ内に取り残されるフラックスを減らすことで、低ボイドの実現が可能です。
・印刷性
安定した連続印刷性が得られ、印刷停止時間を延長し、微細パターン印刷性が向上します。
・タック力向上
タック時間を延長し、安定した部品搭載が可能です。
・電気的信頼性向上
表面絶縁抵抗SIRが高く、また、コーティング剤とのコンビネーションに優れ、高信頼性です。
・ブリッジの発生阻止
引きはんだ付けでも、ブリッジが発生しません。